2012年04月12日 彼らはあのゲームに関する不満を、ゲームの中で表現したんだ。 [長年日記]
§ [DnD][4e][DSH] 5月:『Into the Unknown: The Dungeon Survival Handbook』
暗い通路が四方八方に伸びている。静止し、澱んだ空気が一歩づつ注意深い前進によってゆっくりと攪拌される。鎧のぶつかる音、砂利を踏む音が地底深くの部屋では唯一の音だったが、それらが低く反響し続けて耳を惑わす。
次の角を曲がったところにあるかすかな明かりが、通路のこちら側からも見える。闇の中で距離を測る方法は無く、それは遠くの明かり、近くのヒカリダケ、あるいは潜んでいるけだものの目に反射する炎、のいずれでもありえた。仲間を一瞥し、前方に何があるか確認するためパーティのリーダーは開閉式ランタンのシャッターを持ち上げる……。
ダンジョンには冒険者が望みうるものすべてが待っている。掴み取るべき無数の富、新たなる探検場所、危険なけだものへの挑戦、そして見知らぬ社会への侵入。地上世界での楽な生活に慣れた普通の冒険者は、少しの間ダンジョンに入るだけでそれを栄光ある勝利だと考えるかもしれない。しかし寸進尺退はなはだしいアンダーダークの住民や熟練の穴掘り屋は暗闇の奥深くで生き残ることがどれだけ難しいかを知っており、洞窟を降りるほど世界はより危険になることを知っている。
ダンジョンの冒険すべてには大いなる危険とそれより大きな報酬がついてくる。君(と君のキャラクター)がダンジョンに潜るなら周到な準備、問題解決技術、鋼の神経、そしてかなりの幸運が必要となる。この章にあるキャラクター・オプションは君の冒険者が生き残る機会を増やすことを助ける。もっとも成功したダンジョン探検家の道具と裏技を自分のものにすることで、おそらく――そう、おそらく――君は可能性をつかめるだろう。それでも死は突然に訪れ、脱出のためにパーティを即席で結成したり、アンダーダークで新人を招き入れなければならないかもしれない。
『Dungeon Survival Handbook』は私たちが先月提示したように、新しいキャラクター・テーマおよびプレイ可能種族を提供する。それらのテーマの1つは凶運のトリーに代表されるトラップスミスだ。
キャラクター・テーマ:トラップスミス
トリーの左手指2本はコボルド、いや、コボルドが仕掛けた罠に持っていかれた。トリーは腕を落とさず出血で命を落とすこともなかったので、彼は彼が憎む“強運の”というふたつ名を得た。彼の幸運を祈れば彼は顔をしかめ、彼のつきについて話をすれば彼は悪態をつく。トリーは自身を“凶運の”と名乗り、彼がそれを喜ばない時だけ幸運の加護があると信じている。しかし、彼はこの考えを自分自身の運を逃さないためにも認めてはいない。
まだ若いスヴァーフネブリンだった頃、トリーはパン屋になりたかったが、長老たちは彼の端っこさと器用な手先に目をつけた。そして彼はフェイダークの暗闇にある彼のあなぐらの周りにコボルドが仕掛けた罠を探して解除する仕事を担わされた。窮屈な通路を這い進み、ダガーを歯の間に銜え、そして油布に包まれた道具を担いで、トリーは下卑た頭脳によって生み出されたさまざまな悪魔的な装置についての知識をつけた。
彼は罠を調べるこつを身につけ、その才能は彼がわずか数秒の観察で解除方法を見つける助けとなった。物理的な落とし穴や振り子式の刃、あるいは魔法の印形や呪いでも、彼は法則を見抜けばどう無力化すべきか、作業について熟知していた。彼の天才は、嫌々ついた仕事で開花した。
しかしどんなトラップスミスも、永遠に働き続けることはできない。コボルドの罠を解除し続けて10年経つうちに、彼は指を失い、トリーはうんざりした。彼はある夜こっそり逃げ出して、より楽な仕事で生計を立てようと自然世界へのポータルへ飛び込んだ。問題といえば、彼は他に何もできないことくらいだ。そして彼は結局トラップスミスとして自分を冒険者のパーティに売り込んだ。ダンジョンには彼がコボルドとの戦いの最前線で見つけてきたよりも少ない罠があるだろうと考え、彼は数年この仕事をしたら引退しようと思っている。トリーは彼の仕事を手際よくこなし、万事それを楽しむ。彼は自分がこの商売のたぐいまれな熟練者であると自覚し、適切な報酬が支払われるようにふるまっている。
トリーは典型的トラップスミスで、このキャラクター・テーマは君がまともに戦わない何者かであることを表現することに集中している。敵に立ち向かうためには強大な力、知恵、あるいは資産(あるいはそれらすべて)が必要だが、君はこれらの利点を持っていない。
