ネコぶんこ


2013年11月01日 [長年日記] 編集

§ [CoC] 『Chamado de Cthulhu』のクラウドファンディング開始

クラウドファンディングサービスのCatarseでブラジルの出版社Editora Terra Incognitaが、ポルトガル語版『クトゥルフ神話TRPG』、『Chamado de Cthulhu』の出資募集を始めているですぅ。

出資者募集は2013年12月25日までで初期目標はR$38000(レアル)、製品の完成は2014年4月予定、翻訳に使う原書は現行の第6版(日本語版と同じ)ですぅ。

現在のレアル相場はR$1が44円~45円程度、国外での送料はR$40~R$100を見積もっているけど相談が必要(PDF版は送料がいらない)ということですぅ。

各コースは以下の通りですぅ。

黄昏の犠牲者:R$11(無制限)――PDF版ルールブック。

電子の生贄:R$22(無制限)――PDF版ルールブックとこのキャンペーンによって追加されるサプリメントの電子版すべて。

初心の狂信者1:R$77(50名限定)――ルールブック、PDF版、サプリメントのPDF。

初心の狂信者2:R$88(150名限定)――ルールブック、PDF版、サプリメントのPDF。

狂信者:R$99(無制限)――ルールブック、PDF版、サプリメントのPDF版。

創造的狂信者:R$111(18名限定)――ルールブックの書籍版とPDF版、サプリメントのPDF版、このレベル以上の高額出資者のみに提供されるキャラクター、新たなクリーチャー、神格、異界のテクノロジー、教団、さらなる二目と見られぬような狂気めいたものを描いた少なくとも20ページのPDF『Compendio』がついてくる! このレベルの出資者はそのアイデアをTerra Incognitaに送れば、私たちはそれを元にして『Compendio』の製作を進める。送料込み。

新生せし狂信者:R$333(6名限定)――ルールブック、PDF版ルールブック、サプリメントのPDF版、あなたの作成したキャラクターをルールブック巻末に掲載する(半ページ分の完全なデータ)。

芸術の賞賛者:R$333(6名限定)――ルールブック、PDF版ルールブック、サプリメントのPDF版、ウォルター・パックスの描く半ページ大までの挿絵の原版。私たちはそのイラストが原版と同じ大きさでルールブックに印刷されることは保証しない。提供できる原画をイラストレーターが選んだ中から、出資者が先着順に選んでいく。

ぞっとする芸術の後援者:R$555(3名限定)――ルールブックとPDF版、サプリメントのPDF版、ウォルター・パックスの描いた半ページから1ページ大までの挿絵の原画。私たちはそのイラストが原画と同じ大きさでルールブックに印刷されることは保証しない。

大司祭:R$666(4名限定)――Violentinaのゲーム作家、エドゥアルド・カエターノの手による古の印がエンボス加工されたシリアルナンバーと(蔵書票に)サンディ・ピーターセンのサイン入りビヤーキーの革装(合成皮革)ルールブックとPDF版、追加されるサプリメントのPDF版、追加サプリメントすべての印刷版(あるいはルールブックを追加1冊)、暗い場所で光る公式フィギュア(古の印の破片数個)、書籍『A Arte de Cthulhu』。シリアルナンバーは先着順に与えられる。

狂気の著述家:R$999(1名限定)――大司祭レベルに加え、私たちはあなたのアイデアに基づき『クトゥルフ神話TRPG』基本ルール用に5000語までの短篇シナリオを製作(2013年12月末までにTerra Incognitaに送付すればルールブックに掲載できるが、そうでない場合は別添えのPDFとして発表される)し、挿絵を(2枚まで)つける。あなたはシナリオの作者としてルールブックにクレジットされる。そして、シナリオの英語版はケイオシアム社に送られて将来英語で出版される(出版日と形式については先方が決定する)。また、(2018年までに)あなたが設定した予定に従ってカリフォルニア州のケイオシアム社を訪問し、さらにケイオシアム社の社長、チャーリー・クランクの自宅でバーベキューをふるまわれる権利を得る。これはもっとも神話的献身が高い者だけが浴せる栄誉である(旅費と宿泊費は含まれない)。

狂える芸術の後援者:R$1111(1名限定)――ルールブックの表紙イラスト原本、加えてルールブックの書籍版とPDF、サプリメントすべてのPDFと印刷版、ウォルター・パックスが描いたルールブックの1ページ大以上の挿絵の原画。私たちはそのイラストが原画と同じ大きさでルールブックに印刷されることは保証しない。

