2012年01月23日 「販売店をやっていた人たちは、私を家に招いて自分のコンピュータを見せ、知っている限りの裏技をすべて実演してくれるような人種だったよ」 [長年日記]
§ [DnD][4e][HotEC] 『モンク(Monk)』
『Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー
バート・キャロル火と土を統べる者。風と水の王。『Heroes of the Elemental Chaos』は“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。
モンク
モンクが学ぶ伝統の闘法は心身の合一が必要となる。この項――『Heroes of the Elemental Chaos』で詳述される――では、普通の定命の者でも思考を動きに変えられるようになる手助けをする。
モンクは重い鎧も物騒な武器も必要としない、型破りな戦士だ。拳、脚、肘、そして頭はモンクにとって剣や斧のようなもので、速さと瞬発力はモンクが敵の攻撃から身をかわすのを助ける。
内面への理解も肉体的な修行もモンクを彼らたらしめるゆえんではない。彼らの秘密はサイオニックの力として知られている蓄積された精神力にある。戦闘の訓練や長時間の瞑想により、モンクは素手打撃を強化したり彼や彼女が飛行しているかのごとく跳躍するために、このエネルギーに指向性を与えるすべを学ぶ。サイオニックの力はモンクの筋力とすばやさを彼らが人を超えた領域に達するまで強化する。モンクにとって静かな湖面を走ったり剣の切っ先にうまく立つことはなんでもないことだ。そして彼らはたとえ重武装の敵に囲まれても、その打撃が非常に頑丈な鎧も徹せるものだと知っているため、彼らは尻込みしない。
モンクは試行錯誤で戦闘技術を学ぶことはない。誰であれ精神に在るサイオニックの力を見つけてそれを利用する方法を学ぶために師父を探さなければならない。多くの師父は文明世界から気を散らされることが無いよう、隠棲している。他は可能性を持った弟子がさまざまな師範から技を学べる僧院で見つかる。
これら僧院の中には千段にも及ぶ危険に満ちた階段を上ることでしか到達できない霧深い山頂に建つものもある。常に濃霧で覆われほとんど見ることもできない小島に建つものもある。いくつかの流派は文明の中、時には都市の中で活動しているので、モンクになろうとする者には誰でも修行の場を見つける機会がある。
僧院に入った入門者のほとんどは離れるための理由を見つけられない。彼らにとって、修行は終わりなき努力――彼らは常に尊敬すべき師父から何かを学んでいる――である。したがって多くのモンクは彼らの精神の力を探り、肉体を鍛え、そして彼らの闘法を支える哲学を学ぶことに費やされる質素な生活に満足している。
モンクが学ぶあらゆる闘法は世界についての哲学を理解することから始まり、歩法と攻撃を通じてその哲学を実践する。多くの弟子は1つの哲学や戦闘法に忠実だが、経験を広げて戦闘能力を磨くうち徐々に他の哲学から闘法を取り入れる者もいる。
これらの幅広い闘法を我が物とし、より完成した弟子は、外界で目にする同じくらい幅広い脅威とも向き合うことができる。この後者の群に入るモンクは僧院から離れることを決意し、自身の適性を冒険者としての人生に見出す者である。富と栄光はほとんどの冒険者をしているモンクに対しては動機にならない。彼らを動かすものは以下のような英雄の目的と共通のものだ。価値ある腕比べの相手を求める、学ぶべき新たな師父を見出す、そして世界を滅ぼす暗黒と戦う。
至元の道
一部のモンクはその支持者が“至元の道”と呼ぶ元素を原理とする哲学を受容している。これらのモンクは彼らの精神の力を用いて元素魔法を利用することで、認識を超えて世界を理解する。
至元の道を学ぶ者は、すべてのモンクがそうであるように思考と行動の統一により啓発を為そうとするが、彼らはその定命の存在を変容させ、世界における真にあるべき場所――宇宙の純粋なエネルギーにして無限の可能性――に到達しようとしている。
至元の道が到達点を示すなら、この哲学に従う修道門派はそこへ至る道である。至元の道を支持する者はその内功を現実の根源的な力――さまざまな事物に結ばれているが、同時に統一されたエネルギー――であると考える。もちろん、そのエネルギーは元素の力で、渾沌から取り出されざる創世の力である。
新しい修道門派
