ネコぶんこ


2012年05月15日 なるほど、人の話を盲目的に信ずることは、人間にとって根深く、代々受け継がれる特質であり、何の資格もない者が、学問に与ろうとするのも広く起こりがちなことである。 編集

§ [DnD][DnDNext] 『ゴブリンが気にするのは君の斧だけ(Goblins Care Only About Your Axe)』

2012年05月10日、木曜日、午前07時32分

投稿者:WotC_Bruce

最近私はたくさんD&Dをプレイした。しかし、何度ルールをデザインしても、あるものはずっと変わらなかった。私が斧をゴブリンの首に叩きつけてそれが命中したなら、ゴブリンは死んでいる。

脳内劇場、メモ用紙でだいたいの位置を描いた脳内劇場、脳内劇場とミニチュアの混成、あるいはグリッドに置かれたミニチュアのどこで戦闘が起きようが、それは変わらない。

私が以前のグリッドと想像力について書いたブログで議論したように、私のゴブリンとの戦闘を囲むシステムは多くの要素を劇的に変化させることができる。一番異なるのはテーブルが戦闘に費やす時間の合計、そして私が自分の斧を構えたゴブリン殺しに与える戦術的な意思決定の量である。

これら2つの要素の関係は本当に絶妙で、それをごまかすことはできない。物語風に話し、時々それを簡単にするための努力としてミニチュアとグリッドつきの地形マップを取り出して洞窟の入り口にゴブリンの衛兵を2体配置する。この状況の“物語”は、DMが明確に遭遇を変更していかない限り戦術と関係を持たない。2体の衛兵が戸口に立っている(あるいは他の“小さな”遭遇)はグリッドを使う戦闘しかない場合はゲームから取り除かれがちである。なぜならばDMやアドベンチャーのデザイナはゴブリンの衛兵2体(あるいはゴブリンの衛兵5体)との単純なやりとりのためにミニチュアを取り出す努力する価値がないと知っているからで、そのような遭遇は消えていくか、より大きな遭遇の一部になる圧力がかかっていった。これはプレイヤーがテーブルでミニチュアを見た時、他の何かに関係なく常に戦闘が始まりそうだと考えることを意味している。

他の時、物語は戦術に寄り添う。ヴァンパイア・ロードと酸の池、陽光が射し込む窓、ヴァンパイアに支配された術者の奴隷、そして霧の中にうごめく彼女が従えている落とし仔の位置取りについて、私はきちんと知っておきたい。5フィート押しやるか押しやられることは、私が酸に落とされるか、私がヴァンパイアを陽光にさらすかという、この戦いの勝敗を決定する重要な要素となりうる。

私たちが最後にグリッドについての投票を行なったブログによると、君たちの多くは異なる遭遇のための遭遇のルールが必要なことに同意した。それは私たちが感じていたのと同じことだった、すばらしい。この筋で考えていくなら、私たちは中心的な戦闘解決システムに脳内劇場とグリッドを組み込むことができる。戦闘システムがほとんどをグリッドに頼っていた前版とはあまりに異なるが、それらの戦闘が継ぎ目なくミニチュアを使うことも使わないこともできる様子を想像してほしい。

これは、グリッドについての議論で持ち上がった、脳内劇場とグリッドを簡単に継ぎ目なく使い分けられ、グループによってはその時々で好きに決定でき、またどちらかの戦闘解決システムにこだわるグループのためにもなるという一連の問題に対する回答である。私たちの仕事は“グリッド対脳内劇場”の対戦を行なって勝者と敗者を作ることでも、D&Dプレイヤーの中にあるグループの中で彼らがプレイしたいルールをサポートしないことでもない。そうではなく、私たちの仕事はどちら寄りのプレイ・スタイルでも成功して使われる素直な環境を作ることだ。

