ネコぶんこ


2012年04月21日 本当はゲーム目当てだったが、彼は「学校の勉強にも使えるから」と父親を説得した。 [長年日記]

§ [DnD][DnDNext] 『モンスターへの想い(Monstrous Musings)』

2012年04月18日、水曜日、午後02時52分

投稿者:WotC_TomLaPille

D&Dにおいて、モンスターの項はDMにキャラクターへ投げつける作成済みの敵を与える。それらはある分類のモンスターがD&Dの世界でどうとらえられているかを定義する。たとえばゴブリンは、マジック・ザ・ギャザリングやハリー・ポッターの世界とD&Dではまったく異なるふるまいをする。新人DMが最初に『モンスター・マニュアル』で“ゴブリン”の項を読んだ時、彼らは心の中でD&D世界の絵を描き始める。これはD&Dというゲームが別々のテーブルを超えて似ていると感じさせることを助けている。異なるグループの間で語られる物語の雰囲気と種類は大きく異なるかもしれないが、『モンスター・マニュアル』はプレイヤーがそれらの異なる物語を語るための普遍的な要素である言語を構築するのだ。

私たちがモンスターをデザインしてデベロップする時、私たちはそのモンスターの基本的な生態を理解してもらうために独自のメカニカルな効果をわずかでも含めようとする。これは現実のステータス・ブロックの大きさを左右する大きな決定だ。私たちはコボルドに凄く少ないヒット・ポイントを与えることで、彼らに少しも固有の能力を与えずに、彼らがそこまでダメージを出せないことと打たれ弱いという基本的な生態を表現することができる。ゼラチナス・キューブの基本的な生態を理解してもらうために、私たちはキューブが他のクリーチャーを飲み込みんで消化するメカニクスの説明をするので、ずっと多くの文章量が必要になる。どちらの方法でも、一度モンスターの基本的な生態の表現を完成させたなら、私たちはDMの精神という資源に必要以上の負担をかけないためにメカニクスの追加を止める必要がある。

私たちが雰囲気を伝える文章を検討するときも、これらと同じ問題が発生する。クリーチャーのセッティング特有な情報が多く求められるほど、私たちはより長い雰囲気を伝える文章を書く必要がある。たとえば、第3版のモンスター・マニュアルはブラウン・ベアにページの9分の1、44単語の段落1つと1つのステータス・ブロックを使った。D&D世界におけるブラウン・ベアの立ち位置について私たちは何も学ぶ必要が無いので、これは正しいと考えられる。一方でそれは16ページをドラゴンに使ったが、それは彼らがゲームの題名に名前を冠されているように重要だからだ。私たちはDMにドラゴンはD&Dを代表する独特な演目であるという知識を持って欲しかったので、私はこれをふさわしいと考えている。

もちろん、私たちはDMが独自に彼らが改造したモンスターを創造する自由を持っていて欲しい。たとえば、私たち第3版でモンスターにクラスを持たせることで能力を加えられるようにした。6レベル・ファイターのコボルドは戦闘で他のコボルドとは違う動きをする。しかし、基本的なコボルドはほとんどのD&Dのテーブルでたいへん似通っている。

純粋なメカニクスと純粋な雰囲気の間を埋める情報を書く時間はもっともやりがいを感じる工程だ。例を挙げるなら、私は第3版モンスター・マニュアルの222ページ、“ヴァンパイア”テンプレート“にあるヴァンパイアの弱点”の項だ。その項の第2段落でヴァンパイアは彼ら自身の意思をもって流水を渡れず、関係する者から招かれない限り誰かの家に進入できないと説明されている。これは戦闘のメカニクスではないが、それらのモンスターが世界とどう関わっているのかという部分で重要となり、さらにこの場合、私は明らかに彼らを去らせる方法を書いていると考えている。

これについて他の例は次の副項目、ヴァンパイアを滅ぼす方法にもある。キャンペーン全体の結果はパーティがうまくヴァンパイアを滅ぼせるかどうかにかかっているので、この項を読む時の私ははっきりとしたやり方を捜している。前述の通り私は――2ラウンド以上の陽光や、3ラウンド以上流水にさらすことでヴァンパイアは滅ぶという情報を得た。ヴァンパイアの心臓を串刺しにしてから肉体を破壊してもよい。

一方で、“ヴァンパイア撃退法”の一番最初の段落は私に充分な情報を与えなかった。私はヴァンパイアが大蒜の匂いがする空間に入らないこと、鏡でひるむこと、そして“強い意志で掲げた”聖印にひるむことを知ったが、これら3種はどれもヴァンパイアを実際に傷つけない。ヴァンパイアは鏡や聖印にどれくらい近づける? ヴァンパイアの敵を王女の部屋へ入れないよう、私のPCはどれくらい大蒜を買えばいい? 私のPCのクレリックが聖印を強い意志で掲げたと知ることができる? 最後の問いに、私はクレリックの【魅力】判定とヴァンパイアの【耐久力】判定を比較すればいいだろうと思うが、私はそういう要素を決して良いものだとは思わない。この段落の文章は、何かで補足しなければ利益を導けない。

未来に向かって、私たちは雰囲気とメカニクスを明確にすることを努めている。私たちのモンスターはその本能に忠実な時、できるだけ単純なメカニクスであるべきだ。また、私たちはプレイヤーがあるテーブルから別の場所に行っても、そのクリーチャーが生き生きとしていると感じさせる充分なモンスターの雰囲気を伝える情報を含めさせたい。雰囲気を伝える文章の中にメカニカル部分と近い文言がある場合、私たちはプレイで有効に利用できると明確に示す必要がある。プレイヤーはDMを驚かせることについて悪名高く、私たちはわれらがDMがそれらの奇想をさばけるだけに必要な道具すべてを詰め込んだモンスターの項を作成する必要がある。

ここまでの私の発言は何か君を驚かせただろうか? もしそうなら、それが何だったか知っておきたい。君のこたえをコメントに残してほしい。