ネコぶんこ


2012年01月25日 シリウス・ソフトウェアは、ベトナム戦争から戻ってコンピュータ販売店を経営していたジェリー・ジュエルがカリフォルニア州サクラメントで設立した会社だ。 [長年日記]

§ [DnD][4e][HotEC] 『シャイル(Sha'ir)』

Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー

バート・キャロル

火と土を統べる者。風と水の王。Heroes of the Elemental Chaosは“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。

魔法を窮めるための道は多種多様である。ソーサラーは内なる力を喚び起こし、バードは物語と唄を秘術魔法への手がかりとするが、ウィザードの魔法は定義することである。ほとんどのウィザードにとって、魔法は分厚い書物に震える筆跡で記された隠秘学の図式と不可思議な表象による技法と複雑な配列の公式を学び、研究するものである。学習と集中に費やす歳月は、しばしば彼や彼女に成長をうながす厳しい導師につくが、ウィザードはこの学究期間をどんな個人的目標の追求にも使うことができる。

書生であることはウィザード――世界でもっとも有望な精神のために危険が約束されている生き方――への道でもっとも多いがそれはただひとつのものではない。ウィザードの呪文は体系的に学ぶもので、難しくなりしばしば見失いそうになるが、それらは発見し、発明すれば使えるものである。たとえほとんどのウィザードが先人の呪文書に呪文を求めていたとしても、他の源からこの種の魔法を得ることはできる。偉大なウィザードたちももちろんそうだが、強大な存在は不可解な奉仕と交換に、魔法知識を定命の者に貸し与えることがある。他の道も同様に存在するかもしれない。

以下の項では強い元素の主題を持ったウィザードの新しいパワーと、同じくウィザードのサブクラス、シャイルを紹介する。

ウィザード:シャイル

秘術の制御役:ジンのしもべが与える魔法を使い、君は生の元素の力をもちいて戦場を制御する。

主要能力値:【知力】、【耐久力】

シャイルは“元素の渾沌”の力を選別して彼らの呪文の魔法力とする。この種のウィザードは古代の公式と技術を調べぬくより、彼らが求める魔法知識のために元素の諸侯と交渉する。シャイルは直接これらの諸侯と取引はしない。その代わり、彼らはジンのしもべと呼ばれる元素の精霊を代理として立て、彼らのために取引を行なわせる。これらのしもべを毎日“元素の渾沌”へ送り込み、シャイルは創世の力を扱うのに必要な力と情報を補充する。

彼らの危険と隣り合わせで型破りな手法は彼らの評判とも結びつき、しばしば乱暴、強引として、シャイルは魔法界の非主流派とみなされる。他のウィザードは彼らが難しい訓練とウィザードのほとんどが一般的に行なう研究を行なっていないため不正をしているとみなし、シャイルに軽蔑と疑念の目を向ける。だが、この疑念は無知から生じるもので、たとえシャイルが魔法をジンのしもべから引き出していても、秘術の訓練は彼や彼女が得た力を扱うのに必要である。

シャイルは彼らの精神を神秘的な公式や秘術用語で乱さないため、彼らは他のウィザードよりも広範な呪文を扱うことができる。彼らはそれをジンのしもべに依頼するために呪文の基本構造を知っているだけでよい。ジンのしもべはその後“元素の渾沌”へと消え、そこでシャイルが求めた呪文を得るために強力な元素大公やクリーチャーと取引を行ない、呪文を発動できるだけのエネルギーも携えて間違いなくあるじのもとへ戻ってくる。こうしてシャイルはたとえ呪文書を使わなくても、彼らはウィザードの中でもっとも強力で広範な呪文を扱うことができるのである。

シャイルに魔法知識とエネルギーを貸す元素の諸侯は見返りのあてがなければそれを行なわない。シャイルはこうした理由でしばしば冒険者生活に足を踏み入れる。彼らはこの世界とその周辺で彼らの元素の主君の代表者、代理人、あるいはしもべとして活動する。認識しないまま平凡な探検に思いもよらない結末を迎えさせる目的のため、しばしばシャイルは彼や彼女が元素の存在のたくらみを進めていることを理解していないこともある。