たとえば、ファイターがグリッド上で意味をなすような能力を使った場合、私たちは同じ能力を脳内劇場でも役立つようにデザインせねばならない。広がったグリーン・スライムの近くで戦闘する時は脳内劇場ででも、どれくらいの距離かは重要でないとしても、敵を押しやる能力は重要である。もし私の“痛烈な打撃で押しやる構え”でゴブリンが後ろに突き飛ばされたら、それが何フィートになるかに関係ないのか、グリッドの上でどうなるかに関係いのか、プレイヤーの想像力に任せるのか、いずれにせよゴブリンはグリーン・スライムが今は友達でないことに気づくだろう。


2013年05月15日 今書いたように、プレイヤー・グループの存続のためには、自分とどうレベル、または経験が浅いプレイヤーを援助すべきである。 編集

§ [Ludus] いつにもましておかしかったモンスーノ

今日も今日とて夕方から動き出すアレだったけど、モンスーノがいつにもましておかしかったので少しいろいろなことを忘れられた気がしたですぅ。

そしてこのことをきっかけに古い友人が精神的に滅入っていたときキムタクを薦められた懐かしい話を思い出しまたアレになったですぅ。


2014年05月15日 編集

§ [DnD][4e][BoVD][Liber] ロバート・J・シュワルブ不浄なる暗黒の書』、概説

ついに日本語版が発売されることになった4eのサプリメント、『不浄なる暗黒の書』を紹介するですぅ。

これはテレビ映画『ダンジョン&ドラゴン3』と連動して進んでいた企画で、映画に出てきたナグルール(以前訳したエントリではンハグルールの訳語を使用)という人物もさまざまな形で登場していますぅ。

このサプリメントは悪PCをプレイするための「Player's Book」、DMがより悪のNPCや行為を際立たせるための「Dungeon Master's Book」に分かれていて、記事やデータを見やすくしているのも特徴ですぅ。

また、悪を扱うだけに一般的ではないプレイスタイルや、プレイヤが人として踏み込んでほしくない領域をどう扱うかというガイダンスとしても有用なものになっているですぅ。

以前翻訳したプレビュウは[BoVD]のタグで読めるけど、明日からのエントリでは「Player's Book」と「Dungeon Master's Book」をちょっと詳しく紹介するですぅ。


2018年05月15日 編集

§ [DnD][5e] 『新たなダンジョン・マスターに捧ぐD&Dでの即興(Improvisation in D&D for New Dungeon Masters)』

ミヒャエル・シア

2018年03月23日

ダンジョン・マスターが素晴らしいD&Dのゲームを行なうために必要な技術は、たくさん思い浮かぶ。それはルールへの熟練や鋭い戦闘、戦術眼かもしれない。それは歴史、宗教、そして政治も含めた世界を無から構築することかもしれない。ゲームのリアリティは非常にさまざまだ。私たちが素晴らしいゲームを行なうために必要なのはそれらの腕前ではない。しかし、ある技能はものすごいD&Dのゲームを行なうときに輝く。

即興。

ゲームは決して計画通りには進まない。プレイヤーは私たち自身が考えもしなかった直感に突き動かされる。彼らは私たちがまったく考慮していなかった決断をする。彼らは精密に地図の書かれた西から、まったくまっさらな東へ頭を向ける。彼らは私たちがでっちあげたNPCに恋をして、もっとも重要な依頼を与えるNPCをドッペルゲンガーと思って崖の上から蹴り落とす。こうした現場での変化に対応し、ゲームを難なく運営し続けることが、平凡なDMと偉大な者の違いである。

私たちはゲームを軌道修正し、彼らが行くと想定した方向へ進行させることを強いたくなるかもしれない。しかし、それは間違いになりうる。ゲームを“押す”のは、1つに、プレイヤーが物語を導く力を取り外すことになる。2つに、私たちが想定していないところへ進むのは、楽しみだからだ。物語が卓を囲む誰の思惑も越えて拡大するとき、魔法のような気持ちになる。その魔法を編むことは私たち次第で、私たちは即興という呪文を使える。

