2025年06月07日 [長年日記] 編集
§ [DnD][5e] アドベンチャー:霊廟にあるもの(1レベル)
今週の小冒険はD&Dで1レベルのキャラクター1人用ですぅ。作りたてのキャラクターで遊べるソロジャーナルですぅ。
冒険で起こったことをメモ帳にでも記録していけば、ひとつの物語になる……はずですぅ。
データまわりはCC4.0で公開されているSRD5から引用して独自に翻訳しているので、そちらのご参考にもしていただければ幸いですぅ。
冒険の概要
“あなた”はメリノーと名乗る長身のエルフによって起こされる。彼女は目覚めたあなたを連れ、森の中にある霊廟へと導く。あなたにとって大事な物が一番奥の部屋にあるので取りに行くようにと言い添えて。
あなたが霊廟の中に入り、奥の部屋で何かを見つけたら冒険は終了である。
冒険への導入
“あなた”が目を開けると、そこは石造りの寝台の上で、どろりと淀んだ瞳の持ち主があなたを見下ろしていた。長い耳をしているところを見るに、エルフだろう。
「目覚めましたか。意識ははっきりしていますか?」
あなたの答えを聞くと、彼女は頷く。
「私はウィザードのメリノーといいます。あなたは私の塔の近くで倒れていたのです。本来は専門外ですが、なんとか介抱してここまで持ってくることができました」
言われてみると、体の節々に疲れが残っているような感触がある。
メリノーはあなたに体を起こすよう促すと、湯気が立ちのぼる木製のカップを2つ持ってきた。
1.欠落
「さて、これでも飲みながら少しお話をしましょう」
メリノーが持ってきたカップの中には、熱い白湯が入っていた。あなたが口をつけようがつけまいが、彼女はそれを口で吹きながら話す。
「生き物の治療はなにぶん専門外ですので、たぶんあなたは何かが欠落していると思います。何かそういう感覚はないですか?」
あなたは……
1d6をロールし、「欠落を感じるもの」表から決定すること。
1d6 | 欠落を感じるもの |
---|---|
1 | カップから湯気が立っているのに全然熱を感じない。温感を失っている。 |
2 | 目覚める前は別の名前だったはずだが思い出せない。名前を失った。 |
3 | 目覚める前はもっと強かった。今のこの貧弱さはどうしたことだ。 |
4 | 自分の胸から鼓動を感じない。心臓を失ってしまったのだろうか。 |
5 | 目覚める前のことを思い出そうとしても何も思い出せない。記憶がない。 |
6 | 何を失っているかわからない。しかし何かを失った感覚はある。 |
失ったものがあることについてどう感じたのか書き記すこと。
あなたが彼女に言っても言わなくても、あなたが何かを失っていることに気づいたことを確信したのか、メリノーは言う。
「散歩をしながら、これからの話をしましょう」
メリノーは壁に立てかけていた杖と何かが入った袋を取り、部屋の扉を開ける。あなたの欠落を記録し、「2.ウィザードの憂鬱」へ進むこと。
2.ウィザードの憂鬱
メリノーが開けた扉は、そのまま外に続いていた。後ろを振り返ってみると、夜空に染み込むような黒い石材でできた塔がそびえている。
「こちらです。森を巡る道がありますので」
あなたの先に立って歩くメリノーが何かを呟くと杖の先に光が灯る。その薄明かりの下、夜の森を歩く。獣の声でも聞こえると思ったが、何の音もない。足音だけだ。
少し進んだところで、メリノーは語り始める。
「あなたを見つけた時はどうしたものかと思いました。私たちウィザードにとって生き物を創造することは容易でも、治療する術はあまり持ち合わせていないもので。ですが助かりました」
彼女は続ける……
1d8をロールし、「メリノーの言葉」表から決定すること。
1d8 | メリノーの言葉 |
---|---|
1 | 「幻術が強ければ術を受けた者の感覚すら騙せますから」 |
2 | 「召喚術を応用して、“あなた”を呼ぶことができました」 |
3 | 「死霊術でもよみがえりの技は使えますので」 |
4 | 「強力な心術は、別の誰かを“あなた”にすることも可能です」 |
5 | 「占術で成功しそうな方法を探りながら治療しましたから」 |
6 | 「変成術で肉体を強化し、痛みに耐えてもらえました」 |
7 | 「防御術であなたの肉体を襲う苦難を追い払いました」 |
