2012年07月01日 「君自身の恐怖の断片にしがみつかせてもらえなかったなら、みんなどうして切り抜けられる。みんな、その小さな断片を欲しい、必要としている。そのちっぽけな肺のかけらで、自分たち自身の断片がそれほど怖くないものになるんだ」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][Dragon] Dragon413号(Dragon Issue #413)
目次
キャラクター・テーマ:大母への反逆(Character Themes: Against the Matriarchs)
女系社会の男であることはそんなに悪い話ではない。ちょっと血に飢えたメレー・マグゼアの勇士、強力な秘術の達人、ドラウの氏族の長男、そしてブレガン・ダエルスの傭兵たちに話を聞いてみよう。
キャラクター・テーマ:信仰のドラウ(Character Themes: Divine Drow)
君はドラウの女性で、メンゾベランザンはあなたの思い通りになる。君が強力なドラウの氏族でロルスの声を勤める勇気があるなら、あるいはむしろ氏族との繋がりをすべて切り捨ててアラクティニリスの巫女として成功しようとするだろうか?
D&Dアウトサイダー:ドライダーズ・オン・ザ・ストーム(D&D Outsider: Driders on the Storm)
君は確かに朝起きた時にこんな化け物を寝袋の中で見たくない。
キャラクター・テーマ:ドラウ社会の周縁で(Character Themes: Fringes of Drow Society)
食うか食われるかの政治と不意討ちで彩られたドラウ社会では、時々下層の奴隷、よそ者、あるいはヴェイラーンやゴーナドウアの信徒にお鉢が回ってくることがある。
発掘された秘術:死なないほどの、さらなる危険(Unearthed Arcana: Less Death, More Danger)
君自身がカードに書き込めるこのデッキを印刷すれば、君の戦闘にちょっとした刺激を与えるためにデザインされた情けない怪我を加えることができる。
クラスの運用:昇月谷のシーカー(Class Acts: Seekers of the Moonrise Vale)
勢子として生き、狩りを大いに楽しむ。他のすべては二の次だ。冷厳な月光の下、他のすべては獲物になる。
物語の糸車:ジャンザールの驚くべき冒険(Spin a Yarn: Jantharl's Surprising Journey)
毎年のGen Conで忘れられた領域の父、エド・グリーンウッドはファンに混じって即興の陽気(そしてしばしば下品)な物語を作り、それはショーの後で短篇小説になる。これはそういう物語だ。
レルムの目:六つ角の冠(Eye on the Realms: The Six Horned Crowns)
何の前触れもなく現われる彼ら――黄金の冠を頂いたオークの髑髏――はあとかたもなく消える。このオーク“王”は何者なのだろう? いつ、そしてどこに冠を頂く髑髏はふたたび現われるのだろうか?
ダーク・サンの目:囁きの冠(Eye on Dark Sun: The Crown of Whispers)
アサスで王冠を頂くべきは、君だ。
エベロンの目:カースの冠(Eye on Eberron: The Crown of Khaas)
この冠は相争うゴブリン諸部族を糾合する力がある。それは凶兆だ。
D&D千夜一夜(D&D Alumni)
D&Dというゲームの旧版を見ていき、象徴的な要素が数十年でどう変化したかを眺めてみよう。
Dragon #412はドラウと冠特集ですぅ。また、シーカーのClass Actが出るですぅ。
2012年07月02日 「死んだ有名人がもつ、この毒々しい娯楽価値って何……」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][Dungeon] Dungeon204号(Dungeon Issue #204)
目次
編集部より:深淵へ(Editorial: Anchors Aweigh!)
アンダーダークの起源をずっと辿れば、それはTSRが1978年に初めて発売した古いアドベンチャー・モジュール“D”シリーズまでさかのぼる。今月、私たちは深淵へと下り、お馴染みのかなり危険な場所を紹介する。
落影の怪事件(Grasp of Thalarkis)
冤罪で訴えられたウィザードはウォーターディープの地下に広がる貧民街へと消えた。彼を見つけてほしいが、暗闇には注意してくれ! フォーゴトン・レルムの6~8レベルのキャラクター向けD&Dアドベンチャー。
海の母の真珠(Pearl of the Sea Mother)
海の母ブリブドゥールプールプは世界を狂気で呑み込むことを望んでいる。彼女を殺すのが君の仕事だが、どうやって神を殺そうか? 15~17レベルのキャラクター向けD&Dアドベンチャー。
剣の蒐集者(The Sword Collector)
アンダーダークの住人に盗みを働くことについてよく考えてほしい。『Map Pack: Vaults of the Underdark』用にデザインされた、21~23レベルのキャラクター向けD&Dマップ・トレック・アドベンチャー。
ソードウィングの生態学(The Ecology of the Swordwing)
ソードウィングは彼らがたくわえている物品で有名だが、蒐集物よりもソードウィングに価値がある。
デーモンウェブ・ピットの住民(Denizens of the Demonweb Pits)
アビス第66層からの中継です。気味悪い群れ、這い回る化け物たちが君のプレイヤーたちをぞっとさせるだろう!
Dungeonはアンダーダーク特集ですぅ。
§ [DnD][4e][LnL] 『D&D Nextでの魔法のアイテム(Magic Items in D&D Next)』
伝説と伝承
私たちがD&D Nextで骨を折っているものに、君のステータスに占める魔法のアイテムの価値があると私は考えた。私たちは魔法のアイテムについて大まかな目標を話したが、それは誰かを驚かせてはいけなかった。
第1に、私たちは魔法のアイテムがキャラクターの能力の一部であると定義しない。この数値の影にある計算では君がキャラクター・クラスと種族によって得る特殊能力でのみボーナスが得られると仮定している。現在の段階で、私たちはそうしたキャラクターの装備変更をある種類の通常鎧を次の段階へ進めるものとしている。たとえば、ファイターは1レベルでチェインメイルを買えるかもしれない。後になって、そのファイターはバンディッド・アーマーやプレートを買う余裕ができる。鎧以外の場合、ゲームに他の装備が不足しているため、君たちの買い物による装備変更は厳しいものになると予測している。私たちはこれがD&Dらしい賢明な装備変更だと感じているが、私たちは装備変更にどんなことが期待されているのかを外さないためにもフィードバックをあてにしている。
第2に、私たちは魔法のアイテムが不思議で興味深く、楽しいものになることを願っている。それを見つけるのはセッションの見せ場でなくてはならない。もちろん、大きな問題は私たちがそれを起このをどうやって手伝えるかということだ。
まず、多くのゲーマはアイテムが攻撃やACにぱっとしない静的なボーナスを与えることを指摘する。+1チェインメイルという鎧は役立つが、それは必ずしも不思議な悲鳴をあげたりしない。私たちは大半の注意を他のアイテムに向けているが、それらを求めるDMのために、何の変哲もないボーナスを持つアイテムにゲームの紙幅を割くことにした。それはグループが望むなら旧版の素材をコンバートするのを簡単にするのだから、私たちがだめというとでも思うかい?
心に留めておいてほしいのは、私たちのボーナスが+3を上限にするかもしれないということだ。それ以上のボーナスはアーティファクトや銘入りの強力な武器の領域になるかもしれない。私たちは魔法のアイテムをゲーム内で足並みが揃うものよりはむしろ激動をもたらすものとして君に扱ってほしいが、私たちは君がどれくらいのことをできるか決定しなければならない。それがあまりに強いなら、それらは君がクラスと種族によって得た能力を殺してしまう。ここに存在する可能性が痛みとして発現するのが鎧であり、決定的なボーナスを得ると君は攻撃に対して無敵になってしまう。私たちはキャラクターが魔法の盾と鎧を見つけることが当たり前の状況になってほしくない。
魔法のアイテムへの肉付けはその他のアイテムのデザインを別のシステムへ移すことに集中している。私たちはそのシステムから移された能力一覧を見てそこから拾ったものを武器に追加している。たとえば、第3版で魔法の武器はほとんどが武器の静的な攻撃およびダメージに加え、付与できる能力の一覧から選択することで構築された。私たちは第4版ではこれをひるがえし、能力から始まり、それを付与する武器の種別を決定し、それが効果を及ぼす魔法のボーナスの範囲を決定した。
D&D Nextのために、私たちは完全に独自な武器、装具、あるいは鎧のデザインを見据えている。サンダー・ロック・メイスは君の攻撃ロールとダメージ・ロールに+2のボーナスを与え、自律していない物体に3倍ダメージを与え、1日2回自然の岩を砕いて隧道を掘れる。ワンド・オヴ・アンクエンチャブル・ファイアは君の呪文攻撃ロールにボーナスを与え、火呪文の追加ダメージを増幅し、そして命ずれば君が次に命令することでしか消えない魔法的な炎による光を発する。ゴルゴン・アーマーは君に石化への完全耐性を与える重装鎧かもしれず、君は1日1回ゴルゴンのように有毒な気体の中で呼吸でき、敵を突き刺すことができる角のついた兜もついているかもしれない。
それに加え、私たちはDMに魔法のアイテムを世界に影響させるためにあるオプションと道具のセットを与えたい。私たちはどんな武器にでも特殊能力の表から冒険者が純粋にどう有利になるかより、特別な誕生、その来歴、そして世界での位置づけを構築できるようにしたい。
たとえば、表を数回ロールすることでそれがドワーフが鍛えたサンダー・ロック・メイスで、デーモンの侵略に対抗するためだったとする。それはメイスに2つの特殊能力を与えるかもしれない。メイスが地面より下にある時はいつでも、それはもっとも近いドワーフの要塞へ向かう道へ微妙に引かれる。デーモンがそのメイスから200フィート以内に来るなら、武器はその持たれた手でわずかに輝きを増す。
こうしたちょっとした描写は、プレイヤー側の試行錯誤に任せてDMが決して詳細を説明しないかもしれない不思議なことだ。それらはゲームのバランスや仕組みともかかわりがないので、私たちはまったくDMの物語や語りをするレベルで自由に使わせることができる。おそらくそのメイスはDMがそれによって物語を進めようと目論んでいたか、キャラクターが単純にメイスを得てからDMのマップにあったランダムな遺跡に向かったため、君を忘れられたドワーフの要塞へ導くだろう。
理想的には、君のグループがキャンペーンを振り返った時、そのメイスが君を忘れられて放置されていた財宝に導いたり、君をレッド・ドラゴンのねぐらに送り込んだために忘れられない物になるのがいい。いずれにせよ、アイテムは物語の一部であり、方程式の数値ではない。
もちろん、この方法論は“一般的な”+1プレートにも適用される。君のDMが魔法のアイテムで物語を盛り上げたいなら、ゲームはそのための資源を提供する。願わくば、それが君のキャンペーンでいくつかの面白い事件を引き起こさんことを。
マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ・アンド・デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。
2012年07月03日 ぼくの服装は、目立たなくするため、隠れるため――一般化するためだ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][DnDNext] 『モジュール化と戦闘のサブシステム(Modularity and Combat Subsystems)』
2012年6月27日、水曜日、午前9時46分
投稿者:WotC_TomLaPille私たちはD&D Nextのオプション・ルール・モジュールについてたくさんのことを話したが、君たちに見える形での情報は与えてこなかった。驚くほどのことではないが、君たちはそのことについて質問してきた。今日、私は君に私たちが考えているものをいくつか見せよう。
ルール・モジュールは基本ルールに上乗せできる追加ルールのセットだ。それぞれのモジュールは参加者の好みに合わせてゲームの雰囲気を異なるものにするサブセットである。私たちはほとんどのプレイヤーがほとんどのルール・モジュールを使わないと予想しているが、グループは彼らが望む雰囲気になるよう、彼らのために働くルール・モジュールを見つけ出すことができる。
私たちがどんなモジュールを作るべきかどうやって調査しているか知りたいだろうか? 私たちはゲームがどう動くかを見て、みんなが何を求めるかを見て、私たちや私たちのグループがどうすれば楽しくなるかを考え、これらの要素を達成するためにいくつかのルールを書き上げる。
私はD&D Nextについての仕事をしているが、現実世界ではゲームの運営も行なっており、戦闘をシステムが現在提供しているよりもっと複雑なものにしたい。しかし、私はミニチュアが大好きというわけではないし、第4版が私に提案してくる多くのパワーは多すぎると思うときもある。
私がD&D以外のRPGをプレイする時、それは私へ基礎システムとして戦闘中に語ることで駆動させる選択肢――振りかぶり、転倒、押しやりなど――を与えてくれるし、それはおおむね私が戦闘で行なったことが世界に反映されることがわかるため満足なものだ。こうした他のRPGのルールは私のひらめきをルール用語に翻訳する。私はそれを忘れたので、私はそうするためのルール・モジュールを自作した。ここにはその最初期稿がある。
語ることによる戦術的戦闘モジュール
使い方
君が近接攻撃を行なう時、君は以下の行動から1つ宣言することができる。そうした時、君は所定のペナルティを攻撃ロールに受ける。君の攻撃がヒットすれば、その攻撃によって発生するダメージに加えて書かれている追加効果が発生する。
ダメージ増加(-2)
(君はさらなるダメージを与える。)
効果:君はダメージ・ロールに+4のボーナスを得る。
転倒(-5あるいは-10)
(君は敵をしたたかに打ち、彼を転倒させる。)
効果:目標は伏せ状態になる。
ペナルティ:このアクションは目標が2本の脚を持つなら-5のペナルティ、目標が3あるいは4本の脚を持つなら-10のペナルティを受け、目標の脚が5本以上なら行なうことができない。君はサイズが自身のもの以下のクリーチャーにのみこのアクションを行なえる。
これらのアクションは結局のところファイターの技とちょっと似ているように見える。今のところファイターの技は攻撃にペナルティを与えないため、ファイターはまだ他のクラスよりも戦闘でいい働きができる。このシステムはいくつかの戦闘で簡単に思いつけるアクションを他のすべてに開放するためのものだ。
この種のものは私が望んでいた戦闘の複雑さを生み、それが私の他のRPGをプレイするグループのためになると思う。それは君のためには何もならないかもしれないが、それでいいのだ――君がそれを気に入らなければ、気にしなければいい。
また君がミニチュア好きなら、私は君を幸せにするだろうマイク・ミアルスがミニチュアを使った戦術的戦闘モジュールについて話しているのを聞いた。私はまだそれの中身について多くを知らないが、遮蔽、敵の脅威がある区域への侵入と脱出、そして多くのミニチュア・ゲームで説明されるものを君が見つけられることは知っている。向きについてのルールさえもあるのだから! サブシステムによる私たちの目標はみんなのためにミニチュアのルールを作るのではなく――ミニチュアのルールならミニチュアを本当に愛している人のために作るということだ。
この意見は君のためにうまく働くやり方だろうか? 君はどんなモジュールを見たい? 君が愛するD&Dは今のD&D Nextプレイテストのルールが語る範囲にあるだろうか? コメントで大きく主張してくれれば、私たちはより多くのルール・モジュールを書く必要があると認識するかもしれない。
2012年07月04日 そしてここ、大きく白い太陽のもとで、ぼくはダグとクレアがもうひとつの、もっと歓待してくれる宇宙に住んでいるつもりになるのを、見守ることになる。 [長年日記] 編集
§ [TRR] 『太閤幻想』完走
佐久間ヌコ助(男・少年・朱雀/アストロノーツ):地球で
イエス・キリスト(男・?・青龍/力人/黄泉還り):ある少女の祈りと聖遺物の力によって受肉した救世主。ロンギヌスの槍(殉教者の槍相当)を担いで少女を肩に乗せた寡黙で屈強な大男だが、いくさ人にも通じる不思議な人間的魅力を持った自称漁師。ヤコブと天使の戦い以来の拳法とさまざまな奇跡で英傑を導く。全地の言葉が分かたれる以前のバベル言語を操るため、会話には不自由しない。プレイヤは荒原の賢者氏。
ヨシツネ(男・?・白虎/妖怪絵師/遊芸者):鍋島藩お抱えの絵師。絵を描くための道具といくつもの《能面》を常に持ち歩くとらえどころのない男で、普段は鍋島斉正をして暖簾に腕押し、糠に釘と頭を抱えさせるほどの何もなさだが、忍びとして何かを命じられれば、過程はさておき結果は確実に持ち帰る凄腕。《能面》によって複数の《忍法》を操る汚い忍者。芸を披露している時はやや饒舌になる。プレイヤは隠者氏。
服部京香(女・17・玄武/ハイカラ/忍者):時空破断で明治時代から化政時代にやって来た少女。祖国の貧弱な情報機関と没落した生家を憂えていたため、この椿事を好機と考え、元の歴史より少しでもよい条件に世の中を変えるべく服部半蔵に接近し、上方の服部党を任されるまでになった野心家。素早く命令を出して配下や仲間を動かし、必要とあらば非情の手段を執ることも躊躇なく行なえる。プレイヤはアシタカ氏。
こういう面子だったけど、開始するなり当時は秘剣使い(「本当の磔刑を見せてやる」と謂ってロンギヌスの槍で《秘剣:三位の太刀》を繰り出す)だったイエスが「ここは島なら向こう岸見えるよね? 娘ひっつかんで《一気呵成》でそこまで移動」と宣言したり、ヌコ助が「俺が守らんといかんっぽいPC2が屈強なオッサンだからモチベーションが出てこない。そうだ師匠を殺そう!」とか謂って急遽王至全が毒を盛られて殺されたり、イエスがそれを見て「俺も戦いでは遅れを取らなかったが、あの晩餐で毒を盛られてな……。ユダじゃない。奴はそんな手を考えもしないだろうよ」などとほのめかす一幕もあったですぅ。
第一話はそこから先、敵と対決する段階になっても「誰が正面から行ってやるか。奇襲だ奇襲」ということになり、即興でそれっぽいことできるフェイズワークのありがたさも身にしみたですぅ。