即興について語るといっても、面白い声を出したり、キャラクターに没入することの話ではない。それらは腕を磨けば確かに楽しいことだが、それらは私たちが語るものの中心ではない。語るべきは物語を進め続けるために必要で、予想外の事件やキャラクターがする決断に関係なく、それらが楽しみでありつづけるための技術だ。私たちはキャラクターに他の道へ行くよう強要せず、彼らの選択に基づいた適応をする。

即興は一生を通して伸びる技能だ。始めたばかりでも、40年間D&Dを続けていても、私たちは常にこの技能を伸ばすことができる。小技を得る。新たな技術を学ぶ。プレイヤーと新たな道を繰り返し見つけ出し、ゲームで発生する前には考えもしなかった大胆な考えを思いつく。より多くの即興でより上手くなり、それをするほどにより自信をつけ、私たちはそれを行なう。実行は良い即興の基盤になる信頼を構築する。

ルールへの熟練を投げる

D&Dのゲームを始めた君は、自分がゲームすべてのルールに圧倒されているのに気づくかもしれない。D&Dは運用が複雑なゲームだ。ルールの最終的な決定権者の役割を引き受けるかわりに、プレイヤーに助けを頼もう。サンダーウェイヴのダメージがどれだけか忘れてしまった? 自分でなんとかするよりは、むしろそれを調べてくれと頼んでみよう。プレイヤーがルールの質問に答えてくれるのをよりあてにするほど、彼らはDMのことを敵として考えず、DMは他のプレイヤーのように、物語の進展を見るためにそこにいるのだと理解する。

しかし、これはD&Dを運用する基本を理解することから君を解放するものではない。ルールに熟練する必要はないが、ゲームを難なく運ぶ程度には習熟するほうがいい。君がグループのためにそれを始める前に、終わりまで読む充分な時間を取り、ゲームがどう動くかを理解しておこう。

やらせることを学ぼう

即興でよくなるものの多くは、想定を捨てることから始まる。ゲームを計画して準備するために座るとき、私たちは頭の中でどうなるか想定していく。そして、卓についてみれば、計画した通りにはならないものだ。あまりに強くこの想定にしがみついてしまうと、私たちは物語の強制力によって驚きの機会を逃してしまう。私たちはビデオゲームを作っているのでも、映画を撮っているわけでも、小説を書いているのでもない。私たちはそこで展開する物語を体験しているのだ。

一般的に私たちが戦いが始まると想定しているとき、それは起こるが、キャラクターはそのかわりにどうやって潜在的な脅威との対話や、その他いくつかの方法で対立構造を破壊する方法を見つけようとする。キャラクターが小さなホブゴブリンの野営地に走り込むと言った。私たちは彼らが入って何体かのホブゴブリンと戦うことを想定するが、そのかわりに、彼らが戦団に加わるよう雇われた傭兵のふりをしたならばどうだろうか? 彼らが素晴らしい〈隠密〉判定の連続で野営地に忍び込んだとしたら? 彼らが大きなたき火で野営地の衛兵を誘い出したとしたら? 私たちにとって想定外だったかもしれないが、全員が面白い物語にたどりつくことができた。ただ対立を強制し、戦いを最初の場所で想定通りに戦闘を起こせば、私たちはそれに失敗するだろう。

キャラクターが探検するために面白い状況を構築し、彼らがそれにどう接するか想定を捨てて臨むのは、即興DMのための大いなる一歩だ。

質問して答えを聞こう

即興演劇を研究する人たちは多くの即興術が効くことから始まるといっている。プレイヤーが何を言い、それがどのようにゲームを買えることができるか聞いていないなら、私たちは即興をすることができない。ゲームを進めるもっとも簡単な小技の1つは、プレイヤーが答えるための質問をし、その答えをゲームの進行に使うことだ。

ここにいくつかの例を挙げる:

