ネコぶんこ


2020年09月02日 [長年日記]

§ [DnD][Ludus] Adventures in the Forgotten Realms発表によせて

マジック:ザ・ギャザリング(M:tG)の新セット発表イベントZendikar Rising and 2020 Announcement Dayで発表された、されてしまったダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)をテーマにした2021年3Q(第3四半期。7~9月にあたる)の新製品、『Adventures in the Forgotten Realms』にびっくりして、どっちもかじった覚えのある者としてはちょっとは何か書くべえと筆を執るですぅ。

まず、『Adventures in the Forgotten Realms』はM:tGのカードセットで、もっとも一般的なプレイ形態のスタンダードでそのまま使えるものですぅ。つまり、何らかの企画モノや記念セットではなく、普通に遊べる製品のひとつとして、D&Dの世界フォーゴトン・レルムがM:tGに紹介されることになりましたぁ。

そもそもD&DとM:tGの婚姻は、M:tGで大当たりして飛ぶ鳥を落とす勢いだったウィザーズ・オブ・ザ・コースト(WotC)がD&Dの会社であるTSRを買収した1997年以降、一部のファンが注目してきたトピックですぅ。WotCからはお互いのブランドが分かちがたく結びついたらユーザの必要な情報が増えてしまうとか、コケるとき共倒れになってしまうなど、慎重なコメントばかり出ていたものの、近年はM:tGの舞台になった次元をD&DでプレイするためのPlane Shiftシリーズや、『Guildmasters' Guide to Ravnica』、『Mythic Odysseys of Theros』など、M:tGの世界をD&Dでプレイする流れが来ていた(D&D出身のジェームス・ワイアットという人がM:tGに行って暗躍していたというハナシ)ので、方針が転換してきた気配はあったですぅ。それでも、D&Dの世界をM:tGでプレイするのは、うわー来たかーとなってしまう程度には(TCGとRPGのホビーとしての規模差とかで)驚く発表でしたぁ。

しかし本来ならここで2021年7月24日公開予定だった映画も入れて、TCG、RPGの両面で包囲してフォーゴトン・レルムという世界をバンバン売る予定だったんだろうけど、世界情勢の都合で映画は一年延期になってしまったですぅ。

というわけで、以下はM:tGをよく知らない人向けのM:tGの説明と、D&Dをよく知らない人向けのD&Dの説明ですぅ。

→M:tG

M:tGはパックを買ったらランダムで入っているカードを集め、その効果を活用する自分のカード束(デッキ)を作って遊ぶトレーディングカードゲーム(TCG)ですぅ。最近はパソコンソフトのMTGアリーナでも基本無料でプレイできるようになったので、そちらの人口も増えてますぅ。

プレイ時間はだいたい1ゲーム数十分(長くても30分を越えることはめったにない)で、公認大会だとこれを2本先取で1マッチとするものが多いですぅ。

M:tGの舞台になっているのは、ホラー、エジプト神話風、ギリシア神話風、おとぎ話の世界、北欧風、魔法学園など……さまざまなテーマを元に組み立てられた次元が無数にある多元宇宙で、プレイヤはその世界を行き来する超越存在のプレインズウォーカーになり、見聞きした事象を魔法にして決闘(デュエル)を行なうというものですぅ。

この多元宇宙をD&Dでプレイする場合、PCは基本的にプレインズウォーカーではなく次元の原住存在で、カードに描かれている怪物と戦ったりするのがメインになるですぅ。

ゲームのプレイを始めるには、一番手軽なものでMTGアリーナのインストール、現物をプレイしたいなら公認取扱店でちょっと相談するのをおすすめするですぅ。

TCGはお金がかかりそうだし……という人には、お互いが特定のデッキを持ってプレイすることを前提にデザインされたデュエルデッキなど、トレーディング要素が弱めにデザインされたものもありますぅ。

→D&D

D&Dは数人のプレイヤが友人の家や公民館、オンラインのチャットルームなどに集まり、それぞれがプレイヤー・キャラクター(PC)を担当して会話とサイコロによる判定で進めるTRPGの走りで、少なくとも北米では一番ゆうめいなタイトルですぅ。

プレイ時間はだいたい1セッション2~5時間で、進行役のダンジョン・マスター(DM)が「古代の遺跡で財宝を探す」、「悪い魔法使いを倒す」などの大まかな筋書きと冒険する場所や敵の概要を書いたアドベンチャーを準備し、他のプレイヤはそれをPCの能力や創意工夫で攻略する……という感じですぅ。

ぅぇープレイ時間が長いようという方も、世の中には短めのアドベンチャーを公開している方もおられるので、お茶でもすすりながらプレイしていただけると幸いですぅ。

そしてD&Dで主な舞台になっているのが、『Adventures in the Forgotten Realms』の舞台でもある魔法溢れる異世界フォーゴトン・レルムですぅ。これはいわゆる典型的な剣と魔法の中近世っぽいファンタジィ世界で、人間は街や主要な街道沿いのわずかな地域を支配下に置くがその外には危険な土地が広がり、森にはエルフ、山にはドワーフが住み、辺境には古代の遺跡が眠る……といういかにもなものですぅ。ここでPCは冒険者になって危険なドラゴンやジャイアントと戦ったり、デーモンやデヴィルといった異世界からの来訪者の陰謀をくじくために東奔西走することになりますぅ。

ゲームのプレイを始めるには、かなりのボリュームがあるアドベンチャーが同梱された『スターター・セット』やルールブックを買う他にも、公式サイトで配布されているベーシック・ルールで最低限必要なルールやデータは一式揃うので、そこで公開されているアドベンチャーを遊ぶこともできるので、暇つぶしがてらに一度チャレンジしていただきたいですぅ。

そこから先に進みたい人には、手前味噌ながらダンジョンズ&ドラゴンズ第5版購入ガイドなどをご一読していただければ幸いですぅ。

D&D×M:tG

先ほどちらっと紹介したD&DでM:tGの多元宇宙をプレイするためのプレイ資料は英語だけど、つくもさんという人が可能な範囲で和訳を公開しているですぅ。お互いの公式がM:tGはWotC直轄、D&Dは翻訳版権管理を外部委託(現状ではM:tG版権は動かせないっぽい)という事業形態の違いからか今のところ日本語版は無理そうだけど、有志は色々やっているですぅ。

また、サークルうなぎむらの同人誌、『5e Zine vol.01』にも紹介記事があるので、そちらも併せてチェックしていただいたりするととてもアレですぅ。

というわけで色々すっぽ抜かして軽い紹介をしたですぅ。現在作業中の『5e Zine vol.02』でも、この辺のことを書けたら書くですぅ(何も言ってないのと同じ)。