2011年02月20日 気の弱いシェフには、残り物のスパゲッティと古いゼリーを混ぜるのはやりすぎに思えるかもしれない。 編集
§ [DnD][4e] 『D&D Gamma World Roleplaying Game』
2012年に起きた大型ハドロン衝突型加速器実験の事故により、1947年のロズウェル事件が起こらずグレイの技術がもたらされた世界、14世紀に黒死病禍が起こらず旧大陸が荒廃しなかった世界、恐竜が滅びなかった世界、ニコラ・テスラがロボット軍団によって世界征服を果たした世界……など、たくさんの可能世界がひとつの現実へと収束してから150年後の2162年。ガンマ・テラ(Gamma Terra)と呼ばれるようになった地球は核で荒廃した砂漠や変異した原生林で覆われた荒野になり、人類も例外ではなく肉体と精神が変異していた。
自動車ほどの大きさをした甲虫がうろつきナポレオン時代風に超進化したアナグマの共同体があるような世界で、君たちは生き残るために探検し、戦わなければならない。
というのが、DnD第4版のルールを使った新作ゲーム『D&D Gamma World Roleplaying Game』の世界ですぅ。『Fallout』、『マッドマックス』、『北斗の拳』、『メタルマックス』などでおなじみの、災厄で荒廃した地球が舞台のポストアポカリプスもので、肉体が変異したり超能力に覚醒したPCが生きるために戦うというわかりやすいテーマになっているですぅ。
システム面も200ページ未満のルールブックにPC作成からGMガイドにモンスタのデータ、そして付属シナリオまで詰め込んだ充実ぶりで、このセットひとつで遊べるようにした工夫が随所に見られる良品ですぅ。
『Gamma World』でもっとも特徴的なシステムは、PC自身も制御できない変異能力を表現するアルファ変異(Alpha Mutation)カードで、7枚以上のカードで構築されたデッキから遭遇毎にカードを引き、その遭遇で準備されているアルファ・パワーを決定する(遭遇が終わったら捨て札となり、大休憩で山札を再構築する)というものですぅ。
デッキはプレイヤがPCに持たせたい能力で固めたものを用意することもできるので、PCが持っていても嬉しくないカードを排除したうえで、準備した不自由さを楽しみにするという『ドミニオン』などデッキ構築ゲームに似た楽しみが加わった印象を受けましたぁ。
アルファ・パワーは暴走(Overcharge)させることもでき、d20で10以上を出すと通常の効果に加えてメリット、9以下だとデメリットを受けるというシステムも、ランダム性を重視しながらどこかでプレイヤがコントロールできるようにしているというコンセプトを感じられたですぅ。
そしてアルファ変異と対になっているのが、エリア51に技術をもたらしたグレイ型宇宙人の故郷エリア52(Area 52)、複数の世界線で生まれ並行世界に進出していた帝国イシュタル(Ishtar)、同じく複数の世界線で誕生した機械知能と神経改造技術ジィ(Xi)などからなる超技術の所産、オメガ技術(Omega Tech)カードですぅ。
こちらはDnDでいう魔法のアイテムにあたるもので、プレイヤがデッキを作っておけばGMはプレイ中にPCが何か見つけた時それを引かせることもできるという、欲しいものリストを少し発展させたような使い方が示唆されていたですぅ。
さきにも書いたように書式がDnDの魔法のアイテムとほぼ同じなので互換しやすい部分だけど、遭遇毎にマイナー・アクションで追加の標準アクションを得て遭遇終了時まで移動速度に+1するフラッシュ・ニューロジャック(Flash Newrojack)など、壊れた性能のものも多いので当然ながら注意が必要ですぅ。
他のプレイヤと戦うのではなく全員で楽しい物語を作ることが大原則であるという説明で始まるGM向けの章はかなり充実した内容で、ガンマ・テラの演出に便利な要素の箇条書き、廃墟の雰囲気を出すためのd100で決めるガラクタ表などもあるですぅ。
戦闘遭遇の作り方にしても、屋外だと遭遇開始で敵との距離は10〜20マス、屋内では5マスほどで、戦闘中キャラクタが立ち回れる空間があるとよいなどの指針や、敵のイニシアチブはグループで管理すると便利などの小技が短くまとめられ、特殊な地形の例なんかもいくつか挙げられていますぅ。
有無を言わさずPCを巻き込んで色々な判定で中盤を繋ぎ、クライマックスへ持っていくというシナリオの作り方や、PCが脇道へ逸れないようにするという意図の説明から個別のモチベーションを持たせてひとつのシナリオに繋げるという小技まで開示されるクエストの出し方などは、少ない紙幅で要点を伝えようという意識があって好いものだと思ったですぅ。
DnDとの差異や互換性中心の説明を続けると、レベル上限は10で、PCに種族とクラス、特技は無くなっているですぅ。
