ネコぶんこ


2014年04月21日 [長年日記]

§ [DnD][DnDNext][LnL] 『DMの仕事を楽に(Making the DM's Job Easy)』

マイク・ミアルス

アドベンチャーのデザインについて、ロールプレイング・ゲームのシステムはふたつの目的を補助している。DMがアドベンチャーとキャンペーンを準備するためにシステムを理解しなければならないのは確かだが、ゲームのルールはまた、アドベンチャーをまとめることが簡単か難しいかを決定する一因でもある。複雑なルールは通常、NPCのステータス設定、財宝の決定、そして遭遇の調整などで準備により多くの時間がかかるようになっている。DMがより多くのルールに対処する必要があればあるほど、セッションが迷走する間違いをおかしてしまう機会は多くなる。

これと対照的に、準備が楽で単純なルールは、DMがより多くを即興する余地すらある。D&D Nextで、私たちはそれをできるだけ単純にしようとした。D&D Nextのシステム全般は、d20+能力値修正+習熟ボーナスのロールであるとまとめることができる。この単純な骨組みはそのゲーム内で柔軟性を示すとともに、プレイテストで膨大なフィードバックを受けた。より重要なのは、その単純なコアの周囲を固めればよいので、私たちはゲームをデザインするうえでいくつかの鍵となる要素に集中できた。具体的にいえば、私たちはNPC、モンスター、そしてアドベンチャーのデザインを単純だがしっかりとしたものにしたかったのだ。

D&D Nextではプレイヤー・キャラクターのようにNPCを作成することも、モンスターのようにステータスを記述することも両方ができる。君がどちらの方法を使うかに関係なく、NPCには想定される財宝のレベルが存在しない。君は5レベルのNPCファイターに+1アーマーアミュレット・オヴ・ヘルス、高品質武器、そして一服のポーションを与えることを要求されることはない。NPCが持つ経験店はクラスによって得られる利益のみから算出される。

さらに、コアの魔法システムは高レベル術者の運用をより簡単なものにする。私のゲームの場合、私が普段使う術者はマジック・ミサイルファイアボールのように、2つか3つの調整された呪文を準備するだけだ。さまざまな呪文スロットから呪文を発動できるので、彼らは効果を記述することが簡単で、戦闘では何回もそれらを使うことができる。NPCの術者は多くの呪文を必要とせずに最大火力を開放することができる。非戦闘的な呪文の場合、私はいくつかのオプションを主要なNPCの情報は抜きにして一覧にしている。私は戦闘に参加するだけのNPCのために、呪文の完全な効果を準備することさえない。

第4版におけるモンスター・デザインの方法論をよく知っているなら、君はD&D Nextのモンスター・デザインの方法論を既によく知っていることだろう。しかし、私たちはその強さにおいてレベル1より低いモンスターがいるので、レベルよりは脅威度でモンスターを分類している。なじみのある言葉を使うのは、そうやって提供したほうが私たちが扱うものをより親しみやすい形で提供できるからだ。

第4版のモンスター作成の方法論になじみがなくても、このルールではゲーム内のさまざまな脅威度をはかるための試金石となるものを提供する。最小の努力でモンスターを作成するために君がやることは、目標の脅威度に合わせた設定済みのステータスを選ぶだけだ。そしてその脅威度での典型的な攻撃ボーナス、ダメージの範囲、あるいはセーヴィング・スローの難易度などの能力をいくつか、君の満足するまで追加できる。

このシステムはまた、第3版で使われていたものに似たモンスター作成方法もサポートしている。君はモンスターの能力値、ヒット・ダイスなどを、脅威度に関係なく選んでデザインすることができる。それが終わってから、君はそれに割り当てた数値に基づいて脅威度を算出できるのだ。

アドベンチャーの作成で、君は経験点の見積もりを立てて遭遇の数を考えていくことから始める。君は個別に遭遇を作成することも、その予算に合わせた既存ダンジョンの階層、あるいは即興で作成するための単なるガイドラインとしてもその数字を使うことができる。モンスターは経験点を持つので、モンスターとその他の脅威を見積もっていけば、君のマップ、君のNPC、そして君がアドベンチャーのために創造したその他の要素に合う遭遇のしっかりとした土台を手に入れられるだろう。

これらの創造的な要素――ルールよりむしろ文章と想像力によって駆動するゲームの一部――のために、D&D Nexでtは君が素早く楽に材料を準備できるようにするたくさんの表と段階的な指示を提供している。この方法は初心者にとって、従いやすい定型書式を提供している。古強者にとって、それは使うにしろ修正するにしろ多くの見本が詰まった出発点だ。

たとえば、ダンジョン作成のために私たちが仕込んだ材料で君はそれぞれの表から要素を抽出し、ダンジョンを作成して備えておくことができる。君が表から取り出すことができる最初のひらめきは、そのダンジョンがどこにあるか、その上に何があるのか、誰が建造したのか、彼らはなぜそれを造ったのか、そして現在は何がそこに住んでいるのかだ。他の表ではモンスター、謎、そしてその他の要素といった部屋の内容を含めたダンジョンのマップを、ランダムに創造できる。

この方法はDMに時間を節約する効果のあるアドベンチャーのデザインの骨組みを提供するものだ。類似のさまざまな道具でアドベンチャーのプロット、NPC、そして他の資源を作成するガイダンスになる。私たちがD&D Nextで目標にしているのは、キャンペーンとそれに含まれるアドベンチャーの運用と作成がこれまでより簡単にできることだ。強固なルールのデザインと役に立つDM用資源が合わさることで、D&D Nextはもっともあわただしくて時間のないDMでもキャンペーンを成功裏に運用できるのだ。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。