2012年01月15日 というよりも、リチャードの住む地域にはゲーム業界というものがなかった。 [長年日記]
§ [DnD] 『ダンジョンズ&ドラゴンズ興亡記:未来(The State of Dungeons & Dragons: Future)』
グレッグ・チトー|2011年12月30日、午後11時Daunted by the release of the 4th edition of Dungeons & Dragons in 2008, the future of the roleplaying game industry is unclear. The core books of 4th edition sold well, and the game is still popular among a large section of players, but detractors used memes like Hitler's speech from Downfall to illustrate their rage , while game designers like Justin Alexander carefully examined why the dissociated mechanics of 4th edition didn't work for him. The nerd rage has dulled a bit in the three years since 4th edition, was released, but the tabletop RPG industry is still reeling.
未来のD&Dの霊
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版の発売は落胆をもたらし、ロールプレイング・ゲーム業界の未来は不透明だ。第4版のコア・ルールはよく売れ、ゲームも大部分のプレイヤーに人気があるが、批判する側は『ヒトラー~最期の12日間~』でヒトラーが行っていた演説のように怒りを示したが、その一方ジャスティン・アレキサンダーのようなゲーム・デザイナはなぜ第4版のさっぱりとしたシステムが彼のために働かないのかを慎重に考察した。おたくの怒りは第4版の3年に発散され続けて若干鈍ったが、テーブルトークRPG業界はまだ迷走している。
ミアルスは第4版をバランスの取れたゲームにしすぎたかもしれないと認めた。
「D&Dの断絶は兆しだ」WotCで現在『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の開発を指揮するマイク・ミアルスは言った。「私はデザイナがRPGの真髄を信じなくなったと感じている」
ミアルスはOGL(オープン・ゲーミング・ライセンス)時代から出版に関わり、その間は非常に多作なフリーランスのデザイナだった。大勢の批評家とゲーマーはミアルスの『Iron Heroes』システム(2005年)をもっとも創造力に脂が乗っていた時代のひとつと考えている。彼はまもなくWotCに雇われ、ビル・フラヴィセックとその同僚のデザイナ、アンディ・コリンズとロブ・ハインソーに率いられるチームで、第4版のデザインに深く関わった。彼らが去った後のは2011年、ミアルスは第4版とD&D旧来のプレイヤーを近づけるための指揮を任された。彼がたとえずっと以前から開発に関わっていたとしても、TSRの赤箱に敬意を払ってイラストを使った第4版の赤箱は、ミアルス流のよく考えられた和解の象徴かもしれない。新しい赤箱の目的は旧世代に第4版が新たに向かおうとしている方向と、それでも80年代に彼らが愛したゲームの血脈を継いでいると示すことだった。
「私はRPGについての方法論を持っている」ミアルスは言う。「(1989年に)第2版が物語に大きく傾いた時、我々は私が第1次RPG衰退期と呼ぶものの中にいて、それは物語が原因となっていた。これはDMが君に物語を開陳し、君はA地点からB地点、そしてC地点へ行く。物語は線形で語り部(DMがそうである)が語るままの静的な物語で、君は時々ダイスをロールするだけになるだろう。第3版の出版でそれはプレイヤーが考えていた『そんなのはごめんだ』を表明し、我々は君にDMとプレイヤーへ柔軟性を与える本当にクールなオプションを提供してきたつもりだが、これは意味がある選択だった」