8 | 「力術で生の力を直接体に注ぎ込むことができました」 |
何か不安になる言いようだが、あなたは現にここに生きている。しかし、あなたが感じている欠落は彼女の術に何か問題があるのかもしれない。
あなたはどう感じたか? それを記したら「3.霊廟の前」へ進むこと。
3.霊廟の前
森をしばらく歩くとメリノーの塔と同じく、夜陰に染み込みそうな黒い石で造られた霊廟の前にやってきた。メリノーは肩から提げた袋から、その袋の中にはとても収まりそうにない大きなずだ袋を取り出す。
「あなたの装備一式です。ここに入るのには必要ですので」
返された装備一式を身につけているあなたに、メリノーは続ける。
「霊廟の中にはスケルトンが1体います。それを倒し、奥にある物を取ってください。そうしたら、あなたの欠落が戻ってくるやもしれません」
彼女がその細い腕を両方使ってうなりながら霊廟の扉を開くと、かび臭さが鼻をついた。「4.守護者」へ進むこと。
4.守護者
霊廟の中は真っ暗だが、メリノーが君の手にライトの呪文で明かりをつけてくれたので、周辺は確認できる。
通路の幅は君2人分ほど、天井は君の背丈より随分高い場所にある。随分大きな構造物だ。
分かれ道などない一本道なので、幸い迷うことはなかった。しばらく歩くと道幅が一気に広がり、奥に祭壇のような物が見え、その前には錆び付いた剣とぼろぼろの鎧を身につけたスケルトンがいる。ここがメリノーの言った“奥”のようだ。
君が部屋に入ってきたことを確認したのか、スケルトンはゆらりと動き出し、剣を構えた。
スケルトンか君が倒れるまで戦闘を行なうこと。君が倒れた場合、君はまたメリノーの塔で目を覚ます。スケルトンが倒れれば、君は奥の祭壇まで向かえる。砕け散った骸骨にあなたは何を思うか。書き記したら「5.奥にあった物」へ進むこと。
スケルトン
中型・アンデッド、秩序にして悪
AC:13(ぼろぼろの鎧)
hp:13(2d8+4)
移動速度:9m(30フィート)
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
10(+0) | 14(+2) | 15(+2) | 6(-2) | 8(-1) | 5(-3) |
ダメージ脆弱性:[殴打]
ダメージ完全耐性:[毒]
状態完全耐性:消耗状態、毒状態
感覚:暗視9m(30フィート)、受動〈知覚〉9
言語:生前知っていた言語すべてを理解するが話せない
脅威度:1/4(50XP)
アクション
ショートソード:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い1.5m(5フィート)、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
ショートボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程24/96m(80/320フィート)、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
5.奥にあった物
祭壇の上にあった物は……
1d6をロールし、「祭壇の上にあった物」表から決定すること。
1d8 | 祭壇の上にあった物 |
---|---|
1 | 真紅の薔薇。枝を切っているのに、みずみずしさを湛えている。 |
2 | 苔むした頭蓋骨。どこかから掘り出されたのだろうか、土がついている。 |
3 | ひと振りのロングソード。典礼用なのか鞘に精緻な細工がしてある。 |
4 | 節くれだった杖。古ぼけているのに生木のような若芽が生えている。 |
5 | 肖像画の入った首飾り。肖像画は顔の部分が刃物か何かで削られている。 |
6 | 銀色に磨かれた兜。あなたの頭にあつらえたようにぴったりだ。 |
置かれていた物に触れたら、あなたは難易度12の【魅力】判定を行なうこと。成功すれば、あなたは「1.欠落」で感じた欠落から解放される。それは欠落していたものを取り戻したのか、あるいは欠落を知覚できなくなっただけなのかは、あなたが自由に決めてよい。
霊廟の奥で起こったことを書き記したら、あなたは地上へ戻る。
あなたが出てくると、森の向こうには朝日が見え、メリノーが出迎える。
結末
「お帰りなさい。どうでしたか?」
さて、あなたはメリノーに何と答えるか?
