2012年01月01日 彼は当時ARPANETにあった六〇台以上のホストマシン一台一台に向け、「crowther@(各ホストマシン名)」という宛先をでっち上げて電子メールを送りつけたのだ。 [長年日記] 編集
§ [Promiscuus] あけたらしい
さっそく地元の神社で初詣というものをしてきたですぅ。
2012年01月02日 「アドベンチャー」が及ぼした影響の大きさは、「あのゲームのおかげで、コンピュータ産業は発展が二週間遅れた」という冗談が出てきたほどだ。 [長年日記] 編集
§ [Promiscuus] 器買い
今日は久しぶりにプリンを器買いしてしまったですぅ。
§ [DnD][4e][Dragon] Dragon407号(Dragon Issue #407)
目次
編集部より:石巨人の勲(Editorial: Romancing the Stone Giant)
岩はいい。
D&Dの恋愛物語(D&D Love Stories)
君のゲームにちょっとした恋愛要素を加える時がきた。その前に、文芸作品から少し学ぼう。
キャラクター・テーマ:コアミアの英雄たち(Character Themes: Heroes of Cormyr)
フェイルーン随一の王国を守るために何ができるだろうか? 紫竜の騎士や戦闘魔道師になることができる。
王冠と外套:コアミアの階級と爵位(Crowns and Mantles: Cormyrean Ranks and Titles)
コアミアの貴族や将校と友誼を結ぶ前に、君は彼らの肩書きを熟知する必要がある。
祖国の剣:コアミアの宝剣(Swords of State: The Royal Blades of Cormyr)
愛さずにはいられないコアミアの名誉と伝統を象徴する剣の数々。
キャラクター・テーマ:国境執行官(Character Theme: Sentinel Marshal)
いにしえの盟約により、デニス氏族の国境執行官はコーヴェアの諸王国に法と秩序をもたらす。だがそれは簡単な仕事ではない。
ダーク・サンの目:僭王ハナクサマン(Eye on Dark Sun: King Hanaksaman)
彼は王のつもりでいるが、この世捨て人はその砂時計からかなりの砂をこぼしてしまっている。
エベロンの目:ヴァダリアとカーデン(Eye on Eberron: Vadalia and Cardaen)
愛しあう戦士である彼らが生んだヴァダリアのエルフたち、彼らの今日を追う。
レルムの目:驚くべき年代物(Eye on the Realms: A Surprising Vintage)
財宝が詰まった瓶の栓を抜こう。
いつも魔術師な私(Confessions of a Full-Time Wizard)
R&Dの“仕切り屋”は彼女の秘めた趣味をさらけ出す。
Dragon #406の目次を訳しましたぁ。今月はフォーゴトン・レルムのコアミア特集ですぅ。
§ [DnD][4e][Dungeon] Dungeon198号(Dungeon Issue #198)
目次
石巨人の近侍の窟(Warrens of the Stone Giant Thane)
ストーン・ジャイアントの両者は狂気に囚われてしまったが、英雄たちにとって彼がこうなったのは巨人の同盟を分裂させるまたとない機会だ。このD&Dアドベンチャーは14〜16レベル用で、ゲイリー・ガイギャックスの名作『Against the Giants』を元にした伝説級4部作アドベンチャーの2作目である。
酒場探訪:ジャガーバッドの空飛ぶ店(Tavern Profile: Jaggerbad Skyhouse)
その背中に酒場を背負ったドラゴン? 君もしっかりと体を固定して――これからかなり揺れることになる!
コアミア王族名鑑(Cormyr Royale)
摂政アルセア・オバースカイアとフォリル・オバースカイア王の宮廷を比較し、デイル暦1379年と1479年に紫竜の宮廷でどんな冒険が待っているかを見ていく。
背景情報:スザイル(Backdrop: Suzail)
陰謀と冒険で満ちた息を飲むような都市へ行こう。噂、祭り、名所、コアミアの首都にあるものすべてを楽しんでほしい。
こちらはDungeon #198の目次ですぅ。
2012年01月05日 「ゾーク」とは、ハッカーが未完成のプロジェクトを指すときに使う、特に意味のないスラングだったのだ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『異形(Aberrations)』
『モンスター・マニュアル』アップデート
このシリーズの記事は『モンスター・マニュアル』のモンスターを改訂するもので、彼らに更なる背景および物語を与えるものである。さらに、この記事はモンスターのステータス・ブロックを『モンスター・マニュアルIII』で改訂された書式に改めている。これらのモンスターはパワーおよび攻撃、ダメージ、そして防御値などのステータスに若干のアップデートがなされている。これらステータスの変化は『ダンジョン・マスターズ・ガイド』ルール・アップデートを反映したものである。繰り返しになるがこの記事はジバリング・ビースト、チュール、そしてグレルが含まれている。
ジバリング・ビースト
ジバリング・ビーストは狂気が生んだ肉のかたまりだ。“彼方の領域”の歪んだ精髄により、彼らは不定形で移ろい続ける恐るべき生命を得ている。ジバリング種との遭遇は不条理と混沌――世界のうちにあるべき場所を持たない、ひどく不安になる異質さを持ったクリーチャー――との直面である。ジバリング・ビーストとの遭遇を生き残ったわずかな者たちの中でも、正気を保ったままの者はさらにわずかである。
ダウンロード ジバリング・ビースト(323キロバイトのPDF)
チュール
孤独であることと人を食うこと、チュールはこの2つのみを求めている。このクリーチャーにとって幸いなことに、最初の望みが否定された時は、ほとんどの場合もうひとつが果たされるようになっている。チュールは少数の小型クリーチャーとしか平和裏に共存できず、彼らの地形に侵入することは非常に危険である。
ダウンロード チュール(311キロバイトのPDF)
グレル
グレルには2つの関心事がある。新しい土地に入植することと食べることだ。彼らの本能は数を殖やして彼らの支配する領域をより広げようとするが、彼らの理性は彼らにどんな肉食獣の群れよりも効率よく征服を行なう計画を立てさせる。グレルは異形のクリーチャーではおよそ中ほどの存在である。彼らはマインド・フレイヤーほど天性の陰謀家ではなく、キャリオン・クロウラーほど正気を失った獣でもない。彼らはヒューマンほどの知性を持っているが、異質な行動原理に従っているため彼らの多くは動物のように狩りをして生きている。
ダウンロード グレル(436キロバイトのPDF)
見直して抜けがあったジバリング・ビーストのデータと、鴨屋さんよりご指摘があったグレルのデータをそれぞれ訂正したですぅ(2012年01月12日)。
2012年01月10日 彼らは、自分たちが何を売ろうとしているのかもわかっていなかった。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『D&Dの道標(Charting the Course for D&D)』
君の声、君のゲーム
ニューヨーク・タイムズを読む多くの読者は、ダンジョンズ&ドラゴンズの驚くべき情報を知ることになるだろう。次世代のD&Dが開発中で、D&Dファンの皆さんが私たちとともに未来のゲームを形にする手伝いをしてもらおうという今日の発表ができるのは私たちにとって大きな喜びだ。
私たちの任務はこのD&Dを次に訪れる40年の礎になる活発で、成長性のある、刺激的なゲームにすることである。私たちがこの目標を達成するには、D&Dコミュニティが何を求めているか聞くことにある。私たちがより努力すべき事項にはプレイヤー側との接近もあり、は私たちは2011年の初頭に『Rule fo Three』や『Legends & Lore』などの週刊連載を開始し、毎週君たちの声をもらってきた。私たちは賞賛と非難をすべてのD&Dファンから貰い、どの版へのものかにかかわらず、私たちは受け取ってきた。
そういうわけで私たちは君とともに2012年の春、私たちは未来への第一歩を君と踏み出し、これから行なうゲーム・コミュニティ内の公開プレイテストで私たちが開発している新世代のゲームに対する意見を収集するために鋭意努力している。君の意見と情熱で、私たちはD&Dをよりよいものにできる。私たちはD&Dを唯一で特別なものにするためには不可欠なもののひとつ、健全で拡張性があり長持ちするD&Dのための基盤を作りたい。私たちはプレイ・スタイル、キャンペーン・セッティング、そして版の相違を超越した、D&Dの根源的なものでゲームの前面に押し出せるものを求めている。つまり、私たちは君が単純なものと複雑なものどちらを好んでも、、戦闘、陰謀、そして探検でも君が望む行動に焦点をあてられるものを求めている。私たちは間違いなくD&Dで、しかし簡単に君のD&Dにでき、君がプレイしたくなるようなゲームを求めている。
D&Dはファンタジー・ゲームのルールという以上のものだ。それはゲームのジャンルそのものを創造し、アナログとデジタルの両方でゲーム産業が形成されるのに大きな役割を果たした。生まれたゲームが成功したのは、想像力を呼び起こし、勇敢な冒険を幻視させ、不思議なものを見せ、そして語るもおぞましい恐怖をRPGファンのコミュニティに巻き起こしたからだ。それは数え切れないほどのプレイヤーとDMによって長い間もたらされてきた。君のものであるゲームが最高なのだ。
そのために、私たちは君に参加してほしい。私たちが自分たちに課した目標はけして楽でも簡単でもない。君をこのくわだてに巻き込むことで、私たちは全世界のD&Dゲーマーが望み求めるものを取れ入れたD&Dのルールを作ることができる。私たちはプレイヤーとDMが多彩なオプションから彼らの好きなように取り外しでき、D&Dファンをその中でさらに分類するよりは結びつけるように柔軟なゲームを作りたい。
私たちは従業員と彼らのゲーム・グループからなる限られた友人と家族でのプレイテストから意見を集めはじめ、まもなく私たちはそのグループの構成員を既存のプレイテスターに広げる予定だ。そして1月下旬に開催される恒例のD&D Experienceで、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは特別なプレイテストを行なおうために現在作業を進めている。2013年のD&D ExperienceはGen Conで行なわれるため今年はコンベンション特別版として、私たちは催しの出席者に新しいルールの草稿を提供したい。そして春ごろをめどに、私たちは公開プレイテストを開始する。私たちのウェブ・サイトで、私たちは君に吟味してもらい意見をもらうために、ルール、クラス、モンスター、そしてその他の素材を公開していく。私たちはちょうど先週にD&Dを始めたようなプレイヤーから、1970年代の前半から続いているようなゲーム・グループまで、できるだけ多くの人々から話を聞きたい。この作業において、私たちはすべてのD&Dファンと旧版プレイヤーのすべてから寄せられる声を聞きたい。
来年は刺激的なものになる。なすべき多くの作業があり、時間、やる気、そして興味をひいたものがあれば、君に参加してほしい。私たちは君とともに、ゲーム史上に未来のD&Dを作り上げることを切望している。
プレイテストが始まった時に君が参加するための通知を受け取りたいなら、ここをクリックして今すぐに登録を。
今すぐ登録(WotCのサイトへ)
あなたの電子メール・アドレスはウィザーズのプライバシー・ポリシーに基づき、があなたにD&Dのプレイテストを知らせるためだけに使われます。
また、君は他のゲーマーやD&Dのゲーム・デザイナが登録している公式グループのページで、意見や会話を交わすことができる。http://community.wizards.com/dndnext。
§ [DnD] ダイスを転がすプレイヤーが新生させる『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Players Roll the Dice for Dungeons & Dragons Remake)』
True believers have lost faith. Factions squabble. The enemies are not only massed at the gates of the kingdom, but they have also broken through.
2012年1月9日掲載
真実の信者は信仰を失った。派閥は争い。敵は王国の門に集まるだけではなく、彼らは突破してきた。
これは壮大な三部作のあらすじのように聞こえるかもしれない。だが、この状況は多くの人々がビデオ・ゲーム産業の祖父として尊敬しているファンタジー・ロールプレイング・ゲーム、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の発売元が直面している状況だ。ゲーマーはダンジョンズ&ドラゴンズのルール論争をする。何割かは幼年期の趣味を持っている。他は時代遅れのテーブルトーク・ファンタジー・ロールプレイング・ゲームから離れ、『World of Warcraft』や『Elder Scrolls』のようにきらびやかな電子の競争相手に流出した。
しかし、D&Dとして知られる『ダンジョンズ&ドラゴンズ』にも希望はあるかもしれない、この月曜日、ゲームの権利を保有するハスブロの子会社、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、2008年に発表されて議論を巻き起こした第4版に続く新版を開発中だと発表した。そして『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のデザイナもやはり、非常に珍しい計画を実行する予定だ。何十万ものファンに彼らがどう作品を再起動して欲しいのか訊ねるというのだ。
ゲームは「それがテーブルを囲んだプレイヤーが作り上げる唯一の娯楽経験で、すべてのゲーム・セッションは異なります」と、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の出版と権利を管理するリズ・シューは語った。「私たちはプレイヤーからの意見を汲み上げ、ひとつ上のものを作りたいので『私たちがルールを作るのを手伝ってください。私たちがプレイしてもらえるゲームを作るのを手伝ってください』と言いたいです」。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は、ゲイリー・ガイギャックスとデイブ・アーンソンが製作し、最初に商業出版されたロールプレイング・ゲームで、1974年に発売された。ゲームのプレイ風景は方眼紙に描かれた地図、オークやホビットのミニチュア・フィギュアに想像力を助けられ、“ダンジョン・マスター”と呼ばれる審判役が、魔法使い、戦士に無頼漢といった(『指輪物語』の)旅の仲間をまねた者たちの即興で語られる物語を進行させていく。プレイヤーは多面体のさいころを転がし、結果を決めるためにルールが書かれた大判の本を読む。それは『指輪物語』の映画のようだが、ゲームのプレイヤーはテーブルの上で彼だけのキャラクターを使えるというのが異なっている。
「D&Dロールプレイング・ゲームには人々が必要としている根源的な何かがある」と、ダンジョンズ&ドラゴンズの研究開発部門シニア・マネージャのマイク・ミアルスは言った――みんな自分だけの英雄伝説を語りたいのだと。1970年代から80年代にかけ、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は10代の黒魔術や自殺の原因となったという根拠のない告発を受けたが、カルトな人気からより大規模なものに成長し、生き残り、成功すらした。ゲームが生まれて以来およそ2000万人がプレイし、商品の売り上げは10億ドルにおよんだ。多くのコンピュータ業界人はかつてこの趣味に手を出したおかげで、今日のビデオ・ゲームには“洞窟を探検して怪物を倒す”という前提があり、借用される概念――アバター、レベル、開かれた物語、協力してプレイするゲーム――も『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が起源となるものだ。映画監督のジョン・ファヴロー、N.B.A.スターのティム・ダンカンや、俳優のヴィン・ディーゼルもこのゲームを愛し、このおたく的娯楽は流行に明るい人やアーティストの間で名誉の象徴にさえなったことを、NBCのコメディ『Community』は近頃の回で題材に取り上げた。
しかし『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は衰え、内憂外患に蝕まれている。同社は売上高を公表しないが、アナリストとゲーム専門家はゲームの売り上げ、そしてすべてのテーブルトーク・ロールプレイングのそれが、年毎に減少する傾向にあることを認めている。ゲーム会社Goblinworksの最高責任者でウィザーズ・オブ・ザ・コーストの前副社長、ライアン・スコット・ダンシーは、市場全体の山は1999年から2000年にかけてで、2005年以降は安定した減少傾向にあると語った。「私の印象だが、これはこれまでよりも遅い」と彼は言う。
『World of Warcraft』や、今一番熱く売れている『Elder Scrolls V: Skyrim』のように、プレイヤー(アバターとして登場する)に何エーカーもの素晴らしく描画されたデジタル風景を自分のものにさせる電源ゲームは、長い時間かけあらすじを書き、中つ国のような地図を描くことなく自分のものとさせるため、もっとも大きな打撃を与えた。
「あなたが魔物を倒して富と力を得た達成感を味わいたいなら、今日には多くの選択肢があります」とニューヨークで自身のロールプレイング・ゲーム、『Adventurer Conqueror King』を作るタヴィス・アリソンは語る。「70年代のダンジョンズ&ドラゴンズは町にひとつだけのゲームでした」
版同士の争いはゲームも傷つけた。さまざまなルール・システムが『ダンジョンズ&ドラゴンズ』38年の歴史で発売されてきた。Basic、Advanced、Advanced 2nd edition、3.0、3.5、4.0。特定の版への愛は狂信的ですらある。戦いはどうゲームをプレイするか――たとえば、ソーサラーはどう呪文を発動させるか――についてもファンたちの間で燃え上がった。
『フォーブス』のシニア・エディタであり『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の未来予想を書いたデヴィッド・M・エウァルトは、その結果ファン層が分裂したと指摘する。ゲームはグループで遊ぶものだと彼は言い、別のルールを使うプレイヤーと一緒に遊ぶことは慎重になってしまう。「考えてもみてください、組織的なバスケットボールのチームで、ポイントガードは現在のリーグ戦で使われているルールを厳守しているけど、センターは古代マヤ人のハンドボールで使っていたルールしか知らないんです」
N.B.A.が1979年に3ポイント・シュート制を導入すると純粋主義者は歪められたルール変更抗議した、多くのD&D信者は忘れているが、易しくなったゲームの第4版が発表された時も同じことがあり、Warcraftのように似たマルチプレイヤー・オンライン・ゲームに熱中し――そしてロールプレイと物語の本家である『ダンジョンズ&ドラゴンズ』以上にのめり込んでいった。『Pathfinder』のように他のロールプレイング・ゲームをプレイし始めた人々もおり、それは不満だったプレイヤーに支持された。『ウォーハンマー』のようなミニチュア・ウォー・ゲームやウィザーズ・オブ・ザ・コーストのトレーディングカード・ゲーム、『マジック・ザ・ギャザリング』も『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の優位を崩していった。
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは新版と意見の呼びかけを“心髄と精神”キャンペーンとし、プレイヤーを集結させようとしている。この戦略の眼目は彼らが何を新版に望んでいるか尋ね、日常的にゲームをしているグループに新しいルールをテストする機会を与えることだ。「我々にそういう熱狂的なファンがいるのは、本当に幸運なことです」シューさんは語った「そして我々は彼らが腕まくりをして助けてくれると信じています」。
オンライン・ゲームの趣味誌『The Escapist』の編集者、グレッグ・チトーはそんなひとりだ。「新版のための長い公開テスト期間は正しく使われるなら、正確にプレイヤーが感じたことをふたたびD&Dに汲み取れるでしょう」と彼は言った。
ルールの変更はブランドを維持することに関わる仕事のひとつである。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは既に(R.A.サルヴァトーレなどの小説家による)ファンタジー小説、コミックそしてボード・ゲームと、D&D宇宙の製品を安定して出版している。ゲームに何時間もの準備が必要だという先入観と戦うため、同社は国中のゲーム販売店で、D&D Encountersと呼ばれる飛び入り参加できるセッションを毎週開催しており、それは“学校や仕事の帰りに君のゲームをする”簡単な方法だと宣伝されている。
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは既にデジタルの領域へも進出している。『ダンジョンズ&ドラゴンズ・オンライン』は2006年にサービスを開始した。無料プレイが始まってから、このゲームは100万人以上の新規プレイヤーを得たことはD&Dの支持を印象付けるものだったが、『World of Warcraft』の1000万人以上にもなる有料課金者には及びもしなかった。『Dungeons & Dragons: Heroes of Neverwinter』というフェイスブック・ゲームはこの秋にサービスを開始した。また、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の入信者がオンラインでプレイできる“仮想テーブル”もベータテストが始まっている。
しかし、中核的ファンが要求する変化を満足させるか、プレイヤーが同社は単にプレイヤーに美辞麗句を並べ立てていると疑うようなら、新版は逆効果である。にもかかわらず同社は相変わらず卓上でプレイされるゲームに“全力で専念”するという。シューさんは言った。「人は誰かと一緒にいたいと思うからです」
確かに献身的なプレイヤーは、あなたにこのテーブルトーク・ロールプレイング・ゲームがコンピュータ・ゲームに勝っている一点、即興性を思い出させてくれるだろう。ビデオ・ゲームには限界がある。プログラマがそれらを開けるようコードを書いていないなら、ダンジョンにある扉のいくつかは開けることができない。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』はそこで何かが起こりえるゲームである。
『コール・オブ・デューティ:モダン・ウォーフェア3』や『ポータル2』は日の当たる場所でわが世の春を謳歌しているかもしれないが、「それらは生きたダンジョン・マスターがプレイヤーに投げかけるスリルと比較できるものではない」と最初にD&Dを出版したTSR社の元副社長で、ゲーム・デザイナのジェームス・W・ワードは電子メールに返信してきた。「あなたや友人たちがテーブルを囲んでM&M'sや他の菓子をつまみながらキャラクターの成長を楽しむのは、なかなか真似できません」
たとえプレイヤーが彼らのiPadを持ってくるようになってきても、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のルールブックが表示され、ゲームをするテーブルの上にあるだろう。
こちらはDnDの新版開発開始を伝えるNew York Timesの記事で、あまり詳しくない人向けへの紹介や、合衆国で現在DnDがおかれている状況が書かれているのが興味深いですぅ。
§ ゴルフ [Hello are using Wordpress for your site platform? I'm new ..]
§ デジカメ おすすめ [Howdy! I could have sworn I've been to this blog before bu..]
§ 防犯カメラ 無線 [I'm not sure exactly why but this blog is loading incredib..]
§ jeremy scott [Excellent blog! Do you have any tips for aspiring writers?..]
§ ナイキ [I was wondering if you ever considered changing the layout..]
2012年01月12日 ただ、自分たちのことを「頭がよく、独創的で、世界に向かって何かを売り出すという遊びができる人種」ということだけはわかっていた。 [長年日記] 編集
§ [DnD] 『D&Dの霊:過去(The Ghosts of D&D: Past)』
グレッグ・チトー|2011年12月26日、午後11時Sitting around a table pretending to be human fighters and elven mages delving through dungeons in search of loot and fame hasn't been a favorite pastime for fantasy fans for all that long. The first tabletop RPG was released a mere 37 years ago, in 1974, but there are now more roleplaying games on store shelves than ever before, - covering every niche of geek culture from the superheroes of Mutants & Masterminds to character-based "story-games," to space exploration in Traveler, to games that meld all genres like Rifts. Through it all though, there was one game to rule them all - Dungeons & Dragons - and even though the rules were revised over the years, the majority of the fantasy-gaming audience have used whatever edition of D&D was currently available.
