ネコぶんこ


2013年06月18日 そして、どの程度の作業が必要になるかは、ゲームによって異なってくる。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『ドラゴンのプレイテスト(Playtesting Dragons)』

マイク・ミアルス

今週の『伝説と伝承』は、少し趣向を変えてみよう。内部プレイテストの一部として、私たちは正式なデザインを出す前にアイデアを大雑把に削りだしてテストすることがある。テーブルの上でそれらが明らかに機能していなければ私たちはそれを修正するか、あるいは現在進行している多くの作業から一度離しておくことができる。

私たちはここ数年で、単体のモンスターとの戦闘がどう動くか、そして本当に伝説的なモンスターを作成するには何が必要かを学んできた。ちょっとした実験のために、私は数週間前に下記のブラック・ドラゴンを使ったプレイテストを行なった。デザインの骨子はこうだ。

伝説には意味がある:私は前版の単独という照合がシステム上の仕掛けになっていったことに決して満足はしていなかった。単独や精鋭は第4版の初期段階では大型サイズ以上のクリーチャー――それらの存在が絶え間ない脅威をもたらす強大な敵――になるはずだった。スピアとショート・ソードで象と戦っているゴブリンの群れを想像してほしい。獣が少し体を動かすだけで、それは無造作にゴブリンを踏みつけて押しつぶすことができる。君は単独の危険さをそのクリーチャーのターン以外でも見せつけられることになっただろう。

その定義は時とともに揺らいでいった。まず、私は精鋭や単独がゲーム世界の中で何を意味するかをはっきりとさせておらず、そのせいで定義の一貫性を欠いていたと感じた。そのため、私たちは単独と精鋭を“伝説”として再構成し、真に強く、有名で、そしてD&D世界で重要なクリーチャーであると定義した。それらのモンスターはその性質が宇宙の構造と密接に関係しているのだ。彼らの血には魔力が通い、彼らの出現は大事件となる。たとえばドラゴン、タイタン、多くのフィーンド、そしてエルダー・エレメンタルなどが伝説のクリーチャーである。アーティファクトによってクリーチャーを伝説化することもできる。スピア・オヴ・グルームシュを手にしたオーク王は伝説の存在だ。

また、体が大きなクリーチャーは単純なシステムで彼らの能力を反映した脅威を持つことができる。それらの脅威をもたらすために伝説システムに手を出す必要はない。

伝説のクリーチャーは君たちのちっぽけな行動の損得を無視する:伝説のクリーチャーは他のクリーチャーとは格が違う強大な魔力や生まれながらの力によって動き、考える。ドラゴンの精神は単純に異質で、その動きとすさまじい反射神経を助けている。ワンド・オヴ・オルクスを携えた死霊術師は、異なる視座から時間と宇宙の秩序を眺める。彼女は万物の理論を理解し、より高次の存在になっている。

伝説のクリーチャーはそれらが自分のターンに使用できるボーナス・アクションを一通り持っている。これは第4版からより強調された部分だ。私たちは単独モンスターとキャラクターの間に強い相互作用をもたらすためにはそれらの戦闘をより激しく緊張感あるものにするのが効果的だと学習した。

伝説のクリーチャーは運命の産物だ:d20の気まぐれはキャラクターにとっての破滅を意味するかもしれないが、強く、有名なクリーチャーはより揺るぎないものでできている。それらの魔法的性質、強運、あるいは生まれ持った魔法への抵抗力により、伝説のクリーチャーは時にダイスを操作して結果を確定させることができる。君はこれを宿命や神々が、DMの手を使ってクリーチャーのために介入していると解釈することができる。

この特別なシステムはセーヴィング・スローの自動成功から攻撃ロールや判定の結果確定までにわたるが、それはまた限られた方法でもある。これらの見せ場は伝説のクリーチャーを演出するが、ゲームは完全な八百長にはならない。君は持久戦で努力するだけ以外の方法でも、いつかはそれを叩きのめすことができるのだ。

伝説のクリーチャーは彼らの周囲を変化させる:伝説のクリーチャーはその強い魔法的生態により、周辺の土地を変化させてしまう。ドラゴンのねぐらは魔法により恐るべき場所になる。その土地の周辺は変化して歪められている。伝説のクリーチャーの力は重力場のようなもので、周辺の空間に圧力を与えて性質を変えさせる。

伝説のクリーチャーのねぐらや屋敷はそうした存在の重要な部品でもある。自然世界に降臨したオルクスは恐るべき敵だが、彼のアビスの領地では止めることなど不可能に近い。彼らの拠点で伝説のクリーチャーと戦うのは、君たちがそうするしかないときだけだ。その土地は君たちの敵となり、世界そのものが伝説のクリーチャーの武器になるのだ。

ゲーム・システムの観点からいえば、このデザイン・コンセプトは単独モンスターの環境を先頭の鍵にしようというアイデアに結びついたものだ。ドラゴンを部屋の片隅に置いてキャラクターたちを別の場所に置くだけよりもさらに激しい戦いを作る。情景と仕掛けは戦闘をやり抜くうえで重要な役割を占める。

さて、伝説のクリーチャーはどんなものだろうか? ここには私たちがプレイテストしたブラック・ドラゴンがある。キャラクターたちがそれと交渉することを決めたことに備え、“ステータス・ブロック”には交流についても含めていることに注意していただきたい。私たちのプレイテストでキャラクターたちはドラゴンを倒せたが、あるキャラクターたちはダイスをロールする暇もなく2回全滅した。

ブラック・ドラゴンが作業中のものであることには注意してほしい。この原稿は職場で行なうゲームのために加えたものだ。これは最終稿ではない。

ダウンロード(685キロバイトのPDF)

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。

今日はちょっと手が回らなかったので、ブラック・ドラゴンのデータ翻訳できなかったですぅ。