シャイルの作成

シャイルはプレイヤーズ・ハンドブックで紹介されたウィザードの1種別である。シャイルの作成には、ルールズ・コンペンディウムあるいはプレイヤーズ・ハンドブックのキャラクター作成ルールを使用すること。キャラクター成長表(159ページ)には君のシャイルがそれぞれのレベルでどれだけのパワーと特技を修得し、能力値を成長させられるかがまとまっている。

シャイルはプレイヤーズ・ハンドブックのウィザードから次のクラス特徴が外されている。秘術装具体得、《儀式修得者》、そして呪文書。シャイルはこれらの代わりにジンのしもべおよび元素抵抗のクラス特徴を得る。

シャイルの概要

ヒット・ポイント:君のヒット・ポイントは10+【耐久力】から開始される。君はレベルを得るたびに4ヒット・ポイントを得る。

防御値へのボーナス:“意志”+2

一日の回復力使用回数:6+(【耐久力】修正値)

防具の習熟:クロース

武器の習熟:ダガー、クォータースタッフ

装具の習熟:オーブ、スタッフ、ワンド

クラス技能:〈看破〉(【判】)、〈交渉〉(【魅】)、〈自然〉(【判】)、〈宗教〉(【知】)、〈ダンジョン探検〉(【判】)、〈魔法学〉(【知】)、〈歴史〉(【知】)

訓練済み技能:〈魔法学〉、加えてクラス技能リストのものから3つ。

クラス特徴

シャイルは1レベル開始時に、次のクラス特徴を得る。

ジンのしもべ

元素魔法は定命のあるじに屈することはない。それらは元素のエネルギーに染まるか元素の諸侯との仲介役だけがその魔法を巧みに操れる。君は呪文の発動に必要な魔法のエネルギーを補給するため、小さな元素の精霊、ジンのしもべの助けを借りる。君は毎日、このしもべを“元素の渾沌”に遣わし、そこに住む強大な諸侯からこのエネルギーを盗ませ、乞わせ、あるいは借りさせる。しもべが戻ると、そのエネルギーは君の精神を満たす。

ジンのしもべは君自身の精髄から生まれた秘術の使い魔であり、その元素の肉体は永続的に一定の形状となる。キャラクターが持つジンのしもべは、使い魔と同様に扱われる。この使い魔は気味の魔法能力を拡大したり、特徴的な性格を持っていたり、下方次元界に対する君の知識を補佐するかもしれない。君のしもべが君の冒険で君のために果たす役割はたいへん大きい。

利益:君は《秘術の使い魔》の特技(142ページ)を得る。君はウィザードが通常選択できる使い魔か、以下に紹介されるシャイルだけの使い魔の中から1つを選択することができる。大休憩の終了時、君の使い魔は“元素の渾沌”での冒険から帰還し、君はウィザードの一日毎攻撃パワーあるいはウィザードの汎用パワーを1つ、同じ種別のウィザードのパワーと交換できる。新しいパワーはレベルを持ち、そのレベルが古いパワーのレベルと同じでなくてはならない。

ダオラニン

粗野と思えるほど禁欲的なダオラニンは、陰気で怒りっぽい相棒という傾向が強い。真実が刃のように切れるものだったとしても、彼らは真実を求める。ダオラニンは褐色や灰色の皮膚、黒みがかった髪、そして粗野な特徴を持つずんぐりしたクリーチャーである。彼らは戦闘において強く激しく、敵を押しとどめることに長けている。

ダオラニン 使い魔
粗野でがさつなダオラニンはその不愉快な性質を土の元素も現わさせることで埋め合わせにしている。
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。
移動速度:6
恒常的利益
アースズ・アップハーヴァル/大地激震
使用者およびダオラニンと隣接する地面は地渡りを持っていない敵にとって移動困難地形となる。
能動的利益
ギフト・オヴ・ストーン/石の贈り物
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、ダオラニンは隣接する敵1体を使用者の(【耐久力】修正値)に等しいマスまで押しやる。
エレメンタル・コンダクト/元素の導き
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。
ジニーリング