「私はかつてと逆の方法で、我々が第2次RPG衰退期の引鉄を引いたと考えている」彼は続けた。「それは今この時で、プレイヤーは力を持ち――DMは裁定者でしかなくなり――そしてDMはプレイヤーの発言を否定できなくなっている。(ゲームが)DMから離れており、それは他の種類のゲームがもっとよくやれる分野なので私は懸念している。ルールを厳格に適用するなら、私はボード・ゲームをプレイするだろう。なぜ、DMはものを考える人間ではなくなってしまったのだろう?」
ミアルスは第4版をバランスの取れたゲームにしすぎたかもしれないと認めた。「我々はRPGがRPGであることへの信頼を失っていた」彼はそう言って、第4版が想像力を制限した中でゲーマーを満足させ、活発な人を抑圧していたのかもしれないと認めた。「我々は悪いゲームをするグループを恐れ、悪いゲームをするグループも含むすべてのプレイでよいゲームをして欲しかったが、君は楽しめただろうか」
この哲学の結果、おそらく以前にもまして、ゲーマーはウィザーズ・オブ・ザ・コーストが発売する公式のD&D以外のゲームをプレイするようになった。「異なる版同士と古典派と現代派、第3.5版と第4版の対立が現在のD&Dの顔、まるでコミックの伏線のようだ」ミアルスはシルバー・エイジ(訳註:アメリカン・コミックスの第2次ブーム)の『キャプテン・アメリカ』と現在の劇場版『キャプテン・アメリカ』のあらすじを引き合いに出して話した。「我々はなぜこれらの人々すべてをひとつにまとめ、現実的なコミュニティにしなければいけないのか、より小さな互いの干渉がない別々のコミュニティではだめなのか?」
ミアルスは彼が送り出したゲームを人々がプレイしたがり、オンライン・ポータルのD&D Insiderで執筆したコンテンツが人々の読みたかったもので、自分の仕事をよくやったと信じているが、問題は――それがますます――難しいことになっているということである。
それぞれの顧客に対応するため、WotCはもはや遊びが無いほど詰め込んだ版や受け手の許容量を試すようなやり方を行わず、想定されるプレイヤーに向けてそれぞれ異なるゲームを提供する。
「人々は嘘に耳を貸さない」彼は語る。「人々が興味を引いたものにかけられる時間はより少なくなった。君が想像力に恵まれたロールプレイヤーの相手をしていても、彼らはそれを受動的に見ているだけではない。彼らにも普通に望みがあり、扱いづらい。彼らは欲しいものが欲しく、君が彼らにそれを与えないなら大声ではっきりと『君は友達を騙したんだな、僕はこんなものいらない!』と言うだろう」
ウェブやコンベンションでの質疑応答でWotCがどう違っているのかを指摘する反響が無いわけではないが、ミアルスは細心の注意を払っていると言った。たとえば、内部で情報を収集して集計した結果D&Dプレイヤーの2/3が4つの主要な種族――ヒューマン、エルフ、ドワーフ、ハーフリング――でプレイしていたので、人々が主に興味を持っている場所へゲームの焦点を移動させていった。ミアルスはエッセンシャルズの製品――厳選して簡単にした第4版のルールをまとめ直した書籍――を考えてD&Dプレイヤーすべてを結びつける共通言語にしようとした。「君は誰かが部屋に入ってきて『やあこんにちは、僕はシャードマインドのシーカーをプレイしているんだけど』と言って『なにそれ?』と返されるような状況を望んでいないだろう」彼はそう言った。「私は何をすべきかわかっていたが、それは『プレイヤーズ・ハンドブック』ですらない。もし君にとって(出版物が)あまりにも多かったら、その共通言語は消滅してしまう」
