ネコぶんこ


2013年09月16日 をろちとも名づく。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『現在の技能(The Latest on Skills)』

マイク・ミアルス

先週のD&D Nextのプレイテスト用パックで、私たちはゲームから技能を除外してみた。技能のデザイン全般は以下の方法論と目標に基づいている。

  • ゲームの見せ場になる能力を強調する。キャラクターが判定を行なうとき、能力値は技能より重要度の高いものになった。
    • 技能ではキャラクターを強力にカスタマイズできるようになったが、それは(特にボーナスと難易度が着実に増加する方向で)力強くなるのではなく、できなかったことをできるようにする一覧に変化した。
  • 基本要素として必須な領域にあるものとしてよりむしろ、テーブルに柔軟性と創造性をもたらすことが技能の真のボーナスといえる。それらをまとめるのが能力値だ。
    • 序盤数レベルの難易度は中くらいから高い能力修正値を持つ者が確実に成功することは、難易度の調整で能力値が優越している裏づけになる。とても難易度が高くギリギリの状態でのみ、技能は要求される。
  • 技能から特殊ルールを取り除いてコア・ゲームの中に落とし込むことで、ゲームを交通整理する。登攀関係のルールを〈登攀〉技能で定義するより、登攀関係のルールがあるゲームの中にひとつのやり方として存在させる。
    • 技能は内部で処理が積み重なり、ほかのルールと乖離していく傾向がある。コアから始めて技能を追加していくようにすれば、ゲームができるだけ簡素で使いやすいものになることを約束できる。技能の中で新たなルールを導入べきではない。それらは既にコアで説明されている状況に単純な修正を提供すればいいのだ。

完全に技能を取り除くのが多数派のオプションでないことは現在のフィードバックからも明らかだ。プレイテスターはそれを嫌っていたが、こうして取り除くことで単純で柔軟性あるものになったのは評価された。

個人的に、技能は自分のキャラクターをカスタマイズする道具として好ましく感じている。たとえば私は伝統的なメイスとチェインメイルのクレリックとは大きく違った、〈隠密〉、〈生存〉、そして〈知覚〉と技能を修得して判定を強化し、野外での追跡と狩りが得意なレザー・アーマーと遠隔武器を使う高い【敏捷力】を持つクレリックを作成することができる。

さらに、これから始めるプレイヤーにとって技能は君のキャラクターが得意なことを把握できる便利な一覧表として使うこともできる。技能は能力値判定を喰わないのが理想だが、それらは判定の手順を知る手助けができる。それらは束縛を与えるより、プレイヤーに刺激を与えて援助せねばならない。

私たちが技能に出した結論はこうだ。

  • 技能は能力値より下位にあることは、書式にも出てくる。ルールの文章では〈運動〉判定ではなく、【筋力】(〈運動〉)判定と書かれる。この書式は能力値がシステムの基盤で、技能はそれらの判定にボーナスを与えるものだという私たちの哲学に従ったものだ。
    • さらに、これにはDMがふさわしいとした能力値に技能を適用させるのを簡単にする利点もある。【筋力】(〈運動〉)は足場の不安定な崖を登るときにはふさわしいかもしれない。その崖を登るのがどれくらい困難か知りたいときは、【判断力】(〈運動〉)を適用することができる。
  • 技能に習熟しているとき、君はレベルに基づいたボーナスを得られる。ローグに代表されるような数種類のキャラクターは、技能に練達することができる。練達すると習熟した技能からさらに+5のボーナスを得られる。
    • 君の技能ボーナスはその習熟ボーナスにひとしい。習熟ボーナスは総合レベルが基準になっており、技能、武器、およびその他の習熟している道具について適用される。こうした理由があるので、〈製作〉技能は存在しない。そのかわり、君は製作の作業や物品を作成するために必要になる道具セットに習熟することができる。
    • 習熟ボーナスは+2から始まり、+6まで増加する。これにはすべてのレベル帯で一貫した難易度設定を確実にするために、ボーナスの量を管理する意図がある。
    • 私たちはまた、判定時のダイスによるボーナスを固定値に戻した。これは多くのフィードバックでダイスの可変性が失望しか生まなかったと指摘されたからだ。みんなランダムが好きだが、腕利きのキャラクターをプレイしているときにふたつのダイス・ロールに一喜一憂させられるのは腹立たしい。
    • 練達ボーナスはローグが確実に罠を発見し、レンジャーが野外活動に優れ、そしてバードが芸能にもっとも向いていることを確実なものとするために重要だ。ある分野の専門家なクラスがそのなりわいで生きていくことを確実にするため、私たちはデザインの中で選択的にこれを使っていく。
  • フィードバックによってみんなはより幅広い技能を好んでいることを示し、さらにいくつかの技能は道具への習熟に移行させることができるため、技能の一覧はかなり簡潔なものになった。〈鍛冶〉技能のかわりに、君は鍛冶道具に習熟することができる。盗賊道具と解錠や罠解除についても同じことがいえる。最後のパックから伝承ボーナスが消えて適切な技能に置き換えられたのには注意してほしい。一般的な能力値と対応した技能の一覧は以下の通りだ。
    • 〈軽業〉(【敏】)
    • 〈動物使い〉(【判】)
    • 〈魔法学〉(【知】)
    • 〈運動〉(【筋】)
    • 〈ぺてん〉(【魅】)
    • 〈歴史〉(【知】)
    • 〈威圧〉(【魅】)
    • 〈医学〉(【知】)
    • 〈自然〉(【知】)
    • 〈知覚〉(【判】)
    • 〈芸能〉(【魅】)
    • 〈説得〉(【魅】)
    • 〈宗教〉(【知】)
    • 〈捜索〉(【知】)
    • 〈真意看破〉(【判】)
    • 〈手先の早業〉(【敏】)
    • 〈隠密〉(【敏】)
    • 〈生存〉(【判】)
  • 〈職能〉技能がほしい向きに対しては、背景をその代替としている。セイラーの背景は〈軽業〉、〈自然〉、および〈知覚〉に習熟したうえに海の乗り物を操ることができる。
    • 私たちはキャラクターの背景や原型を反映する技能のためのオプション・システムも追加する。たとえば、セイラーは君の背景にかかわる水夫としてのさまざまな判定に習熟ボーナスを与える特徴になるかもしれない。グループが望むなら、このオプション・システムは技能を代替または補完する。
  • 技能と習熟のシステムにより、誰もがさまざまなことを試みることができる。技能と習熟はボーナスを与える。それらは何かを試みる機会を奪う壁ではないのだ。誰でも解錠を試みることができるが、彼や彼女が盗賊道具に習熟しているからローグはそれを得意とする。

これが技能システムの眼目だ。結論として、技能はまったくのオプションではないが、それらを無視することが簡単な方法をとった。私はそれらがゲームのコアに存在しながら、ゲームの中心には能力値があることを維持しつつ、強みを提供することで初心者が使いやすいようじゅうぶん単純にできたと確信している。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。