テーブルを囲み、財宝や栄光を求めてダンジョンへ向かう人間の戦士やエルフの魔法使いを演じるような余暇の楽しみは、長い間ファンタジー・ファンに存在しなかった。最初のテーブルトークRPGが発売されたのは1974年、ほんの37年前のことだが、現在は店の棚にかつてないほどロールプレイング・ゲーム――スーパーヒーローのキャラクターを基本にした“物語ゲーム”の『Mutants & Masterminds』、『トラベラー』は宇宙探検、あらゆるジャンルをごった煮にした『Rifts』というゲームもある――が並び、ほとんどのニッチなおたく趣味を範囲に入れている。しかし、それらすべてはひとつのゲーム――『ダンジョンズ&ドラゴンズ』――が支配しており、たとえルールが長年改定され続けても、ファンタジーゲームの愛好家は現在までに出版されたさまざまな版のD&Dを使ってきた。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の公式に対する信頼は史上最低となった。プレイヤーはさまざまな集団に分裂し、敵意を込めて彼らが信仰する“真の”D&Dを主張している。
これは2008年、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の第4版が発売された時に変わった。呪文の記憶や属性のような多くのゲームを形作ってきたものが、現代化と合理化の名の下に切り捨てられた。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の公式に対する信頼は史上最低となった。掲示板で、コンベンションや地元のゲーム店で、プレイヤーはさまざまな集団に分裂し、敵意を込めて彼らが信仰する“真の”D&Dを主張している。
RPG業界の現状を理解するためには未来に目を向ける前に、D&Dの過去と現在に起こった重大事件を理解することが必要だ。『クリスマス・キャロル』のエベネーザ・スクルージのように、この趣味がどこから来たのかをよりよく理解するため、RPG史の霊に今日の卓上ゲーム業界と未来の顔を案内してもらおう。
過去のD&Dの霊
はじめ、ルールは1つだけだった。デイブ・アーンソンがゲイリー・ガイギャックスのウォー・ゲーム『Chainmail』を、キャラクターの小集団がモンスターと戦うためにルールを拡張したのだ。ガイギャックスはそれらの変更を取り込んで『Dungeons & Dragons』と呼ばれる白い箱入りのセットを作成した。彼は後にルールを改定して、1978年にそれらを彼の会社であるTSRから『Advanced Dungeons & Dragons』として出版した。TSRはD&Dのために出版された追加要素との整合性を取るためにコア・ルールにかなり変更を加え、新しいAD&Dの第2版を1989年に出版した――この動きはいくらかのプレイヤーに歓迎されたが、他の多くはさめてしまった。1990年代の迷走はTSRを倒産寸前に追い込んだが、しかし、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストが介入してゲームは生き残り、2000年にはD&Dの版がもうひとつ出版された。この新版は売り上げを伸ばすだけではなく、旧版の問題を多く解決した。2003年には、第3.5版と呼ばれる若干の改善を加えたもうひとつの版が出版され、そして2008年にはもっとも愛されたロールプレイング・ゲームはさらにひとつ版を重ねた。この時までにD&Dは多くの人が手を加えて多くの想像力を取り入れ、第4版のプレイ感覚はガイギャックスとアーンソンが35年前に創造したものとはほとんど似つかないものになった。
彼は出版社のCEOよりゲーム・デザイナに向いていたため、ガイギャックスにはゲームとの困った関係があった。80年代、彼はもっぱら『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のアニメを製作することに心奪われ、TSR内の派閥は彼から会社の指揮権を奪った。残念なことに、TSRはガイギャックスを欠いた出版がうまくいかず、D&Dの出版元が倒産の危機に瀕していた1996年、『マジック・ザ・ギャザリング』の権利者――ウィザーズ・オブ・ザ・コーストがTSRを買収した。もはや彼はゲームの権利を所有していないにも関わらず、ガイギャックスは趣味に打ち込み、2008年にみまかる直前まで可能ならばいつでも掲示板に書き込み、コンベンションに出席していた。
1999年にウィザーズ・オブ・ザ・コーストがおもちゃ会社のハスブロに買収された時には、既にテーブルトークRPGの多様な趣味のグループを結びつけるために第3版を作成する計画が存在した。「諸君の顧客はAD&D第1版、AD&D第2版、5種類以上のストーリーテラー・ゲーム、FASAのゲーム数種類、『ガープス』、『クトゥルフ神話TRPG』、『Deadlands』、『Legend of the Five Rings』をプレイする人々だ」1997年から2001年までウィザーズ・オブ・ザ・コーストの卓上ゲーム部門、副責任者のライアン・ダンシーは言った。「パーセンテージでいえば、第2版が30%、残りすべてで70%ほどだ」
「我々が開発している第3版最大の競争相手はAD&Dの第1版と第2版で、他社のゲーム・システムでないことは明らかだ」
「我々が開発している第3版最大の競争相手はAD&Dの第1版と第2版で、他社のゲーム・システムでないことは明らかだ」ダンシーは続ける。「第2版が苦戦したのは、第1版のプレイヤーが十分に移行しなかったからだというのは明らかだ」
これらの集団すべてを同じゲームの傘下に参集させるため、ダンシーには現在のロールプレイング市場へ至る流れを最終的に決定づけることになるイカれた考えがあった。「私はライアン・ダンシーがRPG部門のR&D全員を召集した会議へ向かうのを覚えているよ」とはD&D第3版クリエイティヴ・ディレクターのひとり、マイク・セリンカーである。「ライアンと彼のチームは、まるでリンチをするための材料を見つけたといわんばかりの勢いで、羊たちの前に出てきたんだ。ライアンはコンピュータのオープン・ソース運動や書籍出版の未来などについて話し始め、ついに本題へ切り込んだ。『つまり』彼は続けた『我々はD&Dのシステムを無料で開放することを考えている。ほぼ誰でも我々のゲームと文章を使ってさまざまなものを出版できる。彼らはそれを複製したり印刷してもいい。他のゲーム出版社は我々のルールを使い、彼らの設定を再出版することができる。君たちはどう思う?』」
「部屋は水を打ったようだった。そして、私は部屋の片隅で『私はそれがこれまで聞いた中でもっとも素晴らしいことだと思う』と言ったよ」セリンカーはその後激しい議論が起こったが、結局は全員が「このイカれた考えに賛成したのさ」と振り返る。オープン・ゲーミング・ライセンス(OGL)はこの部屋で生まれ、権利文は基本的に誰にでもD&Dのコアとなるシステムを使ったコンテンツを作成することを許した、非常にゆるい著作権の規約となった。
「私たちは(第2版と第1版の断絶を)繰り返したくなかった、(不可能な)100%の乗り換えを目標に挑戦していた」とダンシーは言う。「OGLはそれを可能にする――ウィザーズが時間や方向性の違いから実現できないニッチを、何百人もの開発者が満たしてくれ、第1版や第2版のプレイヤーが望むコンテンツも多く含む――大きな要素だった」
はたして2000年の第3版に加えて出版されたOGLは、RPG業界がかつてなく成長する呼び水となった。OGLは簡単にD&Dのようなヒット・ポイント、何百もの呪文とモンスターなどのルールを使える上――公式にOGLを使用したD&D互換商品が――お墨付きを与えられてゲーム店の棚に並んだのだ。
「D&Dのコア部分はほとんどオープン・ゲーム・ライセンスで発表された。WotCはビホルダーやマインド・フレイヤーのようなモンスターいくつかは手元に残したが、D&Dの中枢となるほとんどの部分は誰でも合法的に二次使用が可能だった」とGreen Ronin Publishingの社長、クリス・プラマスは言う。Green Ronin社はスーパーヒーロー・ゲームの『Mutants & Masterminds』など既存のRPGすべてのOGL版を作成し、かなりの利益を得た。
OGLとD&D第3版は確かに成功した。「(第3版は)初期に第1版が出版されてからもっとも成功したRPGだった」とダンシーは語る。「コア・ルールはAD&D第2版より多く売れた。私は成功の理由がOGLとOGLが生んだプレイヤーのネットワークによる支援が成功の要因だと考えている。『Comics & Games Retailer』誌が集計した、2007年の売り上げ第10位までのRPGでは5作がウィザーズ・オブ・ザ・コーストの出版物かOGLを使用したものだった。さらに、OGLはより小規模な会社や個人さえ、彼らの作品を世に問えるようにした大転換だ。なぜならOGLは、システムの細かいところを再発明せず、新しいアドベンチャー、ダンジョン、そしてキャラクターを創造することにゲーマーを集中させるからだ。
もちろん、OGLで作成されたすべてのモジュールやサプリメントが一定の品質や輝きを持っているというわけではなかった。「多くの卸業者と小売業者はすべてのd20商品が似た品質だと仮定していた」とは第4版のデザイン・チーム責任者をビル・スラヴィセックとロブ・ハインソーがデザイン&デベロップメント・マネージャーとして引き継ぐ前に担当していたアンディ・コリンズである。「表紙にちょっとでもヴァンパイアが出ていたら、どんな本も『Twilight』なみに売れると考えるなんてちょっとおかしいけど、あの頃はそんな時代だったんだ」いくつかの“公式”D&Dの表示がある新製品もブームに乗って数を増し、この業界はにわかに何百もの新製品でホビー・ストアの棚を占有した。
「ウィザーズは1億ドルのブランド――『マジック・ザ・ギャザリング』――を擁している。ハズブロはこれをふたつにしようと、D&Dをその規模まで強化しようとした」
あらゆるブームには翳りが訪れる。2000年代初期から供給過剰だったd20製品の在庫は、それらが助けてきた『プレイヤーズ・ハンドブック』のような、D&Dのコア製品ごと店の棚の負担になり始めた。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは第3版のルールと製品展開では大全シリーズのようなものを好んでいたが、『Psionics』のようにわずかな例外を除き、それらがオープン・ソースのコンテンツとして発売されたことは無く、他社がOGLで開発した素材をD&Dの公式製品へ取り込むことも無かった。
「D&Dはその二次的な書籍――たとえばクラス本、設定本、あるいは他のルール・サプリメント――の売り上げに支えられている。それらがどんどん増える(ゲームのこれまで出たどの版よりずっと)ようになり、顧客は限界へじりじり近づいていった」D&D第3版時代にクリエイティヴ・ディレクターだった、エド・スタークはそう言う。「そして、消費者はそれぞれ新刊を全部買い始めると、次は彼らが何をコレクションに加えるか厳選する段階になる。売り上げは落ち――本の品質さえ保てればそうでもないが――知識の蓄積と関連商品の新規需要をもたらすため“リセット”が必要になる」
ゲームのファンにとって第3版からそれをいくぶん改定した第3.5版が衝撃的だったのと同じくらい、市場からの圧力は高まってきた。最初はハズブロが持つ資源の助けを借りていたウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、D&Dによって利益を得ることを迫られたのである。2000年代半ば「ハズブロはもっとも成功したブランドを中心に内部改革を行なった」とダンシーは言う。「年あたり5000万ドルから1億ドルの収益をあげたブランドは“重要”だと判断され、より少ないブランドは放置されそうになった。放置された部門の人員は減らされる。それらは凍結されたり、売られることもあった」
悲しむべきは、D&Dが危険な状態だったということだ。「ウィザーズは1億ドルのブランド――『マジック・ザ・ギャザリング』――を擁している。ハズブロはこれをふたつにしようと、D&Dをその規模まで強化しようとした」ダンシーは続けた。「D&Dは年あたり5000万ドルに満たない事業で、現状のままではそれを超えられそうになかった。ウィザーズのRPG部門で働く人たちの反応も理解できるだろう――彼らは自分たちの職に危機感を覚えたのだ」
ロールプレイング・ゲームとD&Dをより大きな事業に成長させたいという目標はすばらしいものだろうが、ウィザーズの経営陣はそれをどうするかで割れた。2004年の『World of Warcraft』のようなファンタジーMMOの大成功は、ファンタジーRPGの潜在顧客を示唆していた。彼らを満足させるもっとも愛されたゲームの新版は、D&Dプレイヤーの増加を新しい段階へ向かわせるかもしれない。OGLとその成功についても会議で熱く議論されたが、実行された当時の管理職――ダンシーに、元ウィザーズCEOのピーター・アドキンソン――は既に社を去っていた。経営陣は社が時間と資金を投じて新進気鋭のゲーム・デザイナに新版のルールを開発させたので、コンテンツを無料開放することに対して懐疑的になった。ファンにとっても、D&Dのルールがアップデートされるのは興奮すると思われたが、OGLと第3版が信奉者を結びつけたのとは違い、2008年にウィザーズの手から放たれたD&D第4版はロールプレインク・ゲーマーを真っ二つに分裂させた。
かつて起こったことは示され、連載の次回で我々はD&Dの現在の霊と出逢い、RPG業界の現状を知ることになる。
ゲーム情報サイト『The Escapist』に掲載されたDnDの歴史を辿る連載『The State of D&D』の翻訳ですぅ。第一回となるこの“Past”では4e発表直後くらいまでの歴史を大まかにまとめてあり、その中でもどういう考えで3e(とOGL)が設計されてヒットを飛ばし、どんな問題点が発生したかにスポットがあてられているですぅ。
北米での市場とファンの動きを中心に見ている内容なので日本とはあまり関係が無いけど、当事者への取材も交えたなかなか読ませる記事になっていますぅ。
3eで仕掛けられたOGL戦略が爆発して出せば売れる時期が到来し、市場が飽和したところでかかった3.5eの“リセット”、そしてハズブロの戦略に応じる形での4e開発開始、というところで、連載は次回の“Present”へ続くですぅ。
最後に捕捉しておくと、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは第3版のルールと製品展開では大全シリーズのようなものを好んでいたが、『Psionics』のようにわずかな例外を除き、それらがオープン・ソースのコンテンツとして発売されたことは無く、他社がOGLで開発した素材をD&Dの公式製品へ取り込むことも無かった。
の“大全シリーズ”は、おそらく3e時代のclass book、『Psionics』は3eのサイオニック本、『Psionics Handbook』ですぅ。
2012年01月13日 コンピュータは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」でさえも実現できなかった形で、プレイヤーを英雄の世界へと引きずり込むことができるのだと。 [長年日記] 編集
§ [DnD] 『D&D興亡記:現在(The State of D&D: Present)』
グレッグ・チトー|2011年12月28日、午後11時In the mid 2000s, tabletop roleplaying games enjoyed a resurgence in popularity not seen since the original Dungeons & Dragons rules were published by Gary Gygax in the 70s. The 3rd edition of those rules, and the Open Gaming License (OGL) that opened them up for public use, cemented D&D as the leader of the roleplaying game world, while simultaneously encouraging competitors to advance the design of roleplaying games. But as result of Hasbro's desire to turn D&D into a $100 million business, and the success of fantasy MMO videogames like World of Warcraft, the release of the 4th edition in 2008 changed more of the game than many fans were comfortable with and despoiled the goodwill Wizards of the Coast had built over the last decade. The Ghost of D&D Present still haunts the industry.
前回の『D&D興亡記』はこちら。
2000年代半ば、テーブルトーク・ロールプレイング・ゲームは70年代にゲイリー・ガイギャックスが最初の『Dungeons & Dragons』を出版して以来、かつてない人気で再生を果たした。第3版のルール、そしてオープン・ゲーミング・ライセンス(OGL)はそれの使用を開放し、D&Dをロールプレイング・ゲーム界の第一人者として君臨させ、同時に競争を促してロールプレイング・ゲームのデザインを発展させた。しかしD&Dを1000億ドル事業に成長させようとしたハズブロの思惑、『World of Warcraft』のようなファンタジーMMOビデオゲームの成功、2008年に発売された第4版でもたらされたゲームの大変更に多くのファンは不安がり、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストと過去10年築いてきた信頼を捨てた。現在のD&Dの霊は業界にしばしば出現する。
ウィザーズで働いている若手デザイナーは彼らのデザイン手腕を十全に振るって新しいゲーム――彼らは自分たちの版と呼ぶ――を作りたかった。
アンディ・コリンズはウィザーズ・オブ・ザ・コーストで第4版のリード・デザイナ、ロブ・ハインソーの部下として働き、第4版の発売前後にデザイン&デベロップメント・マネージャーとなった。かつて2010年の『The Escapist』にコリンズとハインソーは、彼らが決断したD&Dの変化は人々が現代的ゲームをプレイすることで方法について来てもらえると語った。コリンズはプレイヤーが短い時間集中して“プレイする前に好きでもない(そうなるかもしれない)ゲームのルールを読むことに興味がある”と信じていた。「私はもう若いプレイヤー、いやすべてについて語る舌を持たない。我々は若いゲーマーが変化しているだろうと予想し、それに合わせようと働いていた」
ウィザーズで働いている若手デザイナーは彼らのデザイン手腕を十全に振るって新しいゲーム――彼らは自分たちの版と呼ぶ――を作りたかった。「新版のデザインはより若く、より精力的な人が行なう仕事だ」とコリンズは言った。第4版は洗練された戦術的な戦闘とかつてのゲームには無いクラス同士の均衡をもたらしたが、70年代から80年代にかけてガイギャックスの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をプレイした多くの人々は彼らが崇拝していた概念がなぜ破壊されたか納得しなかった。
「私は1979年、10歳の頃にD&Dをプレイし始めた。私は彼らが主要な要素について(第4版で)いくつか奇妙な選択を行なったと感じた」とGreen Ronin Publishing社長、クリス・プラマスは言う。「彼らは新しいコア種族を加えて異なる宇宙観を創造し、それらは彼らが発表した新しいキャンペーン・セッティングと完全に合ったものだった。彼らが古いセッティングを押し込めたことは、私にとってとても奇妙だった」
「私はなぜ彼らがエルフをエラドリンと呼ぶのか、なぜずっとそこにいなかったティーフリングを採用したのかわからなかった。それは作家としての私に若干の問題を抱えさせた」とはD&Dのフォーゴトン・レルムで小説を書いているR.A.サルヴァトーレである。サルヴァトーレはダーク・エルフのドリッズト・ドゥアーデンを主人公にした小説を30本以上ものし、そのほとんどがニューヨーク・タイムズの売り上げ上位に入るという、おそらく世界一有名で稼ぎ頭となったD&Dのキャラクターを創造したのがサルヴァトーレである。「(D&Dの)第4版はよりカード・ゲームのようになった。それはストラテジー・ゲームとしてはクラスの存在理由が均衡を保っていて、システム側の視点で見れば素晴らしいゲームだ。ロールプレイング側、私の書き手としての視点から見れば、それはより難しくなった」
「少なくとも第一印象では、第4版のバトル・グリッドに占める割合があまりにも大きく、戦闘以外の世界を十分に表現できていなかったと私は感じた。それは偶像破壊ともあいまって、私を含む多くの人々に別のゲームであるような思いを抱かせた」とPaizoで『Pathfinder』を製作したエリック・モナは付け加えた。
デザイン作業は既に始まっていたが、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストがD&Dの新版について公式に発表したのは2007年からだった。WotCに期待されたのは第4版が以前と同じように、新しいライセンスとシステム・リファレンス・ドキュメントを用意することだった。OGLが無傷で新版まで生き残ることはありそうになかったが、ファンと出版社はウィザーズが完全にそれを捨てると考える理由が無かった。
「多くの攻撃的提案と同じく、OGLは決してウィザーズ・オブ・ザ・コーストで一般的に認められたものではなかった。多くの社員は我々に給料をもたらすゲームのコア・システムについての権利を単純に投げ渡してしまう考えなんじゃないかと疑った」
「(WotCは)サードパーティの開発者コミュニティに、新しいゲームはどれくらいオープンなのか、彼らがどうやって重要な出版社といち早くルールを共有する予定なのか、そして我々すべてが新版に移るのをどう支えるかなど、色々な保障をしてくれた」とモナは言う。「だが、その頃舞台裏で何かが起こり、“これまでよりオープン”という売り文句のライセンス契約は実現できなかった」
OGLがD&DのためになったとWotCの全員が思っているわけでもなかった。「多くの攻撃的提案と同じく、OGLは決してウィザーズ・オブ・ザ・コーストで一般的に認められたものではなかった。多くの社員――ある時は私だって含まれた――は我々に給料をもたらすゲームのコア・システムについての権利を単純に投げ渡してしまう考えなんじゃないかと疑った」最近コリンズはそう言った。
「そこで彼らが行き着いたのは、第3版は失敗で(OGLの思想は)害悪だという考えで、彼らはその考えを自分たちや給湯室での世間話で行き渡らせた」2001年までウィザーズのRPG部門副責任者で、イカれたOGLの案を提案した男、ライアン・ダンシーはそう回顧した。「第3版は失敗してはおらず、大成功だったし、ほとんどの社員は掛け値なしにいい仕事とはいわずとも、やるべき努力はしていた」
第4版の開発が行なわれていた頃は、OGLをしぶしぶ受け入れた社員すらウィザーズ・オブ・ザ・コーストで彼らの役職から離れていた。「重要人物のほとんどはこの時点で完全に入れ替わっていた――異なるブランド・マネージャ、異なる法務部、異なる執行役員」コリンズは語る。「そして新しい社員が新しい意見を交わした……そして今回、OGL賛成派は少数派だった」
彼はまだオープン・システムの利点を信じていたが、勝ち目のない戦いだった。「私はウィザーズが第3版のために行なった施策を維持させるためにかなり激しく議論したことを覚えている。コア・ルールとそれを使うための基本的ガイドラインをいくつか含んだオープン・ライセンス。私は何らかの形でOGLが無ければ、オープン・ライセンスをD&Dで得られる楽しみだと認識している顧客と潜在的顧客をウィザーズは逃してしまう危険をおかしてしまう」とコリンズは言った。
「後知恵になるが、結局私はより単純でまともだった手段(OGLを殺す)より、会社に罪を背負わせてオープン・ライセンスを誰も喜ばないフランケンシュタインの怪物にしてしまったのかもしれない」とコリンズは続けた。WotCが第4版とともに発表したゲーム・システム・ライセンス(GSL)は、新製品を明解にするため文章を再利用するような、この産業から自由だった部分を多く抜き取ってしまったものだと考えられた。「当時、我々はこれからのウィザーズを守り、コミュニティを支援するにはOGLのような枠組みの継続が絶対に必要だと主張した」そう彼は認めたが、幸運にもそれらの要件を達成した合意を行なうのは、何より大変な偉業だったことは明らかである。
ライセンス問題がただひとつの黒いアイ・オヴ・ヴェクナだったなら、第4版はまだファンと他の出版社の間でヒットしたかもしれない。2007年11月、WotCは『Wizards Presents: Races and Classes』を発売し、最初のプレビューいくつかでルールのいくつかを根本的に変更することを解説したが、ファンからの最初の反響ははかばかしくなかった。「突然、我々の顧客は新しいゲーム・システムに移行しないよう求め始めた」モナは言う。「我々の編集者もその多くがこの懸念を多少なりとも共有し、ライセンスの話が長引くうちに我々の不安は強くなった。我々はようやく、立ち上げ時にサポートできないなら、まったくサポートしないほうがよいという結論を出した。そして我々は(D&D)第3.5版に留まることを選んだ」