移り気なジニーリングにはしばしば予測できない性格を持つ。彼らは怒りっぽいが、忘れるのも速く、ちょっとした興味や判断に流される傾向がある。ジニーリングは小さく細い人型生物で、青い肌に白く乱れた髪を持つ。彼らははしっこいしもべで、風を君の敵を追い払う武器として使うことができる。

ジニーリング 使い魔
ジニーリングの移り気な性格はその意欲と君の仕事を助ける能力を媒介する妨げにはならない。
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。
移動速度:6、飛行:4(ホバリング)
恒常的利益
フォースフル・ガスツ/烈風招来
使用者は使用者かジニーリングと隣接する味方1体をマイナー・アクションで1マスシフトさせることができる。
能動的利益
ギフト・オヴ・ウィンド/風の贈り物
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、使用者はジニーリングに隣接したクリーチャー1体を2マスまで横滑りさせ、ジニーリングを2マスまでシフトさせる。
エレメンタル・コンダクト/元素の導き
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。
イフリートキン

攻撃的で意地が悪いイフリートキンは姿と気質が彼らの大きな親類に似ている。炎の髪、血の色をした肌、そして彼らの眉から生えた小さな角は、彼らを小さな悪魔のように見せ、実際にしばしばそうふるまう。彼らはいたずらをしては楽しみ、あるじに厄介ごとを引き寄せることで有名である。こうした傾向にもかかわらず、イフリートキンは頼れる戦いの味方で、多くのシャイルは彼らが持つ力のために彼らのいたずらを大目に見る。

イフリートキン 使い魔
イフリートキンの黒みがかった肌から発せられる炎の輝きはこのしもべが自然のクリーチャーに持つ悪意をほのめかせている。
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。
移動速度:8
恒常的利益
フレンド・オブ・フレイムス/炎の朋友
使用者は[火]への抵抗5を得る。
能動的利益
ギフト・オヴ・ファイア/火の贈り物
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、イフリートキンに隣接した敵1体は3+(使用者の【耐久力】修正値)に等しい[火]ダメージを受ける。
エレメンタル・コンダクト/元素の導き
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。
マリーダン

陽気なマリーダンは親しみやすく魅力的で、温厚なしもべである。彼らは水の元素のクリーチャーで、緑の肌と青い髪は彼らが深みに隠れるのを助ける。彼らはしばしば気位が高いが、脅迫などをするとマリーダンは簡単に慌てふためいて非協力的になるか怒り出すかもしれない。

マリーダンはもっとも信頼できる味方と考えられており、戦場においては彼らの力で敵の足止めを行なって攻撃の邪魔をすることができる。

マリーダン 使い魔
陽気なマリーダンは軽はずみに様々な状況に飛び込むが、そのこっけいなふるまいは決してその務めを遂行する妨げにはならない。
前提条件:使用者はウィザード(シャイル)でなければならない。
移動速度:6、水泳:6
恒常的利益
アクアティック/水棲
使用者およびマリーダンは水中でも呼吸が可能となる。水中での戦闘で、使用者は水棲でないクリーチャーに対する攻撃ロールに+2のボーナスを得る。
能動的利益
ギフト・オヴ・ウォーター/水の贈り物
使用者が秘術の一日毎攻撃パワーを使った時、すべてのマリーダンに隣接した敵は減速状態となり、使用者(そして使用者がマリーダンに隣接していたならばすべての隣接する味方)は視認困難を得る。この効果は使用者の次のターン終了時まで持続する。
エレメンタル・コンダクト/元素の導き
遭遇に1回、使用者は使い魔のマスを起点に秘術の近接範囲攻撃パワーを使用できる。
シャイルの初級呪文

シャイルのジンのしもべは訪れる力をほのめかして魔法を提供するが、それでもシャイルはより大きなわざを試す前に、基本の小さな呪文を最初に覚える。

利益:君は4つの初級呪文を選択して修得する(この本にも初級呪文が含まれている。Heroes of the Fallen Landsおよびプレイヤーズ・ハンドブックを参照すれば他のものもある)。