種族やクラスの代わりにあるのが、共感能力者のエンパス(Empath)や重力使いのグラヴィティ・コントローラー(Gravity Controller)といった超能力の系統から、虫が変異したコックローチ(Cockroach)や猫科のフェリノイド(Felinoid)というものまである20とひとつ(普通の“人間”であるエンジニアード・ヒューマン(Engineered Human))の起源(Origin)で、この中からふたつを選んでさまざまなボーナスやパワーを決定するですぅ。
装備は個性的なガジェットをオメガ技術で表現しているためか細かくはなく、鎧はLight、Heavy、Shield。武器はLight/Heavy Melee One-handed/Two-handed Weapon、Light/Heavy Ranged One-handed/Two-handed Gun/Weaponという大雑把な区別で、細かいことはプレイヤが決めるようになってるですぅ。銃はLight One-handed gunでも習熟ボーナスにあたるWeapon Accuracyが+4、ダメージ1d8、射程10マスというなかなかに頼れる相棒だけど、貨幣の概念がないガンマ・テラでは弾薬は報酬や物々交換、廃墟からの発掘でまかなわないといけないので、それなりに大変ではあるですぅ。
アンドロイドやロボットからミュータントまでいる45種類のモンスタは、書式がDnDと同じなので一番簡単に流用できるところだと思うですぅ。
こうしてざっと眺めてみると、同じシステムを使いながらDnDで面倒だったPC作成での種族やクラス、パワーの選択を完全ランダムにするという豪快な変更は、プレイヤが介入できる乱数のアルファ変異というシステムを際立たせるための要素と解釈でき、基本は同じシステムでもDnDとは異なるプレイ感覚を提供するための工夫が見えてくるですぅ。
WotCが出している他のゲームと同じくらい平易な英文で分量も少なめなので、手軽な直球のポストアポカリプスものとして楽しむもよし、DnDと混ぜるぜ危険をするもよしで、なかなかお得なゲームになっていると思うですぅ。
すでに人工知能のAIや神話存在のミシック(Mythic)、時間旅行者のテンポラル(Temporal)といった追加起源20種や、利益を得る代償として他のPCにデメリットを起こすカードをPCに与える秘密結社(Cryptic Alliances)のルール、そしてキャンペーンの舞台として東ダァコォタァ地方とファーゴの街、シナリオが収録された『Famine in Far-Go』。起源、秘密結社に続くPCを表現するリソースとして特定レベルで特技を得られる職業(Vocation)が加わり、冒険の舞台が月面にまで広がる『Legion of Gold』のふたつがExpansion Kitとして発売されていて、商品展開のほうはこれでひと段落のようですぅ。
手前味噌ながら、翻訳用のGamma World Wikiを立てているので、利用していただければ幸いですぅ。ユーザ名は108ページの見出し、パスワードは109ページの見出しを両方すべて小文字ですぅ。
2012年02月20日 だが、遊びやすく、理屈抜きに面白いコンピュータゲームと、ルールが難解なボードゲームの違いが際立つにつれ、消費者はリチャードのスタイルへと流れはじめる。 編集
§ [DnD][4e][LnL] 『高レベル・プレイへの挑戦(The Challenge of High Level Play)』
伝説と伝承
君たちが高レベルでのプレイについて話すと、どの版でも12レベルくらいでゲームが壊れるという人がいる(10レベル、8レベル、15レベルという意見もあるが――それらは同じことだ)。このD&Dの“真理”は君がどの版を話題にしているのかは関係ないくらいぬぐい難いものになっている。それは第4版の高レベル・プレイが第1版での高レベル・プレイとはまったく異なるにもかかわらず、高レベル・プレイはいかにして破綻するのかという一般化された言説になる。
さまざまな版での高レベル・プレイを好んでいた者として、私はこれまでゲームが壊れてしまうという考えに完全な同意を示したことは無い。しかし、私が考えるにそれらにもわずかな理はある、ただしそれは君がある切り口でそれをとらえた時だけだ。人々が感じているのは、特定のレベルでプレイが変わるということなのだ。私がそれを見るに、それらの破砕点はゲームの中に3つ――低レベル、中レベル、そして高レベル――ある。私が思うに第4版でこれらの変化を認識したのはいい仕事で、その変化はキャラクターがより強力になることや、彼らの挑むべき困難がより厳しいものになるだけではない。その代わり、ゲームはまったく変わってしまう。ゲームにおける3つの級には、キャラクターの力、影響力、そして当面の敵など、多くのそれに応じた変化が内包されている。
キャラクターがダンジョンを走り回って剣を振り回すゲームと彼らが場所から場所へ瞬間移動してアーティファクトを使って敵の大軍勢を消滅させるゲームは、決定的に異なるものだ。実際に、それらは異なるゲームでなければいけない。私はプレイヤーが異なるレベルのプレイを好むのは彼らが異なるものを望んでいるのだと考えている。(もちろん、人々がそれぞれのレベルにおけるゲームの破綻を自己解決して高レベル・プレイのスタイルを使わないとしても、それは素晴らしい!)