「マオ、君はどんなものがこの骨董屋で魅力に感じた?」

「ワーリン、君がチョルトの密林を旅するうちに、どんな面白い事件があった?」

「タイサブリ、君が街のドックで最初に気づいた3つのものは何?」

「デーヴァ、君はなぜドワーフの仲間をアンデッドの騎士から守ろうとする?」

君はこれらの質問のすべてが、より多くのものを引き出してキャラクターの操縦を助けると気づくだろう。それらはあまり一般的ではないか、制限がある。私たちはローグのマオがこの店に何かを求めていることを知っているが、何なのかを知らない。私たちはデーヴァが彼女の友を助けると知っているが、なぜ彼女がそうするかわからないかもしれない。「君はどうする?」など、前後関係なくあまりに漠然とした質問をするかわりに、これではあまりに重々しく物語を進めているように感じられるかもしれないが、楽しい道の下で物語を導いていけるかは私たち次第だ。

質問は、私たちをゲーム内のキャラクターに巻き込ませる。それは私たちがゲームを展開し、プレイヤーの望みを聞くことを手伝う。質問をしてその答えを聞くことは、私たちが頭の中に持っている物語から抜け出すのを手伝ってくれ、また、彼らが世界を旅するように私たちがキャラクターの物語を認め、理解し、受け入れられるようにしてくれる。

「そう、そして……」

即興演劇でもっとも一般的な話の種の1つは「そう、そして……」を巡る考えだ。この即興の技術は2人の間で考えを投げ合って絶えず受け入れ、その考えに「そう、そして……」と言っていく。時にキャラクターが不可能なことを試したいとき「いや、しかし……」がより適切だが、これはD&Dでうまくいく方法で、DMは選択肢を提供することもできる。多くのとき、これはプレイヤーの質問から始まるかもしれない。

「牢獄の鉄格子を抜け出せる?」

「いや、しかし君は鍵を持った衛兵が寝入り、彼のベルトの上にある鍵束がちょうど手に届く範囲だと気づいた」

これはD&Dの心臓部にある行き来する物語構築だ。DMは状況を描写し、プレイヤーは彼らが何をしたいか描写し、そしてDMはどのようにすればそれが可能なのかを描写する。「そう、そして」と「いや、しかし」を導入することで、ゲームに交渉が組み込まれる。危険を承知の上で目的を目指すキャラクターはどんな奴だろう?

本を読む

脳に偉大なフィクションを満載するのは、私たちの即興能力を向上させる。本、映画、TV番組、ビデオゲーム、これらのすべてはD&Dのゲームに素晴らしいインスピレーションを与えてくれる。しかし、即興のゲームではD&Dの本そのものが、ものすごい価値を持つ。モンスター・マニュアルには、正確な瞬間に君のゲームへ落とせる素晴らしい物語、フック、そして考えが詰まっている。君が他のD&Dの本で隅から隅まで読んでいないものがあれば、それを読もう。ダンジョン・マスターズ・ガイドには、インスピレーションを与える考えでいっぱいだ。特に、ゲームを準備している間、DMGのランダム表は素晴らしいインスピレーションを与えてくれる助けになる。ランダム表は型どおりの考えから脱却することができ、自分のゲームに対する斬新な考えを与えることができる。君が出版されたアドベンチャーを行なっているなら、前もって伏線を張れるようにそれを通読し、アドベンチャーの想定と異なる動きをするキャラクターを快適だと感じてほしい。

即興のメカニクス

私たちがD&Dのゲームを行なうとき、技能判定、有利、不利、そしてインスピレーションといった重要なメカニクスは状況を即興で造り、キャラクターに潜在的な行動を促すのを助けるように働く。これらのメカニクスは即興される状況を促進して手助けするために働く。これらは質問し、オプションを提供する考えとも一緒に働く。

君がこれらのメカニクスをまだよく知らないなら、何分かかけてD&Dのプレイヤーズ・ハンドブックか、D&D Beyondを読んでおくこと。

ゲームを行なうとき、私たちはキャラクターが目標を達成するための障害に勝とうとする状況を描写する。時に、キャラクターのやりたい行動が特に簡単なら、キャラクターはそのままそれをできる。しかし、それらが挑戦的なら、私たちはそれがどれくらい困難かに基づいた挑戦を難易度として設定できる。簡単だが失敗しがちな行動は10、そして本当に難しい挑戦は20だ。キャラクターが撮りたい行動と状況の難しさに従い、われらDMはこの難易度10から20の間を選択する。眠っている衛兵のベルトから鍵を盗むのは13だろう。牢獄の鉄格子を曲げるのは20だろう。

