ネコぶんこ


2014年09月17日 [長年日記]

§ [TRR][Oni] リプレイ『鬼の話~ミドルフェイズ:シーン9』

ミドルフェイズ:シーン9・星をつかみ取る者(十五郎)

GM:さて、これからどう動くかですが、十五郎はお倫の家に向かうんですね。 十五郎:はい。

三日月:私もお倫の家ですね。

銀次郎:あっしもそれについて行く感じで。

貞親:行きすがら話を聞いておきましょう。「で、お倫さんってのは美人なのか?」

十五郎:「ああ、良い女だ。ちぃとばかり影があると思ってたが」

GM:では、シーンプレイヤーは十五郎としましょう。

英傑たちはお倫の家へ夜の街を駆ける。

すると、木戸も閉じた刻限だというのにそちらから駆けてくる人影。

「新太郎、何があった!」

「た、たいへんだ。母ちゃんが」

泣きながら裸足で来たその姿で察し、十五郎は新太郎を担ぎ上げて長屋へと疾駆した。

GM:長屋の近くにある木戸が破られ、明らかにただならぬ気配を感じます。その筋のものなら妖気とでも表現する、人ならぬ気配。

十五郎:他の住人の姿は?

GM:何者かが《妖異結界》を使っています。人の気配はありません。

三日月:「……宵の口だと思って甘く見ていた…あたしの失態だ……!」

銀次郎:「どうにも嫌な匂いがしてきやがった。皆さん、気をつけなせぇ!」

十五郎:「な、なんだ? ごろつきや、そんなもんじゃないのか!?」

貞親:「良くないねえ……」 背中に隠していたエレキテルの取っ手を懐から引き出してみたり。

「……狒々男! ……こっから先に踏み込んだら、あんたまともな道歩けなくなるよ……これから相手にするのは、そういう連中なんだ……」

未来から過去へ。常に妖異との戦いを背負い続けてきた三日月は、只人としての十五郎に最後の忠告を行なう。

「覚悟があるなら、止めないけどね」

だが、彼女には分かっていた。ここで退く者は、α粒子の観測者として“宿星”から選定など受けるはずがないことを。

「そんなこと知るか! お倫さんが、新太郎のおっかさんが中にいるんだぞ!」

妖異の気配に圧されることなく、三日月の声を掻き消すように、まさに狒々のような咆哮が響く。

「姐さん、どうやらもう遅い。ここいらはヤツらの手の内ですぜ」

銀次郎も既に狼の相を出し、対妖異戦闘の構えを取っている。

向こうからぬるり、と流れ出してくる体を絡め取る気配の中へ足を進めながら、彼女は少し理解した気がした。

考えてはいけないのだ。先に動いた者プロメテウスの選択は常に後知恵エピメテウスの思慮よりも結果を残してきた。

だからこそ、より望ましい選択者のあらんことを。

それが“宿星”を創造した者たちの遺志だったのだろう。

三日月:「……止めても無駄なようだね。じゃ、こっから先、何を見ても驚かないどくれよ」

十五郎:軽口で返そうとするが、三日月の表情に思わず気圧される。新太郎を降ろして、刀を手にしましょう。

貞親:「おい、坊主をこっちに渡しておきな。あんたつっこむ気だろう」

十五郎:「有難い、平賀殿。……あんたはこの先に何があるかご存じなんだな」

貞親:「ああ、大体ね。たまにあることだが……あって欲しくはなかったな」

十五郎:エキストラの新太郎はシーン外ということでいいのかな?

GM:そうですね。《妖異結界》で無力化されてるので敵も積極的に危害を加えようとはしません。

十五郎:了解です。