いくらかのプレイヤーは、「俺はどこへ行けば今日の食い扶持に必要な銀貨2枚を稼げるんだ」というような泥まみれな低レベルのゲームを好む。バシリスクと戦ってトログロダイトの侵略から町を守りたい人もいる。そして他にも彼らが生きるために次元界を創造し、惑星を蹂躙したいという人もいる。(そしてだいたいはこれらから2つか3つすべてを混ぜたものを求めている。)これらの異なる欲望と需要を認めることは、彼らの都合よく手直ししてゲームプレイすることをゲーム・デザイナが認めるということだ。
それはおそらく、特定の活動、状況、そして効果をレベル基準に並べるということだ。さまざまな瞬間移動はおそらく中から高レベルの効果だ。生命力吸収や能力値ダメージの効果は中レベル。次元界移動は高レベルでなくてはならない。というように。
私が今ここで説明していることの真意は、ゲームのレベルが物語やメカニクスの複雑さに影響を及ぼすということだ。(それは低レベルの物語に深みも意義も無いということではないが、それらはレベルの蓄積による現実っぽさや神々の存在を恐らく含まないものだろう。)レベルは予測を立てさせることができ、私はデザイナがそれらの予測に向き合うべきだと思う。
1は“完全に否定”、そして5は“完全に同意”となる1から5の評価で、これらの意見について君がD&Dをプレイする時に認識しているレベルについてどれくらい一致しているか教えて欲しい。
高レベルでのプレイ(PC)は難しい
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
高レベルのゲーム運営(DM)は難しい
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
高レベルのゲーム運営(DM)は特別な熟慮が必要だ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
高レベルのゲームを成功させる(PC)には特別な熟慮が必要だ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
高レベルでのプレイは低レベル時と雰囲気が違っていてはいけない
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
高レベルでのプレイは低レベル時とゲームプレイが違っていてはいけない
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
私は高レベルでのプレイが嫌いだ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
私は低レベルでのプレイが嫌いだ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
2013年02月20日 ロールプレイング・ゲームの元となったものとしてもう一つあげておかなければならないのが、シミュレーション・ゲーム、とくにミニチュアのフィギュアを用いたウォー・ゲームである。 編集
§ [Ludus] 『シャドウラン5th Edition――次の一歩(Shadowrun, Fifth Edition—The Next Step)』
When the Shadowrun development team gathered in the secret headquarters of Catalyst Game Labs (okay, in a pleasant living room near Seattle) to discuss Shadowrun, Fifth Edition, one of the first questions why had to answer was: Why? That was a simple one: Because we wanted to. But then the questions got more complicated.
