ネコぶんこ


2012年02月11日 「主な狙いは、たくさんのプレイヤーを惹きつけることだった。住人のいない世界なんて、面白くも何ともないからね。参加してくれる人たちの全員がゲームをしたいわけじゃなく、ゲームの“らしさ”に引き寄せられる人もいるということがわかったんだ」 [長年日記]

§ [Liber] インターナショナル版Kindle Touch

米アマゾン、日本で電子書籍端末発売 ドコモから回線」という記事が日経に出ていたけど、Amazon.comではインターナショナル版Kindle Touchの販売が始まり、日本からでも$139で買えるようになってたですぅ。

Live outside the U.S.? Kindle Touch is available to ship outside of the U.S. from this page.から、インターナショナル版のページに行けるですぅ。

§ [DnD] 『クラス・デザイン:AssassinからWizardまで』要約(前篇)

このエントリは、先月の26~29日に開催されたDnDの大規模コンベンション、D&D Experience 2012で27日に行なわれた『クラス・デザイン:AssassinからWizardまで(Class Design: From Assassins to Wizards)』のセミナ前半部をまとめたものですぅ。

このセミナも前半は司会者グレッグ・ブリスランドがブルース・コーデル、モンテ・クック、ロバート・シュワルブというゲストを相手に、クラスのデザインという面からDnD Nextへの質問をしていくというものですぅ(文中敬称略)。スポットライトが当たるタイミングをずらすことでクラス間のバランスを取るなど、ゲームをデザインする上での勘所ともいえる内容も多数話されているので、ゲーム・デザインについて興味がある人も読んで損は無い内容になっているはずですぅ。

