2025年11月15日 [長年日記]
§ [CoC] シナリオ:カメラを止めろ!
今回も新クトゥルフ神話TRPGの小シナリオですぅ。クラシック版でもプレイ可能ですぅ。
このシナリオを使ったリプレイの公開やプレイ配信などは好きに行なっていただいて構わないですぅ。その時はご一報いただけると嬉しいですぅ。
キーパー向け情報
某地方都市にある某大学。そこには映画制作同好会がある。ほとんどは遊びのために入った者たちだが、その中にいる
山田は今回の題材を森で怪物から逃げるモキュメンタリーにしようと決めた。怪物は描写されず、人が逃げたり倒れたりする演出なので、予算もかからない。残るはキャストとスタッフだが、同好会の者たちはやる気がなく人が集まらなかったため、山田は探索者たちにも協力を仰いだ。
だが、山田がロケ地に選んだ大学の近くにある森の中には、星の吸血鬼が潜んでいる。この怪物は普段は森の中に住んでいる小動物や野良犬、野良猫などを捕食して命を繋いでいるが、山田のロケ隊がやってきたため、久しぶりに大物を狩ろうと動き始める。
星の吸血鬼による被害が出ても、山田は探索者たちが気を利かせた迫真の演技、演出だと思い込んで撮影を続けようとする。彼に森から出る決意をさせるか、星の吸血鬼を倒せばシナリオは終了である。
NPC紹介
シナリオの導入
探索者たちは山田勝也から大学近くのファミレスに呼び出され、打ち合わせを行なう。ここで彼の口から、新作は森の中で見えない怪物から逃げるホラーで、ヒロインである高村輝里の頭につけたセルフィーのカメラも使いリアリティを出したいこと、探索者には犠牲者や通行人などのエキストラと、機材や道具の準備を頼みたいと、撮影の計画を話すこと。
高村は山田にほぼ泣き落としで連れて来られたため、打ち合わせでは終始困惑した様子であるが、スマホでメモを取るなどして自分がやることはきちんと把握しようとしている。
山田は次の休日からクランクインだと宣言し、食事代はおごってくれる。
1.森の外
休日の朝、大学の裏手にある森に山田、高村、探索者は集合する。山田は撮影機材を詰めた大きなリュックを背負っている。
「森の中にちょっと広場があるんだ。そこで準備をしよう」と山田は一同をうながす。
森の中には昔使われていた遊歩道があるが、レンガはところどころ剥がれてその間から草が繁っている。
遊歩道をしばらく歩くと、ぐったりとした猫の死体がある。〈アイデア〉ロールに成功すると、血が抜かれてカサカサになっていることに気がついてしまい、0/1D2の正気度ポイントを喪失する。山田はこの死体を見て「あとで埋めてやるか?」と言って先へ進む。
2.広場
遊歩道の先にはコンクリート製のベンチがいくつか据えられた広場がある。山田はベンチの近くに撮影機材を置いて準備を進めながら、高村にメイクの指示をする。
準備は数十分で終わる。山田は探索者たちに「君らは死体役と小道具の配置を頼むよ。俺が指示していくから安心してくれ」と話して血糊や切り裂かれたジャケットなどを配る。
3.遊歩道
山田は「まずはこの先の遊歩道でヒロインが何者かから逃げるシーンを撮影するぞ。荒れた道を表現したいので、その辺の落ち葉を遊歩道の上に撒いてくれ。残りは死体になってこの先で倒れててくれ」と血糊やボロボロの服などを渡して探索者たちに指示する。この時、複数の探索者が死体役に立候補した場合「いいな、画面が派手になるかもしれない」と承諾する。
落ち葉を撒きに行った探索者たちはハードの〈目星〉に成功すれば、クスクスというような鳴き声のようなものと一緒に、大きなタコのようなシルエットの血管の塊のようなものが見える。これを見てしまった探索者たちは、1/1D10の正気度ポイントを喪失する。
死体役になった探索者たちが指示された場所へ向かう時に〈目星〉に成功すれば、どこからかクスクスというような鳴き声のようなものが聞こえてくる。
このことについて山田に訊ねても、「映画の効果音は後から入れるんだよ」と答えるだけである。
4.襲撃
死体役の探索者たちが倒れているとそこに高村が逃げる演技をして向かってきて、後ろからスマートフォンを構えた山田がついてくる。
そうしていると、クスクスという鳴き声のようなものが誰にも聞こえるようになり、死体役の探索者1人に目掛けて星の吸血鬼が成功するまで“かぎ爪で捕まえる”を行ない、成功したならば“噛みつき”を行なう。
ここまで来たらここに明らかに害意を持った何者かがいるとキーパーは宣言してもよい。
ここで星の吸血鬼による“噛みつき”が成功したら、そのトゲだらけのタコのような姿が明らかになり、1/10の正気度ポイントを失う。死体役たちの方に向かってきた高村は悲鳴をあげて広場の方に向かって逃げていく。しかし、山田は「すげえ! 誰がこんな道具用意したんだ!?」と、探索者たちの仕込みと思ってカメラを回し続ける。
ハードの〈威圧〉〈言いくるめ〉〈説得〉〈魅惑〉に成功したなら、すっかり興奮してしまった山田をなだめて逃げ出すことに同意させることができる。
星の吸血鬼と戦うなら、耐久力を9減らしたら命の危険を感じたのか逃げ出していく。
5.逃げ出す場合
探索者たちは星の吸血鬼から逃げ出すこともできる。この場合、チェイスを行なうことになる。チェイスに成功すれば、森の外まで逃げ出せたことになる。星の吸血鬼はこの森を縄張りと定めているため、それ以上の深追いはしない。
山田を説得できていない場合、彼はカメラを止めずに撮影を続ける。そのまま放っておけば星の吸血鬼の犠牲になるため、チェイスは行なわずにその場を逃げ出すことができる。
結末
いち早く逃げ出せた高村はなんとか森の外に逃げて探索者たちに駆け寄って泣き出す。山田を説得して逃げ出せていた場合、「ちょっとは撮れてるか? それなら……」と新しい編集プランを考え始める。数ヶ月後、山田のフィルムはコンテストでそこそこの結果を出し、彼は高村と探索者たちを例のファミレスに呼んで打ち上げを行なう。
山田を放置して逃げたなら数日後、血液を抜かれた山田の死体が発見される。
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』シリーズの二次創作物です。
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