ネコぶんこ


2020年09月02日 [長年日記] 編集

§ [DnD][Ludus] Adventures in the Forgotten Realms発表によせて

マジック:ザ・ギャザリング(M:tG)の新セット発表イベントZendikar Rising and 2020 Announcement Dayで発表された、されてしまったダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)をテーマにした2021年3Q(第3四半期。7~9月にあたる)の新製品、『Adventures in the Forgotten Realms』にびっくりして、どっちもかじった覚えのある者としてはちょっとは何か書くべえと筆を執るですぅ。

まず、『Adventures in the Forgotten Realms』はM:tGのカードセットで、もっとも一般的なプレイ形態のスタンダードでそのまま使えるものですぅ。つまり、何らかの企画モノや記念セットではなく、普通に遊べる製品のひとつとして、D&Dの世界フォーゴトン・レルムがM:tGに紹介されることになりましたぁ。

そもそもD&DとM:tGの婚姻は、M:tGで大当たりして飛ぶ鳥を落とす勢いだったウィザーズ・オブ・ザ・コースト(WotC)がD&Dの会社であるTSRを買収した1997年以降、一部のファンが注目してきたトピックですぅ。WotCからはお互いのブランドが分かちがたく結びついたらユーザの必要な情報が増えてしまうとか、コケるとき共倒れになってしまうなど、慎重なコメントばかり出ていたものの、近年はM:tGの舞台になった次元をD&DでプレイするためのPlane Shiftシリーズや、『Guildmasters' Guide to Ravnica』、『Mythic Odysseys of Theros』など、M:tGの世界をD&Dでプレイする流れが来ていた(D&D出身のジェームス・ワイアットという人がM:tGに行って暗躍していたというハナシ)ので、方針が転換してきた気配はあったですぅ。それでも、D&Dの世界をM:tGでプレイするのは、うわー来たかーとなってしまう程度には(TCGとRPGのホビーとしての規模差とかで)驚く発表でしたぁ。

しかし本来ならここで2021年7月24日公開予定だった映画も入れて、TCG、RPGの両面で包囲してフォーゴトン・レルムという世界をバンバン売る予定だったんだろうけど、世界情勢の都合で映画は一年延期になってしまったですぅ。

というわけで、以下はM:tGをよく知らない人向けのM:tGの説明と、D&Dをよく知らない人向けのD&Dの説明ですぅ。

→M:tG

M:tGはパックを買ったらランダムで入っているカードを集め、その効果を活用する自分のカード束(デッキ)を作って遊ぶトレーディングカードゲーム(TCG)ですぅ。最近はパソコンソフトのMTGアリーナでも基本無料でプレイできるようになったので、そちらの人口も増えてますぅ。

プレイ時間はだいたい1ゲーム数十分(長くても30分を越えることはめったにない)で、公認大会だとこれを2本先取で1マッチとするものが多いですぅ。

M:tGの舞台になっているのは、ホラー、エジプト神話風、ギリシア神話風、おとぎ話の世界、北欧風、魔法学園など……さまざまなテーマを元に組み立てられた次元が無数にある多元宇宙で、プレイヤはその世界を行き来する超越存在のプレインズウォーカーになり、見聞きした事象を魔法にして決闘(デュエル)を行なうというものですぅ。

この多元宇宙をD&Dでプレイする場合、PCは基本的にプレインズウォーカーではなく次元の原住存在で、カードに描かれている怪物と戦ったりするのがメインになるですぅ。

ゲームのプレイを始めるには、一番手軽なものでMTGアリーナのインストール、現物をプレイしたいなら公認取扱店でちょっと相談するのをおすすめするですぅ。

TCGはお金がかかりそうだし……という人には、お互いが特定のデッキを持ってプレイすることを前提にデザインされたデュエルデッキなど、トレーディング要素が弱めにデザインされたものもありますぅ。

→D&D

D&Dは数人のプレイヤが友人の家や公民館、オンラインのチャットルームなどに集まり、それぞれがプレイヤー・キャラクター(PC)を担当して会話とサイコロによる判定で進めるTRPGの走りで、少なくとも北米では一番ゆうめいなタイトルですぅ。

プレイ時間はだいたい1セッション2~5時間で、進行役のダンジョン・マスター(DM)が「古代の遺跡で財宝を探す」、「悪い魔法使いを倒す」などの大まかな筋書きと冒険する場所や敵の概要を書いたアドベンチャーを準備し、他のプレイヤはそれをPCの能力や創意工夫で攻略する……という感じですぅ。

ぅぇープレイ時間が長いようという方も、世の中には短めのアドベンチャーを公開している方もおられるので、お茶でもすすりながらプレイしていただけると幸いですぅ。

そしてD&Dで主な舞台になっているのが、『Adventures in the Forgotten Realms』の舞台でもある魔法溢れる異世界フォーゴトン・レルムですぅ。これはいわゆる典型的な剣と魔法の中近世っぽいファンタジィ世界で、人間は街や主要な街道沿いのわずかな地域を支配下に置くがその外には危険な土地が広がり、森にはエルフ、山にはドワーフが住み、辺境には古代の遺跡が眠る……といういかにもなものですぅ。ここでPCは冒険者になって危険なドラゴンやジャイアントと戦ったり、デーモンやデヴィルといった異世界からの来訪者の陰謀をくじくために東奔西走することになりますぅ。

ゲームのプレイを始めるには、かなりのボリュームがあるアドベンチャーが同梱された『スターター・セット』やルールブックを買う他にも、公式サイトで配布されているベーシック・ルールで最低限必要なルールやデータは一式揃うので、そこで公開されているアドベンチャーを遊ぶこともできるので、暇つぶしがてらに一度チャレンジしていただきたいですぅ。