まず、皆さんの好きなクラスは?
第4版ではウォーロック。雰囲気もオプションも好きだ。最近また星の契約ウォーロックを楽しくプレイした(ブルース・コーデル)。
ウィザード。また、ほとんどの呪文使いの創造性が好きだ。プレイ中に環境を変化させることができ、呪文使いは戦闘や探索の様子をがらりと変えてしまう(モンテ・クック)。
アサシンが好き。第1版の頃はファイターのふりをして人を殺してきた。第3版と第4版のアサシンをプレイできる懐の深さが好きだ(ロバート・シュワルブ)。
クラスの複雑さ、単純さについて考えるところは?
クラスごとに異なる複雑さを持ち、簡単なプレイから挑戦的なプレイまでを選べるようにしたい。多くのオプションや複雑度を望む人にはコアに加えるオプションとして提供したい。
それらを実現するための方法は?
たとえば、ファイターがレベルを上昇させると通常の場合は命中とダメージが上がる。この時それらの代わりに、味方を守ったり戦場を操作できるようなオプションと交換できる。それぞれのクラス内でも複雑度を変化させ、ウィザードでも単純なものを選べる。
バランスについて話してきたがクラス間のバランスが保たれていることは重要? また、その基準はダメージを与える量や複雑な計算によるもの?
アサシン、ウィザード、ウォーロックは他のものより優れていなくてはね(モンテ・クック)。
すべてのクラスが同じダメージを出すのは違いが無いのと同じ。バランスは重要だが、それは数値が均等であることとは限らない。戦闘で全員が活躍できることは大切だが、異なるクラスやプレイ・スタイルは異なる局面でこそ輝く。
クラスは数値だけではないなら、バランスをどう考える?
ファイターのダメージを100%とする。そして他のクラスは戦闘で80%のダメージを出し、他の20%で探索ができる。それぞれのクラスはスポットライトを浴びる時間があり、すべてのクラスが戦闘に特化しているわけではない。戦闘、探索、ロールプレイと、クラスごとのふさわしい活躍場所で使えるオプションを与える。
攻撃以外の呪文についてはチャーム・パーソンが約10.5ダメージ相当など、ダメージに換算して格付けを行なっている。
次版のデザインについてだが、旧版すべてのクラスが考慮に含まれている?
最初はあらゆる版の『プレイヤーズ・ハンドブック』からクラスを再現することが目標になっている。それぞれのクラスを抜き出し、コモン、アンコモン、レアと珍しさを基準に分類した。たとえば、ファイター、クレリック、ウィザードなどはコモン。ウォーロック、バード、パラディンはアンコモン。アサシンなどはレア。これはDMに対してはゲームの中でどういう立ち位置なのか示すことになる。珍しいものほど複雑であることが多いので、複雑度の基準としても使える。
もっとも挑戦的だったクラスは?
実はファイター。ファイターの特徴はウィザードのようにこれと絞り込めるものではなく、多種多様な選択肢にある。異なるバージョンのファイターがたくさん生まれそうになったこともある(モンテ・クック)。
ファイターもそうだが、サイオンも難しい。今もまだ折り返し地点で悩んでいる。また、強くしすぎないようドルイドの化身にすべての版の化身能力を取り込むのにも苦労した(ロバート・シュワルブ)。
ファイターには確かに苦労した。逆に、モンクは何をやるかが明確なので楽だった。あとは、ソーサラーを物語とメカニクスの面で他の術者との差別化を行いながら、どう旧版の要素を再現するかにも苦労した(ブルース・コーデル)。
キャラクタの作成にかかる時間と選択の多さは?
経験者がコモンのクラスを作成すると決めて取りかかったら、15~20分程度だろう。新規プレイヤなら30分くらい。プレイテストでも驚いたが、コアのみで7レベルのキャラクタを作るのに15分で終わるなど、とにかく速いのが特徴。
より複雑なキャラクタを作成したいならオプションなどの選択により長い時間が必要になる。
呪文使いと呪文のメカニクスについて、現在のプレイテストにはヴァンス風の魔法システム(訳註:呪文をあらかじめ記憶するスタイルの魔法)があるが、このシステムはどうなる?
ヴァンス風の魔法システムはDnDにとって大切なものだが、それはほんの一部でありウィザードにとってのものだ。コアのクレリックはヴァンス風ではない。それにはそれでふさわしい方法がある。賛否両論だろうが、ヴァンス風の魔法はDnDの象徴なので続けたい。
また、ゲーム・バランスを取るための面白いやり方でもある。たとえばウィザードは魔法特技を修得することで、無限回能力を得られる。ヴァンス風の魔法は基本的に一日毎だが、無限回能力を使えばファイターやローグとも肩を並べられる。こうして好ましいプレイスタイルの幅を与えることができる。
第4版で導入された無限回攻撃を、どう次世代に繋いでいく?
基本的に特技だが、呪文やクラスのオプションでも無限回攻撃を修得できる。第4版の緑色をした攻撃が次世代で無くなることはない。魔法特技やクラスのオプション、その他の特技としてそれらは与えられる。
15分で仕事が終わる問題(訳註:一気に呪文などを使い1日の冒険がゲーム内時間で15分ほどになる問題)については?
ウィザードは魔法特技(無限回能力)を得る。必要になるまで高レベル呪文を温存できる。第4版の無限回パワーをウィザードの特技として再現し、戦闘用も非戦闘用も取り揃えることでさまざまな遭遇に対応できる。
第4版ではヴァンス風の魔法をあらゆるクラスに与えた。我々はそれをふたたびDnDとしてふさわしい形にしようとしている。ファイターも今の版と同じような能力やオプションを持っているが、ヴァンス風の魔法が秘術のためにあるように、また別の手触りになる。
儀式というアイデアと次世代のDnDについて思うところは?
儀式については驚くべき効果を持つ本当に大規模な呪文を発動により長い時間がかかるものにしようと、モンテ・クックがたいへん熱心に取り組んでいる。プレイヤとキャラクタがのめり込めるようなものにしたい。
ゲームとして効果がわかりやすい“呪文”ではなく、DMの物語を助けたり特別な魔法のアイテムによってもたらされる不思議なもの、制御できないものとしての“魔法”を再現するために儀式を使いたい。もっと面白くいうなら、ウィザードが世界を相手取ることができる。
第4版の成長はすべてのクラスにとって均一で、エッセンシャルズで変化がもたらされた、これからは?
クラスごとに他とは違う独自性、異なる手触りやプレイ感覚が必要だ。しかし、すべてのクラスに共通する要素もある。たとえば、すべてのクラスが3レベルで特技を修得できるとする。しかし、完全なカスタマイズのオプションを選んでいる場合、そこでそれを別のクラス能力と交換できる。さまざまなクラスで共通しているが、クラス独自のオプションを選択できるというわけだ。
現在デザインの仕事として興味があるクラスは?
すべてといいたいが、レンジャーを選ばなければならないだろう。あらゆる版のために多くの面白いものを詰め込んでいる。獣使いも、アラゴルンも、ドリッズドも、どんなものでも再現できるように(ロバート・シュワルブ)。
選びきれない。新世代のクラスに本当に興奮していて、何かに取り組むたびのめり込んでしまう。まだ全部に手をつけてすらいないが、ゆくゆくはそうしたい(ブルース・コーデル)。
多くの冴えたクラスを見て、すべてをプレイしたくなった。どんなクラスも君がそれを見て興奮するために作っているのだから(モンテ・クック)。
プレイテストのフィードバックで知りたいことは?
荒削りの才能(Wild Talent)についてのフィードバックを受けたい。色々と異なる面白い効果を仕込んでいるので、それらがどう機能したのか知りたい(ロバート・シュワルブ)。
呪文使いとゲームの三本柱(戦闘、ロールプレイ、探索)について非常に興味を持っている。儀式、魔法特技、クラス、呪文、その他のオプション。これらがどう受け取られ、ゲームで使われたかも本当に知りたい。それと、身長8フィートのハーフリングについても(モンテ・クック)。

ここで前半は終わって一般参加者による質疑応答の時間に移るけど、そちらの要約も近いうちに公開できると思うですぅ。

このエントリ執筆にあたっては『D&D XP Seminar Chat Streams』、『Seminar Transcript - Class Design: From Assassins to Wizards』、Twitterの#DDXPタグなどを参考にさせていただきましたぁ。