シャドウラン開発チームはカタリスト・ゲーム・ラボの秘密基地(ああ、そこはシアトルに近い快適なくつろぎの空間だ)に集合し、『シャドウラン5th Edition』について会議を行なった。まずは最初の問いについて答えよう。なぜそうする? それは単純だ。私たちがそうしたいから。だが問いはより難しくなる。
たとえばこうだ。新版を貫く原則はどんなものになる? これはより難しいものなので、近くにソーダでいっぱいの冷蔵庫があって助かった。私たちが出した結論はこうだ。
- 私たちは『シャドウラン 4th Edition』が好きだ。私たちが思うに、4th Editionの多くはよいものだった。ルールは従来より一貫性がありより使いやすいものになっていた。能力値+技能値を木曽にしたダイスプールもいい。固定された目標値もいい。そして他にもさまざまなよいものがあった。私たちは4th Editionのよさが適切だったと信じている。
- すべてに価格を。私たちがシャドウランについて話すことで、これがシャドウランナーたちの直面する大きな問題だということがより明白になった。彼らの行動はそのすべてが何らかの取引だ。彼らは安全と企業からの安定した雇用を、独立した人生で得られる自由と交換する。彼らは成功を得る機会と引き換えにその命を賭ける。彼らはその魂のかけらをクソッタレでギリギリな装備と交換し力を、強さを、速さを得る。これらの選択すべては最終的に彼らに利益をもたらすが、それらはすべて価格を持っている。それはルールで参照できなければならない。ランナーは彼らが望む利益を得られなければならない――彼らがそれらの利益に対価を払う気があるなら。無料のものなどない。
- プレイヤーはヒーローだ。プレイヤー・キャラクターの成功は彼らが何者で何ができるかを根拠にしなければならない――能力値がその中心となり技能は上昇させるのが難しくなる。それは彼らのダイスができるだけさまざまな要素から得られなければならないということだ。そして私たちが物語と冒険をデザインしているとき、その中心は凄いことをやってのけるシャドウランナーでなくてはならない。プレイヤーは他の誰かの物語の添え物ではないのだ。
- もっとサイバーパンクを。私たちはシャドウランが始まったときのサイバーパンクを愛していたが、最初にサイバーパンクが根付いた日から多くが変わったことも理解している。まったくもって日々ジャンルは変化していき、それらは部分部分で共鳴していく。たとえば権力に対する不信。人間性を奪おうとする組織と個人の戦い。道具と脅威としてのテクノロジー。そして少なくともあなたの魂だけは無傷に生き残るための闘争をさせられるディストピア世界。私たちはルールと設定でこの雰囲気を反映させたい。
- 驚きの創造。影の仕事は危険で難しくなくてはならないが、その一方でプレイヤーに無理を可能にして驚くべきことをやらせる機会を与えなければならない。誰もがダイスをロールすればテーブルに驚き、興奮、はたまた動揺の叫び声が響くようにしなくてはならない。これらのロールは数年間語り草になる物語のきっかけにならなくてはいけない。君が危険だがやりようはある何かに挑戦したくなったとき、ルールは君がそれをなんとかする方法を見つけられるよう助けなければならない。
これらが目標だ。私たちはどうやってそれを組み込むのだろう? それは私たちがこれからブログへの投稿でやろうとしていることだ。私たちはどれくらいよくやっただろうか? 君がその判定をするのだ!
発売が予定されている他のシャドウランのゲームについて
Year of Shadowrunの発表はカード・ゲーム(『Shadowrun: Crossfire』)、ミニチュア・ゲーム(『Shadowrun: Sprawl Gangers』)、そしてボード・ゲーム(『Shadowrun: Hostile Takeover』)の告知も含んでいた。そして、当然のことながらいくつかの質問も出た。すべてのゲームは他のものと関係する? 私たちがミニチュア・ゲームを出すのは、5th Editionでよりミニチュアに近づくことを意味するのだろうか?
私たちは関連するすべての質問にここで答えることはできない(私たちがそれらすべてに目を通せていないせいでもある)が、いくつかの安心してもらえる情報を提供することはできる。第一に、すべてのゲームに関わる開発者全員がそのゲームでシャドウランの雰囲気を味わえるように約束する。それは適切な挿絵を片っ端からゲームにつけるという話ではなく――どのゲームのルールもシャドウランからルールと雰囲気を抽出し、それらすべてに統一性を感じさせなければならない。第二に、こうして結びつきつつもそれぞれは独立したものになる。カード・ゲームは独立したもので、カードがロールプレイング・ゲームの一部にはならない。ミニチュア・ゲームも個別のもので、5th Editionはミニチュアをより推し進めることもない。
そして第三に、私たちはより多くの情報を君たちと共有したい。私たちはカードゲームについて既にひとつ開発ブログに投稿しているが、発売予定のゲームのすべてについて開発ブログを準備し、君たちが覆いの下にあるものと私たちの考えを読めるようにしている。君たちもこれで私たちと同じくらいこれらのゲームに興奮してほしい!