This work includes material taken from the System Reference Document 5.1 (“SRD 5.1”) by Wizards of the Coast LLC and available at https://dnd.wizards.com/resources/systems-reference-document. The SRD 5.1 is licensed under the Creative Commons Attribution 4.0 International License available at https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.
2025年06月14日 [長年日記] 編集
§ [DnD][5e] アドベンチャー:常連の多い酒場(1レベル)
今週の小冒険はD&Dで1レベルのキャラクター1人用ですぅ。作りたてのキャラクターで遊べるソロジャーナルですぅ。
冒険で起こったことをメモ帳にでも記録していけば、ひとつの物語になる……はずですぅ。
データまわりはCC4.0で公開されているSRD5から引用して独自に翻訳しているので、そちらのご参考にもしていただければ幸いですぅ。
冒険の概要
旅をしてきてある街へやってきた“あなた”は目に入った宿に泊まることにした。
部屋の準備ができるまで、しばらく酒場で時間を潰す必要がある。そこで起きた体験を記録していこう。
冒険への導入
“あなた”は街にやってきた。もう夕方なので、さっさと宿を決めて食事のひとつにでもありつきたい。きょろきょろと周りを見回すと、踊る黄金樽亭という看板がある。
予定も何もない旅だ。あそこでいいだろうと、君は開け放しにされている扉をくぐると、そこはご多分に漏れず薄暗い酒場になっていた。
1.店の中
夕食時を少し外したお陰か、店内の喧噪は落ち着きつつあった。食事で腹がくちくなった客たちは酒をたしなみながら雑談をしたり、ちょっとしたゲームをしたりしている。
「いらっしゃい! 泊まりなら飯付きで金貨1枚だよ!」
給仕をしているハーフエルフの少女の快活な声が響く、君はとりあえず泊まることを伝えると、彼女は「部屋を整えるまでここで待ってて」と言うと、別の店員に何かしら伝え、自分は給仕に戻っていく。
さて、それでは一息つこう。そう思ったが今は時間帯もあり、どこかに相席をするしかない。
店内を見回すと、カウンターで空のジョッキをいくつも積み上げて酒を呑んでいるハーフオークの男、黒いヴェールを被ってナイフとフォークで肉を食べているエルフの女、油で整えられた口髭が印象的なティーフリングの紳士の座っている卓に空きがある。
いずれも一癖ありそうな者たちだが、君は……
カウンターで酒を呑んでいるハーフオークの男の横に座るなら「2.飲み比べ」へ進むこと。
肉を食べているエルフの女の前に座るなら「3.危険な遊戯」へ進むこと。
口髭が印象的なティーフリングの紳士の隣に座るなら「4.世間話」へ進むこと。
酒場に入ってから相席の相手を決めるまで、どんな心境だったか記すのもよいだろう。
2.飲み比べ
カウンターで酒を呑んでいるハーフオークの横に座ると「おお、見ねえ顔だな! 旅のもんか?」と陽気な声がかかる。
「俺はトルチョクってんだ。ところでおめえさん、いける口かい?」
もちろん酒のことだろう。君がどう返すにせよ、トルチョクは続ける。
「飲み比べの相手が欲しかったんだ。いつもドワーフのジジイくらいしか乗ってこねえし、相手がドワーフだから俺ばかり負けるんだ」
トルチョクは飲み比べの相手が欲しくてしょうがないらしい。君がすぐに乗るなら彼は非常に喜ぶと、この店に置いてある酒の解説をする。君が渋るようなら、金は俺が出すから是非にも頼むということになり、結局相手をすることになる。
この店にある酒は次の通りだ。トルチョクは何を頼むか、お前が決めてもいいし、こいつに訊ねてもいいと、象牙色になるまで使い込まれた骨製のサイコロを出す。酒はいずれも1杯5CPだ。
1d6 | 酒の種類 |
---|---|
