ネコぶんこ


2012年01月17日 「このゲームは商品として世に出すべきですよ。大化けするはずです」 編集

§ [DnD][4e][HotEC] 『元素魔法(Elemental Magic)』

Heroes of the Elemental Chaos』プレビュー

バート・キャロル

火と土を統べる者。風と水の王。Heroes of the Elemental Chaosは“元素の渾沌”とそこに棲むプライモーディアルなる存在に関連するプレイヤー・キャラクターを作成するための決定版ソースブックである。それは自然世界の英雄に元素がどう影響するかを示し、プレイヤーに元素を主題にしたキャラクター・オプションを提示する。

元素魔法

神学は創世に関わる多くの神話を記録している。多くの寺院では元素の諸王に対する神格の勝利を祝って祭り、神々とプライモーディアルの血で血を洗う闘争はフレスコ画や絵画としてそれらの壁や円蓋に切り取られている。忠実な信者に、プライモーディアルは忘却こそがふさわしい恐るべき怪物として映る。神々は彼らの脅威を倒して未来を手にした。

しかし、歴史は勝者が記述するものである。旧きプライモーディアルという存在と彼らを失墜させた天上の住人との戦に対する認識と感じ方は、神々とそのしもべたちが数千年をかけて築いてきたものである。神々は彼らの行ないは世界を現在の姿にするためだったと主張し、彼らの勝利を目的が正しかったことの証としている。

プライモーディアルの次元界を支配して形成しようとする野望は阻まれ、神々への信仰篤き者たちは荒れ狂う渾沌から世界を救ったことに感謝を捧げる。だが、プライモーディアルの元素の力が征服されたという物語は、危険な騙りである。

プライモーディアルはまだ生きている。彼らの肉体は――束縛され沈められ、封印された脱出できない玄室に、あるいはまどろみの中へ――封じられている。しかし、彼らの心と魂はまだ生きている。彼らは考え。彼らは企て。彼らは憎む。そして彼らの企て通り、プライモーディアルと“元素の渾沌”から流出した遺産である元素魔法は、ひそやかに多元宇宙へと広がっている。

元素魔法の性質

大小の魔法流派は世界や次元界のさまざまなところで発見できる。秘術、信仰、そして原始の魔法は古式ゆかしい魔法の流派で、彼らの起源は知られている限りで世界のもっとも偉大で闇の深い時だった。これほど有名ではないが強力な、サイオニック魔法――“彼方の領域”という外からの驚異から世界を守る――謎の力は融通無碍である。影魔法は他の流派を汚染し、彼らの死すべき魂のエネルギーを力の対価として要求する。

元素魔法は他の流派すべてに関わりがあるため、それらは簡単に分類できない。事実、多くの理論によればこれらの元素魔法はそれ自体では存在できず、それらは他のさまざまな魔法体系の産物として生まれ、それ自体が魔法力の源になることは無いと主張されてきた。

学者たちはこう言った

元素魔法という調和とかけ離れた力の問題は、古代から学者を悩ませてきた。ほとんどの魔法流派は元素の力を行使する方法を持っている。呪文と祈祷による電撃、雷鳴、酸、火、そして冷気は元素のエネルギーが表出したものである。誰もそのようなエネルギーの存在を否定はしない。議論の要諦は元素のエネルギーは媒介となる魔法体系抜きの独立したものとして行使できるのかということである。

どの説を支持する者もこの元素魔法によって生じる宇宙論的問題の宿題に取り組み、数百年間は形而下から形而上の議論へと追いやっていた。そして大魔道師モルデンカイネンは議論を解決しようと固く決意した。彼の弟子への講義で、このウィザードは元素の力の正体を、すべての魔法の根源――かつ魔法を世界に存在させる根幹――と仮定した。元素の力はあらゆる魔法流派の根幹をなし、それを扱うのに用いる方法論の違いが秘術、信仰、原始、その他もろもろの流派に分離しているというわけである。