不滅の後援者:R$2222(1名限定)――キャンソン紙(300g・30×42cm)に水彩色鉛筆で描かれたルールブックの表紙イラスト原画、ルールブックの書籍版とPDF、サプリメントすべてのPDFと印刷版。また、(2018年までに)あなたが設定した予定に従ってカリフォルニア州のケイオシアム社を訪問し、さらにケイオシアム社の社長、チャーリー・クランクの自宅でバーベキューをふるまわれる権利を得る。これはもっとも神話的献身が高い者だけが浴せる栄誉である(旅費と宿泊費は含まれない)。

追加ゴール

この企画でももちろんクラウドファンディングでおなじみの追加ゴールが設定されていて、それは以下の通りですぅ。

R$40000――『A Arte De Cthulhu』――Sketchbook.comでウォルター・パックスの『Chamado de Cthulhu』画集公開。表紙カラー、本文モノクロ、32ページ。2014年5月に発表。

R$41000――ペドロ・ジヴィアーニとカイラム・ハムダンのシナリオ――1920年を舞台にした5000語程度のシナリオ。2014年6月に発表。

R$44000――左道の書――アーカム・サナトリウム、ミスカトニック大学など、ラヴクラフト・カントリーの雰囲気を出す書類やレターヘッド集。もちろんみっつの年代に対応したキャラクター・シート、さらにはゲームを助けるためのちょっとしたもの(封筒入り22枚)も含まれている。初心の狂信者レベルから、すべての出資者はこの印刷物を手に入れることができる。2014年4月にルールブックと同時発送。

R$45000――ルチアーノ・ゲールのシナリオ――1920年のブラジルを舞台にした5000語程度のシナリオ。ルチアーノ・ゲールはブログMundo Tentacularの管理者である。2014年6月に発表。

R$48000――デニス・デットヴィラーのシナリオ――1920年を舞台にした10000語程度のシナリオ。作者についてもっと知りたいならhttp://detwillerdesign.squarespace.com/aboutを参照。2014年7月に発表。

R$51000――サンディ・ピーターセンのシナリオ――このシナリオは20年以上ゲームの仕事をしていなかった『クトゥルフ神話TRPG』の作者、サンディ・ピーターセンに仕事をさせるためのものである。http://en.wikipedia.org/wiki/Sandy_Petersenでサンディ・ピーターセンについて詳しく知ることができる。舞台は現代で5000語程度。2014年8月に発表。


2013年11月02日 [長年日記] 編集

§ [Ludus] ハロウィンから感謝祭へ

ブリタニアをうろつくのが死者やカボチャから七面鳥に変わることで秋の深まりを知るですぅ。


2013年11月03日 [長年日記] 編集

§ [DnD][4e][Dragon][Dungeon] DragonとDungeonの今後

各タイミングを逃して忘れっぱなしになっていたけど、Nextの準備をするためにDragonとDungeonは12月配信分(Dragon #430とDungeon #221)でしばらく休刊するとDragon #427で発表されたですぅ。


2013年11月04日 [長年日記] 編集

§ [DnD][4e][LnL] 『ウォーロックのデザイン(Warlock Design)』

マイク・ミアルス

D&D Nextの公開プレイテストから得られた最後のフィードバックを反映させながら、私たちはいくつかのクラスにも手を入れている。今週、私はウォーロックについて少し話そうと思う。

第3版の秘術大全で初めて姿を現わしたウォーロックは、その背景と魔法的能力を進化させ続けてきた。最初のウォーロックは無限回の魔法能力がずば抜けていた。ウォーロックは何度でも怪光線を使え、一日の呪文発動回数を気にすることなく蜘蛛のように壁を伝い、透明化や魔法で暗闇を見通すことができた。背景についていえば、このクラスはソーサラーに似て、その血筋から力を得ていた。だが、ソーサラーがドラゴンをその由来とするように、ウォーロックはその力の根源を次元界のフィーンドに求めることができた。

第4版になると、このクラスは背景をより明確にする方向へ進化し、Tome of Magicのバインダーというキャラクター・クラスの要素も吸収した。ウォーロックは秘術の力を血脈からというよりはむしろ、次元界や外宇宙のあるじと契約することで得るようになった。最終的に、新たなウォーロックは戦士大全からヘクスブレードというキャラクター・クラスの要素も取り込んだ。これによってウォーロックは秘術魔法で不思議な武器を創造して強力な近接攻撃を行なうことが可能になった。