1 | 花をつけ込み香りを移したノーム造りの酒“黄金華”(難易度11) |
2 | エルフ造りのワインをドワーフが蒸留した“紅の髄”(難易度15) |
3 | 果実を生ったまま発酵させるエルフ造りの酒“霜と霧の蜜”(難易度13) |
4 | あり合わせの雑穀で作るゆえ味が一定しないゴブリン造りの酒“ネズミの涙”(難易度12) |
5 | キノコやコケを発酵させた地下世界造りの酒“茸の華”(難易度12) |
6 | この店の店主が半ば趣味で作らせているエール“黄金樽”(難易度11) |
酒を決めたら、トルチョクは給仕の少女に声をかけて酒を持ってこさせる。さあ、飲み比べの始まりだ。「酒の種類」表の名前の横にある「難易度」の数字を難易度にした【耐久力】セーヴィング・スローを行なうこと。成功すれば君は酔わずに済み、トルチョクの番になる。トルチョクの能力値修正値と習熟ボーナスの合計は+3だ。君が代わりにセーヴィング・スローを行なうこと、成功すれば、トルチョクも酔わずに済む。
なお、酒は毒物として扱うのであなたがドワーフならセーヴィング・スローに有利を得られる。
これを君かトルチョク、どちらかが酔ってしまうまで行なう。勝っても負けてもトルチョクはいい笑顔で、いやあ久しぶりにいい思いで酒が飲めたと笑う。君が買っていた場合、ご祝儀だと1GPくれる。
この飲み比べで思ったことを書いてみよう。
これまで2回相席をしていたなら、給仕の少女が呼びにくる。「5.順番が来た」へ進むこと。
そうでない場合、部屋の準備ができるまでまだ時間がかかる。「1.店の中」へ戻り、まだ選んでいない者と相席すること。
3.危険な遊戯
黒いヴェールを被ったエルフの貴婦人が、銀のナイフとフォークで血のしたたる分厚い肉を切り分けて食べている。君が対面に腰掛けたのを見ると、彼女は食事を中断し、左手を大きく広げてテーブルの上に乗せると、右手にナイフを握る。そして左手の指と指の間にナイフを刺しては次の指の間に刺す早業を見せると、艶然と微笑む。
「あなたもやってみませんか?」
卓の上にはもう一揃いのカトラリーがある。君が挑戦するようなら、彼女は興味深そうに手元を見つめる。挑戦しない場合、彼女はあなたに関心を失い、彼女は食事に戻る。
この早業に挑戦するなら、難易度12の【敏捷力】〈軽業〉判定に成功する必要がある。失敗したならナイフで挑戦した場合1d4[刺突]ダメージ、フォークで挑戦した場合1[刺突]ダメージを受ける。
成功したにせよ失敗したにせよ、彼女は満足な顔をして「できれば明日もお目にかかりたいものですわ」と微笑む。
彼女との邂逅にあなたは何を思ったのか、記録するのも一興だろう。
これまで2回相席をしていたなら、給仕の少女が呼びにくる。「5.順番が来た」へ進むこと。
そうでない場合、部屋の準備ができるまでまだ時間がかかる。「1.店の中」へ戻り、まだ選んでいない者と相席すること。
4.世間話
ティーフリングの紳士はこのような冒険者がよく来るような店には似つかわしくないほどきちんとした身なりをしている。あなたが相席したことに気づくと、軽く会釈をし、口の端を上げて自己紹介する。
「始めまして。わたくしはドゥレイアと申します」
ドゥレイアは言う。
「わたくし、色々な土地を回って見聞を広めるのを趣味としてまして。ここにもその一環で立ち寄ったのです。あなたも冒険者なら、どうですか? わたくしの世間話を聞いていただけませんか? 何か冒険のタネになるものがあるやもしれません」
君がどう答えるかに関わらず、ドゥレイアは彼が見聞したものの話をする。どのような話かは、「ドゥレイアの話」表から1d6をロールして決めること。
1d6 | ドゥレイアの話 |
---|---|
1 | 「東の海のかなたにあるドワーフの王国では、近頃巨人たちとの間で大いくさがあったとか」 |
2 | 「この街に来る前に立ち寄った草原では、ホブゴブリンがゴブリンたちを煽動しようとしていました」 |
3 | 「はるか北の凍った海には霜の巨人と火の巨人が戦い続けている島がございます」 |
4 | 「西へ参りますと街の中で度々アンデッドが生まれるため、街の者がみな壁の外に避難している街があります」 |