誰もがモルデンカイネンの革新的な学説に同意したわけではなかった。八者の円の一員で大司祭だったリグビーは、いくつかの魔法は“元素の渾沌”を起源にしているかもしれないと認めた。しかし、彼はかような力が信仰魔法の基盤だということはありえないと主張した。プライモーディアルが神々を創造していないのは明らかで、神々はプライモーディアルとは違う彼らの力でアストラルの領界を形成した。信仰魔法が例外であるなら、モルデンカイネンの理論は無効になるとリグビーは考えていた。

モルデンカイネンは議論から決して退こうとはせず、現在では有名になったこのような書簡で司祭に対抗した「神々が本当に存在するなら、彼らがプライモーディアルに先立って存在することは論理的に不可能である。プライモーディアルの出現以前に形相や実体は存在していなかった。ゆえに、神々がプライモーディアルに創造されていないとすれば、彼らはどこかからこの実在空間へ侵入した存在である。実在空間へ進入した時、神々は“元素の渾沌”が生み出す生のエネルギーを使って不死の肉体を受肉したと私は確信している。元素の力は魔法の発生に対する決定的な源であるが、我々が今日の世界で見ることのできる流派はひとつの源から派生したものではなく、それを利用する方法論が違うものなのだ」

八者の円は自然法則を通じて元素魔法の起源を論じたが、この問題に対する決定的な意見は変節のウィザード、混沌のエミリコルから出たものだった。モルデンカイネンの理論を未熟、リグビーの反論を蒙昧と切り捨て、エミリコルは元素魔法は調和の力と離れて存在するものだという意見を主張した。秘術魔法、信仰魔法、原始魔法、そして元素魔法は個別のエネルギーが形作るものである。その違いは単に視点の違いである。

エミリコルはほとんどの魔法様式がその使い手以外に意味を持たず、そのような魔法体系はそれらの実践者が宇宙にどのような文脈を与えているのかに依存していると考えていた。呪文を発動する魔法使いのいない秘術の力は何だ? 神々の力を媒介するクレリック無しの信仰魔法は? エミリコルの視点によれば、元素魔法はそれの実践者から離れて存在している。“元素の渾沌”はその証明となっている。その次元界は生の元素魔法に満ちており、そこに住むクリーチャーはその力を扱える。

エミリコルはまたこの元素の力は常に他の魔法体系が利用する根幹にあるエネルギーで、分離することはできない考えであるとも述べた。ウィザードがコーン・オヴ・コールドの呪文で冷気の元素を出現させ、ファイアーボールでは火の元素を爆発させる。だが、これらの呪文は元素の力を制御しているわけではなく、そのエネルギーを形成する秘術の工程である。これらの魔法では直接元素のエネルギーを扱うことはではない。多くの流派のキャラクターに伝えられる呪文、思念、招力、そして祈祷は、元素のエネルギーを創造したり操作するものであるとエミリコルは述べた。

元素の影響

“元素の渾沌”とその果てしなく変化する風景を支配する存在を抜きにして創世がなされることはなかった。自然世界やその他の次元界にはそれらの創造主の指紋が刻まれており、それらすべての次元界の住人はまだ荒削りの実体を現在の姿に縛りつけた力を感じることができる。大地が鳴動する時、大海が荒れ狂う時、そしてあらゆる地が暴風で破壊される時、人はそれらの声を聞く。プライモーディアル――正しくは彼らの力のこだま――はいまだ世界に存在する。

エネルギーの残滓

“元素の渾沌”の自然世界への影響がっとも広範囲に渡って確認できるものは、神々とプライモーディアルの戦いで使われないままになった創世を行なうエネルギーの残滓である。巧みな創世は世界に刻まれている。堂々とした山脈、広大な海、原生林、蒼穹――すべてはプライモーディアルが生み出し、そして彼らの力はその被造物に残っている。

エネルギーの残滓は風と同じように、世界へと広がっている。ほとんどのクリーチャーは生の元素のエネルギーに遭遇せず彼らの一生をまっとうする。だが、目に見えなくても空気のように影響を受けることはある。あらゆる様式の魔法はこの見えざるエネルギーに繋がって瀕死の傷を癒すことから氷と火で一軍を一掃することまで、驚異的な結果を生じさせる。

