ネコぶんこ


2012年07月13日 日本では消えることは許されない。 [長年日記]

§ [DnD][4e] 2012年02月19日『「ネームレス、お前の価値(時給)はここで決まる!!」と誰かが言った』

エスペランザ(エラドリンのメイジ/ブララニ・ウィンターソウル16):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。

グスタフ・トラップ(ヒューマンのシーフ/パラゴン・シーフ16):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。

セヴン(ドワーフのウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン16):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。

“名無し”(ウォーフォージドのバーサーカー/ウォーフォージド・ジャガーノート16):“風の王”ことパズズから切り離されていた権能が自我を持った存在。ルーンの力を反転させると暴走する。

パーティがカーレリアの街へ帰還して五日。人生を見つめなおす旅へ出ることにしたイドに替わってブレットから調整されたウォーフォージドの“名無し”が加入したパーティに、カッパーフィールドが依頼を持ってきた。事によっては高度な問題に発展しかねないが、彼らくらいしか頼ることのできる実力者もいない。そういう事件らしい。

冒険者が密かに通されたのはこの街を経済面で牛耳る交易商たちがさまざまな用途のために使っている屋敷が立ち並ぶ通りにある一軒の建物だった。

そこに待っていたのは、少女の外見をしたエラドリン。かつてこの街の評議会で議長を務めていたエラドリンのアルドミルと、いかにも一癖ありそうな仮面を被り外套で総身を覆った男が左右を固めているあたりで、冒険者は面倒事に巻き込まれたのを察した。

アルドミルに促された仮面の男は、地上の住民が見慣れていない面体を晒すのは忍びないと非礼を詫びた上で事情を語った。

彼はカーレリアが百年ほど前から続けている地上から遥か彼方、星の海との交易に携わる者で、今回の依頼人であるエラドリンを星の海で拾った。事情を訊くと、巨人に襲われたエラドリンの住む天の島へ助けを呼ぶため、なんとかひとり脱出したのだという。
「私らは地元の諍いに極力関わらないのが掟でして」

仮面の男が所属している商会は星の海狭しと手を広げて商売をしている。だからこそ、現場が下手に動いて他の星域では上得意かもしれない勢力とぶつかる事は避けねばならないら。
「ですが私も情がないわけじゃないし、この星には思い出がある」

どこか遠い目をするそぶりで仮面の男が語り、報酬を提示する。悪い額ではなかったため、冒険者たちは二日ほど馬に揺られ、依頼人とともにエルフたちが故郷である天の島への祈りを捧げる天光の森へと向かった。

目的は天の島へと祈りを捧げるための塚である。かつてエラドリンたちがこの星へ入植した時に使われた天の島と地上を繋ぐ“門”がそこにはあるのだ。エスペランザがそらで秘術を組み立て、“門”を正しく設定すると、地面から光の奔流が迸った。

光が治まった時、パーティが立っていたのは半球状の広間だった。“門”のある中心部は周囲よりも少しくぼんでおり、上ではフォモーリアンやキュクロプスが彼らを見下ろしていた。範囲攻撃を避けるためにエスペランザがフェイ・ステップで外に出て“名無し”がそれを護りつつ、グスタフとセヴンの二人は“門”の中から弓とダイレクト・ザ・ストライクで敵を倒していった。

エスペランザのディスペル・マジックに一度は阻止されるがフォモーリアンの秘術技師は島の中枢炉から“門”へアルコンを呼び出して増援とし、“門”にとどまったままの冒険者を叩きもしたが、その堅さですり潰しあいを制したのは冒険者の側だった。

“門”の部屋を突破したパーティは依頼人の案内を受け、生き残りが逃げ込んだ区画を目指す。その途中で彼らは木の根が変成した怪物から追われる娘を見つけるが、その娘はハグが変身したものだとも見破ったため、助けるそぶりを見せながら先制攻撃を決め、怪物とハグを空気が外部に排出されている壁の壊れた部分に向かって突き飛ばし、彼らがもがいている間にエラドリンたちの居住区へ滑り込んだ。

生き残ったエラドリンたちに歓迎されながら長老から事情を聞くと、彼は今回この天の島を襲った勢力におよその目星をつけていた。

それはかつて、この惑星に到達した第一世代エラドリンのひとり。自分たちより劣った地上文明を支配することで星に君臨しようとした派閥の盟主、“黒耀王”。だが、彼は未発達の地上文明をエラドリン文明に染めることで新しい可能性の発現を摘むことを嫌った多数派に破れ、放逐された。

その彼が幾星霜の時を経て、フォモーリアンなど祝福されざる者どもを引き連れて帰ってきたのだ。
「何でまたそこまでわかる」
「御座船を見れば一目でわかる。あんなものを使うのは宇宙でもかの君くらいのものだ」

ともかく、現在天の島はフォモーリアンの一部にほぼ占拠されているが、彼らを倒したところで外に停泊している艦隊から増援が来るだけである。すべてを相手にせず艦隊を撤退させるのが一番望ましい。

エラドリンが外壁の修繕や小規模な交易に使っている船もあるが、冒険者たちはフォモーリアンの軍船を一隻奪って敵艦隊に偽装して潜入する作戦で行くことにした。

パーティは通気口経由で港へ潜入すると、そこにはフォモーリアンの乗ってきた船が繋がれていた。もちろん、警備もそれなりになされている。

「シャッター潜って封鎖すれば遭遇終了してもいいDEATHゥ」
「やってみる価値はありますぜ」

最初はグスタフにグレーター・インヴィジビリティをかけるなど、隠密行動での突破を狙ったが、警備隊の中にいたボダック(The Shadowfell所収のBodak Death Drinker)が動けない状態にする攻撃を持っていることが判明すると、パーティの態度は豹変した。
「面倒だ、こうなりゃ皆殺しだ」
「生かして帰すな。顔を見られてる」

ボダックから何人かが瀕死に追い込まれるものの、開き直った大立ち回りでパーティは港の警備を突破し、船を乗っ取った。ここまではよかった。

だが、船は乗っ取ったはよいものの、星の海を行く船をこれまで動かした経験のある物はもちろんひとりとしていない。エスペランザが経験と勘を頼りに操作盤を叩き、グスタフが導線を切って火花で炉を駆動状態に持っていき、セヴンと“名無し”は腕力で強引に発射台から滑り出す勢いをつけさせる。

船はドワーフとウォーフォージドに尻を叩かれると軌条との間に火花を散らし、じりじりと前進した。そこへ充分暖まった炉が噴出させる力が加わる。

外で押し出そうとしていたふたりが危うく取り残されそうになるが、船は見事星の海へと滑り出した。そして、彼らはそこで見ることになる。
「ああ、ありゃあ確かに見ればわかる」

外界で彼らが見たのは、黄金に輝く四角錘という非常に独創的な形と色をした“黒耀王”の御座船と、その周囲に展開するフォモーリアンの艦隊だった。だが、まずは戦いよりも彼らから見つからぬよう船を反対側に停め、休息を取るほうが冒険者にとっては重要なことだった。

いつもの悪い病気が出た迷光仕掛け篇ですぅ。3.5eのキャンペーンでは星間商人でもあり工作員でもあるイリシッドのニンジャたちがPCと和解してカーレリアの近くにある元PCが領主を務める砦で交易を始めたけど、彼らのひとりかもしれない人物が今回は依頼人としてゲスト出演しましたぁ。

エルフやエラドリンが舞台となっている星へ蒔種船で入植したという設定も久々に出して非常にアレな顔をされ満足ですぅ。