5 | 「北の山地には失われた文明の遺跡がたくさん眠っております。そこにはデーモンの王が封じられている場所もあるとか」 |
6 | 「少し先にある街では海エルフの交易地に行くための定期便があり、護衛の仕事などもございます」 |
ドゥレイアとの話で何か得るものがあっただろうか。書き記してみよう。
これまで2回相席をしていたなら、給仕の少女が呼びにくる。「5.順番が来た」へ進むこと。
そうでない場合、部屋の準備ができるまでまだ時間がかかる。「1.店の中」へ戻り、まだ選んでいない者と相席すること。
5.順番が来た
あなたが店の常連たちと過ごして時間を潰していると、さきほどの給仕の少女がやってきた。
「お待たせ! 部屋の準備できたよ。こちらへどうぞ」
あなたは2階の突き当たりにある部屋へ通され、鍵を渡される。
「変な常連さんばかりだったでしょ? あんたもそのうち慣れるから」
結末
給仕の少女の言いぶりはまるであなたがこれからもここに泊まるような言いようだ。
さて、今日は何かと出来事があって疲れてしまった。日記を書き、休むとしよう。
This work includes material taken from the System Reference Document 5.1 (“SRD 5.1”) by Wizards of the Coast LLC and available at https://dnd.wizards.com/resources/systems-reference-document. The SRD 5.1 is licensed under the Creative Commons Attribution 4.0 International License available at https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.
2025年06月21日 [長年日記] 編集
§ [DnD][5e] アドベンチャー:野営地にて(1レベル)
今週の小冒険はD&Dで1レベルのキャラクター1人用ですぅ。作りたてのキャラクターで遊べるソロジャーナルですぅ。
冒険で起こったことをメモ帳にでも記録していけば、ひとつの物語になる……はずですぅ。
データまわりはCC4.0で公開されているSRD5から引用して独自に翻訳しているので、そちらのご参考にもしていただければ幸いですぅ。
冒険の概要
旅をしている“あなた”は街道沿いの野営地で夜を過ごすことになった。
野営地にはさまざまな人たちが魔物や野盗を恐れて集まっている。この一夜のことを日記に記していこう。
冒険への導入
旅をしている“あなた”は、日が落ちる前に宿場町にたどりつけなかったので、街道沿いにある野営地に立ち寄った。
野営地は街道沿いにある平らにならした土地で、風をよける石積みの壁と、たき火をするための穴、わずかばかりの焚き木などが近隣の者や旅人によって整備されており、街道を行く者なら誰でも使えるようになっている。
魔物や野盗の徘徊する文明の外では、これだけでもありがたい場所だ。何よりこれを目指して人が集まるので、集団になって外敵から身を守ることができるのがありがたい。
1.場所取り
さて、野営地に入ったあなたは場所を取らねばならない。こういうところでは人々はひとつの場所に集まって雨風や外敵に対処する。さて、どのあたりが空いているか……。『近くにいた旅人』表をロールするか、あなた自身でどういう場所を選んだのか決め、日記に書こう。
1d6 | 近くにいた旅人 |
---|---|
1 | 馬に牽かせた荷車を整理している商人風のヒューマンの男性 |
2 | 剣の手入れをしている赤い鱗のドラゴンボーンの女性 |
3 | 黒豹を連れてクロークを風よけにしているドラウ(ダーク・エルフ)の男性 |
4 | 乗っている大きなマスティフの世話をしているハーフリングの女性 |
5 | 歯車や針金の詰まった金属の小箱をいじっているノームの男性 |
6 | 大きな斧を使って器用に焚きつけを作っているハーフオークの女性 |
2.たき火を囲んで
寝る場所を確保してしばらくしたら、誰ともなしにたき火に使う焚き木を積み上げ、火をおこす。明日の朝までこれを守るのが、ここに集った者たちの義務だ。