至元の道へと続く道のすべては古代の神秘主義、瞑想、そして精神の覚醒に根ざしている。修道門派は自己の発見を示し、その道は君が蓄積したサイオニックによる認識を超えた世界認識と、君の周りで煌めく元素のエネルギーを使うことに特化している。修道門派はこの世界への哲学的理解を与え――新たな可能性の扉を開くか、あるいは君に自衛できる程度の基本的な技術を提供したかどうかに関わらず、それは君が世界と対峙する道を規定する。
この本では“至元の道”と関連した2つの修道門派を紹介している。君がモンクを作成する時、熱砂旋風と有為転変を修道門派のクラス特徴として選択することができる。
有為転変
ギスゼライが彼らの堕落した同胞、ギスヤンキからどう逃れ、彼らが自分たちの思考を体系化して折り合いをつけるまでの闘争を歴史は語っている。彼らは“元素の渾沌”へと逃れれば、袂を分かった彼らの兄弟が追ってこないと考えたが、荒涼とした風景がおのれの心象の鏡像だとは理解しなかった。ギスゼライが彼らの新しい住み家に慣れた頃、彼らは周辺の環境に精神を集中させることで、渦巻く混沌を制御できることを発見した。そして彼らは混沌を制御できるなら、感情を混沌と同質のものにできると理解した。
ギスゼライが確立させた有為転変の門派は、“元素の渾沌”の外にも広がり、その闘法は現在いくつかの学坊で教えられている。
他のモンクと同じように、【敏捷力】は君のもっとも重要な能力値だ。多くの闘法は力に対し力で応報することを君に求めるため、【筋力】は君にとって次に重要な能力値である。君の認識を高めて精神戦闘の抵抗力をつける【判断力】を3番目に高い能力値にするのは、良い選択である。
君が有為転変の修道門派を選んだ場合、君は以下のクラス特徴を得る。
エターナル・タイド・フラリー・オヴ・ブロウズ
君が相手に一撃を入れる時、君は別の相手にも君と対峙することを強いることができる。君が強くなるほど、大量の敵が君に気づきより強く引き寄せられるだろう。
エターナル・タイド・フラリー・オヴ・ブロウズ | |
Eternal Tide Flurry of Blows/有為転変の連打 | モンク/クラス特徴 |
君は手始めの攻撃に続いて他の敵を間合いへと誘い込むため、サイオニックのエネルギーで二の打ちを放つ。 | |
[無限回]◆[元素]、[サイオニック] | |
アクション不要 | 近接・2 |
トリガー:使用者がこのターンに攻撃をヒットさせた。 | |
目標:クリーチャー1体 レベル11:クリーチャー1あるいは2体 レベル21:クリーチャー1、2あるいは3体 |
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効果:目標は使用者の(【筋力】修正値)に等しいダメージを受ける。使用者は目標を1マス引き寄せることができる。目標がトリガーを発生させた攻撃の目標ではなかった場合、それは使用者の次のターン終了時まで減速状態になる。 | |
特別:使用者はこのパワーをラウンド毎に1回まで使用できる。 |
均衡の心
君は他とは違う方法で世界と向き合っている。君は万物に宇宙の力を見て、そして周りに漂う元素のエネルギーを感じ、理法の束縛から逃れるために戦う。君の均衡についての理解は君が敵の攻撃を妨害した上で、君に向けられたあらゆる運動を君の優位へと転化させることを助ける。
利益:敵が君を押しやり、引き寄せ、あるいは横すべりさせる時、君は強制移動を1マス減らしてもよい。強制移動の後、君はフリー・アクションで1マスシフトできる。
新しいモンクのパワー
これらのパワーは君がレベルを上昇させた時にモンクのパワーとして選択できるものの一部である。このパワーは熱砂旋風と有為転変の修道門派のモンクにとって特に適したものである。
サラマンダー・チャージ
熱砂旋風の輩は単純な印や舞によって元素の火を喚ぶことができる。サラマンダー・チャージは君の成長した火炎操作を、もっとも効果的な局面で直接発現させるものだ。
サラマンダー・チャージ | |
Salamander Charge/火蠑突撃 | モンク/攻撃/15 |
君の舞により集まった元素の火は、君が地面を蹴ると炎の軌跡となって続き、敵を滅ぼす。 | |
[一日毎]◆[区域]、[元素]、[サイオニック]、[装具]、[火] | |
標準アクション | 近接・接触 |
目標:噴射内の敵すべて | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
効果:使用者は移動速度ぶん移動する。使用者が通ったマスは使用者の次のターン終了時まで区域を作成する。この区域に入るかそこでターンを開始したクリーチャーは使用者の(【敏捷力】修正値)に等しい[火]ダメージを受ける。クリーチャーがこれでダメージを受けるのはターンごとに1回だけである。 移動終了後、以下の攻撃を行なう。 |