WotCもここ数年でD&Dゲーマーすべてが同じではないことを理解した。第4版の戦術的なゲームプレイを愛する一方、単に毎週彼らの友人と壮大な物語に参加したい需要もある。一部のゲーマーはゲームのセッションにつぎ込む多くの時間が無い一方、嬉々として彼らの時間をD&Dのプレイと読み込みに費やす人々もいる。それぞれの顧客に対応するため、WotCはもはや遊びが無いほど詰め込んだ版や受け手の許容量を試すようなやり方を行わず、想定されるプレイヤーに向けてそれぞれ異なるゲームを提供する。
「D&Dはひとつのゲームではなく、ゲームの環境だ」とミアルスは言った。
現在のWotCは多様な戦略をとっている。手早く導入して遊びたいプレイヤーに向け、WotCは現在、第4版を単純化したルールを使い、1~2時間で終了できるようにデザインした3つのボード・ゲームを提供している。2011年後半に発売された『レジェンド・オブ・ドリッズト』はR.A.サルヴァトーレの象徴的なキャラクターで新プレイヤーを呼び込もうとしている。D&D Encountersは毎週の催しで、プレイヤーはゲーム店で新規参加者にも優しくデザインされたセッションで完全なロールプレイング・ゲームの手ほどきを受け、そして最近ベータ版が始まったフェイスブック・ゲームの『Heroes of Neverwinter』は簡単にD&Dのプレイ仲間を見つけられることを狙いに入れている。
目を転じればウィザーズの収益部門はミアルスがその収益性を模倣するのが困難な『マジック・ザ・ギャザリング』である。マジックはXbox Liveのゲーム、『Duels of the Planeswalkers』の成功で人気を後押しされた。多くのプレイヤーはデジタル・ゲームにはまり、その後カードのブースタをー――20ほど――購入する。「今ぶつかっている難問はそれだ、D&Dに『Duels of the Planeswalkers』はあるのか?」そうミアルスは話した。
こうしたゲームを展開することについての問題は、今年(2011年)まで、アタリがD&Dのデジタル表現について独占的使用権を保有しており、アタリは既に進行中のゲーム以外に興味を示していなかったことにある。2011年8月、2社はその問題を解決し、D&DについてWotCはマジックのDuelsと同じくらい成功するゲームのため、他のビデオゲーム開発元に依頼して自由に独自のゲームを展開できるようになった。
これらの動きに共通するのは、WotCのカタログにあった大きな穴にあたる部分、それらのゲームを原体験とするプレイヤーに向けた製品のようだということだ。「およそ40歳のゲームに取り組んでいる今、我々は複雑さの終わりを見た。D&Dは版ごとに複雑さを増していったが、我々は最初のD&Dに立ち返る必要がある」ミアルスはWotCが旧版を復刊して“古典復興”により数多く発売されたレトロクローンと直接対決することを主張しているわけではない――しかし言いたいことはある――が、彼は会社が人々を魅了したゲームの原点に戻ることを望んでいる。
「多くの要素はD&Dが現状から再躍進できるか否かにかかっている。ゲームに数年混乱した時期はあったが、WotCが方針転換すれば誰もが助けるだろう」
「D&Dをプレイしようじゃないか」と彼は言った。「邪魔になりそうなすべての無駄を取り除いて、『さあ、我々は君たちがゲームでやりたいことをやるために色々な方法を準備した』と人々が望むものを出したい。それのために人々が成長して追いつくのを待ったり、だまして勧誘するようなことがないものを。ロールプレイング・ゲームが素晴らしい誕生を、D&Dが素晴らしい誕生を迎えて触れた時に戻ろうじゃないか」
最後の改定から3年しか経っていない時に、D&D第5版について話し始めるのはあまりにも早く、これらの話は刊行物をすべて買ってきた顧客をさらに怒らせてしまうだろう。それどころか、ミアルスは分裂した受け手を再結集させるために新たなニッチの要求を満たすことにもあまり熱心ではない。しかしPaizoの『Pathfinder』、“古典復興”の多様なゲーム、そしてクリス・プラマス率いるGreen RoninのRPG製品が既に彼らのコミュニティを、第4版の失点でヒット・ポイントを失ったウィザーズ・オブ・ザ・コースト社員からのおためごかしよりきちんと支えている。
「多くの要素はD&Dが現状から再躍進できるか否かにかかっている。ゲームに数年混乱した時期はあったが、WotCが方針転換すれば誰もが助けるだろう」とプラマスは言った。