元素の生命

原初の追放でプライモーディアルが世界のなりゆきに直接介入することはできなくなった。しかし、この古代の協定でも小規模な元素のクリーチャーが世界を越境することは少ししか防げない。

山麓から火山の頂に建設された要塞まで、あらゆる土地に古代のタイタンは潜んでいる。元素公たちは壮大な氷の城から彼らが生み出し文明圏を脅かす氷河を支配している。無謀な召喚術士はエレメンタル、ジン、そして他の破壊的なクリーチャーを定命の領域へと呼び出す。時折、暁の戦時代の遺物が発掘され、数千年間封印されていた元素のモンスターを再び大地に立たせる。このようなクリーチャーが開放された世界では、それらがどこへ向かおうが混沌と破壊が誘発される。彼らの中でもっとも強力なものは、彼らの旧きプライモーディアルの主が望むまま定命の領域を破壊することに興味を向けるかもしれない。

プライモーディアルのカルト

原始の精霊は微妙な均衡を守るために大いなる脅威のひとつであるプライモーディアルのカルトと戦う。強大なプライモーディアルの崇拝は、正常な考えを持っていると自認する人々のほとんどから異端として考えられている。彼らにとって、神々はプライモーディアルをかつての戦争で正々堂々と正面から破り、もし彼らが失敗していれば、創世そのものがなされなかったのである。

プライモーディアルの狂信者は歴史を別の角度から見る。彼らの視点では、完遂した自らの仕事にのみ創世した彼らの権利を主張するプライモーディアルは、神々よりも崇拝する価値があるとしている。定命の者が彼らの生を感謝するなら、それはかつて世界を作った元素の諸侯なのである。生涯をかけてプライモーディアルに仕えることを誓った者のほとんどは、追放者、不適合者、そして光と善性の敵である。こうした理由から、プライモーディアルのカルトは最悪の部類の信者を引きつけることになる。犯罪者、異常者、そして狂人で満たされ、彼らは神々への祈りで見つけ出せなかった何かを探す。

一部の者たちは自らの暗い欲望を正当化するためにプライモーディアルの信奉者となる。アイミックスは罪無き人々を燃やしても決して定命の者を責めないし、オグレモクは下僕が彼らの敵を生き埋めにしていると喜ぶ。他の狂信者も元素の生の力におぼれ、プライモーディアルを牢獄から開放したがるようになる。

宗教組織からの圧迫と広範囲にわたる拒絶はプライモーディアルのカルトを地下組織化させた。構成員は当局の目をひきつけることを恐れ、彼らの忠誠とそのような組織との関係を秘密にしている。カルトは疑惑の目を逃れて彼らの不浄な祝祭を行なえる秘密の場所へ集まるか、荒野に隠され続けているヒューマン最初の都市が建設される前から存在している古代の祭壇で崇拝を行なっている。イクチャラウ、ヘウールケト、そしてムアルターがこれらの集団の主な後援者で、彼らの名において大規模な悪徳がなされる。

プライモーディアルのカルトは社会秩序を弱らせ文明を弱体化させるが、彼らの代表的な最大の脅威は、プライモーディアルをその牢獄から開放することである。そうした行為は広範囲に影響をおよぼす。永劫の幽閉は多くのプライモーディアルを追い詰めて狂気へと落とし、彼らは残忍な恐怖へと成り果てた。これらの存在を自然世界へ召喚すれば――これは多くの教団が目標とするところでもある――世界を外方次元界の侵略から守る原初の追放は粉砕される。このような事件は、新たな暁の戦を起こしてしまう。

すべてが邪悪な終末を求める凶悪なプライモーディアルのカルトではない。ある種のカルトは名誉あるプライモーディアル――暁の戦に参加していなかったり、神々の側で戦った――のために設立される。彼らの信者の視点は、これらのプライモーディアルが彼らとともに創世を行なった神々よりも定命の者からの崇拝に値するいうものである。プライモーディアルは世界の正統な主で、彼らが倒した者たちを破壊できないことでそれを証明した、より力の弱い存在から簒奪されたのだ。

