ネコぶんこ


2012年04月23日 「ウルティマ・オンライン」の二年後に登場した「エバークエスト」は、大手企業がスポンサーについたMMOの草分けである。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『クレリックのデザインが目指すところ(Cleric Design Goals)』

伝説と伝承

マイク・ミアルス

私は数週間をかけて、君たちとD&Dの次世代ルールがデザインの目標とするものの概要を俯瞰した。今週から私は、君たちに私たちがゲームの個別の要素にどんな目標を設定しているのかを開示していきたい。今週私たちが見ていくのはクレリックだ。

クレリックはオリジナルD&Dにあった3つのキャラクター・クラスの1つだった。不思議なことに、ほとんどのファンタジーRPGで回復役であることが一般的だが、多くのゲームでこのようなキャラクターは武装しない呪文使いになっている。信仰呪文使いが鎧を着て武器を持てるという点でD&Dはかなりの独自性を持っている。

キャラクター・クラスの大枠を検討する時、私たちはいくつかの基本事項を原則としておいている:

  • クラスはD&Dをプレイしたことがある人なら誰でもそれとわかるものでなければならない。君がどの版をプレイしていたとしても、君はそのクラスの能力を再現したものを発見できるはずだ。
  • クラスにはそれを独自のものにする要素が無ければならない。あるクラスをプレイすることは別のものをプレイする時とは違った感じを与えなければならない。
  • クラスはその元ネタとなるキャラクター、物語、伝説、そして現代のファンタジーが形成する神話と何らかの手段で関連しているものでなければならない。これまでD&Dをプレイしていなかった層はそのクラスがファンタジーというジャンルの中でどんな位置づけなのかを理解する必要があるからだ。

私はこれらの3点が誰からもとっぴであったり奇妙であると思われるかもしれないと考えている。これらの3点がお互いに直接干渉しあうことは珍しいが、これらは重要度順に並べられている。そして、これら3点の大枠における点を心に置き、私たちはクレリックというクラスの回復役と補助役としてのキャラクターの役割、そしてそれをD&D独自のものとするために混ぜられる若干の要素がどこに向かうのかというデザインの目標を見ていくことができる。

1.クレリックは回復役である

クレリックが回復を行なえ、彼らの能力がそれを反映しなければならないことは私たちがきちんと認識しておいたほうが良く、明瞭であるべきところだ。クレリックを作成しようとするD&Dの新しいプレイヤーが他のキャラクターを生き残らせることに集中でき、メカニクスが理解と実行を簡単なものにするためにも。

2.クレリックは信仰呪文使いである

クレリックはわれらが信仰呪文使いで、神の力を使いこなす象徴的ものである。他の信仰魔法使いがD&Dの世界には存在するかもしれないが、クレリックは彼らの中でももっとも一般的な呪文使いである。クレリックの呪文は彼や彼女の能力でもっとも尖った部分となる。

3.信仰呪文はとらえがたく間接的である

信仰呪文はその力を直接顕わしてクレリックの敵に一撃や爆発を加えることはめったに無い。その代わり、クレリックの魔法は強化し、補助し、そしてクレリックと彼や彼女の味方を頑強にする。たとえばブレスキュア・ライト・ウーンズ、そしてニュートライズ・ポイズンの呪文は象徴的な信仰呪文である。それらはクレリックの味方を助け、反面でクレリックの敵を追い詰めるのに役立つ。クレリックはパーティのファイターを癒やすことでファイターを致死ダメージを与えるまで生き残らせ、オウガの狂戦士を追い詰めることに貢献できる。

4.クレリックは武装した戦士である

ファイターほど卓越した技量は無く、彼や彼女の信仰に関連した鎧と武器を持つのが一般的だが、クレリックは戦士である。クレリックは彼らの神の敵を破るため、彼らの信仰を広めるため、そして異端や信仰の敵を根絶するために戦う。クレリックは彼らの魔法で彼らの味方を助けて強化し、彼らはその武器で彼らの敵を倒す。彼らが敵の攻撃に耐えるため鎧を着て盾を持つことで、クレリックは自分自身を生かすためではなく彼らの防御の魔法を彼らの仲間のために使えるのだ。

5.クレリックは神の分身である

影の神のクレリックならば嵐の神のクレリックと異なる能力を持ってなければおかしい。冒険において、彼らは神によって与えられた信仰の恩寵を使い、別の方法をとらなければならない。影の神のクレリックは――重装鎧を着ていたとしても――隠れ身に優れ、嵐の神のクレリックは雷鳴と電撃を呼べなければならないというのが、私たちが思っていることだ。

これらの目標はクラスの典型的な表現に繋がる原理であることを心に留めておいて欲しい。いじることができる多くの部分を調整できるようメカニクスと共にプレイヤーに開放するか、彼らのキャラクターの物語をまず作成し、物語の次にそれに合うメカニクスを見つけるかというもののうち、私たちが採用した考えの1つに作成の出発点を作るというものがある。私はPAX Eastのセミナーで「迷わない」と私たちの目標を吼えた。この方法の基礎となっている考えは私たちが出発点を用意し、しかし彼らのキャラクターをしっくりくるようにいじりたいプレイヤーにはオプションと道具を与えるというものだ。

たとえば、プレイテストで私は弓巧者で森に住む偵察兵で、アポロンを信仰するエルフのクレリックを作成した。私のキャラクターはレザー・アーマーを着て、ボウとダガーを持ち、セッション中はモンスターの様子をこっそりと偵察し、木に登ってオウガの間合いから離れ、物影に潜んでパーティの仲間がおびき寄せたモンスターの集団を不意討ちした。君はメイス、回復呪文、そしてプレート・アーマーのクレリックを簡単に作成できるが、君のキャラクターをカスタマイズ・オプションでを削り出すこともできる。私はこのキャラクターを作成したことを心に留め、私たちはゲームに神独自のメカニクスを作成するより先に、これくらいのカスタマイズが他のキャラクターすべてで行なえるようにする。私は私のキャラクターの神の領域やスフィアを決めることでしか、それらと関わらなかった。

同様の理由で、私たちはプレイヤーが彼らの好きな戦術と合うオプションを選べるようにすることも狙っている。君が攻撃をしながら回復呪文で君の味方を助け、さらに君はすべてのターン異なる呪文を使うこともできることを想像してほしい。プレイヤーとして、モンスターと戦う事と君の味方の支援の間で、君はどれくらい回復役の仕事に集中するか選択し、たとえばブレスランス・オヴ・フェイスの呪文からどちらにするか選ぶことで、君のキャラクターの戦士としての面を強調できる。

結局今日の結論は、私たちのデザインの目標は第一目標がキャラクター・クラスはその元ネタを再現するためにあることを意味している。それらは私たちがプレイヤーが彼らだけの物語を語り、彼らだけの特別なキャラクターを作成するという場所から離れ、再生しようと狙いを定めている出発点だ。

マイク・ミアルズ

マイク・ミアルズはD&Dリサーチ・アンド・デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。