ネコぶんこ


2014年03月24日 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『気が済むまでの買い物を(Shop Till You Drop)』

マイク・ミアルス

今週はかなり簡単に扱えるようになったキャラクター作成が、プレイヤー――特に新規プレイヤー――がD&Dを始めるにあたって及ぼす影響についてを見ていこう。

これまでの版では、君はキャラクター作成の一環として装備を購入していた。君はダイスをロールするか一定の金額を得て、鎧、武器、冒険道具、あるいはその他の物品を購入してきた。装備の購入は楽しいが、時間もかかる。いくつかの版ではこの手間を省くために開始パッケージを提供していたが、それらのパッケージはしばしば君のオプションを制限し、キャラクターの雰囲気がどれも同じだと感じさせていた。

D&D Nextのデザインの一環として、私たちはキャラクター作成過程のあらゆる部分を長い間観察してきた。私は以前にも、1レベルでキャラクターを作成するときに速く簡単にするためどれくらいの選択肢を変更したか話をしたはずだ。多くのクラスにおいて、もっとも大きな選択は2あるいは3レベルまで出てこず、キャラクターをどの道に乗せるか、君は少しの間検討することが機会を与えられている。

これらの変化にもかかわらず、装備の購入はキャラクター作成の工程でもっとも時間のかかる部分のひとつとして大きな部分を占めていた。より困ったことに、新規プレイヤーがしばしば抱える多くの問題がここにあると判明している。鎧と武器は通常すぐに決まるが、残りの装備リストは役に立つかもしれないアイテムだらけなので、新規プレイヤーは簡単に道に迷ってしまう。

これらを合理化するために、開始時の予算と装備の購入についてのオプション・ルールを作成した。基本の方法では新規キャラクターはふたつの方法で装備を得られる。

ひとつめに、君は背景が提供する職能と関係した基本装備、いくつかの興味深い小物、そして初期資金を得られる。君は一般的に充分な1週間分の生活費にあたる金銭を持っている。

ふたつめに、君はクラスにより武器、鎧を受け取り、そして冒険に役立つ装備が入った“キャラクター・パック”を自分で選ぶことができる。パックには地下や荒野探検家、外交官や芸人、泥棒、司祭、そして学者などの選択肢がある異なるスキル群用にデザインされているものがある。

初期装備が武器と鎧のせいで、君のキャラクターがクラスで選べるものをひとつだけに制限したりしない。むしろ、君はオプションの短いリストから鎧と盾、そして単純あるいは軍用武器の組み合わせを選べる。

さらにかつての版でもおなじみだった冒険道具や怪しい小物のために、私たちは巨大なランダム表を作成した。プレイヤーは彼らのキャラクターが謎の言語で書かれた日記、灯りのつかないろうそくなど、どんな不思議なアイテムを拾ったのか、それぞれロールしてから表を見るようになっている。この小物は雰囲気があるものの、扱いとしては通常のアイテムとして君の装備リストに加わる。あるいは、君と君のDMはロールプレイの機会を作り、小物により大きな重要性を与える決断をしてもいい。

これらの全体に渡る変化はD&D Nextをデザインするうえでの根本哲学が変化したことを意味する。私たちはできる限り速さと楽さにこだわったキャラクター作成の方法が最速で、もっとも楽なものであることを確認したい。君はそうしたいなら装備を買うこともできる。だが、何回かダイスをロールしてD&Dのゲーム内からいくつかを選ぶことで、君は鉛筆と紙、そして数分だけでキャラクターを作成することもできる。

この10年でゲームは大きく変化した。準備に長い時間をかけるものはもはや主流ではなく、ゲーマはできるだけ速く実際にプレイしたがっている。この傾向はデジタルなものの中だけで不適切な例示だとするのは楽だが、流れは卓上でのプレイにも及んでいる。私たちは『ウォーターディープの支配者たち』や『キャッスル・レイヴンロフト』などのボードゲームをデザインする過程で、ゲームの準備が楽ですぐに始められるなら、みんながプレイする機会は増すと学習した。

これまでのD&Dはセッションのキャラクター作成部分にいつも長く、複雑なオプションがあった。しかし、長年にわたってゲームは本当に速いキャラクター作成を行なえるようにしていなかった。この変化はゲームをよりとっつきやすく、プレイを楽に、より速くする大きな哲学の一部である。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。