ネコぶんこ


2012年02月13日 キャンパスに足を踏み入れる前から、リチャードの心は「ウルティマ」の舞台であるブリタニアの地にいたのだ。 [長年日記]

§ [DnD] 『新製品と質疑応答』

このエントリは、先月の26~29日に開催されたDnDの大規模コンベンション、D&D Experience 2012で28日に行なわれた『新製品と質疑応答(Future Products and Q&A)』のセミナをまとめたものですぅ。

セミナ前半はマイク・ミアルスが夏までの新製品を発表して、後半の質疑応答ではR&Dのスタッフが質問に答えていくといういつもの形式だったですぅ。記事にまとめるにあたっては、新製品について質疑応答で出た情報はその製品についての情報に追記する形にして、ノーコメントや回答できないといった内容の質疑応答は省かせていただきましたぁ。

RPG関係

4月に発売される『1st Edition Premium Player's Handbook』『1st Edition Premium Monster Manual』『1st Edition Premium Dungeon Master's Guide』は、状態のよい本をスキャンして原版にした第1版ルールブックの再販である。表紙と巻末の広告以外は当時のままだ。ホビー、ゲーム関係の流通でのみ販売され、売り上げの一部はガイギャックス記念基金に寄付される。

4月以降、夏から秋にかけてはエンカウンターズのテーマとも連動したアンダーダークの隆盛(Rise of the Underdark)が製品のテーマとなる。

4月に発売されるシナリオ、Halls of Undermountainは、1~5レベルに対応したさまざまなセッティングで素材として使える砂場型の冒険である。いくつかの小規模なシナリオと、最初に発売されたボックス・セットにも存在した象徴的な遭遇や部屋がある。ダンジョンの1階はおよそ1/3が詳細に記述されている。また、これの物語はエンカウンターズの『The Elder Elemental Eye』やLiving Forgotten Raalmとも関係を持たせることができる。

5月のDungeon Survival Handbookはダンジョンもののキャンペーンに焦点をあてた、DMとプレイヤがどちらも楽しめるものだ。プレイヤには新しいサブクラス、伝説の道、特技、パワーなどが提供される。DMにはNeverwinter Campaign Settingのように、悪漢や陰謀といった物語に取り組むためのテーマも多数提供される。ゴブリンとコボルドがPC種族として使用可能になる他、アンダーダークの新規テーマも収録される。

6月にはタイルセットのThe Urban Underdark発売。ドラウをテーマにした『D&D Lair Assault: Spiderkiller』も開幕する。

7月にはマップパックのVaults of the Underdarkが発売される。

8月に発売されるのはMenzoberranzan。これはキャンペーンの枠組みを提案するサプリメントである。通常の冒険者としてアンダーダークで冒険するためのアイデアから、氏族を代表するドラウのプレイをするためのものまでが詰まっている。PC間対立の可能性についても踏み込んだ内容。この裏切りとドラウというテーマは翌月のFortune Cardでも使われている。

第4四半期には、エド・グリーンウッドのメモや彼が行っている“非公式”キャンペーンの資料をまとめた、これまでに無い種類のサプリメントで、版に関係なく役立つEd Greenwood Presents Elminster's Forgotten Realmsが発売になる。これにはお互い矛盾する内容なども含まれている。

ボードゲーム関係

3月発売のLords of Waterdeepは、フォーゴトン・レルムのウォーターディープを舞台に都市の領主たちとなり、名声を得て影響力を高めるために冒険者を雇ってクエストに派遣する、“ヨーロッパ風”のゲームになっている。

7月に発売される『Dungeon Command』は戦術的ミニチュア・ウォーゲームである。フォーゴトン・レルムのコアミアをテーマにしたHeart of Cormyrと、ドラウがテーマのSting of Lolth2つの陣営ボックスで発売される。これらには新規デザインのものを含む塗装済みのミニチュア12体、ウォーゲームのプレイに使用するカードやタイル、キャッスル・レイヴンロフトなどアドベンチャー・システムで使用できるステータス・カードが封入されている。

これらはLords of Waterdeepと同じデザイナによってデザインされた“ヨーロッパ風”ゲームで、プレイヤはそれぞれが1つの陣営を担当して対戦する。希望小売価格は$40。

ルール面ではプレイテストで多大なフィードバックを得て、製品版ではその最終版からさらに完成度が上がっている。

発売時にはゲームディを開いて気軽に遊べる機会を作り、店舗を中心とした組織化プレイの枠組みを整備していく予定である。これはイロレーティングを用いずDCIにも関係しない組織となり、フィードバックやファンの傾向に注目している。

