2011年12月03日 そのコミュニティ共通の基準によって、プレイヤーがたどり着く以前からその地にいた人々の歴史や、英雄たちの冒険譚が舞台設定として用意されるのだ。 [長年日記]
§ [DnD][4e][BoVD] 『不浄なる遭遇の作成(Creating Vile Encounters)』
『Book of Vile Darkness』プレビュー
バート・キャロル「力への道は困難であふれている。ぬしの努力を砕くことが彼らの務めと信ずる押しつけがましい者たちが絶えることはない。誰かを殺めればおぬしの脅威を世に知らしめ、他の者たちがぬしの足取りを追い始める仕事を始めさせるだけであるため、ぬし自身がこれらの敵に抗するため武装するのは良策とは言えぬ。冒険者どもを殺し続けるということは、ぬしに時を浪費させ、そのくわだてを失敗させる」
「かような敵をあしらう次善の策は彼らと戦わぬことだが、むしろ彼ら――ぬしの死を望む充分な備えをした英雄――をぬしの選んだ戦場へ誘うがよかろう。これについてわしの墓はよくやってくれた。英雄どもはわしがそこに座すものと思い込み、地中深くの冒険者のみが辿りつける究極の死が隠れた玄室へ向かう。実はわしは墓の近くにおらぬ。わしは計画を進めるためそこに自ら配置した罠と守護者を信じ、墓荒らしどもの集団をこれでもかと筆舌も及ばぬ最期に誘い込んでやった。かくしてわしは彼らから……いかなる種類の邪魔もされることなく仕事を終わらせた」
――アサーラック
不浄なる呪い
「呪われた私に話しかけるな!」
――ダークオンのアザリン
ハグは彼女の好意を拒絶した騎士を呪い、彼がこれから愛を見つけようとするのを妨げる。善意からワービーストを殺した英雄は満月の下で自分の呪いと変身に気づく。英雄たちは王墓の宝物庫をあばいた後で彼らの肉体が腐り、健康が損なわれていくのに気づく。
呪いは幻想譚に欠かせず、ダンジョンズ&ドラゴンズ・ロールプレイング・ゲームでも、呪いは英雄たちが戦うものたちと同じくらい危険なものだと示すことができる。
ある特殊な行動や事件によって呪いを受けることになる。悪の敵を倒す、呪われた場所を探検する、あるいは大いなる存在の怒りに触れたとき、キャラクターは呪われることがある。キャラクターが一度呪いを受けたなら、忍耐と苦痛にさいなまされ、キャラクターは毎日その苦しみと戦い続けることになる。キャラクターは呪いを解くため、通常は通過儀礼やそれを与えたものに償いを行なわなければならないが、強力な儀式によって呪いを解くことができるかもしれない。
ゲームでの呪い
キャラクターが呪いを受ける方法はいくつか存在する。呪いは班長に使うこと。君は呪いで物語を展開させ、冒険者たちを新しいクエストに導いたり、遭遇が終わってからも非常に邪悪な敵の命が絶えた後も、その影響を残しておくことができる。
呪いの運用
すべての呪いは段階的に影響を増す。ほとんどの呪いには4つの段階がある。
- 第0段階(呪いは休眠中)
- 第1段階(呪いの初期症状)
- 第2段階(呪いのより悪い症状)
- 第3段階(呪いによる最悪の症状)
呪いにはクリーチャーが受ける呪いの段階が指定されている。一度クリーチャーが呪われれば、そのクリーチャーはその段階の影響を受ける。クリーチャーから呪いが除去されないかぎり、それはそのクリーチャーの次の大休憩終了時に悪化する可能性がある。
進行
呪いは時間とともに悪化する可能性がある。クリーチャーは呪いに抵抗するための技能判定を行なうことができる。クリーチャーは孤独に呪いと戦わねばならず、味方からの援護を受けることはできない。
技能判定:呪いが解除されるまで、クリーチャーは呪いの段階が変化するかそのままなのかを決定するために呪いで指定された技能判定を大休憩終了時に行なわなければならない。呪いは2つの難易度を指定する。判定の結果が高いほうの難易度以上だった場合、呪いは1段階減少する(こうして呪いの効果は軽減される)。判定の結果が低いほうの難易度以上で高いほうの難易度未満だった場合、呪いは現在の段階にとどまる。判定の結果がそれ未満だった場合、呪いの段階は1上昇する(こうして呪いの影響が増大する)。
