2012年08月29日 逃げ出すときだ。 編集
§ [DnD] 『ロビラーの思い出:エラクのいとこ(Robilar Remembers: Erac's Cousin)』
緑竜亭異聞
この物語はE・ゲイリー・ガイギャックスとロバート・J・クーンツが参加していた“オリジナル”グレイホーク・キャンペーンで起こった出来事である。この物語は背景と雑学を伝える目的のため公開されるものであり、TSR社から出版された“公式の”グレイホーク・セッティングとは関係ないことに同意していただきたい。TSRだけが、グレイホーク・セッティングについて彼らの判断によって“公式に”グレイホークの伝説を定めることができる。しかし、この物語を読んだ誰かが“オリジナル”グレイホーク・キャンペーンに対する興味を満たせるのならそれは幸いである。
ダンジョン・モジュールS5『The Lost Caverns of Tsojcanth』(TSR、1982年)は、新たなデーモン・プリンス、フラズ・アーブル(Fraz-Urb-Iuu、『Monster Manual II』では“Fraz-Urb'Iuu”と綴られている)を紹介するものだった。この強大なデーモンはその解説にこう書かれていた。“何世紀もの間、彼はグレイホーク城の下にあるダンジョンで顔の浅浮き彫りの中(『Monster Manual II』では石の牢獄と表現されている)に封印されてきた。多くの油断した冒険者はその顔に話しかけて滅ぼされてきたが、ついに彼は力強いクレリックと強力なマジックユーザーにいくつかの英雄的行為を行なうようだますことに成功し、彼は刻まれた牢獄から脱出した。そして虚偽のプリンスはアビスにある彼が支配する次元界にうかつな道具たちを奴隷として招き入れた。”
解説はこう続く“たった2人の来客はそこ(フラズ・アーブルの次元界)を旅して帰還したふたりの報告によれば、彼らが手にしていた魔法のアイテムはその魔力を失ったという。彼らはもっとも力強い剣を失っていたのだ。したがって、アーティファクトやレリックではない魔法のアイテムがそこへ行けば、それはほぼ確実(90%で)にそれは崩壊するだろう。”
ここから先の物語はこのフラズ・アーブルの解説にあるこの謎めいた部分の続きだ。オリジナルのグレイホーク・キャンペーンで、エラクのいとことして知られるファイター/マジックユーザー(アーニー・ガイギャックスがプレイしていた)は2振りのヴォーパル・ソードを手に入れていた。ゲイリーとロブは特に彼が二刀流を使えることを理由に、彼のキャラクターは強くなりすぎたと判断した。エラクのいとこが二刀流を学んだのは、『火星の戦士』シリーズを元ネタにした冒険でテレポートして訪れた火星でのことだった。その火星は(ガイギャックスの初期設定では)オアース太陽系の中にあり、エラクのいとこは冒険を終えた後にテレポートで家に帰った。この冒険は火星シリーズを愛するアーニーのために作られたものだった。そこでゲイリーと副DMをしていたロブはしめしあわせ、エラクのいとこと9レベルのファイター、アエリラック(マーク・ラトナーがプレイしていた)をグレイホーク城の地下ダンジョンへ向かわせた。
副DMはキャラクターたちをデーモンの顔を刻んだ浅浮き彫りが埋まった階層へキャラクターを“導いた”。この“顔”はDemonWorld™への入り口として使われ、冒険の場所はロブ・クーンツがオアース侵略計画のためにデーモンが作成した“転送所”として設計していた。顔の周囲でいろいろなことを試し、彼らはなんとかデーモン・プリンス、フラズ・アーブルを開放することができた。やけくそになったエラクのいとこは、ゲートのスクロールを使ってギリシア神話の神、ゼウスをゲートから呼び出した。エラクのいとこにとって残念だったのは、ダイス・ロールの結果、ゼウスが5%の確率で発生する状況を理解できていない状態に陥っていたことだ(『Dungeon Master's Guide』、第1版、TSR、1979年、47ページ参照)。エラクのいとことアエリラックはデーモン・プリンスが支配する次元界へと吹き飛ばされ、ヴォーパル・ブレードはデーモンが支配する次元界の不可解な魔法の効果によって破壊された。こうしてエラクのいとこによる二刀流の猛威は去った。
註:エラクのいとこについて詳しい情報は、『The Rogues Gallery』、第1版、TSR、1980年を参照のこと。アエリラックについてこれまでの出版物では説明されていないが、彼は9レベルのファイターだった。この冒険はA・メリットの小説『The Face in the Abyss』の影響を受けている。
この文章の出典は、グレイホークを扱った同人誌『The Oerth Journal』の5号にロビラー卿のプレイヤであるロブ・クーンツが寄稿した、ガイギャックスDMの“オリジナル”キャンペーンの思い出を語るコラム「Tales from the Green Dragon Inn」の第一回「Robilar Remembers: Erac's Cousin」ですぅ。