2014年02月20日 編集
§ [Promiscuus] PC完全に沈黙
今朝、ついにPCが電源を入れたときのビープすら鳴らさなくなったのでマザーボードの不調だったと判断し、iPhoneからパーツを注文したですぅ。
それにしてもPCが壊れたら読書が進むですぅ。
2021年02月20日 編集
§ [DnD][5e] アドベンチャー:溶岩炉の侵略者(4~6レベル)
今週の小冒険も小規模なダンジョンですぅ。
データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。
冒険の概要
この冒険は4~6レベル程度のキャラクター向けの短時間で終わるアドベンチャーである。
エイザーの兄弟、カルとナックは火の元素界から力が流れ込んでくる洞窟に工房を作っていた。しかし、サラマンダーのシドゥーラ一味が乗り込み、兄弟は囚われ、工房は悪の軍勢に武具を鍛える場所になってしまった。
キャラクターたちが工房に乗り込み、シドゥーラたちから溶岩炉を取り戻せば冒険は成功になる。
冒険への導入
キャラクターたちはぼろぼろになりながらも侵略された工房から脱出したエイザー、ナックから、自分たちの工房がサラマンダー率いる悪の軍勢から占拠されたので、奪還してほしいと頼み込まれる。魔法の武具(ヴェリー・レア1つ程度が妥当だろう)を鍛えることが報酬だ。
1.工房の入口
工房は天井まで15フィートほどで、部屋には“明るい”照明がついている。
2.客間
工房に来る客をもてなすための部屋では、シドゥーラ一味が雇った傭兵のミノタウロスと2体のバグベアがふんぞり返り、エイザー兄弟秘蔵の酒をたらふく味わっている。
客間の奥には鉄の扉が閉まっている通路(「3.居住区」)と、そのまま石畳が続く通路(「4.溶岩炉への道」)、がある。
バグベア
中型・人型生物(ゴブリン類)、混沌にして悪
AC:16(ハイド・アーマー、シールド)
hp:27(5d8+5)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
15(+2) | 14(+2) | 13(+1) | 8(-1) | 11(+0) | 9(-1) |
技能:〈隠密〉+6、〈生存〉+2
感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉10
言語:共通語、ゴブリン語
脅威度:1(200XP)
獰猛:バグベアが近接武器攻撃をヒットさせたら、そのダメージにダイスを1つ追加する(攻撃には計算済み)。
不意討ち攻撃:バグベアが戦闘の最初のラウンドにクリーチャーを不意討ちして攻撃したなら、目標は追加で7(2d6)ダメージを受ける。
アクション
モーニングスター:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:11(2d8+2)[刺突]ダメージ。
ジャヴェリン:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィートまたは射程30/120フィート、目標1体。ヒット:9(2d6+2)[刺突]ダメージ、遠隔の場合は5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
ミノタウロス
大型・魔獣、混沌にして悪
AC:14(外皮)
hp:76(9d10+27)
移動速度:40フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
18(+4) | 11(+0) | 16(+3) | 6(-2) | 16(+3) | 9(-1) |
技能:〈知覚〉+7
感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉17
言語:奈落語
脅威度:3(700XP)
捨て身:ターン開始時、ミノタウロスはそのターン中に行なうすべての近接武器攻撃の判定に有利を得るが、次のターン開始時まで、それに対する攻撃ロールに有利を与えることを選べる。
突撃:ミノタウロスが目標に向かって最低10フィート直進し、同じターンに角による攻撃がヒットした場合、目標はさらに9(2d8)[刺突]ダメージを受ける。目標がクリーチャーの場合、難易度14の【筋力】セーヴィング・スローに成功しなければ、最大10フィート押しやられて伏せ状態になる。
迷宮記憶:ミノタウロスは自分が旅した経路を完全に思い出せる。
アクション
グレートアックス:近接武器攻撃:攻撃+6、間合い5フィート、目標1体。ヒット:17(2d12+4)[斬撃]ダメージ。
角:近接武器攻撃:攻撃+6、間合い5フィート、目標1体。ヒット:13(2d8+4)[刺突]ダメージ。
3.居住区
客間から扉で隔てられた区画はエイザー兄弟の家になっている。石や金属造りの家具やベッドが並び、その一角にエイザーの兄、カルが鉄の鎖で縛られ転がされている。
