ネコぶんこ


2011年09月27日 アーンソンはノート一冊分のルーズリーフにルールをまとめていたが、例外的な状況が発生すると、その場で臨機応変に対応した。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『とてもさえている(Very Perceptive)』

伝説と伝承

モンテ・クック

こんにちは!

親友のマイク・ミアルズが先週書いたように、このコラムにはちょっとした変化が訪れた。もっとも大きなものは私がそれを書いているということだ。私は誰かって? モンテ・クック。私は第3版の共同デザイナのひとりだ。私は80年代後半からTSRとウィザーズ・オブ・ザ・コーストでの長い経歴を含め、専業のゲーム・デザイナとして働いてきた。私はD&Dの第2版で多くの仕事をし、第3版への移行を助け、そして自分自身でd20システムの会社、Malhavoc Pressを起業し、自分の力でそのルールの可能性を探り続けた。

今の私はウィザーズ・オブ・ザ・コーストに帰って他の偉大なデザイナたちと仕事をしている。私は自分が愛するゲームのために働くことがどれだけ良いものなのか、君たちに語ることができないほどだ。本当に素晴らしい。

そしてそれはさらに良くなるだろう。私の主な仕事はオプションを考案することである。それは“研究開発”の“研究”部門だ。私に与えられた目標はD&Dを最良のゲームにすること。それは常に世界一のロールプレイング・ゲームで、私はそれがそうあり続けるようにしたい。

もちろん、それはとても特別な挑戦で、君はこう考えるかもしれない。D&Dのようなゲームは常に進み続けなければならないが、それでも原点に忠実でなければならない。もし君が約40年間愛され続けたゲームを任されたら、君は新しいプレイヤーをゲームに呼び込もうとしながら、長い間ゲームを愛し支持してくれた人たちも喜ばせようとするだろう。

私のように。私は1978年ごろに、今ではOriginal D&DやOD&Dと呼ばれている3冊の薄い本を手に入れてここまでやってきた。私はそこからAD&Dへ移行し、そして今までにこのゲームから枝分かれしたものや版すべてをプレイしてきた。プレイとその準備のために過ごし、そしていうまでもなく、それについて考え、そしてもちろん仕事としてやってきた何千時間は計算できそうにもない。

私が思うに、そして、それを私がいうのは思いがけないことではないが、私はダンジョンズ&ドラゴンズを愛している。

さあ飛び込もう

君が腕まくりをしてD&Dの基礎――それは真実、ほとんどのRPGの基礎である――まで掘り進むなら、君は物語を語るための特別な方法論かゲームをプレイするための特別な方法論を見つけるだろう。(私たちは別の機会に物語ることとゲームをプレイすることを対決させることになるだろう。)君がどちらの方法論を望んだとしても、君には情報を持ち、他者からの情報を待っている誰かと対峙している。プレイヤーは(彼らのキャラクターを通じて)空想世界を動き回り、何に出会ったか、彼らの行動がどんな結果になったのかを知る必要がある。DMは空想世界を管理する。では、その情報はどうやって伝えられるだろう? 彼は何を伝えるべきで何を伝えるべきではないか解っているのだろうか?

本当に、単純だ。DMはプレイヤーの目と耳である。彼らは何を見たか、何を聞いたか、何を臭ったか、何を味わったか、そして何に触ったか、彼は彼らにそれらを話さなければならない。もちろん、私たち全員が知っている通り、時おりそれらから何かが隠されるので、それらについてはより慎重でなければならない。

それは昔のダンジョン・シナリオだ。君は第1版のPlayer's Handbookの表紙でそれを見ることができる。PCたちはモンスタを倒し、財宝を探している。何人かのキャラクターは周囲を見回し、他の者は地図か何かを見ている。数人はひときわ大きな像を調べている。理想をいえば、それらのすべてをダイスのロールひとつで済ませたくない。理想をいえば、プレイヤーに部屋で現実のような相互作用を体験させたい。彼らはDMに像を調べ、それが持つ大きな火桶を覗き込み、同じように小ぶりな2つも調べると宣言する。おそらく像の大きな歯の1つは秘密の羽目板を開くためのものだろう。おそらくその空洞には秘密の財宝があるだろう。