D&D Nextで、私たちはこれらの方法論をコア・クラスへと戻し、完全な形で融和させた。ウォーロックはあるじ――外方次元界やその遥か向こうの力ある存在――を選び、彼らはキャラクターに秘術の秘密を伝授する。そのみかえりにウォーロックは何かを引き換えにしたり、この世界におけるあるじの部下として行動を行なうことになる。

ウォーロックの契約によってクラスの魔法は定義される。ウォーロックはその契約を剣、書、あるいは鎖から選ぶことができる。剣の契約はウォーロックに純粋な秘術の力による武器を生成できる能力を与える。ヘクスブレードから着想を得た剣の契約のウォーロックは、近接戦闘の強力な戦士となることができる。

書の契約は古代の秘密と神秘の知識を開放してくれる。この契約のウォーロックは秘術魔法を喚起し、キャラクターのあるじに基づいた形でさまざまな効果を与える。書の契約は他の契約よりも呪文に集中したものだ。

鎖の契約は次元界のクリーチャーをウォーロックのしもべとして召喚し拘束することができる。このクリーチャーはウォーロックの命令で戦場を駆け巡る強力な味方にもなるし、キャラクターの魔法を媒介するために使うこともできる。

これに加え、ウォーロックは何度も使える呪文の能力を持つ。ウォーロックは彼らが何度でも呪文の秘密を我がものとするが、ウィザードと比較すればウォーロックの呪文リストは非常にささやかなものだ。

若干の新たな趣向も加えるが、D&D Nextのウォーロックの全体的な方法論はこれまで存在していたものを包含しようとしている。クラスのデザインを固める上で、私たちは詳しいことをより煮詰める必要がある。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。


2013年11月05日 [長年日記] 編集

§ [DnD][4e][Dungeon] Dungeon219号(Dungeon Issue #219)

目次

編集部より:黄昏(Editorial: Twilight)
著者:クリストファー・パーキンス

ハロウィンの季節がやってきたので、私たちは今月たくさんのおそるべきものでそれを祝おう。

ステュクス仮面団の刃(Blades of the Stygian Masque)
著者:ウィル・ドイル

フィーンドの暗殺者ギルドは神殺しをたくらんでいる。多元宇宙の中にステュクス仮面団を止めることのできる存在はいるのだろうか? このD&Dアドベンチャーは25~27レベルのキャラクター用だ。

星触れの森(The Star-Touched Grove)
著者:タイラー・ゲルヴィン

“彼方の領域”に汚染されたドルイドの森を訪れよう。このD&Dの脇道用アドベンチャーは7~9レベルのキャラクター用だ。

エヴァードが残した影(Dark Legacy of Evard)
著者:リチャード・ベイカー

影魔法の達人、エヴァードは死んだ――本当に? デュポンデの住民は邪悪な力にとらわれ、町そのものがシャドウフェルへと引きずり込まれつつある危機にある。1~3レベル・キャラクター用のこのD&Dアドベンチャーは、店舗でプレイするD&Dエンカウンターズ・プログラム用に作成されたものだ。

先月分のDungeonがかなり遅れて公開されたですぅ。今月の『エヴァードが残した影』は、日本語版が日本公式サイトで無料公開されてますぅ。


2013年11月06日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 相変わらずぐにゃー

今日も今日とて中身が出そうなくらいにつぶれていたですぅ。


2013年11月07日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 無痛で採血

血液検査の採血を無痛でできないものかといろいろ調べまわり、注射をするときに麻酔をかけてくれるような病院は見つかったものの、保険が適用外のうえかかる病院をまた増やすことになりそうなのでやるかどうかはまた別の話になてきたですぅ。


2013年11月08日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 歩哨観測用人類

今日は蟲や小動物を誘う音やにおいを出す器官が発達し、口を開けていればそこに獲物が飛び込んでくるからそれを食べて生きながら数世紀単位で棒立ちのまま何かの観測や警戒を行なう歩哨観測用に調整された人類のことをぼんやりと考えていたですぅ。