そこから先に進みたい人には、手前味噌ながらダンジョンズ&ドラゴンズ第5版購入ガイドなどをご一読していただければ幸いですぅ。

D&D×M:tG

先ほどちらっと紹介したD&DでM:tGの多元宇宙をプレイするためのプレイ資料は英語だけど、つくもさんという人が可能な範囲で和訳を公開しているですぅ。お互いの公式がM:tGはWotC直轄、D&Dは翻訳版権管理を外部委託(現状ではM:tG版権は動かせないっぽい)という事業形態の違いからか今のところ日本語版は無理そうだけど、有志は色々やっているですぅ。

また、サークルうなぎむらの同人誌、『5e Zine vol.01』にも紹介記事があるので、そちらも併せてチェックしていただいたりするととてもアレですぅ。

というわけで色々すっぽ抜かして軽い紹介をしたですぅ。現在作業中の『5e Zine vol.02』でも、この辺のことを書けたら書くですぅ(何も言ってないのと同じ)。


2020年09月05日 [長年日記] 編集

§ [DnD][5e] アドベンチャー:崖滑りの一党(2~4レベル)

今週は5e用の、低レベルでドラゴン退治をする小さな冒険ですぅ。

データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。

冒険の概要

この冒険は2~4レベル程度のキャラクター向けの短時間で終わるアドベンチャーである。

辺境の雪山では、崖滑りの一党を名乗るコボルドたちが危険な悪戯を繰り返している。キャラクターたちは旅の途中に彼らの縄張りに入って罠に巻き込まれたり、ふもとの村人に退治を依頼されて彼らと対峙することになる。

冒険への導入

キャラクターたちはそれぞれの事情で雪山へと分け入る。

この雪山には別の次元界への結節点で、その影響もあってとても寒い。防寒具を着用していたり、[冷気]ダメージへの抵抗、あるいは完全耐性を持っているクリーチャー以外は、1時間ごとに難易度10の【耐久力】セーヴィング・スローを行ない、失敗したなら1段階の消耗状態を受ける。

1.雪崩

キャラクターたちが難易度15の【判断力】〈知覚〉判定に成功することで、今にも崩れそうな雪の塊に気づくことができる。そのまま進んだ場合、雪崩が起き、その場にいるキャラクターは6(1d10)[殴打]ダメージおよび6(1d10)[冷気]ダメージを受ける。雪が流れてきた場所は移動困難な地形になる。これは崖滑りの一党が旅人を襲い、略奪をするために仕掛けた罠である。

寒さを避けられそうな洞窟や、事前に情報を得ているならコボルドのねぐらを探す場合、1時間をかけた難易度15の【判断力】〈生存〉判定が必要である。成功すれば、「2.洞窟」へ進む。

2.洞窟

雪山を探索して洞窟を見つけ出すと、そこはコボルドの集団、崖滑りの一党がねぐらにする洞窟である。彼らは突然の侵入者に動揺しながらも、果敢に立ち向かってくる。

戦いに参加するのは6体のコボルドと、彼らの長でサニヤードと名乗る1体のハーフホワイト・ドラゴンのコボルドである。サニヤードは半数の部下が倒されると、弟であるホワイト・ドラゴン・ワームリングのリョームのもとへ走って行く。

コボルド

小型・人型生物(コボルド)、秩序にして悪


AC:12(外皮)

hp:5(2d6-2)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
7(-2) 15(+2) 9(-1) 8(-1) 7(-2) 8(-1)

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉8

言語:共通語、竜語

脅威度:1/8(25XP)


陽光過敏:コボルドは陽光の中では攻撃ロール、そして視覚を利用した【判断力】〈知覚〉判定に不利を受ける。

群狼戦術:少なくとも1体のコボルドの味方がクリーチャーから5フィート以内にいて、その味方が無力状態でない限り、コボルドはそのクリーチャーに対する攻撃ロールに有利を得る。

アクション

ダガー:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:4(1d4+2)[刺突]ダメージ。

スリング:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程30/120フィート、目標1体。ヒット:4(1d4+2)[殴打]ダメージ。

ハーフホワイト・ドラゴンのコボルド

小型・人型生物(コボルド)、秩序にして悪


AC:12(外皮)

hp:5(2d6-2)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
7(-2) 15(+2) 9(-1) 8(-1) 7(-2) 8(-1)

ダメージ抵抗:[冷気]

感覚:疑似視覚10フィート、暗視60フィート、受動〈知覚〉8

言語:共通語、竜語

脅威度:1(200XP)


陽光過敏:コボルドは陽光の中では攻撃ロール、そして視覚を利用した【判断力】〈知覚〉判定に不利を受ける。

群狼戦術:少なくとも1体のコボルドの味方がクリーチャーから5フィート以内にいて、その味方が無力状態でない限り、コボルドはそのクリーチャーに対する攻撃ロールに有利を得る。

アクション

ダガー:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:4(1d4+2)[刺突]ダメージ。

スリング:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程30/120フィート、目標1体。ヒット:4(1d4+2)[殴打]ダメージ。

冷気のブレス(再チャージ5~6):コボルドは15フィートの円錐形に冷たい雹を噴射する。範囲内のクリーチャーはそれぞれ難易度9の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわねばならず、失敗したら22(5d8)[冷気]ダメージを受け、成功した場合は半分のダメージを受ける。

3.リョームの広間

洞窟の奥にはサニヤードの弟、リョームが分捕り品の上に寝そべっている。この白い竜は兄とその仲間を倒したキャラクターたちが寝床へ侵入したことに感づくと、一声鳴いて戦闘態勢に入る。

この部屋の中央部はカチカチに凍っており、ターン中初めてそこに踏み込むと難易度10の【敏捷力】〈軽業〉判定を行なわねばならず、失敗したら伏せ状態になる。

ホワイト・ドラゴン・ワームリング

中型・ドラゴン、混沌にして悪


AC:16(外皮)

hp:32(5d8+10)

移動速度:30フィート、穴掘り15フィート、水泳30フィート、飛行60フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
14(+2) 10(+0) 14(+2) 5(-3) 10(+0) 11(+0)