PaizoのデザイナはかつてのOGLに準拠して第3.5版のルールに少し手を入れてGolarionという異なった設定を加え、『Pathfinder』をまとめた。モナ自身すら『Pathfinder』のベータ版が大好評で、それが数百万ドルの事業となったことに驚いた。「『Pathfinder』ベータ版ルールの印象的な部数と、それが1週間で売り切れた時、我々は何が起こっているかを知った」彼は語る。「システムへの興味は我々の予想をはるかに超え、高まり続けていた。2011年、(『Pathfinder』)コア・ルールブックの売上高は2010年を上回り、ハードカヴァーのコア・ルールブックは5刷になったが勢いはとどまるところを知らない」
Paizoが『Pathfinder』で成功できたのはOGLが廃止されなかったことにある。GSLが第4版の出版物すべてを支配する中で、それはまだD&D第3版の旗の下で出版されるルールに適用できている。これはロールプレイング・ゲーム史の中でも特殊な状況、版元が旧版の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を店頭から退場させた後も、別会社が合法的に再販できる状況を作り出した。
「それは我々がかつて見なかった次のような状況を作り出した。旧版の第一人者だった会社がファンを集結させるというね」プラマスは彼のサード・パーティ市場での競争相手についてそう語った。「それはPaizoが『Pathfinder』で実現させたことだ。同様に、多くの会社が“古典復興(Old School Renaissance)”でさまざまなD&Dの版を再現するためにOGLを使った。現在、あなたがD&Dのどの版が好みだとしても、新しい素材でそれをサポートしている多くの出版社がある」
“古典復興”はかつてのプレイ・スタイルに回帰しようとするゲーマーの運動に与えられた名前である。「私はゲイリー・ガイギャックスの死(2008年)が多くの古典派に大きな影響を与えたと考えている。彼らの多くは単純に他の選択肢が無かったため、現代的なゲーム・デザインの流儀をしぶしぶ承認していた」エリック・モナは語った。
『Swords & Wizardry』、『Castles & Crusades』、そして『Lamentations of the Flame Princess』のような旧版の感覚と単純さを再現し、読みやすさやプレイのしやすさにも手を入れたゲームがOGLを使って公開された。(余談。筆者も同様に旧版のルールに重要な修正を加えた『Adventurer Conqueror King System』というゲームを公開している。)“古典復興”派はこれらのレトロクローンと呼ばれるものをプレイするか、TSRの旧版でダイスをロールし続け、その経験をオンラインの『The Mule Abides』や『Grognardia』のようなウェブサイトで分析している。
“古典復興”はインターネットを通じて発展し、人々がRPGを購入する方法の変化とOGLの自由さがかみ合った。DriveThruRPG.comのようなPDFによる電子書籍の販売サイトは、デザイナが間接費用をより少なくして彼らの仕事を売って儲けることを可能にした。本を印刷する費用は減り、必要ならば小部数印刷が可能なオンデマンド印刷があり、アマチュアのデザイナが旧版D&Dのどれかかレトロクローンを使ったものを、これまでより簡単に出版してゲーマーのテーブルへ届けられるようになった。
多くの異なる物、特にビデオゲームから引用したことは、第4版の心証を悪くしたかもしれない。
“古典復興”派のほとんどは80年代前半のD&Dの絶頂期にプレイし始めた子どもたちという高年齢層で、現行の版が競争相手にしているのは今日の若者が囲まれているまったく異なる媒体――コンピュータ・ゲームである。「おたくの興味はこの30年でRPGからビデオゲームに向かっていった」プラマスは言った。「70年代にあなたがおたくだったなら、あなたはD&Dをプレイしただろう。現在その手のおたくがそんな風にファンタジー・ゲームへ足を踏み入れるきっかけは『World of Warcraft』だ」
モナは卓上ゲームが受け手の興味のために争っていることを認めたが、彼はそこに脅威ではなく挑戦を見ていた。「ゲーマーには以前よりはるかに多く彼らの予算を使う選択肢があり、それは卓上ゲーマーをあらゆる層に浸透させられることになっている」と彼は語る。「電源ゲームで育った新世代のゲーマーが同様にテーブルでの経験を受け入れれば、そのほとんどがどちらも両立することができる。こうしてテーブルについたゲーマーのほとんどはヒット・ポイント、キャラクターのクラス、そしてアーマー・クラスなどRPGの基礎を、1970年代の我々よりも非常によく理解する。こうした人々が買って遊びたくなる最新のコンピュータやゲーム機のゲーム以上に魅力的なコンテンツを作れるかはゲーム出版社次第だ」
2008年のD&D第4版発売と時を同じくして、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストはMMOプレイヤーを対象とした広告キャンペーンを始めた。「もし君が地下室に座ってエルフに扮しているなら、君にはそれを助ける何人かの友達が必要だ」という広告文のひとつには、コンピュータの前で退屈そうにしている青年を遠くから映していた。逆に、第4版でもっとも多く見られた不満のひとつに、『World of Warcraft』や『Everquest』をあまりにも模倣しすぎたルールだということだ。第4版の特定クラスに特記されているダメージを担当したりより多く与える機能は、MMOのタンクや“DPS(Damage Per Second)”を反映したものだ。
コリンズは第4版がMMOに影響されたと認めたが、それは指摘しやすい部分に過ぎず、デザインはより多くの流行から刺激を受けていると主張した。「プロフェッショナルのゲーム・デザイナとして、我々はすべてのゲームから学んでいる」彼は去年そう言った。「確かに、一番多くの人々がよく知り、親しんでいるので我々がオンライン・ゲームから学んだというのは一番わかりやすいかもしれないが、ターン管理についてはヨーロッパのボード・ゲーム、インターフェイスについてはカード・ゲームからも学んでいる」
多くの異なる物、特にビデオゲームから引用したことは、第4版の心証を悪くしたかもしれない。「私は人々がしばしばしてしまう間違いは、我々がビデオゲームの楽しみをパクれば、より多くのプレイヤーを得られると思っていることだと考えている。私はペンと紙を使うRPGならではの楽しみを強調できる、よりよい方向を模索しているのだ」
ウィザーズの舞台裏で陰謀が演じられ業界人の不満が漏れる中、コリンズと彼が指揮するデザイナはファンに求められ売れるゲームを着実に書いていた。2008年6月に始まったD&D第4版コア・ルールの予約数はとても多く、第3版の立ち上げ時よりもよく売れたという地方のゲーム店からの――WotCによる具体的数値の発表は無かった――間接的な証拠がそれを裏付けた。その定期刊行物をD&D Insiderと呼ばれる月額制の電子ポータルに移行させ、Character Builderなど便利なオンラインのツール群へのアクセスも成功している(繰り返しておくと、いずれの売り上げも推測するのは難しいが、第4版をプレイするほとんどの人々はD&D Insiderをある程度使っているという傍証がある)。さらに、掲示板にゲームの容赦無い批評を書き込んだゲーマーと同じくらい第4版の熱心な支持者もいた。この新しいゲームはガイギャックスとアーンソンのゲームに育てられた人々を犠牲にしたが、熱心な受け手、特に若いプレイヤーの心を掴んだ。
第4版への否定的な反応は開発陣に結果をもたらさないわけではなかった。ロブ・ハインソーは2009年の終わりに解雇され、これまで10年RPGのR&D責任者だったビル・スラヴィセックは今年(2011年)の始めにそこを去った。ウィザーズはクリスマス前に社員を解雇することで有名だが、再編はいつでも行なっている。2010年5月、アンディ・コリンズはD&Dのデザイン&デベロップメント・マネージャという彼のウィザーズ・オブ・ザ・コーストでの役職から退くように求められた。「単刀直入にね。彼らは私に部門の再編を行なっていて、私にはもうそこに仕事が無いことを告げた」と彼は言った。「その瞬間は無慈悲だと思ったが、個人的にも職業的にも、それは私のためになったよ。素晴らしいゲームの仕事をしているというのに、賢く有能な社員に囲まれることでそこそこのデザイナになれていた凡人の私が、それに満足してしまっていた」
ハインソー、スラヴィセック、コリンズたちが率いるブランドのチームは第4版を立ち上げ、同社は新しい方向を目指しているように感じられた。D&Dエッセンシャルズの製品と、2010年9月に発売された新たな赤箱のスターター・セットはこの趣味を始めようとするプレイヤーたちの簡単なとば口となった。WotCはまた、D&Dを主題にしたボードゲームの第一弾――第4版の要素を入れたダンジョン探検ものの『キャッスル・レイヴンロフト』――を発売した。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは純粋なテーブルトークRPGの出版社から離れていくように見え、人々は同社がこれからどう動くかを推測し始めた。一部は新しい第5版が不可避であると予想する一方、課金される電子版とオンラインのツールへの注力でウィザーズは第4版の命脈をつなげると考えた。“古典復興”派はコリンズの後任の名が挙げられた時に歓喜したが、その男が流れを変えるかどうかはまだ見えていない。
ウィザーズが構えを変えたのは同社が変化した先触れなのかもしれない、過去を見たD&Dの未来の霊はここ10年のテーブルトークRPGに何を告げるのだろうか。
前回の『D&D興亡記』はこちら。
前回の『D&Dの霊:過去』に続き、4e発表から2011年までを描いた『The State of D&D: Present』の翻訳ですぅ。
OGLを巡るWotC内の思惑や『Pathfinder』に至る水面下での動き、Old School RenaissanceというOGLによって成立したムーヴメントが紹介され、4e発売から現在までに何が起こったかがざっと解説されてますぅ。
数百万ドルで事業を成立させた『Pathfinder』やより小規模なOld School Renaissanceを見ると、小説やコンピュータ・ゲームなどのブランド全体とはいえDnDが目指した1億ドル市場のすさまじさを改めて感じた次第ですぅ。
§ cheap north face jackets [Heya i am for the first time here. I found this board and ..]
§ cheap north face jackets [You could certainly see your enthusiasm in the work you wr..]
§ North Face Outlet [hey there and thanks to your information – I have definite..]
§ ugg sale uk [http://www.northfacejacketsmarts.com/#505 - north face out..]
§ FabeEquiriurb [When we finally look at the concise explaination the term ..]
2012年01月14日 友人がコンピュータの前に座っている間、リチャードは後ろを歩き回りながら、彼らがダンジョンをおずおずと進み、悪魔と戦い、宝物を探す様子をじっと見ていた。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][HotEC] 2月:『Heroes of the Elemental Chaos』
製品カタログより:火と土を統べる者。風と水の王。『Heroes of the Elemental Chaos』は“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。
さあ、本を盗み読み、元素クリーチャーがあらわにする純粋な能力、元素魔法の使い方を学ぼうではないか。これらのクリーチャーは“元素の渾沌”に由来する生の力を、自分自身を媒体にしてその次元界から取り出す。冒険者には自分自身を元素のクリーチャーに変異させるなど、下方次元界の力を我が物とするための非常に多様な方法が存在する。
『Heroes of the Elemental Chaos』の第1章では君のキャラクターが元素の力を探求するための方法、君自身が元素のクリーチャーに変異したり、君自身を元素のエネルギーになじませたり、君のキャラクターに彼や彼女の力を与えてくれる元素の後援者を見つけられるかもしれない。
元素の後援者
多くの定命の者にとって、プライモーディアルのために奉仕するほど大いなる裏切りは存在しない。これらの存在は世界の破壊を求め、定命の領域やアストラルの領界を跪かせるために“元素の渾沌”から出陣した。神とプライモーディアルの間には、敬虔で献身的な従者が守ってきたような、神聖な絵巻物や古代から伝えられた年代記に描かれるような宇宙的闘争が起こった。それらの文書では、プライモーディアルたちをいましめる鎖を壊したり彼らのまどろみを覚ますことについて、おどろおどろしい警告を目にすることができる。破滅。破壊。終末。
しかし、どこで見つかろうがこれらのカルトを根絶しようとする狩人と審問官の働きにも関わらず、プライモーディアルの信者は彼らの間違った信条を曲げない。そして世界は穢され、深い闇へと落ち、より多くの人々はもっとましな未来を探して神の寺院に背を向ける。
プライモーディアルは悪と破壊の権化だという言説は必ずしも正当化されるわけではない。確かに、邪悪な力を彼らの中に見ることはできる。恐怖の王、エレクハスは破壊を渇望する性向で知られていた。“血王”ハエムナトゥンは神々によって倒されるまで、名状しがたい残虐さでアストラル海を襲った元素の将である。しかし大部分のプライモーディアルは神々に窮極の破壊をもたらし、彼らが創造した世界を崩壊させること以外を望まなかったとしても、あまりに強大であったり自分のことに夢中で暁の戦に興味を示さなかったものもいる。
数柱のプライモーディアルはこの世界に命をもたらし、神々は真の可能性で創造を導く同胞とみなした。しかし暁の戦は彼らの関係を絶ち、敵の見方とみなされたこれらの独立した存在は犠牲となった。ある種の神々は誰彼かまわず無差別に敵を認定していったため、善のプライモーディアルもこの対立に巻き込まれ、彼らの被造物は何もかも世界を震撼させる事件の中で失せ果てた。善にせよ悪にせよ、すべてのプライモーディアルは神前裁判により暗黒の牢獄に幽閉され、忘却されていった。
プライモーディアルが創世で果たした役割に注目すれば、彼らがその玉座を簒奪した神々よりも崇拝に値すると主張する者もいるかもしれない。彼らの力無しに、今日の定命の領域はありえない。時間も歴史も無い。終わりなき渾沌のみが横たわっていた。かくのごとく、得心した定命の者が天に叛いておのれの信仰の座を求めるのはたやすい。あまりにも起こりやすく、しかし、定命の者は悪に染まり、狂気を覗き、もろもろの唾棄すべき存在へとなり果ててプライモーディアルをその力と彼らの渾沌たる遺産でしか求めなくなる。スーニースやベンハダルの恩寵を受けたすべての善き智慧を探す者、アイミックスの名において家を燃やす邪悪な放火魔、オルヒドラの堕落した狂信者は幼子を溺れさせて移り気な女王への生贄とする。
プライモーディアル
この項に記されるプライモーディアルは冒険者が後援者として選びうる主要な既知のプライモーディアルを簡単にまとめたものである。この一覧からは死んだプライモーディアルやそれらが完全に破壊的なもの、また圧倒的に邪悪な傾向を持った冒険者のグループに適さないものは除外してある。自然世界の原始精霊のように、プライモーディアルの力も拡大解釈でき、DMはそれぞれのキャンペーンに重要な新しいプライモーディアルを遠慮無く加えてよい。同様に、プレイヤーがキャラクターに選択したクラス特徴や能力に適合する新しいプライモーディアルを提案するのもよい。
元素大公
宗教の教えと古代の歴史に染まった多くの定命の者の考えは、力あるプライモーディアルは恐るべき力を持つ暴君に他ならず、好戦的な存在は創世での役割を終え、今は“元素の渾沌”のもっとも深い深淵にある、封印された脱出不能の牢獄に鎖でいましめられ幽閉されているというものである。彼らが開放されればどんな災厄を巻き起こすか知れない恐れと不安を喚起するもの――それでもこれらの危険を秘めた存在を、ひとまとまりの家族だろうと考えるのは愚かな短絡思考である。それは古代の元素諸侯たちの間に広がり、彼らが虜囚、追放、そして休眠する怪物という身の上になっても今日まで続くもつれた同盟関係や怨恨が原因ではない。
大霊として知られるある集団は、しばしばプライモーディアルとして数えられるが、様々な点で他とは際立っている。若干の伝承はこれらの存在が世界の創世やその後起こった事件にほとんど関与していないことを示唆する。大霊はプライモーディアルが最初に創造したしもべで、彼らが他の元素の存在を支配するように渾沌の力を吹き込まれたのかもしれない。
彼らの起源に関わらず、諸侯の中で大霊のみが暁の戦を生き延び、今日も彼らは定命の世界に影響を及ぼしている。多くの定命の者はかれらの存在を元素大公と呼んでいる。悪の大公はアイミックス、オグレモク、ヤンシービン、そしてオルヒドラなどを含み、小規模な悪のパンテオンを形成し、次元界を越えて暗黒と悲惨な終焉を求める崇拝者や下僕を集めている。
彼らの破壊に対抗する大霊の集団は善の元素大公として知られる。これらはベンハダル、チャン、スーニース、ザーマン・ルル、などである。彼らは善だととらえられているが、彼らの徳は定命の倫理ではなく、彼らと対立する悪の鏡像として存在するものである。これらの存在は善意を持ち、彼らの領域に住む元素のクリーチャーもそれを継いでいる。
クリョナクス
すべての騒乱を彼らが誘い煽る、半身がその同位体へ力を見せつけるために、ほとんどの元素大公は互いを相殺している。彼らはどれも世界に与える脅威が大きいものの、大霊はお互いに、善が悪に対抗すれば、悪は善を押し返し、どれかが力と影響を増やせば、他が野心的な同位体を倒すために力を増す。
この均衡は“5柱目の”悪の元素大公には適用されない。彼の悪と均衡を取る同位体はおらず、その結果彼は非常にゆっくりとだが自由になるための戦いに勝利しようとしている。雪煙王、クリョナクスは、ロルモックの牙として知られるぎざぎざの山脈から流れ落ちる氷河に封印された恐るべき触手である。彼は冷気の元素と氷、雪、そして寒冷地に関係するすべてのクリーチャーの統治者である。彼の鞭打ちと戦うアダマンティンの鎖で縛り上げられ、彼にたえず従うエレメンタルとアイス・アルコンはあるじが再び自由になるため、そのいましめを和らげようとしている。
クリョナクスは毛皮に覆われたイエティのようだが、腕の代わりにたくましい触手を持つ巨大で残忍な怪物である。彼のいましめがより弱くなり、牢獄の周囲にひびと割れ目が生まれれば、定命の者などあっという間に凍らせる絶対の冷気が開放されて噴き上がるだろう。
秘密めいて矛盾した伝説は、さまざまに雪煙王の起源を示している。いわく、彼は“旧き元素の目”に創造された最後の恐怖である。いわく、クリョナクスは“元素の渾沌”を征服するためアビスから出兵したデーモン・ロードである。他にも彼は他ならぬ、かつて冬の女神だったカーラで、彼女の不正に報いるため殺されずに下方次元界に投げ落とされたという説さえある。真実がどれであれ、クリョナクスはその半身を持たず、自由を得たあかつきには“元素の渾沌”だけではなく、創世の所産すべてを征服しようともくろむ、より巨大な野望を持った大霊の背信者である。
封印されたプライモーディアル
定命の世界に原住する者がプライモーディアルについて考える時に思い浮かぶのは、彼らが追放されて封印された存在であり、二度と自然の領域を荒らさないということである。“追放されて封印された”一部は正解だが、神格は幽閉や。封印されたプライモーディアルが一様に示した固有かつ(彼らの希望である)強い適応力に骨を折った。より具体的なそれらの存在についての物語をここでは5つ紹介する。
多頭のもの、ブリャクス
もっとも怪物めいたプライモーディアルの1柱が多頭のもの、ブリャクスで、こぼした血は最初のヒュドラを生んだ。暁の戦では邪悪で恐るべき神々の敵となったブリャクスは、その決して満たされない食欲で数多くのエンジェルをむさぼり、“大喰らい”のふたつ名を得た。コードは激戦の末に彼を破り、致死の一撃を叩き込んだ。だが、ブリャクスは世界の上にその霊液をまき散らしてのたうった。プライモーディアルはさらに戦い、コードもまたもう一撃、雨のように殴っては殴りつけ、原型を留めないまでにした。
そのひどい傷にも耐えてブリャクスは生き残り、飛び散った肉片と骨には彼の憎悪がしみこんだ。彼の失墜以来、彼の下僕は彼のかけらを探して次元界を放浪し、誰も彼らの計画に干渉できない秘密の場所で彼らのあるじを組み立てた。彼の狂信者が彼を再生させるため、終わりも見えぬまま数世紀を無益に使ったというのは、コードがどれだけ手ひどく多頭のものを解体したかを示す証拠である。ブリャクスはこの哀れな状態である限り、彼が与える元素の力がどう使われようと何もいうことができない。
自由なプライモーディアル
何らかの理由で、少数のプライモーディアルは暁の戦が終わっても神々の復讐を受けなかった。彼らが自由のままでいる理由は、その存在そのものと同じくらい変化に富んでいる。
ティフカディ、雷電大公
ストーム・エレメンタルの王は暴力的で予測不能――遠雷と少々の警告を込めた破壊的な爆発の間でゆらめく、強く、気まぐれで怪物めいたプライモーディアルである。ティフカディの怒りを鎮めるチャンの働きが無ければ、この雷電公はとっくの昔にすべての支配権を失っていただろう。暁の戦で敗色濃厚になった時、チャンはティフカディを誘って起こるはずだった破壊のほとんどから彼を助けた。
ヘウルケットの敗北と失踪以来、雷電公はより強くなった。支配力は彼を“元素の渾沌”を開発することにかけてより攻撃的にし、彼は自然世界に影響する神々に怒っている。その怒りで彼は時々よい結果を得て、チャンにもう一度軍門に降って戦うよう要求する。
ティフカディは兵士や使者としてストーム・アルコンを使い、彼の力という恩寵を受けたがっている定命の者と会話する。このプライモーディアルは時々、原初の追放に怒る。こんな時、世界の空には暴風が巻き起こり、緑の稲妻と耳をつんざく雷鳴が轟く。
これらの後援者は君の英雄に元素の力を与えるかもしれないが、君たちには私たちが完全なプレビューが始まる月末まで待ってもらわなければならない! しかし、私たちはこの『Heroes of the Elemental Chaos』にはアースフォージャー、ファイアクラフター、ウォーターシェイパー、そしてイェニチェリ(ジンの下僕)のような元素のキャラクター・テーマを含んでいることは告知しておく。君はまたソーサラーのサブラクス、エレメンタリストに、ウィザードのサブクラス、シャイル、そして熱砂旋風と有為転変という、モンクの修道門派2つをはじめとする他のクラスのオプション。さらに君はメルフズ・ミニチュア・メテオスや、サモン・アン・インヴィンジブル・ストーカーを発動できるようになる。君はまさしく世界すらも割れるようになるのだ!
クラック・ザ・ワールド | |
Crack the World/割れる世界 | ウィザード/攻撃/29 |
大地は震撼し引き裂かれ、君の敵は深い地割れへと落ちていく。 | |
[一日毎]◆[秘術]、[装具]、[力術] | |
標準アクション | 範囲・壁8・20マス以内 |
目標:壁の中のクリーチャーすべて | |
攻撃:【知力】対“反応” | |
ヒット:目標は戦場から除外され、継続的ダメージ30点を受ける(いずれもセーヴ・終了)。 | |
後効果:目標は壁と隣接するマスに伏せ状態となって戦場に復帰する。 | |
ミス:目標は15ダメージを受け、使用者はそれを壁から離れるように3マスまで押しやる。 | |
効果:壁は地面のマスに80フィートの深さを持つ地割れである。クリーチャーがこの地割れを登攀する場合、難易度31の〈運動〉判定となる。 |
先月に続き、今月の『January: In the Works』にも『Heroes of the Elemental Chaos』のプレビューが来ていたですぅ。
この記事では後援者として選択できるプライモーディアルやそれぞれの物語が紹介されていて、今までかなり漠然としていたきらいがある彼らの深みが増しているですぅ。
2012年01月15日 というよりも、リチャードの住む地域にはゲーム業界というものがなかった。 [長年日記] 編集
§ [DnD] 『ダンジョンズ&ドラゴンズ興亡記:未来(The State of Dungeons & Dragons: Future)』
グレッグ・チトー|2011年12月30日、午後11時Daunted by the release of the 4th edition of Dungeons & Dragons in 2008, the future of the roleplaying game industry is unclear. The core books of 4th edition sold well, and the game is still popular among a large section of players, but detractors used memes like Hitler's speech from Downfall to illustrate their rage , while game designers like Justin Alexander carefully examined why the dissociated mechanics of 4th edition didn't work for him. The nerd rage has dulled a bit in the three years since 4th edition, was released, but the tabletop RPG industry is still reeling.