旧き元素の目のカルト

どんな他のプライモーディアルのカルトが世界にもたらす脅威でも、旧き元素の目のカルトに比べれば色あせる。このカルトのほとんどは悪の元素大公と関係しているが、彼らは強大で名状しがたき存在の代行者に過ぎない。旧き元素の目は“元素の渾沌”から追放された旧きプライモーディアルだと同志のプライモーディアルは考えている。その行動は次元界への足がかりを手に入れ、かつての目的――すべての終焉――へ再び邁進することを目指している。

このカルトは歴史上何度も、司祭が彼らの主を解放するための鍵を探索するために、闇の教団による武装蜂起を起こして文明の脅威となってきた。カルトはしばしば内紛と裏切りを呼び、崩壊もした。派閥制がカルトを支配し、それぞれが他に対する優位を得ようと――たとえそれが彼らの努力すべてを破壊することになろうとも――している。

カルトを利用しようとする他の勢力はこれらの軋轢を煽りたてている。さまざまな時代に、ザグトモイ、グラズト、悪のアイウーズ、そしてロルスたちは、彼ら自身の目的を達成するためにカルトを操っていた。

プライモーディアル

この項(そして最近のIn the Worksでのプレビュー)に記されるプライモーディアルは冒険者が後援者として選びうる主要な既知のプライモーディアルを簡単にまとめたものである。この一覧からは死んだプライモーディアルやそれらが完全に破壊的なもの、また圧倒的に邪悪な傾向を持った冒険者のグループに適さないものは除外してある。自然世界の原始精霊のように、プライモーディアルの力も拡大解釈でき、DMはそれぞれのキャンペーンに重要な新しいプライモーディアルを遠慮無く加えてよい。同様に、プレイヤーがキャラクターに選択したクラス特徴や能力に適合する新しいプライモーディアルを提案するのもよい。

元素大公

宗教の教えと古代の歴史に染まった多くの定命の者の考えは、力あるプライモーディアルは恐るべき力を持つ暴君に他ならず、好戦的な存在は創世での役割を終え、今は“元素の渾沌”のもっとも深い深淵にある、封印された脱出不能の牢獄に鎖でいましめられ幽閉されているというものである。彼らが開放されればどんな災厄を巻き起こすか知れない恐れと不安を喚起するもの――それでもこれらの危険を秘めた存在を、ひとまとまりの家族だろうと考えるのは愚かな短絡思考である。それは古代の元素諸侯たちの間に広がり、彼らが虜囚、追放、そして休眠する怪物という身の上になっても今日まで続くもつれた同盟関係や怨恨が原因ではない。

大霊として知られるある集団は、しばしばプライモーディアルとして数えられるが、様々な点で他とは際立っている。若干の伝承はこれらの存在が世界の創世やその後起こった事件にほとんど関与していないことを示唆する。大霊はプライモーディアルが最初に創造したしもべで、彼らが他の元素の存在を支配するように渾沌の力を吹き込まれたのかもしれない。

彼らの起源に関わらず、諸侯の中で大霊のみが暁の戦を生き延び、今日も彼らは定命の世界に影響を及ぼしている。多くの定命の者はかれらの存在を元素大公と呼んでいる。悪の大公はアイミックス、オグレモク、ヤンシービン、そしてオルヒドラなどを含み、小規模な悪のパンテオンを形成し、次元界を越えて暗黒と悲惨な終焉を求める崇拝者や下僕を集めている。善の大霊は、そのほとんどが暁の戦に反対し、神々の側に立って戦ったか、対立から身を引いた。神々は彼らを彼らの倒された同類と同じ末路を辿らせなかったので、結局彼らは自由のままでいることができた。しかし自由の対価は――善の大霊に浴びせられる拘束されたり封印されたプライモーディアルたちからのあざけりと憎悪だった。その結果、善の元素大公は彼らの大要塞に隠棲し、領域を遠く離れすぎることで、死んだり、休眠中であったり、あるいは幽閉されているプライモーディアルの諸侯に忠誠を誓った彼らの狂信者や元素のクリーチャーの復讐と直面しないようにしている。