セーヴィング・スロー:【敏】+2、【耐】+4、【判】+2、【魅】+2

技能:〈隠れ身〉+2、〈知覚〉+4

ダメージ完全耐性:[冷気]

感覚:疑似視覚10フィート、暗視60フィート、受動〈知覚〉14

言語:竜語

脅威度:2(450XP)


アクション

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(1d10+2)[刺突]ダメージおよび2(1d4)[冷気]ダメージ。

冷気のブレス(再チャージ5~6):ドラゴンは15フィートの円錐形に冷たい雹を噴射する。範囲内のクリーチャーはそれぞれ難易度12の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわねばならず、失敗したら22(5d8)[冷気]ダメージを受け、成功した場合は半分のダメージを受ける。

結末

リョームが寝そべっていた床には、氷の中に2000cp、800sp、100gp、50gpの宝石10個が埋まっている。サニヤードやリョームが生きているなら、彼らはこれを差し出して命乞いをする。

また、サニヤードやリョームを倒し、キャラクターたちが彼らより強いことを示せば、崖滑りの一党は強さを認め、彼らを新たな長として迎えようとする。

この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。


2020年09月12日 [長年日記] 編集

§ [DnD][5e] アドベンチャー:廃城の竜(4~6レベル)

今週も5e用のドラゴン退治をする小さな冒険ですぅ。

データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。

冒険の概要

この冒険は4~6レベル程度のキャラクター向けの短時間で終わるアドベンチャーである。

近頃族長が代替わりしたリザードフォークの欠け牙一族は、突然攻撃的になり周囲の集落や街道を襲うようになった。この裏には新しい族長のコスキャペク、そして彼と結託したヤング・ブラック・ドラゴンのヴィスコスがいる。このふたりは前の族長を闇討ちし、一族を乗っ取ったのである。彼らを倒し、欠け牙一族と周囲との戦いを終わらせれば冒険は成功となる。

冒険への導入

キャラクターたちは街道でリザードフォークに襲われる、周辺の村でドラゴンにさらわれた娘を取り返すように依頼されるなど、さまざまな理由で欠け牙一族が住む沼地の廃城、ン・シュラリアへ向かうことになる。

1.廃城への道

ン・シュラリアへ向かう道のりで、冒険者たちはリザードフォークの一隊(8人)と出逢う。

彼らは前の族長がコスキャペクに闇討ちされたことを知り、廃城の一族を抜けた者たちである。彼らは冒険者たちに敵意はない。

冒険者の中で竜語で会話できる者がおり、廃城の一族と戦う意志を示すなら、彼らはコスキャペクがまじないを使うこと、黒い竜を味方につけていることなど、知っている情報を教えてくれる。

リザードフォーク

中型・人型生物(リザードフォーク)、真なる中立


AC:15(外皮、シールド)

hp:22(4d8+4)

移動速度:30フィート、水泳30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
15(+2) 10(+0) 13(+1) 7(-2) 12(+1) 7(-2)

技能:〈隠密〉+4、〈生存〉+5、〈知覚〉+4

感覚:受動〈知覚〉13

言語:竜語

脅威度:1/2(100XP)


水陸両用:リザードフォークは15分まで息を止めることができる。

アクション

複数回攻撃:リザードフォークはそれぞれ異なる武器で、2回の近接攻撃を行なう。

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。

ヘヴィ・クラブ:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[殴打]ダメージ。

ジャヴェリン:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィートまたは射程30/120フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。

スパイクト・シールド:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[殴打]ダメージ。

2.城門

水位が上がり庭や一階の大部分が水没した廃城、ン・シュラリアが、欠け牙一族の住処である。城門ではコスキャペクがまじないで蘇らせた6体のゾンビが警備にあたっており、通常のリザードフォークが住んでいる場所とは異なる異様な雰囲気を感じる。

ゾンビ

中型・アンデッド、中立にして悪


AC:8

hp:22(3d8+9)

移動速度:20フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
13(+1) 6(-2) 16(+3) 3(-4) 6(-2) 5(-3)

セーヴィング・スロー:【判】+0

ダメージ完全耐性:[毒]

状態完全耐性:毒状態

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉8

言語:生前の言語を理解できるが話せない

脅威度:1/4(50XP)


アンデッドのしぶとさ:ゾンビは0ヒット・ポイント以下になるダメージを受けても、ダメージが[光輝]あるいはクリティカル・ヒットによるものでなければ、難易度5+受けたダメージの【耐久力】セーヴィング・スローを行なう。成功すればゾンビはその代わりに1ヒット・ポイントになる。

アクション

叩きつけ:近接武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[殴打]ダメージ。

3.中庭

中庭には城内にあるいくつかの建物からの出入口があり、昼間ならそこに暮らしているリザードフォークたちが何人か常に出入りしている。彼らに見つからないよう先へ進むには、難易度13の【敏捷力】〈隠密〉判定が必要になる。もし見つかったら、6名の戦闘要員が冒険者の前に立ちふさがる。

中庭から繋がっている主な建物は、天守と武器庫、台所、いくつかの倉庫である。このうち武器庫と台所、倉庫はリザードフォークたちが家として使っており、コスキャペクとヴィスコスは天守に住んでいる。

3.がらんどうの天守

天守は二階建てだが、二階の床、すなわち一階の天井が抜けて大きな空間になっている。床も入口の周辺以外は水没しており、コスキャペクはその上にやぐらをしつらえて座っている。

彼は冒険者たちを見るとその愚かさを呪いながら戦いを受けて立つ。一方、ヴィスコスは床が水没した部分に潜んでおり、難易度17の【判断力】〈知覚〉判定に成功しなければ冒険者たちは不意討ちを受ける。

コスキャペク

中型・人型生物(リザードフォーク)、真なる中立


AC:13(外皮)

hp:32(5d8+10)

移動速度:30フィート、水泳30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
10(+0) 10(+0) 14(+2) 13(+1) 17(+3) 13(+1)