第二話以降もせっかくだからA次郎の戦友としてネモ船長を登場させてノーチラスで大坂を強襲したり、第四話はクライマックスがなぜか恐怖の島で閻羅王ゲイリー・ガイギャックスが降臨しかけたりと、シナリオクラフトでゆとりが多い分、気心の知れた友人ならではのアドリブで埋めても1シナリオ3時間程度のプレイを楽しめましたぁ。
戦闘面では前のめりPCばかりだったせいかほとんどのボスが1ラウンド目で全員の行動が終わる前に死んでしまったり、最終話のボスに至っては渾身の拳をイエスに取られ、そのまま手首折られて再起不能になってしまったですぅ。しかしこれは敵もほとんどの奥義を使えてるので、奥義の攻防込みで密度ある戦闘を短時間にやれたという感覚のほうが強いですぅ。
シナリオ全体でも道中の判定や出てくる敵の構成がかなり際どかったのも、漫然と戦ったり判定をして進むのではなく、常に特技を宣言したり装備を使うことに気を廻させることでプレイの実感を強く味わわせるための仕掛けに感じられたですぅ。
ともあれいろいろあったけど脱落者0で最後まで行き、PCは別れてそれぞれ新たな旅を始める大団円とあいなりましたぁ。
シナリオクラフトという構造は好き嫌い分かれるかもしれないけど、内輪で軽くキャンペーンでもプレイしたい人にはお薦めできる内容ですぅ。
2012年07月05日 ぼくらはここで、鶏の胸肉を食べ、アイス・ティーを飲み、犬たちが持ってくる棒きれだの蛇皮だのを、おおげさな喜びで迎えることになる。 [長年日記] 編集
§ [TRR] 2012年06月24日『夜明け』
朱春峰(男・300歳余・青龍5/秘剣使い1/異邦人8):万の勝利を得るまで祖国へ戻らぬと誓い、日本へやってきた仙人。その正体はかつて鄭成功と轡を並べ清と戦った明帝室の一員。東方不敗と呼ばれたこともあるらしいが、本人は否定している。鄭成功の宝貝で秘剣を感得したらしい。プレイヤは森聖氏。
“葛葉”土御門晴明(男・15歳?・朱雀2/陰陽師11/退魔僧1):表の顔は葛葉の号で浮世絵を描く少年絵師。しかし、その実体は肉体を乗り換え無窮の時を生きる高名な陰陽師。今回は土御門家当主たっての頼みで、客星の謎を追う。プレイヤは荒原の賢者氏。
伊藤伊吹(女・17歳・白虎3/玄武4/神職7):江戸市中のさる寺に勤める巫女。親の代からそういう仕事で、何事にも動じることなく淡々と“仕事”を行なうが、自称一般人。今回はあまり一般人らしくなかったのが悩みらしい。プレイヤは隠者氏。
綾(女・12歳?・白虎6/妖怪7/巨神1):江戸開府の折、新たに掘られた川に発生した龍神。天海に見出され、たまに彼の頼みを聞いたりもする。少女から白蛇、龍へと二回変身できる。割れ顎が特徴的な新右衛門という守役がいる。プレイヤはアシタカ氏。
その日、春峰、晴明、伊吹の三名は大坂沖に浮かぶ船で、鄭成功と敵地へ乗り込む直前の打ち合わせ、兼宴会を行なっていた。
発端は数日前に遡る。
明帝室の血を引く瑶小鳳の情報を手土産に、成功が春峰の家を訪ねてきたのだ。しかし問題は居場所である。彼女は天満屋の手引きで抜け荷の船に紛れて大坂へ入ったが、そこから先の足跡がふっつりと消えているのだ。しかも、この調査を行なった成功と共に仙境で功を積んできた鉄人たちが何人か不帰の客となっている。
天満屋は既に備えを固めている。しかも大坂となれば、そこは彼と配下の外道仕事人たちにとっては庭も同然。土地勘の無い者にはいかにも不利だ。
「度々迷惑をかけるが、お前の力を借りたい。足は俺が手配する」
成功の策は偽装した船で大坂へ入り、瑶小鳳を確保後すみやかに脱出する。すなわち突貫と抽出。そのための人員も既に見繕ってあるという。
「どうせいつものあいつらだろ」
はたしてその通り。伊吹は仕事としてこれを請け、晴明はちょうど泣きついてきた土御門家と都で相談する用事もできたため、大坂へやって来ていた。
「すまないが、今回は偽装と宿の手配に手一杯でお前たちが動いている間の資金は出せん。天満屋のこともあるので気をつけてくれ」
「そしてメタなこと言うと、天満屋がこういう特技使ってるDEATHゥ」
《回状回し※》 | |
タイミング:常時 | |
判定値:自動成功 | 難易度:なし |
対象:効果参照 | 射程:効果参照 |
効果:支配下の組織を総動員して市中の噂に眼を光らせ、邪魔者を狩り立てる特技。 このエネミーが参加しているシナリオで情報収集に失敗したキャラクターは、8d6の〈闇〉ダメージを受ける。 |
「情報収集失敗できない」
「もちろん情報収集に使った総シーン数のカウントもしてるDEATHゥ」
それより少し前、天海のもとへ呼ばれた綾は、上方の裏世界で取引された国産みの神器、天逆鉾の真偽を確かめ、もし本物であったならしかるべき処置を取るよう密命を授かり、大坂へ向かっていた。
龍神である彼女なら、天逆鉾が天御柱へと変じたときにそれを守護する倶利伽羅龍王と感応するものがあるだろう。そうした判断あってのことだったが、当の綾は初めて江戸から出られることではしゃぎきっている。天海と綾の守役の新右衛門はそれが気がかりでならなかった。
役者が大坂に揃ってしばらく後、晴明はいかなる法を使ってか京の土御門家で現当主の泰宏と会見していた。
泰宏の悩みとは、客星であった。少し前から天には北辰を喰らうような輝きを見せる客星が現われ宸憂あらせられるものの、陰陽寮総出で調査してもまったく読めない。時節柄下手な上奏を行なえば、幕府にしろ討幕派にしろ、鬼の首を取ったように騒ぎ立てるだろう。
星で天地は動かずとも、人は動く。そのことは当の陰陽師たちこそ熟知している。ほとほと困り果てた泰宏は、“安倍晴明”に頼ることにしたのである。
「ふん、正しいよ。そんなものを読んではいけない」
それだけ言うと、彼は立ち上がる。狼狽する泰宏に不世出の陰陽師は何とかするとだけ告げ、その場を去った。
実のところ、晴明にはこの時おおかたのあたりはついていた。かつて鎌倉の幕府が滅亡する時も本能寺に織田信長が斃れた時も、天には凶事を告げるかの如く客星が現われている。だが、それは通常の天体とは少し性質を異にする。
現世と幽世の境が揺らぐと、星の運行に乱れが生じたり客星が現われるように見える。つまり、その裏には妖異の影がある。だからこそそんなものを読んだり、ましてや何らかの判断に使ってはいけないのだ。
都でのことを終えた晴明はふたたび、大坂へ戻った。
大坂に着いた綾はすべてが初めて見聞きするものばかりではしゃぎ回り、当然の結果というべきか新右衛門が宿の手配から情報収集まで一切の雑用を行なっていた。綾といえば江戸での顔なじみである春峰と出くわし、菓子を食べているから気楽なものである。
だが往来にはどことなく殺伐とした雰囲気が漂い、ちょっとしたことで人々の間に争いが生まれていた。大塩平八郎の乱以来うち続く変事で人心は乱れ、そこに此度の客星である。街の雰囲気が悪くのも無理はない。
宿が決まっていなかった綾は春峰が逗留している宿に部屋を取るということで、新右衛門を含めた三人は宿へと戻ると、そこには残りのふたりが待っていた。彼らもそれぞれ既に怪しげなところへ探りを入れていたので情報を合わせると、事件の概観が見えてきた。
瑶小鳳の行方は春峰が身内として数名の襲撃者と戦いつつ探りを入れたが、それによると彼女は天満屋の寮にかくまわれており、その周辺は馮克善をはじめとした一騎当千の武侠たちによって固められているらしい。
この馮克善という男は反清復明を掲げた八卦教の幹部で、少数の手勢で紫禁城を襲撃して捕縛されたものの、死刑の執行前に牢を蹴破って脱獄した八卦掌の達人である。その後の彼は蓬莱神教に合流して小鳳の護衛となるが、強大な力を得なければ反清は出来ぬという強い考えを持っていたようだ。
「我慢できなくなったか」
伊吹は上方の裏社会に探りを入れ、織田信長と協力関係にある三人が活発に活動しているという事実を掴んでいた。外道仕事人の元締め天満屋はその財力で天逆鉾を購って信長に献上し、化政の世に復活した四鬼を操る呪術の達人、藤原千方は枚方宿の交野天神社に下手な術者では知覚することすらできない結界を構築している。そして天満屋が招聘した閻羅王“山の老人”はそれに探りを入れるものたちを狩っている。
綾のほうも新右衛門が手を廻し、今回市場に出た天逆鉾が日向国の霧島山で祀られていたが、文禄元年の霧島山噴火で破損し、その後回収されて人手を渡り続けていた品物だということ、大坂の廻船問屋天満屋が大枚をはたいて手に入れたことを探り当てていたので、思わずそれに反応してしまう。
「綾姫様。お役御免になったら天海様にお仕えしていた時期の事をどう説明すればいいんですか!」
「前歴を話せない浪人とか厳しいだろうなあ」
「いいよ。俺も深くは言いたくない身内の話だし、お互い内密に」
小鳳の隠れ家である天満屋の寮に春峰と晴明、綾が踏み込むと、“山の老人”の液火が三人を襲った。それに乗じて屋内から仕事人たちが飛び掛かってくるが、こちらは障害にすらならず春峰が一喝し、綾が正体を垣間見せるだけで戦意を喪失した。
彼らをしめあげると、この寮に逗留していた清国からの客人は淀川を登って枚方宿へ入ったという。別に動いて枚方宿を調べていた伊吹によると、そこにある交野天神社はかつて桓武帝が郊祀壇を築き、中華皇帝も行なったという天地を祀る儀式を行なった場所だ。晴明が口を開く。
「皇帝の子孫はいる、信長は祀られる方か。天地を繋ぐ神器もあるしな」
情報収集を行なうまでもなく結論を導いた英傑たちは、淀川を上って交野天神社へ。果たしてそこには、藤原千方が己が四鬼の中から風鬼、水鬼、金鬼の三体を動員して築いた隠形の結界が張られていた。
「貴族としての私、術師としての私、忍者としての私」
「この結界はお互いを補完してて、3ラウンド以内に全部破壊しないと修復するDEATHゥ。風鬼は突風に飛ばされない判定、水鬼は鉄砲水に流されない判定を3回成功、金鬼は100ダメージ与えればいいDEATHゥ。シーンは結界毎に分割され、シーン間の干渉は奥義のみで行なえるDEATHゥ」
「綾は《水に潜むもの》持ってるからスルーしてOK?」
「認めるDEATHゥ」
「岩が相手なら《五行呪:木行》で貫通できるだろ。37点」
「《忍法:肉鎧》で29点軽減したDEATHゥ」
「なんじゃそりゃ」
「奥義切るしか無いか?」
風と戦いながら春峰が晴明に《一刀両断》を飛ばして金鬼の結界も破壊し、彼も吹きつける突風と戦いながら風鬼の結界を破壊すると、社が変貌した真の姿を現わした。
もっとも結界を張ることに長けた怨京鬼の能力ですら隠しきれず、三体の鬼で封印されていたもの。それはかつて天逆鉾がその姿を変じさせた天御柱が如く、天と地の間に屹立する輝きの柱だった。
「まるでバベルの塔だな」
「なぜわかるDEATHゥ。ともかく入るには誰かが【魔導値】判定でクリティカルするか、全員が〈神〉4D6ダメージDEATHゥ」
「ほいクリティカル」
晴明が難なく結界を開いて英傑たちは結界の中に入ると、ひとつの塔以外何もない沙漠の中だった。
日本では天御柱とされ、中華世界では天壇とされた天を祀る祭壇のもうひとつの姿。バビロンに存在した
「ちゃんぽんすぎるぞ」
「ここが鳥取かー」
「違う。鳥取はもっと広大なはずだ」
それはともかく、晴明は信長の目的が中華皇帝に祭祀されることで天帝となることだと睨んだ。中華の皇帝は天より天命を享け、律と令によって四海のありようを定義する。ならばその逆を、というわけだ。
塔の中では、馮克善とその同志たちが待ち構えていた。彼は謂う。織田弾正忠がいかな者でもその力は本物。理想だけで清朝は打倒できぬと。
「今は正気でもいつか呑まれるぞ。まあ言葉は不要か」
春峰の剣は克善の鋼となった肉体に阻まれ、克善の蹴りは春峰の剣に阻まれる戦いが続いたが、先に限界を迎えたのは克善だった。倒れた彼とその同志を介抱すると、英傑たちはさらに上へ向かう。
上へ上へと昇ると、周囲に異変が生じ始めた。壁にある神話を切り取った壁画があたかも命を持ったかのように動き出し、その闘争を再現するのだ。実体はないが迫真の神々や怪物たちが英傑たちに襲い掛かり、その心を砕こうとする。
「【精神】難易度10の判定に失敗したら、結界を操っている藤原千方を倒さない限り解除できない重圧を受けるDEATHゥ」
「特技のほとんどが死んでしまう」
「伊吹は重圧を受けない」
そんなこんなで結界を操る藤原千方の居場所を特定し、襲撃をかける。千方はこれ見よがしに結界の核となっている天逆鉾を自慢するが、同時に驚嘆の声をあげた。
「この時代の術者はどいつも大したことはないと思っていたが、お前たちのような者がおったとは。あの男に雇われて正解だったか」
「妖異ではないというか」
「当然のこと、このわしは爪一本たりとも妖異に侵されてはおらぬ。術を窮め、使うことこそが悦びであるがゆえにあの男についた!」
「こいつも大概性質が悪い!」
千方は幻術使いの力で結界内のあらゆる事象を操作して英傑を圧倒するが、逆に速攻でかたをつけねばまずいと判断した春峰が《秘剣:雪月花》を放ち、一刀のもとに倒される結果となった。だが彼が倒れたその時、闇の中から伸びてきた白い革の手袋をはめた手により天逆鉾が奪われる。
「千方が倒されるとは面白い。俺の前に立つことを許そう」
英傑たちは気がつくと満天の星に見下ろされる塔の屋上に立っていた。反対側には一心不乱に祈りを捧げている瑶小鳳と、それを翡翠の玉座に座って眺める織田信長がいる。
「お前たちのように力ある者を殺すのは忍びない。どうだ、俺の同志にならぬか? 俺の望みは足元にあるようなちっぽけな島々にあらず。中原だろうが南蛮だろうが、その娘のように俺に従ったものに呉れてやる」
信長は英傑たちを見やり、天を抱くかのように両手を広げて続ける。
「そしてお前たちのように力を持て余した者たちには、見せてやろう。この星々の海、その彼方にも広がり続ける十万億土を。そこには無量の邦があり、無尽の戦がある。俺たちは平らげられるだけの土地を平らげ、果つることなき彼方を目指そうぞ」
「人は地に足つけてないと生きてられんよ」
「そうそう、川がないと」
「仕事だしそっち行く気もない」
「ポケットに入るだけのものでいいさ。それに、天を支配する必要なんかない」
晴明の言葉に、信長は眉を上げた。
「ほう?」
「天など、好きな時に操ればいいのさ」
「言ってくれる! ますます気に入った!」
「信長は天帝の力を身につけているので、フェイズワークを成功させるまで以下のような特技を持っているDEATHゥ」
「うわー、ほしー」
「ただし力を手に入れて英傑を舐めているので奥義は使わないDEATHゥ」
《天の鎧※》 | |
タイミング:常時 | |
判定値:自動成功 | 難易度:なし |
対象:自身 | 射程:なし |
効果:不動の北辰を体現する特技。 このエネミーが受ける〈神〉属性以外の実ダメージを半分にする。 |
《天の玉座※》 | |
タイミング:クリンナッププロセス | |
判定値:自動成功 | 難易度:なし |
対象:自身 | 射程:なし |
効果:天の運行を支配する天帝の力を得る特技。 このエネミーが取得している「1シナリオに●回」、「1シーンに●回」とある使用回数をすべて回復させる。 |
「さあて、お喋りはそこまでかな」
英傑たちと信長が互いに身構える直前、玉座の後ろにある夜が動いた。
「江戸では跳ねっ返りが不覚を取ったが、あれを“山の老人”のすべてと思われては困る」
周囲の暗闇から次々と短刀を構えた戦士が現われ、英傑たちに向かって跳んだ。
「“山の老人”たちの特技はこんな感じDEATHゥ」
《血の同胞※》 | |
タイミング:イニシアチブプロセス | |
判定値:自動成功 | 難易度:なし |
対象:効果参照 | 射程:効果参照 |
効果:己の血肉を分けた分身を創造する特技。 このエネミーのエンゲージに、HP、MP、奥義以外はこのエネミーと同じデータをもつ分身が2体、未行動で現われる。 分身の【HP】は1で、特技の使用回数制限はこのエネミーと共有している。また、このエネミーの奥義を分身が使用することも可能である。 この特技はシーン中に分身が1体もいない時、1ラウンドに1回使用できる。 |
《二重影※》 | |
タイミング:メジャーアクション | |
判定値:【命中値】 | 難易度:対決 |
対象:単体 | 射程:武器 |
効果:一瞬だけ分身を創造し、同時に別の場所を攻撃する特技。 対象に物理攻撃を行なう。この物理攻撃へのリアクションでは判定を2回行ない、その両方に勝利しなければ対決に敗北する。 |
信長が《万軍撃破》と《四象順天》で眼前を薙ぎ払うのを伊吹と綾が防ぎつつ、しばらくは春峰と晴明が二柱の閻羅王の相手をして伊吹と綾がフェイズワークで儀式を破壊しようとするが、伊吹が《一蓮托生》で信長の斬撃を弾き返し、彼の余裕に満ちていた顔に青筋が走ったのを見て春峰が叫んだ。
「埒があかんな。ようは殺せばいいんだ」
「ああ、そうだった」
晴明も笑って応え、春峰が信長に秘剣を仕掛けた後から呪を叩き込む。攻撃が効かないわけではないのなら、いつかは倒れる。ましてや相手は油断して最大の切り札である奥義を使わないのだから。
信長が頑なに奥義を使わないため、“山の老人”が必死に奥義で妨害をするが数が足りなかった。晴明の呪が閻羅王たちに炸裂し、そのかりそめの肉体を破壊する。
「これはますます俺の配下に置きたくなった! 覚えておこう」
「二度と来るな」
綾が今度こそ天逆鉾を奪還する横で春峰は小鳳を捕まえると問答無用で説教を始め、お株を奪われた伊吹が手持ち無沙汰で立っていた。そうこうしているうちに、結界も崩れて中にいた者たちは、社の森に吐き出されるのだった。
江戸に戻る直前。ふたたび晴明は都に舞い戻り、帝と土御門泰宏にどうしたわけか客星が消えたことを告げた。深々と頭を下げる泰宏に晴明は江戸の借りは返したことを告げ、散逸した家伝の復刻を頼もうとしていた現当主をかわすのだった。
江戸に帰還した綾は天逆鉾を天海に渡してはじめての遠出を終わらせていた頃、鄭成功も伊吹のもとを訪ねて礼金を渡していた。
そしてしばらく後、鄭成功の船で帰国の途につく瑶小鳳と馮克善を見送る春峰の姿があった。清朝の命数は尽きかけ動乱の兆しが見えてはいるが、彼が故郷へ帰るのはまだ後のことになりそうだ。
夫妖ハ徳に勝ずといへり百鬼の
闇夜に横行するハ佞人の闇主ニ
媚びて時めくが如し大陽
のぼりて万物を照せバ
君子の時を得
明君の代に
あへるが
ごとし
――『今昔画図続百鬼・明』
2012年07月06日 それに、君が声を大にして、ヤッピーなんてものは存在しないとか言いだす前に、事実は事実として認めよう――存在するんだ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 8月:『Menzoberranzan: City of Intrigue』
