ネコぶんこ


2012年12月10日 実際にはその教義を実行することなく、ミニマリズム哲学を信奉すること。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『混沌の魔法(Chaotic Magical)』

伝説と伝承

マイク・ミアルス

今、私はのどの風邪にかかり家でこれを書いている。まともに会話できるのどの状態ではないことをR&Dの全員が理解していてくれているのには助かっている。彼らは私の知恵と鋭い洞察なしで今日を過ごすだろうが、私は知るよしもない。もっとありそうなのは、彼らは頭のおかしな男が遮蔽壕(私のデスクはまったく偶然のことながら遮蔽壕のようになっているところに準備されている)から仕事をさせるために出てこないので楽しんでいるかもしれない。

私は今週ふたつの速報を持ってきた。ひとつは属性に関すること、もうひとつは魔法についてだ。

まず、属性について話そう。率直にいって私はキャラクター、モンスター、組織などのありかたを記述する要素として背景に残り続けてほしい。私たちは多くの人が代替のシステムを好んでいたりまったく使わないことも知っているため、ルールに直接記述してしまうことはよくない考えだ。君は属性を使わないキャンペーンでディテクト・イヴィルを使えない。

その代わり、そうした呪文はより設定の具体的な要素と結びついたものになるだろう。たとえば、プロテクション・フロム・イヴィルはフィーンドとアンデッドからの防護になるかもしれない。ディテクト・イヴィルもそうした恐るべきクリーチャーの存在と影響を発見するものであるかもしれない。私たちが行なっている魔法への変更で冴えているところは、もう準備したすべての呪文を使う必要がなくなったことである。デーモンやヴァンパイアとちっとも遭遇しない?だったら君はその代わりに呪文スロットをマジック・ミサイルシールドとして使える。

パラディンは属性と関係するクラスのひとつであるが、その場合も混沌、善、秩序、そして悪として処理するよりはシステムのきっかけとして構築する。混沌にして善のパラディンには開放、暴君の打倒などを能力の中心として提案するかもしれないが、それらは混沌と善が持つ自由、個人の独立などの考えを融合させたものだ。

たとえばモンクの必要条件にある秩序属性など、他のクラスについてはプレイテストへのフィードバックを参考にさせてもらっている。以前も話したように、私は属性が単にDMが適用を決定するオプションになったとしても驚きはしないだろう。私は属性が君のキャラクターのありようを記述するために使われるシステムのひとつに過ぎないと考えているからだ。属性は基本ルールに入っていたが――バットマンの属性論議などで多くの血が流れすぎ――そのルールは必要とされなくなった。

次に、魔法と呪文使いについて話すために少し寄り道をしよう。私たちはクラスのバランスを正常な範囲とすることに全力を尽くしている(ゲームはDMによって動かされ、キャンペーン特有のものもあるため完全なバランスは不可能だ)。能力のバランスを崩す大きな要因のひとつは呪文使いが敵を1回のセーヴや即死呪文で片付けてしまうことや、、効果的な呪文の組み合わせで封殺してしまうことだ。

私たちが精神集中システムの次に考えて導入しなかったオプションに、ある種の呪文は他のものと累積しない(主に強化と弱体化)ようにして、パーティに複数の術者を置かないようにするものがあった。このオプションについてはまずD&Dの歴史について少し話し、ゲームの考古学が私たちにどうやって将来への計画を助けるかの例としたい。

AD&Dではファイアボールのような呪文が本当に輝いていた。それらは部屋全体の弱いモンスターを一掃し、より高いレベルではオーガやトロルを灰にしていた。ヒル・ジャイアントの一団へ10レベルのマジックユーザーが放ったファイアーボールはセーヴに失敗すれば約35ダメージ、成功しても17ダメージを与える。ヒル・ジャイアントが焼く40ヒット・ポイントとすれば、君は呪文が戦闘を一瞬で壊滅的なものにしたのを確認できるだろう。

これと比べると第3版ではファイアーボールのダメージは同じままだったが、ヒル・ジャイアントのヒット・ポイントは102点まで急激に上昇していた。貧弱なファイアーボールは巨人のヒット・ポイントを5分の1から3分の1になるまで持っていくものから、半分から4分の3にするものとなった。この環境で呪文使いはダメージを与えるよりも無力化する方向へ非常に特化する傾向を持った。

ダメージ呪文を傑出した地位へと戻すことこそ、D&D Nextが呪文使いのために目指す指標だ。切り札の呪文はまだ存在するが「これで詰みだ」となるものではなく、その代わりのオプションでよい作戦と経験により「これで詰みだ」といえるようなものになる。たとえば、第4版ではフレッシュ・トゥ・ストーンなどの即死呪文は何回かのセーヴィング・スローで進行するよい発想のものだった。むしろ、そうした呪文が単体の強力な敵に対する最高の武器だと仮定した場合――それはD&Dの世界で完璧な意味を持つ――私たちはそれらのバランスが適切に保たれていることを確認できる。ファイター、クレリック、そしてローグが離れた場所でクリーチャーと戦っている間にゆっくりと呪文を制御して複数のラウンドに渡ってアクションを費やし、じわじわとドラゴンを石にするウィザードを想像してもらいたい。ドラゴンがウィザードのところまでたどり着ければ、それが完全な効果を発揮する前に攻撃して呪文を破壊できるかもしれない。強力な敵はセーヴを1回失敗しただけなのに1ラウンドで倒れることはなく、ドラゴンの変成は部分的に進行する。

こうした呪文のためには多くのデザイン作業が必要になるのは明らかだが、クリーチャーのヒット・ポイントを無視してしまうのが必ずしも最高のオプションでないことは確認しておきたい。それはオプションとしてありうるが、常にオプションであってはいけない。

少し離れるが、モンスターの特殊能力がそのルールに従う必要がない点は注意しておきたい。メドゥサはまだセーヴ1回の失敗で君を石化させられる。DMはモンスターについてグループが望んでいないなら即死しないようにするなど、ただ彼らが望むように混ぜたり選択することができる。呪文など他のプレイヤー・オプションについても、やたらとバランスが壊れることのないキャラクターをプレイヤーが構築できるとDMが確信を持てるものを提供できる確信がある。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。