ネコぶんこ


2012年06月12日 誰が私を諸世界の苦難の中に投げ込んだのか。 [長年日記]

§ [DnD][4e] 2011年09月18日『ジャック・スパロウVSイド~世界の果てで~』

エスペランザ(エラドリンのメイジ/ブララニ・ウィンターソウル11):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。

グスタフ・トラップ(ヒューマンのシーフ/パラゴン・シーフ11):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。

セヴン(ドワーフのウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン11):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。

イド(ハーフエルフのパラディン/クエスティング・ナイト11):迷える騎士。ブレーキにならないcompanion。主人公。

カーレリア防衛が成ったことを祝う宴の中で、グスタフは見慣れぬ男からその活躍を讃えられた。見れば、周囲の者たちは誰も身の丈がゴライアスよりも高いこの偉丈夫に気づいていないようだ。警戒するグスタフに向け、男は続ける。
「素晴らしい。素晴らしい。ところで、皆様が継承したルーンですが」

私どもは、それを消し去る手段を持っております。そう言うと、男は沈黙で応えたグスタフの横を通り、夜の闇へと消えた。

セヴンは領主に報酬のついでに自分たちのルーンを処理できそうな人物の紹介を依頼し、ブレット・カリスウェンという人物を紹介された。かつてカーレリアを守り、その後も休眠を繰り返して数百年を生き、契約によって街を長年守護してきた秘術使いである。

そういうわけで前回の冒険より二十日後。冒険者たちはカッパーフィールドに案内されブレットの隠れ家へ赴き、彼と話をすることになった。そしてブレットは彼らのルーンを一瞥しただけで、解決方法はあるとあっさり答えた。

魔法のアイテム作成を主にやっているブレットはルーンを付与の術式と解釈し、それをトランスファー・エンチャントメントの応用で別の寄り代へ固定化させることを思いついたのだ。

しかし、仮にも神格から分離した力の欠片。並みの寄り代に固定化することは難しい。そこでブレットは、パーティにひとつの提案を行なった。

財宝をその中へ呑み込むためにあらゆる宇宙のあらゆる物質界に顕現する次元界、“貪る大渦”。その中へ飛び込めば、一定以上の価値を持っている宝石を探すことも容易だろうと。

もちろん、これは一定の勝算がある賭けである。“貪る大渦”は数十年前に南の海へ顕現し、ある商人が南方から取り寄せた一抱えほどあって中の煙が動く煙水晶“霞の瞳”を船ごと呑み込んだが、それの船長はなんとか脱出に成功した。かの次元界は執念深いため、かつての獲物が海へ出れば、必ず襲ってくるだろうと。
「これが一番確実な方法だ。不可能を考えてはいけない。そこには可能性の強さがあるだけだ」

その言葉が冒険者たちの背を押した。しかし彼らの心は、未知の次元界へ殴りこみ、財宝を奪取して脱出するという大冒険にも惹かれていたのだ。

かくして馬でカーレリアから南へ二日。海上に浮かんだ筏が面積の大半を占める港街、スリカトゥへとやってきたパーティは、かつて“貪る大渦”から逃げおおせた船長、銀髑髏のメルズが呑んだくれている酒場へとやってきた。

彼らはメルズを挑発してその気にさせると、翌日にはもう船を仕立てて出帆した。

航海すること三日。かつて大陸まであと一歩というところでメルズが“貪る大渦”と遭遇した海域へ至ると、エスペランザがそれを喚起する儀式を始めた。甲板に陣を描き、作法に従った祭文を朗誦し、舞う。すると一天にわかにかき曇り、船が揺れ、渦が現われる。

メルズが巧みに舵を取って渦に乗ろうとしていると、甲板に人の胴体ほどもある触手が叩きつけられる。逃れようとする船の舵を壊す大渦の守護者、クラーケンだ

PCへのダメージよりも船に巻きついて船の破壊を狙うクラーケンを、パーティはパワーで船から引き剥がし、遠隔攻撃でしとめた。
「そいつの目玉は取っとけ。帰りの駄賃だ」