悪意に満ちたドラウの力ある名家は、堕ちた女神の目にかなうようそれぞれたゆみない努力を捧げており、メンゾベランザンこそそうした驕慢の頂である。だがしかし、その積み重なった利己、放蕩、そして悪徳の奥を覗けば、豊かな歴史、文化、そして芸術を持つ壮大な文明を見ることができる。このたまらない美と罪の二律背反こそ、ドラウの社会への強力な関心を呼び起こすものだ。この本で紹介される高名なアンダーダークの都市メンゾベランザンは、かの有名なドラウのレンジャー、ドリッズト・ドゥアーデンの出身地でもある。しかしこれは彼の物語ではない――これは君たちが紡ぐべき無数の物語だ。
『Menzoberranzan: City of Intrigue』は最大級の汎用性を持つようデザインされた。君が現行版はおろか、過去や未来の版のルールを使っていたとしても、君はこの本に書かれているほぼすべてのことがらがゲームで使えることを知るだろう。君はこの本でドリッズトが生まれるよりも前の年代でも、蜘蛛の女王の戦争のまっただ中でも、あるいは現代のフォーゴトン・レルムだろうが、キャンペーンを設定して運営できる。君はメンゾベランザンという都市を、君が適当だと考えてそれをなじませることができる別の地域や別の世界に移植することだってできる。メンゾベランザンは君が望むどんな方法ででも使える、君と君のプレイヤーたちが探検できるすべてを備えて待っているセッティングだ。
この本の使い方
ダンジョン・マスターのために:『Menzoberranzan: City of Intrigue』はまずダンジョン・マスターのためにデザインされている。この本は君が恐るべきドラウをテーマの中心に据えた、刺激的で思い出になるキャンペーンを作る助けになる。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のゲームをメンゾベランザン・セッティングで運営するために、君はこの本と好みに合ったD&Dいずれかの版しか必要としない。君が第4版のD&Dルール・セットを選ぶなら、さらに何冊かの本がこの製品の面白さを際立たせるかもしれない。『Underdark』および『Into the Unknown: The Dungeon Survival Handbook』は地底を舞台とするキャンペーンを作るための良い手引きになる。ダンジョン・マスターはまた、メンゾベランザンの外の設定も詳細に記述した『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』に価値を見出すかもしれない。
プレイヤーのために:ドラウは悪の種族――彼らはその隣人と永遠に争い続ける――だが、多くのプレイヤーはそれにもかかわらずドラウのキャラクターをプレイすることに魅力を感じている。
『Menzoberranzan: City of Intrigue』は、彼らのロルスが支配する宗教――そのすべてはドラウのキャラクターのプレイヤーに不可欠な情報だ――も含め、ドラウの社会と思想の根底について言及している。
さらに、この本にはどのドラウの家に所属するかを選択するためのガイドラインがあり、キャラクターの背景としてプレイヤーがキャラクターの背景設定と動機を肉付けする助けになる。本の補遺ではドラウのキャラクターをプレイすることについてとりわけ力を入れているが、プレイヤーはそれ以外の章でも非常に刺激的で役立つ情報を発見できる。
ドラウ社会の身分
君のドラウとしての身分は、メンゾベランザンの社会で君がどんな地位にあるかを決定する。後述するが、私たちはより深く身分の概念を掘り下げている(そしてそれはまた、下記の『Fortune Cards: Drow Treachery』にも関係する)。しかし前提として、身分は2つの種類に分けられる。家格と個人への評価である。
家格は都市にある他の家に対する家の身分を決定する。もっとも高貴なドラウですら他家のドラウへ直接命令することはできないと同時に、より格の低い家の一員はより高い格の家には敬意を払うか、強力な競争相手を怒らせることに直面せねばならない。
個人への評価は、個人個人が持つ【価値】の値でドラウは彼女の家における身分を決定する。それぞれのドラウのキャラクターは彼や彼女の出生による状況修正にもよるが、【価値】の値が0から始まる。ドラウは【価値】をさまざまなことで得たり失ったりする。【価値】修正表はドラウが彼や彼女の生涯の中で【価値】を上げ下げする基準をいくつか提供する。君のDMは他の事件によって君の【価値】を上げ下げする裁定を下すことができる。
ドラウの【価値】はおおやけに知られた事件でのみ影響がある。ドラウが彼女の家の敵を殺しても、それを誰も知らないなら、そのキャラクターの【価値】は影響を受けない。ドラウならば通常は彼らが社会的地位を上げることに必死である様子を見せたくないため、彼らの行為について公然と話すよりは噂を広げることを選ぶ。
この評判の増減にある唯一の例外は、おおやけからの認知を必要としないロルスからの信頼と不信に関わることだ。ロルスと彼女が手ずから産んだヨックロールの間諜は常に彼女の信者を見張り、彼らは奉仕と不義についての報告をロルスの女祭に報告する。
なぜかNovemberになっている7月の新製品紹介『November: In the Works』で、8月に登場する『Menzoberranzan: City of Intrigue』が出ていたですぅ。
これは合衆国でも人気種族のドラウの都市、メンゾベランザンを扱った設定がメインの本で、以前からぽちぽち出ていた情報通りに版に縛られない情報を主としながら、【価値】(Worth)のような独立メカニズムをある程度入れた内容になるみたいですぅ。
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2012年07月07日 地下室サブカルチャーは厳密に体系化されてる――衣装は主として、絞り染めや、ショーペンハウエルやエセルとジュリアスのローゼンバーグ夫妻の図柄の褪せたTシャツで、アクセサリーは必ずラスタ小物やバッジ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 8月:『Fortune Cards: Drow Treachery』
メンゾベランザンとドラウをプレイしようという趣旨にふさわしく、Fortune Cardsの最新セットは彼らの陰謀をゲームにもたらしてくれる。Drow Treacheryのカードは一般的なFortune Cardsの仕組みとは少し違っており、君にちょっとした幸運をもたらすが、そうしたら、さまざまな犠牲が払われることになる!
ドラウの政治という血なまぐさい世界で、君は頂点を見つめなければならない。君はロルスの強力な女祭から寵愛を受け身分を向上させる――できれば他者に代償を払わせたい――ために、同胞のドラウと争いを繰り広げている。『Dungeons & Dragons Drow Treachery』のカードは君が味方の不幸によって得る利益の結果を表現している。
これらのカードは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のゲームへ追加されるオプションで、ドラウの都市を舞台としたキャンペーンで使われることを意図している。これらはサプリメント『Menzoberranzan: City of Intrigue』所収のドラウ社会の身分に関するオプション・ルールで使用する。
プレイのために
君は1パック以上の『Drow Treachery』のブースターからすべてのカードを君のデッキとして使うことができる。プレイヤーはそれぞれ自分のデッキを準備する。
遭遇が開始されるたび、君はデッキを切り直してカードを1枚引く。このカードは他のプレイヤーには隠しておくこと――君は彼らに自分が何をしているか気取られてはいけない!
君はラウンド毎に1枚のカードを使用できる。使用にアクションは必要ない。それぞれのカードには君がいつそれを使用でき、どんな効果があるのかルールが書かれている。カードは特記されていない限り1回だけ効果を発揮し、その効果の終了時に君はそのカードを捨てる。
君は常に1枚のFortune Cardを手札として持つことができる。君のターンが開始するたびに、君は以下のうちひとつを選択できる。
- 君の手札を捨てて新しく1枚引く。
- 君の手札が1枚も無い場合、新しいカードを1枚引く。
- 君がカードを使用しなかった場合、そのカードを持ち続ける。
背信(Treachery)カードは新たなFortune Cardだ。それぞれのカードには【価値】の値を持つ。そのカードの効果が発動した時、君は書かれている【価値】を得る。いくつかのカードは負の【価値】を持っており、それらの効果が発動すると君の【価値】は減ることになる。君は1遭遇で好きなだけ背信カードを使用できるが、君が得られる【価値】は遭遇中に使用した中でもっとも高い値だったカードの分のみだ。
身分を使わない場合の背信
君がドラウ社会の身分ルールを使わない場合でも、君は背信カードを使うことができる。すべての君に【価値】を与える効果の場合、君はその代わりに【価値】の値に等しいACへのボーナスを君の次のターン終了時まで得る。負の【価値】は同様に君のACを減らす。効果が味方の【価値】を減らすものなら、その味方は代わりに【価値】の値に等しいACへのペナルティを君の次のターン終了時まで受ける。(背信カードの効果で君のACが増減する場合、【価値】の値へ与える修正が高いカードの効果を適用する。)
参考までに、これらのカードを数枚見せておこう(訳註:公式サイト参照のこと)。
『June: In the Works』で紹介された、『Menzoberranzan: City of Intrigue』と同じく8月に発売される『Fortune Cards: Drow Treachery』のプレビュウですぅ。
『Menzoberranzan: City of Intrigue』の身分ルールとも連動した背信(Treachery)カードで組み込まれた直接的ではないPC間対立要素は、身分ルールを使わない軽い処理も準備されているのが嬉しいですぅ。
2012年07月08日 今後の四十年間のぼくは、生きているという動作を空しく続け、若々しいミイラの粉が自分の内側で跳ねて鳴るガサガサ嘲るようなマラカスを聞きつづけなくてはならないんだって。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 2011年01月08日『フラグとは折るものだ』
エスペランザ(エラドリンのメイジ/ブララニ・ウィンターソウル14):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。
グスタフ・トラップ(ヒューマンのシーフ/パラゴン・シーフ14):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。
セヴン(ドワーフのウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン14):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。
イド(ハーフエルフのパラディン/クエスティング・ナイト14):迷える騎士。ブレーキにならないcompanion。主人公。
“風の王”のしもべたちとの戦いから三十八日。冒険者たちはウォーフォージドから報酬がわりにかつて教団がオークと結んで決起した時に使われず、そのまま放置されている宝物庫のありかを教えてもらい、回収に向かっていた。
馬で三日山脈の中にある古道を北へ進み、山脈の地下に広がる洞窟を進むこと四日。指定された場所の近くを歩いていると、前方の空洞に人の気配がした。グスタフが先を見てみると、そこにはドラウやドライダー、彼らの従者であろうグリムロックたちが柵を築いて見張りをしていた。
「ドライダー?」
「下半身を蜘蛛に改造されたドラウ」
「ようはザクタンクやゲルズゲーみたいなモビルアーマーDEATHゥ」
「どうせ殺すし奇襲しよう」
「よしファイアーボール」
はじめはグスタフとエスペランザがうまく機先を制し、柵を逆用しておびき寄せては各個撃破していたが、後ろに潜んでいたローパーが触手でグスタフを捕らえて爆発するキノコの茂みに突っ込ませると戦場は柵の中へ移った。ローパーはさらにセヴンを触手で引きずり込むが、彼は足が遅いので逆にそれをもっけの幸いとローパーに肉薄し、反撃パワーで滅多斬りにした。
指導者だったドライダーとドラウが斃れると残った者たちは士気が崩壊して逃げ出したので、PCは燃えそうなものを見張り小屋に詰め込んで火をかけ、別の道に引っ込んで休息を取った。その後あらためて調べるとウォーフォージドが教えた場所は、ドラウたちが“危険”、“引き返せ”と立て札をして柵で封印している通路の先にあるらしいと判明したため、冒険者たちは柵を乗り越えて進むのだった。
より深く入り組んだ通路も熟練の冒険者にとってはものの数ではなく、あっけなく“風の王”の宝物庫に到着した。しかし、百余年の間ドラウたちすら近寄らなかった建造物からは、非常にまがまがしい雰囲気が漂っている。
中に入ると、死者とデーモンからなる軍勢がパーティを待ち受けていた。既に肉は腐れ骨も風化した亡者すら、その妄執をまとわりつかせて生者を苦しめる。肉がまだ残っているゾンビも腐敗を伝染させる能力を持っていたが、幸いパーティはこれに感染することはなく、墓所の王を倒すことでアンデッドたちを一掃し、デーモンも始末することに成功した。
そしてついに、冒険者は宝物庫にたどり着いた。四方を幔幕で囲まれた祭壇の上には無造作に財宝が積み上げられ、それにイドがふらふらと引き寄せられて頬ずりを始める。
「あからさまに罠なんだけど」
「もちろん罠DEATHゥ」
しかし財宝の誘惑に引っかかったのはイドだけで、エスペランザは幔幕が幻影だと見破り、グスタフはその後ろに何者かが潜んでいることを察知。忍び寄ってみると、柱の影から竜がこちらを窺っていた。
竜は咆哮と炎、噛みつきでイドを欠いたパーティに攻めかかるが、セヴンからTakedown Strikeで引き倒されたところに追い討ちを受け、逃げ出そうとしたところをエスペランザのBigby's Icy Graspに握り潰されてこと切れた。
かくしてパーティは財宝を手に入れ、一日休んだところで帰還の途についた。しかし、先日壊滅させたドラウの前哨地で彼らは再び戦いに巻き込まれるのだった。
今回は『Book of Vile Darkness』が出たので嬉々として色々使ったですぅ。敵のデータも嫌味でいいけど、特殊地形が効果も適度にいやらしく演出もいいものが揃っていて、こちらもよいですぅ。
そして話は次回へ続くですぅ。
2012年07月09日 「死んだ有名人は、事実上面白い」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『ゲームという鉱山で働く(Working in the Game Mine)』
伝説と伝承
公開プレイテストの作業で楽しいところのひとつに、プレイヤーからのフィードバックによって私たちが影響を受け、想定しているダンジョン・マスター、プレイヤー、そしてゲームへの見解を再考させられるところがある。公開テスト最大の目標として、大雑把な検査やゲームがきちんと機能することの確認以上に、R&Dチームと受け取り手のつながりを再構築することがある。みんながD&Dに何を求めているか、みんながどんなゲームをプレイしているか、そして彼らはどんなゲームが好きなのかが私たちにとって重要なことだ。
D&Dの雰囲気はその内容や機能と同じくらい重要なものだ。私たちが話題を選ぶ時、R&Dがその見出しを書くことは、多くの場合私たちが実際に話す内容よりも重要だ。私たちが新たなデーモン・ロードを紹介することを想像してほしい――彼の名前をボブとする。私たちはボブを紹介するのに2つのやり方を取れるが、私たちが彼をどう紹介するかに関わらず、ボブがデザインにおいて以下の仮定を通ったと仮定しよう。
- 私たちは確立しているD&Dの伝承と調和し、興味を向けさせる背景の物語を彼に設定する。
- 私たちはバランスが保たれて明確なように、彼のメカニカル面での能力をデザインする。
- 私たちは彼を強力なやつに仕立て、彼はもっとも高レベルのキャラクターにとっても困難な挑戦となる。
では、私たちは彼が最初にお披露目されるアドベンチャーで彼について語るための2つの異なる方法を考えて行こう。
アドベンチャーで、私たちはボブの背景を簡潔に語って紹介する。アドベンチャーで、彼は休火山の墓所に囚われている。ボブには旋風とエア・エレメンタルを招来する能力があり、アドベンチャーの文章では戦闘の間、彼はキャラクターを火山が活性化して墓所に流れる溶岩へ突き落とそうとすると書かれている。
ここが分岐点だ。1つめの方法では、私たちはボブの旋風を招来する能力を彼がかつて強力な風の元素大公を殺し、彼の力を簒奪して風の元素界に領地を持っていたからだと説明する。別の方法では、私たちは君にボブは操り手で、そのために彼は戦闘で周りの者を動かせる能力があると話す。
君の見解次第で、どちらの方法でも、あるいは両方の方法に多くの意味を持たせることができる。本来、私たちは物語と基礎的な仕組みのすべてを投入する。たとえ私たちがボブが操り手であると話さなくても、彼の能力をデザインしたR&Dの人員は、ボブにキャラクターへの脅威となり何かの意味を象徴する、役立つ強力なものが必要だと知っている。この小技はDMがゲームを考える時に何が必要かに注目している。
多くのDMはさまざまなものを物語の層に置くことを好む。彼らはゲームの構成要素――仕組みとして説明されたり枠組みとして存在するが、ゲームの世界に姿を見せないもの――が目に見えることを好まない。彼らは空想の場所として世界と触れ合いたいので、ルールよりも設定から浮かび上がる要素によって彼らは仕事を進めて行きたがっている。悪の公爵はキャラクターを待ち伏せるために20人のオークを差し向けるのは20人がパーティへの挑戦として遭遇構築ガイドラインで“正しい”数だからではなく、彼の手勢が20人であるからだ。キャラクターが充分に強力なら、彼らは床をオークで埋め尽くすかもしれない。彼らがより弱ければ、彼らは生き残るために逃げるか降伏しなければならないかもしれない。
また一方で、多くのDMは仕組みから始めることも好む。彼らは数を見てデザインの意図を前に持ってくることを望む。公爵が適切な数のオークでパーティを待ち伏せさせれば、そこにはDMが戦わせたい“正しい”数がやってくる。キャラクターは降伏するだろうか?彼らは20人のオークだ。キャラクターはオークを蹂躙して公爵の隠れ家を示す地図を彼らの持ち物から見つけるだろうか?彼らは6人のオークだ。
本質的にはどちらのやり方もあまりうまくない。私は両種のDMとプレイして楽しんできたし、私はまた両方の方法を使って私の人生で異なる時間にD&Dを走らせてきた。ここが大きな問題だ。R&Dはどうやってゲームを提示する?両種のDMは異なる方法を好む。どちらかが他に勝たなければならないのだろうか?