未来のD&Dの霊
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版の発売は落胆をもたらし、ロールプレイング・ゲーム業界の未来は不透明だ。第4版のコア・ルールはよく売れ、ゲームも大部分のプレイヤーに人気があるが、批判する側は『ヒトラー~最期の12日間~』でヒトラーが行っていた演説のように怒りを示したが、その一方ジャスティン・アレキサンダーのようなゲーム・デザイナはなぜ第4版のさっぱりとしたシステムが彼のために働かないのかを慎重に考察した。おたくの怒りは第4版の3年に発散され続けて若干鈍ったが、テーブルトークRPG業界はまだ迷走している。
ミアルスは第4版をバランスの取れたゲームにしすぎたかもしれないと認めた。
「D&Dの断絶は兆しだ」WotCで現在『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の開発を指揮するマイク・ミアルスは言った。「私はデザイナがRPGの真髄を信じなくなったと感じている」
ミアルスはOGL(オープン・ゲーミング・ライセンス)時代から出版に関わり、その間は非常に多作なフリーランスのデザイナだった。大勢の批評家とゲーマーはミアルスの『Iron Heroes』システム(2005年)をもっとも創造力に脂が乗っていた時代のひとつと考えている。彼はまもなくWotCに雇われ、ビル・フラヴィセックとその同僚のデザイナ、アンディ・コリンズとロブ・ハインソーに率いられるチームで、第4版のデザインに深く関わった。彼らが去った後のは2011年、ミアルスは第4版とD&D旧来のプレイヤーを近づけるための指揮を任された。彼がたとえずっと以前から開発に関わっていたとしても、TSRの赤箱に敬意を払ってイラストを使った第4版の赤箱は、ミアルス流のよく考えられた和解の象徴かもしれない。新しい赤箱の目的は旧世代に第4版が新たに向かおうとしている方向と、それでも80年代に彼らが愛したゲームの血脈を継いでいると示すことだった。
「私はRPGについての方法論を持っている」ミアルスは言う。「(1989年に)第2版が物語に大きく傾いた時、我々は私が第1次RPG衰退期と呼ぶものの中にいて、それは物語が原因となっていた。これはDMが君に物語を開陳し、君はA地点からB地点、そしてC地点へ行く。物語は線形で語り部(DMがそうである)が語るままの静的な物語で、君は時々ダイスをロールするだけになるだろう。第3版の出版でそれはプレイヤーが考えていた『そんなのはごめんだ』を表明し、我々は君にDMとプレイヤーへ柔軟性を与える本当にクールなオプションを提供してきたつもりだが、これは意味がある選択だった」
「私はかつてと逆の方法で、我々が第2次RPG衰退期の引鉄を引いたと考えている」彼は続けた。「それは今この時で、プレイヤーは力を持ち――DMは裁定者でしかなくなり――そしてDMはプレイヤーの発言を否定できなくなっている。(ゲームが)DMから離れており、それは他の種類のゲームがもっとよくやれる分野なので私は懸念している。ルールを厳格に適用するなら、私はボード・ゲームをプレイするだろう。なぜ、DMはものを考える人間ではなくなってしまったのだろう?」
ミアルスは第4版をバランスの取れたゲームにしすぎたかもしれないと認めた。「我々はRPGがRPGであることへの信頼を失っていた」彼はそう言って、第4版が想像力を制限した中でゲーマーを満足させ、活発な人を抑圧していたのかもしれないと認めた。「我々は悪いゲームをするグループを恐れ、悪いゲームをするグループも含むすべてのプレイでよいゲームをして欲しかったが、君は楽しめただろうか」
この哲学の結果、おそらく以前にもまして、ゲーマーはウィザーズ・オブ・ザ・コーストが発売する公式のD&D以外のゲームをプレイするようになった。「異なる版同士と古典派と現代派、第3.5版と第4版の対立が現在のD&Dの顔、まるでコミックの伏線のようだ」ミアルスはシルバー・エイジ(訳註:アメリカン・コミックスの第2次ブーム)の『キャプテン・アメリカ』と現在の劇場版『キャプテン・アメリカ』のあらすじを引き合いに出して話した。「我々はなぜこれらの人々すべてをひとつにまとめ、現実的なコミュニティにしなければいけないのか、より小さな互いの干渉がない別々のコミュニティではだめなのか?」
ミアルスは彼が送り出したゲームを人々がプレイしたがり、オンライン・ポータルのD&D Insiderで執筆したコンテンツが人々の読みたかったもので、自分の仕事をよくやったと信じているが、問題は――それがますます――難しいことになっているということである。
それぞれの顧客に対応するため、WotCはもはや遊びが無いほど詰め込んだ版や受け手の許容量を試すようなやり方を行わず、想定されるプレイヤーに向けてそれぞれ異なるゲームを提供する。
「人々は嘘に耳を貸さない」彼は語る。「人々が興味を引いたものにかけられる時間はより少なくなった。君が想像力に恵まれたロールプレイヤーの相手をしていても、彼らはそれを受動的に見ているだけではない。彼らにも普通に望みがあり、扱いづらい。彼らは欲しいものが欲しく、君が彼らにそれを与えないなら大声ではっきりと『君は友達を騙したんだな、僕はこんなものいらない!』と言うだろう」
ウェブやコンベンションでの質疑応答でWotCがどう違っているのかを指摘する反響が無いわけではないが、ミアルスは細心の注意を払っていると言った。たとえば、内部で情報を収集して集計した結果D&Dプレイヤーの2/3が4つの主要な種族――ヒューマン、エルフ、ドワーフ、ハーフリング――でプレイしていたので、人々が主に興味を持っている場所へゲームの焦点を移動させていった。ミアルスはエッセンシャルズの製品――厳選して簡単にした第4版のルールをまとめ直した書籍――を考えてD&Dプレイヤーすべてを結びつける共通言語にしようとした。「君は誰かが部屋に入ってきて『やあこんにちは、僕はシャードマインドのシーカーをプレイしているんだけど』と言って『なにそれ?』と返されるような状況を望んでいないだろう」彼はそう言った。「私は何をすべきかわかっていたが、それは『プレイヤーズ・ハンドブック』ですらない。もし君にとって(出版物が)あまりにも多かったら、その共通言語は消滅してしまう」
WotCもここ数年でD&Dゲーマーすべてが同じではないことを理解した。第4版の戦術的なゲームプレイを愛する一方、単に毎週彼らの友人と壮大な物語に参加したい需要もある。一部のゲーマーはゲームのセッションにつぎ込む多くの時間が無い一方、嬉々として彼らの時間をD&Dのプレイと読み込みに費やす人々もいる。それぞれの顧客に対応するため、WotCはもはや遊びが無いほど詰め込んだ版や受け手の許容量を試すようなやり方を行わず、想定されるプレイヤーに向けてそれぞれ異なるゲームを提供する。
「D&Dはひとつのゲームではなく、ゲームの環境だ」とミアルスは言った。
現在のWotCは多様な戦略をとっている。手早く導入して遊びたいプレイヤーに向け、WotCは現在、第4版を単純化したルールを使い、1~2時間で終了できるようにデザインした3つのボード・ゲームを提供している。2011年後半に発売された『レジェンド・オブ・ドリッズト』はR.A.サルヴァトーレの象徴的なキャラクターで新プレイヤーを呼び込もうとしている。D&D Encountersは毎週の催しで、プレイヤーはゲーム店で新規参加者にも優しくデザインされたセッションで完全なロールプレイング・ゲームの手ほどきを受け、そして最近ベータ版が始まったフェイスブック・ゲームの『Heroes of Neverwinter』は簡単にD&Dのプレイ仲間を見つけられることを狙いに入れている。
目を転じればウィザーズの収益部門はミアルスがその収益性を模倣するのが困難な『マジック・ザ・ギャザリング』である。マジックはXbox Liveのゲーム、『Duels of the Planeswalkers』の成功で人気を後押しされた。多くのプレイヤーはデジタル・ゲームにはまり、その後カードのブースタをー――20ほど――購入する。「今ぶつかっている難問はそれだ、D&Dに『Duels of the Planeswalkers』はあるのか?」そうミアルスは話した。
こうしたゲームを展開することについての問題は、今年(2011年)まで、アタリがD&Dのデジタル表現について独占的使用権を保有しており、アタリは既に進行中のゲーム以外に興味を示していなかったことにある。2011年8月、2社はその問題を解決し、D&DについてWotCはマジックのDuelsと同じくらい成功するゲームのため、他のビデオゲーム開発元に依頼して自由に独自のゲームを展開できるようになった。
これらの動きに共通するのは、WotCのカタログにあった大きな穴にあたる部分、それらのゲームを原体験とするプレイヤーに向けた製品のようだということだ。「およそ40歳のゲームに取り組んでいる今、我々は複雑さの終わりを見た。D&Dは版ごとに複雑さを増していったが、我々は最初のD&Dに立ち返る必要がある」ミアルスはWotCが旧版を復刊して“古典復興”により数多く発売されたレトロクローンと直接対決することを主張しているわけではない――しかし言いたいことはある――が、彼は会社が人々を魅了したゲームの原点に戻ることを望んでいる。
「多くの要素はD&Dが現状から再躍進できるか否かにかかっている。ゲームに数年混乱した時期はあったが、WotCが方針転換すれば誰もが助けるだろう」
「D&Dをプレイしようじゃないか」と彼は言った。「邪魔になりそうなすべての無駄を取り除いて、『さあ、我々は君たちがゲームでやりたいことをやるために色々な方法を準備した』と人々が望むものを出したい。それのために人々が成長して追いつくのを待ったり、だまして勧誘するようなことがないものを。ロールプレイング・ゲームが素晴らしい誕生を、D&Dが素晴らしい誕生を迎えて触れた時に戻ろうじゃないか」
最後の改定から3年しか経っていない時に、D&D第5版について話し始めるのはあまりにも早く、これらの話は刊行物をすべて買ってきた顧客をさらに怒らせてしまうだろう。それどころか、ミアルスは分裂した受け手を再結集させるために新たなニッチの要求を満たすことにもあまり熱心ではない。しかしPaizoの『Pathfinder』、“古典復興”の多様なゲーム、そしてクリス・プラマス率いるGreen RoninのRPG製品が既に彼らのコミュニティを、第4版の失点でヒット・ポイントを失ったウィザーズ・オブ・ザ・コースト社員からのおためごかしよりきちんと支えている。
「多くの要素はD&Dが現状から再躍進できるか否かにかかっている。ゲームに数年混乱した時期はあったが、WotCが方針転換すれば誰もが助けるだろう」とプラマスは言った。
健全なRPG産業の一番大きな指標はブランドが成立しているということだが、プラマスはGreen Roninがルールブックを出版し続けることについて楽観的だった。「私は少なくともひとつくらい、もしかしたらそれ以上のこの業界を――変える革新――があると思っている」彼は言った。「我々は手を尽くしてここに居続け、面白いゲームやペンと紙を使うRPGすべてを盛り上げていけると思っている」
Paizoも同じように革新を続ける一方、『Pathfinder』を成功させた原則への依存を強めている。「卓上ゲームは今後多くの技術との統合が進み、“ペンと紙を使う卓上ゲーム”は、多くの場合ペンや紙、テーブルすら必要ではなくなるだろう」Paizoに勤めるエリック・モナはそう語る。「私はPaizoが卓上趣味の5年先10年先にも先行者たれと思い、それをゲームの新しいアイデアと新しい表現で推進するが、常に物語を第一に置く」
すべてのゲーマーがそこまで楽観的なわけではない。「私は既にテーブルトークRPG市場が一種の死を迎えていると考える。商業として生き残ることができるひと握りと、それ以外の人々への分極化が起こっているというわけだ」ウィザーズの元RPG部門副責任者でWhite Wolf/CCPの広告指導をしているライアン・ダンシーは言った。ダンシーはD&Dの第3版時代が訪れる前にOGL開発に尽力したが、彼はRPG業界が鉄道模型のように死んだ趣味になることを予見している。「業界はより多くの可処分所得を得るまで育った趣味人に献身的なまま、趣味にかかる費用はそれら年寄りの趣味人以外誰も手が届かないようになり、子どもは鉄道で遊ばなくなった。結局それは減少傾向の趣味人に売っていく、非常に高価な製品で金のかかる趣味となった。彼らは死に、趣味は縮小する。これがテーブルトークRPG業界に起こっていることだ」
読者がたとえどんな版やゲームをプレイしていたとしても、テーブルトーク・ロールプレイング・ゲームは読者がダイスをロールし、楽しみを得る、友人と遊ぶための乗り物である。卓上業界の現状でもっとも嘆かわしいところは――ミアルスが示唆したように――ゲームをプレイすることそっちのけで、ゲーム・デザイナ、出版社、そして普通のゲーマーまでもが、それぞれのゲームがどれだけ売れ、そのゲームはどれだけ出荷されているのかを書きたてているところだ。現在の第4版が立ち上げられた時に飛び交った罵詈雑言はゲーマーにいやな後味を残した。健全な競争はどんな業界にとっても好ましく、そして電子出版と安価な印刷費は、『Pathfinder』と『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のように素晴らしいアイデアを持ったゲーム出版社が確立しているブランドと戦うことを簡単にした。ダンシーが語ったように受け手の高齢化が趣味にとって不健康な結果をもたらすなら、多くの異なったテーブルトークの方法論を持ったゲーマーがいる現状、コミュニティの分散は良いことなのかもしれない。D&D、そしてロールプレイング業界全体としても、過去数年は困難な時期だったが、前方には大きな輝きがある。ファンタジー冒険物語の登場人物のように、困難な時代を越えることで我々は強くなる。怒りと恨みにも負けず出版された第4版は、楽観的に考えると未来のRPGがここに芽吹いたことを示している。私たちはファンタジー・ロールプレイングがガイギャックスとアーンソンの頭でうなりを上げ、各地のゲーマーがその想像力を継いで以来、見たこともないような卓上ゲームの黄金時代直前に生きている。
一日間があいてしまったけど、『The State of Dungeons & Dragons: Future』の翻訳ですぅ。4e発売からエッセンシャルズ立ち上げ、そしてこれからの展望を述べた内容になっているですぅ。
この連載は尺やわかりやすさの関係からか4e対旧作の構造を強調したり、一ユーザが単一のシステムしかプレイしていないような見解など疑問に思う点も多いけど、現在までの歴史を概説したものとして有用だと感じたですぅ。
2012年01月16日 「高解像度で表現された一〇種類のモンスターと完璧な立体感、そして果てしない何層ものダンジョンが織り成すアカラベスの世界」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『過去と未来を見つめ(Looking at the Past and the Future)』
伝説と伝承
君がまだ読んでいないなら、マイク・ミアルスの発表を読んで欲しい。
そして今回、君は私が何をやっているのかより詳しく知ることができる。君たちの多くが疑っていたことは、きちんと発表された。いずれにせよ、私たちは君にこの計画を離陸させるまでがどれだけ刺激的で挑戦的で――そのスリルが私たちを前進させ続けた――かを話すことはできない。
もちろん、私はひとりでこうしているわけではない。私は現在の段階でもこの仕事にウィザーズ・オブ・ザ・コーストの大勢の素晴らしい人々から助けを借り、特に2人の卓越したデザイナ、ブルース・コーデルにロブ・シュワルブと多くの時間を共有している。それはまさしく集団作業で、私たちには多くの有能なデザイナ、開発者、そして編集者がいる。
数週間か数ヶ月の後、私はマイクが発表して出した目標のいくつかについて詳しく説明したい。だが、今週、私はこのゲームの次世代でとりわけ刺激的だと考えているところに着目したい。
最初にマイクが説明したようにもっとも重要なことだが、これはいわゆる版同士の争いに投下される火種ではない。これは君に新しい『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をプレイさせようとする試みではない。このゲームは君がどんな版やバージョンを好んでいたとしても、今まで君がプレイしてきたゲームだ。この目標はD&Dのあらゆる遊び方を内包し、何も除外しないということである。D&Dの中心になる楽しみを非常に単純な形へと凝縮しているが、楽しくプレイできるゲームを想像して欲しい。そのゲームはダンジョン・マスターが彼や彼女の運営したいゲームを準備している間に、君がプレイしたいキャラクターを作成することができる外付けオプションのモジュールを提供している。君が物語ることで進行するゲームのように単純なルールがいい? アリだ。戦術的な戦闘と複雑な遭遇がいい? それもアリだ。恐ろしく作りこまれたキャラクター作成? もちろん。
このゲームで、君は望むプレイができる。君がそうするための道具を準備するのが、私たちの目標だ。
この新しい方法はある着想から出てきた。そのこころは、D&Dはルールがすべてではない。それは刺激的なファンタジーの冒険への参加だ。ルールはそれを行なわしめる手段でしかない。それらは自己完結したものではない。私たちがプレイするほとんどの理由は、私たちのゲームで語られる物語のためだ。私たちは『Tomb of Horrors』にある緑の悪魔の口について語る。レイヴンロフトのストラーダの悪魔的計画を。『地底の城砦』にいた気弱なコボルドのミーポを。これらの物語が私たちを繋げるのだ。D&Dプレイヤーとして、私たちはルールの好みで分裂させられるわけにはいかない。結局、私たちは古典的なベーシックD&Dの単純にヒャッハーな楽しみ方や第4版の繊細な美しいバランス――あるいはその中間――のどれが好みでも、違いよりは共通点を多く持っている。
では、ゲームに君の好きな旧版があるなら、なぜこの新しい作業をするのだろうか? 第1は、私たちは君たちに、D&Dというゲームで私たちが愛するものをひとつに凝縮し、君が望む追加オプションを好きに導入できる能力を持った統一パッケージを楽しんでもらいたいからだ。
第2に――これは君がにわかに信じられないおかしなことに聞こえるかもしれないが――私たちはゲームをすべてのプレイヤーが同じオプションのセットを選ばなくてもいいようにデザインしている。もういちど、あるプレイヤーは単純なキャラクター・シートで少しのものを記録し、彼の隣に座るプレイヤーは技能、特技、そして特殊能力と色々なものを扱うゲームを想像して欲しい。しかし彼らは一緒にゲームをプレイでき、すべては許容できる範囲のバランスが取られている。第1版を愛する君の友人は彼や彼女が望まなかったり必要としないオプションを導入しなくても、君の第3版風のゲームをプレイできる。逆もまたしかり。これらのすべては君が決めることだ。
最後に、私たちはどこへ向かえばいいのかを教えてくれる君の反響を求めている。君はD&Dが向かう道を決める役割を果たせる。私はこれを十分に力説できない。私たちは広範囲なプレイテストや、このD&Dの世代について私たちが考えていることを公開の場で討論している。私たちはすべてのD&Dプレイヤーがプレイしたくなるゲームを開発するのが目標であるから、プレイヤーからの反響を本当に求めていて、それは多種多様なD&Dプレイヤーから話を聞かなければそうなることはない。だから、君の友人に伝えて欲しい。まだOD&Dをプレイしてるやつと道端で出逢ったら伝えて欲しい。ゲーム店でD&Dを離れて他のシステムをプレイするようになった女の子に逢ったら伝えて欲しい。私たちは彼らからも話を聞きたいのだから。言葉を伝えてくれ!
