ネコぶんこ


2011年08月10日 システムを壊すわけでもなく、実際に資材を使うわけでもなく、しかもやっていることをだれにも見つからないのだったら、いったいどんな具体的な損害を与えたことになるんだ? [長年日記]

§ [DnD][4e] Gen Con 2011: D&D新製品セミナ(Gen Con 2011: D&D New Products Seminar)

As usual, speculation was rampant on what Wizards of the Coast would announce at Gen Con. Given the departure of some high-profile names and based on statements made via the D&D website, the default prediction seemed to be the announcement of D&D 5th edition, or some kind of Basic/Advanced split forked off the current edition of D&D. As it turned out, none of that happened. Sources told me that while that certainly can’t be ruled out for the future (of course), any kind of announcement of that scope will have plenty of advance warning and won’t be conducted in secret (i.e., avoiding the way that D&D 4e was announced.)

Gen Con 2011: D&D New Products Seminar : Critical Hits

例年通り、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストがGen Conで何を発表するかの憶測は盛り上がった。いくつかの注目されている有名なD&Dのウェブサイトが行なった予想を元に、ありがちな止そうはD&D第5版の発表、あるいはBasic/AdvancedというD&D現行版の分離だった。しかし、それらは起こらなかった。関係筋が筆者に語ったところによると、(もちろん)将来的に起こらないとは断言できないが、そういう事を発表するときは事前に多くの告知を行なって秘密にはしないそうだ(すなわち、D&D第4版を発表した時の方法を避ける)。

その時、彼はGen Conで開かれるD&D Nwe Products Seminarの最後で大きな発表があると言い、それはゲーマが長い間求めていたものだった。実際、それはD&Dを飛び越えていくつかのロールプレイング・ゲームに影響があるものだったが、それをこの記事のハイライトにする。

このパネルはマイク・ミアルス(D&DのR&D責任者、あるいはボスとして公式に発表された)、ジェームズ・ワイアット、そしてロドニー・トンプソンが司会を行なっていた。

D&D小説

ジェームズ・ワイアットはD&D小説の近刊について話した。ネヴァーウィンターで起こっている事件は、ドリッズトが登場するNeverwinterと関係し、『Charon's Claw』に続いていく。さらに関係する作品のBrimstone Angelsも11月に発売される。

汎世界クロスオーバのAbyssal Plagueも、既にoriginの2作、the plague strikeの3作が既刊で、plague spreadingの3作も近々刊行される。

D&D小説は出版の面でも、電子書籍だけの“おまけ”をつけた小説のパックという挑戦を『Shadowbane』などで行なう。また、毎週3作の定番D&D小説を発売しているが、これはD&D小説の広大な世界が電子書籍時代に入ったことを意味する。

D&Dボードゲーム

Conquest of Nerathは、同じゲーム・システムを使った別のゲームを作れないか議論された(これはBitrhrightの復活だろうか? これは筆者の純粋な推測である)。

Adventure systemの3作(キャッスル・レイヴンロフトラス・オブ・アシャーダロン、そしてレジェンド・オブ・ドリッズト)も同様で、レジェンド・オブ・ドリッズトはこれらのシステムを使ったゲームで一番見事に調整された版だった。このシステムのゲームについてそれ以上の言葉は得られなかった。

ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのカタログに現われた『Dungeon of Dread』のボードゲームは、主に要求された品質基準に満たないため中止になった。これは今日のRule-of-Threeで詳しく語られたが、マイク・ミアルズは、彼らが品質基準を満たさないまま発売して、再び悲劇を繰り返さないようにしたと、第4版のエラッタを例に出して説明した。

しかし、フォーゴトン・レルムの有名な都市を舞台とした『Lords of Waterdeep』という、“ヨーロッパ風(訳註:いわゆるドイツのボードゲーム)”の新作ゲームもロドニー・トンプソンから発表された。冒険者を雇い、計画を立て、他の君主たちに後ろから一撃を加えて勝利する。彼らは第2版のフォーゴトン・レルムの資料を調べ、実際にウォーターディープの貨幣に似たものを作るなどの着想を得た。

Neverwinter Campaign Settingはこのショウで販売され(実際、筆者はそれを手に入れた)以前のキャンペーン・セッティングを超えるためにどんな挑戦をしているのかが話された。本はプレイヤ用とDM用の2部構成になっており、ふたつが連動するようになっている。キャラクタが選んだテーマ(やその他のキャラクタ作成オプション)は、DMに多くの物語についてのフックを与えてキャンペーンのプレイに影響を与える。