封印されたプライモーディアル

定命の世界に原住する者がプライモーディアルについて考える時に思い浮かぶのは、彼らが追放されて封印された存在であり、二度と自然の領域を荒らさないということである。“追放されて封印された”一部は正解だが、神格は幽閉や。封印されたプライモーディアルが一様に示した固有かつ(彼らの希望である)強い適応力に骨を折った。より具体的なそれらの存在についての物語をここでは5つ紹介する。

自由なプライモーディアル

何らかの理由で、少数のプライモーディアルは暁の戦が終わっても神々の復讐を受けなかった。彼らが自由のままでいる理由は、その存在そのものと同じくらい変化に富んでいる。

既知のプライモーディアル一覧

プライモーディアルがどれだけ存在するかについては、誰にもわからない。宇宙の始まりに幾百が生まれ、彼らの名や行ないを定命の者の伝説が伝えるはるか昔に多くが暁の戦で殺された。最弱のプライモーディアルでさえ、もっとも強い定命の英雄以外を圧倒し、王国をたいらげる、恐るべき破壊の力を振るうモンスターである。最強のプライモーディアルともなれば神々でさえそれを恐れるほどに強い。

ここで紹介するのはもっぱらアイビアトリル世界で存在が確認されているものと、砂漠世界アサスで発見された1組を含む、多くのプライモーディアルの一覧である。暁の戦の主戦場は数多くあり、アイビアトリルとアサスも他の数多い定命の世界同様に神々とプライモーディアルの戦に苦しめられた。これらアイビアの(あるいはアサスの)プライモーディアルが故郷の世界を以外でも知られているかどうかは疑わしい。複数のプライモーディアルが似通った自然を支配しているのは、これらの存在が(数柱の神々とは違い)凝縮された自然であったり、肉体の存在が多元宇宙のある特定の角度に根ざしており、複数の世界へ同時に存在できないことを示唆している。

多くのプライモーディアルは大霊――広大な元素の領域を支配し、忠誠を誓う大量の下位クリーチャーがいる――に分類できる。この群は元素大公を含み、この項のはじめに詳述した。いくつかのプライモーディアルは人間から神格として崇拝され、パンテオンの一員に数えられている。たとえこれらの存在が本当は神格ではなくとも、彼らは自分の僧侶に元素の力を授け、定命の信者の主として崇拝される。アビスによって変異したか吸収されたプライモーディアルはこの一覧に含まれない。デモゴルゴン、オルクス、そしてバフォメットのようなプライモーディアルではないデーモン・ロードのクリーチャーはより詳細な記述がある。

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バート・キャロル

バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版のMonster Manualが好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。

かなり分量があって時間がかかってしまったけど、Heroes of the Elemental Chaosのプレビュー第一弾を訳したですぅ。

元素魔法がDnD世界でどう理解されているのか、(以前にも出された)プライモーディアルと世界の関わり、プライモーディアル名鑑という構成になっていて、PCの演出材料やシナリオフックの塊になっているですぅ。

特に後ろのふたつについては“元素の渾沌”を舞台にデーモン以外と戦うシナリオの非常に良質な材料になっていて、本番の本にも期待が持てるですぅ。


2013年01月17日 いかなる活動も、それを行うことによってとても有名になれるのでなければ、行う価値がないとする態度。 編集

§ [DnD][3.5e][4e] Rebuilding EN World

昨年末にクラックされた英語圏のRPGコミュニティサイトEN Worldが、サイト再構築の資金調達をKickstarterで行なっているですぅ。本来Kickstarterではウェブサイトの資金調達を行なえないけど、今回はコミュニティの有用性を鑑みて審査が通ったとのことですぅ。

資金はよりセキュリティが堅いシステムへのアップデートをするにあたり、ダイス機能や掲示板セッション支援など独自に拡張している機能のアップデートと新造をプログラマへ発注するために使われるそうですぅ。また、Kicking It Forwardによって利益の5%を他のRPG関係プロジェクトに還元することも告知されてますぅ。

出資は英ポンド(現在1ポンド約143円)によるもので、めぼしい特典は£25(約3575円)以上で得られるEN Publishingや協賛者からの各種RPG関係PDF($100以上相当)ですぅ。内容は主にDnD 3.5e、DnD 4e、Pathfinderのシナリオですぅ。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

§ barato vestidos de fiesta [If some 1 needs skilled look at on the topic of blogging a..]