技能:〈医術〉+7、〈宗教〉+4、〈知覚〉+3

感覚:受動〈知覚〉13

言語:共通語、竜語

脅威度:2(450XP)


篤信:コスキャペクはボーナス・アクションとして、呪文スロットを消費することで、近接武器攻撃がヒットした時に目標へ追加で魔法による10(3d6)[酸]ダメージを与えることができる。この利益はターン終了時まで持続する。コスキャペクが2レベル以上の呪文スロットを消費した場合、追加のダメージは1レベルより上の各レベルにつき1d6増加する。

水陸両用:リザードフォークは15分まで息を止めることができる。

呪文発動:コスキャペクは5レベルの術者である。この呪文発動能力値は【判断力】である(呪文セーヴ難易度13、呪文攻撃+5)。コスキャペクは以下のクレリック呪文を準備している。

初級呪文(無限回):セイクリッド・フレイムソーマタージーライト

1レベル(4スロット):ガイディング・ボルトキュア・ウーンズサンクチュアリ

2レベル(3スロット):スピリチュアル・ウェポンレッサー・レストレーション

3レベル(2スロット):スピリット・ガーディアンズディスペル・マジック

アクション

メイス:近接武器攻撃:攻撃+2、間合い5フィート、目標1体。ヒット:3(1d6)[殴打]ダメージ。

ヤング・ブラック・ドラゴン

大型・ドラゴン、混沌にして悪


AC:18(外皮)

hp:127(15d10+45)

移動速度:40フィート、水泳40フィート、飛行80フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
19(+4) 14(+2) 17(+3) 12(+1) 11(+0) 15(+2)

セーヴィング・スロー:【敏】+5、【耐】+6、【判】+3、【魅】+5

技能:〈隠れ身〉+5、〈知覚〉+6

ダメージ完全耐性:[酸]

感覚:疑似視覚30フィート、暗視120フィート、受動〈知覚〉16

言語:共通語、竜語

脅威度:7(2900XP)


水陸両用:ドラゴンは空気中と水中で呼吸できる。

アクション

複数回攻撃:ドラゴンは1回の噛みつきおよび2回の爪で、3回の攻撃を行なう。

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い10フィート、目標1体。ヒット:15(2d10+4)[刺突]ダメージおよび4(1d8)酸]ダメージ。

爪:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い5フィート、目標1体。ヒット:11(2d6+4)[斬撃]ダメージ。

酸のブレス(再チャージ5~6):ドラゴンは幅5フィートの長さ30フィートの直線上に酸を噴射する。範囲内のクリーチャーはそれぞれ難易度14の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわねばならず、失敗したら49(11d8)[酸]ダメージを受け、成功した場合は半分のダメージを受ける。

結末

天守の水没している部分には1000cp、5000sp、1800gp、90pp、100gpの宝石9個が沈んでいる。

コスキャペクとヴィスコスが倒されればリザードフォークたちは冒険者に降伏し、周辺とはまた元の中立状態に戻ることを誓う。

この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。


2020年09月15日 [長年日記] 編集

§ [Ludus] うなぎむら作品価格改定

以前書いていた通り、うなぎむらの作品を以下の通り価格改定しましたぁ。DLSiteの方は審査にもう少し時間がかかりそうですぅ。

BOOTH

Gears & Gigantes
1200円→1500円

DLSite

雑則写本
220円→330円
道の書
550円→770円

2020年09月19日 [長年日記] 編集

§ [DnD][5e] アドベンチャー:妖精境よりの軍(12~14レベル)

今週も5e用のドラゴン退治をする小さな冒険ですぅ。

データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。

冒険の概要

この冒険は12~14レベル程度のキャラクター向けの短時間で終わるアドベンチャーである。

数十年に一度、幽明の境が揺らいで妖精境との“合”が起こる月光の森。しかし、今回現われた妖精の城はただ静かに森の中に佇むだけではなく、中からエルフの軍勢が現われ、周囲の町や村を脅かし始めた。

この進軍の原因は、アダルト・グリーン・ドラゴンのタイラクサである。彼女はゴールド・ドラゴンを装って妖精境を治めるエルフの王、アルラメリスを籠絡し、不遜な外界の民を平らげ、その栄光を竜に捧げるように仕向けている。

キャラクターたちがこの侵略と戦い、黒幕のタイラクサを倒せば冒険は成功となる。

冒険への導入

キャラクターたちが旅先で休んでいると、月光の森に現われた妖精境の王が軍を率いて外界を攻め始めたことを知らせる急使がその町にやって来る。腕利きの冒険者であるキャラクターたちは、戦いへの協力を頼まれる。これには1000gpの恩賞が約束される。

1.防衛戦

急使がによる報せからほどなく、妖精王の軍が町を襲う。彼らはの陣容はエルフの衛兵が15人、エルフの古強者が3人、トロルが2人である。彼らは自分たちがエルフ王アルラメリスに仕えていることを誇らしく名乗り、戦いを挑んでくる。

トロルたちは銀でできたエルフによる細工の首輪をしている。これらにはエルフ語で「この者たちアルラメリスの廷臣なり」と書かれている。この首輪は100gpの価値がある細工物である。

倒した後にエルフの衛兵やエルフの古強者を尋問すれば、1年ほど前にタイラクサというゴールド・ドラゴンの貴婦人が宮廷に飛来し、アルラメリス王は彼女の助言を受け、妖精境が離れている間森を荒らす下々を征服するための軍を組織していたことを話す。

エルフの衛兵

中型・人型生物(エルフ)、混沌にして中立


AC:16(チェイン・シャツ、シールド)

hp:11(2d8+2)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
13(+1) 14(+2) 12(+1) 10(+0) 11(+0) 10(+0)

技能:〈知覚〉+2

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉12

言語:共通語、エルフ語

脅威度:1/8(25XP)


アクション

スピア:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィートまたは射程30/120フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[刺突]ダメージ、あるいは両手持ちでの近接攻撃の場合5(1d8+1)[刺突]ダメージ。