メルズの指示に従い、冒険者たちは沈んでいくクラーケンの巨体から目玉を抜き取った。彼は浜に打ち上げられたクラーケンの目玉を海へ投げ込み、宝石と誤認させることで渦から逃げおおせたのだという。

「なんで触手が男PCに来るんだよサービスシーンじゃないの」
「撃破役つぶしたほうが効率いいDEATHゥ」

クラーケンによって船が破壊されることはなかったが、渦はますます強く激しくなり、周囲の黒雲は雷と激しい横殴りの雨で出迎えてくる。
「なんじゃありゃあ」

メルズの叫び声も無理はなかった。渦の中から波を蹴立てて戦船が接舷を試みてきたのだ。

「ゲエッ、フライング・ダッチマン号」
パイレーツ・オブ・カリビアンね」
「例の音楽をかけよう」

敵が渦を味方にしているのだろうか。船はぐんぐん銀髑髏号へ近づくと衝突してカラスを打ち込み、サフアグンやスケルトン、ウィル・オ・ウィスプで構成された斬込隊が乗り込んでくる

対するパーティは彼らをカラスの周辺で待ち構え、落とせる賊は海へ落として直接相対する数を減らしながら戦い、危なげなく勝利を収めた。

肉が腐れ骨は朽ち、もはや実体を失っていた敵の船長も倒すと、冒険者は素早く敵の船を物色し、カラスを切り離した。船長が消えたせいか、戦いの間は停滞していた渦が再び動き始めたのである。

舵も取れなくなり、船は木の葉のように揺れ、垂直に下へと引き込まれる。

銀髑髏号の面々が気づいた時、そこは一面白い靄がかかった空間だった。

遠くにはぼんやりと島のような影があり、それよりもはるか遠くからはどうどうと滝が落ちるような水音がする。
「何もしなくても、真ん中にある島へ全部流れ着くようになってる。今のうちに寝ておけ」

船長に言われてパーティは上陸前に英気を養い、小船に乗り込んで上陸できそうな砂浜へ近づいた。

だが、小船の底が海底に着いた衝撃が乗っていた四人へ伝わるかどうかの間に浜辺の砂が盛り上がり、中に伏せていた兵士の屍たちが起き上がる

黒く機能的なクロース・アーマーを纏った彼らは朽ち果てた鉄製のクラブめいたものを振り回しながら、口々にわけのわからぬことを叫んで殴りかかってくる。ScholarのThemeを持つエスペランザには「このアメリカ野郎」「MG42を」「上陸させるわけにはいかん」などと言っていることがわかるが、それでも意味がわからない。

「親衛隊?」
「そうDEATHゥ」
「次はプライベート・ライアンかよ」
「ところで浜の黒い部分は回復するhpが半分になるDEATHゥ」
「うん、死ね」

さらに戦闘の気配を感じたのか海中からアルコンが実体化してパーティを襲撃し、エスペランザと海の中で殴り合う泥仕合を展開するが、パーティはほぼすべてのパワーを使い切ってこの遭遇を切り抜けた。

ゾンビたちをつぶし終えたところで、浜から離れた丘の上からパーティを呼ぶ声がした。
「客人、彼らはすぐに蘇えるぞ。はよう離れい」

エスペランザそちらを見てみると、そこにいたのは皮が骨に張りついたどう見ても普通ではない姿をした術者風の老人だった。

伝説級最初の冒険はルーンを消すための素材探しですぅ。親衛隊のデータはGamma WorldシリーズのLegion of Goldに収録されているZombieなどのデータを使ったですぅ。

また、ブレット・カリスウェンは3.5eのキャンペーン(現在のキャンペーンから百年以上前)時代に活躍したPCの特別出演ですぅ。