私は私たちがやり方とその理由を心にとめて忘れない限り、どちらの方法も使うことができると信じている。『モンスター・マニュアル』のような本の記述は完全に前者の方法が使われるかもしれない。こうした項目はすべてが物語とD&Dの世界に存在する要素を彩るために存在する。モンスターに役割はなく、彼らは背景となる物語と文化を持っている。
一方、私たちの遭遇構築ガイドラインだと私たちはより技術的な心を持ってDMに話す必要がある。私たちは遭遇のバランスを取る方法について非常に明確な助言をする。職人肌のDMは素晴らしく的確な遭遇を作成する。物語派のDMはランダム遭遇表をロールするかこれはと思ったクリーチャーを選んでいく。中道のDMは私たちが提供した道具の中から彼や彼女が望むものを使い、表をロールするか、中身を割り当てるか、あるいは戦闘を形作るための時間を取る。
言い換えれば、私たちがモンスターをゲームの仕組みの中にある要素として語る時、モンスターには役割がある。モンスターをD&Dというゲームの宇宙に存在するクリーチャーとして語る時、モンスターには背景となる物語がある。モンスターは両方を持つが、私たちはそれぞれを適切な文脈で語る。DMやプレイヤーとして、君がどうゲームを見るか決めるのは君次第だ。君はレベルと役割で並べられたモンスター表か、シリックのクレリックと同盟する貪欲で愚かな鉄砲玉くらいには使えるクリーチャーを探して本をめくる、どちらから始める?キャラクターがアメディオ・ジャングルへ向かった時、君がまず想起するのはそこの典型的気候と地形的要素によるクリーチャーの種類だろうか、あるいは君がイエティのメカニクスが好きならばイエティを密林の野蛮人という演出にすることだろうか?私たちが適切な仕事をしているなら、君がどの方法を好むかは重要ではない。ゲームはどちらかが間違っていると思わせることなく、両方に手を差し伸べる。
結局、鍵となるのはゲーマがどうD&Dに触れてどうそれを使うかをR&Dが理解することだ。私たちが君たちの視座を理解すれば、私たちはそれらが喧嘩しないようにそれらを収めるゲームを構築することができる。この理解することこそがD&D Nextへの道の根本である。
マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ・アンド・デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。
2012年07月10日 悲しい“どこにもある場所”であり、住民はいつも7=イレヴンの職場から解雇され、子供たちはドラッグをやり地元の湖で最新の流行ダンスにひたり、同時に、大人になって生活保護小切手をだましとることを夢見ながら、お互いの肌に湖の水による化学火傷がないかどうか調べる。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 2012年01月29日『パトラッシュ、とても眠いんだ……』
エスペランザ(エラドリンのメイジ/ブララニ・ウィンターソウル15):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。
グスタフ・トラップ(ヒューマンのシーフ/パラゴン・シーフ15):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。
セヴン(ドワーフのウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン15):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。
イド(ハーフエルフのパラディン/クエスティング・ナイト15):迷える騎士。ブレーキにならないcompanion。主人公。
地底の宝物庫からの帰途、冒険者たちが目撃したのは二日前に壊滅させたドラウの見張り所で繰り広げられる戦いの光景だった。
片方はアンバー・ハルクを従えたデロ、もう片方はドラウ。厄介者同士潰しあうなら実に結構な話じゃないかとパーティは見てみぬふりをしようとするが、ドラウをあらかた片付けたデロは地上からの来訪者にも向かってきた。
生き残ったドラウも援護しながらデロを片付けると、生き残りのドラウが息も絶え絶えに二日前何者かの襲撃で警備部隊が壊滅させられ手薄になり、その隙を狙っていたのか近頃地下の住民たちを悩ますイリシッドの下僕たちに襲撃されたと語った。彼は宝石を取り出して冒険者たちに復仇を願ったため、二日前に襲撃した者の正体がばれる前にイリシッドを殺し、すべてをなすりつけることにした冒険者はその依頼を承諾した。
イリシッドたちは隠しもせず拠点の周辺をうろついているために道を辿るのは簡単だったが、その代わり下僕を使って警備を固めている。グスタフの先行調査やエスペランザの占いでこれらをかわし、彼らが拠点を構える空洞の天井近くに出たパーティは、下の様子を眺めた。
空洞の底にはいくつかの建物が建っており、洞穴の壁をイリシッドに支配された奴隷たちが採掘している。何かの鉱脈を探しているのかもしれない。そして彼らの見張りをしているのだろうか、デロを従えたイリシッドが常に巡回している。
敵の支配を得意とするイリシッドを相手に正面から戦うのは危険だと判断したパーティは一計を案じた。彼らの首領を襲撃して殺し、あわよくば目的自体を破壊することで彼らがここで活動する意味をなくさせるのだ。これなら殺すイリシッドは多くて数体、しかも不意討ちもできる。
彼らは坑道を探して逆走し、イリシッドが住んでいる施設へ突入するための道を探した。すると、首領が襲撃された時に使う緊急脱出用の通路を見つけ出したため、それを辿って執務室の真裏へやって来た。
「扉を開けたら首領を弾く」
「こんにちは。そしてさよならだ!」
不意討ちラウンドと1ラウンド目の攻撃をすべて浴び、鉱山で採掘していたミスラルの収益報告に目を通していたイリシッドは護衛のウォール・ゴーレムを起動させることはできたものの、なすすべもなく死んだ。
ゴーレムや支配していた奴隷たちもイリシッドの死で呆然自失となり戦闘は終わったものの、部屋の奥に問題が残っていた。空間が裂けてこの宇宙ではない別の何かが浸食している世界の割れ目。イリシッドが求めていたのはこっちの方だったのだろうと察したエスペランザは危険を冒して歪みの中へ入り、これを閉じた。
そしてパーティは目についたありったけの財貨を袋に詰め込むと、迫る足音を背にエスペランザがストーンラックで通路を潰し、そのまま先ほどの天井裏まで逃げおおせた。
ふたたび下をうかがうと、ところどころで火の手が上がっている。ドラウたちの復讐部隊が襲撃を行ない、支配から逃れた奴隷たちも叛乱を起こしたようだ。
これで自分たちが追及されることもなくなっただろうと感じた冒険者たちは、街への帰途を急ぐのだった。
今回は道中のイリシッドと戦いたくなさそうなプレイヤの提案をうけ、替わりに襲撃ルートの確保と脱出の技能チャレンジを即興ででっち上げ、首領の頭を弾いて逃げ出してましたぁ。
代案が出たらとりあえず技能チャレンジを設定してプレイする感覚がつかめてきたのか、短時間でもとても満足度が高いセッションになったですぅ。
2012年07月11日 エドワードが隠遁して、あの部屋で辛辣なことを言っているあいだに、エドワード以外の人類は、せっせと別なものを作っていたのだ――言葉ではなく、関係からできた、巨大な都市だ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『補遺d12:アンダーダークの旅人(Appendix d12: Underdark Travelers)』
今年行なわれている『アンダーダークの隆盛(Rise of the Underdark)』キャンペーンでは、ドラウの地上世界への侵略を――進行中のD&Dエンカウンターズ・シーズンおよびD&D Lair Assaultでプレイすることができる。それに加え、近日発売される『Menzoberranzan: City of Intrigue』により、君のキャンペーンはすぐにでもアンダーダークへ危険な旅へ出ることができるだろう。
DMが彼らの地下での冒険に詳しい描写を加えるために、(『The Dungeon Dozen』の)ジェイソン・ショルティスは以下の表――第1版のDMGの補遺、表、およびランダム遭遇の魂を継ぐ――を準備してくれた!
アンダーダークの旅人
今週の表で、私たちは君のプレイヤーが出逢うかもしれない地下の四つ辻での遭遇を見てみよう……。
d12
- 横領の罪によって逃亡中の、禁欲的なモンクに身をやつした高貴なドラウ。
- ディープ・ノームの戦士と従者。実は(現在は魅了されているか変装している)秘密の人質で、既知の地上世界にある小貴族である。
- マインド・フレイヤーとサイオニックの鎖でところどころを麻痺させられた人物。これは流行に敏感なイリシッドの間で大流行している装飾だ。
- 制御不能になった実験的な変身呪文に悩んでいるウィザード。1時間経つとまたランダムで変身してしまう。
- 巨大な飛べないハエを連れたドライダーのカウボーイ。
- 不可視の行列。ひっきりなしに泣き叫ぶ死者の葬列は失われた文明の遺跡を目指している(簡単に追跡できるが、たどり着くには1d12×10週間必要となる)。
- ドラウの秘教宗派の一団。頭からつま先まで黒づくめで、呪文にとらえられた地上の住民(彼らもローブに隠れている)を生贄にするため秘密の寺院へ向かっている。
- 必死になって仕事を探すドワーフの軽業と手妻の旅芸人一座。
- 地上からやってきた不遜な若い吸血鬼。永久の黄昏を楽しみ野生に還る準備は万端だ。
- 蜘蛛の女王の下で悪徳を重ねた上、完全武装した弟子たちによる勢いのある集団を従えた自称救世主のドラウ。しばしば布教のための演説を行なうために立ち止まる。
- 地上のソーサラーへ届けるための拘束されたアボミネーションを連れた本職のモンスター調教師と鍛え抜かれた弟子。
- やっかいなローパーを見敵必殺するために派遣されたダーク・エルフのみなごろし部隊。
著者について
ジェイソン・ショルティスは昼間は社会福祉事業で働くが、夕方には自由となって文章や絵を描いたり、ロック・バンドで演奏している。D&Dは彼の心で特別な地位にある。彼のほぼ毎日更新されるブログ、『The Dungeon Dozen』にはもっぱら12面体ダイス用のランダム表が書かれている。
2012年07月12日 本人の言うとおりなんだ――みんな、自分の居場所に閉じこめられて――この恐ろしく退屈な階梯に凍りついている。 [長年日記] 編集
§ [Ludus] Ultima Forever公式サイトオープン
おかえり、アバタール!
西洋一の名作RPGは『Ultima Forever』となる――『ウルティマ』シリーズはBioWareの新たなクロスプラットフォームのアクションRPGとして――愛を込められて復活する。レディ・ブリティッシュからの任務を受け取り、ブリタニアの地を護れ。ファイターかメイジを選びひとりで、あるいは友達と旅をし、徳をよみがえらせアバタールとなるのだ!
BioWareからウルティマのタイトルがついた新作、『Ultima Forever Quest of the Avatar』が発表されたですぅ。クロスプラットフォームのアクションRPGだということくらいしか情報は出てないけど、EAのアカウントがあればベータのサインアップができるですぅ。
それにしてもロード・ブリティッシュがレディ・ブリティッシュになったことには驚いたですぅ。
2012年07月13日 日本では消えることは許されない。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 2012年02月19日『「ネームレス、お前の価値(時給)はここで決まる!!」と誰かが言った』
エスペランザ(エラドリンのメイジ/ブララニ・ウィンターソウル16):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。
グスタフ・トラップ(ヒューマンのシーフ/パラゴン・シーフ16):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。
セヴン(ドワーフのウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン16):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。
“名無し”(ウォーフォージドのバーサーカー/ウォーフォージド・ジャガーノート16):“風の王”ことパズズから切り離されていた権能が自我を持った存在。ルーンの力を反転させると暴走する。
パーティがカーレリアの街へ帰還して五日。人生を見つめなおす旅へ出ることにしたイドに替わってブレットから調整されたウォーフォージドの“名無し”が加入したパーティに、カッパーフィールドが依頼を持ってきた。事によっては高度な問題に発展しかねないが、彼らくらいしか頼ることのできる実力者もいない。そういう事件らしい。
冒険者が密かに通されたのはこの街を経済面で牛耳る交易商たちがさまざまな用途のために使っている屋敷が立ち並ぶ通りにある一軒の建物だった。
そこに待っていたのは、少女の外見をしたエラドリン。かつてこの街の評議会で議長を務めていたエラドリンのアルドミルと、いかにも一癖ありそうな仮面を被り外套で総身を覆った男が左右を固めているあたりで、冒険者は面倒事に巻き込まれたのを察した。
アルドミルに促された仮面の男は、地上の住民が見慣れていない面体を晒すのは忍びないと非礼を詫びた上で事情を語った。
彼はカーレリアが百年ほど前から続けている地上から遥か彼方、星の海との交易に携わる者で、今回の依頼人であるエラドリンを星の海で拾った。事情を訊くと、巨人に襲われたエラドリンの住む天の島へ助けを呼ぶため、なんとかひとり脱出したのだという。
「私らは地元の諍いに極力関わらないのが掟でして」
仮面の男が所属している商会は星の海狭しと手を広げて商売をしている。だからこそ、現場が下手に動いて他の星域では上得意かもしれない勢力とぶつかる事は避けねばならないら。
「ですが私も情がないわけじゃないし、この星には思い出がある」
どこか遠い目をするそぶりで仮面の男が語り、報酬を提示する。悪い額ではなかったため、冒険者たちは二日ほど馬に揺られ、依頼人とともにエルフたちが故郷である天の島への祈りを捧げる天光の森へと向かった。
目的は天の島へと祈りを捧げるための塚である。かつてエラドリンたちがこの星へ入植した時に使われた天の島と地上を繋ぐ“門”がそこにはあるのだ。エスペランザがそらで秘術を組み立て、“門”を正しく設定すると、地面から光の奔流が迸った。
光が治まった時、パーティが立っていたのは半球状の広間だった。“門”のある中心部は周囲よりも少しくぼんでおり、上ではフォモーリアンやキュクロプスが彼らを見下ろしていた。範囲攻撃を避けるためにエスペランザがフェイ・ステップで外に出て“名無し”がそれを護りつつ、グスタフとセヴンの二人は“門”の中から弓とダイレクト・ザ・ストライクで敵を倒していった。
エスペランザのディスペル・マジックに一度は阻止されるがフォモーリアンの秘術技師は島の中枢炉から“門”へアルコンを呼び出して増援とし、“門”にとどまったままの冒険者を叩きもしたが、その堅さですり潰しあいを制したのは冒険者の側だった。
“門”の部屋を突破したパーティは依頼人の案内を受け、生き残りが逃げ込んだ区画を目指す。その途中で彼らは木の根が変成した怪物から追われる娘を見つけるが、その娘はハグが変身したものだとも見破ったため、助けるそぶりを見せながら先制攻撃を決め、怪物とハグを空気が外部に排出されている壁の壊れた部分に向かって突き飛ばし、彼らがもがいている間にエラドリンたちの居住区へ滑り込んだ。
生き残ったエラドリンたちに歓迎されながら長老から事情を聞くと、彼は今回この天の島を襲った勢力におよその目星をつけていた。
それはかつて、この惑星に到達した第一世代エラドリンのひとり。自分たちより劣った地上文明を支配することで星に君臨しようとした派閥の盟主、“黒耀王”。だが、彼は未発達の地上文明をエラドリン文明に染めることで新しい可能性の発現を摘むことを嫌った多数派に破れ、放逐された。
その彼が幾星霜の時を経て、フォモーリアンなど祝福されざる者どもを引き連れて帰ってきたのだ。
「何でまたそこまでわかる」
「御座船を見れば一目でわかる。あんなものを使うのは宇宙でもかの君くらいのものだ」
ともかく、現在天の島はフォモーリアンの一部にほぼ占拠されているが、彼らを倒したところで外に停泊している艦隊から増援が来るだけである。すべてを相手にせず艦隊を撤退させるのが一番望ましい。
エラドリンが外壁の修繕や小規模な交易に使っている船もあるが、冒険者たちはフォモーリアンの軍船を一隻奪って敵艦隊に偽装して潜入する作戦で行くことにした。
パーティは通気口経由で港へ潜入すると、そこにはフォモーリアンの乗ってきた船が繋がれていた。もちろん、警備もそれなりになされている。
「シャッター潜って封鎖すれば遭遇終了してもいいDEATHゥ」
「やってみる価値はありますぜ」
最初はグスタフにグレーター・インヴィジビリティをかけるなど、隠密行動での突破を狙ったが、警備隊の中にいたボダック(『The Shadowfell』所収のBodak Death Drinker)が動けない状態にする攻撃を持っていることが判明すると、パーティの態度は豹変した。
「面倒だ、こうなりゃ皆殺しだ」
「生かして帰すな。顔を見られてる」
ボダックから何人かが瀕死に追い込まれるものの、開き直った大立ち回りでパーティは港の警備を突破し、船を乗っ取った。ここまではよかった。
だが、船は乗っ取ったはよいものの、星の海を行く船をこれまで動かした経験のある物はもちろんひとりとしていない。エスペランザが経験と勘を頼りに操作盤を叩き、グスタフが導線を切って火花で炉を駆動状態に持っていき、セヴンと“名無し”は腕力で強引に発射台から滑り出す勢いをつけさせる。
船はドワーフとウォーフォージドに尻を叩かれると軌条との間に火花を散らし、じりじりと前進した。そこへ充分暖まった炉が噴出させる力が加わる。
外で押し出そうとしていたふたりが危うく取り残されそうになるが、船は見事星の海へと滑り出した。そして、彼らはそこで見ることになる。
「ああ、ありゃあ確かに見ればわかる」
外界で彼らが見たのは、黄金に輝く四角錘という非常に独創的な形と色をした“黒耀王”の御座船と、その周囲に展開するフォモーリアンの艦隊だった。だが、まずは戦いよりも彼らから見つからぬよう船を反対側に停め、休息を取るほうが冒険者にとっては重要なことだった。
いつもの悪い病気が出た迷光仕掛け篇ですぅ。3.5eのキャンペーンでは星間商人でもあり工作員でもあるイリシッドのニンジャたちがPCと和解してカーレリアの近くにある元PCが領主を務める砦で交易を始めたけど、彼らのひとりかもしれない人物が今回は依頼人としてゲスト出演しましたぁ。
エルフやエラドリンが舞台となっている星へ蒔種船で入植したという設定も久々に出して非常にアレな顔をされ満足ですぅ。
2012年07月14日 汗が吹き出し、詩人リルケの言葉が浮かんできた――われわれはみんな、一通の手紙を内にもって生まれ、自分自身に忠実である場合だけ、死ぬ前にそれを読ませてもらえる、という考え方だ。 [長年日記] 編集
