ネコぶんこ


2012年09月04日 「やあ、ドアくんたち」 [長年日記]

§ [Liber] 橋口侯之介江戸の本屋と本づくり 続和本入門

以前紹介した和本という“物”の読み方を解説する『和本入門 千年生きる書物の世界』の続篇で、“物”から見えてくる情報を詳しく解説するのが、この『江戸の本屋と本づくり 続和本入門』ですぅ。

つまり、(主に)江戸時代の商業出版事情、本を出版するための仕組みやかかる費用、出版や流通に関わるさまざまな業種がどう関わっていたのかという部分が、より詳しく解説されていますぅ。

ここでは鈴木牧之が「おのれ一人おもしろがりてハ売物にならず」と馬琴から諭されたりしつつ『北越雪譜』を開板するまでに辿った紆余曲折、板株の持ち合いなど開板にかかる費用を減らすために取られたさまざまな手段、重板(同一、類似内容の書物を別の本屋が出版すること、非常に揉める)を防ぐために類似本の板木を片っ端から買収した吉野家為八など、物語としても面白い話が続いているですぅ。

この本がよい和本全般の入門書だとつくづく感じた部分はふたつの章で、まずは一章を割いて印刷された本ではない写本を解説する『写本も売り物だった』と題した第五章ですぅ。この章では写本にもさまざまな種類があることを解説しているけど、興味深いのは商業流通を前提とした写本のことですぅ。この商業流通用の写本について、統制対象だった実録物や赤穂浪士物、太閤記などや、幕府で失脚した新井白石の著作などが、板木の統制をすり抜けられる写本で結構な量が流通していたことを、流通に乗った写本の量や貸本屋が扱っていた写本のデータを引いて説明しているところは、なかなか興味深かったですぅ。

もうひとつは第六章の『書物は読者が育てる』で、読者によって本に記された訓点や句読点、校合などの書き入れの作法や読み方が説明されているところですぅ。ここでその意味や価値を解説し、本が“物”として世に出た当時だけでなく、現在に至るまでどう読まれ育ってきたかを理解する方法にも言及しているのは、まさに痒いところに手が届く入門書ですぅ。

それにしても、『和本入門 千年生きる書物の世界』から一貫して和本をただ江戸時代の終焉とともに終わった歴史として見るのではなく、現代の古書市やそこの習慣、用語の解説を挿みながら、現在進行中の文化としてとらえていることこそ、この本が入門書として読みやすく、読み物としても活き活きと書かれているゆえんだと感じたですぅ。

このエントリを書いている現在、Amazon.co.jpでは品切れみたいだけどhontoにはあるみたいですぅ。

§ [DnD][4e][HoS] 『プレイヤーズ・オプション:影の勇者

Amazon.co.jpなどでHeroes of Shadowの日本語版、プレイヤーズ・オプション:影の勇者の予約が始まっていたですぅ。

詳しいことは以前書いた紹介に譲るけど、ちょっと影のある雰囲気のPCを遊びたい人や死霊術スキーにはぜひおすすめの本ですぅ。

§ [Promiscuus] にっくにっく

今日は外出中にふらっときてそういえば昼に何も食べていないことに気づいたのでミクまんをいただいたですぅ。