近日発売のMadness of Gardmore Abbeyは、ポスターマップ、ダンジョン・タイル、すべてのモンスターのトークン、そしてデック・オヴ・メニー・シングスが入った“豪華な”シナリオである。また、新書式で書かれたMadnessは4冊に分割され、シナリオの中にはこれまでの見開き形式だけではなく、物語のフック、土地、NPCの紹介だけの部分もある。シナリオの制約が少ないため、この本には主要な事件の間を生めるための素材も多く含まれている。多くの遭遇で戦闘以外の解決方法を取れるようにするか、戦闘が損だと思わせるようになっている。

以前にも述べたように『Mordenkainen's Magnificent Emporium』は、ホビーショップ専売品として予定表に復活した(しかし、それはオンラインのそうした店でも購入できる)。良い製品を発売する事に対する新しい試みとして、それは差し戻されてより多くのプレイテストを行ない、正しい形で出せるようになった。この本にはレアリティのルールに対応したより多くのアイテム、同様にキャラクター・オプション、部下(follower)と雇い人(henchmen)のルール、鎧の新種別、ようするに、君がD&Dで買いたい物はこの本に入っている。

D&D Lair Assaultは9月の『Forge of the Dawn Titan』から始まるオーガナイズド・プレイ・プログラムである。このプログラムでは戦闘、パズルを好むプレイヤに焦点を絞り、Encounters(特にこれ以降の)ではより物語に焦点を絞る。Lair AssaultではDMに勝ちたい“訓練された”パワーゲーマ向けである。いつも同じことにならず遭遇のデザインにDMの個性を出せるように、DMにはダンジョンに棲むものの一覧を受け取ることができる。

『Dragon's Collector's Set』Beholder Collector's Setのようにクロマティック・ドラゴン5体がパックに入っている。

11月にはHeroes of the Feywildで、フェイのキャラクタは多くのオプションを得る。新しいクラスの作成オプションはバードから放浪するスカルド(skald)、新しいドルイド、そして防衛役が激怒すると撃破役になるふたつの役割を持ったバーバリアン。新種族はハマドライアド(hamadryad)、サテュロス、そしてピクシー(彼らは最初から飛行能力を持つ)である。かつてのBeyond the Crystal Caveモジュールを元にしたEncountersのseasonはこの発売にあわせられる。

12月、Book of Vile Darknessをクリスマスには間に合わせる。悪属性キャラクタへの新オプションもだが、もっとも重要なのは、多くのキャンペーンで使えるアンチヒーローのような善良ではないキャラクタがどう冒険のパーティとつきあうかという、悪を使う方法のアドバイスである。

新しいダンジョン・タイルは幽霊屋敷のShadowghast Manorと、斜めや四角くないレイアウトが多い『Cathedrals of Chaos』が準備されている。

来年には『Player's Option: Power of the Plane Below』が出る(以前は『Heroes of the Elemental Chaos』という名前で予定表に出ていた)。それには元素使いのモンク作成オプション、“Essentials化”したソーサラー、ウィザードの作成オプションSha'ir、さらに元素の力を利用したいあらゆるキャラクタに対するオプションが含まれている。新種族はこの本で追加されない。Encountersのseasonもこれにちなんだ(Encountersの序盤で)旧き元素の目を調査することに焦点があてられている。マイク・ミアルズはそれがまだクトゥルフ神話TRPGほどではないと言っているが、それは今までのEncounters seasonとは異質なものになる。

また来年はポスターマップ、多くの遭遇エリア、シナリオ、そして設定を含む『Undermounten』が“製品化”(それが1冊の本になるか、ボックス・セットになるかは未定)される。アンダーマウンテンすべてをマップに描き起こすのは無駄な努力であり、無限に探検を続けられるようにするためにも、PCがマップのどこへ向かうかではランダム・ダンジョン・ジェネレータも活躍する。

大ニュース:帰ってきたミニチュア

話は前後するが、筆者がその前に得た大きな製品についての発表はこれだった。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストによるミニチュアの復活……しかも、今度はランダム封入ではない。「私はゲームのためにオークを1箱買いたい」と言っていたゲーマにとって、これは福音だ。

ウィザーズはテーマが決められたランダムではない箱入りのミニチュア(オーク、ドラウ、ゴブリン、エルフなどのような)を発売し、それぞれの箱に色々なミニチュアを入れてくる。それだけではなく、そのミニチュアでは新しいミニチュアのために作られたスカーミッシュ・ゲームにも使うことができる。それぞれの箱には君が買った箱でプレイするのに必要なステータスと、試合ごとに繋げて面白い戦場を作るための地形(それはRPGでもきちんと使える)が入っている。さらに、数セットが発売されれば、君は自分の軍隊を作るためにそれらを混ぜて使うこともでき、君が買ったセットそれぞれに束縛されることはない。