2013年11月09日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] チャイナシンドローム婆さん

今日は道路や建物の陥没事故が近づくと近辺をうろつき、事故後忽然と姿を消す妖怪、チャイナシンドローム婆さんを思いつき、チャイナシンドローム婆さんが青白く光りながらも火事を起こさないのは陰火の一種だからだとか、チェレンコフ光の陰陽五行解釈とかを考えていたですぅ。


2013年11月10日 [長年日記] 編集

§ [Ludus] LucasArts『Star Wars: Tiny Death Star

今日はデス・スターを建造していくゲーム、『Star Wars: Tiny Death Star』を少し触ったですぅ。

住居を作って市民を入居させ、彼らを働く職場を作ってお金を貯め、新たな階層を作っていくという単純なつくりだけど、スター・ウォーズのドット絵キャラがかわいいので好きな人がマスコットぽく遊ぶのにはよさそうですぅ。

iPhone版はiOSの言語が日本語だと反乱軍のメンバー発見や逮捕の依頼を正常に受けられないバグがあるので、英語環境でやるのがいいみたいですぅ。


2013年11月11日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 血とられない

二ヶ月ほど採血に難色を示し続けていたら今日は血を採る話そのものが出てこなかったですぅ。


2013年11月12日 [長年日記] 編集

§ [CoC] 『Chamado de Cthulhu』のクラウドファンディングに追加レベル

Terra Incognitaのポルトガル語版『クトゥルフ神話TRPG』クラウドファンディングに、新たなレベルが追加されたですぅ。

創造的狂信者:R$111(22名限定)――ルールブックの書籍版とPDF版、サプリメントのPDF版、さらにこのレベルのみに提供されるキャラクター、新たなクリーチャー、神格、異界のテクノロジー、教団、さらなる二目と見られぬような狂気めいたものを描いた少なくとも20ページのPDF『Compendio』がついてくる! このレベルの出資者はそのアイデアを文書としてTerra Incognitaに送り、ともに創造をすることができる。

召喚の儀式:R$222(5名限定)――著者サンディ・ピーターセンの(蔵書票への)サイン入りルールブックの書籍版とPDF版、サプリメントのPDF版、さらにハングアウトかSkypeを利用してTerra Incognitaの創業者と自由な会話をするための権利。

仮想現実の儀式:R$444(5名限定)――著者サンディ・ピーターセンの(蔵書票への)サイン入りルールブックの書籍版とPDF版、サプリメントのPDF版、さらにTerra Incognitaの創業者は、あなたとその友人(5名まで)のためにハングアウトかSkypeを利用した8時間(4時間毎に分割)の『クトゥルフ神話TRPG』のセッション――恐るべき旧支配者(私たち!)が手ぐすねを引く――を準備する。


2013年11月13日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 宇宙都市

宇宙への序曲』を読みつつ、そういえば現行の宇宙条約では天体や宇宙空間は主権の主張や国家による取得の対象にならないので、スペースコロニーを国家の領土とするのはあまり筋がよくなく、他の人工衛星と同様に宇宙空間に存在する物体で、それを所有する企業や個人の私有財産としたほうがグレーではあるけどよりツッコミどころは少ないグレーになるんじゃないかとか考えていたですぅ。

この理屈は企業が国家運営などという利益率の悪い事業になぜ手を出すのかという理由も、宇宙条約では宇宙活動が最終的に国家への責任となるので、そのあたりも理由にした国家からの助成金などでごまかしが効くのでなかなかいい理由付けにみえてきたですぅ。

宇宙条約の拡大解釈で地球以外の天体に都市を建造する場合は、国連宇宙局などに租借料を払って租借地にすることを主権の主張や取得ではないと主張することも考えたけど、こちらはかなり苦しい言い逃れになりそうですぅ。


2013年11月14日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] ごくりごくり

錠剤を飲んだらうまく嚥下できず喉の変な場所に引っかかってしばらくじたばたしていたですぅ。


2013年11月15日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 体調低空飛行(いつも)

風邪が治っているのか治っていないのかあいまいな状態が続くですぅ。


2013年11月16日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 歴史ものと伝奇脳の恐怖

歴史ドラマや小説の題材にする人物には認知度の高い事件に多く関わっていることを求められる傾向があるけど、それならわざわざあてはまる人物を探すよりも、その時代のめぼしい事件に関わりながらも史書には名前が残らなかった人物を創造すればいいと考えるのが伝奇脳の恐怖ですぅ。