今すぐ登録(WotCのサイトへ)
あなたの電子メール・アドレスはウィザーズのプライバシー・ポリシーに基づき、があなたにD&Dのプレイテストを知らせるためだけに使われます。
また、君は他のゲーマーやD&Dのゲーム・デザイナが登録している公式グループのページで、意見や会話を交わすことができる。http://community.wizards.com/dndnext。
2012年01月17日 「このゲームは商品として世に出すべきですよ。大化けするはずです」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][HotEC] 『元素魔法(Elemental Magic)』
『Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー
バート・キャロル火と土を統べる者。風と水の王。『Heroes of the Elemental Chaos』は“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。
元素魔法
神学は創世に関わる多くの神話を記録している。多くの寺院では元素の諸王に対する神格の勝利を祝って祭り、神々とプライモーディアルの血で血を洗う闘争はフレスコ画や絵画としてそれらの壁や円蓋に切り取られている。忠実な信者に、プライモーディアルは忘却こそがふさわしい恐るべき怪物として映る。神々は彼らの脅威を倒して未来を手にした。
しかし、歴史は勝者が記述するものである。旧きプライモーディアルという存在と彼らを失墜させた天上の住人との戦に対する認識と感じ方は、神々とそのしもべたちが数千年をかけて築いてきたものである。神々は彼らの行ないは世界を現在の姿にするためだったと主張し、彼らの勝利を目的が正しかったことの証としている。
プライモーディアルの次元界を支配して形成しようとする野望は阻まれ、神々への信仰篤き者たちは荒れ狂う渾沌から世界を救ったことに感謝を捧げる。だが、プライモーディアルの元素の力が征服されたという物語は、危険な騙りである。
プライモーディアルはまだ生きている。彼らの肉体は――束縛され沈められ、封印された脱出できない玄室に、あるいはまどろみの中へ――封じられている。しかし、彼らの心と魂はまだ生きている。彼らは考え。彼らは企て。彼らは憎む。そして彼らの企て通り、プライモーディアルと“元素の渾沌”から流出した遺産である元素魔法は、ひそやかに多元宇宙へと広がっている。
元素魔法の性質
大小の魔法流派は世界や次元界のさまざまなところで発見できる。秘術、信仰、そして原始の魔法は古式ゆかしい魔法の流派で、彼らの起源は知られている限りで世界のもっとも偉大で闇の深い時だった。これほど有名ではないが強力な、サイオニック魔法――“彼方の領域”という外からの驚異から世界を守る――謎の力は融通無碍である。影魔法は他の流派を汚染し、彼らの死すべき魂のエネルギーを力の対価として要求する。
元素魔法は他の流派すべてに関わりがあるため、それらは簡単に分類できない。事実、多くの理論によればこれらの元素魔法はそれ自体では存在できず、それらは他のさまざまな魔法体系の産物として生まれ、それ自体が魔法力の源になることは無いと主張されてきた。
学者たちはこう言った
元素魔法という調和とかけ離れた力の問題は、古代から学者を悩ませてきた。ほとんどの魔法流派は元素の力を行使する方法を持っている。呪文と祈祷による電撃、雷鳴、酸、火、そして冷気は元素のエネルギーが表出したものである。誰もそのようなエネルギーの存在を否定はしない。議論の要諦は元素のエネルギーは媒介となる魔法体系抜きの独立したものとして行使できるのかということである。
どの説を支持する者もこの元素魔法によって生じる宇宙論的問題の宿題に取り組み、数百年間は形而下から形而上の議論へと追いやっていた。そして大魔道師モルデンカイネンは議論を解決しようと固く決意した。彼の弟子への講義で、このウィザードは元素の力の正体を、すべての魔法の根源――かつ魔法を世界に存在させる根幹――と仮定した。元素の力はあらゆる魔法流派の根幹をなし、それを扱うのに用いる方法論の違いが秘術、信仰、原始、その他もろもろの流派に分離しているというわけである。
誰もがモルデンカイネンの革新的な学説に同意したわけではなかった。八者の円の一員で大司祭だったリグビーは、いくつかの魔法は“元素の渾沌”を起源にしているかもしれないと認めた。しかし、彼はかような力が信仰魔法の基盤だということはありえないと主張した。プライモーディアルが神々を創造していないのは明らかで、神々はプライモーディアルとは違う彼らの力でアストラルの領界を形成した。信仰魔法が例外であるなら、モルデンカイネンの理論は無効になるとリグビーは考えていた。
モルデンカイネンは議論から決して退こうとはせず、現在では有名になったこのような書簡で司祭に対抗した「神々が本当に存在するなら、彼らがプライモーディアルに先立って存在することは論理的に不可能である。プライモーディアルの出現以前に形相や実体は存在していなかった。ゆえに、神々がプライモーディアルに創造されていないとすれば、彼らはどこかからこの実在空間へ侵入した存在である。実在空間へ進入した時、神々は“元素の渾沌”が生み出す生のエネルギーを使って不死の肉体を受肉したと私は確信している。元素の力は魔法の発生に対する決定的な源であるが、我々が今日の世界で見ることのできる流派はひとつの源から派生したものではなく、それを利用する方法論が違うものなのだ」
八者の円は自然法則を通じて元素魔法の起源を論じたが、この問題に対する決定的な意見は変節のウィザード、混沌のエミリコルから出たものだった。モルデンカイネンの理論を未熟、リグビーの反論を蒙昧と切り捨て、エミリコルは元素魔法は調和の力と離れて存在するものだという意見を主張した。秘術魔法、信仰魔法、原始魔法、そして元素魔法は個別のエネルギーが形作るものである。その違いは単に視点の違いである。
エミリコルはほとんどの魔法様式がその使い手以外に意味を持たず、そのような魔法体系はそれらの実践者が宇宙にどのような文脈を与えているのかに依存していると考えていた。呪文を発動する魔法使いのいない秘術の力は何だ? 神々の力を媒介するクレリック無しの信仰魔法は? エミリコルの視点によれば、元素魔法はそれの実践者から離れて存在している。“元素の渾沌”はその証明となっている。その次元界は生の元素魔法に満ちており、そこに住むクリーチャーはその力を扱える。
エミリコルはまたこの元素の力は常に他の魔法体系が利用する根幹にあるエネルギーで、分離することはできない考えであるとも述べた。ウィザードがコーン・オヴ・コールドの呪文で冷気の元素を出現させ、ファイアーボールでは火の元素を爆発させる。だが、これらの呪文は元素の力を制御しているわけではなく、そのエネルギーを形成する秘術の工程である。これらの魔法では直接元素のエネルギーを扱うことはではない。多くの流派のキャラクターに伝えられる呪文、思念、招力、そして祈祷は、元素のエネルギーを創造したり操作するものであるとエミリコルは述べた。
元素の影響
“元素の渾沌”とその果てしなく変化する風景を支配する存在を抜きにして創世がなされることはなかった。自然世界やその他の次元界にはそれらの創造主の指紋が刻まれており、それらすべての次元界の住人はまだ荒削りの実体を現在の姿に縛りつけた力を感じることができる。大地が鳴動する時、大海が荒れ狂う時、そしてあらゆる地が暴風で破壊される時、人はそれらの声を聞く。プライモーディアル――正しくは彼らの力のこだま――はいまだ世界に存在する。
エネルギーの残滓
“元素の渾沌”の自然世界への影響がっとも広範囲に渡って確認できるものは、神々とプライモーディアルの戦いで使われないままになった創世を行なうエネルギーの残滓である。巧みな創世は世界に刻まれている。堂々とした山脈、広大な海、原生林、蒼穹――すべてはプライモーディアルが生み出し、そして彼らの力はその被造物に残っている。
エネルギーの残滓は風と同じように、世界へと広がっている。ほとんどのクリーチャーは生の元素のエネルギーに遭遇せず彼らの一生をまっとうする。だが、目に見えなくても空気のように影響を受けることはある。あらゆる様式の魔法はこの見えざるエネルギーに繋がって瀕死の傷を癒すことから氷と火で一軍を一掃することまで、驚異的な結果を生じさせる。
元素の生命
原初の追放でプライモーディアルが世界のなりゆきに直接介入することはできなくなった。しかし、この古代の協定でも小規模な元素のクリーチャーが世界を越境することは少ししか防げない。
山麓から火山の頂に建設された要塞まで、あらゆる土地に古代のタイタンは潜んでいる。元素公たちは壮大な氷の城から彼らが生み出し文明圏を脅かす氷河を支配している。無謀な召喚術士はエレメンタル、ジン、そして他の破壊的なクリーチャーを定命の領域へと呼び出す。時折、暁の戦時代の遺物が発掘され、数千年間封印されていた元素のモンスターを再び大地に立たせる。このようなクリーチャーが開放された世界では、それらがどこへ向かおうが混沌と破壊が誘発される。彼らの中でもっとも強力なものは、彼らの旧きプライモーディアルの主が望むまま定命の領域を破壊することに興味を向けるかもしれない。
プライモーディアルのカルト
原始の精霊は微妙な均衡を守るために大いなる脅威のひとつであるプライモーディアルのカルトと戦う。強大なプライモーディアルの崇拝は、正常な考えを持っていると自認する人々のほとんどから異端として考えられている。彼らにとって、神々はプライモーディアルをかつての戦争で正々堂々と正面から破り、もし彼らが失敗していれば、創世そのものがなされなかったのである。
プライモーディアルの狂信者は歴史を別の角度から見る。彼らの視点では、完遂した自らの仕事にのみ創世した彼らの権利を主張するプライモーディアルは、神々よりも崇拝する価値があるとしている。定命の者が彼らの生を感謝するなら、それはかつて世界を作った元素の諸侯なのである。生涯をかけてプライモーディアルに仕えることを誓った者のほとんどは、追放者、不適合者、そして光と善性の敵である。こうした理由から、プライモーディアルのカルトは最悪の部類の信者を引きつけることになる。犯罪者、異常者、そして狂人で満たされ、彼らは神々への祈りで見つけ出せなかった何かを探す。
一部の者たちは自らの暗い欲望を正当化するためにプライモーディアルの信奉者となる。アイミックスは罪無き人々を燃やしても決して定命の者を責めないし、オグレモクは下僕が彼らの敵を生き埋めにしていると喜ぶ。他の狂信者も元素の生の力におぼれ、プライモーディアルを牢獄から開放したがるようになる。
宗教組織からの圧迫と広範囲にわたる拒絶はプライモーディアルのカルトを地下組織化させた。構成員は当局の目をひきつけることを恐れ、彼らの忠誠とそのような組織との関係を秘密にしている。カルトは疑惑の目を逃れて彼らの不浄な祝祭を行なえる秘密の場所へ集まるか、荒野に隠され続けているヒューマン最初の都市が建設される前から存在している古代の祭壇で崇拝を行なっている。イクチャラウ、ヘウールケト、そしてムアルターがこれらの集団の主な後援者で、彼らの名において大規模な悪徳がなされる。
プライモーディアルのカルトは社会秩序を弱らせ文明を弱体化させるが、彼らの代表的な最大の脅威は、プライモーディアルをその牢獄から開放することである。そうした行為は広範囲に影響をおよぼす。永劫の幽閉は多くのプライモーディアルを追い詰めて狂気へと落とし、彼らは残忍な恐怖へと成り果てた。これらの存在を自然世界へ召喚すれば――これは多くの教団が目標とするところでもある――世界を外方次元界の侵略から守る原初の追放は粉砕される。このような事件は、新たな暁の戦を起こしてしまう。
すべてが邪悪な終末を求める凶悪なプライモーディアルのカルトではない。ある種のカルトは名誉あるプライモーディアル――暁の戦に参加していなかったり、神々の側で戦った――のために設立される。彼らの信者の視点は、これらのプライモーディアルが彼らとともに創世を行なった神々よりも定命の者からの崇拝に値するいうものである。プライモーディアルは世界の正統な主で、彼らが倒した者たちを破壊できないことでそれを証明した、より力の弱い存在から簒奪されたのだ。
旧き元素の目のカルト
どんな他のプライモーディアルのカルトが世界にもたらす脅威でも、旧き元素の目のカルトに比べれば色あせる。このカルトのほとんどは悪の元素大公と関係しているが、彼らは強大で名状しがたき存在の代行者に過ぎない。旧き元素の目は“元素の渾沌”から追放された旧きプライモーディアルだと同志のプライモーディアルは考えている。その行動は次元界への足がかりを手に入れ、かつての目的――すべての終焉――へ再び邁進することを目指している。
このカルトは歴史上何度も、司祭が彼らの主を解放するための鍵を探索するために、闇の教団による武装蜂起を起こして文明の脅威となってきた。カルトはしばしば内紛と裏切りを呼び、崩壊もした。派閥制がカルトを支配し、それぞれが他に対する優位を得ようと――たとえそれが彼らの努力すべてを破壊することになろうとも――している。
カルトを利用しようとする他の勢力はこれらの軋轢を煽りたてている。さまざまな時代に、ザグトモイ、グラズト、悪のアイウーズ、そしてロルスたちは、彼ら自身の目的を達成するためにカルトを操っていた。
プライモーディアル
この項(そして最近の『In the Works』でのプレビュー)に記されるプライモーディアルは冒険者が後援者として選びうる主要な既知のプライモーディアルを簡単にまとめたものである。この一覧からは死んだプライモーディアルやそれらが完全に破壊的なもの、また圧倒的に邪悪な傾向を持った冒険者のグループに適さないものは除外してある。自然世界の原始精霊のように、プライモーディアルの力も拡大解釈でき、DMはそれぞれのキャンペーンに重要な新しいプライモーディアルを遠慮無く加えてよい。同様に、プレイヤーがキャラクターに選択したクラス特徴や能力に適合する新しいプライモーディアルを提案するのもよい。
元素大公
宗教の教えと古代の歴史に染まった多くの定命の者の考えは、力あるプライモーディアルは恐るべき力を持つ暴君に他ならず、好戦的な存在は創世での役割を終え、今は“元素の渾沌”のもっとも深い深淵にある、封印された脱出不能の牢獄に鎖でいましめられ幽閉されているというものである。彼らが開放されればどんな災厄を巻き起こすか知れない恐れと不安を喚起するもの――それでもこれらの危険を秘めた存在を、ひとまとまりの家族だろうと考えるのは愚かな短絡思考である。それは古代の元素諸侯たちの間に広がり、彼らが虜囚、追放、そして休眠する怪物という身の上になっても今日まで続くもつれた同盟関係や怨恨が原因ではない。
大霊として知られるある集団は、しばしばプライモーディアルとして数えられるが、様々な点で他とは際立っている。若干の伝承はこれらの存在が世界の創世やその後起こった事件にほとんど関与していないことを示唆する。大霊はプライモーディアルが最初に創造したしもべで、彼らが他の元素の存在を支配するように渾沌の力を吹き込まれたのかもしれない。
彼らの起源に関わらず、諸侯の中で大霊のみが暁の戦を生き延び、今日も彼らは定命の世界に影響を及ぼしている。多くの定命の者はかれらの存在を元素大公と呼んでいる。悪の大公はアイミックス、オグレモク、ヤンシービン、そしてオルヒドラなどを含み、小規模な悪のパンテオンを形成し、次元界を越えて暗黒と悲惨な終焉を求める崇拝者や下僕を集めている。善の大霊は、そのほとんどが暁の戦に反対し、神々の側に立って戦ったか、対立から身を引いた。神々は彼らを彼らの倒された同類と同じ末路を辿らせなかったので、結局彼らは自由のままでいることができた。しかし自由の対価は――善の大霊に浴びせられる拘束されたり封印されたプライモーディアルたちからのあざけりと憎悪だった。その結果、善の元素大公は彼らの大要塞に隠棲し、領域を遠く離れすぎることで、死んだり、休眠中であったり、あるいは幽閉されているプライモーディアルの諸侯に忠誠を誓った彼らの狂信者や元素のクリーチャーの復讐と直面しないようにしている。
封印されたプライモーディアル
定命の世界に原住する者がプライモーディアルについて考える時に思い浮かぶのは、彼らが追放されて封印された存在であり、二度と自然の領域を荒らさないということである。“追放されて封印された”一部は正解だが、神格は幽閉や。封印されたプライモーディアルが一様に示した固有かつ(彼らの希望である)強い適応力に骨を折った。より具体的なそれらの存在についての物語をここでは5つ紹介する。
自由なプライモーディアル
何らかの理由で、少数のプライモーディアルは暁の戦が終わっても神々の復讐を受けなかった。彼らが自由のままでいる理由は、その存在そのものと同じくらい変化に富んでいる。
既知のプライモーディアル一覧
プライモーディアルがどれだけ存在するかについては、誰にもわからない。宇宙の始まりに幾百が生まれ、彼らの名や行ないを定命の者の伝説が伝えるはるか昔に多くが暁の戦で殺された。最弱のプライモーディアルでさえ、もっとも強い定命の英雄以外を圧倒し、王国をたいらげる、恐るべき破壊の力を振るうモンスターである。最強のプライモーディアルともなれば神々でさえそれを恐れるほどに強い。
ここで紹介するのはもっぱらアイビアトリル世界で存在が確認されているものと、砂漠世界アサスで発見された1組を含む、多くのプライモーディアルの一覧である。暁の戦の主戦場は数多くあり、アイビアトリルとアサスも他の数多い定命の世界同様に神々とプライモーディアルの戦に苦しめられた。これらアイビアの(あるいはアサスの)プライモーディアルが故郷の世界を以外でも知られているかどうかは疑わしい。複数のプライモーディアルが似通った自然を支配しているのは、これらの存在が(数柱の神々とは違い)凝縮された自然であったり、肉体の存在が多元宇宙のある特定の角度に根ざしており、複数の世界へ同時に存在できないことを示唆している。
多くのプライモーディアルは大霊――広大な元素の領域を支配し、忠誠を誓う大量の下位クリーチャーがいる――に分類できる。この群は元素大公を含み、この項のはじめに詳述した。いくつかのプライモーディアルは人間から神格として崇拝され、パンテオンの一員に数えられている。たとえこれらの存在が本当は神格ではなくとも、彼らは自分の僧侶に元素の力を授け、定命の信者の主として崇拝される。アビスによって変異したか吸収されたプライモーディアルはこの一覧に含まれない。デモゴルゴン、オルクス、そしてバフォメットのようなプライモーディアルではないデーモン・ロードのクリーチャーはより詳細な記述がある。
ダウンロード(120キロバイトのPDF)
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
かなり分量があって時間がかかってしまったけど、『Heroes of the Elemental Chaos』のプレビュー第一弾を訳したですぅ。
元素魔法がDnD世界でどう理解されているのか、(以前にも出された)プライモーディアルと世界の関わり、プライモーディアル名鑑という構成になっていて、PCの演出材料やシナリオフックの塊になっているですぅ。
特に後ろのふたつについては“元素の渾沌”を舞台にデーモン以外と戦うシナリオの非常に良質な材料になっていて、本番の本にも期待が持てるですぅ。
2012年01月18日 何より重要なのは、リチャードと同じような何百人もの連中が、自分の生活に密着した趣味を生かして金を稼げる可能性が出てきたことだ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][HotEC] 『キャラクター・テーマ(Character Themes)』
『Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー
バート・キャロル『Heroes of the Elemental Chaos』の第2章では元素魔法と“元素の渾沌”に関連したテーマが数種類準備されている。テーマは称号、職業、あるいは原型であり、君はこれを君のキャラクターの詳細なありようやオプションとして使用することができる。君のクラスおよび種族に君のテーマが加わって君の冒険者はより生き生きとした独自の存在になる。君はヒューマンのスレイヤーかもしれないが、君はウィンドロードやアースフォージャー、あるいはモートボーンと呼ばれるかもしれない。ほとんどのテーマはどんなクラスや種族でも使用できるので、君は想像に最適なテーマを選ぶことができる。
それぞれのテーマには君がキャラクターの背景や彼や彼女が世界でどういう立ち位置にあるのか説明する時に使えそうな物語要素を持っている。君がテーマをキャラクター作成の一環として選んでも、高レベルになってからテーマを適用したとしても、君はダンジョン・マスターと協力してキャラクター・テーマを選んでキャンペーンの背景にすることもできる。
この章には以下の項が含まれている。
- テーマの選択:君のキャラクターが得たそのテーマがルールでどう作用するか。
- 新規テーマ:以下の表にまとめられている、どんなキャンペーン・セッティングにも適用できる10個のキャラクター・テーマ。それぞれには君がレベルを上昇させた時に得られる要素も含んでいる。
テーマの選択
君のキャラクターは1つだけテーマを持つことができ、君はそれをキャラクター作成時に選択することができる。君が選んだテーマはこの項に記述されている利益を得る。君がテーマを選ばなくてもよく、君はより高いレベルになるまで選ぶのを保留しておくことができる。だが、テーマは1レベル時に独自の背景、起源、あるいは職業を記述しており――1レベル時に君がキャラクターを設定するのを助けてくれる。
開始特徴
それぞれのテーマには君がテーマを選択した時に得られる特徴が含まれている。
追加特徴
君がテーマを得た時の特徴に加え、適切なレベルに達した時に追加でテーマの特徴を得る。すべてのテーマはレベル5および10で追加特徴を与える。
オプション・パワー
テーマは汎用パワー(そしてしばしば攻撃パワー)の選択肢を増やす。君は君が選択したテーマのパワーをクラスのものに追加する。君がクラスのパワーを得られるレベルに達した時はいつでも、君はその代わりにテーマのパワーを選択できる。テーマのパワーは君が得られる予定のクラスのパワー以下のものでなくてはならない。たとえば、君が6レベルのウィザードでウィンドロードのテーマを持っているとする、君は2レベルか6レベルのウィザードの汎用パワーあるいはウィンドロードの汎用パワーを修得できる。
テーマを使用したキャラクター作成
テーマはキャラクター作成時に使用することを想定した道具である。テーマを選ぶことで君はキャラクターを掘り下げ、クラスや種族の限界を超え、そして君に作成オプションを提供することを助けられる。たとえば、君が防衛役をプレイするなら、君は多くの敵を阻止するのを助けるためにアースフォージャーを選ぶかもしれない。君が制御役をプレイしていて制御のオプションを強化したいなら、プライモーディアル・アデプトが最善の選択だ。
君は物語要素や君のクラスに存在しない役割の代わりとしてキャラクターにテーマを選び、その代わりに使うことができる。テーマの開始特徴で君は防衛役だとしても撃破役の要素を少しだけ引き受けるように、別の方向を得ることができる。たとえば、君が防衛役のナイトだとしても、ファイアクラフターを選ぶことで君は印象的な遠隔能力を少し得ることができる。
上の助言すべては君がクラスを選んだ後にテーマを選ぶことを前提にしている。しかし、まず君のテーマを選んでから君のキャラクターをどうするか考えるのもよい方法である。ここを決定することで、君はテーマから始め、種族、クラス、特技などでその考えを固めていく。
君がいつキャラクター・テーマを選ぶにしても、それを君のキャラクターの背景に取り込むことを考えよう。君のテーマは君を冒険の道へと駆り立てた事件を反映しているのかもしれない。あるいは何らかの目的のためか他の誰かによって受けた特殊な訓練として表現することもできる。テーマについて考える最良の方法はおそらくこうである。冒険者になる前、君は何をしていた? 君はゲームの世界で他人にどう自己紹介をする? クラス名は必ずしも明確なキャラクターの個性――君が剣の扱いに長けてレザー・アーマーを着ていたとしても、それはファイター、ローグ、レンジャー、あるいはパラディンかもしれない――に直結しているとは限らない。一方、テーマはキャラクターや他人に明確な何かである。
この章のいくつかのテーマはキャラクターが元素魔法に接触する異なる方法を含んでいる。いくつかは普通のキャラクターよりも強く“元素の渾沌”と結びついている。いくつかは君のキャラクターを元素クリーチャーにし、彼や彼女の性質すら変化させる。
パーティの中のテーマ
この本のキャラクター・テーマは君のキャラクターに独自の物語要素を与える。おそらく君は他人が知らない秘密を知っているだろう。君は同胞にも隠している目的があるかもしれない。キャラクターのそうした面は、君のキャラクターがパーティの他から干渉されないロールプレイングのきっかけになるはずだ。
君のキャラクターのテーマが他のプレイヤーが選んだテーマとどう関係するか考えるといい。それぞれがパーティで何のクラスや役割をプレイするか話すのと同じように、このことを彼らやDMと話すといい。キャラクターを似た背景や同じ元素の領域にすると、類似したテーマが世界への認識を似たものにするかもしれない。
高レベルでテーマを得る
君はより高いレベルの既存のキャラクターにテーマを適用できる。より高レベルでテーマを得るのはキャンペーンで起きた事件の結果かもしれない。この章で紹介されるいくつかのテーマは君が生きているうちのいつ得てもよいものだ。主要クエストの完遂、強大なエレメンタルやデーモンの撃破、あるいは“元素の渾沌”に関係した危険な環境にさらされた結果、テーマを得たのかもしれない。
君がテーマを選ぶ前に、ダンジョン・マスターにどうやってテーマを得たのか説明や設定を話そう。DMはテーマを何かの報酬とするかもしれない。君は“元素の渾沌”へ赴いたり、次元界の裂け目が自然世界を脅かす場所を探さなければいけないかもしれない。逆に、DMはさまざまな必要条件を無視して君にテーマを与えるかもしれない。
テーマの変更
テーマは君のキャラクターの生涯を通して持ち続けられるが、テーマの変更が意味を持つ状況が起こるかもしれない。君は人生をウォーターシェイパーとして初めても、後に火のプライモーディアル、ザーマン・ルルのために働いていたと知る。君が以前の後援者からザーマン・ルルに乗り換えるとすれば、ウォーターシェイパーを捨ててファイアクラフターになりたいかもしれない。
君は再訓練で、他のオプションの再訓練を行なう代わりにテーマを入れ替えることができる。ただし、テーマを再訓練する前提として、君はテーマのオプション・パワーを修得していてはならず、テーマが前提条件となる特技や伝説の道を修得していてもならない。伝説の道は再訓練できないため、君が前提となる伝説の道を修得している場合、君はテーマを再訓練できない。ただし、現在のテーマを再訓練する障害がオプション・パワーや特技だけだった場合、君はそれらのパワーや特技を現在のテーマを条件としないものに再訓練できる。君が一度キャラクターの構成要素すべてを現在のテーマを条件としないものにすれば、君は次の再訓練の機会でテーマを再訓練できる。
他の元素テーマ
『Dark Sun Campaign Setting』は職業、称号、そして背景といった要素を表現するキャラクター・テーマの概念を『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のゲームに導入した。それのテーマはそのセッティングで使用するためにデザインされているが、いくつかは“元素の渾沌”と強く関係があるキャラクターに適切なものだ。Elemental Priest、Primal Guardian、そしてWasteland Nomadのテーマは他のセッティングでも調整無しに導入できる。
イェニチェリ
ジン種の種族は“元素の渾沌”の都市や宮殿の奴隷として使うために定命の者を連れ去るという噂がある。しかし、定命の者のほとんどはこれらジンの奴隷という存在が、深いな生活からは遠いものだということを知らない。これらの召使いは世界中の貴族の宮殿や城砦の内外で精を出して働く一般の労働者、召使い、兵士、あるいは職人などとほとんど変わらない生活を送っている。
もっとも普通のジニー――ダオ、ジン、イフリート、あるいはマリード――でも、彼らは自身を高く高貴な位を持つ大君主としてふるまう。それらは毎日商売でもたらされる富の管理と瑣末な仕事の監督に追われている。これらジニーの大君主はそれの代理人として、彼らの仕事の大部分を信頼できる選ばれた階級、イェニチェリとして知られる忠実な奴隷に任せる。
一部のイェニチェリはジニーの宮廷の一員でちょっとした旅行の自由を持っているが、非常に大きなジニーの都市や領域を主とするほとんどのイェニチェリは、特定のジニーというわりは玉座の奴隷として考えられている。そうしたほとんどのイェニチェリは精鋭の兵士、都市の職員、あるいは非常に有能な職人や技術者として働いている。彼らは財産を持ち、武装し、旅をし、結婚し、そしてさまざまに興味を持った事柄に関わってもよいが、ほとんどは支配者に仕える衛兵か官僚である。冒険するイェニチェリは通常こうした集団で――高位のジニーが彼らに奉仕を命令するまで――好きなことをやっていられる。イェニチェリがさまざまな使者として定命の世界へ向かうことは珍しくなく、元の任務を達成しても彼らは自分の運命を求めてそこに留まる。
イェニチェリはしばしば裕福で、快適で、そして大きな権威を委任されるが、彼らはジニーの主人の気まぐれに依った存在である。善いジニー、たとえばジンやマリードは、彼らのイェニチェリを注意深く扱い賢さ、信頼、実績などを示した召使いには名誉と仕事を授ける。
一方、ダオやイフリートは残酷で横柄で、彼らは当然召使いを彼らが務めを果たした時の残虐さや非道さで評価する。多くの領域でイェニチェリは貧困と気まぐれな処分から最低限の法的保護を与えられるが、対価として彼らは厳しくお互いを監視してジニーが下すどんな命令や望みにも従うことを求められる。
ダウンロード(813キロバイトのPDF)
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
『Heroes of the Elemental Chaos』のプレビュー第二弾はThemeについてで、ジンの従者であるJanissaryが紹介されているですぅ。
それはそうと、今回の翻訳には最初DjinnとEmissaryの掛詞だと思って何も考えずにJanissaryをジニッサリーと音で書いたけどちょっと引っかかりながら作業を進めていたら、突然これイェニチェリだったと思い出した余談があるですぅ。
2012年01月19日 「売ることを目的にゲームを作るなんて、考えたこともなかった。いつも、自分のしたことが売り物になっていただけなんだ」 [長年日記] 編集
§ [DnD] 『RSD(ライアン・S・ダンシー)による第4回――『Escapist』補足コラム(4 Hours w/ RSD - Escapist Bonus Column)』
As many of you know, the Escapist has recently run a 3-part series on the past, current and future of Dungeons & Dragons. The ENWorld coverage begins here.