特に戦闘において、いくつかの状況では、私たちはプレイヤーに取引をもちかけることができる。ある技能判定に成功すれば、彼らは攻撃をする際に有利を得ることができると。たとえば、キャラクターが石のテーブルに飛び乗ってオーガの頭上に飛び込む、難易度13の〈軽業〉判定に成功する気があるなら、彼らは最初の攻撃の際に有利を得ることができる。失敗したなら彼らはテーブルの上を滑り、オーガの足下で伏せ状態になる。

こうした類いの取引は、DMからプレイヤーでも、プレイヤーすらDMでも、どちらででも有効だ。プレイヤーが驚くべきことをなしたいなら、私たちはそれを達成すれば彼らに有利を与えるよう、難易度を与えることができる。同じように、状況に若干の興奮をくわえるために、私たちはプレイヤーに彼らの行なえる潜在的なオプションに難易度を与え、成功するならば有利を得られ、失敗したなら不利を受けるというようにもできる。

最後に、プレイヤーがキャラクターに合った行動をしたり、物語を前に進めようとしたとみたら、私たちは彼らにインスピレーションで報いることができる。インスピレーションは後から働く変則的な仕組みだが、それは彼らのキャラクターに忠実な選択をして物語を前進させ続けるプレイヤーへの報酬として非常によく役立つことができる。私は個人的に、キャラクターが危険をおかすかそれを望んだとき、インスピレーションを与えた。

生涯の探求は続く

この記事は偉大な即興DMに必要なものの上っ面をかろうじてひっかいた。それを上手にするには、実践と実行あるのみだ。それが働くとき、私たちのゲームは本当に魔法のもの――私たちの誰もが考えてもみなかった、しかし共に構築できた――になる。将来の記事では、卓での即興に役立つ道具を含む、D&Dのゲームに役立つ道具のいくつかについて話そう。

著者について

マイク・シアはライター、技術者、ダンジョン・マスター、そしてウェブサイト『Sly Flourish』の運営者だ。マイクはフリーランスとしてウィザーズ・オブ・ザ・コースト、Kobold Press、Pelgaane Press、そしてSasquach Gamesで働き、『Lazy Dungeon Master』、『Sly Flourish's Fantastic Locations』、そして『Sly Flourish's Fantastic Adventures』を執筆している。マイクはバージニア州北部に彼の妻ミシェルと、彼らのダイアワーグ、ジェブと一緒に住んでいる。

DnD者以外もRPG者ならマスト読むべしレベルでアドリブ、即興についてを鬼のように客観視して言語化し、定型的な方法論にまとめてくれているコラムが『D&D Beyond』に掲載されていたので、少し時間が経ってしまったけど翻訳したですぅ。

RPGのアドリブや即興に即興演劇のメソッドを借りているところは多けれど、ここまで自家薬籠中の物にしてRPGへ寄せた話をできているのはそうそうないですぅ。


2021年05月15日 編集

§ [DnD][5e] アドベンチャー:谷に降りたる炎(2~4レベル)

Cの字混じりの小冒険三つ目ですぅ。

データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。ただし、一部のデータは私が自作したものなので、そちらの引用はないようにしてもらいたいですぅ。

また、現在イエローサブマリンさんに第5版用のアドベンチャー集『駆け出し勇者の小冒険』、そして新作の『冒険者夜話』を1650円(税込)にて依託中ですぅ。さくっと遊べるシナリオをお探しの方は是非ですぅ。