2014年01月17日 編集

§ [Promiscuus] 体調が悪くて病院に行けない

時間に隙間ができるとすぐにぐったりするので時間がなく病院に行けない今日この頃ですぅ。


2017年01月17日 編集

§ [DnD][5e] 『レンジャーとローグ(RANGER AND ROGUE)』

Unearthed Arcana

マイク・ミアルスとジェレミー・クロフォード――2017年01月16日

2つのクラス――レンジャーとローグ――が今週、新たなプレイテストの可能性を得る。レンジャーが受け取るRanger Archetypeのオプションは2つだ。Horizon WalkerとPrimeval Guardianで、どちらもPlayer's HandbookのレンジャーとUnearthed Arcanaのレンジャーで使える。ローグが受け取る類型のオプションは1つだ。このScoutがUnearthed Arcanaでローグが既に得ているオプションに加わる。

新しいオプションを読み、プレイしてみて、そして君が考えたことを来週提供する調査で私たちに知らせてほしい。

この内容は、プレイテストと君の想像力をひらめかせるために発表される。これらのゲーム・メカニクスは草案の形式で、君のキャンペーンで使えはするが、洗練されたデザインではないし、すべてのゲーム開発過程を通ったものではない。これらはゲームの公式な一部ではない。これらの理由から、このコラムの内容はD&Dアドヴェンチャラーズ・リーグのイベントでは非合法となる。

アーティフィサーの調査

君が先月のアーティフィサーのオプションを読んで考える時間を与えられている現在、私たちは以下の調査でそれらに対する君の反響を得る準備ができている。

これから先の数ヶ月について

君にプレイテスト、議論、そして考えてもらうためのD&Dコンテンツを私たちはたくさん準備した。事実、私たちは何ヶ月かにわたって月に何度もUnearthed Arcanaを発表するための充分な原稿を持っている。月曜日に原稿を読もう。私たちは君が愛しているものを取り上げては純化し、私たちは君が好きではなかったものを取り上げ、それらを捨てるか再設計する。どちらの方法にしても、君からの反響は重要だ。

私たちの双方――マイク・ミアルスとジェレミー・クロフォード――は近い未来のためのUnearthed Arcanaに取り組み、Sage Adviceのコラムはしばらく休ませてもらう。一方、ジェレミーは公式なルールへの回答をツイッター(@JeremyECrawford)のほか、Dragon Talkポッドキャストの時間を使って新たなSage Adviceを提供し続ける


2023年01月17日 編集

§ [DnD] Open Game Licenseこれまでのあらすじ

これまでOpen Game Licenseはいかなるものかは語ってきたけど、その歴史を含んだ部分はほったらかしにしていたなと思い、おおむね時系列に沿ってD&Dのファン活動とOGLが果たした役目などを解説しますぅ。

要約したつもりだけどかなり長くなっちゃったですぅ。

ピープルズ対TSR

インターネットの商用サービスが開始された直後の1994年、当時ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)の版元だったTSRは複数のファンサイトにスキャンした製品の表紙を勝手に使っているなどの理由で閉鎖を求め、ファンが作成したコンテンツも自社が運営するサーバのみで公開するよう求めるなど、インターネットでのファン活動に対して攻撃的な対応をしていましたぁ。

実際にルールブックの丸ごとアップロードなどはあったけど、このあまりに強硬な態度はファンの間に「ネットでD&Dの話をするのは……」のような感情を生むことになりましたぁ。なお、このファン活動のポリシーは1997年に改訂されたですぅ。 そして1997年に多額の負債を抱えていたTSRはトレーディングカードゲームのマジック:ザ・ギャザリングをヒットさせて飛ぶ鳥を落とす勢いだったウィザーズ・オブ・ザ・コースト(WotC)に買収され、AD&Dの第3版に当たるD&D第3版(3e)の開発が始まることになりますぅ。