トラップスミスの仕事はそれらとは違うやり方だ。人型生物は大地に立った頃から罠を作り、大物を狩って食料と衣類を得るために技術を磨いてきた。賢者によれば、ゴブリンの部族はいち早くこの狩猟法を完成させた。彼らはより多くの食料を手に入れて保存することで、厳しい冬を生き残って数を増やすことができた。長い年月の後、他の種族も――主にゴブリンの罠と直接関わりあうことにより――彼らに対抗しうるまでになった。
トラップスミスをプレイする
罠の作成は最低限の生存用具を使用することから始まり、技術の進歩と魔法の発見により発達した。ドワーフは黒色火薬で石を爆破する方法を見いだし、その新技術を恐るべき罠を開発するために取り入れた。秘術の専門家も彼らの実験により、特別な印とルーンを使った魔法の罠の開発へと到達した。大いなる王国や帝国の発達によって、罠は要人や財産の警護だけではなく戦争の道具となった。新たな社会は罠を解除したり作成する達人を要求した。そこで君が登場する。
君は罠のすべてを知る専門家ではない。君は出会う新しい罠すべてを解くべき謎であり、その解かれるべき秘密こそ窮極の芸術であると感じている。君の仕事によって肉体と精神に刻まれる傷は、君が生の実感を味わうために支払う廉い対価だ。
トラップスミスは珍しく、君が仕事を得るのは難しいことではない。冒険者のパーティ、軍の遠征隊など、あらゆる探検家は君の仕事を評価し、時には君に引き続いての仕事を依頼する。君はダンジョンを探検するにあたり、君の仕事と特殊技能が危険と隣り合わせであるため、他の専業冒険者よりも高い報酬を指定する。多くの若く未熟なトラップスミスは本当にどんどん死んでいくため、君が年寄りであるほど君は報酬をつり上げられる。
トリーの場合、彼は金について厳しいが、金離れが悪いわけではない。遠からず引退する彼は、おろかな可能性にかける気は無いのだ。冒険者のチームに雇われる時、彼は他の者に一番いい行動についてはっきりと話をする。彼の経験と知識の集積ができると告げているなら、彼は自分自身でそれを試みようとする。しかし、彼は仕事を誇りに思っており、一度仕事を始めたなら彼はそれを途中で放り出そうとはしない。
君が仕事について少々偏執的であるのは、重要な生き延びるための特徴になる。君はいままで交流が無かった相手に対して気難しく疑り深い。さらにもじゃもじゃの髪、傷ついた手、そして傷だらけの顔、これらの特徴は君を近寄りがたくする。しかし、理解しようとする気がある者にとって君は有能な友となりうる。君が話好きでも、人生の大部分を君は一匹狼で過ごしてきた。君は皮肉めいた冗談の才能があり、前もって仕事の話をする時には奇妙な話をする。君は生命の檻から逃れることを望むが、君はいつでも――正しい支払いがあれば――助ける気もある。
罠の設置手順
罠の設置には常にそれを作動させてしまう危険がつきまとっている。トラップスミスは彼らの四肢を守り、罠がきちんと役目を果たすようにこれらの慎重な手順に従う。
- 適切な場所探し:狭い洞窟や重要な物品の近くに罠を設置する。誰もがそれを避けられないようにする。
- 二次被害を避ける:君の罠は想定外の誰も何も傷つけてはならない。それは同様に君が守ろうとしているものにダメージを与えうる罠を設置しないよう気を配ることでもある。
- きちんとした道具を使う:手を抜くな。君がある罠を作成するための道具を持っていないなら、別の罠を作れ。それだけだ。
- 距離を取れ:君が設置した罠の近くにとどまることは、自分自身の手足を失いたいと頼んでいるようなものだ。長い柄つきの道具、たとえば10フィート棒とやっとこなどは、そのためにある。保護用ゴーグルも、痛みを避ける。
- 試すな:戦場で発動せず罠が期待外れに終わっても、その罠を試すために君の命を賭ける価値は無い。君が自分の罠に殺された者として知られるよりは、いくつかの不首尾に終わった罠を仕掛けたトラップスミスとして知られる方がはるかにましだ。
トラップスミスの作成
トラップスミスは彼らの技能を磨きなりわいを極める、孤独な生き方を好む。君は自由時間を新しく刺激的なものの研究に費やす。君には少数の友人たちがいるかもしれないが、それ以上にこれといって社交的ではない。皮肉にも君は――究極の罠に負けて死ぬのだから――虜囚のような人生だと感じることもあるだろう。