エルフの古強者

中型・人型生物(エルフ)、混沌にして中立


AC:17(スプリント)

hp:58(9d8+18)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
16(+3) 15(+2) 14(+2) 10(+0) 12(+1) 10(+0)

技能:〈運動〉+5、〈知覚〉+3

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉13

言語:共通語、エルフ語

脅威度:3(700XP)


アクション

複数回攻撃:エルフの古強者は2回のロングソードによる攻撃を行なう。ショートソードも準備している場合、それはショートソードによる攻撃も行なえる。

ロングソード:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(1d8+3)[斬撃]ダメージ、あるいは両手持ちでの近接攻撃の場合8(1d10+3)[刺突]ダメージ。

ショートソード:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:6(1d6+3)[刺突]ダメージ。

ロングボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程150/600フィート、目標1体。ヒット:6(1d8+2)[刺突]ダメージ。

トロル

大型・巨人、混沌にして悪


AC:15(外皮)

hp:84(8d10+40)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
18(+4) 13(+1) 20(+5) 7(-2) 9(-1) 7(-2)

技能:〈知覚〉+2

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉12

言語:巨人語

脅威度:5(1800XP)


鋭敏嗅覚:トロルは嗅覚による【判断力】〈知覚〉判定に有利を得る。

再生:トロルはそのターン開始時に10hpを回復する。トロルが[酸]あるいは[火]ダメージを受けると、この利益はトロルの次のターン開始時まで作用しなくなる。トロルが死ぬのはそのターン開始時に0hpかつ再生が行なわれなかった時だけである。

アクション

複数回攻撃:トロルは3回の攻撃を行なう。1回は噛みつき、および2回は爪で。

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(1d6+4)[刺突]ダメージ。

爪:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い5フィート、目標1体。ヒット:11(2d6+4)[斬撃]ダメージ。

2.月光の森へ

人里のある地域から月光の森へは60マイルほどの距離がある。GMはこの旅をしている間、道中でエルフやトロルの混成軍と冒険者たちを戦わせるなどして、雰囲気を盛り上げてもいいだろう。

3.月光の森

月光の森は次元の“合”により、普段は妖精境の側にあるアルラメリス王の領域と重なり合っている。そのため、森はその名の通り常に月光に照らされ、幻想的な雰囲気になっている。

冒険者たちがアルラメリス王の宮廷に向かうと、彼の同盟者であるトリエントが辺りを揺るがしながら立ち上がり、その前に立ちはだかる。

トリエント

超大型・植物、混沌にして善


AC:16(外皮)

hp:138(12d12+60)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
23(+6) 8(-1) 21(+5) 12(+1) 16(+3) 12(+1)

ダメージ抵抗:[殴打]、[刺突]

ダメージ脆弱性:[火]

感覚:受動〈知覚〉13

言語:共通語、エルフ語、ドルイド語、森語

脅威度:9(5000XP)


外見偽装:トリエントは動かないでいる間、ただの木と区別がつかない。

攻城モンスター:トリエントは物体や建造物へのダメージが倍になる。

アクション

複数回攻撃:トリエントは2回の叩きつけ攻撃を行なう。

叩きつけ:近接武器攻撃:攻撃+10、間合い5フィート、目標1体。ヒット:16(3d6+6)[殴打]ダメージ。

岩:遠隔武器攻撃:攻撃+5、射程60/180フィート、目標1体。ヒット:28(4d10+6)[殴打]ダメージ。

木操り(1回/日):トリエントは60フィート以内で視認できる木1つあるいは2つを魔法によって操る。これらの木は【知力】および【魅力】の能力値が1で、会話できず、叩きつけのアクションしか持っていないこと以外は、トリエントと同じステータスを持っている。操られている木はトリエントの味方としてふるまう。木は1日か、トリエントが死ぬか、木から120フィート離れる、あるいはトリエントがそれらをただの木に戻すためのボーナス・アクションを行なうか、それが死ぬまで操られる。その後、木は可能であれば根を張る。

3.妖精王の宮殿

アルラメリスの宮殿には、オルター・セルフの呪文でゴールド・ドラゴンに姿を変えたタイラクサと、エルフの王アルラメリス、彼の衛兵であるエルフの古強者が4人いる。

アルラメリス

中型・人型生物(エルフ)、混沌にして中立


AC:13(メイジ・アーマーで16)

hp:40(9d8)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
9(-1) 16(+3) 11(+0) 18(+4) 12(+1) 10(+0)

セーヴィング・スロー:【知】+7、【判】+4

技能:〈魔法学〉+7、〈歴史〉+7

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉11

言語:共通語、エルフ語、巨人語、竜語

脅威度:6(2300XP)


呪文発動:アルラメリスは9レベルの術者である。この呪文発動能力値は【知力】である(呪文セーヴ難易度15、呪文攻撃+7)。アルラメリスは以下のウィザード呪文を準備している。

初級呪文(無限回):ファイアー・ボルトプレスティディジテイションメイジ・ハンドライト

1レベル(4スロット):シールドディテクト・マジックマジック・ミサイルメイジ・アーマー

2レベル(3スロット):サジェスチョンミスティ・ステップ

3レベル(3スロット):カウンタースペルファイアーボールフライ

4レベル(3スロット):アイス・ストームグレーター・インヴィジビリティ

5レベル(1スロット):コーン・オヴ・コールド

アクション

ダガー:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィートまたは射程20/60フィート、目標1体。ヒット:4(1d4+2)[刺突]ダメージ。

アダルト・グリーン・ドラゴン

巨大・ドラゴン、秩序にして悪


AC:19(外皮)

hp:207(18d12+90)

移動速度:40フィート、水泳40フィート、飛行80フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
23(+6) 12(+1) 21(+5) 18(+4) 15(+2) 17(+3)