2012年07月15日 世界の終わりというのは、ダグのベッドタイム・ストーリーに繰り返し出てくるモチーフで、終末論的な“君がその場にいたら”口調で、核攻撃されたらどうなるかを、愛情を込めて詳細に、無表情な声で語る。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 宇宙空間の特徴
真空:宇宙空間に生身で放り出されたキャラクターは、3分毎に難易度20の〈持久力〉判定を行なう。2回目以降、この判定の難易度は5づつ上昇する。判定が失敗だった場合、必ず1回分の回復力を失って再ロールを行なう。この再ロールは成功するまで行なう。これによって失った回復力は再び呼吸ができる環境で大休憩を取るまで回復できない。
この判定に失敗したキャラクターは、そのキャラクター・レベルに等しいダメージを受ける。ヒット・ポイント0以下でこのダメージを3回受けた場合、そのキャラクターは即座に死亡する。
戦闘や技能チャレンジなどラウンド単位で処理を行なっている場合、そのキャラクターのターン終了時に難易度20の〈持久力〉判定を行なう。2回目以降、この判定の難易度は5づつ上昇する。判定が失敗だった場合、そのキャラクターはキャラクター・レベルに等しいダメージを受ける。ヒット・ポイント0以下でこのダメージを3回受けた場合、そのキャラクターは即座に死亡する。
移動速度:宇宙空間でキャラクターはその移動速度に等しい飛行移動速度を得る。
強制移動:宇宙空間での押しやり、引き寄せ、あるいは横すべりで移動させるマスは+2され、必ず移動させられる最大のマス数まで移動させねばならない。
加重:宇宙空間でキャラクターの通常加重、重加重、最大押し引き加重は10倍となる。
少々思うところがあり宇宙空間で活動する時のために作っておいた環境ルールですぅ。
2012年07月16日 『何でお前はいつもそう否定的なんだ。何を見ても、気の滅入るものを見つけるんだから』 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『5分の勤務時間(The Five-Minute Workday)』
伝説と伝承
多くの人がD&D Nextに伝統的なD&Dの魔法を導入することで――術者は毎日呪文を準備し、彼らがそれらを発動する時に消費し、そして彼らは再び休憩した後に呪文を得る――グループが1回の戦闘を終わらせるとすぐにキャンプを始める心配をしている。この現象は冒険者が休憩の前に5分程度をダンジョンで過ごすため。しばしば5分の勤務時間と呼ばれている。
私たちはグループが1回戦った後ですぐに休まなければならないと感じてほしくない。君がダンジョンを探検しているなら、私たちは君たちが毎日手応えのある進展を感じることを確実なものとしたい。私たちはまた、ヒット・ポイントの多大な損失も同じような意味を果たすが、これらのクラスが呪文を回復するために休憩しがちなのがこの圧力の主因だとも気づいている。ファイターとローグの継戦能力とウィザードとクレリックの呪文消費の間でゲーム・バランスを整えるのは、ローグとファイターが輝けるだけの長さを“勤務時間”に持たせるためにも重要なことである。
私たちは第4版、さらにD&D Nextでモンスター、キャラクター、呪文、そして回復の間に関わっている基本的な数値に細かく注意を払っている。遭遇より、今の私たちは冒険の一日に焦点を当てている。それは典型的な冒険の間、私たちは平均的なパーティがXレベルに値するモンスターをYラウンドの戦闘で撃破すると想定することだ。言い換えれば、私たちは冒険にはある程度の戦闘が含まれていることを想定し、その量はラウンド数と敵の数によって定義されているといえる。
明らかに数値は三本柱のひとつだけ、戦闘にその名を刻み込んでいる。私たちはここでヒット・ポイントを経過を綴る仕組みとして使っている。他の2本柱である交流と探索は、通常なら君にヒット・ポイントを失わせないが、戦闘ではそれぞれのクラスが貢献するためにも私たちは呪文と魔法的ではない能力を直接比較することができる。たとえば、ローグの隠密行動能力はインヴィジビリティの呪文と互角でなくてはならない。呪文は君を有利にするが、適切な背景やクラスの能力でもそうなることはできる。さらに、キャラクターは常に何かを試みるために能力値判定を行なうことができる。君はオプションなしだと動けないわけではない。
私たちは罠のたぐいをモンスターと同じ戦場で評価することができる。交流と探索に対する経験点による報酬は機械的な定義より、ダンジョン・マスターの手に委ねられるべき領域だが、いずれも最終的な経験点システムには完全なガイドラインを掲載する。
これは5分の勤務時間で何を意味するだろうか?DMの手にはグループが休憩する前に何ラウンド戦闘するのが望ましいかという非常に明確なガイドラインがある。グループがより短い時間を戦いに費やせば、術者はより強くなる。キャラクターがより長い時間を戦いに費やせば、ファイターとローグがより強くなる。問題の解決法はDMの手にあり、私たちが提供する道具とガイドラインを使うことができる上、さらに戦闘の長さを調べればそれに応じた冒険に調整できる。
術者と他のキャラクターの違いの例だが、君が冒険の間に戦うはずの怪物すべてが徒党を組んでいるなら、ウィザードはファイターと比較してはるかに強力だ。ファイアボールはほぼすべての敵に損害を与え、ウェブは彼らすべてを捕縛する。一方、ファイターとローグは一度に何体かの敵しか相手にできない。君が戦闘を圧縮した場合、ウィザードとクレリックの戦闘用呪文はより強力になる。
比較するため、パーティが1度に1体のモンスターと戦ったらどうなるか想像してほしい。ファイアボールのようなものが1体の敵に炸裂するだけで面制圧が効果的でないなら、ウィザードは呪文を発動しないことを選ぶかもしれない。一方のファイターは、パーティの敵に何度も斬りつけることができ、1体づつ彼らを倒していける。
R&Dの出した両極端な見解は重要なもので、この2点の間のすべてがDMのためにあるオプションだ。デザイナの仕事はプレイの方法を君に話すことではなく、君が望むD&Dにあてはまるゲームを運営する能力を君に与えることだ。5分の勤務時間が君を悩ますなら、君はゲームにそれが与える影響を調査するための道具を持っていて、それを修正するための措置を取ることができる。君が気にしないか、これまでその問題を認識していなかったのなら、私たちは君のために何も作らない。
マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ・アンド・デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。
2012年07月17日 しかし人生は続いていく。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 伝説級シナリオ紹介
4eの展開開始直後から発売された九部作シナリオのうち、伝説級シナリオの簡単な紹介ですぅ。どれも数回のセッションでクリアすることを前提に設計されているのでひとつあればかなり長く遊べると思えるですぅ。
敵のデータなどは今見れば陳腐化しているところも多いので『Monster Vault』などで適宜差し替えるといいですぅ。
『King of the Trollhaunt Warrens』[Amazon.com]
いにしえのトロール王国を再建すべく古代フォモーリアンの魔法で武装し、トロールの族長、スカルマド(Skalmad)に率いられ月への階(Moonstair)の町へ迫る怪物の軍勢との戦いを描いた11~13レベル向けシナリオですぅ。
広大なトロールヶ原(Trollhaunt)を駆け巡る野外の冒険からダンジョンへの突入まで、物理的に広がった舞台を楽しむことができますぅ。
『Demon Queen's Enclave』[Amazon.com]
『King of the Trollhaunt Warrens』とはがらりと雰囲気が変わり、“魔女王領(Demon Queen's Enclave)”のふたつ名で呼ばれるアンダーダークの城塞、フェルヴォルール(Phaervorul)で発生したドラウの抗争を端緒に、より大きな陰謀に巻き込まれていく14~17レベル向けシナリオですぅ。
アクの強いNPC(おおむね悪人)や勢力間のパワーゲームといった要素が強めで、DnDならではの魅力のひとつでもある多元宇宙をまたにかけた宇宙的闘争の片鱗が紹介されているですぅ。
『Assault on Nightwyrm Fortress』[Amazon.com]
ヴァイステア(Vaester)の町で英雄を死から復活させる試みが失敗した現場に居合わせた冒険者は、レイヴン・クィーンの神託を告げる謎めいたシャダーカイの女性から宇宙の法則が乱れていることを告げられ、原因を断つためにシャドウフェルへ導かれるという18~21レベル向けシナリオですぅ。
基本はダンジョンを踏破するタイプのシナリオだけど、とにかくベタ、ベタ、ベタベタな様式美展開になっていて非常にわかりやすいのがいいシナリオですぅ。
2012年07月18日 『おいおい、こいつは家なんかじゃない――こいつは姿を変えたモールだ』 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][Liber] ジェレミィ・クローフォード、スティーヴン・シューバート、マット・サーネット『モルデンカイネンの魔法大百貨』
『モルデンカイネンの魔法大百貨』はさまざまな魔法のアイテムに加え、新しい種類の防具や武器なども収録したアイテムについてのサプリメントですぅ。アイテムのサプリメントは既に『冒険者の宝物庫』、『冒険者の宝物庫II』があるけど、『モルデンカイネンの魔法大百貨』もほぼすべてが新規データで、しかも『ルールズ・コンペンディウム』でレアリティなどのルールが追加されてアップデートされた魔法のアイテムのルールにも対応してますぅ。
もちろん、アップデートされたルールを導入していない既存環境にもそのまま導入できるですぅ。
新しい装備と魔法のアイテム
新しい種類の武器はブロードソード、スパイクド・チェインなど『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』や『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』に収録しきれなかったものが収録されていて、防具だとスタデッド・レザーやスプリント・メイルなどなつかしの装備が帰ってきているですぅ。
術者が使う装具も『プレイヤーズ・ハンドブックIII』で導入された、特技を修得することでちょっとした力を引き出すことができる上級装具が紹介されているですぅ。
これら新装備の項では、それらを活用するための特技も同時に紹介されていて、読みながらそれをどうPCに組み込むかの想像を広げやすくなっているのがこの本のいいところですぅ。
収録されている魔法のアイテムは264種と『冒険者の宝物庫』の894種、『冒険者の宝物庫II』の632種から見ると見劣りしているかもしれないけど、アイテムがひとつひとつその来歴を説明されていたり、レアリティの導入によって“壊れた”性能のアイテムがちりばめられているので、読んだりデータをチェックする楽しみは格段に大きくなっているですぅ。
収録アイテムの中にはフレイム・タン、フロスト・ブランド、ブーツ・オヴ・エルヴンカインド、リング・オヴ・Xレイ・ヴィジョンなどもあり、昔からプレイしていたり復帰した人ならニヤリとできることうけあいですぅ。
魔法のアイテムについてもうひとつ補足しておくと、矢弾や消費型アイテム(ポーション、エリクサーなど)も豊富に掲載されてるので、買い物に頭を悩ます楽しみを低レベルのうちから愉しめる助けになるのがこの本の偉いところですぅ。
DM向け要素
この本にはプレイヤのためだけではなく、DMにとって有用なアーティファクトとアイテムの呪い、物語アイテムも紹介されてますぅ。
『ダンジョン・マスターズ・ガイド』で紹介されている、彼らに好ましく思われる行動を取ったら信頼度が上がって能力が上がる自我を持った恋愛シミュレーションゲームっぽいアイテムがアーティファクトで、そのものがキャンペーンの核となりうるキャラクタ性を持っているですぅ。
アイテムの呪いは旧版にあった呪われたアイテムについてのルールで、条件が成立すると装備者が不利になる特性がアイテムに追加されるですぅ。呪いが発動したらその遭遇では経験点を追加することが推奨されているのは、困難に直面してもきちんと報いがある今時のデザインになっていて好感が持てたですぅ。
この呪いのルールはPCに課される戒律やゲッシュにも応用できそうですぅ。
物語アイテムはデーモンを封印する小箱、存在を支配する真名など、どちらかというと今までストーリィ上のギミックとして使われてきたものをアイテムの一種として再定義して、色々な種類のそれらを紹介しているですぅ。
そして……
武器や防具だけを紹介しているのではなく、防寒具や変装道具、そしてお馴染み10フィートの棒など細々とした冒険道具もきちんと使った時のデータや、DMへの運用を助言するコラムつきで紹介されているのは実にしっかりとしているですぅ。
この本ではまだまだ、Classicの『Companion Set』や3eの『Stronghold Builder's Guide』一部に大人気だった砦や塔など建造物の購入ルール、『冒険者の宝物庫』にも収録されていたPCが特技を修得して作成できるようになる錬金術アイテム、松明持ちや書記官から同行キャラクタのデータを持つ傭兵までさまざまな部下を抱えられるようになる雇い人ルールなど、これまでDnDに存在したアイテム関係の主だったルールを細かく拾って4eというシステムの上で花開かせているですぅ。
この本はアイテム関係での最初の一冊どころか、『プレイヤーズ・ハンドブック』や『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』や『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』の次に何を買えばいいのかと訊ねられればこれだと即答できるくらいよくできたサプリメントなので、買って損は無いですぅ。
2012年07月19日 ヨーロッパで半年すごして帰ってきた友人たちの顔に見た、野放図な安堵や意気消沈したケタケタ笑いと同種なのだ――そういう顔は、大型車やふわふわの白いタオルやカリフォルニア物産にもう一度ひたりきれる安堵感を見せながら、また、ヨーロッパ巡礼にほぼつきものになっている「このあと自分の人生をどうしたらいいかわかんない」という、半ば客観的な鬱状態に必然的におちいりかけている顔でもある。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 神話級シナリオ紹介
今回は4eの展開開始直後から発売された九部作シナリオのうち、神話級シナリオの簡単な紹介ですぅ。どれも数回のセッションでクリアすることを前提に設計されているから、ひとつあればかなり長く遊べると思えるですぅ。
敵のデータなどはやはり陳腐化していたり、どれが悪いと特に名指しはしないけど弱い方向に残念すぎるものもぽつぽつあるので『Monster Vault』などで適宜差し替えるのがいいと感じたですぅ。
『Death's Reach』
レイヴン・クイーンの幻視に導かれた神話級の英雄たちがシャドウフェルへ向かうと、そこは既に戦場だったという導入で、PCはついに本格的な動きを見せてくる悪の軍勢や暁の戦から続く超越者たちの因縁に立ち向かっていくシナリオで、21~23レベル向けとなっているですぅ。
冒険する次元界の苛酷な環境が強調されていたり、かつて宇宙に破滅をもたらそうとした存在が次々襲い掛かってくる派手な展開は神話級ならではですぅ。
『Kingdom of the Ghouls』
レイヴン・クイーンから導かれてきた冒険も、ついにシギルを越えてアビスへ舞台を移し、英雄たちはタナトスに位置する“白の王国(The White Kingdom)”へ突入することになる、24~26レベル向けシナリオですぅ。
このシナリオの神話っぷりは異次元の国ひとつを相手取って世界対俺ができる点に尽きるけど、この神話級三部作に限らず九部作シナリオは、それぞれ楽しみ方を微妙にずらして、色々な要素を紹介しているように見えるですぅ。
『Prince of Undeath』
英雄たちを導いてきた声は喪われつつあり、“彼”はその大計を達成しようとしていたという切迫した状況で始まるこの九部作最後のシナリオは、27~30レベル向けですぅ。
もはや時代を導く側となったPCには世界に足跡を刻む新たな神話を打ち立て、変革をもたらすことが目的としてクエストとともに提示され、最後の冒険が始まりますぅ。そして、それは『シャドウフェル城を覆う影』以来の腐れ縁である“彼”との決着でもあるですぅ。
旧版からやっている人は、しばらく見なかったNPCが驚くべき形でゲスト出演しているのに涙するかもしれないですぅ。
2012年07月20日 超活動的な一日。 [長年日記] 編集
§ [Ludus] 『うた恋い。』のはなし
ここのところ深夜のパスタイムに百人一首の歌と歌人をフィーチュアした『うた恋い。』を観ているですぅ。これの面白いところは歌のイメージを膨らませるだけではなく、人物と関係する典籍に取材し、それらを再構成して複数人を一個の物語に混ぜ合わせる手法を取っているので、伝奇として娯しめるものになっているところですぅ。
特に陽成院の回などは『日本三代実録』や『大鏡』などから断片的なエピソードを引用しつつそれを一本の筋としてまとめ上げていて、非常に好感が持てたですぅ。
続く僧正遍昭の回でも、彼も題材のひとりになっていると考えられている深草少将の百夜通い伝説と結びつけ、小野小町の許への百夜通いが九十九夜で終わってしまった理由に持って行ったりと、中古文学で育った人間をくすぐってくる内容になっているですぅ。
2012年07月21日 「元気出せよ。君には心配することなんて、何もない。ぼくを見ろ。他人のアパートメントを、今後四十五億年も居住不能にしたところだぜ。ぼくがどれほど罪悪感を覚えるか想像してみろ」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] また写真忘れてた
そういうわけで『「ネームレス、お前の価値(時給)はここで決まる!!」と誰かが言った』に写真追加したですぅ。
2012年07月22日 ぼくなりにデーモンをかかえているけど、君の心理学基礎講座趣味で矮小化されたくない。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『補遺d12:マインド・フレイヤー(Appendix d12: Mind Flayers)』
今年行なわれている『アンダーダークの隆盛(Rise of the Underdark)』キャンペーンでは、ドラウの地上世界への侵略を――進行中のD&Dエンカウンターズ・シーズンおよびD&D Lair Assaultでプレイすることができる。それに加え、近日発売される『Menzoberranzan: City of Intrigue』により、君のキャンペーンはすぐにでもアンダーダークへ危険な旅へ出ることができるだろう。
DMが彼らの地下での冒険に詳しい描写を加えるために、(『The Dungeon Dozen』の)ジェイソン・ショルティスは以下の表――第1版のDMGの補遺、表、およびランダム遭遇の魂を継ぐ――を準備してくれた!