4 Hours w/ RSD - Escapist Bonus Column - EN World: Your Daily RPG Magazine
多くの読者がご存知の通り、『Escapist』は最近『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の過去、現在、未来について3回の連載を行った。ENWorldでの紹介はここにある。
私はそのコラムでいくつかの意見を述べたが、これを機にこの話題についてより詳しい意見を表明したい。
私は誰でしょう?
私ことライアン・ダンシーは、最初期のオンライン通販ゲーム店、RPG Internationalのオペレータとして、1993年からゲーム出版に仕事として足を踏み入れた。私はRPG Internationalで仕事をしているうちに『Legend of the Five Rings』を開発して著作権を持ち、後にFive Rings Publishing Groupとして独立し、1997年にウィザーズがTSRをそうしたように、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストに買収されるAlderac Entertainment Groupのチームと出会った。私はかつてウィザーズに在籍し、トレーディング・カード・ゲームのブランド・マネージャ、および『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のブランドとビジネス部門で指揮をし、2001年の始めに別会社を設立してオーガナイズド・プレイのサービスを立ち上げるために離れ、2003年にはそれを段階的に縮小し、CCPのチーフ・マーケティング・オフィサーとして2003年までコンサルタントを務めていた。現在の私は新世代のファンタジーMMOを開発するGoblinworksのCEOである。
以上の背景を最初に説明しておく(繰り返しになって申し訳ない。これはこの連載で最初にこのコラムを読む読者のためである)、これは私が長年この業界を間近で見てきたことを前提に、いくつかの考えを共有しておきたいと感じたからである。
テーブルトーク・ロールプレイング・ゲームという趣味の縮小
いくつか単純な数値から始めさせてほしい。
1995年、私は『Legend of the Five Rings』のCCGについて事業計画を作成した時、私は当時の常識に照らし、北米市場にはおよそ5000店の専業ゲーム店が存在すると仮定した。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストに就職した1997年、私はウィザーズが(あれほどの仕事をした後に)およそ2500店しか把握できていないことを知って驚いた。それに加えて、そこには2500~3000店のゲーム製品、D&Dを含むほとんどのTRPGを扱う書籍小売店があった。
現在、私に集めることができた最良の情報によれば、ゲーム専門店は1000店未満、低く見積もれば500店ほどである。
それらの書籍小売店のうち、B. Daltonは無くなった。Waldenbooksfは破産した。Bordersは破産手続き中。Barnes & Nobleも青息吐息だ。現在、それらの書籍小売店はわずか1000店(717店はBarnes & Nobleの店舗)しか残っていない。D&D事業は長い間その50%を書籍小売店で売っていたのでそれは意味深く、それらの店が失われたことはD&D(や他のTRPG)にかなりの直接的打撃を与えている。
1994年に私が初めてGenConに参加した時、ショーの参加者一覧には多くの企業名が並んでおり、それらのほとんど(あるいはすべて)がテーブルトークRPGを売っていて、1名以上のTRPGデザイナ/開発者を正社員を雇っていた。Atlas Games、Chaosium、Dream Pod Nine、FASA、Game Designers Workshop、Heartbreaker、Hero Games、Iron Crown Enterprises、Mayfair、Palladium、R. Talsorian、Steve Jackson Games、TSR、West End Games、White Wolf、これ以上にも残念ながら私が省略せざるをえなかった会社があると思う。
それらの会社に加え、ひとりかふたりでこれから仕事を始めようとした綺羅星のごとき小出版社、パートタイムでTRPGのデザイナや出版をしている人、そしてこれらの会社の周囲をにぎやかにする、TSRから来るデザインの仕事で収入の重要な部分を得ていた(百人はいただろう)フリーランサーたちもいた。
この業界に関わる人の多くが、1994年から1999年にかけてTRPGが非常な苦境に立たされていたことは知っているだろう。コレクタブル・カード・ゲームとゲームズワークショップというふたつの趣味が台頭し、TRPGからデザイナと売り上げが吸収されていたように見えた。この問題でもっとも大きな兆候はTSRのビジネスが破綻し、1997年にウィザーズ・オブ・ザ・コーストに取得されたことである。
私はその苦境をもたらした原因の大部分は単に大量の製品が出版されすぎたことに因るものだと考える。ゲーム、背景世界、そして“統一規格”の激増で、TRPG市場は全体的な収益がほぼ一定だったにもかかわらず、製品や会社ごとが挙げていた収益はより細かく(製品と会社に)再分配され、利益率は落ちた。
第2の主因は卸売業者の整理統合だった。私が1996年に『Legend of the Five Rings』を売り込んでいた頃、最初は北米の卸売業者50社ほどを収めたリストを我々は持っていた。10年後、そのリストは1ダースほどに縮小した。事実、市場のあらゆる卸売業者は1990年から1999年にかけて売却されたか廃業し――TRPGの卸売販売網を築いた人々はそこから離れてCCGビジネスで再起した。
この動きはTRPG出版社に予想外の影響を与えた。1990年代初頭以前はあらゆる卸売業者は多忙で、いつもTRPG出版社へ大量の製品を発注して倉庫に在庫を準備して小売業者からの発表を待っていた。業界の慣例では卸売業者が出版社への支払いを行なうのは商品受領の30日後だった。この金銭の動きは――彼らが印刷した本すべてが売れるまで待たなくても、彼らはすぐに売り上げを得て、売れるまでに時間がかかる危険は卸売業者が負うことになり――出版社を支えた。さらに、すべての卸売業者は予期しないヒットへの保険として、彼らが実際に売りさばくより10%ほど多く発注する傾向があった。卸売業者が整理統合された時、出版社は突然売り上げと現金を相当な量失った。10%×50社分、本は水増しされていた。そして残った卸売業者は在庫に対する先払いを廃止して“委託販売”への切り替え――つまり、彼らは製品が売れてから支払いをし、危険を出版社に戻したかった――求めるなど、財務体制を強く引き締めた。
1997年末にウィザーズ・オブ・ザ・コーストでTRPGのブランド&ビジネス部門を掌握した時、私はリサ・スティーヴンスに業界の歴史で本当は何があり、我々は我々(すべて)が落ちていることに気づいた深い穴にどう落ち込んだのかを知ることができる市場調査を行なうよう依頼した。
彼女の調査で2つの基本的な答えが明らかになった。
1つは業界が作り出していた製品が高くつくようになりすぎたということだ。ボックス・セットは特に大きな問題だった。ボックス・セットとハードカヴァの本の価格差は、パーセントどころかしばしば倍になっていた。ハードカヴァとソフトカヴァの本も相当な価格差だった。事実、私たちはいくつかの目立ったD&D製品に希望小売価格よりも会社が高額を費やしている商品を見つけた! この問題は、多くの出版社がTSRと競争して“ついて行く”と意識した時から、業界の至るところに根を張っていた。しかしTSRは理性的ではなく、出版して利益を挙げるために要求されるものではなく、市場が払いそうなところを見て小売価格を決めていた。
この分野で、我々は“5のルール”と呼ばれている簡易的な価格設定の仕組みをしばしば使う。このルールで、君は製品の原価に5をかけることで、おおよその製品の価格を決定する。業界が使う3段階の流通制度を考慮に入れると、その結果は最終的に小売価格が以下の配分になることを示唆している。
- 20%:製品の原価(生産の生産に関わる費用に加え、仕事をした人々に払う賃金やライセンス、ロイヤリティ)。
- 20%:出版社の粗利(つまり、月給のような追加費用、マーケティング、賃料を差し引く前の利益)。
- 20%:卸売業者の取り分(卸売業者が得る粗利)。
- 40%:小売の取り分(小売業者が得る粗利)。
これは原価が1ドル上がるごとに小売価格が5ドル上がることを意味する。TSRがやっていたことのひとつとして、製品原価に10ドルを加えても――50ドルを小売価格に反映させなければいけないのに――簡単にそれらの製品の多くを100ドル以内に抑え込んでいた。その代わり、TSRはこれらの製品が1つ売れるごとに赤字を増やしていた。そしてその情報はTSRの機能不全を起こした経営情報システムによって隠され、それらの製品を製造していた人々は知るよしもなかった。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストにより取得されて“現実の数字”を見るまで、彼らは何が起こっているか理解していなかったのだ。
リサのデータが我々に明らかにした第2の問題は、我々がD&Dの第3版を市場に問う時に我々が行なうあらゆる決定を形作った、TRPGビジネスについての考えを前進させるものだった。
我々はネットワークを作る効果があるものが特級のTRPG製品とサービスになると理解した。我々の場合、もっとも影響を受けた大きな衝撃は、ネットワーク性の概念だった。TRPGの場合、君が買う書籍やボックスに“適正価格”は存在しない。君がゲームをプレイできるかどうかは、君が所属する社会的な繋がりのネットワークに依存する。その社会的ネットワークを抜きにすると、ゲームの価値は非常に低下する(それは文芸になり、それらをもっぱら読むだけでTRPGのコンテンツをプレイすることのない人々の小さな市場は存在する)。
我々は市場をある製品シリーズの(コア・ルールを頂点に、時が経つにつれ出版されるサポート製品によって裾野が広がる)ピラミッドから、互いにつながっている人間関係の網として市場を見始めた。それらの網が強固なところで、製品は成功していた。それらが弱かったところで、製品は失敗していた。TRPG市場の成長と強度を規定する因子は小売店や店の占有度ではなく、これらのゲームに参加しあうことができる頭数だった。
全体を覆う社会的ネットワークが弱かったため、多くの場合その頭数は分割されていた。あらゆる新しいゲーム・システム、そしてそのシステムへの新しい選択ルールは、さらにそのネットワークを分断し、弱くした。1993年から1999年にかけて、TRPGプレイヤーの社会的ネットワークは恐ろしくすり減らされた。それは君が『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のネットワークを見たとしても影響を感じられるだろう。人々はプレイするグループをBasic D&D、第1版、第2版、そして第2版にさまざまなキャンペーン・セッティングを足して彼らだけの別ゲームと化したものと、自分たちで分断していった。市場に対する影響は、開発と発売にかかる費用をまかなえるだけの充分なレイヤーを確保できず、作成や販売がどんどん難しくなるというものだった。
私たちは業界を広く見て成功したように見える会社がすべて実質的に同じ問題を抱えていることを知った。ホワイト・ウルフはわずかに異なるワールド・オブ・ダークネスのゲームを5つ抱え、その周囲にストーリーテラー・システムと関連はあるが互換性を持たないより多くのゲームを持っていた。FASAは4つのゲームを持ち、どれも共有するものを持っていなかった。PalladiumとSteve Jackson Gamesはいずれもあらゆる製品ラインで使おうとした“統一規格”を持っていたが、彼らはTRRを苦しめていた“キャンペーン・セッティング”問題に追い詰められていた。これらのゲームの強みだった選択ルールはコアのDNAが共通していたにも関わらず、独立したゲームのネットワークを作り上げていた。そして我々はそれらの会社がすべて、内部では我々が見ていたものと同じ財務諸表を見ていたことを知っていた。あらゆる新作の売り上げは少なく、少ししか刷られず、それに応じて会社は単位ごとの利益を上げるのではなく、次々と発売して1作ごとの利益でなんとかしようと計画を立てていた。それによってみんな死んでいった。
我々の分析はこの罠から逃れなければならず、D&Dは最低限でもただ1つの誰もが許容できるルール環境のもとにプレイヤー・コミュニティを統合しなければならないという結論に達した。さらに我々は1作ごとの収益性を上げるため、出版していた書籍の点数を大幅に削減しなければならなかった。1作が7冊売れるのは、2作で5冊売れるよりも文字通り望ましい。
その過程は我々がオープン・ゲーミング・ライセンスを助けて強化する刺激を与えるものとして、ゲーム・システムを一般的なコアとすることに繋がり、出版社が素晴らしい世界やクールなソースブックを最初に彼ら独自の自社製RPG(そしてそれは市場を分断化する)を作らなくても作成できるようにし、その結果、2000年の市場では創造力と収益による大変面白い大爆発が発生するのを見ることができた。
君が1994年のGenConで活発だった会社のリストを手に入れていても、君が2001、2年のGenConへ行くなら君はさまざまな新しい名前を加えなければならない。Alderac Entertainment Group、Decipher、Eden Studios、Fantasy Flight Games、Goodman Games、Green Ronin、Guardians of Order、Holistic Design、Kenzer & Co、Malhavoc Press、Mongoose、Necromancer、Pagan Publishing、Pinnacle Entertainment Group、まだまだ私が意図せざるに省略している幾多の名前がある。もちろんこれらの会社の多くはOGL/D20時代以前も活発で、D20製品を出版しなかったところも多いが、これらのすべてはD&Dの復活によって利益を得た。
さらにこれらの中にはロン・エドワーズ、ルーク・クレイン、そしてヴィンス・ベイカーのような専業のデザイナや出版側の人物が1~2人で行なっているいくつかの“インディーズ”RPG会社もあった。インディーズRPGという部分はどうやれば経済的に立ち行くかという問題に対して良質の助言や学習をForgeや他の小部数出版についてのサイトから受けていた――こうした動きは今日まで続き、大量生産される大作TRPGが決して狙えないニッチを狙った小規模なTRPGの独立出版を助けてきた。
こうした活動を担う中核となっていたのはいずれも1990年代に活動していたフリーランサーである――D20システムはこれが無ければ決して彼らのアイデアで金銭を得るための商業的なデザインに手を出さなかったであろう人々にそれを可能とさせ、彼らは既にフリーランスとして有名な出版社で創作活動をしている人々と歩調を合わせた。
GenCon 2003でTRPGは最高潮に達し、ウィザーズが第3.5版のD&Dを発売した。その直後にドミノは崩れ始めた。3.0と3.5の間にある非互換性は店に並べられた在庫の多くが“時代遅れ”になると顧客に思わせ、大幅な売り上げ低下と小売店が在庫を処分するための投げ売りという結果を招いた。売り上げの低下は新商品の発注現象を招き――小売店は彼らに多大な頭痛をもたらした市場により多くの金銭を投資することに臆病となった。
こうして当然の帰結として底を打った時、それでも第3.5版のプラットホームで業界を再編できる可能性はあった。
残念だが、それがその可能性へたどりつくことはありえなかった。
2004年末、Blizzardは『World of Warcraft』を発売した。テーブルトークRPG業界から面白い新参者と考えられていたMMO市場は突如爆発した。これまでもっとも成功していたゲーム(『Everquest』)が絶頂期に約40万の課金アカウントを擁していたのに対し、『World of Warcraft』は12ヶ月たらずでプレイヤー数100万人を上回った。2007年末までに、それは合衆国とヨーロッパで500万人以上のプレイヤーを集めた。すぐさま他社もその周りに集まり、急いでWarcraftの標準的なファンタジー以外のスーパーヒーローもの、サイエンス・フィクションもの、サイバーパンクもの、そして歴史軍事ものを提供し始め、新興市場は『World of Warcraft』の周囲で急速に成長した。それらはまさにTRPG市場が基盤としていたものだった。
さらに(TRPG市場にとって)悪いことにMMOも若年層を求め、TRPGとは違う方法で彼らを引き寄せた。特にClub Penguinは若年層をゲームに引き寄せることが巧みで、ディズニーは7億ドルでそれを買収し、発表によればそれを3000万人以上の子どもたちがプレイしている。
TRPG業界は突然2つの痛手を受けた。ネットワークがとらえていた多くの人々がTRPGのグループを去ってMMOに集中した。そして毎年新規プレイヤーを生み出す獲得機構に代わって、若年層は小さな頃からTRPG製品よりもMMOに親しみ、おそらく彼らが成人してからも持続ふるプレイの形式を確立している。
現在、TRPG市場への影響は目に見えるものになっている。GenCon 2011で、TRPGゲーム・デザイナやデベロッパを常勤で抱える会社のリストは短くなった。Alderac Entertainment、Kenzer & Co.、Fantasy Flight Games、Margaret Weiss Productions、Mongoose、Palladium、Paizo、Steve Jackson Games、White Wolf、Wizards of the Coastそして、ひとつふたつの小規模な“インディーズ”出版社である。リストから消えたのは1994年と2001、2年で成功していた会社の多くで――業界からはそれらの会社がフリーランサーを養っていた仕事も失われていった。
それらの会社のいくつかは彼らの親会社の副業として出版を続けている。Green RoninとPinnacle Entertainment Groupはその代表例だ。しかし私にとってそれは――失敗(あるいは事故)が許される範囲は、カミソリの刃のように狭い――非常に不安定な立ち位置に見える。
そして、縮小は続いている。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストやホワイト・ウルフは、数人のデザイナを解雇した。Hero Gamesは常勤社員がいなくなったと発表した。カタリストの問題は彼らがFASAから受け継いだTRPG事業の維持に手間をかけられないことを示している。
我々には原因がわかっている。MMOの隆盛、小売店の崩壊、そして卸売業者の統合。そして我々は影響を見た――失業、会社の閉鎖、そして多数の顧客を率いて新規参入する出版社がほとんど失われる。
どう結論づける?
私の見解はこのゲーム業界が非常に小規模なニッチ向けビジネスに変化しつつあるというものだ。それは主にTRPGを彼ら生涯の趣味とする老化していくグループの欲求を満たす。それらのプレイヤーが年を取ると、彼らは商業的に発売された製品によるサポートがどんどん必要になくなっていく。彼らはその代わり、彼らを常に直接結びつける社会的ネットワークは擦り切れ、趣味を続けるのを助けるためにコミュニティを支える道具を求めるようになるだろう。
『Escapist』の記事では、私がこの仮定を鉄道模型趣味の展開のようだと語ったと伝えられている。私がよりはっきりとこの変化について表明できるのは(鉄道模型の場合のように)高価格化はないが、その代わり効果的にTRPGへ新規プレイヤーを獲得する仕組みが無く、MMOという要因もあり、継続的にTRPGの社会的ネットワークは減少傾向になるということだ。
これらの問題はいずれもTRPG業界の構造的問題ではなく、外的要因によって引き起こされるもので、直接それらに対して行なえることはわずかしかない。
将来の道
デジタル
この趣味の将来について多くの人々が抱く展望は、ヴァーチャル・テーブル(VTT)である。これは明らかなことで――MMOがTRPGの社会的ネットワークを破壊しているなら、反撃する方法はMMOの領域でTRPGを行なって分散型のオンラインプレイを可能にすればよい。
問題はVTTが既に存在し、それらが成功していないことだ。君が人々にVTTとMMOを選ばせるなら、彼らはMMOを選ぶだろう。MMOの遊びは以前のTRPGの社会的ネットワークよりかなりよいものであるため、VTTは根本解決とはなりえない。私にいわせてもらえば、成功して広く使われているVTTはそれを成長させるのにどれだけの努力を注げばいいのかわからない蜃気楼のようなものだ。
これはTRPGの未来にデジタルの出番が無いといっているのではない。思うに、TRPGの流通を電子製品にしてしまうのは、ありうる進化の方向だ。これは印刷した本をPDF化することではなく――iPodのような技術で卓上の遊びを強化するためのデジタル製品を作るという考えで私は語っている。
家庭向けゲームへの転換
私はゲーム趣味を持つ人が実は実際のプレイよりも(少なくとも1人で)準備する時間を多く費やしていると定義している。TRPGの場合それは主にGMだが、しばしばプレイヤーもそうなる。この“ゲーム外での時間”はTRPGという環境が競争力を持つために克服すべき最大の障害となる場合がある。
私は将来の商業的に成功するTRPGはより家庭向けゲーム――箱を開け、すぐに覚えられ、予習無しにプレイできる――のように作られたものだと思う。これらのゲームは人々に“ロールプレイング”と同質の楽しさの多くと物語の操作を今日のゲーム趣味としてのTRPGよりわずかな時間的投資で与えている。ウィザーズやFantasy Flight Gamesは、既にこうした形のものを実験している。それは有益な投資で、かなり有望なビジネスが延長線上にあるようだ。
『Pathfinder』
私は『Pathfinder』とそれが市場で果たすべき役割について書いて筆を置こうと思う。
OGLとD20計画の目標の1つに、1社では『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を殺せないことを確実にすることがあった。TSRはその寸前まで達した。滅びる直前、それは借金の抵当としてD&D関係の著作権と商標を担保に入れた。TSRは遠からず破綻し、銀行がTSRの死体をめぐって争うおそらくとても長い間、誰もその知的財産を使うことはできなかっただろう。
OGL/D20計画は将来どんなD&Dの新版が開発されても、D&Dの第3版は存在し続けることを確実にした。未来に生まれるD&Dはこれを基準に評価され、市場が新版への変化を拒めば、旧版への商業的サポートがすべて終わるこれまでの世代とは違い、市場は彼らが望む版をサポートし続けることができるだろう。それはD&Dの将来の版に対する高い基準――人々が環境を自発的に変えるくらい、それは第3版よりよくなければならない――だ。
『Pathfinder』は多くのプレイヤーにとって(明らかに)第3版の衣鉢を継ぐゲームで、ウィザーズが見込んだよりも少数だった第4版への自発的移行が少なかったという事実から利益を得ている。
市場が縮小する時はいつでも、“大樹の陰”と呼ばれる現象が見られる。これは縮小する市場に残る人々が市場でもっとも成功したものの周りに集まり、彼らのビジネスを行なって崩壊を乗り切り、将来の拡大期に希望を繋ぐというものだ。これは今『Pathfinder』に起こっていることだ。D20システムが繋げた社会的ネットワークは『Pathfinder』が継いだ。残りの市場がどんどん縮小する中、残りすべての人々を引きつけるTRPGのフォーマットであるため、『Pathfinder』はより拡大している。
Paizoはそのために、再出発に使えるエンジンを試している。今年(2011年)発売された『Beginner Box』は、TRPG市場がこの10年(おそらく20年)で目にする最高の入門用製品である。私はクリスマスにそれを手に入れ、今ごろは最初のTRPGを経験している子どもがいることを確信している。よくすればそうした子どもはゲームの時間の一部をMMOの仮想世界よりも卓上で過ごすことを決めるだろう。時間だけが答えを出す。
私は『Pathfinder』が社会的ネットワークを修復不可能なまでに破壊しないようにするための、長く遊ぶ趣味人を乗せた方舟であると直感している。充分な人々が地域やヴァーチャルでそれをプレイして交流すれば、たとえ最悪の状況が訪れても(Barnes & Nobleが破綻し、ゲーム専門店が無くなっても)それそのものを支えるだけの勢いがあると私は考える。Paizoはそのコミュニティの形成に妥当なことをして統一市場を作ったが、これは統制できない群れに対する素晴らしい保険である。
D&Dはどこへ向かう?