2013年11月17日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] がらがらになった

睡眠それなりにとってちょっとは体調上向いてたけど、セッションで喉ガラガラになってばたんきゅうですぅ。


2013年11月18日 [長年日記] 編集

§ [DnD][4e][LnL] 『優先順位のこと(A Matter of Priorities)』

マイク・ミアルス

D&D Nextのデザインを進めていくうえでは、RPGをデザインするうえでの基礎原則のいくつかを振り返ってみることにも価値があった。

もちろん、今の私たちはデザインの仕上げとそれらを形にしていくことでてんやわんやだ。プレイテストの最終局面で得られたものは好意的なものが実に多かった。それらを磨き上げる工程はまだだが、私たちは高い水準で承認されたと感じている。私を信じてほしいが、君たちはこれらの調査で辛口な批評家だった。私たちが一番最初に出したものからどのような道をたどってきたのか振り返るのもいいだろう。プレイテスターのみんなが常に高い水準で参加し続けてくれたおかげで、私たちは大またで前へ進むことができた。

さて、新たなデザインを君に見せることはなくても、私たちがD&D Nextを構築していく際に使った技術と方法論のいくらかを紹介するのは役に立つだろう。

優先度とバランス

ここでは私たちがデザインの過程で見据えていたもの、特に呪文使いと非呪文使いの仲間との間でバランスを取るためにどうやってきたかについてを紹介しよう。私たちが武器として選んだのは単純なオプションの優先順位付けだった。

D&Dの優先順位は、たとえばクラスや習熟のようなキャラクター・オプションの分類リストである。優先順位付けではリストの一番上にもっとも重要な要素を、一番下にもっとも重要ではない要素を配置した。D&Dを構成するものでは、クラスがリストの最上位に置かれ、種族、呪文、背景、そして特技が続いた。

この順位付けは“オプションAとオプションBのどちらが優先される?”という問題を解決してくれる。

私の選んだクラスが射手としてすばらしい能力を持てるようになるなら、特技の修得や呪文の発動でその能力を得られることがない限り、他の射手の能力を与えないクラスのキャラクターよりも良い射手になれる。クラスの優先順位は呪文や特技よりも高い。したがって、クラスは勝つ。

ゲームをデザインするとき、こうした順位付けはオプションの相互作用を理解する助けになってくれる。すなわち問題に答えを出し、衝突を解決し、デザインを決定する道しるべになる道具だ。これはそれらの関係性をはっきりさせることで、ゲーム全体の要素を形作る助けになる。

より重要なのは、優先順位をつけることであるクラスに割り当てた特徴がそのクラスの突出した特徴(あるいはそのオプションを必要とする他のクラスと関連づけられる)ものとなることがわかり、クラス・レベルごとのオプションや能力も整理できるということだ。

2種類のキャラクター・オプションがお互いに競合しても、どちらがより重要か把握できる。一般則として、ゲームのより重要な部分はそれと比較して重要ではないものに勝ってなくてはいけない。だがこれは一般則としてのガイドラインで、このルールは君にデザインの出発点を与えるものだから例外はある。

呪文発動を例にしよう。君が強力な術者になりたいなら、ウィザードやクレリックのようなクラスのレベルを上昇させなければならない。君は呪文発動能力を向上させるために特技を修得したり、生まれつきちょっとした魔法能力を持つ種族を選ぶこともできる。しかし、呪文発動の頂点に立つために君はキャラクター・クラスに投資しなくてはならない。

この例は当然のことだったり直観的だと感じられるかもしれないが、よりちょっとした違いしかないクラス特徴に目を向ければ、それはとても曖昧なものになる。レンジャーは追跡をすることができるが、すべてのキャラクターは追跡に習熟して特技を修得することで彼らの能力を強化することもできるので、それはよりよいものでなければならないだろうか? レンジャーは習熟を持つキャラクター並みに追跡できるべきだろうか? 習熟してなおかつ追跡に関係する特技を持っているキャラクターの場合は?

