2025年06月07日 [長年日記]
§ [DnD][5e] アドベンチャー:霊廟にあるもの(1レベル)
今週の小冒険はD&Dで1レベルのキャラクター1人用ですぅ。作りたてのキャラクターで遊べるソロジャーナルですぅ。
冒険で起こったことをメモ帳にでも記録していけば、ひとつの物語になる……はずですぅ。
データまわりはCC4.0で公開されているSRD5から引用して独自に翻訳しているので、そちらのご参考にもしていただければ幸いですぅ。
冒険の概要
“あなた”はメリノーと名乗る長身のエルフによって起こされる。彼女は目覚めたあなたを連れ、森の中にある霊廟へと導く。あなたにとって大事な物が一番奥の部屋にあるので取りに行くようにと言い添えて。
あなたが霊廟の中に入り、奥の部屋で何かを見つけたら冒険は終了である。
冒険への導入
“あなた”が目を開けると、そこは石造りの寝台の上で、どろりと淀んだ瞳の持ち主があなたを見下ろしていた。長い耳をしているところを見るに、エルフだろう。
「目覚めましたか。意識ははっきりしていますか?」
あなたの答えを聞くと、彼女は頷く。
「私はウィザードのメリノーといいます。あなたは私の塔の近くで倒れていたのです。本来は専門外ですが、なんとか介抱してここまで持ってくることができました」
言われてみると、体の節々に疲れが残っているような感触がある。
メリノーはあなたに体を起こすよう促すと、湯気が立ちのぼる木製のカップを2つ持ってきた。
1.欠落
「さて、これでも飲みながら少しお話をしましょう」
メリノーが持ってきたカップの中には、熱い白湯が入っていた。あなたが口をつけようがつけまいが、彼女はそれを口で吹きながら話す。
「生き物の治療はなにぶん専門外ですので、たぶんあなたは何かが欠落していると思います。何かそういう感覚はないですか?」
あなたは……
1d6をロールし、「欠落を感じるもの」表から決定すること。
1d6 | 欠落を感じるもの |
---|---|
1 | カップから湯気が立っているのに全然熱を感じない。温感を失っている。 |
2 | 目覚める前は別の名前だったはずだが思い出せない。名前を失った。 |
3 | 目覚める前はもっと強かった。今のこの貧弱さはどうしたことだ。 |
4 | 自分の胸から鼓動を感じない。心臓を失ってしまったのだろうか。 |
5 | 目覚める前のことを思い出そうとしても何も思い出せない。記憶がない。 |
6 | 何を失っているかわからない。しかし何かを失った感覚はある。 |
失ったものがあることについてどう感じたのか書き記すこと。
あなたが彼女に言っても言わなくても、あなたが何かを失っていることに気づいたことを確信したのか、メリノーは言う。
「散歩をしながら、これからの話をしましょう」
メリノーは壁に立てかけていた杖と何かが入った袋を取り、部屋の扉を開ける。あなたの欠落を記録し、「2.ウィザードの憂鬱」へ進むこと。
2.ウィザードの憂鬱
メリノーが開けた扉は、そのまま外に続いていた。後ろを振り返ってみると、夜空に染み込むような黒い石材でできた塔がそびえている。
「こちらです。森を巡る道がありますので」
あなたの先に立って歩くメリノーが何かを呟くと杖の先に光が灯る。その薄明かりの下、夜の森を歩く。獣の声でも聞こえると思ったが、何の音もない。足音だけだ。
少し進んだところで、メリノーは語り始める。
「あなたを見つけた時はどうしたものかと思いました。私たちウィザードにとって生き物を創造することは容易でも、治療する術はあまり持ち合わせていないもので。ですが助かりました」
彼女は続ける……
1d8をロールし、「メリノーの言葉」表から決定すること。
1d8 | メリノーの言葉 |
---|---|
1 | 「幻術が強ければ術を受けた者の感覚すら騙せますから」 |
2 | 「召喚術を応用して、“あなた”を呼ぶことができました」 |
3 | 「死霊術でもよみがえりの技は使えますので」 |
4 | 「強力な心術は、別の誰かを“あなた”にすることも可能です」 |
5 | 「占術で成功しそうな方法を探りながら治療しましたから」 |
6 | 「変成術で肉体を強化し、痛みに耐えてもらえました」 |
7 | 「防御術であなたの肉体を襲う苦難を追い払いました」 |
8 | 「力術で生の力を直接体に注ぎ込むことができました」 |
何か不安になる言いようだが、あなたは現にここに生きている。しかし、あなたが感じている欠落は彼女の術に何か問題があるのかもしれない。
あなたはどう感じたか? それを記したら「3.霊廟の前」へ進むこと。
3.霊廟の前
森をしばらく歩くとメリノーの塔と同じく、夜陰に染み込みそうな黒い石で造られた霊廟の前にやってきた。メリノーは肩から提げた袋から、その袋の中にはとても収まりそうにない大きなずだ袋を取り出す。