私はより詳しくこのことについて話したい。残念ながら、私は現在それを不可能にする秘密の情報を持っている。私は読者全員と同じものを見ている――モンテ・クックがウィザーズ・オブ・ザ・コーストに帰還し、市場では第4版が商業的に思わしくなかったと考えられている。私は2012年にD&Dについてより多くのことを語らねばならないと思うが、それは将来のコラムを待つことになる。今のところ最後に私がいえるのは、私はD&Dが強いブランドとして返り咲くのはこの趣味全体にとってよいことなので、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストで軌道修正しようと努力する人々を心から応援するということである。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ興亡記:未来』に意見を寄せていたライアン・ダンシーが、それを補足するものとしてENWorldにボーナスとして寄稿したコラムを翻訳しましたぁ。
大意は連載時のものに要約されているけどそこに至るまで体験したことや思考の経緯について、かなり詳しく説明がなされているですぅ。
§ [DnD] 1st Edition特別再販
Gygax Memorial Fundを支援するため、WotCから4月17日に『1st Edition Premium Player's Handbook』($34.95)、『1st Edition Premium Dungeon Master's Guide』($44.95)、『1st Edition Premium Monster Manual』($34.95)の三冊が発売されるですぅ(小売店向けリリース)。
本文、挿絵は当時のままで表紙のみ記念仕様(後日発表、現在のガイギャックスがゴブリンと戦ってる絵は彼を顕彰する本の表紙)となり、売り上げはGygax Memorial Fundがレイク・ジェネヴァに建造する“Father of Roleplaying Games”像の資金になるそうですぅ。
ただ、この限定版は北米のホビー流通限定商品になるから日本在住で手に入れたい人は向こうのショップからの通販が必要になりますぅ。
2012年01月20日 一九七〇年代後半~八〇年代初頭のソフトウェア会社は、単なる趣味でプログラミングをはじめ、次第にコンピュータに惚れ込んでいったという人々が集まって行き当たりばったりに設立された例が多い。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『Neverwinter』カード和訳表
さぼりっぱなしだった『Neverwinter』カード和訳表に手を入れて、Promoすべてを補完したバージョンにしたですぅ。
2012年01月23日 「販売店をやっていた人たちは、私を家に招いて自分のコンピュータを見せ、知っている限りの裏技をすべて実演してくれるような人種だったよ」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][HotEC] 『モンク(Monk)』
『Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー
バート・キャロル火と土を統べる者。風と水の王。『Heroes of the Elemental Chaos』は“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。
モンク
モンクが学ぶ伝統の闘法は心身の合一が必要となる。この項――『Heroes of the Elemental Chaos』で詳述される――では、普通の定命の者でも思考を動きに変えられるようになる手助けをする。
モンクは重い鎧も物騒な武器も必要としない、型破りな戦士だ。拳、脚、肘、そして頭はモンクにとって剣や斧のようなもので、速さと瞬発力はモンクが敵の攻撃から身をかわすのを助ける。
内面への理解も肉体的な修行もモンクを彼らたらしめるゆえんではない。彼らの秘密はサイオニックの力として知られている蓄積された精神力にある。戦闘の訓練や長時間の瞑想により、モンクは素手打撃を強化したり彼や彼女が飛行しているかのごとく跳躍するために、このエネルギーに指向性を与えるすべを学ぶ。サイオニックの力はモンクの筋力とすばやさを彼らが人を超えた領域に達するまで強化する。モンクにとって静かな湖面を走ったり剣の切っ先にうまく立つことはなんでもないことだ。そして彼らはたとえ重武装の敵に囲まれても、その打撃が非常に頑丈な鎧も徹せるものだと知っているため、彼らは尻込みしない。
モンクは試行錯誤で戦闘技術を学ぶことはない。誰であれ精神に在るサイオニックの力を見つけてそれを利用する方法を学ぶために師父を探さなければならない。多くの師父は文明世界から気を散らされることが無いよう、隠棲している。他は可能性を持った弟子がさまざまな師範から技を学べる僧院で見つかる。
これら僧院の中には千段にも及ぶ危険に満ちた階段を上ることでしか到達できない霧深い山頂に建つものもある。常に濃霧で覆われほとんど見ることもできない小島に建つものもある。いくつかの流派は文明の中、時には都市の中で活動しているので、モンクになろうとする者には誰でも修行の場を見つける機会がある。
僧院に入った入門者のほとんどは離れるための理由を見つけられない。彼らにとって、修行は終わりなき努力――彼らは常に尊敬すべき師父から何かを学んでいる――である。したがって多くのモンクは彼らの精神の力を探り、肉体を鍛え、そして彼らの闘法を支える哲学を学ぶことに費やされる質素な生活に満足している。
モンクが学ぶあらゆる闘法は世界についての哲学を理解することから始まり、歩法と攻撃を通じてその哲学を実践する。多くの弟子は1つの哲学や戦闘法に忠実だが、経験を広げて戦闘能力を磨くうち徐々に他の哲学から闘法を取り入れる者もいる。
これらの幅広い闘法を我が物とし、より完成した弟子は、外界で目にする同じくらい幅広い脅威とも向き合うことができる。この後者の群に入るモンクは僧院から離れることを決意し、自身の適性を冒険者としての人生に見出す者である。富と栄光はほとんどの冒険者をしているモンクに対しては動機にならない。彼らを動かすものは以下のような英雄の目的と共通のものだ。価値ある腕比べの相手を求める、学ぶべき新たな師父を見出す、そして世界を滅ぼす暗黒と戦う。
至元の道
一部のモンクはその支持者が“至元の道”と呼ぶ元素を原理とする哲学を受容している。これらのモンクは彼らの精神の力を用いて元素魔法を利用することで、認識を超えて世界を理解する。
至元の道を学ぶ者は、すべてのモンクがそうであるように思考と行動の統一により啓発を為そうとするが、彼らはその定命の存在を変容させ、世界における真にあるべき場所――宇宙の純粋なエネルギーにして無限の可能性――に到達しようとしている。
至元の道が到達点を示すなら、この哲学に従う修道門派はそこへ至る道である。至元の道を支持する者はその内功を現実の根源的な力――さまざまな事物に結ばれているが、同時に統一されたエネルギー――であると考える。もちろん、そのエネルギーは元素の力で、渾沌から取り出されざる創世の力である。
新しい修道門派
至元の道へと続く道のすべては古代の神秘主義、瞑想、そして精神の覚醒に根ざしている。修道門派は自己の発見を示し、その道は君が蓄積したサイオニックによる認識を超えた世界認識と、君の周りで煌めく元素のエネルギーを使うことに特化している。修道門派はこの世界への哲学的理解を与え――新たな可能性の扉を開くか、あるいは君に自衛できる程度の基本的な技術を提供したかどうかに関わらず、それは君が世界と対峙する道を規定する。
この本では“至元の道”と関連した2つの修道門派を紹介している。君がモンクを作成する時、熱砂旋風と有為転変を修道門派のクラス特徴として選択することができる。
有為転変
ギスゼライが彼らの堕落した同胞、ギスヤンキからどう逃れ、彼らが自分たちの思考を体系化して折り合いをつけるまでの闘争を歴史は語っている。彼らは“元素の渾沌”へと逃れれば、袂を分かった彼らの兄弟が追ってこないと考えたが、荒涼とした風景がおのれの心象の鏡像だとは理解しなかった。ギスゼライが彼らの新しい住み家に慣れた頃、彼らは周辺の環境に精神を集中させることで、渦巻く混沌を制御できることを発見した。そして彼らは混沌を制御できるなら、感情を混沌と同質のものにできると理解した。
ギスゼライが確立させた有為転変の門派は、“元素の渾沌”の外にも広がり、その闘法は現在いくつかの学坊で教えられている。
他のモンクと同じように、【敏捷力】は君のもっとも重要な能力値だ。多くの闘法は力に対し力で応報することを君に求めるため、【筋力】は君にとって次に重要な能力値である。君の認識を高めて精神戦闘の抵抗力をつける【判断力】を3番目に高い能力値にするのは、良い選択である。
君が有為転変の修道門派を選んだ場合、君は以下のクラス特徴を得る。
エターナル・タイド・フラリー・オヴ・ブロウズ
君が相手に一撃を入れる時、君は別の相手にも君と対峙することを強いることができる。君が強くなるほど、大量の敵が君に気づきより強く引き寄せられるだろう。
エターナル・タイド・フラリー・オヴ・ブロウズ | |
Eternal Tide Flurry of Blows/有為転変の連打 | モンク/クラス特徴 |
君は手始めの攻撃に続いて他の敵を間合いへと誘い込むため、サイオニックのエネルギーで二の打ちを放つ。 | |
[無限回]◆[元素]、[サイオニック] | |
アクション不要 | 近接・2 |
トリガー:使用者がこのターンに攻撃をヒットさせた。 | |
目標:クリーチャー1体 レベル11:クリーチャー1あるいは2体 レベル21:クリーチャー1、2あるいは3体 |
|
効果:目標は使用者の(【筋力】修正値)に等しいダメージを受ける。使用者は目標を1マス引き寄せることができる。目標がトリガーを発生させた攻撃の目標ではなかった場合、それは使用者の次のターン終了時まで減速状態になる。 | |
特別:使用者はこのパワーをラウンド毎に1回まで使用できる。 |
均衡の心
君は他とは違う方法で世界と向き合っている。君は万物に宇宙の力を見て、そして周りに漂う元素のエネルギーを感じ、理法の束縛から逃れるために戦う。君の均衡についての理解は君が敵の攻撃を妨害した上で、君に向けられたあらゆる運動を君の優位へと転化させることを助ける。
利益:敵が君を押しやり、引き寄せ、あるいは横すべりさせる時、君は強制移動を1マス減らしてもよい。強制移動の後、君はフリー・アクションで1マスシフトできる。
新しいモンクのパワー
これらのパワーは君がレベルを上昇させた時にモンクのパワーとして選択できるものの一部である。このパワーは熱砂旋風と有為転変の修道門派のモンクにとって特に適したものである。
サラマンダー・チャージ
熱砂旋風の輩は単純な印や舞によって元素の火を喚ぶことができる。サラマンダー・チャージは君の成長した火炎操作を、もっとも効果的な局面で直接発現させるものだ。
サラマンダー・チャージ | |
Salamander Charge/火蠑突撃 | モンク/攻撃/15 |
君の舞により集まった元素の火は、君が地面を蹴ると炎の軌跡となって続き、敵を滅ぼす。 | |
[一日毎]◆[区域]、[元素]、[サイオニック]、[装具]、[火] | |
標準アクション | 近接・接触 |
目標:噴射内の敵すべて | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
効果:使用者は移動速度ぶん移動する。使用者が通ったマスは使用者の次のターン終了時まで区域を作成する。この区域に入るかそこでターンを開始したクリーチャーは使用者の(【敏捷力】修正値)に等しい[火]ダメージを受ける。クリーチャーがこれでダメージを受けるのはターンごとに1回だけである。 移動終了後、以下の攻撃を行なう。 |
|
目標:クリーチャー1体 | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
ヒット:4d6[火]ダメージ。 | |
攻撃:半減ダメージ。 |
ブレス・オヴ・ザ・ストーム・ロード
この闘法は君の一撃の効果を高め、さらに凡百の定命の者より速く移動することを助ける。この不意な移動では風が巻き起こって君の敵に叩きつけられ、君の周囲を巻き添えにする。
ブレス・オヴ・ザ・ストーム・ロード | |
Breath of the Storm Lord/嵐公旋風 | モンク/攻撃/15 |
君は敵を残虐に妨害する嵐の柱を喚ぶため、蹴りと突きを連打する。 | |
[一日毎]◆[区域]、[元素]、[サイオニック]、[装具]、[雷鳴] | |
標準アクション | 近接範囲・噴射3 |
目標:噴射内の敵すべて | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
ヒット:3d8+(【敏捷力】修正値)ダメージ。目標は減速状態となる(セーヴ・終了)。 | |
ミス:半減ダメージ。 | |
効果:使用者は噴射のマスに隣接するよう4マスまでシフトする。この噴射は使用者の次のターン終了時まで区域を作成する。この区域は使用者以外のクリーチャーには移動困難地形となり、使用者以外のクリーチャーが区域内でターンを終えた場合伏せ状態になる。使用者は移動アクションでこの区域を3マスまで移動させることができる。 | |
維持・マイナー:区域は使用者の次のターン終了時まで持続する。 |
エヴリウェア・アット・ワンス
距離と時間は精神が外界を認識するために創造した方便である。君は意識をそのような限界から解放することができるため、君はある一点にいながらすべての場所に遍在することができる。
エヴリウェア・アット・ワンス | |
Everywhere at Once/可能性拡散 | モンク/汎用/22 |
君は啓発された精神によって区域内すべてへと拡散し、望むがままに固有状態を選択できる。 | |
[一日毎]◆[区域]、[サイオニック]、[瞬間移動] | |
マイナー・アクション | 近接範囲・爆発5 |
効果:爆発は遭遇終了時まで区域を作成する。この区域内でターンを開始する敵はそれの次のターン開始時まで使用者に対する戦術的優位を与える。さらに、敵が区域内にいる使用者に対する攻撃をミスした場合、使用者は即応・対応として区域内の他のマスへ瞬間移動してもよい。 |
エンデュアリング・ボウルダー
この闘法を使う時、君は速度や正確さを犠牲にせず土の元素の強靭さをすべて発現させる。君が纏う岩石の外皮は攻撃から君を護るが、攻撃を受けるたび、外殻の一部は砕けてそれに覆われた君の真の姿を露わにする。
エンデュアリング・ボウルダー | |
Enduring Boulder/不朽玉石鎧 | モンク/攻撃/25 |
君はしばらくの間強大な腕力を帯び、攻撃に対して難攻不落の巌のようなクリーチャーとなる。 | |
[一日毎]◆[元素]、[サイオニック]、[装具]、[変身] | |
標準アクション | 近接・接触 |
目標:クリーチャー1体 | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
ヒット:5d10+(【敏捷力】修正値)ダメージ。 | |
ミス:半減ダメージ。 | |
効果:使用者は不朽玉石の形態となる。この形態の間、使用者はすべてのダメージへの抵抗30および近接ダメージ・ロールに+3のパワー・ボーナスを得る。使用者に攻撃がヒットするごとに、この抵抗は5減少する。抵抗が0になった時、この形態は終了する。 |
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
今日の『Heroes of the Elemental Chaos』プレビューはモンクの新オプションですぅ。Eternal Tideは吸引力が上がって減速状態もつけられるようになって制御性が増し、新パワーは元素の力を使った派手な演出のものが増えているですぅ。
モンクの哲学として紹介されているThe Sublime Wayは、3.5e時代に『Tome of Battle』がリリースされた時に派手な演出のクラスをフェイルーンに導入するときのフックとして設定されたもので、今回も同じような役割で戻ってきたみたいですぅ。
§ [DnD][4e][LnL] 『D&Dの知恵(The Genius of D&D)』
伝説と伝承
私は以前もこの題材でエッセイを書いたので、一部の読者には堪えていただきたい。
私がガイギャックスとアーンソンを天才だと信じる多くの理由は最初の『Dungeons & Dragons』の本に見ることができる。ありがたいことに、その知恵の多くはゲームの歴史上常に保たれてきた。
たとえば、レベルという知恵を取ってみよう。確かに、この概念はD&D以前からさまざまなウォーゲームに存在したが、私が言及したいのは革新の才能についてではなく、包括と手段の才能である。なぜレベルはそこまで偉大なのか? よろしい、私はまずレベルの偉大なところがシステムやゲームプレイに無関係なまま、この趣味の根底に存在し続けるところにあると主張しよう。一言でいえば、レベルは人々がゲームをプレイし続ける動機として機能するのだ。君の5レベルのキャラクターはもう少しすれば6レベルの利益を楽しめるというように、常にプレイを牽引し続ける。そして君がそこに到達すれば、君は7レベルに近づきたくなる。そしてその次も。それは続き物のテレビ番組のような輝きを、ゲームの形式にもたらした。人々に遊び続けたいと思わせ続けることでゲームは生きていけるのだから、それは重要なことだ。多くの人に長くプレイされ続け、おそらく彼や彼女はより多くの新しい友人にプレイを教え、そして彼らはすぐに新しいプレイヤーのグループを編成するかもしれない。
クラス、これももちろん、それより大きくはないが重要だ。それぞれのクラスは役割――その人物がゲームとゲームの世界でどのような立ち位置にあるかをつかんで理解するためのもの――を提供する。私たちのほとんどはファイターやウィザード、そしてそれらのキャラクターが何者なのかを多くの説明無しで理解することができる。彼らは原型である。冒険者のパーティが凶悪なオークの一団とぶつかれば、ファイターは走りながら攻撃をし始めるだろうし、ウィザードは後退して呪文を発動するだろうということを、版に関係無く私たちは知っている。これは新旧両方のプレイヤーとって非常に強力な道具だ。
なぜこれを挙げるのだろう? 私が釈迦に説法をしているということはありうる。これを読んでいるほんのわずかな読者はクラスとレベルを排除したほうがクールで都合のいいゲームになると主張するかもしれない。ならば、このようなゲームにもっとも不可欠な要素を評価するためにも観察することが重要になる。たとえば、君が第4版でキャラクター・クラスとテーマを比較したとすれば、クラスはより重要でなければならない。それはシステムの上で常により重要でなければならない。テーマは重要だが、クラスはもっと重要なのである。それはプレイヤーが行なう二者択一の中で常により重要でなくてはならない。私たちはそうしてキャラクターの基本的な諸相に優先順をつけていくことができる。ここで重要なのはどんな種類のシステムがそこに作用するかを理解することである。これこれのシステムが適切なのはクラスの能力? テーマ? 特技? パワー? non weapon proficiency? kit? 魔法のアイテム?