冒険の概要

この冒険は2~4レベル程度のキャラクター3~5人向けの短時間で終わるアドベンチャーである。

キヌチェンドンの町でミ=ゴの拠点、ヌファーラッツの谷を知ったキャラクターたちがそこへ向かうと、そこでは火の神クトゥグァの信奉者が御使いを喚び出し、殺戮を始めようとしていた。

キャラクターたちがこれに対処し、クトゥグァの司祭を撃退すれば冒険は終了である。

冒険への導入

ヌファーラッツの谷はキヌチェンドンの町から北西に300マイル先にある。60マイル手前までは駅馬車があり、8日で到着する。料金は24spである(宿代は別)。

谷の近くはシダ植物が増え、森のように鬱蒼と茂っておいそれと入ろうとする者を阻んでいる。その地帯を越えると、黒っぽい山肌の間に集落のようなものが見える。これがヌファーラッツの谷だ。

1.門番

谷の入口には普通の町と同じように市壁があり、その前には衛兵が2人いる。彼らは顔を隠した兜をつけ、体の線を隠すようなマントを羽織っており、かすれ囁くような声で共通語を話す。

衛兵たちはキャラクターたちを見ると、明らかに警戒した態度を取る。ハワードがいる場合は顔の利く彼が事情を話し、あるいはユンググラフトゥから貰った印形を見せれば、彼らは警戒を解いて谷へ入れてくれる。

ハワードもおらず、印形もない場合、入城税として1人1spを要求される。これは相場の10倍ほどだ。

衛兵の正体はミ=ゴである。

ミ=ゴ

中型・植物、中立にして悪


AC:16(外皮)

hp:27(5d8+5)

移動速度:15フィート、飛行30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
10(+0) 15(+2) 12(+1) 17(+3) 15(+2) 8(-1)

技能:〈医術〉+5、〈ペテン〉+2

ダメージ完全耐性:[冷気]

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉12

言語:共通語、ミ=ゴ語

脅威度:2(450XP)


アクション

複数回攻撃:ミ=ゴは爪で2回攻撃する。

爪:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[斬撃]ダメージ、および目標はつかまれた状態(脱出難易度10)になる。ミ=ゴは2つの爪を持ち、それぞれが1体の目標のみをつかむことができる。

電気銃:遠隔武器攻撃:攻撃+5、間合い20フィート、目標1体。ヒット:7(1d10+2)[電撃]ダメージ、および目標は難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行ない、失敗したら麻痺状態になる。目標は自分のターンの終了時にふたたびセーヴィング・スローを行ない、成功すれば麻痺状態は終了する。

2.谷の中

ヌファーラッツの谷はこの世界におけるミ=ゴの居住区の1つで、500人ほどのミ=ゴが生活している。彼らはフードのついたローブを目深に被って人型生物に見えるよう生活しているが、ぎこちない動きやキチキチと硬い物をこすりあわせるような独特の話し声は、何かがヒューマンの生活を真似ているような違和感がある。

この谷には普通の町で買えるようなものはだいたい購入できる。ミ=ゴ造りのアイテムもあるが、彼らは自分たちの技術が流出することを嫌っているため、信頼を得なければ手に入れることは難しいだろう。

ここにはシェブ・ン・カイ(共通語に直せば黒森亭ほどの意味)という酒場のような施設があり、食事を取りたかったり宿を求めているならそこを紹介される。この店で供される食事は発酵させた肉を煮込んだものなど、少々独特な物が多い。だが、ミ=ゴによるこの地の調査はかなり進んでいるため、食べても毒になるようなものは出されない。宿のベッドはどこかカビ臭い。

3.出火

キャラクターたちが谷を見て回っていると、中央にある広場の脇にある建物から爆発のような音と共に火の手が上がる。植物の性質も持つミ=ゴたちは大騒ぎになり、我先にと非難するが、炎は徐々に強くなっていく。