たき火の近くでは湯を沸かしたり食べ物に火を通している者たち、暖を取る者たちで人垣ができている。
さて、君はどうしたか。冷えたまま、乾いたままの保存食を食べたのだろうか? それとも、湯を沸かして暖かい飲み物など準備しただろうか? どう行動したのか、日記に書こう。
3.夜の雑談
満腹感と暖かさ、そして夜の闇は人を饒舌にさせる。人々はこれまで見聞したものごとや、これからの予定などを、近くの者と話している。君も、近くに座っている者(「1.場所取り」で決めた者だ)と話をした。
君たちはどんな話をしただろうか……。『雑談』表をロールするか、あなた自身で決め、日記に書くこと。
1d6 | 近くにいた旅人 |
---|---|
1 | 空に浮いた島や、そこから落ちる滝など、珍しい土地の話 |
2 | 追いかけている仇や、捕獲を依頼された珍獣など、獲物の話 |
3 | ここから先の土地では何が安い、今年の収穫など、商売の話 |
4 | 雪山での雪崩や、洞窟で転がってきた巨大な鉄球など、出くわした危険の話 |
5 | 真紅の竜や、冷気をまとう死者の王など、危険な怪物の話 |
6 | これからの冒険や、目指している大望など、未来の話 |
4.火の番
野営地では皆が順番に火の番をするのが習わしだ。すっかり暗闇が支配している時間帯、君もなんとなく火の番に回った。どこかからホウホウと鳥の鳴き声のような音が聞こえてくる。
この火のそばを離れると溶けて無くなりそうな闇の中、君の神経は研ぎ澄まされる。
しばらくすると、たき火の光が届かない場所をひたひたと歩く“何か”に君は気づく。それは数を増やすわけでもなく、近づくでもなく、ただずっと、闇の中をひたひたと歩いている。
難易度15の【判断力】セーヴィング・スローに成功すれば、あなたはそれが眠気と不安さが見せる虚妄だと判断する。もっとも、本当のところはわからないが……。ソロジャーナリングとしてプレイしている場合、このセーヴィング・スローは成功、失敗、任意の結果を選んでよい。
夜の闇に君は何を感じたか、日記に書くこと。
5.夜明け前
少しうつらうつらしてしまったがあなたは無事に火の番を近くの者と代わり、横になる。色々なことがあった夜だが、あなたにとってはどんな夜だっただろうか? 日記に結びを書こう。
結末
夜が明けた。野営地の朝は早く、既に発った者たちも多い。あなたも目的地へ向かうために旅を再開する。
さて、今日は普通の宿に泊まれればよいのだが……。
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2025年06月26日 [長年日記] 編集
§ [DnD][5e] ペライチアドベンチャー vol.04
今月もD&D用のシナリオをA4ペラ1枚にしたペライチアドベンチャーを明日から一ヶ月間ローソン、ファミリーマート、ミニストップのコピー機で買えるようにしたですぅ。プリント番号はXQHVXJDですぅ。
FANBOX支援者の方には同内容のPDFファイルを提供中ですぅ。
2025年06月28日 [長年日記] 編集
§ [DnD][5e] アドベンチャー:隧道(1レベル)
今週の小冒険はD&Dで1レベルのキャラクター1人用ですぅ。作りたてのキャラクターで遊べるソロジャーナルですぅ。
冒険で起こったことをメモ帳にでも記録していけば、ひとつの物語になる……はずですぅ。
データまわりはCC4.0で公開されているSRD5から引用して独自に翻訳しているので、そちらのご参考にもしていただければ幸いですぅ。
冒険の概要
旅をしている“あなた”はかつて地底の民の王国が栄えていた大洞窟網を通っている。
広大なトンネルで見られるさまざまなものを日記に残していこう。
冒険への導入
旅をしている“あなた”は、かつて地底の民の王国が栄えていた大洞窟網に踏み込んだ。山地を突っ切る街道の一部として整備はされているが、少し外れれば怪物も多く棲んでいる魔境だ。
ところどころにともされている灯火の他にも、かつての民の遺産だろうか? 光るコケやキノコがところどころで明かりになっている通路を旅人たちが歩き馬車が往来する様子は、もの珍しさもあって旅情を感じる。
