ネコぶんこ


2012年10月15日 富める者と貧しい者とのあいだの溝が広がり、それにともなって中産階級が消失すること。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『This Week in D&D(This Week in D&D)』

伝説と伝承

マイク・ミアルス

私は今週のコラムで作業中のことがらについてみんなに知ってもらうのがいいと思った。私がこれを書いてから、私たちは1から10レベルまでのキャラクターを使える次のプレイテスト・パックの作業に本腰を入れる。それは高レベルでのプレイへと私たちをいざない、規模が大きくなってもすべてが円滑に機能することを確認する機会でもある。

そして、ここにはクラス、背景、そして専門化についての最新情報がある。

クラス

まず、私たちはウォーロックとソーサラーを一旦まな板からおろした。どちらのクラスもさらに磨き上げねばならないが、まずは最初にウィザードとクレリックに施した変更点がどうなるかを確認したい。この判断はコア4クラス――ウィザード、クレリック、ファイター、そしてローグ――をきちんと形作る計画へ積極的に取り組むためだ。ウォーロックとソーサラーについてのフィードバックは、ウィザードとクレリックを調整する助けとしてもたいへん役立った。具体的には、みんなは呪文使いはお互いにバランスが取られていることを望み、それらはクラスよりシステムの段階で、発動システムと休憩の組み合わせを望んだということだ。

つまり、ウィザードとクレリックのオプションをDMにより多く与えることのほうが、ウォーロックの違いを際立たせるよりもより多様性を出せると私は考えている。君たちのフィードバックにもとづき、ウィザード、ソーサラーなどのオプションを包含したマジックユーザーというクラスの区分を導入する可能性もある。このやり方の利点は、マジックユーザーという集合に対してルールと雰囲気を伝える文章を作成し、個別のキャンペーンでキャラクターの一般的な区分を定義できることだ。

ソーサラーへのフィードバックを見たとき、私は驚くべきことではないが、クラスの名前を変更して雰囲気を少し変えれば、戦士と魔法使いの兼業クラスをゲームのコアにもたらせると感じた。みんなの多くはソーサラーを好んでいたが、それが既にあるソーサラーのキャラクターを再現するのは難しいという意見を寄せた人たちもいた。私たちの目標は再現をできるだけ簡単にすることなので、それはこの概念を新たなクラスとして提示するための協力な意見となった。

ウィザードは伝統を継承し、無限回呪文とそれらを発動したら5分後に回復する刻印呪文(Signature Spell)の両方を含むようになった。一般的にウィザードは1つの呪文を刻印呪文とし、発動しても回復するのはそれだけになる。無限回呪文と刻印呪文はウィザードの伝統にもとづいたものだ。

クレリックの場合、アンデッド退散がクラス特徴として復活し、神聖伝導が取り除かれた。そのかわり、君たちは君たちの神格にもとづいた特殊能力を得られる。ここではそれぞれのパンテオンにおける一般的な神格の類型についても説明されている。たとえば、ロキやオリダマラのようなぺてん師は、彼や彼女のクレリックに短い時間だが不可視状態になれる能力を与え、他のクレリックより多くの幻術呪文を使えるようにする。ぺてん師はある種の鎧を使えるようにするより、急所攻撃と遠隔武器、レイピアなどの【敏捷力】で扱う武器を使えるようにする。君たちがぺてん師のクレリックをプレイするなら、それはおそらく軽装鎧を着て隠密行動をするが、私たちはそれを要求される事や制限事項にはしたくない。これら神格の類型は出発点であり、君はキャンペーン独自の要素を盛り込むことでその世界の神格に合わせることもできる。

ファイターは前回の仕上がりがとてもよかった。現在、私たちはとても単純なファイターをプレイ可能なオプション一式の作成に集中している。

ローグは技能面をより前面で強調している。ローグは多くの技能をもってそれらをうまく使えていたが、私たちはそのシステムを単純化して自動成功を強調する調整を行なった。DMはローグにとって本当の危険がないことを残念がった。それはゲームの緊張感をゆがめてしまった。

これは覚えておいてもらいたいのだが、私は現段階で私たちが行なっている作業はもっとも新しい版のゲームだと判断している。新たなプレイヤーにとっての出発点であり、現代的なシステムを望む熟練プレイヤーにとっての選択肢でもあるD&Dのコアのほとんどは、現状のものが使用される。このゲームは『D&Dベーシック・セット』『D&Dルールサイクロペディア』で提示されたようなD&Dによく似ている。君は種族を選択し、クラスを選択してプレイする。私たちは慣れたプレイヤーのための複雑な袋小路にはまり込まないゲームを作ることに心を砕いているが、新たなプレイヤーがゲームを始めるにあたって容易にコア要素を学習でき、どんどん先へ進みたくなる道も作成する。

背景と専門化

私たちはこれらにいくつかの小さな変更を施した。どの能力値を使うかに関わりなくロールへボーナスを与える細かな変更が技能にかかったため、現在の背景は3つから4つの技能を与えるようになっている。こうすれば、DMは能力値判定を求めるだけでよい。プレイヤーは技能を加算するか、それが行なえるかどうかをDMに訊ねる。これにはより狭い範囲の技能が存在できる一方、多くを与えることでそれを埋め合わせる意図もある。私たちがきちんと一覧表を構築できれば、技能は君たちのキャラクターに独自性を持たせ、面白くするのを助けるのに有効なものであり続けられる。

専門化のシステムはそれほど変化しなかったが、それらの見せ方と世界での位置づけについては再検討された。それらはこれまで背景と同じあり方として考えられていた。それらは世界で認識されている称号のような名前を持っていた。現在、それらは私が思うにその名――専門化――とキャラクター作成での役割を反映させてものになっている。

専門化は君のキャラクターがそれに集中して開眼したものになった。君は二刀流の専門家や、隠密の専門家、捜査の専門家であることができる。これは背景の一部であったり、クラスを修行するうちの一環であったことだと考えられる。理想をいえば、君がキャラクターを解説するときに長々とした説明を行なうより、他のプレイヤーに手早く理解させられるものでありたい。“デュエリスト”は君のキャラクターが何であるかを規定しない。“シールド・スペシャリスト”だと、君のキャラクターは防御にすぐれ、おそらく盾を持っていること(が期待される?)を明かす。

私たち全員は君たちがプレイテストに注目し続けてくれて、D&D Nextへフィードバックを寄せてくれていることに感謝している。次のプレイテスト・パックが公開されるまでそう長くはなく、君たちがゲームをプレイテストに参加し続けてくれることを私たちは願っている。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。