いくつかの呪いは2つ以上の難易度を持っていたり、異なる条件で技能判定を行なわせる。
新しい段階への到達:クリーチャーが呪いの新しい段階に到達したとき、それはすぐに新しい段階の影響を受ける。呪いの解説に特記がない限り、新しい段階の効果は前の段階の効果を上書きする。
休眠状態:病気とは違い、呪いはキャラクターが第0段階になっても効果を終了しない。その代わり、呪いは休眠状態となる。クリーチャーの次の大休憩終了時、それは呪いが悪化するかどうかの技能判定を必ず行なわなければならない。君は呪いの段階を0未満に減らすことはできない。
最終段階はない:呪いに最終段階は存在しない。呪いが終了するか開放(下記参照)されるまで、その効果は日ごとに弱くなったり強くなったりする。
呪いからの開放
呪いからの開放は外的要因によるものではない。クリーチャーが何もしないなら、呪いはそのクリーチャーが生きているかぎりまとわりつく上に、クリーチャーが殺されて死から蘇ったとしても持続する。呪いを終了させるために、キャラクターは呪いの解説に描かれたクエストを完遂せねばならない。君はクエストを君のキャンペーンに適合するよう別のものと入れ替えてもよい。キャラクターがクエストを完了させたなら、呪いは終了する。
キャラクターはリムーヴ・アフリクションの儀式や類似の魔法で呪いから開放されてもよい。DMはある種の呪いは強力で、それらは一般の儀式魔法では開放することができず、開放には特別なクエストや特殊な儀式が必要としてもよい。
キャラクターが呪いの効果を終了させた場合、彼や彼女は彼や彼女のレベルの副次クエストを完了させたかのように経験点を得る。
人狼変化
広く知られた知識では野獣に変身して戻ることができる人型生物がライカンスロープである。しかし、メローラやセイハニーンが自然に対する罪を犯した定命の者を呪ったという伝説がある。満月が昇るたび、咎人は獰猛な野獣に変身する。他の呪われたクリーチャーは彼らの苦しみを噛みつくことでうつすことができるが、これの場合はモンスターの病気が呪いに変更される。
この呪いはワーウルフのためにデザインされているが、君は変身するクリーチャーを変更することで他種の変化に対応させることができる。
人狼変化 | レベル可変・呪い |
月が昇れば裡なる獣が目醒め、何ものにも縛られずに暴れる。 | |
第0段階:呪いは休眠状態になる。 第1段階:目標は第1段階で、“意思”に-2のペナルティを受ける。 第2段階:目標は第2段階で、重傷状態となった時、それは隣接する味方に対してフリー・アクションで近接基礎攻撃を行なう。 第3段階:目標は第3段階で、攻撃がヒットした時、それは隣接する味方に対してフリー・アクションで近接基礎攻撃を行なう。 第4段階:目標は第4段階で、満月の夜はワーウルフとなりDMの制御下に置かれる。これのワーウルフ・バイトはワーウルフの月下狂乱の代わりに、この呪いをうつす。 判定:大休憩の終了時ごとに、第4段階以外の段階にある目標は〈自然〉判定を行なう。 簡単な難易度以下:呪いは1段階進行する。 簡単な難易度:変化なし。 通常の難易度:呪いは1段階減少する(第0段階の場合、変化なし)。 呪いからの開放:この呪いを受けた者以上のレベルを持つ善のクリーチャーに呪いをうつす(英雄級)、ワーウルフ・ロードを見つけ出して呪いから開放してもらうように説得する(伝説級)、月の乙女に拝謁して呪いを受けた者が彼女の裁きを受ける(神話級)。DMの判断で、リムーヴ・アフリクションの儀式を執行すれば目標は呪いから開放されるとしてもよい。 |
ワーウルフ・バイト | 呪い・攻撃 |
