ネコぶんこ


2014年06月16日 [長年日記]

§ [DnD][5e][LnL] 『ゲームに命を与える(Bringing a Game to Life)』

マイク・ミアルス

信じられないことだが、Player's Handbookの作業が終わった。私たちは一週間ほど前、印刷所にそれを送り出した。今の私たちはそれよりはるかに多いものが夏の終わりから秋にかけて存在することを忘れがちだが、『ベーシックD&D』Monster Manual、そしてDungeon Master's Guideの仕上げに目を向けている。悲しいかな、私が行なおうとしていたStarter Setのアドベンチャーについてのリチャード・ベイカーへの質問は、Player's Handbookの追い込みで犠牲になった。それは来週にしよう。今回、私は『暴虐の悪竜(Tyranny of Dragons)』の物語がどんなもので、ダンジョンズ&ドラゴンズ全体にどんな意味を持っているのかについて少し書いていきたい。

第5版のルールが新たなD&Dの枠組みだとすれば、『暴虐の悪竜』という物語は実体ある中身だ。私たちは君の心の奥底に衝撃を響かせ、有無を言わさず引き込む冒険物語を引き出すのに数え切れないほどの時間を費やしてきた。その仕事のすべては物語の正典としてまとめられた。クリス・パーキンスが指揮するライターとアーティストのチームは『暴虐の悪竜』の全体的な物語を作り、その物語の中に存在する悪役と英雄に新たな姿を与えた。この物語の正典は素敵な本、ミニチュア、そしてゲームへと姿を変えるために、私たちと提携した制作者に素材として提供された。

まずはじめに、私たちはウォルフガング・バウアーとKobold Pressに第5版に役立つ二部作の会話型RPGのアドベンチャーを打診した。Kobold Pressはこのプロジェクトについて、執筆と編集からイラストの発注と最終的な本のレイアウトまで、すべてを行なった。アドベンチャーを独立したチームが担当することで、私たちは『暴虐の悪竜』の全体像と第5版の残ったルール開発に集中することができた。ウォルフガングと彼のチームは3冊のコア・ルールブックの文章を書くことも求められず、余計な重荷なしに作業をすることができた。こうしたことでKobold Pressは私たちならばコア・ルールブックの作業を終わらせるまでできないアドベンチャーを提供できたが、これは単純に私たちがルールの仕上げを総がかりでできるということでもある。私たちはKobold Pressとの仕事に満足し、君は将来このR&DチームとRPGスタジオの共同作業を目にすることになるだろう。

私たちとKobold Pressの関係はMMO RPG『Neverwinter』を作成しているCryptic Studiosとの関係に似ている。Crypticのライターとデザイナは彼らのゲームに新たなコンテンツを追加するために『暴虐の悪竜』の物語の正典を使っており、Kobold Pressも同様にしている。会話型RPGに現われるものと同じあらすじ、アーティファクト、そして敵はまた、この夏に『Neverwinter』のモジュールでもお目見えする。いくつかのホワイトボードのメモや初期のスケッチは3Dのゲーム・エンジンによって命を与えられたそれは、とても素敵な見た目や物語になっている。

3Dといえば、WizKidsとGale Force Nineからどちらも同じ物語の正典から削り出したD&Dミニチュアが発売される。ミニチュアの多くはMonster Manualのイラストを元にして作られたが、私たちは『暴虐の悪竜』の重要なもんスターや敵のいくつかがWizKidsとGale Force Nineの製品に含まれていると慎重に確認した。物語の正典を作成してよかったことのひとつは、それが私たちがパートナと歩調を合わせることができるようになったことだ。私たちはKobold Pressのアドベンチャーが完成するのを待たずに、WizKidsとGale Force Nineがカルト・オヴ・ザ・ドラゴンの重要人物をミニチュアにできるのである。どちらのチームも同じように創造性を引き出し、確実に最初からすべてが調整されている。

私たちの物語へ取り組む新たな方法でもっとも刺激的な部分は、まだこれからだ。私たちは既に次の物語の正典を完成させ、そしてパートナもそれらの物語に生命を与えるために努力している。年末までに、私たちはふたつめまでの物語の正典を完成させみっつめの開発に取りかかる。私たちが『暴虐の悪竜』で取った方法――TRPGでひとつのキャンペーン形式アドベンチャーを作成し、デジタル・ゲーム、アクセサリでサポートする――はD&Dのこれからにとって重要なものになる予定だ。私たちが多角化で新規参入者を射程に入れながら君にD&Dの新たなプレイ方法を提供し、それらの物語はすべてが一本の糸で結ばれているのだ。

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マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はD&D第5版のデザインを主導している。彼が他に名前を出している仕事はキャッスル・レイヴンロフトボードゲーム、第4版モンスター・マニュアル3、そして第3版プレイヤーズ・ハンドブック2だ。