2010年07月17日 「憎む、たって、誰を憎めばいいんだ。教えてくれよ」 [長年日記]
§ [DnD][4e][DarkSun] 『アサス8つの特徴(Eight Characteristics of Athas)』
深紅の太陽の下に茫漠たる荒野とぎらつく都市、そこではぼろのサンダルを履いた英雄たちが古代の魔法と恐るべきモンスターたちと戦っている。ここはアサス(Athas)、ダーク・サン・キャンペーン・セッティング(Dark Sun)の世界、蛮性と荒廃が支配する死した惑星である。今回のダーク・サン・キャンペーン・セッティングのプレビューで、我々はこの、不毛で生命が今にも消えそうな、これから君が血と栄光で描かれた物語を描く世界の、8つの鍵となるイメージを紹介する。
『私は火と砂の世界に住んでいる。深紅の太陽は地を這い、空を飛ぶ生物すべてを焼き、砂嵐が不毛の大地で緑を探す。ここは血と塵の土地、獰猛なエルフの部族ははぐれた隊商を襲うために塩の平原を往き、神秘的な風が吹いては泥砂海(Sea of Silt)はのろまな旅人たちを窒息させ、独善的な王はまばゆい宮殿とぎらぎらした墳墓を建設するために臣民の命を浪費する。この壊れた荒野はアサス、そしてそれは私の故郷』
――旅人の手記
アサス8つの特徴
ダーク・サンという世界の設定はいくつかユニークな点がある。ダンジョンズ&ドラゴンズというゲームでおなじみの要素は無くなるかその方向性を変えている。アサスはきらびやかな騎士とローブをまとったウィザード、深き森と多彩な神格の世界ではない。アサスを砂で覆うことで伝統的なファンタジーと物語の構成から外れた野蛮で雄大なものが引き出される。深紅の太陽の下で生き残ることはしばしばそれ自体が冒険になる。アサスの新しい住民は世界、人々、そしてモンスターについてよく学ばなければならないが、以下の8つの特徴はダーク・サン・キャンペーン・セッティングで最も重要な要素の要約である。
ダーク・サン・キャンペーン・セッテイングとは
最初のダーク・サンのキャンペーン・セッティングは、ダンジョンズ&ドラゴンズ第2版のために、トロイ・デニングとティム・ブラウンが、TSR社から1991年に出版した。有名なファンタジー・アーティストのジェラルド・ブロムの強烈なイラストは、ダーク・サンの新しさを問答無用でダンジョンズ&ドラゴンズというゲームに叩きつけ、ファンタジー・ロールプレイングを伝統的な中世の雰囲気から開放した。トロイ・デニングは5部作の小説シリーズ、『五面のプリズム(Prism Panted)』でティア(Tyr)の革命と魔王(Sorcerer-King)の失墜の物語を書いた。30以上のゲーム・サプリメント、シナリオ、そしてボックス版セットでセッティングはサポートされ、さらに小説、短編集、そしてDragon Magazineの記事もあった。
このダーク・サン・キャンペーン・セッティングの新版で時間はカラク王(King Kalak)が倒された直後、自由の光がひとつの都市国家でかすかにまたたいて古代の邪悪がふたたび動き出したときに戻る。君は第2版のダーク・サン製品をオンラインや古本屋で見つけられるが、新版のセッティングはキャンペーン世界最初の物語に立ち戻った再創造である。かつての版で描かれた人、場所、そして事件は今回の版では異なる(か存在しない)こともある。そして、この版のダーク・サンは第2版に存在しなかったダンジョンズ&ドラゴンズ第4版の多くの要素――たとえば、新しいキャラクター種族とクラス――を導入させる。
1.砂漠の世界
アサスは暑く、終わりのない砂の海、命のない塩の平原、石ばかりの岩場、岩の荒地、茨の叢林、そして悪徳に覆われた渇ききった惑星である。夜が明けた瞬間から、オリーブ色の空から深紅の太陽が照りつける。気温は通常午前の半ばまでにはセ氏38度を上回り、午後遅くにはセ氏54度以上に達する。風はふいごを吹くようで、過酷な暑さを和らげるものではない。そよ風で立ちのぼる塵と砂はすべてを黄土色の細かい砂で覆う。