セーヴィング・スロー:【敏】+5、【耐】+10、【判】+7、【魅】+8

技能:〈隠密〉+6、〈看破〉+7、〈説得〉+8、〈知覚〉+12、〈ペテン〉+8

ダメージ完全耐性:[毒]

状態完全耐性:毒状態

感覚:疑似視覚60フィート、暗視120フィート、受動〈知覚〉22

言語:共通語、竜語

脅威度:15(1300XP)


水陸両用:ドラゴンは空気中と水中で呼吸できる。

伝説的抵抗(3回/日):ドラゴンがセーヴィング・スローに失敗した場合、それはその代わりに成功したことを選べる。

アクション

複数回攻撃:ドラゴンは畏怖すべき存在を使用できる。その後、1回の噛みつきおよび2回の爪による3回の攻撃を行なう。

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+11、間合い10フィート、目標1体。ヒット:15(2d10+6)[刺突]ダメージおよび7(2d6)[毒]ダメージ。

爪:近接武器攻撃:攻撃+11、間合い5フィート、目標1体。ヒット:13(2d6+6)[斬撃]ダメージ。

尾:近接武器攻撃:攻撃+11、間合い5フィート、目標1体。ヒット:15(2d8+6)[殴打]ダメージ。

畏怖すべき存在:ドラゴンから120フィート以内にいてそれを認識しているドラゴンの選択したすべてのクリーチャーは、それぞれ難易度16の【判断力】セーヴィング・スローを行なわねばならず、失敗したら1分間恐怖状態になる。クリーチャーはそれのターン終了時にセーヴィング・スローを行なうことができ、成功すると自身への効果を終了する。クリーチャーのセーヴィング・スローが成功した場合、あるいはクリーチャーの効果が終了した時、そのクリーチャーは同じドラゴンによる畏怖すべき存在の影響を24時間受けなくなる。

毒のブレス(再チャージ5~6):ドラゴンは60フィートの円錐状に毒を噴射する。範囲内のクリーチャーはそれぞれ難易度18の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわねばならず、失敗したら56(16d6)[毒]ダメージを受け、成功した場合は半分のダメージを受ける。

伝説的アクション

ドラゴンは以下にある3回の伝説的アクションを行なえる。伝説的アクションは1度に1つだけ、別のクリーチャーのターン終了時にのみ使用できる。ドラゴンはそのターン開始時に、使用された伝説的アクションを回復する。

感知:ドラゴンは【判断力】〈知覚〉判定を行なう。

尾撃:ドラゴンは尾による攻撃を行なう。

翼打ち(2アクション分):ドラゴンは翼を羽ばたかせる。ドラゴンから10フィート以内のクリーチャーすべては難易度19の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、失敗したら13(2d6+6)[殴打]ダメージを受けて伏せ状態になる。その後、ドラゴンはその飛行移動速度の半分まで飛行できる。

結末

タイラクサを倒せば、彼女はアダルト・グリーン・ドラゴンの正体を現わし、アルラメリスは事態を正しく認識する。彼は直ちに軍を退くよう命じ、ふたたび妖精境は外界と積極的に関わり合わないことを誓う。

王宮の中庭にはタイラクサに捧げられた財宝や美術品がうず高く積まれている。これらは20000gp、2000pp、1000gpの宝石5つである。GMはこの中に2、3個の魔法のアイテムを含めてもいいだろう。

この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。


2020年09月26日 [長年日記] 編集

§ [DnD][5e] アドベンチャー:世界が燃える日(18~20レベル)

今週も5e用のドラゴン退治をする小さな冒険ですぅ。

データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。

冒険の概要

この冒険は18~20レベル程度のキャラクター向けの短時間で終わるアドベンチャーである。

赤岩山に住む住むエインシャント・レッド・ドラゴンのエギルカルダは、彼の寝床にほど近い火口へとポータルを繋げた炎獄王ハ・シャハーを名乗るバロールと戦い、これを下しつつも、彼が望む物質界への侵攻を認めた。これは己に並ぶ者なしと自負する傲慢な赤竜が、小さき者どもへ仕掛けた戯れである。ハ・シャハーが侵略者として物質界の者どもを蹴散らす魔王となれば、竜はまどろみながら彼が貢納する捧げ物にありつけるし、デーモンどもが負けても退屈しのぎにはなる。

かくして炎獄王の地上征服は始まり、ポータルからこの世に現われた軍勢は殺戮と破壊に興じ、その強さを見た国や街では、彼らに降った勢力も出始めている。

これに立ち向かうのが、既にいくつかの伝説を打ち立てたキャラクターたちである。彼らは集結し、魔神ハ・シャハーを倒して炎獄からの侵略を止めねばならない。

そして……すべてを嘲笑うエギルガルダに勝てるかどうかは、英雄たちしだいである。

冒険への導入

キャラクターたちの元を、魔軍と戦う国や騎士団から救援の要請を求める使者が訪れる。彼らはデーモンたちによる虐殺や既に炎の海と化した地など、窮状を訴える。

1.最前線

魔神の軍勢と戦う最前線は、妖精境との結節点がある月光の森と呼ばれる森林地帯である。ここにヒューマンとエルフ、そして諸種族の同盟軍が加わり、敵がこれ以上深くに進軍しないように押しとどめている。しかし、敵はいくら倒しても無尽蔵に増援が到着する。同盟の指導者たちは、キャラクターたちにこの地を攻めている敵の将軍を倒して時間を稼ぎ、その間にデーモンを物質界に呼び出しているポータルを破壊するのはどうかと提案する。

キャラクターたちが敵将の討伐を行なわない場合、敵が総攻撃をかけて1日後にこの地の防衛軍は突破され、後背の文明圏にデーモンたちが雪崩れ込むことになる。

デーモンたちが一番突出している場所に敵将のマリリスがいる。彼女はハ・シャハーの寵姫にして腹心で、英雄たちが現われたのを見ると、部下のヘズロウを4体引き連れ炎獄王の名を叫びながら戦いを挑んでくる。

