2014年09月22日 [長年日記]
§ [TRR][Oni] リプレイ『鬼の話~ミドルフェイズ:シーン11』
ミドルフェイズ:シーン11・真実の破片(銀次郎)
友の仇、そして裏切り者を取り逃がし、口惜しい狼の咆哮が月夜に響く。
お倫/GM:「無様なところを見られてしまいましたね。旦那方」
貞親:「……ええと、あいつは知り合いかい?」 とか一応聞いておきつつ、みんなをお倫さんのとこに集める感じで。
十五郎:「……あんたのおかげで助かった。死地にあって何も俺にはできなかった」と銀次郎へ悔しそうに。
銀次郎:「なに、初めて妖異に出くわして正気を保ってただけでも上等ですよ。ねぇ、姐さん」
三日月:「……え、ええ。そうね。銀次郎、あんたの鼻は確かだったようだね」
お倫/GM:「あんたが銀次郎さんですか。死んだ充から話は聞いてましたよ」
銀次郎:「面目ねぇ。アイツがこんなことになってたとは……あっしゃあ今の今まで気付けなかった」
お倫/GM:「いいのさ、お陰で奴らのからくりにも綻びができた。本当は、あたしひとりで終わらせたかったんだけどねえ」
銀次郎:「お倫さん、あんたの知ってることをあっしらに教えちゃくれやせんか?」
お倫/GM:「銀次郎さんと別れて江戸に来た充とあたしは、仲間たちと毘沙門組の探索をしていたンだ」
その手引きをしていたのが丈だった。今思えば、その時点で嵌められていたのかもしれないとお倫は述懐する。
「そうこう調べを進めるうちに、鬼神衆が拠点にしてる寺へ火盗が手入れに入ったンですよ」
余人に存在を知られてはならぬ鬼神衆。古き時代、あるいは山里では鬼への畏れを隠れ蓑にできたのだろうが、この街は夜陰を歩く住人には明るすぎる。素性が知れぬ夜の住民は皆、無宿人という人の法で絡め取られる。
「そこで与力中山何某によって毘沙門組は一網打尽にされ、抵抗激しい金剛童子は斬り死に。って話さ」
貞親:「なるほど、中山もよく考えたもんだな」内心はともかく感心顔。
三日月:「……感心してる場合か、旦那。人の皮かぶった、妖異にも劣る外道のやり口だよ!」
貞親:「感心できる程度の相手と戦いたいものさ。その方が手口が読みやすい。私は頭が良い奴の考えることしかわからんからな」
銀次郎:「なにもかも外道どもの筋書き通りだったってわけかい」と歯噛みします。
十五郎:「新太の親父は、アイツにやられたんだ……」
銀次郎:「図面を引いたのは中山って二本差しかそれとも丈か……どちらにせよ妖異の手先、羅刹の仕業なのは間違いねぇでしょう」
十五郎:刀つかんで立ち上がり。「平賀殿、中山というやつの場所、教えてくれねえか」
貞親:「待て待て。頭の良い奴のすることはタチが悪い。やっとう持ってかけこめばこの件に関係ない火盗の連中まで相手にすることになる。」
銀次郎:「何かお考えがあるんで?」
貞親:「ま、少しはね。そうだな、お倫さんに協力してもらうか……それとも何かちょうどいい落とし物でもあればいいんだが」
お倫/GM:「あたしでよければ」協力的です。
貞親:ありていに言うと中山に丈、つまり毘沙門組との繋がりを示唆するものを持っているぞ、という名目で呼び出して、火盗のいないとこで叩こうぜ! という案。
銀次郎:ああ、なるほど!
三日月:なるほど、『ようやく毘沙門組の首魁を割り出しました』と。
十五郎:「……平賀殿、あんたおとなしく何か考え事してたと思ったら、そんな悪巧みを!」
貞親:「無論私たちもその条件を満たしちゃいるが、お倫さんがいるなら来る確率は上がるだろ?」
GM:そうくるなら、このシナリオのスポットルールを説明します。中山の罪を白日の下に晒し、渡辺の無実を証明するには、条件があります。
貞親:ほほう。
GM:それは、《一件落着》をエンディングまで温存しておくことです。今のところ中山は幕府の要人にとって利用価値のある人物です。そのため《一件落着》を使うと、千代田の城から《一件落着》が打ち消し扱いで飛んできます。
銀次郎:なんたる幕府の威光。
GM:クライマックスまでに擁護できないボロを中山が出せば使われなくなります。
貞親:なるほどなるほど。
十五郎:『千代田の城から《一件落着》が飛んできて……』てのもすごい言霊だなぁ。
三日月:「平賀の旦那……中山を相当追い込まないときつそうだねこいつは……」
貞親:「ふぅん……それなら、こっちの土俵に来てもらおうじゃないか」スマイルが下手なおじさんの笑顔でにたっと笑う。