そちらへ向かうなら、「4.炎の中心」へ。キャラクターが躊躇してるようなら、勇敢なミ=ゴがファイアー・ヴァンパイア(後述)と戦っており、援軍を求めてもよいだろう。

4.炎の中心

火事の火元には異界の火の神格クトゥグァを崇拝する司祭ファルネがおり、彼女が儀式でクトゥグァの御使いたるファイアー・ヴァンパイアを呼び出している。彼女はクトゥグァと神話的敵対関係にあるミ=ゴの集落を焼くことで、すべてを焼き尽くす神の目をこの世界へ向けようとしているのだ。

ファルネはこの行ないを止めようとする者すべてにファイアー・ヴァンパイアを差し向ける。

司祭

中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性


AC:13(チェイン・シャツ)

hp:27(5d8+5)

移動速度:25フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
10(+0) 10(+0) 12(+1) 13(+1) 16(+3) 13(+1)

技能:〈医術〉+7、〈宗教〉+4、〈説得〉+3

感覚:受動〈知覚〉13

言語:任意の言語2つ

脅威度:2(450XP)


呪文発動:司祭は5レベルの術者である。呪文発動能力値は【判断力】である(呪文セーヴ難易度13、呪文攻撃+5)。司祭は以下のクレリック呪文を準備している。

初級呪文(無限回):セイクリッド・フレイムソーマタージーライト

1レベル(4スロット):ガイディング・ボルトキュア・ウーンズサンクチュアリ

2レベル(3スロット):スピリチュアル・ウェポンレッサー・レストレーション

3レベル(2スロット):スピリット・ガーディアンズディスペル・マジック

篤信:司祭はボーナス・アクションとして呪文スロットを1つ消費することで、近接武器攻撃を魔法的なものとし、ヒットした目標に追加で10(3d6)[光輝]ダメージを与える。この効果はターン終了時まで続く。司祭が2レベル以上の呪文スロットを消費した場合、1レベル上がる毎に1d6ダメージが上昇する。

アクション

メイス:近接武器攻撃:攻撃+2、間合い5フィート、目標1体。ヒット:3(1d6)[殴打]ダメージ。

ファイアー・ヴァンパイア

超小型・異形、混沌にして中立


AC:15

hp:22(9d4)

移動速度:飛行10フィート(ホバリング)


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
1(-5) 20(+5) 10(+0) 10(+0) 16(+3) 11(+0)

ダメージ完全耐性:[毒]、[火]

ダメージ耐性:[酸]、[電撃]、[雷鳴];非魔法的攻撃による[殴打]、[斬撃]および[刺突]

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉13

言語:-

脅威度:2(450XP)


陽炎:ファイアー・ヴァンパイアは何かを着たり運んだりすることができない。

照明:ファイアー・ヴァンパイアは半径30フィートに“明るい”光を放ち、さらに30フィート先まで“薄暗い”光を放つ。

異次元の火:ファイアー・ヴァンパイアはクリーチャーや物体の占める空間を移動困難地形として通り抜けることができる。物体の中でターンを終えたなら、5(1d10)[力場]ダメージを受ける。ファイアー・ヴァンパイアに触れたり、5フィート以内で近接攻撃をヒットさせたクリーチャーは5(1d10)[火]ダメージを受ける。また、ファイアー・ヴァンパイアは敵対的なクリーチャーの占有する空間に入り、その空間で止まることもできる。そのターンの最初にクリーチャーの占有する空間に入る時、そのクリーチャーは5(1d10)[火]ダメージを受け、発火し、誰かがアクションとして火を消さない限り、そのクリーチャーはそのターン開始時に5(1d10)[火]ダメージを受ける。

アクション

精髄燃やし:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い5フィート、目標1体。ヒット:9(2d8)[火]ダメージ、および目標の【耐久力】値は1d4減少する。これによって【耐久力】が0になった目標は死亡する。そうでない場合、この減少は目標が小休憩あるいは大休憩を取るまで回復しない。

結末

ファルネを倒せばファイアー・ヴァンパイアは消散する。キャラクターたちはこの場合でも倒したものとして経験値を得てよい。

クトゥグァ信者を撃退したなら、キャラクターたちはミ=ゴの信頼を得ることができる。

この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。