ヘズロウ

大型・フィーンド(デーモン)、混沌にして悪


AC:16(外皮)

hp:136(13d10+65)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
19(+4) 17(+3) 20(+5) 5(+3) 12(+1) 13(+1)

セーヴィング・スロー:【筋】+7、【耐】+8、【判】+4

ダメージ抵抗:[電撃]、[火]、[冷気];非魔法的攻撃による[殴打]、[斬撃]および[刺突]

ダメージ完全耐性:[毒]

状態完全耐性:毒状態

感覚:超視覚120フィート、受動〈知覚〉11

言語:奈落語、テレパシー120フィート

脅威度:8(3900XP)


悪臭:ヘズロウから10フィート以内でターンを開始したクリーチャーは難易度14の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、次のターン開始時まで毒状態になる。このセーヴィング・スローに成功したクリーチャーは、次の24時間ヘズロウの悪臭に対する完全耐性を得る。

魔法抵抗:ヘズロウは呪文およびその他の魔法効果へのセーヴィング・スローに有利を得る。

アクション

複数回攻撃:ヘズロウは1回の噛みつきおよび2回の爪、3回の攻撃を行なう。

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い5フィート、目標1体。ヒット:15(2d10+4)[刺突]ダメージ。

爪:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い5フィート、目標1体。ヒット:11(2d6+4)[斬撃]ダメージ。

瞬間移動:マリリス視認可能な120フィート以内の何にも占められていない場所へ、身に着けているか持っている装備ごと魔法による瞬間移動を行なう。

リアクション

受け流し:マリリスは自分への1回の近接攻撃がヒットしそうになった時、自分のACに5を加えることができる。そのためには、マリリスが攻撃者を視認でき近接武器を持っていなければいけない。

マリリス

大型・フィーンド(デーモン)、混沌にして悪


AC:18(外皮)

hp:189(18d10+90)

移動速度:40フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
18(+4) 20(+5) 20(+5) 18(+4) 16(+3) 20(+5)

セーヴィング・スロー:【筋】+9、【耐】+10、【判】+8、【魅】+10

ダメージ抵抗:[電撃]、[火]、[冷気];非魔法的攻撃による[殴打]、[斬撃]および[刺突]

ダメージ完全耐性:[毒]

状態完全耐性:毒状態

感覚:超視覚120フィート、受動〈知覚〉13

言語:奈落語、テレパシー120フィート

脅威度:16(15000XP)


反応:マリリスは戦闘中毎回のターンごとに1回のリアクションが行なえる。

魔法抵抗:マリリスは呪文およびその他の魔法効果へのセーヴィング・スローに有利を得る。

魔法武器:マリリスの武器攻撃は魔法的である。

アクション

複数回攻撃:マリリスは6回のロングソードおよび1回の尾、7回の攻撃を行なう。

ロングソード:近接武器攻撃:攻撃+9、間合い5フィート、目標1体。ヒット:13(2d8+4)[斬撃]ダメージ。

尾:近接武器攻撃:攻撃+9、間合い10フィート、目標1体。ヒット:15(2d10+4)[殴打]ダメージ。目標が中型以下なら、それはつかまれた状態(脱出難易度19)になる。このつかみが終了するまで、目標は拘束状態で、マリリスの尾による攻撃は目標に自動的にヒットするが、マリリスは他の目標に尾による攻撃を行なえない。

瞬間移動:マリリスは視認可能な120フィート以内の何にも占められていない場所へ、身に着けているか持っている装備ごと魔法による瞬間移動を行なう。

リアクション

受け流し:マリリスは自分への1回の近接攻撃がヒットしそうになった時、自分のACに5を加えることができる。そのためには、マリリスが攻撃者を視認でき近接武器を持っていなければいけない。

2.炎獄王と赤岩山

マリリスから炎獄王ハ・シャハーの名前を聞けば、難易度25の【知力】〈歴史〉判定で、300年ほど前にそのような名前のデーモンが赤岩山から現われたが、往時の英雄たちに放逐されたことを知ることができる。

赤岩山は、難易度15の【知力】〈歴史〉判定で、100年ほど前に赤竜が飛来し、近隣の街や集落をすべて焼き払い、我がもの顔でのさばっていることを知ることができる。

3.赤岩山へ

キャラクターたちが赤岩山へ向かうならば、道中でデーモンたちと戦うことになるだろう。ここではそれについて省略する、必要と考えたならばGMが準備するとよい。

3.決戦、炎獄王

赤岩山の洞窟はデーモンたちによって禍々しい浮き彫りが施され、人型生物の骨や皮を使った調度がしつらえられた炎獄王の宮殿に装いを変えている。

そして火口を背にした広間には、炎獄王ハ・シャハーを名乗るバロールが1体、彼の寵姫マリリスが1体、勇者たちを待ち構えている。彼らはここで英雄たちを討ち取り、物質界の者に絶望を味わわせる腹づもりなのだ。

広間の奥には炎獄へのポータルがある。このポータルはAC21、hp27の物体で、破壊すれば次元界の連結は解除される。

バロール

超大型・フィーンド(デーモン)、混沌にして悪


AC:19(外皮)

hp:262(21d12+126)

移動速度:40フィート、飛行80フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
26(+8) 15(+2) 22(+6) 20(+5) 16(+3) 22(+6)

セーヴィング・スロー:【筋】+4、【耐】+12、【判】+9、【魅】+12

ダメージ抵抗:[電撃]、[冷気];非魔法的攻撃による[殴打]、[斬撃]および[刺突]

ダメージ完全耐性:[毒]、[火]

状態完全耐性:毒状態

感覚:超視覚120フィート、受動〈知覚〉13

言語:奈落語、テレパシー120フィート

脅威度:19(22000XP)


断末魔の爆発:バロールは死ぬと爆発し、30フィート以内のすべてのクリーチャーは難易度20の【敏捷力】セーヴィング・スローに失敗したら、70(20d6)[火]ダメージを受け、成功したらその半分を受ける。この爆発で範囲内にあって装備されていない可燃性の物体には火がつき、バロールの武器は破壊される。