この人を拒む世界で、都市や村はいくつかのオアシスや緑なす平野の中にだけ存在する。ほとんどの土地は年単位で雨が降ることはなく、肥沃な土地でさえ、雨は毎年おとずれる長い炎暑と旱魃の数ヶ月の前の数週間に湿った霧が落ちる程度である。これら文明の孤島の外に広がる世界は遊牧民、略奪者、そして飢えたモンスターが放浪する荒野である。
アサスは最初から砂漠ではなく、焼けただれた風景には惑星に川や海が豊富だったことを物語る滅びの残骸も点在している。乾いた水路にかかる古い橋やがらんどうになった石造りの波止場はもはや存在しない世界を物語っている。
2.野蛮な世界
アサスに生きるものたちは野蛮で短気だ。血に飢えた略奪者、貪欲な奴隷商、そして残酷な蛮族の群れが砂漠と荒野を支配している。都市はもう少しまともだが、それぞれは不死の支配者に掌握され苦しんでいる。アサスでは奴隷制は普通のことで、多くの不幸な人々は鎖に繋がれ、残忍な親方の下で骨を折って働く。毎年、何百、いや数千におよぶ奴隷が血まみれの闘技場で殺されている。ほどこし、同情、親切――これらの概念も存在するが、それは珍しく貴重なものだ。愚か者だけがそのような美徳を望む。
3.金属は貴重
ほとんどの武器や防具は骨、石、木、その他いろいろな素材でできている。鎖帷子や板金鎧は魔王の財宝にしか存在しない。鋼の刃などは非常に貴重で、多くの英雄たちは生涯を通じて目にすることもない。
4.秘術魔法は世界を穢す
古代の戦争で秘術魔法が濫用されたことでアサスは荒野となった。秘術魔法を発動させるためには、近くの生態系から力を得なければならない。植物は黒い灰へと変わり、すさまじい痛みと破滅が動物と人々を襲い、大地は不毛になり、そこで何かが育つことは二度とない。世界を保護して痛みを与えないよう、注意して呪文を発動させることはできるが、穢すことで優しくするよりもさらに多くの力を得られる。結果、アサスではソーサラー、ウィザード、その他秘術魔法をあつかう者たちは保護する者も穢す者も同じように罵られて迫害される。最も強い呪文使いだけが復讐の心配をせずに秘術呪文を発動させることができるのである。
5.都市を支配する魔王
莫大な力を持つ恐るべき冒涜者(defiler、訳注:世界を穢すことで力を得る秘術使い)はひとつを除いた都市国家を支配している。彼ら強力な呪文使いは何世紀も玉座に座り続け、魔王が存在する前の世界を知っている者は誰もいない。何人かは神を名乗り、他の者たちは神のしもべを自称する。何人かは残忍な暴君で、他の者たちは少しましな暴君である。
魔王は貪欲な教団や官僚、野心的な聖堂騎士、王の力を喚起できる下位の冒涜者を使って支配を行なっている。都市国家の中ではティアだけがかすかに自由を掲げているが、強力な軍は常にそれを消そうとくわだてている。
6.神は沈黙せり
大古、惑星が緑に包まれていたとき、プライモーディアルは残酷な力で神々を倒した。現在、アサスは神格の存在しない世界である。そこにクレリックはなく、パラディンもなく、預言者も宗教結社もない。古代の遺跡にある古いほこらと破壊された寺院が、かつて神々がアサスの民と語らった証拠である。今はもう砂漠の風しか囁くものはいない。
信仰の影響がないため、他の力が世界では重要になった。サイオニックの力はアサスでよく知られて広く訓練されており、知性の存在しない砂漠のモンスターですら凶悪なサイオニックの力を持つこともある。シャーマンとドルイドは世界にある原始の力を使い、それはしばしばエレメンタルの力として現われる。
7.獰猛なモンスターが世界を徘徊する
