2025年09月24日 [長年日記]
§ [Ludus] RPGもん向け電子書籍フォーマット話
なんとなくRPGもんに向けた電子書籍フォーマットの話があったらいいんじゃないかなと思ったので、書くですぅ。
ふたつの規格
本当はまだいろいろあるけど、RPGもんに大きく関わる電子書籍の規格は大きく分けてEPUBとPDFがありますぅ。
AmazonのKindleや楽天のkobo、その他各種電子書籍販売サイトのほとんどはEPUBを使ってますぅ。
PDFはRPGもんに関わりある範囲だとDLsiteやDriveThruRPGで売られている多くの製品で使われているですぅ。
次の項目ではそれぞれの規格の内容について少し紹介するですぅ。
EPUB
こちらは非常にいいかげんでわかりやすさを優先して紹介すると、HTML(主にウェブサイトを書くための言語)に似た言語で、主に見出しや段落など、そのテキストが持つ意味を記述する言語ですぅ。
この形式はさまざまな端末でその端末に合った見え方をするのが長所といえるですぅ。
反面、複雑な表組みやビジュアル表現はできないので、RPGのルールブックを表現するには大きなハンデを背負っていますぅ。
この形式で提供されるRPGのほとんどは、マンガなどと同じように、ページの内容を画像として貼り付けることで複雑なビジュアル表現を可能にしてますぅ。そのため、文字列の検索やコピー&ペーストには対応していないものになっていますぅ。
かくのごとく表現の規格としてはRPGに厳しい一方、KADOKAWA傘下のブックウォーカーが使っていること、その他の大手電子書籍ストアも揃って採用していて、そのほとんどがIDに紐付いたプロテクトに対応していることなどから、多くのルールブックがEPUBで出版されているのが現状で、それは当面変化がない……はずですぅ。
PDFは印刷したのとほぼ同じ見た目で見ることができるファイル形式ですぅ。文字の部分は検索可能な文字として扱われ、複雑な表なども作られたままに見られますぅ。
図版や表を多用するRPGには便利なものの、快適な閲覧にはそれなりに広い画面が必要になるし、画像を大量に使うと容量も大きくなって読み込みにも時間がかかるなど、ダウンロードして専用ソフトで閲覧する以外のアクセスはちょっと厳しいことになりますぅ。
また、不正コピー防止のためのプロテクトもEPUBより弱く、日本語圏で代表的なDLsiteやコノスなどのストアはプロテクトをかける仕組みがないことも、ビジネスとして企画を通す点でのハードルになっている雰囲気があるですぅ。
番外、あるいはオチ
こうして二大フォーマットを紹介したあと、サテ日本で圧倒的なシェアを誇るクトゥルフ神話TRPGはというと、電子書籍ではなくAndroidやiOS用のクトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUSというアプリで電子版を配信していますぅ。ルールブックを読むための最適化や文字列の検索にも対応している良い環境……を作るにはシェアがこれくらいいるのねーと鼻水を垂らして見ているですぅ。