ネコぶんこ


2012年07月20日 超活動的な一日。 [長年日記]

§ [Ludus] 『うた恋い。』のはなし

ここのところ深夜のパスタイムに百人一首の歌と歌人をフィーチュアしたうた恋い。を観ているですぅ。これの面白いところは歌のイメージを膨らませるだけではなく、人物と関係する典籍に取材し、それらを再構成して複数人を一個の物語に混ぜ合わせる手法を取っているので、伝奇として娯しめるものになっているところですぅ。

特に陽成院の回などは日本三代実録大鏡などから断片的なエピソードを引用しつつそれを一本の筋としてまとめ上げていて、非常に好感が持てたですぅ。

続く僧正遍昭の回でも、彼も題材のひとりになっていると考えられている深草少将の百夜通い伝説と結びつけ、小野小町の許への百夜通いが九十九夜で終わってしまった理由に持って行ったりと、中古文学で育った人間をくすぐってくる内容になっているですぅ。

ところで陽成院といえば古事談(続古事談だったかも)で神剣を抜いたら煙が出てきた話や、宇治拾遺物語の「滝口道則術を習ふ事」で天狗の術を習った話(今昔物語にも類話がある)、「陽成院妖物の事」に出てくる院の仙洞御所に棲みつく番人を空中に蹴り上げてから一口で食べる浦島太郎の息子の弟(うろおぼえ)など、伝奇のネタには事欠かない感じで実によい感じなので、誰か採り上げないものかと思うですぅ。