キャラクターたちが彼を救出したなら、彼も戦いを手助けしようとする。この先GMが操るNPCとして戦闘に参加させてもよい。
エイザー
中型・エレメンタル、秩序にして中立
AC:17(外皮、シールド)
hp:39(6d8+12)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
17(+3) | 12(+1) | 15(+2) | 12(+1) | 13(+1) | 10(+0) |
セーヴィング・スロー:【耐】+4
ダメージ脆弱性:[冷気]
ダメージ完全耐性:[毒]、[火]
状態完全耐性:毒状態
感覚:受動〈知覚〉11
言語:火界語
脅威度:2(450XP)
照明:エイザーは半径10フィートに“明るい”光を放ち、さらに10フィート先まで“薄暗い”光を放つ。
熱された体:エイザーに触れたり、5フィート以内で近接攻撃をヒットさせたクリーチャーは5(1d10)[火]ダメージを受ける。
熱された武器:エイザーが使う金属製の近接武器はヒット時に追加で3(1d6)[火]ダメージを与える(計算済み)。
アクション
ウォーハンマー:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(1d8+3)[殴打]ダメージ、あるいは両手を使った近接攻撃の場合は8(1d10+3)[殴打]ダメージ、および3(1d6)[火]ダメージ。
4.溶岩炉への道
石畳の通路は徐々に暖かく、熱くなってくる。溶岩炉が近いのだ。
ここには番犬のヘル・ハウンドがおり、さらにエイザー兄弟から小間使いにされていた3体のマグミンが、新たな主にそそのかされて侵入者にいたずらを仕掛けてくる。
ヘル・ハウンド
中型・フィーンド、秩序にして悪
AC:15(外皮)
hp:45(7d8+14)
移動速度:50フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
17(+3) | 12(+1) | 14(+2) | 6(-2) | 13(+1) | 6(-2) |
技能:〈知覚〉+5
ダメージ完全耐性:[火]
感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉15
言語:地獄語を理解できるが喋れない
脅威度:3(700XP)
鋭敏聴覚/嗅覚:ヘル・ハウンドは聴覚と嗅覚による【判断力】〈知覚〉判定に有利を受ける。
群狼戦術:少なくとも1体のヘル・ハウンドの味方がクリーチャーから5フィート以内にいて、その味方が無力状態でない限り、このヘル・ハウンドはそのクリーチャーに対する攻撃ロールに有利を得る。
アクション
噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(1d8+3)[刺突]ダメージに加え7(2d6)[火]ダメージ。。目標は難易度14の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、ヒット・ポイント最大値を受けたダメージと同じだけ低下させる。この低下は目標が大休憩を終了するまで持続する。この効果によって最大ヒット・ポイントが0以下になった場合、目標は死亡する。
火のブレス(再チャージ5~6):ハウンドは15フィートの円錐状に火を噴射する。この範囲内すべてのクリーチャーは難易度12の【敏捷力】セーヴィング・スローを行ない、失敗したら21(6d6)[火]ダメージを、成功すれば半減ダメージを受ける。
マグミン
小型・エレメンタル、混沌にして中立
AC:14(外皮)
hp:9(2d6+2)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
7(-4) | 15(+2) | 12(+1) | 8(-1) | 11(+0) | 10(+0) |
ダメージ耐性:非魔法的攻撃による[殴打]、[刺突]、および[斬撃]
ダメージ完全耐性:[火]
感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉10
言語:火界語
脅威度:1/2(100XP)
照明点火:ボーナス・アクションとして、マグミンは磁針を光らせたり、それを消すことができる。光っている間、マグミンは半径10フィートに“明るい”光を放ち、さらに10フィート先まで“薄暗い”光を放つ。
断末魔の爆発:マグミンは死ぬと火とマグマの爆発になる。10フィート以内のすべてのクリーチャーは難易度11の【敏捷力】セーヴィング・スローを行ない、失敗したら7(2d6)[火]ダメージを受け、成功したらその半分を受ける。この爆発で範囲内にあって装備されていない可燃性の物体には火がつく。
アクション
接触:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(2d6)[火]ダメージ。目標がクリーチャーあるいは可燃性の物体だった場合、発火する。クリーチャーが火を消すための1回のアクションを行なうまで、目標はそのターン終了時に3(1d6)[火]ダメージを受ける。