砂漠の惑星には相応の厳しい生態がある。アサスにはウシ、ブタ、そしてウマは存在せず、その代わりに人々はフロック(flock)やエルドゥ(erdlu)を飼い、カンク(kank)やクロドゥ(crodlu)に乗り、イニックス(inix)やメキロット(mekillot)に荷車を引かせる。ライオン、クマ、そしてオオカミなどの野生生物は存在しない。それらの代わりにイド・フィーンド(id fiend)、バーズラグ(baazrag)、そしてテンボ(tembo)などの恐るべきものたちがいる。おそらくアサスの厳しい環境は耐え抜くにたる頑丈で凶暴なクリーチャーをはぐくんでいるのか、古代の魔法が生命のみなもとを穢しモンスターを歪めたなれの果てのモンスターがこの死した世界に闊歩しているのだ。いずれにせよ、砂漠は危険で、愚か者か狂人だけがひとりでそこへ旅に出る。
8.おなじみの種族は君が期待するものではない
ありがちなファンタジーの固定観念はアサスの英雄たちにあてはまらない。多くのダンジョンズ&ドラゴンズのセッティングで、エルフは知恵と慈悲深く、彼らの故郷である森を悪の手から守る森の住人である。アサスでは、エルフは遊牧民のような種族で牧夫、略奪者、行商人、そして盗人の種族だ。ハーフリングも人好きのする川の民ではなく、彼らは他種族嫌いで彼らの山や森へやって来たよそ者を狩りたてて殺す首狩り族で人食いだ。一般的に残忍な傭兵として魔王の親衛隊や執行者になるか多くの都市国家で騎士になると知られているのは――ゴライアスやハーフジャイアントである。
金曜日の予告:都市国家の壁の中、あらゆる人は社会の中で特定の身分を持つ。
以上、8月にキャンペーン・セッティング本体の『Dark Sun Campaign Setting』、モンスター本『Dark Sun Creature Catalog』、シナリオ『Marauders of the Dune Sea』、そしてサイオニック本『Psionic Power』と関連書籍が一気に発売されるダーク・サンの紹介記事『Eight Characteristics of Athas』の訳ですぅ。ダーク・サンという世界の要点をうまくまとめてると思ったので紹介してみましたぁ。
個人的に目を引いたのは、4eにあたって大幅に年代を進めたフェイルーン、舞台設定を据え置いたエベロンとはまた違うアプローチ、世界を巻き戻しての再創造(reimagining)だったことですぅ。
今までも旧版の設定や固有名詞を換骨奪胎して世界を再構築してきた4eだけに、ダーク・サンがどう料理されるか楽しみですぅ。もちろんこれは私がここのとこ(ずっと)エヴァ狂ってることも関係ありそうですぅが。
§ [DnD][4e][ChaosScar] Robert J. Schwalb『谷のエルフたち(Elves of the Valley)』Dungeon #178(1レベル)
『谷のエルフたち(Elves of the Valley)』は渾沌の痕(Chaos Scar)の王の長城(King's Wall)に近い森を舞台としている。冒険者たちは悪魔的な存在によって堕落したフェイの盗賊団と戦う。拡大する悪を倒すため、冒険者たちは盗賊団と戦わなければならず、魔法のかけられた木々を抜け、闇で汚染された森の中心へ向かう。君が渾沌の痕キャンペーンをプレイしていないなら、君はシナリオを辺境の開拓地からさほど遠くない荒野で行なうことができる。『谷のエルフたち』は1レベル・キャラクター5人向けの短編シナリオである。
君たちが悪意に満ちた森を抜けてがれきが散らばる広い空き地に出たことに気づいた。空き地の中心にある黒い皮とむきだしの枝を持つ大木が邪悪を放出している。とげまみれのつるが合間なくもつれ、樹の周りを埋めつくしている。空き地の向こうでは、草ひとつない丘の上にルーン文字ののたくる古い石碑が立っている。
いつもとってもお世話になっております(⌒ω⌒)<br>temboはテムボとせずともテンボで良かったのではと思ったですです。<br>地下鉄でも「新橋」にはShimbashiと表記しているくらいですので。<br>以上、突っ込みでした! キリッ
アドバイスありがとうございますぅ。ちょこちょこと修正しましたぁ。
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