「あなたの装備一式です。ここに入るのには必要ですので」
返された装備一式を身につけているあなたに、メリノーは続ける。
「霊廟の中にはスケルトンが1体います。それを倒し、奥にある物を取ってください。そうしたら、あなたの欠落が戻ってくるやもしれません」
彼女がその細い腕を両方使ってうなりながら霊廟の扉を開くと、かび臭さが鼻をついた。「4.守護者」へ進むこと。
4.守護者
霊廟の中は真っ暗だが、メリノーが君の手にライトの呪文で明かりをつけてくれたので、周辺は確認できる。
通路の幅は君2人分ほど、天井は君の背丈より随分高い場所にある。随分大きな構造物だ。
分かれ道などない一本道なので、幸い迷うことはなかった。しばらく歩くと道幅が一気に広がり、奥に祭壇のような物が見え、その前には錆び付いた剣とぼろぼろの鎧を身につけたスケルトンがいる。ここがメリノーの言った“奥”のようだ。
君が部屋に入ってきたことを確認したのか、スケルトンはゆらりと動き出し、剣を構えた。
スケルトンか君が倒れるまで戦闘を行なうこと。君が倒れた場合、君はまたメリノーの塔で目を覚ます。スケルトンが倒れれば、君は奥の祭壇まで向かえる。砕け散った骸骨にあなたは何を思うか。書き記したら「5.奥にあった物」へ進むこと。
スケルトン
中型・アンデッド、秩序にして悪
AC:13(ぼろぼろの鎧)
hp:13(2d8+4)
移動速度:9m(30フィート)
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
10(+0) | 14(+2) | 15(+2) | 6(-2) | 8(-1) | 5(-3) |
ダメージ脆弱性:[殴打]
ダメージ完全耐性:[毒]
状態完全耐性:消耗状態、毒状態
感覚:暗視9m(30フィート)、受動〈知覚〉9
言語:生前知っていた言語すべてを理解するが話せない
脅威度:1/4(50XP)
アクション
ショートソード:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い1.5m(5フィート)、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
ショートボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程24/96m(80/320フィート)、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
5.奥にあった物
祭壇の上にあった物は……
1d6をロールし、「祭壇の上にあった物」表から決定すること。
1d8 | 祭壇の上にあった物 |
---|---|
1 | 真紅の薔薇。枝を切っているのに、みずみずしさを湛えている。 |
2 | 苔むした頭蓋骨。どこかから掘り出されたのだろうか、土がついている。 |
3 | ひと振りのロングソード。典礼用なのか鞘に精緻な細工がしてある。 |
4 | 節くれだった杖。古ぼけているのに生木のような若芽が生えている。 |
5 | 肖像画の入った首飾り。肖像画は顔の部分が刃物か何かで削られている。 |
6 | 銀色に磨かれた兜。あなたの頭にあつらえたようにぴったりだ。 |
置かれていた物に触れたら、あなたは難易度12の【魅力】判定を行なうこと。成功すれば、あなたは「1.欠落」で感じた欠落から解放される。それは欠落していたものを取り戻したのか、あるいは欠落を知覚できなくなっただけなのかは、あなたが自由に決めてよい。
霊廟の奥で起こったことを書き記したら、あなたは地上へ戻る。
あなたが出てくると、森の向こうには朝日が見え、メリノーが出迎える。
結末
「お帰りなさい。どうでしたか?」
さて、あなたはメリノーに何と答えるか?
This work includes material taken from the System Reference Document 5.1 (“SRD 5.1”) by Wizards of the Coast LLC and available at https://dnd.wizards.com/resources/systems-reference-document. The SRD 5.1 is licensed under the Creative Commons Attribution 4.0 International License available at https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.