1.直進する洞窟
さて、道路になっている洞窟が大きく蛇行する部分を通りがかったあなたは、整備されていない洞窟網の近くでちらちらと様子をうかがうハーフリングの少年を見つけた。
「あっ。あんた冒険者かい? こっちは近道なんだ、一緒にどうだい?」
難易度12の【判断力】〈看破〉判定に成功すれば、少年の顔には若干の焦りがあるのがわかる。ソロジャーナリングとして遊んでいる場合、ダイスをロールして奇数なら少年の表情を読めたとしてもよい。
少年はあなたの気をひこうとしているのか、ミッケと名乗り身の上話を始めた。その内容は……『ミッケの身の上話』表をロールするか好きな物を選び、感想と合わせて日記に記そう。
1d6 | ミッケの身の上話 |
---|---|
1 | 病気の親がいるので一刻も早く山の向こうまで行きたい |
2 | 人買いから逃げてきたので少しでも相手から離れたい |
3 | 山の向こうまで使いを頼まれているがもう時間がない |
4 | 洞窟を近道してでも故郷に残してきた恋人に早く逢いたい |
5 | 悪事を働いてしまったので早く山の向こうに逃げたい |
6 | ここからの近道を探検したいが道連れがいないと不安だ |
2.説得か流されるか
ミッケの身の上話を聞いたあなたはどう思ったか、日記に書きながら、彼を説き伏せるか、それとも街道として整備されている洞窟を離れて近道を行くか考えよう。
危ないからそういうことをやめようと説得するなら、難易度12の【魅力】〈威圧〉や【魅力】〈説得〉判定など、相手に訴えかける判定を行なうこと。ソロジャーナリングとして遊んでいる場合、ダイスをロールして奇数ならミッケを説得できたとしてよい。
さて、ミッケと一緒に近道の洞窟を行くなら「3.近道」へ、安全な道を通るよう説得したなら「4.蛇行する洞窟」へ進むこと。
3.近道
近道になっている洞窟は、明かりもなくしんと静かだ。明かりをつけて持っていても、広大な闇の中を行く心細さがある。
ミッケはすがるように君の服のすそを掴む。さて、この先には何が待ち構えているだろうか、出くわしたものについて『闇の中から……』表をロールするか好きな物を選び、日記に書くこと。
1d6 | 闇の中から…… |
---|---|
1 | 片側が断崖になっている空間の向こう側に、たくさんの青白い灯火に照らされた大都市を見た |
2 | ふわふわした黒い塊が降ってきて、あなたたちを包み込んだかと思ったら泡のように消えた |
3 | 足音が聞こえ、徐々に大きくなってきたと思ったら、反対側から向かって来た旅人だった |
4 | 硫黄のような臭いがし、熱い風が深みから上がってきたと思ったら、ときの声と咆吼が激突した |
5 | 広間のような場所があり、そこには青白い光をまとったきらびやかで古風な鎧の戦士たちがいた |
6 | 特に何事もなく近道を通り抜けたと思ったら、妖精の悪戯だろうか、ふたりとも顔が真っ黒だ |
4.蛇行する洞窟
ミッケを説得した君は、ふたりで山を大回りする太い洞窟をそのまま進むことにした。彼は先を急ごうと小走りになっている。
この洞窟街道であなたたちはどんな者と行き合っただろうか。『旅人』表をロールするか好きな物を選び、日記に書くこと。
1d6 | 旅人 |
---|---|
1 | 鳥のような二本の足で歩くからくり仕掛けの装置に乗ったノームの老婆 |
2 | 酒瓶を片手に千鳥足だがとらえどころのない動きをする若いドワーフ |
3 | 年季の入った鎧やローブから凄腕の冒険者とうかがえる一団 |
4 | 足を挫いた老人に薬草を取りだし手当てをしている無精髭のヒューマン男性 |
5 | 司祭や聖遺物を持つ者や旗持ちまでいる大所帯の巡礼者たち |
6 | 次はどこでお茶をしようかと相談している賑やかなドワーフの戦士たち |
5.洞窟の外へ
洞窟網を抜けたら、あなたはミッケと別れて別の道を進むことになるだろう。その気持ちを日記に書こう。
結末
洞窟の外に出ると、まだ昼間で日の光が眩しい。さて、君はどこに行く?
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