健全なRPG産業の一番大きな指標はブランドが成立しているということだが、プラマスはGreen Roninがルールブックを出版し続けることについて楽観的だった。「私は少なくともひとつくらい、もしかしたらそれ以上のこの業界を――変える革新――があると思っている」彼は言った。「我々は手を尽くしてここに居続け、面白いゲームやペンと紙を使うRPGすべてを盛り上げていけると思っている」
Paizoも同じように革新を続ける一方、『Pathfinder』を成功させた原則への依存を強めている。「卓上ゲームは今後多くの技術との統合が進み、“ペンと紙を使う卓上ゲーム”は、多くの場合ペンや紙、テーブルすら必要ではなくなるだろう」Paizoに勤めるエリック・モナはそう語る。「私はPaizoが卓上趣味の5年先10年先にも先行者たれと思い、それをゲームの新しいアイデアと新しい表現で推進するが、常に物語を第一に置く」
すべてのゲーマーがそこまで楽観的なわけではない。「私は既にテーブルトークRPG市場が一種の死を迎えていると考える。商業として生き残ることができるひと握りと、それ以外の人々への分極化が起こっているというわけだ」ウィザーズの元RPG部門副責任者でWhite Wolf/CCPの広告指導をしているライアン・ダンシーは言った。ダンシーはD&Dの第3版時代が訪れる前にOGL開発に尽力したが、彼はRPG業界が鉄道模型のように死んだ趣味になることを予見している。「業界はより多くの可処分所得を得るまで育った趣味人に献身的なまま、趣味にかかる費用はそれら年寄りの趣味人以外誰も手が届かないようになり、子どもは鉄道で遊ばなくなった。結局それは減少傾向の趣味人に売っていく、非常に高価な製品で金のかかる趣味となった。彼らは死に、趣味は縮小する。これがテーブルトークRPG業界に起こっていることだ」
読者がたとえどんな版やゲームをプレイしていたとしても、テーブルトーク・ロールプレイング・ゲームは読者がダイスをロールし、楽しみを得る、友人と遊ぶための乗り物である。卓上業界の現状でもっとも嘆かわしいところは――ミアルスが示唆したように――ゲームをプレイすることそっちのけで、ゲーム・デザイナ、出版社、そして普通のゲーマーまでもが、それぞれのゲームがどれだけ売れ、そのゲームはどれだけ出荷されているのかを書きたてているところだ。現在の第4版が立ち上げられた時に飛び交った罵詈雑言はゲーマーにいやな後味を残した。健全な競争はどんな業界にとっても好ましく、そして電子出版と安価な印刷費は、『Pathfinder』と『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のように素晴らしいアイデアを持ったゲーム出版社が確立しているブランドと戦うことを簡単にした。ダンシーが語ったように受け手の高齢化が趣味にとって不健康な結果をもたらすなら、多くの異なったテーブルトークの方法論を持ったゲーマーがいる現状、コミュニティの分散は良いことなのかもしれない。D&D、そしてロールプレイング業界全体としても、過去数年は困難な時期だったが、前方には大きな輝きがある。ファンタジー冒険物語の登場人物のように、困難な時代を越えることで我々は強くなる。怒りと恨みにも負けず出版された第4版は、楽観的に考えると未来のRPGがここに芽吹いたことを示している。私たちはファンタジー・ロールプレイングがガイギャックスとアーンソンの頭でうなりを上げ、各地のゲーマーがその想像力を継いで以来、見たこともないような卓上ゲームの黄金時代直前に生きている。
一日間があいてしまったけど、『The State of Dungeons & Dragons: Future』の翻訳ですぅ。4e発売からエッセンシャルズ立ち上げ、そしてこれからの展望を述べた内容になっているですぅ。
この連載は尺やわかりやすさの関係からか4e対旧作の構造を強調したり、一ユーザが単一のシステムしかプレイしていないような見解など疑問に思う点も多いけど、現在までの歴史を概説したものとして有用だと感じたですぅ。