ネコぶんこ


2011年11月22日 そして、コンピュータは、それらを融合する新次元のパワーとなった。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『パイを切る別の方法(A Different Way to Slice the Pie)』

伝説と伝承

モンテ・クック

D&Dの第3版が発売された時、多くの人たちが彼らへの利益がこれっぽっちもないからという理由で機会攻撃という考えを批判した。皮肉にも機会攻撃はそのずっと前からシステムに存在していたというのに。初期のD&Dで、もし君が隣接した敵に背を向けるなら、彼は君へ攻撃を行なう機会を得ていたが、これはもちろん機会攻撃である。また、君が敵の隣に立っているなら弓や呪文を使えなかったが、それを可能にするハウス・ルールはよくあり、それも君の敵が君へ攻撃を行なうものだった。

(少なくともD&Dのための)“機会攻撃”という言葉はこのゲームでは第2版中期のPlayer's Optionまで作られていなかった。さまざまな特殊な状況を体系化してルールをまとめるのは、素材を整理して概念を管理するすばらしい方法に見えた。

新しく成文化したルールの問題は、それが覚えるべきもののひとつに加わることだ。さらに、それはたとえプレイ中に決して起こりえないことでも、君が学ばなければならないゲームの一部になってしまう。ありえそうもない話だが、第3版では実際にプレイするまで誰も“機会攻撃”の項を読んで理解していないこともある。なぜか? それは機会攻撃がプレイヤーのターンに誘発されないアクションだからだ。彼らは同様に状況によるものも忘れやすい。

そこで、パイを別の方法で切ることを想像して欲しい。D&Dの戦闘要素として機会攻撃を声高に叫ぶより、君は彼らが必要な時に応じて単純にルールを加える。第1版のように、君が敵から離れたり、飛び道具を隣の彼に撃つとき、その敵は攻撃を行なえると言えばいい。

この方法では、君がルールを必要とした時にだけそれは現われる。成文化された部分は少なく、プレイする前に知るべきルールもより(あるいはもっともっと)少ない。“ほどかれた”ルールは個々に分類されてルールブックの大きな章に記述され、ルールが必要になった時に読める。

必要な時に追加するルールには、君がわかりやすく低レベルのゲームをプレイできるという利点がある。たとえばダメージへの抵抗など、1レベルのプレイからは必要でないと主張する人がいるかもしれない要素がゲームには多くある。これは立派な仕組みだが、1レベルの段階で君はダイスをロールしてそれがヒットしたかを見たいだろう。ダメージへの抵抗という概念を発生する状況(呪文や、モンスターの能力など)の内側にまとめておけば、これらのルールや状況が低レベルのプレイで発生しないことを確認した君は無視しておくことができる。新しいプレイヤーと経験豊富なプレイヤーでも、1レベルのキャラクターをプレイする時はダメージへの抵抗(あるいは瞬間移動、あるいは念視、あるいは精神操作、あるいは組みつきなど、君が低レベルのプレイで不要や厄介すぎると判断した概念)を知らなくても、多くのルールを必要とせずテーブルにつくことができる。

この思考法を使うなら、私たちは5レベルあるいは12レベル、はたまた19レベルでもシナリオを安定させ、キャラクターのレベルだけではなく複雑さも重要にすることができる。高レベルではゲームがより複雑になると承知しているなら、私たちはそれを効果的に使うことができる。DMが店で8レベルのキャラクター向けシナリオを見つければ、その記述が彼にどれくらいの脅威かだけでなく、そのシナリオの複雑さがどれほどなのかもその記述で語ることができる。こうすれば、わかりやすく軽快に遊べるゲームを望むなら低レベル、そしてより幅広く、より複雑なゲームはより高いレベルでプレイすることができる。私たちはより複雑なオプションを中から高レベルに限定したルールのサプリメントを作ることすらできる。

つまりは、きちんとルールをまとめることで、一握りのゲーム・デザイナが彼らのためにそれを行なうことなく、ゲームのグループが彼らのゲームに望む複雑さを決めてもらうことができる。私はゲームをどうプレイすべきかという話をしたくない。私は手段――おそらく複数の手段――を君のために準備し、君が君のゲームに望むよう合わせていくのを望んでいる。