今回はほいほいとあげたアイテムが猛威をふるって対策に悩んだり、プレイヤが好きな何かを元ネタにしたシナリオを作ったりと、もう四十年近く経っているのに今でも通じるあるあるっぷりが楽しいRPG黎明期の思い出話ですぅ。
それにしても“(名前)の(続柄)”で本名を書かないネーミングはかなりそそられるものがあるので、そのうち使いたいですぅ。
2014年08月29日 編集
§ [TRR][Oni] リプレイ『鬼の話~ミドルフェイズ:シーン3』
ミドルフェイズ:シーン3・蕎麦屋にて(三日月)
三日月と十五郎は、ごろつきを返すと人ごみから離れて互いの事情を話すため、近くの蕎麦屋を訪れた。
十五郎:新太郎から頼まれた内容と、自分の紹介はしておきます。
三日月:「…そんなわけで、『狒々のような大男がお倫さんを付け狙ってるから、それとなく監視してくれ』ってね。丈サンに頼まれたってわけ」蕎麦をすすりながら軽く説明する。「監視するどころか、見つかっちゃったけど」とうつむく。
十五郎:「それとなくってことがあるかい。ボウズにまで気付かれてらあ」と蕎麦をすする口元や箸を持つ指を見て鼻の下を伸ばしてます。「しかもあんな連中じゃ、守りにもなりゃしねえだろう」
GM:実際妖異が出たら守るどころか憑かれるでしょうね。
三日月:「……違いないわ。あんたが相手じゃね……だが、そっちの話を聞く限り、本当の敵はあんたじゃ無さそうだ……」
十五郎:「……あ、そうか。お前たちとは別に、お倫さんをつけ回してる連中はいるってことか」
三日月:「(並外れた大男だけど、妖異ってわけじゃ無さそうだしねぇ)そういうこと。あんたはある意味、わたしたちの護衛を邪魔してるってわけよ。本当はココで蕎麦をたぐってる余裕もないわけ。昼だからまぁ、心配してないけど」
十五郎:「なら、あの二人に払ってた金にも少し色つけて、俺を代わりに用心棒にするってのはどうだ」
三日月:「悪くない提案ね。人間相手ならあんたのほうが頼もしい(妖異相手でも、ある程度勝負になりそうだし……)」
十五郎:その言葉を聞くと、鼻の穴が開いて興奮した様子に。急に精気が漲ってきます。「退屈が、紛れそうだぜ(しかも、べっぴんつきだ!)」
三日月:(……テレパスじゃないけど、心の声が漏れて聞こえそうなレベル……単純な奴)
2020年08月29日 編集
§ [DnD][5e] アドベンチャー:魔法窃盗団(3~5レベル)
今週も5e用のスリカトゥの街を舞台にした3レベルくらいで遊べる小さな冒険ですぅ。
データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。
冒険の概要
この冒険は3~5レベル程度のキャラクター向けの短時間で終わるアドベンチャーである。
スリカトゥでは金持ちの家から魔法のアイテムが盗まれる事件が起こっていた。冒険者はこれの被害にあったウィザードのレイウォスから依頼を受け、捜査を行なうことになる。
この事件の犯人はワーウルフのゾーフ、そしてこの街の水底に潜んでいたチュールで、その魔法知覚を利用して盗みを行なっていたのだ。
冒険者がこの二人組を倒せば冒険は成功となる。
冒険への導入
冒険者のもとに、この街に住むウィザードのレイウォスが訪ねてくる。彼は用事で数日家を留守にしていた間、物盗りに遭ったので、その捜査を頼みに来たと話す。詳しい事情を訊けば、この泥棒は彼の家にあった魔法のアイテムだけを盗み、知り合いに訊ねたところ同じ被害にあった者が数名いるので、彼が代表して依頼に訪れたと言う。報酬は500gpである。
1.レイウォスの家
事件現場であるレイウォスの家は、荒らされていた場所は事件に気づいた時のままにされている。そこは壁際の鍵付き戸棚で、鍵は破壊されているものの、金貨の入った革袋や宝石は放置されているので、犯人は的確に魔法のアイテムだけを盗んだことがわかる。
家の周囲を検分するなら、難易度15の【知力】〈捜査〉判定に成功すれば、戸棚を置いてある場所に近い外壁に爪のようなもので刻んだ×印があることに気づける。
印の近くを調べるなら、難易度20の【知力】〈捜査〉判定に成功すれば消えかかっている人型よりも大きな足跡を発見できる。
2.他の被害者宅
レイウォスと話をすれば、他の被害者にも彼が連れて行ってくれる。彼らの家も、その外側を検分して難易度15の【知力】〈捜査〉判定に成功すれば、魔法のアイテムを置いていた場所と近い外壁に爪のようなもので刻んだ×印があることに気づける。
印の近くを調べるなら、難易度20の【知力】〈捜査〉判定に成功すれば消えかかっている人型よりも大きな足跡を発見できる。
3.犯人への道
現場に残っていた大きな足跡を追跡するなら、1時間をかけた難易度25の【判断力】〈生存〉判定が必要である。成功すれば、浮舟街にある彼らがねぐらにしているボロ船にたどり着ける。
偽情報を出しておびき出すなら、難易度15の【魅力】〈説得〉判定や【魅力】〈ペテン〉判定で、どこに住む誰それが大枚はたいて魔法のアイテムを買ったらしいと噂を流すことができる。これに成功すれば、二人組は1d4日後にそこを襲撃する。
4.対決!