この線引きは簡単に割り切れるものではなく見極めも難しいが、オプションの順位付けは私たちがどれを重要視すべきか理解することを助けてくれる。これの場合、私たちは背景のオプションと特技の選択をいくつかつぎ込んだキャラクターにのみ、レンジャーは追跡で遅れを取ると予測している。レンジャー以外がレンジャーの占めている場所へ入るためには本気で努力する必要がある。

一方、隠密のようなものはより曖昧だ。旧版では、ローグが〈隠密〉判定を行なっていたときにウィザードはインヴィジビリティを使っていたかもしれない。D&D Nextで、私たちは隠密などの判定がローグにとってもっとも重要な――キャラクター・クラスを定義する助けとなる要素――だと決定した。こうしてローグが隠密をするためのオプションはクラスに内包され、インヴィジビリティの呪文がそれより便利になってはいけないことになった。クラスは呪文に勝つのだ。

ゲーム・デザインに関する他のすべてと同様、この工程の多くも科学よりは技芸寄りである。オプションの順位は役立つ道具であるが、拘束具やチェックリストではない。およそ1年前、私たちのチームは順位付けについてぎこちない理解だったが、仕事を進めるにつれてより直観的で明確なものになってきた。

この方法論でもっとも大きな利益は、呪文が非術者キャラクターの能力の影を薄くしそうになるとそれが明確になることだった。ほぼすべての局面で、私たちはローグやファイターのようなクラスの能力を強化し、呪文が提供する一時的な強さを上回るようにすることを選んできた。

他の大きな利益としては、カスタマイズのために柔軟なシステムを作成できたことだ。私たちはクラス・レベルによって使用可能になるオプションが上限になる限り、隠密のオプションに対する呪文発動、その他の特技、背景、そして種族といった下位のオプションのように目立ちすぎないようになると理解することができたのである。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。


2013年11月19日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] ごぼごぼごぼ

セッション後数日は疲れが残っているふうで体力の衰えを感じるですぅ(いつも)。


2013年11月20日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] おもしろTシャツ探し

ここのところ服が減ってきたので面白いTシャツはないかと通販サイト見ていたけど、見てるだけでさぱり買わないですぅ。


2013年11月21日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] さんすうという名の民俗

今日も喧しく繰り返される乗算の順逆論争を見ていると、民俗学要素の入った伝奇やSFでよくある、年月が経つにされて曖昧になり自分でも詳しいことはわからない物語を伝える語り部が若者から曖昧な部分を質問され、語り部が自分の知識や認識の範囲内で理屈をつけて質問に答えるうちに物語の意味が変質していき、そうこうしているうちにその村へやってきた別の伝承を持つ民や物語の原典を持つ探険家が驚いているような趣があるですぅ。


2013年11月22日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 異星人とのコンタクト

今日は異星人とファーストコンタクトをするためにフィボナッチ数列や素数を電波や外宇宙探査船に乗せて宇宙へ流していたら、地球が猥褻物を銀河規模で垂れ流す有害文明扱いされて異星人の文明から取り締まられるファーストコンタクトネタを思いついたですぅ。

異星人文明側からのファーストコンタクトの試みも考えたけど、地球にたくさんの隕石が落ちてきたと思ったら素数個ごとのグループになっていて、知的生物に理解されることを目的にした通信だったオチが出てきたですぅ。

もう一方で、ジャイアントインパクトや恐竜の大量絶滅などを発生させた隕石はいつどこで生まれるかわからない文明のために、地質学的タイムスケールで惑星というメディアにメッセージを刻むためのコミュニケイション手段だったという話にしても、スケールを大きくできそうでよさげですぅ。


2013年11月23日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 予定エンタングルメント

予定がひとつのタイミングにつまっていると実際よりも忙しい気になってしまうからあまりよくないですぅ。


2013年11月24日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] いろいろ一区切り

ちょっと区切りがついたのでなんとなく忙しい気分がひいたですぅ。


2013年11月25日 [長年日記] 編集

§ [DnD][4e][LnL] 『デザインの鋭さ――その1(Design Finesse—Part 1)』

マイク・ミアルス

TRPGデザイナを幸せな気分にさせたいなら、そのデザイナのゲームが美しいと言ってみよう。それは君がゲームに与えることができる最大の賞賛だ。それは「このゲームは世界的な陸上選手である上に天文学博士でセンスもいい」と言うことと似ている。美しいということは、君のゲームがただ遊べるというだけではなく、いい仕事をするということだ。

残念ながら、ゲームの構築で最初のうち、美しさはとらえどころのないものだ。それは料理に使う塩やニンニクのように、単純に加えたり減らすだけで味をつけられるというものではない。美しさは君のデザインへ向ける目、そしてゲームの中にいつどのようなルールを構築するか決断してきた仕事への取り組みで生まれる副産物だ。君は何かを取り除いたり加えたりして、さらなる複雑性によってゲームに美しさをもたらすことができるかもしれない。