なお、WotCも1999年にハズブロの傘下に入ることになったですぅ。

D&D第3版前夜

D&D第3版の発売にあたり、WotCは「TRPGの価値はゲーム自体にあるのではなく、ゲームを遊んでいるコミュニティにこそある」、「多数の製品が市場に溢れると利益は細かく分割されてしまう」と考え、様々な戦略を練っていましたぁ。つまり、D&Dのユーザ数を増やし、占有時間を大きくすることがより大きな利益をもたらす市場の支配に繋がるという考えですぅ。

ここで取り入れられたのが、当時のコンピュータ業界で大旋風を巻き起こしていた、よりよいソフトを作るためにソースコード(ソフトの元になるファイル)を広く公開し、色々な人がそれを改変したり検証したりできるようにするオープンソースの概念ですぅ。

当時WotCの副社長だったライアン・ダンシーという人は、これにヒントを得てD&Dの中心になるルールを広く公開し、誰もがD&Dのシナリオやサプリメントを作り、配布したり売ったりすることができるようにすることを考ましたぁ。彼はOpen Gaming Foundationというサイトを設立し、WotCはその理念に沿う形でコンテンツの再利用を妨げないためのライセンス、Open Game Licence(OGL)を作ることになったですぅ。

また、これは製品展開が止まったり、会社が潰れたり、権利者がろくでなしでもD&Dの一番大事な部分はコミュニティに残され、訴訟などの心配なくゲームのともしびを継いでいけることを願った方舟でもあったですぅ。

なお、権利者そのものがライセンスを作成、管理するのはライセンスの恣意的な改変を止められないので、お飾りでもライセンス管理団体を置き、権利者はそこのライセンスを使う形が望ましいとされている余談をしておきますぅ。

これら一連の動きは、1990年代半ばにTSRが行なったサイト閉鎖要請やユーザ作成のリソースを独占しようとするサーバなどで生まれた、D&Dの話題やデータを扱うのが危険という空気を払拭するための意図もありそうというのが私の印象ですぅ。

D&D第3版の隆盛

そして2000年にD&D第3版は発売され、Open Game Licenseに準拠して再配布、再利用可能なD&Dのルールやデータを収録したSystems Reference Document(SRD)が配布されましたぁ。

果たして結果はといえば、D&Dの復活と門戸の開放は人々を大いに湧かせ、D&D互換のゲームばかりで市場から多様性が失われると批判されるまでのブームを巻き起こすことになったですぅ。

2003年にD&D第3版を改訂した第3.5版が出て、いつかルールが改訂されるD&Dのサードパーティであることのリスクが表面化したり、市場にD&D互換製品があふれた過当競争で少なくない脱落者が出たりもしながらもOGLの理念と実績は市場に浸透し、同じように再配布、再利用可能な形態で製品を発表するTRPG会社も増えることになりましたぁ。

こうした動きは誰もがインターネットという公開された場でファン活動やアマチュア出版をする土壌が整っていった2000年代の時代背景にも合い、OGLで開放されているSRDを使ったリファレンスサイトや、OGLでデータを配布するファンサイトなども多く生まれることになったですぅ。

そして2007年に完全新作のD&D第4版が近日発売とWotCが発表すると、それまでD&Dのサポート雑誌を発売していたPaizoは、D&D第3.5版に近いプレイ感覚のパスファインダーRPGの開発を発表することになりましたぁ。このパスファインダーRPGの発表は種族名やクラス名、ACやセーヴィング・スローなどの専門用語がOGLのもとで法的リスクが少なく利用できるからこその出来事で、D&D第3版が残した最大の遺産なのかもしれないですぅ。

半ば門戸を閉ざしたD&D第4版

2008年には完全な新版のD&D第4版が発売され、その数ヶ月後に新たなライセンス形態であるGame System License(GSL)が発表されましたぁ。

しかしこのGSLはこのライセンスでゲームを出したいならOGLでの製品展開を打ち切らなければならない条項がついたもので、GSLの下で公開された第4版のSRDは、ルールブックの中にあるユニークな用語が列挙された、それ単体ではゲームに使えない単語リストのようなものだったですぅ。

WotCのこうした動きは受け入れる企業もあれば、それならばとパスファインダーRPGやその他のD&Dの旧版をクローンしたルール(これもOGLで権利関係がゆるやかになったからこそ広く世に出回った)を新たな市場として求めた企業もありでサードパーティ市場は分裂しましたぁ。