君は敵を邪魔して傷つけるための意地悪な装置を作成することを楽しむためにトラップスミスになるかもしれない。ローグとおそらくレンジャーは典型的なクラスだ。君は冴えた策略や複雑な研究を実践するのが好きでこのテーマを選ぶかもしれない。メイジやバードもいいトラップスミスになる。どんな種族の一員でもこの活動を始めるかもしれないが、ちょっとした魔法の才能だけではなく機械の作成(たとえばドワーフ、ノーム、あるいはスヴァーフネブリン)が得意ならば大きな成功を収めるだろう。トラップスミスのキャラクターを作成するにあたり、以下の物語的要素を考慮すること。
分析癖:君は本能的に物理学を理解し、命に関わる挑戦も行動の成否などを厳格な論理を利用し方程式として解こうとする。君はこの思考形態を意識していないかもしれない。社会においても、君は身振りと感情を考慮する代わりに冷静に状況を分析するかもしれない。君はこれで他人から奇妙だと思われるかもしれない。君は技能を磨き生業を極める、孤独な生き方を好む。君は自由時間を新しく刺激的なものの研究に費やす。君には少数の友人たちがいるかもしれないが、それ以上にこれといって社交的ではない。
脳内麻薬の暴走:君にとって部屋の向こうで飛び跳ねる罠を解除することは全然刺激的ではない。君は死に直面してそれをはねのけることを愛している。君は危険な挑戦を成功させて賞賛されるためにより大きく危険な罠を自分から求めるかもしれない。そのような危険を乗り越えた知識は、君自身の作品をより悪魔めいたものにする。君の作品は万人が恐れ、貴重品を守りたい人々すべてから求められる。
君のなりわいは危険が無いものではない。君は芸術のために苦しみ、斬られ、殴られ、あるいは四肢を失いもするだろう。罠を仕掛けたり解除している間に危険と直面しなかったトラップスミスは珍しい。君は心に傷を負っているかもしれず、見えないそれはより長い間影響を及ぼす。
開始時特徴
君は緻密な罠の作成と解除ができるが、時に簡単な装置は敵の足止めをするくらいしかできない。
利益:君は罠作成キット(15ポンド)を得て、君はそれを罠を仕掛けるために使用できる。君がキットを失った場合、40gpで購入できる。君はさらにトリップ・ザ・トラップのパワーを修得する。
トリップ・ザ・トラップ | |
Trip the Trap/つまづきの罠 | トラップスミス/攻撃 |
こんなこともあろうかと君が準備した危険な罠を、接近した敵が起動させる。 | |
[遭遇毎] | |
即応・対応 | 近接・1 |
必要条件:使用者が罠作成キットを所持している。 | |
トリガー:敵が使用者と隣接するマスに進入した。 | |
目標:トリガーを発生させた敵 | |
攻撃:(【知力】修正値)+2対“反応” 11レベル:(【知力】修正値)+4対“反応” 21レベル:(【知力】修正値)+6対“反応” |
|
ヒット:1d6+(【知力】修正値)ダメージ。 11レベル:2d6+(【知力】修正値)ダメージ。 21レベル:3d6+(【知力】修正値)ダメージ。 |
|
効果:使用者の次のターン終了時まで目標は戦術的優位を与える。 |
追加特徴
5レベル特徴
トラップスミスの危機対応能力に並ぶ者はほとんどいなくなる。君はどのような危険要因や罠の脅威にも気づき、さらに磨かれた君の能力は近づいてくる人間についても感知する。
利益:君は〈知覚〉判定および〈盗賊〉判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
10レベル特徴
なりわいを極め、もはや君は作成した罠に即興で特別な効果を与えることができる。
利益:君はトリップ・ザ・トラップのパワーによるダメージのダイスを減らすことで以下の効果を1つ得ることができる。
君がダメージのダイス1つを減らすなら、目標は伏せ状態となる。
君がダメージのダイスを2つ減らすなら、目標は君の次のターン終了時まで幻惑状態となる。
オプショナル・ポワー
2レベル汎用パワー
君はパーティに近づく者について警告を発するために簡単な警報装置を設置できる。
アラーム・トラップ | |
Alarm Trap/警報の罠 | トラップスミス/汎用/2 |
いくつかの特殊な術をかけた鈴は隠れた敵の接近を察知する。 | |
[一日毎]◆[秘術] | |
マイナー・アクション | 使用者 |
必要条件:使用者が罠作成キットを所持している。 | |
効果:使用者は警報の罠を1つ、使用者と隣接する何者にも占有されていないマスに設置する。これは使用者が次の大休憩を終了するまで持続する。不可視状態のクリーチャーがこのマスから5マス以内に進入した場合、罠は破壊され、そのクリーチャーは不可視状態を失い〈隠密〉判定に-10のペナルティを受ける(いずれもセーヴ・終了)。 |