美しさはとらえどころのない目標だが、決して達成不可能なものではない。私が美しさの探求をするときに好む道具は、鋭さだ。この方法論は努力、記録などのRPG関係の作業を最小限にする試みで、鋭いデザインには以下のような指針がある。

  • 問題の除去は可能な限りルールの除去で対応すべし。
  • 多くの問題を抱えたなら、いくつかの大きな変更で解決すべし。
  • それを必要としないプレイヤーは見なくてもいいルールをデザインすべし。
  • ゲームの流れとともにあれ、逆らうな。

除去による問題解決

私はこの問題解決法が好きだ。これは経験豊かなデザイナが紆余曲折を経てたどりつくところでもある。ゲームの一部が機能しないようなら、それを取り除こう。削除! 没! 『ドクター・フー』のダーレクはこれの第一人者だ。

これは必ずしも実践的な解決になるわけではないが、それが引き起こす問題を解決するためにルールを削除するのは協力な道具になりうる。これは君に思い込みへ疑念を抱かせ、RPGの本当に重要な部分へと無理にでも集中させる。

D&D Nextのデザインで、私たちはとても早いうちからこの方法論を利用してきた。“頑健”、“反応”、そして“意志”セーヴを記録して計算するのは、キャラクター作成の時間を増やし、あらゆるモンスターの解説に追加の欄を必要とさせる。セーヴィング・スローはゲームにとって明らかに重要だ――しかし、これまでそれを実装していた方法はあまりに多くの細かさや複雑さをゲームに加えていなかっただろうか?

この複雑さについて改めて考えてみれば疑問が浮かぶ――なぜ能力値をそのままセーヴィング・スローに使わないのか?この段階でゲームから専門用語は取り除かれ、テーブルでの速度も向上した。私たちはセーヴィング・スローはそのままに、その周辺にある多くの複雑なものを取り除いたのだ。

まな板に乗るかもしれないものすべてを台の上に準備してしまうと、君は効率性と使いやすさへとデザインの方向性を引きずられることになる。こうして君は複雑さはゲームの中でもDMとプレイヤーがもっとも多くのものを得られるところへ配分しなければならないものだと気づくだろう。

この配分を理解することは君が適切な部分をちょうどよく切り捨てるためにとても重要な役割を持っており、私たちは大規模なD&D Nextのプレイテストで多くのものを得てきた。私たちはどこを切り捨てればいいのか、どこをそぎ落とせばいいのか、どこを残せばいいのか、そしてどこを膨らませればいいのかについて、プレイテストの調査で得た洞察から見出してきた。

一発の弾丸、無数の標的

この標語は君のRPGシステム全体を君が強く制御し続けることを要求する。プレイテストのフィードバックを受け取ったなら、それぞれの要素に目を向けて一直線に働くのは簡単なことだ。材料はばらばらで、君はそれを固定したい。だが、一息ついて全体を見るのはよりよい方法だ。

送られてくるフィードバックがたまるのを待ち、そしてそこから動き始めよう。まず最初は、詳しく内容を見ないことだ。フィードバックを内容別に分類しよう。君はクラス、種族、そしてサブシステムごとに分類するかもしれない。問題がゲームの複数領域にまたがるなら、目印をつけてから両方の分野に分類しよう。

多くの問題点は単純に詳述が求められていることや、単純な編集で解消できる戦術上の間違い(呪文のダメージが多すぎる、モンスターの特殊攻撃をセーヴィング・スローできない)だ。だが全体像を見てみれば君が個別の問題だと思っていたものが、小さな問題が組み合わさってより重要なひとつの問題を示していることもあるだろう。

大問題――根本的なシステムの修正を必要とするもの――はこうやって複数の星の輝きによって見出される。このように、下位の問題すべてを個々に修正しようとすれば、根本的な問題はシステムのより深い場所へ身を隠すだけになる。

有利のシステムで非常事態が発生したのは、私たちがD&D Nextのもっとも初期のテストを行なっているときだった。以前の版で、大小さまざまな表にゲームのさまざまな局面で使える+1か-2の修正をまとめていた。有利(そしてその不吉な双子のきょうだい、不利)は覚えるのが簡単でロールの前後に適用しやすく、面倒な修正を丸呑みにしてしまえる十分な包括性を持っていた。