元素抵抗

君と君の使い魔は“元素の渾沌”から収穫した魔法として、君自身と君の同行者を元素のダメージから守ることを学ぶ。

利益:大休憩の終了時に、[酸]、[電撃]、[火]、[雷鳴]、あるいは[冷気]から選択する。次の大休憩終了時まで、能動的状態にある君の使い魔に隣接した君と君の味方はそのダメージ種別に対する抵抗を得る。抵抗は君の(【耐久力】修正値)に等しい。21レベルで、この抵抗は君の(【耐久力】修正値)の2倍となる。

パワー

君のシャイルは最初に君が選択した8つのウィザードのパワーを修得している。

  • 2つの1レベルのウィザードの無限回攻撃パワー
  • 1つの1レベルのウィザードの遭遇毎攻撃パワー
  • 1つの1レベルのウィザードの一日毎攻撃パワー
  • シャイルの初級呪文で修得する4つのウィザードの初級呪文

君がパワーを選択する時は、“元素の渾沌”の主題と強く結びついている魔法効果を持つ、この本で追加されたウィザードのパワーを優先するとよい。プレイヤーズ・ハンドブック秘術の書Heroes of the Fallen Landsなど、他の本でも他のウィザードのパワーが色々と掲載されている。

技能

君は技能でキャラクターの過去や経歴の多くの表現し、君のキャラクターが冒険者となった理由や何を望んでいるのかもほのめかすことができる。〈看破〉、〈交渉〉、そして〈はったり〉といった対人技能は君が取引、味方作り、そして他人を制御することが得意であることにできる。〈はったり〉の訓練は君が元素の存在をだまして手伝わせていることを意味でき、〈交渉〉は君がその存在を説得して正統な手段で手助けを得たことを示唆するかもしれない。

〈魔法学〉は君の魔法修行の基礎だったかもしれないが、〈自然〉、〈宗教〉、〈ダンジョン探検〉、そして〈歴史〉というような知識技能はより幅広い教育を表現する。〈ダンジョン探検〉を訓練すればかつて“彼方の領域”の勢力と接触したこと、そして君が彼らと戦うために伝統にとらわれない力の源を探すことになったことを表現できる。〈歴史〉は学問から始まったことを暗示している。おそらく君は大きな学院で技術を学んだのだろうし、そうした案は〈宗教〉を訓練することでさらに支えることができる。〈自然〉の訓練は君が荒野の混沌魔法の影響を受け、次元界との境界が薄い場所で元素の存在と接触したことを意味することもできる。

特技

一部の特技は開始時の君にとってより有用なものになる。装具を使うので、君の命中力を強化するようにデザインされた特技は君の敵を制御する能力に貢献するものとなる。《Orb Expertise》や、それに似たimplement training特技群は、君がヒットさせる機会を増やすので君は敵により大きな影響を及ぼせる。君がダメージを求めるなら、《Implement Focus》の特技で間違いは無いだろう。

Implement training特技群が戦闘で君の利益になるように、他の特技も君の要求を満たすことができる。《Aggressive Advantage》および《イニシアチブ強化》のような、Quick reactionの特技群は、君が敵の機先を制して戦場を制御する助けになる。《追加hp》、《回復回数追加》、《Resilient Focus》など、enduring stamina特技群は君が立ち続けることを確実なものにする。

《Elemental Synergy》や《なんでも屋》のようなlearning and lore特技群は君の知識技能をさらに強化する。《Child of Wind》のようなelemental特技群は、君の特殊な血脈を探索するという広大な可能性を開拓する。

装備

君はクロース・アーマーに習熟している。君は魔法を武器として使うため、君は自分自身が追い詰められるというまれな事態に対処するための予備武器としてしか武装する必要する必要は無い。

君はすべての初期キャラクターと同じように、100gpを使って初期装備を購入できる。君はまず装具を購入しなければならない。オーブはウィザードに強力な呪文制御を与え、ワンドは君の発動できる呪文の数を増やして正確さを高める。最後のスタッフは、君が攻撃より防御を重視するなら価値ある選択である。

バート・キャロル

バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版のMonster Manualが好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。

今日紹介されるのはAl-Qadimから4eにやってきたジン使いのウィザード、Sha'irですぅ。秘術装具体得や呪文書が消えている代わりに、ジンを制御力ブースタにしたり呪文を交換してもらったりするようになってるですぅ。