今後もゴブリンをテーマにしたTyranny of Goblinsなど、製品ラインとして続けていくことを予定している。

質疑応答

フェイ関係で今後得られるものは?
去年の11月にはDDIでフェイのテーマが公開され、これからもフェイのサポート記事を掲載する用意がある。スティーヴ・タウンゼントによるフェイの生態は、シルフ、グリッグ、ピクシーなどになる予定だ。
レイヴンロフトのサポート予定はある?
今年DDIで若干のサポートを行なう。店頭に並ぶ製品でも、隠し球を。
新しいボックス・セットの予定は?
それに製品として意味があるなら。ボックスは見ただけでも楽しくわくわくしてくる。
ゲーム、ホビー流通専売の製品は今後も続く?
その予定。プレイヤに小売店を支えてもらいたいのでホビー・ショップへの支援を続けたい。
旧版の情報をどこまで参照している?
時と場合によるが、レイヴンロフト関係は印刷された製品すべてに目を通した。
フォーゴトン・レルムの歴史を巻き戻す予定は?
それに特定の答えを与えることは無い。人それぞれに楽しみ方があり、好きなものや嫌いなものはまちまちだろう。“正典”に記述された情報は起こったことだ。しかし、どの時代で遊ぶべきかを我々は語らない。グレイホークについてもだが、我々はサポートしているセッティングの時を進めていきたい。
Gamma Worldはどうなった?
現在Gamma Worldについての新作予定は無い。当初からあれだけの製品で終了する予定で、その通りに終わった。
これからもMadness at Gardmore Abbeyのようなシナリオを期待できる?
いい反響に満足しているし、狙いがぴったりとはまった。モジュール、トークンなどのおまけ、価格のバランスとしても手ごたえがあった。
アンダーダークをテーマとしたエンカウンターズは複数のシーズン続く?
その通り。ただしキャラクタの引継ぎは無い。
古いエンカウンターズのコンテンツを公開する予定は?
小売店との独占契約が解消されてから公開する方針。
多くのエラッタは本を役立たずにしてきたが、DnD Nextではどうなる?
よりよいエラッタについて検討しており、DnD Nextでは少なくしたい。
長期休暇や大規模コンベンションなどで穴が開いたエンカウンターズはどうすればいい?
人生はいろいろある。まとめてセッションを行なってもいい。地元プレイヤのためにそれらの問題をどうするかは小売店が決められる。
Dark Sunが製品やDDIでサポートされる予定は?
新製品の予定は無いが、5月にDark Sun Campaign Settingを再販する。DDIではEye on Dark Sunでサポートを行っている。
シナリオにもっとマップを入れることは?
それは価格次第だ。より高度に戦術的なものはより多くのマップが必要になる。
エッセンシャルズで学んだものは?
最初に入門用の多すぎないセットを用意して、それに足していくこと。エッセンシャルズをPHBとして発売し、PHB『上級PHB』とすればさまざまな問題は無かっただろう。
『Talon of Umberlee』以降のLair Assaultは?
夏には『Spiderkiller』ともうひとつを予定している。
物語とセッティングの対立についてどう考える?
デザイナとしては君に物語りたくない。我々が提供したいのは君自身が物語るための道具であり、それこそがDnD Nextの目指すところでもある。
セッティングにおいて、デザイナはいくばくかの物語を語る。それでも物語は実際にそれを紡ぐグループのものだ。
DnD以外のゲームではどういうものをプレイしている?
コール オブ デューティSkyrimTrail of Cthulhu『Lord of the Rings Confrontation』。DnD NextのためにDnDすべての版やPathfinderもプレイした。
モンテ・クックはDnDの三本柱(戦闘、ロールプレイ、探索)について話したが、これはパーティが得意分野ごとにスポットライトを分け合うことなのか、全員がすべての面をそつなくこなせるのか、どちらを指している?
キャラクタ、プレイヤはそれぞれの輝くべき場所が無ければならないが、それは他者を蹴落として得られるものではない。戦闘、あるいは社会的な活動でも同様だが、であるクラスだけが活躍して他が置いてけぼりになるようなことを前提にしているのではない。戦闘、ロールプレイ、探索で、それぞれのクラスはそれぞれの方法で輝くのだ。
DnD Nextのイラストが目標にしているものは?
物語を語りかけるようなイラストでなければならない。
DnDにロールプレイをメカニクスとして支援する要素は入る?
モジュールとしてそれらを行なうことはできる。導入はプレイヤに無理強いするものではない。
改版しても第4版用のCharacter Builderは提供され続ける?
Character Builderは継続して提供することを予定している。

