ネコぶんこ


2012年02月12日 リチャードが書いた初期のゲームでは、彼の知り合いが架空のキャラクターとしてゲームのストーリーに登場したが、バートルの「MUD」では、「作者の知り合い」とは「ゲームに参加した人々」だった。 [長年日記]

§ [DnD] 『クラス・デザイン:AssassinからWizardまで』要約(後篇)

『クラス・デザイン:AssassinからWizardまで(Class Design: From Assassins to Wizards)』(前篇)の続きで、後半に行なわれた一般参加者との質疑応答の要約ですぅ。

バーバリアンとクレリックはどうなる?
バーバリアンはおなじみの、激怒で多くのダメージを与えて多くのダメージを受けるものになる。クレリックは回復と指揮、回復と遠隔攻撃など、回復と何かのオプションで個性化される。
第1版のメイスとシールドで武装してパーティを助けるクレリックと、第2版のより神格と関係したオプションを持つクレリック。それら両方の特徴を持つ。おそらく信仰の効果や呪文は鎧に影響されない。
魔法のアイテムは次世代でどうなる?
魔法のアイテムは常にゲームの一部だったが、第4版では進行の一部になった。こうしたことでかつてのように探す楽しみが損なわれたため、キャラクタの成長と魔法のアイテムを分離して探索への報酬にしたい。
『Legends and Lore』のコラムで行なったアンケートの結果で驚いたのは、魔法のアイテムを店で売られないようにして欲しいという意見が多数派だったこと。もちろんそれも偏ったキャンペーンではあるが、魔法のアイテムとキャラクタの成長が不可分にならないようにしている。
魔法のアイテムはプレイヤやキャラクタの欲求でDMがクエストや目標を設定するものにしたいので、PCが作成することも可能だが困難なものにするという考え。
魔法のアイテムを前提にクラスのバランスは取っていない。それは探し求めるプレイヤのためにあるものだ。
マルチクラスはどうやって行なう?
どのクラスとも簡単にマルチクラスできるので、第3版の方法を考えている。これは常に考えられてきた。
ファイターはスタイルごとにフェンサーやデルウィーシュなど分割してクラス化してもよいのでは?
それらのクラスに固有の雰囲気と物語を与えられるきっかけがあればそうするだろう。回復できるクラスだって複数あるのだから。
ヴァンス風の魔法システムはウィザードに多くの呪文を与えるが、バランスや遭遇の作成についてはどう考える?
低レベルの能力や呪文の数をまとめ、高レベルのものに両替えする方法を考えている。これにより遭遇では質と量でバランスが取られ、どちらも同じくらい戦える。
パワー源は存在する?
キーワードなどでパワー源が明示されることは無くなるだろう。サイオニックのキャラクタ、原始のキャラクタというのはまだ存在するが、専門用語でそれらを説明しない。その代わりに自然な文章として説明する。
“秘術のパワー源”と書くことで「私は秘術呪文を発動させる」といわせてしまい、ゲームから君を遠ざける。秘術という言葉を使うことはあるかもしれないが、それが秘術クラスと直結するような使い方はしたくない。
旧版から多くの原型や象徴的なクラスを引き継いでいるが、次世代のDnDにもっとも影響を及ぼすものは?
すべてのクラスがあらゆる版を継ぐDnDを代表する象徴や原型であって欲しい。そのために物語は重要。
経験点と成長はどうなる?
物語の進行にしたがってすべてのクラスが同じように成長して欲しいので、成長に必要な経験点は全クラス共通。また、物語を第一に優先するのでグループごとに成長速度を変更できるようにする。
もちろん基本の成長速度は存在するが、それらの速度を調整するためのものをプレイヤ、DM向け双方に準備する。
状態異常をデザインする上での哲学はある?
現在は呪文やパワーにどこまで関わるかという問題を処理している。たとえば、パワー・ワード・スタンの呪文、これを朦朧状態として処理するのか? ただ、おそらくはそういう用語を参照させる呪文やパワーはそう多くないだろう。その前後で、状態異常の言葉を増減させる作業がある。
魔法が豊富な物語とそうでない物語、ハイ・ファンタジィとロゥ・ファンタジィ、それらのどこに軸足を置く?
魔法のアイテムは成長に依存しないので、DMが望む以外の魔法に触れられないようにもできる。また、ロゥ・ファンタジィや無力さを表現するために、成長に時間がかかるようにもできる。
罠や社会的要素が存在しないキャンペーンをどうやって扱う? もしできるなら、強いバードも存在する?
ダンジョン探検がほとんどで社会的要素が存在しないキャンペーンがあるかもしれない。そういう時は社会的要素の代わりに選べるほかのオプションがある。
ブレードシンガーとソードメイジのようなクラスは分割されたまま?
それらのクラスは物語によって分割される。現在はそのための作業をしている。
バランスに気を配って必須クラスを無くそうとしているのはわかるが、ローグ3人の場合、このテーブルではどうプレイする?
そいつは夢のある話だ。
どんなクラスもそれをやるのが義務であるようにはしたくない。だが、何かのクラスをやっていてよかったと思わせるオプションや事件はあっていい。たとえば、アンデッドと戦っている時にクレリックがいると、これは嬉しい。荒野を探検する時にドルイドがパーティにいると、幸せになれる。
ニンジャのように伝統的ではないクラスは新版の初期に出てくる?
現在進行しているのはあらゆる版の最初の『PHB』からクラスを再現することで、それ以上のことはまだ話せない。
ゲームの単純さ、戦術的要素はどうなる?
次のDnDで、君は現在の第4版と同じくらいのゲームをプレイすることができる。
成長について、線形のファイターと面攻撃を行なうウィザードの問題をどう解決している?
ウィザードはいつ大ダメージを出すか選ばなければならない。ファイアーボールで広範囲を攻撃できても、数には制限がある。ファイターにその制限は無い。色々な観点からそれを検証している。
オプションの入れ替えはそれを助けるもののひとつで、5d6で固定のファイアーボールより大きなダメージが欲しくなったらより高いレベルの呪文スロットを使う。
ファイターが誰かに16ダメージを与え、ウィザードが誰かに4ダメージを与えると、ウィザードはファイターをうらやましがる。2ラウンド目も同じことが起こり、ウィザードは同じことを思う。そして3ラウンド目にウィザードはファイアーボールで16や20ダメージを出してファイターより役立つ、この時はウィザードが注目される。このように、それぞれのクラスに見せ場がありクラスを使いたい理由が欲しい。

ここで時間いっぱいとなり、セミナは終了ですぅ。

このエントリ執筆にあたっては『D&D XP Seminar Chat Streams』、『Seminar Transcript - Class Design: From Assassins to Wizards』、Twitterの#DDXPタグなどを参考にさせていただきましたぁ。