Warewolf Bite/人狼の噛みつき | |
君はその牙を他のクリーチャーに沈み込ませ、肉を裂き、君の呪いをうつす。 | |
[無限回] | |
標準アクション | 近接・1 |
目標:クリーチャー1体 | |
攻撃:使用者のレベル+5対AC | |
ヒット:2d6+(使用者のレベル)のダメージ。この攻撃で目標が重傷状態になった場合、目標は遭遇終了時に-2のペナルティを受けてセーヴィング・スローを行なう。セーヴィング・スローに失敗した場合、目標は人狼変化の呪いを受ける(第1段階)。 |
不浄なる病気
「生めよ増殖よ、我が仔らよ! 汝が悪のために働け! かような死すべき肉袋に示す慈悲はない! 我に目玉が血を流し、腫れ物が爆ぜ、そして皮が骨から滑り落ちるさまを見せよ!」
――オイノデーモンのファラクサス
多くの嘆きと苦しみを生むが、病気そのものは本来悪ではない。しかし、故意に病気を蔓延させるのは悪で、無差別にそれを行なうスラードのようなものたちもいる。
ある種の疫病は他のものより強力である。これらは特殊で不安定な効果を持つ病気で、その根深く恐ろしい性質は悪を源泉としている。この項では冒険者たちが出会うかもしれない非常に悪名高い病気をいくつか紹介している。いくつかの病気は肉体に影響を及ぼし、他のものは精神を侵す。どちらにしろ、それらはすべて患者を彼らが発病したときよりはるかに酷い容態に陥らせる。
無貌の憎悪
魔法の病気は彼らが憎む者たちを倒すために設計され、無貌の憎悪はクリーチャーに抑制できない憤怒で満たす。この病気のもっとも酷い面があらわになるのはクリーチャーの顔が融け落ち、なめらかで凹凸のない皮膚だけが残るときである。こうなれば、そのクリーチャーには飢えや渇きで死ぬまで盲目的な怒りに駆られる運命が待っている。
無貌の憎悪に感染したクリーチャーを殺したクリーチャーには病気に感染する可能性がある。そのクリーチャーは遭遇終了時にセーヴィング・スローを行なわなければならない。セーヴに失敗したら、それは無貌の憎悪に感染する(第1段階)。
無貌の憎悪 | レベル可変・病気 |
君の中に憤怒が芽生える。それは君の周りすべてが死滅するまで治まることがない凄まじい激怒だ。 | |
第0段階:目標は病気から回復する。 第1段階:目標は第1段階で、行なえるかぎりすべての機会攻撃を行なわなければならず、それの味方は敵であるかのように機会攻撃を誘発する(彼らは敵の区別をつけることができない)。 第2段階:目標は第2段階で、行なえるかぎりすべての機会攻撃を行なわなければならず、それの味方は敵であるかのように機会攻撃を誘発する(彼らは敵の区別をつけることができない)。さらに、目標が重症状態になった場合、それは盲目状態となるが擬似視覚5を得る。目標が重症状態の間、それが自身のターン中に攻撃がヒットしなかった場合、それはターン終了時に級あたり5点の[精神]ダメージを受ける。 第3段階:目標は第3段階で、目と口を喪失する。目標は盲目状態となるが擬似視覚5を得る。目標がすでに悪でない場合、その属性は悪となり、すべてのクリーチャーを敵とみなすようになる。最後に、目標のターン開始時に5マス以内に1体でもクリーチャーがいる場合、そのターンに必ず標準アクションを使ってそれを目標にした攻撃を行なわなければならない。 判定:大休憩の終了時ごとに、第1あるいは第2段階の目標は〈持久力〉判定を行なう。 簡単な難易度以下:病気は1段階進行する。 簡単な難易度:変化なし。 通常の難易度:病気は1段階減少する。 |
不浄なる罠と危険要因
「思うに、わしは少し夢中になりすぎていたかもしれん。最高の罠はその犠牲者を苦しませ叫ばせる。わしの墓をおとなった冒険者どもは皆すぐに死んでしもうた」
――アサーラック