5.溶岩炉の工房
溶岩炉の工房は、中央部に作業台やさまざまな工具が並べられており、その向こうにサラマンダーのシドゥーラ、そして彼が解き放った炉に力を与えているファイアー・エレメンタルがいる。
ファイアー・エレメンタルは、シドゥーラを倒せば命令者が消えたことで戦闘行動を終わらせる。
ファイアー・エレメンタル
大型・エレメンタル、真なる中立
AC:13
hp:102(12d10+36)
移動速度:50フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
10(+0) | 17(+3) | 16(+3) | 6(-2) | 10(+0) | 7(-2) |
ダメージ耐性:非魔法的攻撃による[殴打]、[刺突]、および[斬撃]
ダメージ完全耐性:[毒]、[火]
状態完全耐性:動けない状態、気絶状態、消耗状態、石化状態、つかまれた状態、毒状態、麻痺状態、伏せ状態、
感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉10
言語:火界語
脅威度:5(1800XP)
照明:エレメンタルは半径30フィートに“明るい”光を放ち、さらに30フィート先まで“薄暗い”光を放つ。
火の姿:エレメンタルは幅1インチ以上の空間なら、無理矢理入り込むことなく通り抜けられる。エレメンタルに触れたり、5フィート以内で近接攻撃をヒットさせたクリーチャーは5(1d10)[火]ダメージを受ける。また、エレメンタルは敵対的なクリーチャーの占有する空間に入り、その空間で止まることもできる。そのターンの最初にクリーチャーの占有する空間に入る時、そのクリーチャーは5(1d10)[火]ダメージを受け、発火し、誰かがアクションとして火を消さない限り、そのクリーチャーはそのターン開始時に5(1d10)[火]ダメージを受ける。
水への過敏性:エレメンタルは水中を5フィート移動するごとに、または水1ガロンを浴びせられるごとに、1[冷気]ダメージを受ける。
アクション
複数回攻撃:エレメンタルは2回の接触による攻撃を行なう。
接触:近接武器攻撃:攻撃+6、間合い5フィート、目標1体。ヒット:10(2d6+3)[火]ダメージ。目標がクリーチャーあるいは可燃性の物体だった場合、発火する。クリーチャーが火を消すための1回のアクションを行なうまで、目標はそのターン終了時に5(1d10)[火]ダメージを受ける。
サラマンダー
大型・エレメンタル、中立にして悪
AC:15(外皮)
hp:90(12d10+24)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
18(+4) | 14(+2) | 15(+2) | 11(+0) | 10(+0) | 12(+1) |
ダメージ脆弱性:[冷気]
ダメージ耐性:非魔法的攻撃による[殴打]、[刺突]、および[斬撃]
ダメージ完全耐性:[火]
感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉10
言語:火界語
脅威度:5(1800XP)
熱された体:サラマンダーに触れたり、5フィート以内で近接攻撃をヒットさせたクリーチャーは7(2d6)[火]ダメージを受ける。
熱された武器:サラマンダーが使う金属製の近接武器はヒット時に追加で3(1d6)[火]ダメージを与える(計算済み)。
アクション
複数回攻撃:サラマンダーは1回のスピアおよび1回の尻尾で、2回の攻撃を行なう。
スピア:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+7、間合い5フィートあるいは射程20/60フィート、目標1体。ヒット:11(2d6+4)[刺突]ダメージ、あるいは両手を使った近接攻撃の場合は13(2d8+4)[刺突]ダメージ、および3(1d6)[火]ダメージ。
尻尾:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い10フィート、目標1体。ヒット:11(2d6+4)[刺突]ダメージやよび7(2d6)[火]ダメージ、および目標はつかまれた状態(脱出難易度14)になる。つかみが終了するまで目標は動けない状態になり、サラマンダーの尻尾による攻撃は目標に自動的にヒットし、サラマンダーは他の目標に尻尾による攻撃を行なえなくなる。
結末
シドゥーラ一味を倒せば、他の種族と没交渉なエイザーのカルとナックも感じ入り、約束通りキャラクターたちに魔法の武具を作ってくれる。
工房に侵略者を放ったのはシドゥーラが仕えるイフリート、エドゥフェナエディの仕業だった。キャラクターたちが冒険を続けるなら、ふたたびその陰謀とまみえることがあるかもしれない。
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