火のオーラ:バロールのターンが開始する度に、5フィート以内のすべてのクリーチャーは10(3d6)[火]ダメージを受け、オーラの範囲内の可燃性の物体は発火する。バロールに触れたり5フィート以内で近接攻撃をヒットさせたクリーチャーは10(3d6)[火]ダメージを受ける。

魔法抵抗:バロールは呪文およびその他の魔法効果へのセーヴィング・スローに有利を得る。

魔法武器:バロールの武器攻撃は魔法的である。

アクション

複数回攻撃:バロールは1回のロングソードおよび1回の鞭、2回の攻撃を行なう。

ロングソード:近接武器攻撃:攻撃+14、間合い10フィート、目標1体。ヒット:21(3d8+8)[斬撃]ダメージに加え13(3d8)[電撃]ダメージ。バロールがクリティカル・ヒットを出した場合、ダメージ・ダイスを2倍にする代わりに3倍にする。

鞭:近接武器攻撃:攻撃+14、間合い30フィート、目標1体。ヒット:15(2d6+8)[斬撃]ダメージに加え10(3d6)[火]ダメージ、および目標は難易度20の【筋力】セーヴィング・スローに成功しなければ、バロールに向けて25フィート引き寄せられる。

瞬間移動:バロールは視認可能な120フィート以内の何にも占められていない場所へ、身に着けているか持っている装備ごと魔法による瞬間移動を行なう。

4.炎の赤竜

ハ・シャハーを倒し、ポータルを破壊すると、火口の中からエギルカルダが現われる。彼は魔王を討伐したキャラクターたちの強さを祝福すると、彼の“財宝”にならぬかと誘う。この誘いを受ければ、キャラクターたちは竜の走狗として物質界を征服する新たな魔王となるだろう。

冒険者たちがこれを断ると、バロールを一蹴した赤竜は退屈しのぎに襲いかかってくる。彼は極力溶岩(侵入するかそこでターンを開始すると22(4d10)[火]ダメージ)の上で戦う。

エインシャント・レッド・ドラゴン

巨大・ドラゴン、混沌にして悪


AC:22(外皮)

hp:546(28d20+252)

移動速度:40フィート、登攀40フィート、飛行80フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
30(+10) 10(+0) 29(+9) 18(+4) 15(+2) 23(+6)

セーヴィング・スロー:【敏】+7、【耐】+16、【判】+9、【魅】+13

技能:〈隠密〉+7、〈看破〉+16

ダメージ完全耐性:[火]

感覚:疑似視覚60フィート、暗視120フィート、受動〈知覚〉26

言語:共通語、竜語

脅威度:24(62000XP)


伝説的抵抗(3回/日):ドラゴンがセーヴィング・スローに失敗した場合、それはその代わりに成功したことを選べる。

アクション

複数回攻撃:ドラゴンは畏怖すべき存在を使用できる。その後、1回の噛みつきおよび2回の爪による3回の攻撃を行なう。

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+17、間合い15フィート、目標1体。ヒット:21(2d10+6)[刺突]ダメージおよび14(4d6)[火]ダメージ。

爪:近接武器攻撃:攻撃+17、間合い10フィート、目標1体。ヒット:17(2d6+10)[斬撃]ダメージ。

尾:近接武器攻撃:攻撃+17、間合い20フィート、目標1体。ヒット:19(2d8+10)[殴打]ダメージ。

畏怖すべき存在:ドラゴンから120フィート以内にいてそれを認識しているドラゴンの選択したすべてのクリーチャーは、それぞれ難易度21の【判断力】セーヴィング・スローを行なわねばならず、失敗したら1分間恐怖状態になる。クリーチャーはそれのターン終了時にセーヴィング・スローを行なうことができ、成功すると自身への効果を終了する。クリーチャーのセーヴィング・スローが成功した場合、あるいはクリーチャーの効果が終了した時、そのクリーチャーは同じドラゴンによる畏怖すべき存在の影響を24時間受けなくなる。

火のブレス(再チャージ5~6):ドラゴンは90フィートの円錐状に火を噴射する。範囲内のクリーチャーはそれぞれ難易度24の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわねばならず、失敗したら91(26d6)[毒]ダメージを受け、成功した場合は半分のダメージを受ける。

伝説的アクション

ドラゴンは以下にある3回の伝説的アクションを行なえる。伝説的アクションは1度に1つだけ、別のクリーチャーのターン終了時にのみ使用できる。ドラゴンはそのターン開始時に、使用された伝説的アクションを回復する。

感知:ドラゴンは【判断力】〈知覚〉判定を行なう。

尾撃:ドラゴンは尾による攻撃を行なう。

翼打ち(2アクション分):ドラゴンは翼を羽ばたかせる。ドラゴンから10フィート以内のクリーチャーすべては難易度25の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、失敗したら17(2d6+10)[殴打]ダメージを受けて伏せ状態になる。その後、ドラゴンはその飛行移動速度の半分まで飛行できる。

結末

火口の周囲にはエギルガルダが貯め込んできた財宝、100000gp、25000pp、1000gpの宝石10個、4個の魔法のアイテムがある。

ハ・シャハーとエギルガルダを倒せば、物質界を襲っていた異次元からの侵略は終わりを告げ、世界は復興への道を歩み始める。キャラクターたちは伝説を越え、世界を救った神話になる。

この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。


2020年09月30日 [長年日記] 編集

§ [DnD][5e][GnG] ギアの強さと冒険の設計追加

およそ一年くらいぶりにGears & Gigantes特設サイトを更新し、ギアを使ったゲームで脅威度を運用するために使う補正値や計算をまとめた『ギアの強さと冒険の設計』を追加したですぅ。

これで適当に強い敵を出せばよかろうもんよりはわかりやすい指針ができたはずですぅ。