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目標:クリーチャー1体 | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
ヒット:4d6[火]ダメージ。 | |
攻撃:半減ダメージ。 |
ブレス・オヴ・ザ・ストーム・ロード
この闘法は君の一撃の効果を高め、さらに凡百の定命の者より速く移動することを助ける。この不意な移動では風が巻き起こって君の敵に叩きつけられ、君の周囲を巻き添えにする。
ブレス・オヴ・ザ・ストーム・ロード | |
Breath of the Storm Lord/嵐公旋風 | モンク/攻撃/15 |
君は敵を残虐に妨害する嵐の柱を喚ぶため、蹴りと突きを連打する。 | |
[一日毎]◆[区域]、[元素]、[サイオニック]、[装具]、[雷鳴] | |
標準アクション | 近接範囲・噴射3 |
目標:噴射内の敵すべて | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
ヒット:3d8+(【敏捷力】修正値)ダメージ。目標は減速状態となる(セーヴ・終了)。 | |
ミス:半減ダメージ。 | |
効果:使用者は噴射のマスに隣接するよう4マスまでシフトする。この噴射は使用者の次のターン終了時まで区域を作成する。この区域は使用者以外のクリーチャーには移動困難地形となり、使用者以外のクリーチャーが区域内でターンを終えた場合伏せ状態になる。使用者は移動アクションでこの区域を3マスまで移動させることができる。 | |
維持・マイナー:区域は使用者の次のターン終了時まで持続する。 |
エヴリウェア・アット・ワンス
距離と時間は精神が外界を認識するために創造した方便である。君は意識をそのような限界から解放することができるため、君はある一点にいながらすべての場所に遍在することができる。
エヴリウェア・アット・ワンス | |
Everywhere at Once/可能性拡散 | モンク/汎用/22 |
君は啓発された精神によって区域内すべてへと拡散し、望むがままに固有状態を選択できる。 | |
[一日毎]◆[区域]、[サイオニック]、[瞬間移動] | |
マイナー・アクション | 近接範囲・爆発5 |
効果:爆発は遭遇終了時まで区域を作成する。この区域内でターンを開始する敵はそれの次のターン開始時まで使用者に対する戦術的優位を与える。さらに、敵が区域内にいる使用者に対する攻撃をミスした場合、使用者は即応・対応として区域内の他のマスへ瞬間移動してもよい。 |
エンデュアリング・ボウルダー
この闘法を使う時、君は速度や正確さを犠牲にせず土の元素の強靭さをすべて発現させる。君が纏う岩石の外皮は攻撃から君を護るが、攻撃を受けるたび、外殻の一部は砕けてそれに覆われた君の真の姿を露わにする。
エンデュアリング・ボウルダー | |
Enduring Boulder/不朽玉石鎧 | モンク/攻撃/25 |
君はしばらくの間強大な腕力を帯び、攻撃に対して難攻不落の巌のようなクリーチャーとなる。 | |
[一日毎]◆[元素]、[サイオニック]、[装具]、[変身] | |
標準アクション | 近接・接触 |
目標:クリーチャー1体 | |
攻撃:【敏捷力】対“反応” | |
ヒット:5d10+(【敏捷力】修正値)ダメージ。 | |
ミス:半減ダメージ。 | |
効果:使用者は不朽玉石の形態となる。この形態の間、使用者はすべてのダメージへの抵抗30および近接ダメージ・ロールに+3のパワー・ボーナスを得る。使用者に攻撃がヒットするごとに、この抵抗は5減少する。抵抗が0になった時、この形態は終了する。 |
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
今日の『Heroes of the Elemental Chaos』プレビューはモンクの新オプションですぅ。Eternal Tideは吸引力が上がって減速状態もつけられるようになって制御性が増し、新パワーは元素の力を使った派手な演出のものが増えているですぅ。
モンクの哲学として紹介されているThe Sublime Wayは、3.5e時代に『Tome of Battle』がリリースされた時に派手な演出のクラスをフェイルーンに導入するときのフックとして設定されたもので、今回も同じような役割で戻ってきたみたいですぅ。
