2014年05月17日 [長年日記]
§ [DnD][4e][BoVD][Liber] ロバート・J・シュワルブ『不浄なる暗黒の書』、「Dungeon Master's Book」
「Dungeon Master's Book」の内容は、悪とは何か、キャンペーン運営ガイド、地形や罠などの遭遇用データ、新モンスタ、魔法のアイテム、シナリオになっているですぅ。こちらの本は冒頭でも説明されるように、敵役の創造と悪のPCによるキャンペーンの両方をサポートするものになっているですぅ。
また、これは「Player's Book」でもそうだけど、ところどころにアスモデウス、ザギグ、アイウーズなど錚々たる面々の言葉が引用されているのもこのサプリメントのニヤリとさせてくれるところですぅ。
悪について
最初の二章ではゲームにおける悪とは何かが詳しく解説されていて、悪はその行動でさらなる悪を呼ぶこと、何かのために手段を選ばなくなる支配、小さなことから徐々に慣らして堕落させる腐敗、そして悪に訪れる末路であり不浄なる暗黒が最終的な目標にしているすべてを滅ぼす滅殺が悪が増殖する例として挙げられているですぅ。
設定面で目を引くのは、宇宙創生の戦いは混沌のプライモーディアルと秩序の神々のぶつかり合いに過ぎず、最初の悪はタリズダンが宇宙にもたらした虚無であり、善はそれに対抗して生まれたという不浄なる暗黒の書の信奉者が支持する説ですぅ。これは悪の存在を他よりも大きくしつつ、プライモーディアルと神々が共闘する敵にもできるいい設定ですぅ。
悪のPCを使ったキャンペーンについては「Player's Book」と似た内容で、主要クエストを共通にしたり、PC同士に友好的な関係を結ばせたりするようにDMからも働きかけることの重要さが結構な長尺で念押しされていますぅ。
具体的なシナリオやキャンペーンの作成については、隊商を襲う、英雄を殺す、神殿を破壊するなど簡単なシナリオのアイデア、征服や神殺しなどキャンペーンのテーマについての説明、英雄級から神話級までのあらすじが書かれたキャンペーン・アークといったフックが掲載されているですぅ。
遭遇
遭遇についての章では、敵に目的や遭遇内に条件を設定して敵の悪さをより際立たせる方法や、自分を召喚した人物を殺してから遭遇を始めるデーモン、瀕死状態のPCへ積極的にとどめの一撃をする、演出や行動で遭遇の中に物語を組み込んでいく方法が例示されているですぅ。
追加されているデータの地形、呪い、病気、罠と危険要因は、いずれもエッセンシャル後のPCにも充分な脅威となりうるいいデータが揃ってますぅ。
このサプリメントでの新たな要素である呪いは、病気と同じように段階的に悪い効果が進行していくものだけど、第0段階になっても休眠するだけで効果は終了しないので、呪いを解くために何らかのクエストを行なうなど、より物語を駆動させる材料として有用なものになっているですぅ。
敵役の作成と新モンスタ
敵役の作成については、まずその敵役がシナリオ中で情報を集めればそのまま戦って倒せるシナリオ限りのものなのか、シナリオ限りの悪役などから情報が小出しにされて姿を現わす級にまたがるものなのか、複数の級で徐々にその存在が理解されていくキャンペーン全体のものなのかを考慮すべきとあるけど、これはまったくその通りですぅ。この他にも敵役の類型がいくつか例示されているので、今作っているのはどういう存在なのかを見返すのにも役立ちますぅ。
データ面ではホードリング・デーモンなどレベル9~21までの新規モンスタ14体の他に、『DMG2』が初出のモンスター・テーマで既存のモンスタを強化することもできる充実仕様ですぅ。
魔法のアイテム
魔法のアイテムは利益もあるけど特定の条件で何らかの不利益を受ける呪われたアイテム、悪っぽいパワーや特性を持つ不吉なアイテムの二種類が、神の賜物も含めて22種類紹介されているですぅ。
また、シナリオとも連動したアーティファクトにしてこの本そのものの、ブック・オヴ・ヴァイル・ダークネスもちゃんと収録されているですぅ。