私たちはゲーム内のさまざまなペナルティとボーナスをどう実装するかについて多くの議論と意見――ひとつひとつの概念を単純に処理するか、より過激な角度から切り込むか――を重ねてきた。修正が引き起こした停滞を見れば、ゲームからそれらを除去することでより多くの問題を除去できるのは明らかだった。ゲームは速くなり、わずかな例外は記憶され、DMの記録すべきことは減り、そしてゲームはより初心者や複雑なルールをあまり好まないプレイヤーへ説明しやすいものとなった。

この事例もまた、あるルールがどうやって他のものと間接的に繋がっているかを示している。有利という発想の原点は第3版と第4版のアクション・ポイントだ。アクション・ポイントを使うことで、追加のアクションが得られる。君たちは攻撃を行ない、ミスしたからアクション・ポイントを消費してもう一度同じ攻撃を行なうこともあっただろう。アクション・ポイントはちょっとしたやり直しを可能にしてくれ、その概念はD&D Nextでは有利のシステムとしてボーナスの再ロールなどへと変化している。

この記事のその2で、マイクは簡略化と現実世界の法則を道しるべにするD&D Nextの鋭いデザインの探求について、機会攻撃を例に話を進めていく。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。


2013年11月26日 [長年日記] 編集

§ [CoC] 『Chamado de Cthulhu』のクラウドファンディングに二度目の追加レベル

Terra Incognitaのポルトガル語版『クトゥルフ神話TRPG』クラウドファンディングに新たなレベルと、出版社スタッフによるセッション権の販売が追加されたですぅ。

冒険する狂信者:R$111(無制限)――ルールブックの書籍版とPDF版、サプリメントのPDF版、このレベル以上の出資者へ提供されるそれぞれ20ページ以上のPDFファイルのシナリオ2本。ペドロ・ジヴィアーニとカイラム・ハムダンの『Melodia da Loucura』は1920年代を舞台に、宇宙的恐怖の声と取引した研究者、そして次元を超えてその手を伸ばす危険と戦うことになる。ルチアーノ・パウル・ゲール(Tentacular World)の『O Mausoléu do Faraó Negro』は1920年のエジプトを舞台に、大沙漠の砂に埋もれた驚異、そして同じだけの謎と恐怖と出会うことになる。2本のシナリオは狂気のクリスマス・プレゼントとして、出資募集の終了時(12月25日)に発表する。送料込み。

私たちはまた、君たちの正気に挑戦する新製品を発表する。

ゲームのセッション:R$137――Editora Terra Incognitaの創業者によるハングアウト(ビデオ・チャット)を利用したプレイヤー5名までの4~5時間の『Chamado de Cthulhu』のセッション。日時は参加者の希望優先。2014年内有効。


2013年11月27日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 久しぶりの肉

今日は鶏だけど久しぶりに肉っぽい肉を食べたですぅ。


2013年11月28日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 肉のボディブロー

今日は昨日食べた肉のせいかろくに食事ができなかったですぅ。


2013年11月29日 [長年日記] 編集

§ [DnD][4e][BoVD] 『不浄なる暗黒の書 第4版』日本語版発売決定

Book of Vile Darkness』の日本語版、『不浄なる暗黒の書 第4版』の発売が決まっていてどびっくりだけど、以前『BoVD』が発売されたときのプレビュウを訳したものを[BoVD]カテゴリに分けているので、改めて紹介しますぅ。

悪のPCについてのデータもさりながら、そこから派生するPC間対立についてのプレイエイドとしてもよくできているのでそのうち紹介のエントリ書けるようなら書くですぅ。


2013年11月30日 [長年日記] 編集

§ [Promiscuus] 70年代特撮の都市っぽさ

怪傑ズバット』1970年代の特撮が今日の特撮よりも都心っぽい場所で撮影しているように感じてしまうことがあるのは、主要なロケ地の中に淀橋浄水場跡地の再開発途上でまだ閑散としていたものの、現在も存在感がある三井ビル、住友ビルなどが完成していた時期の新宿副都心があり、それを今の目で見ると都会だと認識してしまう錯覚がありそうですぅ。

そうしたことを踏まえて考えると、昔はこんな都会でもロケができたという話も、今はこんなところまで都心になったと言ったほうが正しそうなケースもままありそうなので新旧比較というやつは因果なものですぅ。