2025年11月29日 [長年日記]
§ [CoC] シナリオ:連なってきたモノ
今回も新クトゥルフ神話TRPGの小シナリオですぅ。クラシック版でもプレイ可能ですぅ。
このシナリオを使ったリプレイの公開やプレイ配信などは好きに行なっていただいて構わないですぅ。その時はご一報いただけると嬉しいですぅ。
キーパー向け情報
重大な情報
このシナリオは単体でもプレイできるが、『廃屋の宝探し』、『怪物物件』、『カメラを止めろ!』、『METAMORPHOSE』をすべて行なった後の最終シナリオとしても設計されている。そのため、事前にこれら4本のシナリオをプレイしておく方が、より楽しめることだろう。
某地方都市には、
普段の蓮台寺はかつて殺した人の皮を被って真の姿を偽装しているが、それもそろそろ限界が見えてきた。しかし、彼は狡猾な魔術師である。この時代に殺人を犯す危険さを熟知している。そこで彼が思いついたのは、生命の力を宿す自存の源たる神格、ウボ=サスラの落とし子である。
蓮台寺は都市の下水道などをねぐらにする食屍鬼のコミュニティと話をつけて下水道にウボ=サスラの落とし子を召喚し、その落とし子の肉を加工し、新たに自分を覆うための皮を作っている。
だが、蓮台寺は落とし子とは魔術的な交感で居場所を把握することはできているが、完全な制御には至っていない。そのため、落とし子は飢えを満たすために街の地下をさまよい、時に外界へ出て生物を丸のみにしている。この落とし子は都市の環境に適応しつつあるため、犠牲者を半分ほど“食べ”たらその場に放置してまた下水の中に戻る習性を身につけた。
こうした事情で、街では野良犬や野良猫、カラスなどの動物をこそげ取る猟奇趣味の者が徘徊していると悪い噂が流れ、ペットの飼い主などは大いに警戒している。
こういう不穏な状態になっている街で、探索者たちは街にある寺の和尚
犬の散歩をしてる時に遭遇する怪異と対峙し、蓮台寺明久を止めればシナリオは終了となる。
NPC紹介
キムト:56歳(ミイラになった時の年齢)、古代エジプトの魔術師でヨグ=ソトースの信奉者。『シナリオ:廃屋の宝探し』で彼と友好的に話をつけたなら、彼は探索者への貸りを返すため、この時空へやってくる。
ポチ:9歳、馳家の飼い犬。柴犬で人懐っこい。
リチャード・アプトン:30歳?、かつて戸村コーポ二号館に住んでいた食屍鬼のリチャード・アプトン・ピックマン。現在は別の安アパートに引っ越したが、まだこの街に滞在している。『シナリオ:怪物物件』で彼と友好的に話をつけたなら、このシナリオで探索者たちが食屍鬼たちと接触した時に顔を見せ、地元の食屍鬼たちに蓮台寺蓮台寺と手を切るように話をつける。
シナリオの導入
探索者たちは馳家の人々からの頼みや近所のよしみで、起興寺の飼い犬、ポチを護衛しながら散歩することを頼まれる。馳河勝は探索者たちに飲み物と菓子をふるまいながら「心配しすぎかもしれんが、家族の一員だからな」と、ポチを見ながら話す。
1.川辺での危機
ポチの散歩コースは、寺から町内を一周してまた戻ってくるものだ。途中には結構広い
雨水管の近くには水鳥が羽を休めているが、それが排水溝の中からすっと出てきた灰色のゴムのような物に絡め取られ、足とももの少しを残して灰色の物体に取り込まれてしまう。この様子を見た探索者は0/1D2の正気度ポイントを失う。ポチはそちらの方を向いて激しく鳴く。
その鳴き声に反応してかしないでか、灰色の物体は周りを確かめるように蠢くが、しばらくすると背中の丸まった犬のような顔をした男が現われ、デッキブラシでその灰色の物体を排水溝に押し込んでいく。この男は橋の上からでもわかる臭気を発する食屍鬼であり、見てしまった探索者は0/1D6の正気度ポイントを失う。
そうこうしているうちに、顔の下半分を覆うマスクをした男が川辺の階段を下りていき、犬のような男に何事か話すと、言われた方はデッキブラシを持って慌てて引っ込んでいく。
マスクの男は探索者たちに近づく。彼も消臭剤の香りはするが、その下から嫌な臭いを発してしている。彼は「私は……そう、私立探偵のリチャード・アプトンという。どうやら少し面倒な事が起こっていて、君らに手伝いをしてほしい。なに、金は払うさ。犬の散歩をしてから来てほしい」と言う。
探索者たちが『シナリオ:怪物物件』で彼と遭遇していたなら、彼がリチャード・アプトンことリチャード・アプトン・ピックマンという食屍鬼だとわかる。その場合、彼は「私が以前住んでいたアパートの探偵を名乗っていた奴が、相当危険なことをしている。協力してほしい。犬の散歩中なら帰らせてからここに来てくれ」と言う。
2.ピックマンの話
探索者たちがピックマンのところに戻ると、彼は近くのホームセンターで買ったのか、ロープや懐中電灯を持っている。探索者が望むなら、チェーンソーやネイルガン(中型ナイフとして扱う)を準備していてもようだろう「私には無用だが、君らには必要だろう」と渡し、排水溝へ入るようにうながす。
ここしばらく晴天が続いていたため、排水溝に水は流れていない。ピックマンは歩きながら「これで私も長生きでね。君らがさっき見たような奴らの世界には少々顔が利く。ああいうのはこの街にも少々住んでいるのだが、どうも危ない橋を渡っているようで、忠告をしてやったのさ」と話す。
