ネコぶんこ


2014年01月13日 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『D&D Nextでの低レベル・キャラクター(Low-Level Characters in D&D Next)』

マイク・ミアルス

これまで、私はなぜD&D Nextのキャラクター・クラスが1と2レベル目で選択肢を与えない、あるとしてもわずかなのか理由を書いてきた。D&D Nextで低レベルのキャラクターは特徴と能力の多くを適切なかたちで封印され、第1版や第2版のそれとかなり近いものに感じられる。私たちはいくつかの理由をもってこのデザインに決定した。

まず、私たちは1レベルのキャラクターを作成する工程をできるだけ速いものにしたかった。かつて、キャラクターの作成はそれだけでセッションひとつ分の時間に匹敵していた。私たちはゲームのグループが確実に30分以内にキャラクターを作成できるようにして、君がボードゲームを準備するのと同じようにD&Dを選んでプレイできるようにしたかった。

低レベルのキャラクターを単純化することはまた、熟練のプレイヤーが簡単に作成できるようになった分、新規参加者がキャラクターを作成して運用するのを助けることができる。君が新規プレイヤーのファイター、クレリック、ウィザード、そしてローグを助けようとするなら、数回のゲームをこなせば君は1から2レベルのキャラクターができることのほとんどを記憶できるだろう。新規プレイヤーにゲームを教えるDMは、彼らがルールブックへ付箋をつける作業に忙殺されなくても決定を助けることができる。

もちろん、私たちは熟練のプレイヤーが特別で記憶に残るキャラクターを形作るのを助けるさまざまな選択肢を好んでいることも知っている。D&D Nextで1レベル時点のカスタマイズで大きな部分を担っているのは背景である。それぞれの背景には多様な構築済みのオプションがあるが、君は自分で技能と道具の習熟、そして君のキャラクターが持つ物語に合わせた背景の利益を選ぶこともできる。

D&D Nextでどんなキャラクターでも好きな技能と道具に習熟できるのは、私たちがとても意識して行なったことだ。ファイターがかつて街の盗賊だったなら、君はそれを反映した背景を選び、開錠、虚言、そして忍び足について習熟することができる。古典的なクラスによる技能の制限――ローグは〈隠密〉を訓練できるが、ファイターはできないというような――はある種のゲーム・バランスを提供するように見えるが、それは意味のないバランスだ。結局、技能の有用性は冒険の状況が決定するので、多くの技能を持っていればいるほど君はボーナスを得るし、ゲームに影響力を行使できるようになるだろう。D&D NextはDMが判断をしやすい習熟によって道具と技能の選択肢を広げておくことで、プレイヤーが彼らの1レベル・キャラクターが特別なものだと感じるのに充分な選択肢が存在する。

さらに、ゲームでのレベル上昇は1、2レベルでそれぞれ約1回のセッションが必要になると見積もられている。それは全員にキャラクターの重要な選択を行なう前にクラスの基礎を学べるだけの時間を与えるということだ。特に新規プレイヤーには、彼らにとって初めてのセッションでキャラクターとキャンペーンを理解し、選択のための強い根拠を得る機会を与えることができる。1、2レベルでプレイすることを好むグループのために、DMはそれらのレベルをより多くプレイできるように経験点の獲得についてオプションを導入することができる。一方で、1レベルの背景より多くのオプションを使ってキャラクター作成を行ないたい熟練のプレイヤーには、最初から熟練の3レベル・キャラクターで開始するルールもゲームに入っている。

キャンペーンのデザインについてだが、私たちが出版するアドベンチャーでは1、2レベルをDMがキャラクターをキャンペーンへ導入する準備段階だと定義し、3レベルでキャンペーンを開始する前の伏線を配置する。これらの2レベルはプレイヤーにキャンペーンを理解してキャラクターの目的を明確なものとさせる、雰囲気に没入することへと特化したものだ。

アドベンチャーの古典『国境の城塞』を例に取れば、最初の2レベルはキャラクターが城塞へ向かう旅をしながら、足跡を追ってきた山賊の待ち伏せやペリトンとの戦いを行ない、そのまま盗賊の掃討戦になるだろう。こうした遭遇を通じて、キャラクターは城塞の重要なNPCと対面し、冒険のネタになりそうないくつかの噂を聞き、彼らが最初にやりたいことを明確にしていく。キャラクターが3レベルになったとき、彼らは城塞の周辺や混沌の洞窟への旅に耐えられるだけの強さを身につける。

これらD&D Nextの要素を使えば君は自分のゲームのキャンペーンを、自分好みに運営できる。初心者のグループはみんながキャラクターとゲーム世界の感覚をゆっくりとつかむため、ゆっくりとした1、2レベル時の成長を望むかもしれない。熟練のプレイヤーは最初からゲームで使えるすべてのキャラクター・オプションを最大限に使える、3レベルのキャラクター作成を希望するかもしれない。柔軟性は常にD&Dの特色であり続け、私たちがD&D Nextでさらなる強化を施したのもゲームのこの面である。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。