私がこれらキャラクターの諸相に、重要度の格付けをするとすればこうなる。
- 1位:クラス(そしてレベル)
- 2位:種族
- 3位:能力値
- 4位:カスタマイズ要素(技能、特技など)
もちろん、レベルはこれらすべてに優先するが、私は格付けの流儀にのっとってクラスとまとめることにした。これは私が新しいキャラクターを作成する時、私のキャラクターにもっとも影響を及ぼすのがクラスでなければならないことを意味している。2つ目に重要な選択は、種族などでなくてはならない。全体を見れば、私のキャラクターが一般的なゲームのセッションでできること、できないことを定義するのに、クラスがもっとも大きな影響を及ぼさねばならない。(すべての遭遇において真であると書くにはあまりに狭い切り口だからだ。)また、セッションの流れとすべての冒険を全体から細部へ徹底的に見ていけば、私のファイターの【筋力】は1つの特技選択やキャラクターのテーマよりも重要でなくてはならないが、彼がドワーフであるという事実よりは大きくない。
私が知るゲーム・デザイナはこの我々の視点に立ち、決して新しい種族の種族的特徴がキャラクターのクラスより重みを増さないように確認していると私は知っている。新しい技能を作成する時に決して能力値より重要にしてはいけないと知っている。しかしおそらく私は正常な順位でそれらを並べていないのだろう。君はどう思う? 私に教えて欲しい。
2012年01月25日 シリウス・ソフトウェアは、ベトナム戦争から戻ってコンピュータ販売店を経営していたジェリー・ジュエルがカリフォルニア州サクラメントで設立した会社だ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][HotEC] 『シャイル(Sha'ir)』
『Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー
バート・キャロル火と土を統べる者。風と水の王。『Heroes of the Elemental Chaos』は“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。
魔法を窮めるための道は多種多様である。ソーサラーは内なる力を喚び起こし、バードは物語と唄を秘術魔法への手がかりとするが、ウィザードの魔法は定義することである。ほとんどのウィザードにとって、魔法は分厚い書物に震える筆跡で記された隠秘学の図式と不可思議な表象による技法と複雑な配列の公式を学び、研究するものである。学習と集中に費やす歳月は、しばしば彼や彼女に成長をうながす厳しい導師につくが、ウィザードはこの学究期間をどんな個人的目標の追求にも使うことができる。
書生であることはウィザード――世界でもっとも有望な精神のために危険が約束されている生き方――への道でもっとも多いがそれはただひとつのものではない。ウィザードの呪文は体系的に学ぶもので、難しくなりしばしば見失いそうになるが、それらは発見し、発明すれば使えるものである。たとえほとんどのウィザードが先人の呪文書に呪文を求めていたとしても、他の源からこの種の魔法を得ることはできる。偉大なウィザードたちももちろんそうだが、強大な存在は不可解な奉仕と交換に、魔法知識を定命の者に貸し与えることがある。他の道も同様に存在するかもしれない。
以下の項では強い元素の主題を持ったウィザードの新しいパワーと、同じくウィザードのサブクラス、シャイルを紹介する。
ウィザード:シャイル
秘術の制御役:ジンのしもべが与える魔法を使い、君は生の元素の力をもちいて戦場を制御する。
主要能力値:【知力】、【耐久力】
シャイルは“元素の渾沌”の力を選別して彼らの呪文の魔法力とする。この種のウィザードは古代の公式と技術を調べぬくより、彼らが求める魔法知識のために元素の諸侯と交渉する。シャイルは直接これらの諸侯と取引はしない。その代わり、彼らはジンのしもべと呼ばれる元素の精霊を代理として立て、彼らのために取引を行なわせる。これらのしもべを毎日“元素の渾沌”へ送り込み、シャイルは創世の力を扱うのに必要な力と情報を補充する。
彼らの危険と隣り合わせで型破りな手法は彼らの評判とも結びつき、しばしば乱暴、強引として、シャイルは魔法界の非主流派とみなされる。他のウィザードは彼らが難しい訓練とウィザードのほとんどが一般的に行なう研究を行なっていないため不正をしているとみなし、シャイルに軽蔑と疑念の目を向ける。だが、この疑念は無知から生じるもので、たとえシャイルが魔法をジンのしもべから引き出していても、秘術の訓練は彼や彼女が得た力を扱うのに必要である。
シャイルは彼らの精神を神秘的な公式や秘術用語で乱さないため、彼らは他のウィザードよりも広範な呪文を扱うことができる。彼らはそれをジンのしもべに依頼するために呪文の基本構造を知っているだけでよい。ジンのしもべはその後“元素の渾沌”へと消え、そこでシャイルが求めた呪文を得るために強力な元素大公やクリーチャーと取引を行ない、呪文を発動できるだけのエネルギーも携えて間違いなくあるじのもとへ戻ってくる。こうしてシャイルはたとえ呪文書を使わなくても、彼らはウィザードの中でもっとも強力で広範な呪文を扱うことができるのである。
シャイルに魔法知識とエネルギーを貸す元素の諸侯は見返りのあてがなければそれを行なわない。シャイルはこうした理由でしばしば冒険者生活に足を踏み入れる。彼らはこの世界とその周辺で彼らの元素の主君の代表者、代理人、あるいはしもべとして活動する。認識しないまま平凡な探検に思いもよらない結末を迎えさせる目的のため、しばしばシャイルは彼や彼女が元素の存在のたくらみを進めていることを理解していないこともある。
シャイルの作成
シャイルは『プレイヤーズ・ハンドブック』で紹介されたウィザードの1種別である。シャイルの作成には、『ルールズ・コンペンディウム』あるいは『プレイヤーズ・ハンドブック』のキャラクター作成ルールを使用すること。キャラクター成長表(159ページ)には君のシャイルがそれぞれのレベルでどれだけのパワーと特技を修得し、能力値を成長させられるかがまとまっている。
シャイルは『プレイヤーズ・ハンドブック』のウィザードから次のクラス特徴が外されている。秘術装具体得、《儀式修得者》、そして呪文書。シャイルはこれらの代わりにジンのしもべおよび元素抵抗のクラス特徴を得る。
シャイルの概要
ヒット・ポイント:君のヒット・ポイントは10+【耐久力】から開始される。君はレベルを得るたびに4ヒット・ポイントを得る。
防御値へのボーナス:“意志”+2
一日の回復力使用回数:6+(【耐久力】修正値)
防具の習熟:クロース
武器の習熟:ダガー、クォータースタッフ
装具の習熟:オーブ、スタッフ、ワンド
クラス技能:〈看破〉(【判】)、〈交渉〉(【魅】)、〈自然〉(【判】)、〈宗教〉(【知】)、〈ダンジョン探検〉(【判】)、〈魔法学〉(【知】)、〈歴史〉(【知】)
訓練済み技能:〈魔法学〉、加えてクラス技能リストのものから3つ。
クラス特徴
シャイルは1レベル開始時に、次のクラス特徴を得る。
ジンのしもべ
元素魔法は定命のあるじに屈することはない。それらは元素のエネルギーに染まるか元素の諸侯との仲介役だけがその魔法を巧みに操れる。君は呪文の発動に必要な魔法のエネルギーを補給するため、小さな元素の精霊、ジンのしもべの助けを借りる。君は毎日、このしもべを“元素の渾沌”に遣わし、そこに住む強大な諸侯からこのエネルギーを盗ませ、乞わせ、あるいは借りさせる。しもべが戻ると、そのエネルギーは君の精神を満たす。
ジンのしもべは君自身の精髄から生まれた秘術の使い魔であり、その元素の肉体は永続的に一定の形状となる。キャラクターが持つジンのしもべは、使い魔と同様に扱われる。この使い魔は気味の魔法能力を拡大したり、特徴的な性格を持っていたり、下方次元界に対する君の知識を補佐するかもしれない。君のしもべが君の冒険で君のために果たす役割はたいへん大きい。
利益:君は《秘術の使い魔》の特技(142ページ)を得る。君はウィザードが通常選択できる使い魔か、以下に紹介されるシャイルだけの使い魔の中から1つを選択することができる。大休憩の終了時、君の使い魔は“元素の渾沌”での冒険から帰還し、君はウィザードの一日毎攻撃パワーあるいはウィザードの汎用パワーを1つ、同じ種別のウィザードのパワーと交換できる。新しいパワーはレベルを持ち、そのレベルが古いパワーのレベルと同じでなくてはならない。
ダオラニン
粗野と思えるほど禁欲的なダオラニンは、陰気で怒りっぽい相棒という傾向が強い。真実が刃のように切れるものだったとしても、彼らは真実を求める。ダオラニンは褐色や灰色の皮膚、黒みがかった髪、そして粗野な特徴を持つずんぐりしたクリーチャーである。彼らは戦闘において強く激しく、敵を押しとどめることに長けている。
ダオラニン | 使い魔 |
粗野でがさつなダオラニンはその不愉快な性質を土の元素も現わさせることで埋め合わせにしている。 | |
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。 移動速度:6 |
|
恒常的利益 | |
アースズ・アップハーヴァル/大地激震 | |
使用者およびダオラニンと隣接する地面は地渡りを持っていない敵にとって移動困難地形となる。 | |
能動的利益 | |
ギフト・オヴ・ストーン/石の贈り物 | |
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、ダオラニンは隣接する敵1体を使用者の(【耐久力】修正値)に等しいマスまで押しやる。 | |
エレメンタル・コンダクト/元素の導き | |
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。 |
ジニーリング
移り気なジニーリングにはしばしば予測できない性格を持つ。彼らは怒りっぽいが、忘れるのも速く、ちょっとした興味や判断に流される傾向がある。ジニーリングは小さく細い人型生物で、青い肌に白く乱れた髪を持つ。彼らははしっこいしもべで、風を君の敵を追い払う武器として使うことができる。
ジニーリング | 使い魔 |
ジニーリングの移り気な性格はその意欲と君の仕事を助ける能力を媒介する妨げにはならない。 | |
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。 移動速度:6、飛行:4(ホバリング) |
|
恒常的利益 | |
フォースフル・ガスツ/烈風招来 | |
使用者は使用者かジニーリングと隣接する味方1体をマイナー・アクションで1マスシフトさせることができる。 | |
能動的利益 | |
ギフト・オヴ・ウィンド/風の贈り物 | |
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、使用者はジニーリングに隣接したクリーチャー1体を2マスまで横滑りさせ、ジニーリングを2マスまでシフトさせる。 | |
エレメンタル・コンダクト/元素の導き | |
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。 |
イフリートキン
攻撃的で意地が悪いイフリートキンは姿と気質が彼らの大きな親類に似ている。炎の髪、血の色をした肌、そして彼らの眉から生えた小さな角は、彼らを小さな悪魔のように見せ、実際にしばしばそうふるまう。彼らはいたずらをしては楽しみ、あるじに厄介ごとを引き寄せることで有名である。こうした傾向にもかかわらず、イフリートキンは頼れる戦いの味方で、多くのシャイルは彼らが持つ力のために彼らのいたずらを大目に見る。
イフリートキン | 使い魔 |
イフリートキンの黒みがかった肌から発せられる炎の輝きはこのしもべが自然のクリーチャーに持つ悪意をほのめかせている。 | |
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。 移動速度:8 |
|
恒常的利益 | |
フレンド・オブ・フレイムス/炎の朋友 | |
使用者は[火]への抵抗5を得る。 | |
能動的利益 | |
ギフト・オヴ・ファイア/火の贈り物 | |
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、イフリートキンに隣接した敵1体は3+(使用者の【耐久力】修正値)に等しい[火]ダメージを受ける。 | |
エレメンタル・コンダクト/元素の導き | |
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。 |
マリーダン
陽気なマリーダンは親しみやすく魅力的で、温厚なしもべである。彼らは水の元素のクリーチャーで、緑の肌と青い髪は彼らが深みに隠れるのを助ける。彼らはしばしば気位が高いが、脅迫などをするとマリーダンは簡単に慌てふためいて非協力的になるか怒り出すかもしれない。
マリーダンはもっとも信頼できる味方と考えられており、戦場においては彼らの力で敵の足止めを行なって攻撃の邪魔をすることができる。
マリーダン | 使い魔 |
陽気なマリーダンは軽はずみに様々な状況に飛び込むが、そのこっけいなふるまいは決してその務めを遂行する妨げにはならない。 | |
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。 移動速度:6、水泳:6 |
|
恒常的利益 | |
アクアティック/水棲 | |
使用者およびマリーダンは水中でも呼吸が可能となる。水中での戦闘で、使用者は水棲でないクリーチャーに対する攻撃ロールに+2のボーナスを得る。 | |
能動的利益 | |
ギフト・オヴ・ウォーター/水の贈り物 | |
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、すべてのマリーダンに隣接した敵は減速状態となり、使用者(そして使用者がマリーダンに隣接していたならばすべての隣接する味方)は視認困難を得る。この効果は使用者の次のターン終了時まで持続する。 | |
エレメンタル・コンダクト/元素の導き | |
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。 |
シャイルの初級呪文
シャイルのジンのしもべは訪れる力をほのめかして魔法を提供するが、それでもシャイルはより大きなわざを試す前に、基本の小さな呪文を最初に覚える。
利益:君は4つの初級呪文を選択して修得する(この本にも初級呪文が含まれている。『Heroes of the Fallen Lands』および『プレイヤーズ・ハンドブック』を参照すれば他のものもある)。
元素抵抗
君と君の使い魔は“元素の渾沌”から収穫した魔法として、君自身と君の同行者を元素のダメージから守ることを学ぶ。
利益:大休憩の終了時に、[酸]、[電撃]、[火]、[雷鳴]、あるいは[冷気]から選択する。次の大休憩終了時まで、能動的状態にある君の使い魔に隣接した君と君の味方はそのダメージ種別に対する抵抗を得る。抵抗は君の(【耐久力】修正値)に等しい。21レベルで、この抵抗は君の(【耐久力】修正値)の2倍となる。
パワー
君のシャイルは最初に君が選択した8つのウィザードのパワーを修得している。
- 2つの1レベルのウィザードの無限回攻撃パワー
- 1つの1レベルのウィザードの遭遇毎攻撃パワー
- 1つの1レベルのウィザードの一日毎攻撃パワー
- シャイルの初級呪文で修得する4つのウィザードの初級呪文
君がパワーを選択する時は、“元素の渾沌”の主題と強く結びついている魔法効果を持つ、この本で追加されたウィザードのパワーを優先するとよい。『プレイヤーズ・ハンドブック』、『秘術の書』、『Heroes of the Fallen Lands』など、他の本でも他のウィザードのパワーが色々と掲載されている。
技能
君は技能でキャラクターの過去や経歴の多くの表現し、君のキャラクターが冒険者となった理由や何を望んでいるのかもほのめかすことができる。〈看破〉、〈交渉〉、そして〈はったり〉といった対人技能は君が取引、味方作り、そして他人を制御することが得意であることにできる。〈はったり〉の訓練は君が元素の存在をだまして手伝わせていることを意味でき、〈交渉〉は君がその存在を説得して正統な手段で手助けを得たことを示唆するかもしれない。
〈魔法学〉は君の魔法修行の基礎だったかもしれないが、〈自然〉、〈宗教〉、〈ダンジョン探検〉、そして〈歴史〉というような知識技能はより幅広い教育を表現する。〈ダンジョン探検〉を訓練すればかつて“彼方の領域”の勢力と接触したこと、そして君が彼らと戦うために伝統にとらわれない力の源を探すことになったことを表現できる。〈歴史〉は学問から始まったことを暗示している。おそらく君は大きな学院で技術を学んだのだろうし、そうした案は〈宗教〉を訓練することでさらに支えることができる。〈自然〉の訓練は君が荒野の混沌魔法の影響を受け、次元界との境界が薄い場所で元素の存在と接触したことを意味することもできる。
特技
一部の特技は開始時の君にとってより有用なものになる。装具を使うので、君の命中力を強化するようにデザインされた特技は君の敵を制御する能力に貢献するものとなる。《Orb Expertise》や、それに似たimplement training特技群は、君がヒットさせる機会を増やすので君は敵により大きな影響を及ぼせる。君がダメージを求めるなら、《Implement Focus》の特技で間違いは無いだろう。
Implement training特技群が戦闘で君の利益になるように、他の特技も君の要求を満たすことができる。《Aggressive Advantage》および《イニシアチブ強化》のような、Quick reactionの特技群は、君が敵の機先を制して戦場を制御する助けになる。《追加hp》、《回復回数追加》、《Resilient Focus》など、enduring stamina特技群は君が立ち続けることを確実なものにする。
《Elemental Synergy》や《なんでも屋》のようなlearning and lore特技群は君の知識技能をさらに強化する。《Child of Wind》のようなelemental特技群は、君の特殊な血脈を探索するという広大な可能性を開拓する。
装備
君はクロース・アーマーに習熟している。君は魔法を武器として使うため、君は自分自身が追い詰められるというまれな事態に対処するための予備武器としてしか武装する必要する必要は無い。
君はすべての初期キャラクターと同じように、100gpを使って初期装備を購入できる。君はまず装具を購入しなければならない。オーブはウィザードに強力な呪文制御を与え、ワンドは君の発動できる呪文の数を増やして正確さを高める。最後のスタッフは、君が攻撃より防御を重視するなら価値ある選択である。
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
今日紹介されるのはAl-Qadimから4eにやってきたジン使いのウィザード、Sha'irですぅ。秘術装具体得や呪文書が消えている代わりに、ジンを制御力ブースタにしたり呪文を交換してもらったりするようになってるですぅ。
2012年01月30日 彼は、当時大学生だったナーシア・ジベリを聡明なプログラマーとして認め、アップルにアーケード風のゲームを提供できるその才能を買った。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][HotEC] 『プリンス・オヴ・ジニーズ(Prince of Genies)』
『Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー
バート・キャロル火と土を統べる者。風と水の王。『Heroes of the Elemental Chaos』は“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。
元素を窮めるための道はさまざまなものがある。その道はプライモーディアルの欠片と偶然出逢うことや、次元の境界がほつれているのを見つけることから始まるかもしれない。他の英雄は噂を追いかけたり、どんな断章や伝説でも逃すまいと次元界を渡り、元素魔法の基本中の基本を行使するために必要な秘密を探す。あらゆる定命のクリーチャーが魂に持つ元素の糸を見つけようと彼らの内面を見つめ、絶対的な意志力で命の力を扱おうとする者たちもいる。それらの力を窮めるために唯一絶対の道というものは存在しない。元素の英雄になれる可能性は誰にでもある。
『Heroes of the Elemental Chaos』の第4章はテーマやクラス以外でキャラクターが元素魔法へ至る道に焦点をあてている。新しい伝説の道は既に持っている“元素の渾沌”との繋がりを強化するか、伝説級で見出した新発見を表現する。2つの神話の運命は、完璧に元素の力を窮めた者がたどりうる未来を記述する。新しい特技はキャラクターが自然からより元素の存在へ近づく方法を示している。英雄は元素の相棒と契約を結んだり、元素の恩寵を得るかもしれない。
これらのオプションはすべて君のキャラクターの物語に詳しい味つけをし、君が彼や彼女を『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の世界になじませることを助ける。
この章には以下の項目が含まれている。
- 神話の運命:2つの神話の運命はキャラクターに“元素の渾沌”の力を操ることの報いであり、彼らがたどる最後の宿命である。
- 特技:新しい特技は“元素の渾沌”のクリーチャーになる方法と、よりうまくその力を使う方法を与える。
- 元素の相棒:どんなキャラクターでも元素の相棒を召喚する方法を学ぶことで、ちょっとした元素の能力を彼や彼女の権能に加えられる。
- 元素の報酬:暁の戦の残滓はいまだに次元界を漂っている。これらの遺産を見つけて恩寵を得ることは、英雄の手に創世の力を与えることになる。
プリンス・オブ・ジニーズ
前提条件:元素起源あるいは〈交渉〉訓練済み
元素の精霊が封印された小さな財宝を発見した時から、君の人生はがらりと姿を変えた。中に囚われていた存在はその自由と引き換えに君に多くのものを約束し、その力で何でも与えてきた。精霊を開放するのは、牢獄を構成する強力な封印のために簡単なことではない。そこで君はそれと協定を結んだ。君はそれを解放する方法を探し、それは君が君の冒険を果たすのを助けると。
11レベル:壜の中のジニー
精霊はそれができるようなら助言を囁いて助けを与える。
利益:君は技能判定およびセーヴィング・スローに+1のパワー・ボーナスを得る。
11レベル:望みのアクション
ジニーの魔力を引き出すことは君に次の行動を成功させるためのよりよい可能性を与える。
利益:君が追加のアクションを得るためにアクション・ポイントを使用した時、君は君の次のターン終了時まで、次に君が行なう攻撃ロール、セーヴィング・スロー、あるいは技能判定に+2のボーナスを得る。
11レベル:ジニーズ・インターセッション
君のジニーは君を生かそうとする。敵が君に一撃を加えることがあれば、ジニーは君が反撃を行なった後で君を連れ去る。
ジニーズ・インターセッション | |
Genie's Intercession/魔神のとりなし | プリンス・オヴ・ジニーズ/攻撃/11 |
元素の精霊は君を攻撃した者を罰するためにたち出でて、君と僚友を安全な場所へ向かわせる。 | |
[遭遇毎]◆[元素]、[瞬間移動] | |
即応・対応 | 近接・1 |
トリガー:使用者に隣接した敵が使用者にヒットさせた | |
目標:トリガーを発生させた敵 | |
攻撃:(もっとも高い【能力値】修正値)+4対“反応” 21レベル:(もっとも高い【能力値】修正値)+6対“反応” |
|
ヒット:2d6+(使用者のもっとも高い【能力値】修正値)ダメージ。使用者は目標を2マスまで押しやる。 | |
ミス:半減ダメージ。 | |
効果:使用者および使用者に隣接している味方1体は5マスまで瞬間移動する。 |
12レベル:リミテッド・ウィッシュ
君のジニーは1日に1度、君が望んだものをなんであれ、あたう限り与える。君は友人のためにこの恩寵を使うこともできる。
リミテッド・ウィッシュ | |
Limited Wish/限られた望み | プリンス・オヴ・ジニーズ/汎用/12 |
君の望みを言え、ジニーはそれを叶える。 | |
[一日毎]◆[元素] | |
マイナー・アクション | 近接範囲・1 |
目標:使用者あるいは味方1体 | |
効果:以下のものから1つ選ぶ。 | |
|
16レベル:ジニーの幸運
ジニーは君に幸運を与えて君を破滅的な失敗から守る。
利益:君がセーヴィング・スローあるいは技能判定のロールで出目1を出した時、君はそれを再ロールできる。
20レベル:ジニーズ・ギフト
伝説の道の終わりで、君はついにジニーをその器から脱出させる方法を学ぶ。それを開放すれば、君の敵を混乱させる閃光と爆発を立ててそれは湧きあがる。精霊が自由な間、それは君あるいは君が指名した味方に利益を与える。
ジニーズ・ギフト | |
Genie's Gift/魔神の贈りもの | プリンス・オヴ・ジニーズ/攻撃/20 |
ジニーの器がぽんと開き、強力な元素の精霊が君の敵を不意に捕まえる。 | |
[遭遇毎]◆[元素]、[魅了] | |
標準アクション | 近接範囲・2 |
目標:範囲内の敵すべて | |
攻撃:(もっとも高い【能力値】修正値)+5対“意志” | |
ヒット:目標は幻惑状態になる(セーヴ・終了)。 | |
ミス:目標は使用者の次のターン終了時まで幻惑状態になる。 | |
効果:使用者あるいは爆発内の味方1体は1回分のアクション・ポイントを得る。これは使用者の次のターン終了時までに使用されない場合、失われる。 |
今日の『Heroes of the Elemental Chaos』プレビューは、アラジンのようにひょんなことから魔神の力を手に入れた者だという伝説の道、プリンス・オヴ・ジニーズですぅ。リミテッド・ウィッシュがこんな形で復活するとは思いもよらなかったですぅ。
2012年01月31日 「私たちの誰もが、コンピュータなんてもののせいで過去の生活を捨ててしまっていた。みんなが一緒に行動していたのは、全員が同じ種類のばかな人間だったからだよ」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『版の統合、その1(Uniting the Editions, Part 1)』
伝説と伝承
前回のコラムで、私は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の新世代が目指すものはすべての版を統合することだと書いた。反響を見るに、これはもっとも重要なもののひとつで、議論になる話題である。それではより深くそれを掘り下げてみよう。
まず、なぜそれがわれわれの目的なのか? これには多くの理由がある。だが、真っ先にいえるのは、君が『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のどの版をプレイしていても、君はD&Dプレイヤーであり“連環の一員”であるということだ。版同士が争う日々もD&Dファンが派閥に分割された日々は終わる。あるいは少なくとも、彼らはそうなるべきだ。(事実、彼らはこれまで何も始めていなかった。)率直にいわせてもらおう、どんな原因であろうとも、D&Dのコミュニティを分裂させることは愚かである。みんなが共通して望みはするがみんな違うものを待っている。
そのルール・システムはゲーム・デザイナやゲーム会社が望むスタイルよりは、万人が彼らの望むスタイルでプレイでき、そうすることでより意味をなす。デザイナである私自身、君にある特定の方法でD&Dをプレイさせることが私の仕事ではないことを理解している。私の仕事は君が望むプレイを行なったり、そこから出ようとした時に使う道具を準備することだ。そしてそれは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の新世代がそうあるはずのものだ。D&Dに間違ったプレイは無い。
それではさまざまな版の“スタイル”でプレイするのは何を意味するのだろう? それは複雑な問題だ。それには、私と同僚のデザイナが異なる版を吟味し、それぞれの精髄を抽出することが必要だった。たとえば、“エルフ”が誰かが楽しくプレイしたOriginal D&D(1974年)あるいはBasic D&Dのクラスのままであることは重要だろうか? 私は違うと主張した。そのプレイヤーにとってはるかに重要なことは力強いダンジョン・マスターに多くを負う開かれたシステムと、多くの探索と速い戦闘を可能にしていた簡単なメカニクスで、名前はわずかな要素だ。
それと比べれば、AD&D(ここで指すのは1eである)はより詳細なメカニクスでテーブルごとの統一的なプレイ経験を創造した。これはより“リアリズム”、あるいはより正確に表現するなら、“シミュレーション”が注目されたということだ。しかし、そのゲームは現在の標準的なものよりはかなり単純で、何かをやるのも速かった。ミニチュアと戦術的なプレイのためのオプションも存在したが、多くの1eファンはそれらを使用しなかった。(同様に、非常に高度なシミュレーションとしてweapon speedsやweapon vs. armor tableがあったが、ほとんどの人はそれらも使用しなかった。)1eファン――もちろん私はここで一般化しすぎている――の求めるものは多くのBD&Dの恋人が求めるものと多くが共通しているが、あといくつかのオプションともう少しのシミュレーションが必要だ。
そして訪れた2eのルールは若干の変更が加わっただけだが、ゲームプレイのスタイル面で重大な変更を行なった。『Player's Handbook』はほとんど変わらなかったが、『Dungeon Master's Guide』はそうなった。私たちは最初に“それはすべて物語のために。”というような文句を目にした。世界創造は冒険のデザインより重要になった。OD&DであるDMが他人に話し始めるなら、「それじゃあ君に私のダンジョンについての話をしよう」、2e時代になると、DMは他人にこう話すだろう、「それじゃあ君に私の世界の話をしよう」。システムに多くのサプリメントが開発されたので、シミュレーションとゲーム・バランスは物語、設定、そして特異なキャラクターの後ろに隠れた。Kitとnon weapon proficienciesは、大きな新しい(ように見える)変化で、キャラクター作成の興味深い方法を公開した。これらは大まかに、2eのプレイヤーが神話的物語とよく練りこまれたキャラクターを作成することを楽しんでいることを示唆している。
3eが出現すると、多くの重要なルール変更が推し進められ、ゲームのデザインには再びシミュレーションが受け入れられ、そしてバランスはより重要なものになった。キャラクターの作成はより多くのものに焦点が当てられ、すべての演出にはメカニクスからの後押しがあった。さまざまな行動やオプションがはっきりとメカニズムに規定されて標準化されたため、ダンジョン・マスターの責任は少なくなった。戦闘はより複雑化し、より面白くなり、それは遅く展開した。ミニチュアは重要なものになった。3eのファンが望むのは彼らのキャラクターを改造するより多くのオプション――技能、特技、そしてもっと――と、高度に精密化された戦術的な戦闘プレイを面白くする能力である。
4eの登場で、ゲームはまたしても根本的な変化を経験した。今回のもっとも重大な変化は、キャラクター・クラスの表現方法だった。バランスと標準化はより重要となり、戦闘はより複雑となり、そして映画的な行動とレベルごとの英雄的なパワーに焦点が当てられた。キャラクターのパワーは誰もが常に何か面白く力強いことを毎ラウンド行なえることを確実にした。DMの責任はより軽くなり、彼女の仕事はNPCおよびモンスターのデザインにおける面白い革新によってより楽なものになった。ミニチュアとマス目は必須となった。4eのプレイヤーはよりバランスのとれた戦術的なプレイを好み、彼らはキャラクターのためにさらに面白く直接的なオプションを望む。その上で、DMが簡単で素早く準備できるのは必須だ。
各世代を一般化しすぎた? もちろん。私はこのゲームすべての版のファンで、これら説明の一部、あるいはすべては私のことであり、彼らのすべてが同じ流儀を持っているわけがない。だが、異なるプレイヤーとDMが抱えるさまざまな欲求と欲望の存在を認識し始める役には立つ。真にすべての版を統合するために、ゲームは彼らすべての望みを満たす必要がある。つまり、人々が彼らのやりたいゲームをプレイできなければならないのだ。
§ 鴨屋 [グレルのイニシアティブと〈知覚〉はどちらも+9が正しいようです。お手数ですがご確認ください。]
§ ぱらでぃん [修正しましたぁ。ありがとうございますぅ。]