その結果としてD&D第4版のサードパーティ市場はあまり振るわず、2014年、D&D第5版が登場することになりますぅ。

D&D第5版とOGLの復活

大胆に世界設定やルールを変えた第4版は否定する声も大きく、その声に配慮したのかD&D第5版は旧来のファンにも配慮する目配せをした復古調のバージョンとして世に問われましたぁ。

そして2016年にWotCはOGLの下で第5版のSRDを配布し、D&D第5版互換の製品がサードパーティからリリースされることになりますぅ。

また一方でWotCはDungeon Masters Guild(DMsG)というファンコンテンツの販売サイトを開設し、サイトの取り分とWotCの取り分で50%のライセンス料を支払えば、D&Dというブランド名や世界設定の固有名詞などを自由に使えるようにする施策も打ちましたぁ。

歴史は韻を踏む

2022年、WotCはD&D50周年の2024年に発売される新版、開発コードOne D&Dを発表してプレイテストを開始しましたぁ。

それと並行するように一部のニュースサイトは噂として、One D&Dはサードパーティ向けライセンスがOGLではないのではという報道を行ない、WotCはそれを否定したですぅ。

また、この頃WotCの親会社であるハズブロの社長が、D&Dの収益化はうまくいっていないなどの発言を行なっていますぅ。

そしてWotCは年末に近々新たなOGLであるOGL 1.1を発表すると公式声明を出しましたぁ。

しかしこれは、これまでルールシステムの電子ゲームへの転用などほぼ何にでも使えたOGLから大きく権利の幅を縮小し、権利料の徴収も視野に入れた“Open”とは名ばかりのライセンスになる予定だと明かされたことで、ユーザからは大きな不信感を持って迎えられることになるですぅ。

そして年が明けて2023年になると、ニュースサイトのGIZOMDEはリークと称してOGL 1.1の内容に従来バージョンの1.0を終了させるものが含まれていることなどを発表し、これまでのコンテンツも新しいより不自由なライセンスになるのか、ハズブロの思惑はこれかなど、ユーザサイドからの不信感に火がついてSNSで大規模な炎上が始まったですぅ。

これに合わせてPaizoは新たなライセンス形式であるOpen RPG Creative License(ORC)の準備を発表、これにはKobold PressやGreen Ronin PublishingなどこれまでD&D第5版でWotCのOEMをしていた会社も賛同し、大きなうねりになっていますぅ。

そしてWotCは1月14日に自分たちはゲームの善き管理人でありたい、今までのはあくまでもドラフトだったという声明を発表したものの、それじゃあロイヤリティを安くするからと調印を迫った事実はどうなるのかというようなリークが出て、事態は泥沼に……というのが現在のOGLを巡る状況ですぅ。

余話:リチャード・ストールマンとフリーソフトウェアとオープンソース

1980年代、MITのリチャード・ストールマンという人はソフトウェアは自由であるべきだとし、ソフトウェアを複製する自由、ソフトウェアを配布する自由、ソフトウェアを変更する自由、ソースコードを見る自由、そしてソフトウェアを有料で売る自由すら包含したフリー(自由)ソフトウェア運動を提唱しましたぁ。このフリーは金銭的無料ではなく、権利としての自由のことですぅ。

その結果、当時主流だったコンピュータ会社によるソースコード非開示のソフトウェアだけではなく、フリーソフトウェアでそれ並みの機能を持つツール群がこつこつと開発されていくことになるですぅ。

そして時は流れて1998年、マイクロソフトのInternet Explorerに押されたNetscapeはソースコードが開放された自由参加型のソフトウェア、オープンソースソフトウェアとして新たなブラウザのMozillaを提唱しましたぁ。

ただ、オープンソースはよりよいソフトウェアを作るという目的のための自由で、倫理的な自由ではないとリチャード・ストールマンさんは指摘しているですぅ。

これらの思想を見ていたのが当時WotCの副社長だったライアン・ダンシーさんで、こうした考えがOGLに輸入されることになるですぅ。