趣味と暇つぶし:マインド・フレイヤー
さて今週の表は、イリシッドが冒険者とマインド・ブラストでやり合っていない時、彼らがどんな生活をしているかというものだ……。
d12
- テレパシーを使った遠隔操作でたわむれに無垢な人物を堕落させる。
- 新しく改良された強力な尋問技術の開発。
- 利き知能指数は食事時の楽しみだ。/li>
- 普段は食べないクリーチャーの脳を食べるのは消化機能への挑戦である。
- 生の“傀儡”劇場。
- 不愉快な風刺を盛り込んだ詩による歌合せや、歌を唄う。
- 中身を食べた髑髏を使った民芸品作り。
- 手の込んだしばしば命に関わる悪意に満ちたいたずらでアボレスをからかう。
- 計算競争、長大な論文の作成、暗唱、厳しい検証に耐えうる即席の秘術/科学実験など、極限の精神競技。
- 三次元チェスのようなもの。お互いが互角なら数ヶ月から数年の間対戦は続き、巨大な盤と駒は質の落ちる宝石から切り出される。
- 知性のありように関する多くの不必要で容赦ない実験。ありふれた迷路と食べ物から、迷宮のダンジョンに満ちた財宝に、危険なモンスターと隠れた死の罠まで。
- 他人の不幸は良いおかずだ。噂はしばしば心を暖かくしてくれる。
著者について
ジェイソン・ショルティスは昼間は社会福祉事業で働くが、夕方には自由となって文章や絵を描いたり、ロック・バンドで演奏している。D&Dは彼の心で特別な地位にある。彼のほぼ毎日更新されるブログ、『The Dungeon Dozen』にはもっぱら12面体ダイス用のランダム表が書かれている。
2012年07月23日 「見つけるのは簡単。みんながスプレイで『ジミイはこちら』と、そこいらじゅうの今は亡きフランス詩人たちの墓石に書いているから。すごかったぜ」 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『D&D Nextでのモンスター作成(Monster Creation in D&D Next)』
伝説と伝承
先週、私の午後の仕事はD&D Nextプレイテストの次なる段階のためにモンスターのステータス・ブロックを作ることだった。私は現在のモンスター作成手順の状況を公開するのが面白そうだと感じた。
戦闘について、私たちのシステムが使っている数値は、冒険の1日でパーティのレベルを基準にした経験点を得られるモンスターと数ラウンド戦っても持ちこたえられるように想定している。より高レベルのパーティはより長く戦い、より強いクリーチャーを相手にできる。
アドベンチャーをデザインする際のガイドラインは1日に与える経験点、簡単、通常、そして難しい戦いのそれぞれで経験点の量を設定し、君が1体のモンスターに費やせる経験点の限界値も設定する。言い換えれば、君には1日に使える経験点や、1回の戦いでどれだけ経験点を費やせばよいか、1体のモンスターにどれだけ経験点を費やせるかという制限がある。DMに向けたすべてのものと同様、これは君が良いと思ったら使える助言である。
このシステムで、モンスターが持つ経験点は基本的にその力を表現したものだ。より強いモンスターはより多くの経験点を持つ。それは遭遇とアドベンチャーを構築する時に、君が心配すべき唯一の数値だ。
モンスターをデザインする過程はモンスターのステータスと能力値を作成し、その経験点の価値を計算するためにシステムの計算式を使用する。私はプレイテストで使うモンスターとしてミノタウロスをを自作したが、それを例として君にモンスターをデザインする段階を解説しよう。
レベルと格を設定する
まず、君は最初にモンスターがどのキャラクター・レベル相当なのかと、相対的な格を決定しなければならない。その枠組みとなる質問は、こうだ。通常のダンジョンの場合、そのモンスターは何階で出会うのが一番一般的だろうか?
ミノタウロスの場合、私は5階だとした。次の段階はミノタウロスの相対的な格を考えることだ。私たちはとりあえず雑兵、精鋭、単独と名づけた3区分を持っている。雑兵はキャラクター1人相当、精鋭は2人相当、そして単独は4人相当だ。君はこの区分を、雑兵ならだいたい中型以下のクリーチャー、精鋭は大型クリーチャー、そして単独は超大型以上のクリーチャーと、サイズによるものだと考えることもできる。私はそれが大型サイズであるから、ミノタウロスを精鋭と決めた。雑兵以下のクリーチャーは単純により高レベルのパーティにぶつけられるより低レベルのクリーチャーだ。
君はこの段階を飛ばし、ステータスを割り当て、クリーチャーの経験点による価値を算出することもできる。しかし、レベルと格を決定することで、君はより簡単に君の最終的なクリーチャーを私たちがすべてのレベルに持っている一般的なステータスと比較することができる。事実、君はAC、攻撃ボーナス、ヒット・ポイント、そしてレベルによるダメージといくつかの単純な能力を組み合わせる汎用的なガイドラインを使うことで、即興でモンスターを作成できる。
ステータスの割り振り
この段階で、より自由度は高まる。まず最初に、君は6つの能力値を割り振る。ひとつ考慮しておいてほしいのは、D&D Nextで能力値の範囲は少し狭いということだ。18以上の値は本当に凄いキャラクターとモンスターのためにある。私がミノタウロスに設定したのはこうだ。
【筋力】18、【敏捷力】11、【耐久力】16、【知力】6、【判断力】16、【魅力】9
ミノタウロスは強く頑強で、さらに彼らは足りない知性を恐るべき狡猾さで補っている。ミノタウロスには巧みな待ち伏せができないかもしれないが、それが迷宮を巡回しているとき、その素晴らしい感覚と直感は彼らを致命的な狩猟者にする。攻撃を作成する
能力値によってミノタウロスの攻撃の基礎は形成される。18の【筋力】はそれに+4の攻撃ボーナスを与え、それはそのレベルにふさわしい。私は通常ミノタウロスが使う武器としてグレートアックスを設定した。ミノタウロスのサイズは大型なので、彼らの武器は通常サイズの武器より1段階大きなダメージを与える。こうして、ミノタウロスはグレートアックス+4で攻撃し、ヒットすれば2d12+4ダメージを与えるようになった。それらはこのレベルと格にしっくりくる。
ミノタウロスのステータスが期待される数値まで行かなかった場合、私はその攻撃に習熟あるいは技能ボーナスを与えることができる。私たちは一般的にどんなクリーチャーでもクラスを持っておらず、攻撃ボーナスも欠落していると想定している。それは、クリーチャーが通常は彼らの武器や生まれ持った技で武器を扱ってキャラクターのもののような攻撃ボーナスを得ているといえる。たとえば、私たちはホブゴボリンを高度に軍事化された社会であると描写する。彼らにはそれを表現するための攻撃ロールへのボーナスを持っている。これは私たちがクラス・レベルを使わずに技能で再現することを許しているからだ。
この場合のもうひとつの選択肢はミノタウロスのダメージを増やすことだ。それは大振りだが、命中すれば大きい。場合によっては、クリーチャーの訓練不足は攻撃ロールへのペナルティになるかもしれない。にぶいヒル・ジャイアントは20の【筋力】を持っていても+3だけで攻撃するかもしれないが、これはあまりに不器用でのろまなのでその【筋力】を最大限に活用できないのだ。
ヒット・ポイントの算出
ヒット・ポイントについては、5レベルの精鋭モンスターならだいたい50でなければならない。これは君が今までプレイテストで見たものより低いことに注目すべきだ。最新の配信で話した通り、私たちはシステム全体でヒット・ポイントとダメージを縮小させた。キャラクターとモンスターのヒット・ポイントは下方修正され、ダメージの値も同様に小さくなる。それは私たちがまだ魔法やヒット・ダイスによる回復を変更してない点に注目する必要がある。私たちはヒット・ポイントを全体的に落とすことで回復をより役立つと感じることができるかどうか調べることに興味がある。
ミノタウロスは大型サイズのクリーチャー標準のd10をヒット・ダイスにする。10d10ヒット・ダイスに【耐久力】ボーナスを加えた場合、57ヒット・ポイントになる(d10ヒット・ダイスは平均の5.5としてヒット・ポイントを算出した)。ご覧の通り、モンスターの全体的なヒット・ポイントの中で、【耐久力】の数値は影響は非常に小さなものだ。その代わり、頑強なモンスターはより多くのヒット・ダイスを持つことでより多いヒット・ポイントを持っている。
アーマー・クラスの設定
ミノタウロスのACは私たちが能力値に基づいた技能や外皮による鎧を導入するための良い例示になる。ミノタウロスの場合、鎧がない状態では【敏捷力】も平均的なのでACは10である。私たちは普通のミノタウロスが鎧を着るとは思っていないが生まれ持った頑丈な外皮と毛皮がそれを守っている。私はそれに16のACを与えたが、これは改訂版の鎧表で平均的な5レベルのクリーチャーがチェインメイルを着た程度のものである。こうして、それは外皮と毛皮によって16の基礎ACを持った。
このシステムで注意すべきなのは、鎧は他種の鎧と累積しない点だ。鎧は君に基礎ACを与える。君が複数の鎧を着ても、君は君にもっとも高い基礎ACを与えるものだけを適用する。
詳細を詰める
移動速度、イニシアチブ、そして属性のようなものは、モンスターが過去に表現されたものや、その能力に由来するものだ。この段階で、基本的な数値は決まっている。私たちはさらにいくつかの特殊能力で、ミノタウロスを際立たせなくてはならない。ここで見せるのはプレイテストされてないものだ。
激怒 +5/5:このクリーチャーは不利を得ることで近接攻撃のダメージに+5する。その攻撃がミスしたとしても、ダイス・ロールの結果が10以上なら、この攻撃は紙一重の打撃で5ダメージを与える。そうなった場合、この攻撃はミスを参照するその他の特殊効果や能力の条件を満たす。
角での突撃:それのターン、このクリーチャーはその速度の少なくとも半分まで直線的に移動してアクションする場合、特殊な近接攻撃を使用できる。この近接攻撃は角の攻撃(+4攻撃、3d10+4ダメージ)である。ヒットした場合、目標は【筋力】セーヴ(難易度12)に成功しなければ伏せ状態となり、次のターン、目標は立ち上がるか這い進む以外の移動を行なえない。
鋭敏感覚:このクリーチャーは隠れたクリーチャーを発見するあらゆる判定に+5のボーナスを得て、そうした判定のd20のダイス・ロールは最低の出目が10となる。
多くのモンスターの能力で鍵となるのはそれらがテーブルで使いやすく、それらがさまざまなクリーチャーで使いでがあるものだということだ。激怒がどういう風に1つのクリーチャーで働くか理解すれば、他のクリーチャーがそれを使う場合君はその知識を使いまわすことができる。特定の数値は変化するかもしれないが、基本的な処理は同じままだ。もちろん、私たちはまだ固有の能力も使う。たとえば、激怒と鋭敏感覚は他のクリーチャーでも使えそうだが、角での突撃はミノタウロス特有のものになりそうだ。
理想的には、この象徴的能力の蓄積はDMのモンスター作成をより速いものにし、異なるレベル帯で君がさまざまなボーナスを取り出したり他の変動する値をそれらの適切な値に設定できるものにしたい。たとえば、激怒は低レベルではより小さな、高レベルではより大きなボーナスとなる。
経験点の計算
この段階で、君はモンスターの戦闘用特殊能力や、それを使うステータスなどの強さから、経験点の価値を計算する。その数値はもっか製作中だ。私たちには大雑把な評価があるが、プレイテストで私たちが設定したものが他の特殊能力で正しい値であるか確認することをかなり多く行なわなければならない。
おまけ:進化する混沌
D&D Nextのプレイテストに参加している君なら知っているように、プレイテスト用の素材は古典的なアドベンチャーである『B2:国境の城塞』の混沌の洞窟を使ったものだ。ここでは君にちょっとした刺激を与えるため(そして君のプレイヤーが彼らの身に何が起ころうとしているのか正確にわかっているという強い確信を与えないようにする)に、ロバート・J・シュワルブからの素材を改造し、君のプレイテスト用キャラクターが挑戦しがいのある面白い状況を作って新鮮味を与えるためのちょっとした助言がある。
ダウンロード(82キロバイトのPDF)(訳註:公式サイト参照のこと)
現在2012年のENnies への投票が行なわれている(Gen ConでのEN World RPG賞)。すべての候補者に幸運があらんことを!
マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ・アンド・デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。
2012年07月24日 エルヴィッサがどうやって生計をたてているかについては、ぼくらの誰一人、詳しいことは知らず、誰一人、そもそも知りたいかどうか確信がもてない。 [長年日記] 編集
§ [CoC] 『『クトゥルフ神話TRPG』第7版の内容(Inside Call of Cthulhu 7th Edition)』
Call of Cthulhu is getting the first major overhaul of the rules in 20 years in the upcoming 7th Edition. At a seminar at Continuum, July 21, 2012, developers Paul Fricker (author of the monograph Gatsby and the Great Race and the scenario Dockside Dogs, contributor to Cthulhu Britannica) and Mike Mason (editor of Cthulhu Britannica and the defunct Whisperer magazine) shared some of the changes we can expect.
2012年7月24日
シェーン・アイビー筆『クトゥルフ神話TRPG』はルール20周年を迎え、最初の総点検を行なって来るべき第7版に備えている。2012年7月21日に開かれたContinuumのセミナで、デベロッパのポール・フリッカー(モノグラフ『Gatsby and the Great Race』とシナリオ『Dockside Dogs』の著者で、『Cthulhu Britannica』への寄稿者)と、マイク・メイソン(『Cthulhu Britannica』の編者で今は亡き『Whisperer』誌の編集者)は私たちに訪れる変化のいくつかを紹介した。
君はYog-Sothoth.comで完全な録音を聞くことができる。ここにはその概要がある。
これは終わりではない
これは始まりなのだ。ポールとマイクは、彼らが話すものは彼らが望む形にしてケイオシアムに入稿したものだが、それはケイオシアムの手の内にあることを宣言した。
ケイオシアムのダスティン・ライトも別の電子メールでその点を強調した。おそらく多くのルールが、出版にあたって変更されることになるだろう。と。
ダスティンはケイオシアムが『クトゥルフ神話TRPG』第7版を2013年に発売予定だと発言したが、明確な日付は未定である。
概要
ポールとマイクは『クトゥルフ神話TRPG』第7版のコア・ルールに、プレイヤー・キャラクターが使うルールをプレイヤー用の本として、“簡略化した”版のコア・ルールもまとめている。
彼らはルールを徹頭徹尾、再検討して再執筆した。彼らは第6版よりも順序だったものとしてすべてを再編成し、彼らは時間をかけてシナリオやキャンペーンの本で初めて姿を見せた多くの独立したルールと章を進化させ、汎用性のあるルールとして構築していった。
ポールとマイクはルールを解体して再び一から鍛えなおそうとしつつも、プレイヤーがこれまで『クトゥルフ神話TRPG』が築いてきた30年の成果を捨てなくてもいいように、ゲームには旧版との互換性も持たせている。
「それはほとんど同じゲームだよ」マイクは改訂版について話した「そして君はほとんど同じようにロールするが、それらのロール方法と君がロールできるかどうか解釈する方法が違うんだ」。
能力値と技能
第7版の能力値は厳格なパーセンテージ表記の数値になる。君はもうINTが12だから〈アイデア〉ロールがINT×5や60%だというのではなく、君はINTが60%なので、それが君のロールする基準になる。
技能は完全に調整され、それらの多く、特に戦闘技能は強化された。〈格闘〉技能ひとつで〈こぶし/パンチ〉、〈キック〉、〈組みつき〉、〈頭突き〉、そして近接戦武器の技能になる。〈火器〉技能ひとつで、〈拳銃〉、〈ライフル〉、〈ショットガン〉などになる。〈言いくるめ〉はなくなり、〈誘惑〉と〈威圧〉が導入される。このルールは昔のキャラクターを新しいルールに導入するためのものでもある。
重要なこととして、第7版のルールではキーパーとプレイヤーに対して何のために技能ロールを行ない、成功か失敗することでどんな結果になるか明言するように求めている。それは『クトゥルフ神話TRPG』でおおむね役立つ助言だが、重要なのはマイクとポールがルールに組み込んだことだ。
このシステムでプレイヤーは技能や能力値ロールでの失敗を“提案”でき、失敗した時により酷いことになるのを承知で再挑戦ができる。君が技能を提案し、それに失敗することは君が望む結果を得られないのではなく、君がちょっとした新たな脅威や危険な厄介ごとに巻き込まれるかもしれないことを意味している。プレイヤーが失敗したロールについて提案する価値があるかどうか決断するとき、鍵となるのはプレイヤーとキーパーの対話だ。
このシステムで技能や能力値ロールで失敗したとき、失敗したらより酷い結果になることを承知で“ごり押し”で再挑戦を行なうことができる。君が技能でごり押しした場合、再挑戦での失敗は君が望むものをえられないというだけではなく、新たな脅威や危険な厄介事に直面することを意味している。失敗したロールをごり押しする価値があるかどうかを決める鍵は、プレイヤーとキーパーの対話になるだろう。
すべての細々したペナルティはなくなる。その代わりに成功は3段階となり、キーパーは通常通りの技能の成功率か、半分の成功率か、1/5の成功率か、どれが必要になるか宣言する。それぞれの値は簡単にプレイ中参照できるように、技能と能力値ごとにキャラクター・シートに記録するようになるはずだ。
興味深いのは、かつての抵抗表がなくなることだ。その代わり、対抗ロールでキーパーは相手がどれくらい良い結果なのかを参照して難易度を設定する。君の敵が40%の技能か能力値を持っていたとすれば、君のロールは通常通りの技能成功率を求められるだろう。敵がそれをおよそ90%持っているなら、君は勝つために1/5の成功率でロールをしなければならない。
〈幸運〉ロール
技能や能力値を“提案”するだけが失敗を成功に変える方法ではない。第7版で、〈幸運〉ロールは君が技能や能力値ロールの結果を変化させるために行なえる要素となる。
君が60以下をロールする必要があるとき、63を出したとしよう。君は成功に向けて確率を動かすのに、3点の〈幸運〉を消費できる。しかし、これで君の〈幸運〉点は3点低くなった――君が〈幸運〉ロールしなければならないとき、その成功率はやや下がってしまった。
第7版のルールでは〈幸運〉ロールにより明確な機能を与えるつもりだ。ポールは「これはプレイヤー・キャラクターにはどうしようもない外的要因だ。君が古い屋敷にいるとして、君は上の階から物音を聞く。『僕は急いで台所に向かう。そこにナイフはあるかな?』これが〈幸運〉ロールだよ」といった。
重要なこととして、使った〈幸運〉点は自動回復しない。君はプレイの合間でのみ、新たに導入されるコネクションでそれらを回復させることができる。
コネクション
コネクションとはキャラクターにとって重要なものだ。コネクションは何だっていい――人でも、場所でも、物でも、概念でも。ポールは「それは君が愛する年老いた母親かもね」といった。「それは君が生まれ育った家かもしれない。それは君の愛犬かもしれない。君がそうしたいなら、それは君の相棒である38口径のリボルバーかもしれない。主への信仰かもしれない。概念でもいいね。君のキャラクターにとって重要なものならなんでもいい」