§ [DnD][4e][LnL] 『D&Dの知恵(The Genius of D&D)』
伝説と伝承
私は以前もこの題材でエッセイを書いたので、一部の読者には堪えていただきたい。
私がガイギャックスとアーンソンを天才だと信じる多くの理由は最初の『Dungeons & Dragons』の本に見ることができる。ありがたいことに、その知恵の多くはゲームの歴史上常に保たれてきた。
たとえば、レベルという知恵を取ってみよう。確かに、この概念はD&D以前からさまざまなウォーゲームに存在したが、私が言及したいのは革新の才能についてではなく、包括と手段の才能である。なぜレベルはそこまで偉大なのか? よろしい、私はまずレベルの偉大なところがシステムやゲームプレイに無関係なまま、この趣味の根底に存在し続けるところにあると主張しよう。一言でいえば、レベルは人々がゲームをプレイし続ける動機として機能するのだ。君の5レベルのキャラクターはもう少しすれば6レベルの利益を楽しめるというように、常にプレイを牽引し続ける。そして君がそこに到達すれば、君は7レベルに近づきたくなる。そしてその次も。それは続き物のテレビ番組のような輝きを、ゲームの形式にもたらした。人々に遊び続けたいと思わせ続けることでゲームは生きていけるのだから、それは重要なことだ。多くの人に長くプレイされ続け、おそらく彼や彼女はより多くの新しい友人にプレイを教え、そして彼らはすぐに新しいプレイヤーのグループを編成するかもしれない。
クラス、これももちろん、それより大きくはないが重要だ。それぞれのクラスは役割――その人物がゲームとゲームの世界でどのような立ち位置にあるかをつかんで理解するためのもの――を提供する。私たちのほとんどはファイターやウィザード、そしてそれらのキャラクターが何者なのかを多くの説明無しで理解することができる。彼らは原型である。冒険者のパーティが凶悪なオークの一団とぶつかれば、ファイターは走りながら攻撃をし始めるだろうし、ウィザードは後退して呪文を発動するだろうということを、版に関係無く私たちは知っている。これは新旧両方のプレイヤーとって非常に強力な道具だ。
なぜこれを挙げるのだろう? 私が釈迦に説法をしているということはありうる。これを読んでいるほんのわずかな読者はクラスとレベルを排除したほうがクールで都合のいいゲームになると主張するかもしれない。ならば、このようなゲームにもっとも不可欠な要素を評価するためにも観察することが重要になる。たとえば、君が第4版でキャラクター・クラスとテーマを比較したとすれば、クラスはより重要でなければならない。それはシステムの上で常により重要でなければならない。テーマは重要だが、クラスはもっと重要なのである。それはプレイヤーが行なう二者択一の中で常により重要でなくてはならない。私たちはそうしてキャラクターの基本的な諸相に優先順をつけていくことができる。ここで重要なのはどんな種類のシステムがそこに作用するかを理解することである。これこれのシステムが適切なのはクラスの能力? テーマ? 特技? パワー? non weapon proficiency? kit? 魔法のアイテム?
私がこれらキャラクターの諸相に、重要度の格付けをするとすればこうなる。
- 1位:クラス(そしてレベル)
- 2位:種族
- 3位:能力値
- 4位:カスタマイズ要素(技能、特技など)
もちろん、レベルはこれらすべてに優先するが、私は格付けの流儀にのっとってクラスとまとめることにした。これは私が新しいキャラクターを作成する時、私のキャラクターにもっとも影響を及ぼすのがクラスでなければならないことを意味している。2つ目に重要な選択は、種族などでなくてはならない。全体を見れば、私のキャラクターが一般的なゲームのセッションでできること、できないことを定義するのに、クラスがもっとも大きな影響を及ぼさねばならない。(すべての遭遇において真であると書くにはあまりに狭い切り口だからだ。)また、セッションの流れとすべての冒険を全体から細部へ徹底的に見ていけば、私のファイターの【筋力】は1つの特技選択やキャラクターのテーマよりも重要でなくてはならないが、彼がドワーフであるという事実よりは大きくない。
私が知るゲーム・デザイナはこの我々の視点に立ち、決して新しい種族の種族的特徴がキャラクターのクラスより重みを増さないように確認していると私は知っている。新しい技能を作成する時に決して能力値より重要にしてはいけないと知っている。しかしおそらく私は正常な順位でそれらを並べていないのだろう。君はどう思う? 私に教えて欲しい。