3.食屍鬼会議
排水溝をしばらく歩くと、少し広さがある地下遊水池に出る。そこには3体の食屍鬼がおり、人数分のデッキブラシが転がしてある。
食屍鬼は「人間が何しに来た!」と食ってかからんような勢いでとびかかろうとするが、ピックマンがマスクを外して探索者たちには聞き取れない謎の言語で話すと、一旦その場に静止する。
ピックマンは「彼らにも事情があるようだ。聞いてやってくれ」と探索者をうながす。ここで対人関係技能に成功すれば、彼らは蓮台寺明久という魔術師から100万円を貰い、彼らが住んでいるこの排水溝網の一部を貸したこと、蓮台寺はそこにウボ=サスラの落とし子という怪物を召喚して何か作業をしていること、外に出ようとする落とし子を排水溝に戻すのも仕事のうちになっていることを話す。金のことについてピックマンや食屍鬼に訊ねると「怪物が生きるには何かと金がいるのだ」と言う。
探索者たちが蓮台寺を止めることを決意するようなら、食屍鬼たちは彼が儀式を行なっている場所と、用心棒に食屍鬼が1人ついて行っていること教える(契約には教えるなと書いていないのだ!)。
4.行く手を阻む者、あるいは
排水溝の先には蓮台寺の下僕である3体のネズミ怪物が隠れている。探索者たちのうちで一番高い〈目星〉または〈聞き耳〉を目標に〈隠密〉ロールに成功し、ハード成功したネズミ怪物は、侵入者の接近を蓮台寺へと伝えに走る。見つかったネズミ怪物は、探索者に噛みつこうとして戦闘になる。
『シナリオ:廃屋の宝探し』でキムトと友好的に接していた場合、ここにはミイラが立っており、その足元には古ぼけた短剣が3本、ネズミ怪物に突き刺さっている。彼は「“目”は潰しておいた」と言い「時空を超越した者がかようなことをするのは良くないが」とネズミ怪物から短剣を引き抜き、「お前たちには借りがあるゆえ、使うがよい」と、《ナイフに魔力を付与する》を施した古ぼけた刃物(中型ナイフとして扱う)を3本与える。
探索者たちが同行を頼んだ場合、同行しているピックマンを見ながら「そこな食屍鬼は世界の闇、我は時間の外におる。理外の者たちに関わりすぎると身を滅ぼすぞ」と忠告するのみにとどまる。
5.最期
排水溝の終端はもうひとつの地下遊水池である。そこには灰色でゲル状の肉塊、ウボ=サスラの落とし子がおり、これを見た探索者たちは1/1D8正気度ポイントを失う。落とし子は変な場所へ行かないように食屍鬼がデッキブラシで追い立てている。
そこから少し離れた場所には蓮台寺明久がおり、広いテーブルの上で薄い皮のようなものをナイフや細工道具で加工している。
探索者たちが〈隠密〉などを使わない場合、蓮台寺は探索者たちに気づき「何かな? ここは私の工房だ。不法占有かもしれないが、役所を通じて話をしてくれ」などと話を引き延ばしながら、ウボ=サスラの落とし子に探索者を攻撃させようとする。この先制の一撃を見破るには〈心理学〉に成功する必要がある。
ウボ=サスラの落とし子に探索者たちを攻撃させた、あるいは探索者たちが攻撃した場合、蓮台寺は「余計な邪魔が入ったな。この街も潮時か」などと嘯き、手に持っている小型ナイフか、《萎縮》、《ウボ=サスラの落とし子の召喚》、《グラーキとの接触》、《手足の萎縮》、《破壊》の呪文を使って応戦する。彼の這うものとしての装甲は、ウボ=サスラの落とし子による丸のみ(mnvr)や、《ナイフに魔力を付与する》がかかった短剣には通用しない。
戦闘になると最初のアクションでピックマンは食屍鬼に自分の名を名乗り、ウボ=サスラの落とし子から離れるように指示する。これ以降、この食屍鬼は戦闘に参加しない。
蓮台寺は1点でもダメージを受けると蛆の塊である這うものとしての正体を現わし、「生かしては帰さんぞ」と激怒する。探索者たちは1D3/2D6正気度ポイントを失う。
ウボ=サスラの落とし子は戦闘が始まった様子に何か感じるものがあったのか、近くにいる者を手当たり次第に攻撃し始める。ダイスをロールして攻撃の目標を決めること。
勇気ある探索者は蓮台寺をウボ=サスラの落とし子に取り込ませようとするかもしれない。そうするなら、「蓮台寺をつかむ」と「蓮台寺を落とし子の体内に叩き込む」の2つのマヌーバーを成功させる必要がある。こうした場合、蓮台寺はウボ=サスラの落とし子に丸のみ(mnvr)されたことになる。
蓮台寺が倒れればウボ=サスラの落とし子はおとなしくなり、その場にわだかまる肉塊になる。
結末
ウボ=サスラの落とし子は、おとなしくなった状態なら灯油などをかけて燃やすこともできる。キムトが来ている場合は「仕事を増やしおって」と愚痴りながらもいずこかへと退去させ、彼もまたどこかへ去る。
ピックマンは探索者たちに丁寧に礼を言い、食屍鬼たちから交渉して得た分も含め、1人当たり10万円を探索者たちに渡す。また、探索者たちはこの街の食屍鬼たちにも恩を売れたことだろう。
それからしばらくすると動物虐殺事件はピタリと止み、やがては消え、この街はふたたび表向きの平穏を取り戻すことになる。
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』シリーズの二次創作物です。
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