君はコネクションとふれあうことで〈幸運〉点を回復させられるが、1回のゲーム・セッションでそれぞれのコネクションを1回づつしか使えない。君がコネクションとの交流で回復させられる〈幸運〉はゲーム・セッションの長さにもより、1時間のプレイにつき1点だ。あるいは1回限りの独立したゲーム・セッションでは、一律5点になる。
キャラクターは最初に各自3つのコネクションを持つ。君はプレイする中で、ほとんどは破滅的な正気度の喪失による不定の狂気により追加で得ていくことになる。不定の狂気となることで、おそらくは鼠への恐怖、あるいは何らかの精神障害という形でコネクションが増加する。君はそのコネクションを使って狂気を強調したプレイを行ない、〈幸運〉点を得ることができる。
しかし君が持てるコネクションの上限は5つだ。そしてひとたび君が5つ持つようになり、さらなる狂気を得た場合、それは新たなコネクションを加えるのではなく、古いものを堕落させるか歪めることになる。こうして君の正気が崩れることで愛する年老いた母親へのコネクションは醜悪なものへ歪められるかもしれない。
狂気
狂気は伝統的な『クトゥルフ神話TRPG』のゲームではしばしばこっけいなものとしてプレイされるが、ポールとマイクは第7版の狂気を馬鹿げたものではなく、より暗い雰囲気をまとったものにしたがっている。同時に彼らは狂気に陥ったキャラクターに起こることをよりはっきりと体系化しようとしている。
不定の狂気となることは、その最初の狂気による短い間の人事不省から君が立ち直った後に新たなコネクションを得るだけではない――ポールとマイクはそれを狂気による狂乱と呼んだ。君はSANを喪失するどんなときにでも、君はさらに人事不省や狂気による狂乱に陥ることがある。
ゲームでの狂気については、彼らはあえて医学書の緊張型分裂病などよりはフィクションを参考にして、よりプレイを面白くする精神疾患にしようと試みた。狂気による狂乱は状況次第だ。このルールはキーパーへのガイドラインも含んでいる。
〈アイデア〉ロール
〈アイデア〉ロールはゲームに健在だが、それは少し違った使われ方をする。ポールはそれを指し「それは『マイク、ロールしてくれ。ありゃ、君は失敗したね。〈アイデア〉ロールもしてくれよ。おう、君はそれも失敗した。まあいいや、私はどのみちここで君に話さないと、それでは』じゃない」といった。
プレイヤーが手詰まりだと感じたとき、プレイヤーは常に手がかりを得るための〈アイデア〉ロールを要求できる。〈アイデア〉ロールに成功すれば彼らは手がかりを得られる。それに失敗しても彼らは手がかりを得られる――が、それらを得る方法は彼らを危険な状態へと追い込む。
シナリオのデザインに関する本では、〈アイデア〉ロールをしなくても手がかりを準備するための助言をキーパーに行なう。
戦闘
戦闘ルールはかなり大きな見直しが行なわれたようだ。伝統的な攻撃ロールと防御ロールの応酬は消えた。攻撃は対抗技能ロールになった。戦闘参加者のロールが等しく引き分けの結果だった場合――両方成功、両方失敗、両方1/5で成功など――は、通常ならどちらも若干のダメージを受ける。どちらかに偏った結果の場合、たとえば、君は1/5成功したが君の敵は失敗したようなとき、それは君がより小さな、君の敵は大きなダメージであることを意味する。
組みつきも別々の技能やサブシステムではなくなる。ポールは「君がやりたいだろうことについてのルールはあるが、一般的な〈組みつき〉技能があるわけではない。それは目標がある〈格闘〉だ」と説明した。
〈回避〉技能はいまだ健在だが、主にそれは遭遇している状況から逃げ出すことに役立つ。君は攻撃か回避ができるが、両方はできない。
キャラクターは第7版で少し強くなった。死はHPの値と同じ負のヒット・ポイントになったときに発生する。11HPあるなら、0ではなく、-11点になったときに君は死ぬ。道中で君は力を奪われ慢心総意かもしれないが、死の前にはより大きな余裕がある。
コア・ルールブックにはキーパーがどれくらいの速さでキャラクターを殺すか考えるための助言もついている。君は目標が何でそれがどうやって君のシナリオのデザインに影響するか考えることを推奨され。
キャラクターの動機
命をかける危険に対するプレイヤー・キャラクターの動機については、第7版で慎重な注意がされている。プレイヤー用の本ではキャラクターが共闘するための探索者組織の構築、彼らか超自然的恐怖を探索する一般的な動機、そして次の人材を持ち込む方法について1章を割いている。それにはいくつかの実例もある。
より個人的なものとしては、もちろんコネクションもキャラクターの動機として使うことができる。また、プレイヤー用の本にはゲームに適合したキャラクターをデザインする方法や、彼らを簡単に探索者とする方法の助言が含まれている。
コア・ルールブックには、シナリオの章にキャラクターへの動機づけをするためのシナリオを書くための助言が含まれている。
モンスター
ポールとマイクはクトゥルフ神話のモンスターは彼らの戦闘用ステータスは新ルールを反映させるために変更されるが、基本的に同じだと話した。
モンスターには彼らをプレイでどう活用し、シナリオとキャンペーンでの要求を満たすため彼らをどう改造するかについて、キーパーへの助言が含まれている。マイクとポールはキーパーの仕事が何がゲームの中で正しいかを決めることだと強調した。キーパーはプレイヤーが彼らが自分たちのキャラクターをどうプレイしなければならないか決断に迫られたとき、キーパーはゲームの所有権を持っておくべきだと。「君はキーパーだ」ポールはいう「それを君が望むやり方でやるんだ」。
マイクは長年続いたモンスターの分類がなくなると話した。「私たちは“下級の奉仕種族”や“上級の独立種族”などの記述を外した。それらは私に関係なく、そしてラヴクラフトとも関係ないと私が確信しているからだ。そこには種族を成文化させるためのある種階層的な構造があって……それは神話では意味をなさない。だから私たちはそれらを外し、今はもうミ=ゴはミ=ゴなのだ。
魔法
第7版のために彼らは長年蓄積されてきたが、ゲームには重要でなかった多くの呪文をシナリオからルールブックに混ぜ込んだ。(マイク:「私たちは魚の招来が好きでね」)
どの呪文にも基本的な説明がある。が、それぞれにはそれをより強力にするためのガイドラインがある。高い〈クトゥルフ神話〉技能と低い正気度の術者、そして人外のモンスターは、魔法を使うことができる。しかし魔法がどの段階まで力を発揮するか決定し、プレイヤー・キャラクターがどこまで介入できるか決定するのはキーパーだ。
経験的ルールとして、魔法を使う代償は正気度で、それは君をさらなる愚考へ導かせる傾向があり、それは君の人格を再定義する新たなコネクション(“古代の魔道書にあらがえない”)をもたらすだろう。
まとめ
「これは君が知った通り、まだクトゥルフだ」マイクはいった。「そのプレイはある意味、よく知ったものだ。私たちがやったのはいくつかベルを鳴らして口笛を吹き、あまり鳴っていないと思ったものを少しいじっただけだ。それは同じゲームだ。私たちは新しいルールブックを書こうとはしなかった。私たちはルールブックを復活させようとしたんだ」
ポールは「サンディ・ピーターセンは偉大なゲームを書いた。私たちがやるのはそれを未来へ向かわせることだ」とつけ加えた。
ポールとマイクは第7版のゲームを8月のGenConと9月のConcrete Cowで行なう予定だ。
どう思われるだろうか?
来年予定だと発表された『クトゥルフ神話TRPG』第7版の概要についてのトークが文字起こしされていたので、それを翻訳したですぅ。
パーセンテージ表記化をおしすすめたり表などを排除して直感的にプレイしやすくする一方、万能リソースとして〈幸運〉とそれを復活させるコネクションを設定しているですぅ。
ここでうまいのは正気度周りとは別の物理的な生き残りもある程度コントロールできるようにした上で狂気に陥るとリソースが増えるようにして、不幸の泥沼に落ちても死ぬに死ねないホラーものの登場人物を再現しているところですぅ。
この“死ぬに死ねなさ”はロールを行なうときの“提案”や、失敗しても手がかりは得られるけどトラブルが増える〈アイデア〉ロールなどでも一本筋の通った使い方がされていて、システム面からよりホラーらしくなっている感触ですぅ。
めがねさんのご指摘により、“技能と能力値”の失敗などについての記述を修正したですぅ。
2012年07月27日に追記したですぅ。
2012年07月25日 だから、そう――地球を去るとき、記憶をひとつだけ持って行くなら、その瞬間だわ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『補遺d12:ロルスの恩寵(Appendix d12: Lolth's Gifts)』
今年行なわれている『アンダーダークの隆盛(Rise of the Underdark)』キャンペーンでは、ドラウの地上世界への侵略を――進行中のD&Dエンカウンターズ・シーズンおよびD&D Lair Assaultでプレイすることができる。それに加え、近日発売される『Menzoberranzan: City of Intrigue』により、君のキャンペーンはすぐにでもアンダーダークへ危険な旅へ出ることができるだろう。
DMが彼らの地下での冒険に詳しい描写を加えるために、(『The Dungeon Dozen』の)ジェイソン・ショルティスは以下の表――第1版のDMGの補遺、表、およびランダム遭遇の魂を継ぐ――を準備してくれた!
蜘蛛を統べるデーモンの女王の奇妙な恩寵
さて今週の表は、イリシッドが冒険者とマインド・ブラストでやり合っていない時、彼らがどんな生活をしているかというものだ……。
d12
- 盲目的熱狂:これの影響下にある者はいかなる機会ででもロルスに対する彼らの忠誠を主張し、激しく改宗を迫り、異教徒の愚かしさを狂おしく笑い飛ばし、降伏や退却などありえない戦いをし、ほんのわずかなことでも宗教的な罪を犯そうとは夢にも思わない。
- ハエトリグモのように強化された跳躍能力。
- 通常の四肢にハサミが生える(小さいなら食卓のいい余興だ)。
- どんな壁にもしがみつけるように、皮膚がかえしのついた棘で覆われる。
- アビスの悪臭:その悪夢の次元界とのなじみが浅い者には形容しがたい、仲間から距離を置かれるような所かまわない名誉の証。
- 8つの目、そのうち6つはいつでも異なる次元界であるアビスを見ることができる。
- 顔が完全に蜘蛛のそれとなり、牙から毒をしたたらせ、全周囲視覚を持ち、さらに感覚が強化される。
- 腹の糸袋:さまざまに使える粘着質で頑丈な糸を出せるようになる。
- 退化した蜘蛛の肢:通常はクレリックのローブに隠されており、疑いがたい忠誠への刻印としてのみ機能する。
- 頑丈な蜘蛛の皮:醜いがアーマー・クラスへの強化となる。
- 1日1回小さな蜘蛛に変身できる能力。
- 蜘蛛の心:空間に対する認識能力が強化され、広範囲で仲間や敵を発見できるようになるが、感覚機能全般は弱体化する。
著者について
ジェイソン・ショルティスは昼間は社会福祉事業で働くが、夕方には自由となって文章や絵を描いたり、ロック・バンドで演奏している。D&Dは彼の心で特別な地位にある。彼のほぼ毎日更新されるブログ、『The Dungeon Dozen』にはもっぱら12面体ダイス用のランダム表が書かれている。
2012年07月26日 今でも、あたしは右眼に魔法がかかっていると思っているもの。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 2012年03月11日(無題)
エスペランザ(エラドリンのメイジ/ブララニ・ウィンターソウル17):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。
グスタフ・トラップ(ヒューマンのシーフ/パラゴン・シーフ17):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。
コナン(ヒューマンのキャヴァリアー/ヴァリアント・キャヴァリアー17):敵の船に縛り上げられて転がっていた謎の騎士。湖に沈んでいた石柱(モルデンクラッド相当)を振り回す。プレイヤはアシタカ氏。
セヴン(ドワーフのウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン17):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。
敵から奪った船をあらためて検めると、船倉から男がひとり出てきた。彼の名はコナン。遍歴の騎士である。天の島に身を寄せていたところを襲撃され、エラドリンを助けて戦っていたら捕縛されたらしい。
ともかく、こういう状況下で戦える人材は得がたい助けである。四人は“名無し”に歩哨を任せてこれからの策を検討し、とりあえずは敵がいかなる存在か知ることが先決という結論に到達。エスペランザがコンサルト・オラクルで情報を抜くことにした。
「天の島を襲撃した者の正体を教えよ」
「其は“黒耀王”星霜を経たリッチなり」
「“黒耀王”の経箱は何処にやあらん」
「其は王の侍らす船がひとつ、樹の洞に」
「“黒耀王”の切り札を教えよ」
「王の御座船は船に非ず。其は“黒耀王”の自我が移植されたミミックの変種である」
「“黒耀王”の一番知られたくない過去を教えよ」
「憧れていた女性に振られて酷いあだ名をつけられた事である。(表記不能)と」
「うむ。やはりこの手の恥ずかしい名乗りをする奴らしく何かあったらしい」
などなど。色々と調べると、“黒耀王”は天の島を追放されて以来あちこちを放浪し、宇宙の超空洞で闇の中に生きるフォモーリアンなど
長命なエラドリンとはいえ困難がある歳の問題を、“黒耀王”はリッチへの変成によって克服したと知ったパーティは、経箱を収めた船を探して出航した。
識別信号を偽装しながら艦隊に潜入して後方に位置する目的の戦艦へと近づくと、通信を入れる。
「トイレ壊れた。もう我慢できん」
「船を仕切ってるのはフォモーリアン・アウトキャストというトゲのついたチェーン巻きつけたゴスっぽいやつDEATHゥ」
「ううむ。こっちも男ばかりだし実に男臭い」
「それはそうと三ラウンド以内に決着つけないと、さすがに近くの船から怪しまれて増援きたりするDEATHゥ」
〈はったり〉に成功して平和裏に接舷したところで、エスペランザが甲板後方のリッチ・レムナントに呪文を炸裂させて彼らを一掃。そのまま前衛が突入してフォモーリアンや樹木のふりをしていたウッド・ウォード・ジャガーノートも撃破し、三ラウンド以内に経箱を奪取してそのまま船を離れた。
しかる後にパーティは経箱を携えて金字塔めいた御座船へと潜入した。グスタフが手近な作業員を捕まえて脅しつけ、警備の目をあざむいて艦橋へ向かう。だが、艦橋へ入るための生体認証で止められ、兵士と艦の防衛システムを相手に戦闘となった。
コナンが防衛システムを押しとどめるため全員の攻撃を集中することができず、決定打の出ない状況が続くが、重傷になった防衛システムがグスタフが持つ経箱を見つけてしまい、あからさまに狼狽した声をあげてしまう。
パーティはそこをついて“黒耀王”と対峙し、乗組員の面前で彼以外の当事者が死に絶えて誰も知らないはずの古いあだ名をエスペランザが連呼して心を叩き折り、祝福されざる王と交渉を始めた。
「経箱を返してもらおう」
「勘違いするな。ここで経箱を割ってお前ひとりを殺すくらいの余力はある(実際、一日毎パワーをほぼすべて温存していた)」
「では何が望みだ、撤兵か?」
「ちょっと心は痛むかもしれないけど、あの島とは関わりないし」
「ならば金か? 魔法の道具か?」
「いや別に」
「ならば何だ、お前たちは何なんだ!」
「強いていえば」
「お前が一番嫌がることをしたい」
結局、“黒耀王”がもう死ねないよう敵地の中心であるエラドリンたちの島に経箱を預けて軍を退かせ、パーティにはいくばくかの財貨と船を与えるという話がまとまり、パーティは船に財宝を積んで帰還する。その後ろでは“黒耀王”の艦隊が再び空の深遠へと消えていった。エラドリンが住む天の島を襲った危機は去ったのだ。
2012年07月27日 『なあ、お前。ガソリンの匂いって、いいだろう。眼を閉じて、吸い込んでみろ。とっても清潔だ。未来みたいな匂いがする』 [長年日記] 編集
§ [CoC] 『『クトゥルフ神話TRPG』第7版の内容(Inside Call of Cthulhu 7th Edition)』修正
めがねさんからのご指摘を参考に、“『『クトゥルフ神話TRPG』第7版の内容(Inside Call of Cthulhu 7th Edition)』”にあった訳の間違いを修正したですぅ。
2012年07月28日 ぼくら九人全員が、たまたま台所に勢ぞろいすることになって、誰もが陽気で、お互いに気持ち良く、新聞のぞっとするような記事を声に出して読んだりしてた。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『Menzoberranzanプレビュー:陰謀のキャンペーン(Menzoberranzan Excerpts: Campaign of Intrigue)』
バート・キャロル悪意に満ちたドラウの力ある名家は、堕ちた女神の目にかなうようそれぞれたゆみない努力を捧げており、メンゾベランザンこそそうした驕慢の頂である。だがしかし、その積み重なった利己、放蕩、そして悪徳の奥を覗けば、豊かな歴史、文化、そして芸術を持つ壮大な文明を見つけることができる。このたまらない美と罪の二律背反こそ、ドラウの社会への強力な関心を呼び起こすものだ。この本で紹介される高名なアンダーダークの都市メンゾベランザンは、かの有名なドラウのレンジャー、ドリッズト・ドゥアーデンの出身地でもある。しかしこれは彼の物語ではない――これは君たちが紡ぐべき無数の物語だ。
『Menzoberranzan: City of Intrigue』は最大級の汎用性を持つようデザインされた。たとえ君がダンジョンズ&ドラゴンズのどの版を使っていたとしても、君はこの本に書かれているほぼすべてのことがらがゲームで使えることを知るだろう。君はこの本でドリッズトが生まれるよりも前の年代でも、蜘蛛の女王の戦争のまっただ中でも、あるいは現代のフォーゴトン・レルムだろうが、キャンペーンを設定して運営できる。メンゾベランザンは君が望むどんな方法ででも使える、君と君のプレイヤーたちが探検できるすべてを備えて待っている環境だ。
今日の『Menzoberranzan: City of Intrigue』のプレビューで、私たちは『第1章:陰謀のキャンペーン』の内容を見ていくことになる。
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メンゾベランザンのキャンペーン
悪のドラウのキャラクターで陰謀と裏切りに満ちた冒険を行なうことは、ほとんどの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のキャンペーンとは大きく異なった経験になりえる。これら6つの特徴は『Menzoberranzan: City of Intrigue』のキャンペーンが提示する精神を簡潔に示している。
1.君はドラウだ
このキャンペーン・セッティングでは、君は休暇で蜘蛛の都を訪ねた地上の住人という二足のわらじを履くことはできない。違う、君は住人なのだ。ドラウにせよ奴隷にせよ、貴族の子弟にせよ庶民にせよ、メンゾベランザンこそが君の故郷だ。これは君にとって地上エルフの悪意に満ちた宣伝を無視してD&Dのもっとも象徴的で影に潜んだ種族のひとつをロールする機会になる。
2.悪による支配
メンゾベランザンは悪の巣窟だ。ドラウの文化は裏切りと殺人が当たり前であり、それは快楽を求める行為でもある。このセッティングのドラウは日ごろからデーモンと乱痴気騒ぎをし、流血を伴なう見下げ果てた行為に手を染める。ドラウ社会の信条は巧妙に提示されるが、プレイヤーが幻惑されてはいけない。メンゾベランザンの住民は邪悪で移り気な嗜虐主義者で、彼らは自分たちの地位を他者へ苦痛と惨劇を味わわせることで向上させようとしている。