DDXPの後もこれらの情報に連なるものとして、DDIではグレイホーク、レイヴンロフト、Planescapeの復活が決定し、DDOでは夏に公開される『Menace of the Underdark』でエベロンとトリルが接続されロルスと戦うことができるようになるようになるなど、大きな発表が続いたですぅ。

§ [DnD][4e][LnL] 『版の統合、その3(Uniting the Editions, Part 3)』

伝説と伝承

モンテ・クック

これまでの2週間、私たちが版を統合したい理由、そしてそれを行なう方法について書いてきた。

去りゆくもの

これは広く同意を得られた事項ではないが、私たちには新世代のD&Dに旧版から持ち越したくないいくつかの事柄がある。すべての版においてゲームが真の黄金だったわけではない。

たとえば、THAC0の復活はありえそうにもないだろう。システム・ショック・ロール。種族によるレベル制限。性別による能力値上限。多すぎるボーナス種別。などなど。だがそれらはここにある。もし私が勘違いしているというのなら、プレイテストが始まった時に参加してそれを私たちに知らせて欲しい。君がそれらをコア・ルールの一部、あるいはオプションのモジュールとしてルールを見たいのなら、それこそが私たちの知りたい、君たちはどういうゲームをプレイしたいのかという情報だ。

さらに、このことについては検討中のものもある。第1版の武器対防具表のシステムはどうだろう? 私たちはシミュレーション主義者の手によるルールを作ることになるだろうか? 可能性はある。種族によるクラス規制は? もちろん(しかしなぜ?)。 これらは名案だろうか? 悪い考えだろうか?

来たるもの

私たちは旧版の“最高”を寄せ集めただけの新世代は欲しくない。私たちがそこで止まるなら、それをする意味は無い。それは君が望むプレイ経験をもたらすだけではなく、君が過去に得ていたものよりもよいプレイ経験を提供するという目標を達成しなければならない。より速く、よりよく、より鋭く。

しかし、新しい要素はどれくらいが丁度いいだろうか? それが問題だ。旧版になかったどんなメカニクスや素材を加えれば、私たちは君が好きな版の手触りと雰囲気を補えるだろうか? そして、私たちはどうすればゲームが先行するものを鍛えなおしたものであると説得力を持たせられるのか?

簡単な道の一例として私は先週、ルール・モジュールによるカスタマイズについて書いた。すなわち、君はそれらで第2版の手触りを再現でき、第2版の手触りを再現できるのと同様にいくつかのオプションで第3版や第4版の再現もできる。君は過去の版を選ぶ必要が無くなる。君は自分のためにゲームをカスタマイズするだろう。ベーシックD&Dの簡単さと第4版のパワーを持つゲームを思い浮かべて欲しい。あるいはすべての戦術的なルールが無いがキャラクターのカスタマイズ能力はそのままな第3版のゲームを。あるいは君が望むどんな組み合わせでもいい。

だが、私たちはいくつかの完全に新規の素材を実験している。たとえば、そのクラスらしい手触りを与えるクラス能力は、従来のクラスに存在しなかったものも存在する。たとえば、私たちはレンジャーの得意な敵というアイデアはそのままに別の方法でそれを実装するかもしれない。

私たちは意思決定の流れでも実験を行なっている。たとえば、もし君に与えられるボーナスやペナルティによる修正が、ロールするダイスの数を変更させるとしたら? たとえば、君が攻撃ロールにボーナスを得た時に与えられるものは2d20をロールしてよい結果を選ぶことになるかもしれない。あるいは固定値のボーナスを得る代わりに、君はボーナス・ダイスを得てロールした結果を足すようになる(それがペナルティの場合、引く)としたら? これらの真新しいメカニクスは楽しく、ゲームに何かを加えることができるだろうか? そしてもっとも重要なことは、それにD&Dの手触りがあるだろうか?

それを私たちが見つけるには多くのプレイテストとプレイヤーのフィードバックが必要だ。

D&D Nextに欲しい特徴

  • 特技
  • 技能
  • ヴァンス風の魔法
  • 非ヴァンス風の魔法
  • セーヴィング・スロー
  • ミスすることの無いマジック・ミサイル
  • PCが作成できる魔法のアイテム
  • 回復力
  • アクション・ポイント
  • クリティカル・ヒット
  • 致命的失敗
  • キット
  • 特殊武器
  • 士気ルール
  • THAC0
  • 種族によるレベル上限
  • システム・ショック
  • 性別による能力値上限
  • 武器対鎧表
  • 武器のスピード・ファクター
  • たくさんのボーナス種別
  • 上級クラス