新しいミニチュアのスカーミッシュ・ゲームはふたつの面が特徴的だ。ひとつめは、ダイスを使わない。それはより戦略的で運の要素を削り(少しはまだ存在する)、アクション・カードを使うところ。ふたつめは、スカーミッシュ・ゲームそのものを9月からD&Dのウェブサイトで始まる大規模な公開プレイテストで作るというものである。こうして、ゲームはより多くのテストを経て最高の状態で発売される。

Q&Aを少々

  • 今年は予定表をこなすよりは良質な本だけを出すため、製品の数をあえてしぼった。
  • 新たなキャンペーン・スタイル(それには色々な意味がある)の本は次の8月に発売されるが、彼らはそれについて話す準備ができていない。それはドラゴンランス(かれらはそれについてのアイデアもあるようだったが)や新しいセッティングではないという一方、既存のセッティングかあるいはまったく新しいセッティングであるという答えをしなかったため、これまでに無かった何かがD&Dに現われるのかもしれない。
  • Virtual Tableはまだベータで、テストの段階である。もう一度言う、それらが完璧になるまでリリースしたくない。
  • DDIはより速く、よりニッチな要求に対応するために使われる。10月のDDIはカラ=トゥア月間で、ルーンプリースト(このゲームでもっともプレイされていないクラス)はカラ=トゥアの雰囲気を持つ新しい作成オプションが追加される。Al Qadimは将来DDIのテーマとなりうる可能性のひとつである。
  • クラスをサポートするさい、彼らはパワーばかり(それらは既にあまりにも多くがある)の追加ではなく、物語と組み合わせた新しいオプションを公開したがっている。
  • マイクのLegends and Loreのコラムで、彼はD&Dの歴史を掘り下げ、話をすることで押しつけることなくD&Dのファンに原点を知らせようとしている。彼はすべての版をプレイする事ですべての角度からゲームを検証する彼はこの仕事を得た時、彼は1つ星から5つ星まで『PHB』の批評すべてを読んだ。
  • Conquest of Nerathのシステムでもうひとつのゲームが作られるかもしれないが、それはD&Dの大規模戦闘シミュレータではない。だが、彼らはそのためにいくつかのオプションを考えている。
  • D&Dの電子書籍(新版と旧版)は、まだ何も発表する準備ができていないが、彼らはそれを動かすため本当に懸命な努力をしている。パネリストは年会費を払えばエベロンの資料すべてへアクセスできる購読権についての話を挟んだ。
  • アタリは多くのD&Dテレビゲームに取り込んでいて、これはRPG関係にも多くの可能性が開かれている。Neverwinterはこの好例である。

これらはすべてが大きなものだった。第5版はないが、いくつかの大ニュースがあり、そして筆者はマイク・ミアルズがD&DのR&D部の責任者を引き継いだことが最近のD&Dにあった良い出来事のひとつであると主張したい。

Gen Conのセミナで発表された、DnDの今年下半期から来年の新製品情報を訳しましたぁ。

DragonDungeonの動きを『Blog of Holding』さんの「live from gencon: ask design & development seminar」で補完すると、以下のようになるですぅ。

  • 9〜10月のカラ=トゥア月間に“オリエンタルな”テーマ、Assassin(Ninja)、Kanji Runepriest、Honor ruleの公開。
  • 11〜12月はHeroes of the Feywildのサポートでフェイのテーマ、ムーンシェイのケルト風なアイテム類やユニコーンなど、シナリオ『Baba Yaga's Dancing Hut』、呪文による決闘のルールを公開。
  • 1〜2月はフォーゴトン・レルム月間でパープル・ドラゴン・ナイトなどコアミアについて、フェイルーンの神格に合わせたチャネル・ディヴィニティのオプション、元素のテーマ、1stのFiend Folioからのモンスタ。

今年になってからの製品展開は、ウェブの記事は紙の出版より読者の声や現場の裁量で動き易いという特性を送り手と受け手の両方が理解しつつあり、両者で同じ物を出すのではなくうまい棲み分けの間合いを計っている雰囲気があるですぅ。

ともあれカラ=トゥアとオリエンタルのサポートは楽しみですぅ。

Thanks for Dave "The Game" Chalker.