6レベル汎用パワー
君は洗練された技能を単純な警報装置に注ぎ込み、起動させた者たちを驚かせて同様させることができる。
ディソリエンティング・トラップ | |
Disorienting Trap/猫だましの罠 | トラップスミス/汎用/6 |
君は敵を混乱させるように設計した魔法の罠を仕掛ける。 | |
[一日毎]◆[秘術] | |
マイナー・アクション | 使用者 |
必要条件:使用者が罠作成キットを所持している。 | |
効果:使用者は猫だましの罠を1つ、使用者と隣接する何者にも占有されていないマスに設置する。これは使用者が次の大休憩を終了するまで持続する。敵がこのマスから5マス以内に進入した場合、罠は破壊され、その敵およびそれに隣接するクリーチャーすべては戦術的優位を与え、攻撃がヒットした時に伏せ状態となる(いずれもセーヴ・終了)。 |
10レベル汎用パワー
君は時々、あと数秒が欲しい状況に陥る。
イッツ・ア・トラップ! | |
It's a Trap!/罠だ! | トラップスミス/汎用/10 |
君はこれから何か悪いことが起こると察知する。 | |
[一日毎] | |
即応・割込 | 近接範囲・爆発・5 |
トリガー:使用者から5マス以内の危険要因、物品、あるいは罠がトリガーを発生させた。 | |
目標:使用者および爆発内の味方すべて | |
効果:すべての目標は彼あるいは彼女の移動速度の半分までシフトし、遭遇終了時まで危険要因、物品、および罠に対するすべての防御値に+2のパワー・ボーナスを得る。 |
スヴァーフネブリン
私たちは凶運のトリー越しにトラップスミスを眺めたが、スヴァーフネブリンはどうだろう? 『Dungeon Survival Handbook』ではディープ・ノーム――主としてアンダーダークに住み、見た目は彼らの同属とほとんど変わらない――を含む3種類の新種族を紹介している。魔法への親和性を生得すること以外の共通点が残らないほどの昔に2つの血脈は分かたれた。スヴァーフネブリンの生活様式を理解していない多くの者は彼らが地下深くで生きる他のクリーチャーと同じくらいに邪悪で不吉なものだと考えている。このため、“ディープ・ノーム”は彼らの故郷にある脅威だけではなく、地上から地下への旅人も警戒せねばならない。必然的に彼らは気難しく偏狭になったが、彼らの心根は基本的に善のままである。死がいたるところの影に潜む常闇の世界で、スヴァーフネブリンの共同体は喜ばしくも対照的だ。
スヴァーフネブリンの控え目な態度はほとんどの来訪者に辛気臭さを覚えさせ、歓迎する雰囲気ではない。ディープ・ノームは彼らの共同体を守るため新参者によそよそしい態度を取るが、彼らの信頼を得たものはすぐに彼らが親密に友誼を結ぶことを知る。彼らは鉱山の中や彼らの集落の周辺で、重労働による仕事を果たすことに集中する。仕事が無い時、スヴァーフネブリンは彼らの家族や隣人で集まり物語を語って楽しむ。
スヴァーフネブリンは数による強さを誇りにする種族である。彼らは他者や愛する共同体のために個々の好みを克服して働く。絶えず脅威にさらされているディープ・ノームは団結して友誼を結ぶことで寿命まで生きようとする。彼らは絆を結んだ者を必死に守ろうとする。
ストーニィ・ディスアピアランス | |
Stony Disappearance/土遁 | スヴァーフネブリン/汎用/6 |
君は生得の魔法能力を利用し、完全に環境の中へ埋没する。 | |
[遭遇毎]◆[幻] | |
マイナー・アクション | 使用者 |
効果:使用者の次のターン終了時、あるいは使用者が攻撃を行なうまで使用者は不可視状態となる。 |
『April: In the Works』で公開された、『Dungeon Survival Handbook』のトラップスミスとスヴァーフネブリンのプレビューを訳したですぅ。
テーマもはったりのきかせ方が上手くなってきた上に、典型的なテーマの性格や社会的な立ち位置、周りからどう見られているかを詳述しているのはプレイの指針にもなるし、好感が持てたですぅ。
サングラス<br>オークリー サングラス http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~hat/jcss2007ws/OAKLEY.html
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