ネコぶんこ


2013年09月21日 鋳移し給ふ御鏡も、作り替へられたる宝剣も、霊験は少しも劣り給はず。 [長年日記]

§ [DnD][4e] 2012年11月18日(無題)

アゼリ・アダナ(ロングトゥース・シフターのガーディアン/ウォーデン/ホーンド・チャンピオン/エグゾールテッド・エンジェル23):。嵐や吹雪などいろいろな現象を起こして周囲の味方を護る自然の戦士。ケモ要員。プレイヤはアシタカ氏。

エスペランザ(エラドリンのスカラー/メイジ/スペルストーム・メイジ/エルフ・ハイ・メイジ23):冷気も好きだけど手広く属性を使えるようになった秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。

グスタフ・トラップ(ヒューマンのグルームロート・エミッサリー/シーフ/パラゴン・シーフ/レジェンダリィ・シーフ23):速くて痛い弓使いから転向した二刀流剣士。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。

セヴン(ドワーフのマーセナリー/ウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン/ウォーマスター23):斧を偏愛するドワーフ。飛び込んできた敵はひどい目にあう。キャプテンにしてジェネラルにしてマスター。流しの将軍をやっている。プレイヤは隠者氏。

影界での赤竜殺しから八ヶ月。

その一年ほど前にオークと戦になり、パーティの働きもあってそれを退けたカーレリア周辺ではふたたびオークによる略奪が活発化し、隊商の安全保障も請け負うグスタフのギルドでも問題になっていた。彼らは以前にパーティが戦ったオークやゴブリンたちと同様、大荒野の諸部族をまとめた伝説の大汗、グリッシュの帰還をほのめかす檄文につき動かされていた。

こうしたオークの蠢動は一地方ではなく物質界全体で起こっていた。彼らは明らかに尋常ならざる強さを得て進撃を続け、他種族への大きな脅威となっていた。

セヴンが傭兵将軍として身を寄せている大陸北方の小国でも、オークによって町や村が次々と落とされていた。アゼリやエスペランザも信奉者からオークへの対処を求める嘆願を受けていた。そしてこれらのオークもまた、ヒューマンとの戦争が起こったときに南から援軍を率いて現われる大汗グリッシュを信じて戦っていた。

「グリッシュの伝説は大陸の反対側へ伝わるうちにプレスター・ジョンっぽいものになってるDEATHゥ」

四人がエスペランザの要塞次元界に集合しつつ情報を集めると、決起したオークたちの背後ではグリッシュの使徒を名乗る者たちが接触し、力を与えるまじないをしていることが判った。

それでは敵を殴って話を訊くほうが早いと、エスペランザが領界を物質界に接続させると、物質界の空に燦然たる城郭が現われ、地上へ虹の橋がかかった。この陽動で地上の民を驚かせているうちに、パーティはオークが占拠している城塞都市に下水道から進入。三十秒もかからずにオークたちを制圧した。そのほとんどは力を無理矢理引き出されていただけの雑兵だったが、彼らを指揮していた“使徒”はかすかながらも神の力を持ち、次元を歪める剣技の使い手であった。

倒した“使徒”を分析した結果、彼はグリッシュの信者や配下ではなく、いにしえに力を求めて種族の血をも穢し、己の母とともに氷壁に封印されたオークの神格、バウドの使徒であることが判明した。彼らはグリッシュの伝説が神話になり、信仰となりつつあったのに危機を感じたのだ。バウドへの信仰が薄れれば、あるじの復活は遠のくばかりである。

そこで彼らはグリッシュが沈黙を続けることを利用し、信奉者のもとへ使徒を名乗って降臨したのである。彼らは力を与えて戦いを煽動しバウドへ祈りと血を捧げさせていたのだ。彼らを指揮しているのは、バウドの寵姫がひとり“月光の魔女”ヴァパーグ。彼女は偽の神託やバウドの血を潅いだ使徒をオークたちに遣わすことで、長い年月をかけ毒を染み渡らせていたのだ。

これらの情報を集めたパーティはヴァパーグもヴァパーグだがグリッシュも音信不通なのがいけない。あいつは前のキャンペーンから何をやっていたのだと憤慨し、ある日突然玉座から姿を消した大汗の行方をコンサルト・オラクルで訊ねると、彼はあるフェイの女王が治める雪深い次元界にいることが判明。“名無し”に乗って五日をかけてその国を訪ね、女王からグリッシュがブリザード・ドラゴンの討伐に向かったことを確かめるとふたたび出帆。雪原を五日かけ、ようやくグリッシュを発見した。

グスタフが話を聞くと、カーレリアとの和平が成って数十年後、グリッシュは己に流れる竜の血による闘争本能を抑えることに疲れ、ひとり大汗の座を去って次元界を放浪し、戦い続けていたという。そんな彼をグスタフは大汗としての戦いから逃げていると喝破。グリッシュもこれに納得したので、さっさとブリザード・ドラゴンを倒そうということになる。

神話の域に到達した者たちが手を組めば、小世界をひとつ救うのはさほどのことでもない。冒険者たちが暴走した吹雪の顕現を足止めしている間に大汗が竜の塒を急襲し、雪の国は救われた。感謝を告げる女王と民との別れもそこそこに一行はエスペランザの領界を駆り、ヴァパーグが領界“骨砕きの砦”へと向かった。

“骨砕きの砦”に接近してもエスペランザは速度を落とさせることなく、領界を砦へぶつけさせる。そして接触と同時に準備していた儀式を展開、相手の領界を侵蝕にかかった。もちろん敵も防壁を展開するが、アゼリが魔力の流れを読み、セヴンがその身に防壁の呪詛を喰らいつかせ、グスタフが敵の回路を寸断する連携によって阻まれた。世界の理が書きかえられたことで、魔女の領界に暗く垂れ込めた曇天は抜けるような青空に、白骨の大地は緑の草原に、鮮血の河は透き通った清流へと変成させられる。

しばらく経つと、次元の結節点から戦いが始まった。己の世界を侵蝕された“月光の魔女”は全力で応戦したが、戦いやすい平原に書きかえられた世界ではパーティを阻むことができず、神殿への侵入を許してしまう。彼女はにわか仕込みの使徒も投入して応戦するが、冒険者たちの攻撃で深手を負ったところをグリッシュに両断され滅びた。

戦の後、冒険者に伴なわれたグリッシュは大荒野へと帰還した。座すものなき玉座の傍らで大汗を騙る偽預言者を一刀のもとに屠ると、彼は高らかに帰還を宣言。その場に駆けつけたアゼリの師父にしてかつて彼と戦い戦争を調停した大ドルイド、サトリアヌスが祝福することで、周辺の諸勢力にもこれを認めさせた。

かくて半神となったオークの英雄が治めるべき民のもとへ帰還したのを見届け、冒険者は去った。彼らは面倒ごとが嫌いなのである。