ネコぶんこ


2012年04月30日 船の名前は“HMSブリタニア号”だ。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『ファイターのデザインが目指すところ(Fighter Design Goals)』

伝説と伝承

マイク・ミアルス

先週、私たちはD&D Nextのプレイテストを5月24日から公開すると発表した。今週、私はプレイテストで配られるものの全体像と私たちが何を得たいかについて少し話そうと思う。

プレイテストでまず最初に頒布されるものは基本のコアルールと厳選されたクラスと特技だ。私たちはファイター、クレリック、ウィザード、そしてローグと、ヒューマン、エルフ、ドワーフ、そしてハーフリングを公開する。テストの最初期段階では、私たちは君に作成済みキャラクターを提供する。

私たちはゲームの特定の部分からフィードバックを集められるように、あえて小さい規模で始めている。まず、私たちはコアルールを徹底的に検証してほしいと考えている。基本ルールでプレイしたりDMを行なってゲームが機能しない場所があるなら、私たちは当然ながらそれをより早いうちに把握しておく必要がある。

私たちはコアルールのフィードバックを集めながら、さらなるプレイヤー用のデータを公開していく。私たちは一そろいの作成済みキャラクターから始め、すべての人にゲームの序盤10レベルを体験してもらうためにそれらのキャラクターのレベルを上昇させていくつもりだ。そうした上で、私たちはまた逆戻りして君だけのキャラクターを作成するためのデータを公開する。

一般的に、プレイテストというのもは特定の事象について漠然として何もない状態から始まる。私たちはクラスや種族の文脈がゲームの中で適切に感じられるか、テーブルでプレイすることが簡単か、ゲームに存在する危険のレベル、そして基本的な行為解決の仕組みが柔軟かを確認したい。そしてその基礎が確立されれば、私たちはクラスからさらに詳細な特殊能力まで、プレイヤー用オプションを検討し始めることができる。

フィードバックから得られたものに従い、私たちは絶え間なく新しいコンテンツを野に放っていきたい。

なぜ私たちはすぐにゲームをすべて公開せずに段階を踏むのだろうか? 第一に、ゲームはまだ完成していないからだ。第二に、私たちはゲームのそれぞれの部分が完全にテストされることを確認していきたい。公開されるデータが小さければ、私たちが受け取るフィードバックはいくつかの特定のことがらに集中することが確実なものになる。それは私たちの仕事と君のテストの努力をより効率的にする。

それをふまえて、君が来たるプレイテストのパッケージで見ることになるものについての話をしよう。先週、私はクレリックについて書いた。今週はファイターのターンだ。

ファイターのデザインが目指すところ

ファイターは私が好きなクラスの1つであるため、私には少しのひいきがある。私はまたこのクラスがゲームにおいて常に呪文使いと比較すると常に少しの苦しみを背負っていたクラスだと考えている。ファイターはファンタジー世界の英雄をもっとも投影したもので、おそらくゲームで一番人気のクラスだ。したがって、私たちがファイターをよいものにするのは重要なことだ。

君は先週の記事に目を通して私たちのクラスに対する基本的な態度を知ることができる。私たちがファイターの要点と見ているのはこれらのことだ。

1.ファイターがもっとも輝くのは……戦闘だ!

これは明らかなことのように感じられるかもしれないが、ファイターは戦闘で一番活躍するキャラクターでなければならない。ほかのクラスは小粋な裏技、強力な呪文、あるいは他の能力を持っているかもしれないが、危なげなくモンスターを叩きのめしている時、ファイターはもっとも輝いているクラスでなければならない。魔法の剣は君を戦いで有利にするかもしれないが、同レベルのファイターはそれより確実に強い。ヘイストのような呪文はおそらく君により多くの攻撃を行なわせるが、ファイターはそれよりも多くの攻撃を行なうか、彼や彼女の攻撃はより正確さや強力さを持っている。

2.ファイターは魔法ではなく、修行と経験を力にする

ファイターは物理的な戦術と武器の業に熟達している。彼らはうまくやるために呪文やその他外部からの魔法の力を必要としていない。ファイターは地に足がついた定命の者の範疇で力を振るう。彼らは重力を反転させたりエネルギーの光線を放たない。

3.ファイターは神話、ファンタジー、そして伝説の中に存在する

上記の点をふまえて、私たちはファイターが扱う地に足がついた才の“地に足がついた”の文脈が神話、ファンタジーの設定においてのものだということを思い出さなければならない。ベオウルフはグレンデルの腕を引き千切って殺した。彼は後にほぼ独りで竜殺しをなしとげた。ローランは一度の会戦で400人のサラセン人を殺し、傷を負わせた。D&Dの世界で、熟練のファイターは一軍に匹敵する。君は武器を使うかなり地に足がついた存在としてファイターを認識すると考えていいが、それは誰も彼らを相手に無事ではいられないような抗し難い業なのだ。

4.ファイターは多才である

ファイターはすべての武器を使える。射手、騎兵、そして剣士はすべてファイターの領域だ。モンクは無手の業においてはファイターの業に匹敵し、レンジャーとパラディンもファイターの業に拮抗するが、ファイターというクラスは武器を選ばないのが特徴だ。

5.ファイターは不撓不屈のキャラクターである

ファイターはもっともヒット・ポイントを得るもっとも頑丈なキャラクターだ。ファイターの業は防御能力にもおよび、このクラスはもっとも重い鎧を着て良い盾を扱うことができる。ファイターの豊富なヒット・ポイントと高いACは多くのモンスターの攻撃を無力なものとする。

6.高レベルのファイターと高レベルのウィザードは等価だ

D&Dでは高レベルのファイターが高レベルのウィザードの小間使いであることがあまりに多かった。ウィザードが呪文を組み合わせ、特にウィザードが彼や彼女の呪文を続けざまに使うことで非常に強い敵やキャラクターとなることはあまりに簡単だった。ウィザードは小規模なオークの軍勢をファイアーボールコーン・オヴ・コールドの弾幕で消滅させるかもしれない。ファイターは同じことを剣戟に次ぐ剣戟で行い、ラウンド毎に寄せ来るオークを斬り倒す。高レベルで暮らすのバランスを取ることはおそらくファイターのためにもっとも優先順が高いことで、バランスをとることはD&Dをファンタジー、神話、そして伝説と調和させるために私たちが達成しなければならないことだ。たとえウィザードが彼や彼女の呪文すべてをファイターに解き放ったとしても、ファイターは傷を、降りかかる効果を受け止めた上で、戦い続けられる。

マイク・ミアルズ

マイク・ミアルズはD&Dリサーチ・アンド・デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。