2009年01月01日 よしなに [長年日記]
§ [DnD][3.5e] 2008年12月21日
“オウル”イーグルオウルL型(秩序にして善、女性のハーフ・セレスチャル・ウォーフォージド、モンク4/ヴァリアント・ローグ4/ナイトソング・エンフォーサー4/オカルト・スレイヤー3)
“法術の伝道師”イルダーナフ(秩序にして善、男性の人間、クロイスタード・クレリック3/チャーチ・インクィジター2/パラノースティック・アポスル4/ルアサー1/ディヴァイン・ディサイプル4/コンテンプラティブ1)
“レイヴン”サーシャ・スベンツキ(中立にして善、男性の人間、ヴァリアント・コンジュアラー3/マスター・スペシャリスト4/マルコンヴォーカー8/パラノースティック・アポスル1)
リリシア・ド・ウィンストン(秩序にして中立、女性のハーフ・ヴァンパイア、オリエンタル・サムライ(フェニックス)4/ファイター4/ヴァリアント・モンク2/オリエンタル・ウェポン・マスター5)
知らないおじさん(秩序にして悪、男性のピット・フィーンド、来訪者18):サーシャがグレーター・プレイナー・バインディングで招請した。今回ついに……。
謎の擬似次元界に続いていた洞窟を進むと、行き止まりには螺旋を描いて上下に伸びる縦穴があった。イーグルオウルがそれを調べたところ、やはりここまで穴を掘ってきたと思われるパイロクラスティック・ドラゴンの鱗があった。だが、ヴァンパイアがいた研究室で倒したリリミックの力で変成したフロスト・ジャイアントのそれに似た状態の鱗も見つかり、かの竜も既にリリミックの下僕と化していることも予想された。
ジェム・ジャンプの焦点具を次元界の入り口近くに隠し、一行は遠吠えのような風音が聞こえる縦穴の下へと向かう。数百フィート下降したあたりで何者かを見つけた知らないおじさんはテレパシーでサーシャに合図を送り、イーグルオウルとリリシアが間合いを詰めたところで前方の変成したフロスト・ジャイアントに飛びかかると、奥の広間にいた変成した巨人と悪鬼が一斉に襲い掛かる。
広間の入り口に殺到した敵相手にリリシアの《大旋風》が閃き、ブロード・スポーン・フロスト・ジャイアントの《Final Strike》が煌めく。接近戦は不利と感じたのかスポーンたちは退がりながらエナヴェーションを撃つものの大勢は決しており、負のレベルを受けながら戦うリリシアと、負のレベルなぞものともしないイーグルオウル、そして呪文障壁を持つ知らないおじさんが広間を制圧するのには一分とかからなかった。
そしてこの時、イーグルオウルは悟る。“この宇宙”でウォーフォージドが造られたのは、かつて宇宙の外からリリミックたちが現われた時、彼らが操る力に耐性を持つ存在であったからだと。
全員が退避し、知らないおじさんが最後に残ったブロード・スポーン・フロスト・ジャイアントにとどめの一撃を加えると、轟音の後に静寂が訪れた。
広間の前方にはさらに大きな空洞が、侵入者の前に姿を曝している。そこを窺うため目を凝らしていた知らないおじさんが何者かの存在を認めたその時。
世界が軋った。
全て凍てつかせんとする恐怖と絶望が圧倒的な憎悪にそのかたちを変えて響き渡ると、リリシアはその声なき叫びに血を滾らせイーグルオウルに斬りかかる。
「間違いない。“大父”リリミック……!」
リリシアをプロテクション・フロム・イーヴィルで保護し、指先ひとつ動かさず次元を揺るがす旧き邪悪の前から撤退した。
「敵がいるのに無条件に撤退するのってアンチクライマックスじゃない?」
「確かに」
「でも撤退しないと弾が無いし、負のレベルもある」
「仕方ない、それじゃあ余興いきます。Discode and Woe発動、射程100マイル半径。意志セーヴ難易度30で」
「はい?」
次元界の入り口にジェム・ジャンプで戻り、ロープ・トリックで休息した一行は、グレーター・テレポートでふたたびリリミックの前に立つ。“大父”の横に控えるは、ブロード・スポーン・オールド・パイロクラスティック・ドラゴン。
サーシャが竜にフリージング・フォッグを放ち、戦端は開かれた。リリミックはふわりと浮き上がって移動しつつ、パーティにグレーター・ディスペル・マジックを撃つが判定に失敗し、ドラゴンのフリージング・フォッグに対するディスペル・マジックも失敗。リリシアとイーグルオウルはほぼ同時にリリミックへと踏み出し、伝説級の力をものともせずに116ダメージと52ダメージで一気に削り取る。次のラウンド、リリミックは暗黒の力で傷痕を塞ぎながらリリシアに魂を凍らせる攻撃を見舞い(Soul Chill)、ドラゴンもディスペルに成功するが、既に半分以上の体力を失っていたリリミックは、リリシアとイーグルオウルの反撃で星霜を超えて復活を試みていたその身を破壊された。
ドラゴンも粘り、リリミックの攻撃で弱ったリリシアを追い詰めたが倒すまでにはいかず、“父”を追うように打ち砕かれた。すると一瞬の間を置いて、場に満ちていた力が薄れ、部屋の真上あたりに収束するかのように次元界が縮み、消える。
地上に帰還したところで天体の動きが正常に戻っていることを確認すると、サーシャは他の仲間を離れ、知らないおじさんに耳打ちする。
「宇宙の秩序を乱していたリリミックは倒れ、善の連中も力を使い果たした」
「は」
「今こそ好機。が、念には念を入れなくてはならない。この兜を身につけろ。被ればお前は善の力から傷つけられなくなる。兜の力を受け入れるのだ」
「承知しました!」
疑うことなくサーシャの手から受け取った兜を両手で頭に被ると、知らないおじさんの体表が地獄の炎を映したような深紅から、清浄なしろがね色に変化する。知らないおじさんは兜の魔力で、混沌にして善の属性を持つきれいな知らないおじさんとして生まれ変わったのである。
「そろそろヘルム・オヴ・オポジット・アラインメント使う」
「さすがにそれは〈真意看破〉の対象となるとします」
「OK。〈はったり〉50くらい」
「はい無理ー」
かくして一行はきれいな知らないおじさんを連れてとこしえの灯火ともる山へと赴き、ポイニクスの聖地を守り手として彼を推挙し、おじさんもかつての悪行を深く悔い、いつか赦されるその日まで深秘へと手を届かせた賢者の眠る地を護ることを誓った。
一通りの処置を済ませた一行はヤゼインの蒼の塔まで戻るが、リリミックが倒れたことを知ってなお、司祭長は浮かない顔をしていた。
「どうしました」
「実は、先日の資料をざっとスカラーズ・タッチで洗ってみたのですが」
「またそんな
「いやこれが慣れると気持ちイイ。死の体験も良い経験でした。二度と御免ですが」
「ほんとに善?」
冗談を交えながらも目は笑わず、彼は続ける。
「リリミックの復活は彼らの本筋からしてみれば副産物に過ぎないと思います。恐らく、彼らはあそこで理論を実証しようとしていた」
「本筋?」
「その地で強い
今はそこまでしか判りません。そう言い、彼は沈黙した。
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