ワーウルフのゾーフとチュールの二人組を見つけ出せば、対決である。彼らはチュールの腕っ節を高く買っているためにまず戦おうとし、敵が強いようなら逃げ出す。彼らを全員叩き斬るか、生かして捕らえて宝の隠し場所を吐かせるか、それとも逃がしてしまうかで話の結末もまた変わってくる。
チュール
大型・異形、混沌にして悪
AC:16(外皮)
hp:93(11d10+33)
移動速度:30フィート、水泳30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
19(+4) | 10(+0) | 16(+3) | 5(-3) | 11(+0) | 5(-3) |
技能:〈知覚〉+4
ダメージ完全耐性:[毒]
状態完全耐性:毒状態
感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉14
言語:深淵語を理解できるが話せない
脅威度:4(1100XP)
水陸両用:チュールは空気中でも水中でも呼吸できる。
魔法知覚:チュールは120フィート以内の魔法を常に知覚できる。この特徴はそれ以外の部分はディテクト・マジックの呪文のように機能するが、それ自体は魔法ではない。
アクション
複数回攻撃:チュールははさみで2回攻撃する。チュールがクリーチャーをつかんでいるなら、チュールはさらに触手で1回攻撃できる。
はさみ:近接武器攻撃:攻撃+6、間合い10フィート、目標1体。ヒット:11(2d6+4)[斬撃]ダメージ。目標が大型以下のクリーチャーで、チュールが他に2体以上のクリーチャーをつかんでいないなら、目標はつかみ状態(脱出難易度14)になる
触手:チュールにつかまれたクリーチャー1体は、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、1分間毒状態となる。この毒状態が終了するまで、目標は麻痺状態になる。目標はセーヴィング・スローをそれのターンの終了時に再び行なうことができ、成功すればこの効果は終了する。
ワーウルフ
中型・人型種族(ヒューマン、変身生物)、混沌にして悪
AC:人型形態で11、ウルフあるいは中間形態で12(外皮)
hp:58(9d8+18)
移動速度:30フィート(ウルフ形態で40フィート)
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
15(+2) | 13(+1) | 14(+2) | 10(+0) | 11(+0) | 10(+0) |
技能:〈隠密〉+3、〈知覚〉+4
ダメージ完全耐性:銀製ではない武器での非魔法的な攻撃による[殴打]、[斬撃]、あるいは[刺突]
感覚:受動〈知覚〉14
言語:共通語(ウルフ形態では話せない)
脅威度:3(700XP)
変身生物:ワーウルフは1回のアクションでウルフと人型生物の中間形態、あるいはウルフに変身するか、人型生物本来の形態に戻ることができる。どの形態でも、AC以外は変化しない。身に着けている、あるいは手に持っている装備は変身しない。死ぬと本来の形態に戻る。
鋭敏聴覚および嗅覚:ワーウルフは聴覚および嗅覚を使った【判断力】〈知覚〉判定に有利を得る。
アクション
複数回攻撃(人型形態あるいは中間形態のみ):ワーウルフは1回の噛みつき、1回は爪あるいはスピアで2回攻撃を行なう。
噛みつき(ウルフ形態あるいは中間形態のみ):近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:6(1d8+2)[刺突]ダメージ。目標が人型生物なら、難易度12の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、ワーウルフのライカンスロピーの呪いを受ける。
爪(中間形態のみ):近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(2d4+2)[斬撃]ダメージ。
スピア(人型形態のみ):近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィートあるいは間合い20/60フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ、あるいは両手持ちで近接攻撃をした場合6(1d8+2)[刺突]ダメージ。
結末
ワーウルフのゾーフとチュールを倒せば、魔法のアイテム泥棒騒ぎも終わりを迎える。彼らのねぐらにはこれまでに盗んできたアイテムが転がっており、元の持ち主たちに戻せば1件あたり200gpの追加報酬を得られる。
ゾーフとチュールの口を割れなかった場合、改めてアイテムの捜査を依頼されるかもしれない。
この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。