3.ロルスこそが至高
ドラウ社会ではロルス教団ほど、他のいかなる勢力より根を張っているところはない。千年を越えるドラウの宗教儀礼には他の神性も存在しているが、すべてはロルスから派生したもので、蜘蛛の女王の影でかろうじて見ることができる程度だ。ヴァイラウンやゴーナドウアのようなものはいくつかの時代で信者を持っていたが、ロルスへの信仰――そして恐怖――のせいで、少数しか存在しなかった。彼女がすべてで、彼女は孤独、そして彼女こそがドラウの宗教の中心に立っている。
4.すべてに身分が
混沌より生まれる存在にもかかわらず、ドラウの社会は非常に根強い身分によって支配されている。すべてのドラウは他者――他のドラウも含む――を3種類に分けている。
- 強者、これらはなだめて懐柔せねばならない(少なくとも彼らに取って代わるまでは)。
- 自分を高めるために利用できる者、できる限りあらゆる方法で奪い続けるための存在だ。
- 弱者、単純作業か捨て駒程度にしかならない役立たずだ。
ドラウの目で見れば、毎日は君の身分を向上させるか、邪魔者を排除する新たな機会に満ちている。
5.秘密は財産
ドラウは無鉄砲に未知へと突っ込む無思慮な野蛮人ではない。事実、メンゾベランザン人と呼ばれるメンゾベランザンの住民は、彼らの努力が及ぶ限りで非常に注意深く計算高い。富と力は確かに重んじられるが、真にドラウが取り引きするのは秘密である。情報は力であり、それを使うことで彼や彼女は身分を超えた力を行使できるのだ。ドラウの陰謀は伝説的で、それらのうちでも長期に及ぶ策謀はメンゾベランザンのキャンペーンでもその一部に不可欠なものである。
6.ここはアンダーダーク
冒険は都市の中だけに限定されない。ドラウの数多き陰謀はプレイヤー・キャラクターをアンダーダークの暗い深みへと向かわせることができる。ドラウはその冷酷さと悪徳において名高いが、彼らの息の根すら止めるクリーチャーが世界の深淵には存在する。その危険性にもかかわらず、一部のメンゾベランザン人は深淵に溢れる富を利用する機会には躊躇しない。影の道近くの暗がりの領域、そしてその向こうでも、アンダーダークの冒険は待ち受けている。
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに塗り絵をした第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ブログもhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
2012年07月29日 父さんとぼくで、一九五〇年代からそのままの短波ラジオを組み立てた。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『Menzoberranzanプレビュー:ロルスの道(Menzoberranzan Excerpts: The Way of Lolth)』
バート・キャロル悪意に満ちたドラウの力ある名家は、堕ちた女神の目にかなうようそれぞれたゆみない努力を捧げており、メンゾベランザンこそそうした驕慢の頂である。だがしかし、その積み重なった利己、放蕩、そして悪徳の奥を覗けば、豊かな歴史、文化、そして芸術を持つ壮大な文明を見つけることができる。このたまらない美と罪の二律背反こそ、ドラウの社会への強力な関心を呼び起こすものだ。この本で紹介される高名なアンダーダークの都市メンゾベランザンは、かの有名なドラウのレンジャー、ドリッズト・ドゥアーデンの出身地でもある。しかしこれは彼の物語ではない――これは君たちが紡ぐべき無数の物語だ。
『Menzoberranzan: City of Intrigue』は最大級の汎用性を持つようデザインされた。たとえ君がダンジョンズ&ドラゴンズのどの版を使っていたとしても、君はこの本に書かれているほぼすべてのことがらがゲームで使えることを知るだろう。君はこの本でドリッズトが生まれるよりも前の年代でも、蜘蛛の女王の戦争のまっただ中でも、あるいは現代のフォーゴトン・レルムだろうが、キャンペーンを設定して運営できる。メンゾベランザンは君が望むどんな方法ででも使える、君と君のプレイヤーたちが探検できるすべてを備えて待っている環境だ。
今日の『Menzoberranzan: City of Intrigue』のプレビューで、私たちは『第2章:ロルスの道』の内容を見ていく。
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メンゾベランザンのキャンペーン
悪のドラウのキャラクターで陰謀と裏切りに満ちた冒険を行なうことは、ほとんどの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のキャンペーンとは大きく異なった経験になりえる。これら6つの特徴は『Menzoberranzan: City of Intrigue』のキャンペーンが提示する精神を簡潔に示している。
1.君はドラウだ
このキャンペーン・セッティングでは、君は休暇で蜘蛛の都を訪ねた地上の住人という二足のわらじを履くことはできない。違う、君は住人なのだ。ドラウにせよ奴隷にせよ、貴族の子弟にせよ庶民にせよ、メンゾベランザンこそが君の故郷だ。これは君にとって地上エルフの悪意に満ちた宣伝を無視してD&Dのもっとも象徴的で影に潜んだ種族のひとつをロールする機会になる。
2.悪による支配
メンゾベランザンは悪の巣窟だ。ドラウの文化は裏切りと殺人が当たり前であり、それは快楽を求める行為でもある。このセッティングのドラウは日ごろからデーモンと乱痴気騒ぎをし、流血を伴なう見下げ果てた行為に手を染める。ドラウ社会の信条は巧妙に提示されるが、プレイヤーが幻惑されてはいけない。メンゾベランザンの住民は邪悪で移り気な嗜虐主義者で、彼らは自分たちの地位を他者へ苦痛と惨劇を味わわせることで向上させようとしている。
3.ロルスこそが至高
ドラウ社会ではロルス教団ほど、他のいかなる勢力より根を張っているところはない。千年を越えるドラウの宗教儀礼には他の神性も存在しているが、すべてはロルスから派生したもので、蜘蛛の女王の影でかろうじて見ることができる程度だ。ヴァイラウンやゴーナドウアのようなものはいくつかの時代で信者を持っていたが、ロルスへの信仰――そして恐怖――のせいで、少数しか存在しなかった。彼女がすべてで、彼女は孤独、そして彼女こそがドラウの宗教の中心に立っている。
4.すべてに身分が
混沌より生まれる存在にもかかわらず、ドラウの社会は非常に根強い身分によって支配されている。すべてのドラウは他者――他のドラウも含む――を3種類に分けている。
- 強者、これらはなだめて懐柔せねばならない(少なくとも彼らに取って代わるまでは)。
- 自分を高めるために利用できる者、できる限りあらゆる方法で奪い続けるための存在だ。
- 弱者、単純作業か捨て駒程度にしかならない役立たずだ。
ドラウの目で見れば、毎日は君の身分を向上させるか、邪魔者を排除する新たな機会に満ちている。
5.秘密は財産
ドラウは無鉄砲に未知へと突っ込む無思慮な野蛮人ではない。事実、メンゾベランザン人と呼ばれるメンゾベランザンの住民は、彼らの努力が及ぶ限りで非常に注意深く計算高い。富と力は確かに重んじられるが、真にドラウが取り引きするのは秘密である。情報は力であり、それを使うことで彼や彼女は身分を超えた力を行使できるのだ。ドラウの陰謀は伝説的で、それらのうちでも長期に及ぶ策謀はメンゾベランザンのキャンペーンでもその一部に不可欠なものである。
6.ここはアンダーダーク
冒険は都市の中だけに限定されない。ドラウの数多き陰謀はプレイヤー・キャラクターをアンダーダークの暗い深みへと向かわせることができる。ドラウはその冷酷さと悪徳において名高いが、彼らの息の根すら止めるクリーチャーが世界の深淵には存在する。その危険性にもかかわらず、一部のメンゾベランザン人は深淵に溢れる富を利用する機会には躊躇しない。影の道近くの暗がりの領域、そしてその向こうでも、アンダーダークの冒険は待ち受けている。
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに塗り絵をした第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ブログもhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
2012年07月30日 その造成地はいつまでたっても、どういうわけか全部が建つことがなかった。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『ファイターと戦闘卓越(Fighters and Combat Superiority)』
伝説と伝承
D&D Nextのプレイテストの中で、私たちはたくさんのフィードバックを得た。多くのフィードバックは私たちが行なった意識調査によって得たものだ。何千もの多くの反響は――みんなが考えるゲームの全体像からきちんとした青写真を描くのに充分な量だ。その中でもひとつはっきりとしたことは、ファイターが戦闘であまりにも冴えないということだった。
ファイターはダメージを効率よくモンスターに与えられるが、多くのプレイヤーが私たちにラウンドを進めるときにより多くの選択肢が欲しいといった。このフィードバックを心に留め、私たちはまずこのクラスに追加のテーマと、さらに、どんなクラスでも使うことができる技を与えることについて考えた。私たちが取り組んでいるあらゆるD&D Nextのクラスに求めている基本思想のひとつが欠けているため、その方法は不完全だと判明した。何がこのクラスを他のあらゆるクラスから見て独自のものにするのだろう?何がこのクラスをD&Dの世界で目立つものにするのだろう?
何度かの議論を重ね、私たちはダイスに静的なボーナスを与えることなく、ファイターの戦闘能力を表現する、戦闘卓越(combat superiority)と呼ばれる新しい仕組みに落ち着いた。それらは静的なボーナスでもかなり効果的に働いたが、それはファイターを際立たすほどのものにはならなかった。
戦闘卓越はファイターの戦闘技術を表現している。ファイターのターンに、プレイヤーは武器を使うファイターの技術を表現するいくつかのダイスを受け取る。たとえば、1レベルのファイターは1d4を受け取れるかもしれないし、5レベルになれば2d6を得られるかもしれない。プレイヤーはこれらのダイスを彼や彼女のキャラクターの戦い方に従い、いくつかの方法で使うことができる。戦闘卓越によってすべてのファイターは基本的に、成功した武器攻撃へのボーナス・ダメージとしてダイスを使用できるようになる。
君がダメージを与えるボーナスに加えて選べる他のオプションを見れば、これはもう少し面白いものになる。たとえば、プレイヤーが防御に特化したファイターは敵の攻撃で受けるダメージを軽減するためにダイスをロールするオプションを選択できる。プレイヤーはダイスをロールし、結果を合計し、受けるダメージからそれを引く。
他のオプションもプレイヤーにダイスを消費し、それをロールさせる。これらはファイターが瞬発力や筋力を爆発させる難しい技を使えることを表現している。たとえば、活劇剣士アルアリンのプレイヤーは、敵が彼への近接攻撃をミスしたときアルアリンが割込攻撃をするためにダイスを使うかもしれない。プレイヤーがベタニアを彼女の味方を守ることに特化させた盾巧者ベタニアは、味方が受けるダメージを軽減するためにダイスを使うかもしれない。そのプレイヤーは同様にベタニアの味方に命中した攻撃をミスにするオプションを選ぶこともできる。
戦闘卓越システムは私たちが最初に行なおうとした技とテーマのシステムの要素をいくらか削ることになるが、私たちはそれに満足している。私たちが考えているのは、ファイターが武器の専門家だということだ。他のクラスはこれらの能力の模倣を試みることはできるが、ファイターの能力を少ししか扱うことができない。たとえば、ファイターは特技で得られるものより良い二刀流を、戦闘卓越のオプションで選べるかもしれない。
背景やテーマのような方法では、ファイターのクラスは戦闘卓越のオプションをアーチャーやデュエリストのように、あらかじめひとまとめに設定しておくことで表現する。君はもちろんオプションを取って能力を選び、君だけの戦法を作ることもできる。現在のデザインで、君は2つのオプションを1レベルで、3、7、9レベルでそれぞれ1つのオプションを得る。
戦闘卓越の仕組みが目指すものは、かなり単純なものからプレイヤーが選んだ複雑なものまで表現に幅を持たせ、静的な仕組み(固定値のダメージへのボーナス)をもう少し動的に(ダイスをロールするのは楽しいんだよ!)、そしてファイターの象徴的な仕組みにすることだ。うまくいけば、君がプレイテストするときによい結果を出すだろうし、あるいは君たちがそれに風穴を開け、私たちをさらによい場所へ導いてくれる。
おまけ:進化する混沌
D&D Nextのプレイテストに参加している君なら知っているように、プレイテスト用の素材は古典的なアドベンチャーである『B2:国境の城塞』の混沌の洞窟を使ったものだ。ここでは君にちょっとした刺激を与えるため(そして君のプレイヤーが彼らの身に何が起ころうとしているのか正確にわかっているという強い確信を与えないようにする)に、ロバート・J・シュワルブからの素材を改造し、君のプレイテスト用キャラクターが挑戦しがいのある面白い状況を作って新鮮味を与えるためのちょっとした助言がある。
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マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ・アンド・デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。
2012年07月31日 ぼくらは誰も口をきくことができないけれど、エルヴィッサが何を地球の想い出にするかは明白だ。 [長年日記] 編集
§ [DnD][4e] 『Menzoberranzanプレビュー:ドラウの派閥(Menzoberranzan Excerpts: Drow Factions)』
バート・キャロル悪意に満ちたドラウの力ある名家は、堕ちた女神の目にかなうようそれぞれたゆみない努力を捧げており、メンゾベランザンこそそうした驕慢の頂である。だがしかし、その積み重なった利己、放蕩、そして悪徳の奥を覗けば、豊かな歴史、文化、そして芸術を持つ壮大な文明を見つけることができる。このたまらない美と罪の二律背反こそ、ドラウの社会への強力な関心を呼び起こすものだ。この本で紹介される高名なアンダーダークの都市メンゾベランザンは、かの有名なドラウのレンジャー、ドリッズト・ドゥアーデンの出身地でもある。しかしこれは彼の物語ではない――これは君たちが紡ぐべき無数の物語だ。
『Menzoberranzan: City of Intrigue』は最大級の汎用性を持つようデザインされた。たとえ君がダンジョンズ&ドラゴンズのどの版を使っていたとしても、君はこの本に書かれているほぼすべてのことがらがゲームで使えることを知るだろう。君はこの本でドリッズトが生まれるよりも前の年代でも、蜘蛛の女王の戦争のまっただ中でも、あるいは現代のフォーゴトン・レルムだろうが、キャンペーンを設定して運営できる。メンゾベランザンは君が望むどんな方法ででも使える、君と君のプレイヤーたちが探検できるすべてを備えて待っている環境だ。
今日の『Menzoberranzan: City of Intrigue』のプレビューで、私たちは『第3章:ドラウの派閥』の内容を見ていく。
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メンゾベランザンのキャンペーン
悪のドラウのキャラクターで陰謀と裏切りに満ちた冒険を行なうことは、ほとんどの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のキャンペーンとは大きく異なった経験になりえる。これら6つの特徴は『Menzoberranzan: City of Intrigue』のキャンペーンが提示する精神を簡潔に示している。
1.君はドラウだ
このキャンペーン・セッティングでは、君は休暇で蜘蛛の都を訪ねた地上の住人という二足のわらじを履くことはできない。違う、君は住人なのだ。ドラウにせよ奴隷にせよ、貴族の子弟にせよ庶民にせよ、メンゾベランザンこそが君の故郷だ。これは君にとって地上エルフの悪意に満ちた宣伝を無視してD&Dのもっとも象徴的で影に潜んだ種族のひとつをロールする機会になる。
2.悪による支配
メンゾベランザンは悪の巣窟だ。ドラウの文化は裏切りと殺人が当たり前であり、それは快楽を求める行為でもある。このセッティングのドラウは日ごろからデーモンと乱痴気騒ぎをし、流血を伴なう見下げ果てた行為に手を染める。ドラウ社会の信条は巧妙に提示されるが、プレイヤーが幻惑されてはいけない。メンゾベランザンの住民は邪悪で移り気な嗜虐主義者で、彼らは自分たちの地位を他者へ苦痛と惨劇を味わわせることで向上させようとしている。
3.ロルスこそが至高
ドラウ社会ではロルス教団ほど、他のいかなる勢力より根を張っているところはない。千年を越えるドラウの宗教儀礼には他の神性も存在しているが、すべてはロルスから派生したもので、蜘蛛の女王の影でかろうじて見ることができる程度だ。ヴァイラウンやゴーナドウアのようなものはいくつかの時代で信者を持っていたが、ロルスへの信仰――そして恐怖――のせいで、少数しか存在しなかった。彼女がすべてで、彼女は孤独、そして彼女こそがドラウの宗教の中心に立っている。
4.すべてに身分が
混沌より生まれる存在にもかかわらず、ドラウの社会は非常に根強い身分によって支配されている。すべてのドラウは他者――他のドラウも含む――を3種類に分けている。
- 強者、これらはなだめて懐柔せねばならない(少なくとも彼らに取って代わるまでは)。
- 自分を高めるために利用できる者、できる限りあらゆる方法で奪い続けるための存在だ。
- 弱者、単純作業か捨て駒程度にしかならない役立たずだ。
ドラウの目で見れば、毎日は君の身分を向上させるか、邪魔者を排除する新たな機会に満ちている。
5.秘密は財産
ドラウは無鉄砲に未知へと突っ込む無思慮な野蛮人ではない。事実、メンゾベランザン人と呼ばれるメンゾベランザンの住民は、彼らの努力が及ぶ限りで非常に注意深く計算高い。富と力は確かに重んじられるが、真にドラウが取り引きするのは秘密である。情報は力であり、それを使うことで彼や彼女は身分を超えた力を行使できるのだ。ドラウの陰謀は伝説的で、それらのうちでも長期に及ぶ策謀はメンゾベランザンのキャンペーンでもその一部に不可欠なものである。
6.ここはアンダーダーク
冒険は都市の中だけに限定されない。ドラウの数多き陰謀はプレイヤー・キャラクターをアンダーダークの暗い深みへと向かわせることができる。ドラウはその冷酷さと悪徳において名高いが、彼らの息の根すら止めるクリーチャーが世界の深淵には存在する。その危険性にもかかわらず、一部のメンゾベランザン人は深淵に溢れる富を利用する機会には躊躇しない。影の道近くの暗がりの領域、そしてその向こうでも、アンダーダークの冒険は待ち受けている。
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに塗り絵をした第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ブログもhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
§ バーバリー ブラックレーベル [お世話になります。とても良い記事ですね。 バーバリー ブラックレーベル http://burberry.himegi..]