罠や危険要因は冒険者に対する一般的な障害である。しかし、それらと出遭った者たちが死ぬか死ぬよりも酷い目に遭う効果を持ったたちの悪いものも存在する。以下では、世界でもっとも邪悪な者たちの隠れ家やその周辺で出遭うかもしれないたちの悪い装置や、『Dungeon Master's Kit』と『ダンジョン・マスターズ・ガイド』に掲載された罠や危険要因の補足を紹介している。
墓所のもの
邪悪なアンデッドの守護者の一種だと考えられている玄室のものは、事実貴重な財宝を守るように考えられた強力な魔法の罠である。すべての墓所のものは茶色か黒のローブを着て背もたれの高い椅子に座った骸骨である。設置された部屋に生きたクリーチャーが入ってきたら、墓所のものはイニシアチブをロールしてそのターンに攻撃を行なう。
墓所のものは喋ることができ、それに向かって話しかけるクリーチャーと会話する。しかし冒険者が墓所のものと話したとしても、それが攻撃を止めることはない。墓所のものはその場所と隣接した部屋すべてについての情報を知っており、ターンに1度フリー・アクションとして1つの質問に答える。
キャラクターは難易度32の〈宗教〉あるいは〈魔法学〉判定に成功すれば、墓所のものを識別することができる。
墓所のもの | 18レベル・罠 |
物体 | XP2,000 |
発見:自動 | イニシアチブ:+10 |
HP:100 AC30;頑健30、反応25、意思- 完全耐性:[死霊]、[精神]、[毒]、強制移動、すべての状態、継続的ダメージ |
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標準アクション | |
[r]ファルス・ディスインテグレイト/偽りの分解([幻])◆無限回 | |
攻撃:遠隔5(クリーチャー1体);+21対“意思” ヒット:目標は気絶状態および不可視状態となる(どちらもセーヴ・終了)。 |
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[r]ベイルフル・テレポート/攻性瞬間移動([瞬間移動]、[力場])◆再チャージ(4、5、6) | |
攻撃:遠隔5(クリーチャー1体);+21対“意思” ヒット:墓所のものは目標を4d20マス以内のランダムな場所に瞬間移動させる。d6をロールして方向を決定する:1、上;2、下;3、北;4、南;5、東;6、西。移動先のマスまで墓所のものの視線が通っている必要はない。そのマスが占有されていたり遮断地形だった場合、目標は20点の[力場]ダメージを受け、もっとも近い占有されていないマスに出現する。目標が空中に瞬間移動した場合、それは落下する。目標はこの瞬間移動を抑止するためにセーヴィング・スローを行なえない。 |
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トリガー時アクション | |
[m]クロー/爪◆無限回 | |
トリガー:隣接したクリーチャー1体が墓所のものに攻撃した。 攻撃(即応・対応):近接1(トリガーを発生させたクリーチャー);+23対AC ヒット:4d8+8ダメージ。 効果:墓所のものは目標を1マス押しやることができる。 |
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対抗手段 | |
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バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
『Book of Vile Darkness』今回のプレビューは、遭遇を彩るさまざまな危険の紹介ですぅ。アサーラックの反省文にもあるように、即死するようなものではなくじわじわ影響が出るようになってるのがDMする側としても安心して使えるようになったと感じさせてくれますぅ。