テーブルを囲んで行なわれるそうした議論は精力的だ。それは楽しい。それは報いられなければならない。それはキャラクターよりプレイヤーの技能と想像力を高める。しかしダイスをロールした結果が残念でそれらすべてがぶち壊しになるのは台なしだ。

そして、想像してみよう。ゲームのルールにそれぞれのキャラクターは彼らがどれくらい知覚力があるか示す“ランク”が存在し、隠されたものすべてに同じランクがあるなら。君はランクを手早く簡単に比較することができる。キャラクターのランクが隠し扉や他の隠されたもの以上なら、それは彼にとって容易なものであるため、時間さえかければ彼はそれを発見できる。ダイスをロールする必要はない。知覚力に優れているので彼はそうすることができる。隠されているもののランクがより高いなら、彼はここでダイスをロールして成功を試みることができる。それは挑戦的だが、不可能ではない(君がそうさせたいと望むなら、ここはおいしいところだ)。そして難易ランクがより高いなら、それは不可能になるだろうし、ダイスをロールする必要もない。DMは「君は何も見つけられなかった」というだけだ。速く簡単である。そして何より、プレイヤーはDMに彼のキャラクターが適切なこと――動くかどうか像の歯を調べてみる――を行なっていると語れば、DMは簡単に彼のランクにボーナスを与えることができ、見つけられなかったものを見つけさせることができる。プレイヤーの創意は報いられるのだ。

平たくいってしまうと受動知覚の問題だが、私は「受動知覚はいくつだい?」と訊ねてしまうのが好きだ。君が知っているように、PCが特に何も探していない時でも、彼らのひとりくらいは隠れたものにピンとくる可能性があるかもしれないというのは理にかなっている。思い出してみよう、たとえば、第1版のエルフはどうやって彼らが歩く先の隠し扉を見つけることができただろうか? あるいは常に罠に気をつけているローグはどうだろう? 君は彼らが5フィートごとにダイスをロールすることを望みはしない。ゲームはあっという間に泥沼にはまり込むだろう。再び私たちがランク制に目を向けよう。DMはエルフが熟練ランクであるとメモしておき、そして彼女が探検中に通る道筋に熟練ランク以下の隠し扉があるなら、彼女はそれを見つけることができる。より高ければ、彼女は見つけられない(すべてにおいてダイスはロールされない――なぜならダイスをロールすること自体がメタゲームの上でプレイヤーに何か見つけられるものがあると示し、DMはスクリーンの裏側でプレイヤーのためにロールを行なうという面倒なものだからだ)。同様に、ローグは定型処理に陥ることなく、罠を探しながらダンジョンを歩き回ることができる。彼が扉や宝箱などを調べると宣言するのは、非常に注意している時だけである。そして私たちは先ほど書いたようにそれを取り扱うことで、さえたプレイに報いる。

このように情報――特に秘密の情報――の流れを制御する手段は速く簡単で、ダイスのロールは本当に重要な時にだけ関係してくる。私たちは精力的なプレイや創造的な考えで環境を探索する楽しみを失わずゲームを速く回せるようになるのだ。ルールが楽しみの邪魔にならないように。

私は君がこの問題についていいたいことを聞きたい。これは氷山の一角でしかない。話すことでより多くの考えが出てくる。一部はいかれてるだろうし、希望をいえば少しはまともであってほしいが。それをどれくらい私に話すかは、君たち次第だ。

WotCの公式サイトで連載されているLegends and Loreはゲームデザインの思想を知ることができる非常に有用な記事だと思うので以前からTwitterで内容を紹介していたけど、やはり140文字の制限がまどろっこしく、拾ってまとめてくれるD16さんにも余計なお手間をかけさせてしまうので、筆者交代を機会にこちらのほうで訳したものを掲載することにするですぅ。

今回の記事はゲームをより速く回せ、参加者の意見を楽に拾えるルールについてですぅ。