2014年07月26日 [長年日記]
§ [Ludus] エヴァンジェリストGMのススメ
私がGMをするとき、特にシステムに慣れていなかったりルールブックを持っていない人を相手にGMをするときしばしば意識するのが、情報分野でのエヴァンジェリストですぅ。
エヴァンジェリストというのはある技術や製品を導入してもらうためにさまざまな方法でエンドユーザに働きかける役割の人たちですぅ。彼らは単純な技術や製品の説明だけではなく、それで何が得られるかも含めて提示を行なうので、ルールブックだけでなくプレイする環境も含めて重要なRPGにも応用が利きそうだと考えて実践しているですぅ。
また、GMをやるとき今日はどういう方針でマスタリングをするか意識すると最終的な判断や決断を行なうときの基準になるので、GMにも有用なことが多いですぅ。
初めてだったり慣れていない人を相手にシステムを気に入ってもらうためのエヴァンジェリストとしてGMをするとき気をつけていることがらは、下記のようなものですぅ。
セッションを完結させる
これがエヴァンジェリスト風マスタリングでもっとも重要なことですぅ。ここでいうセッションの完結はシナリオの終了だけではなく、その後に経験点の計算やキャラクタの成長、参加者で感想や雑談をする時間も含まれているですぅ。
時間がなくなってボス死んだ! シナリオ終わり! 解散! では印象が残りづらいけど、経験点の算出や感想を話し、その日のプレイを早いうちに振り返ってエピソードとして記憶に残りやすくすることで、参加した人がルールブックの購入を検討するときの助けになるですぅ。また、ルールの購入などが関係ないセッションでも記憶を反芻してエピソード構築の助けにすることは、遊んだ感覚を強化できるのでおすすめできるですぅ。
休憩はこまめに
考えを整理したり興奮した状態をクールダウンして落ち着いた状態でプレイするために、セッション中は一時間に一回ほど休憩を挟むことも、一般論としてはもちろん経験が少ない人に参加してもらうときは特に重要ですぅ。
謎や問題が多くなりすぎたり、堂々巡りになってきたりで迷走し始めたときも一旦プレイから離れ、メタ視点から整理する時間作りも兼ねて休憩の時間にするのが有効ですぅ。
普通の言葉からルール用語への翻訳者になる
慣れていないシステムをプレイする場合、何かをやりたくてそれを普通の言葉にできたとしても、ルール用語で説明することは難しいことはままあるですぅ。そこでGMはそういう宣言から「それなら○○の技能で難易度はこれくらいDEATHゥ」というようにルール用語への変換をやんわりと行なうようにすれば、プレイヤはよりやりたいことを重視したプレイができるですぅ。
PCが知っていることを提示する
前段とも関連するけど、慣れていないシステムではその背景世界で特有のものごとがよくわからずに困惑することも多いですぅ。そこで、その世界の常識とPCの立場に照らし、これくらいまでは誰でも知っているし、詳しかったりその道のプロであればここまで知っているというように、知識などの判定するまでもなく知っている、判断の指針としての常識を提示するのもエヴァンジェリスト風GMの重要な役割になるですぅ。
このとき「こういう状況ならまずαをするのがベストだけど、βやγという考えもできるDEATHゥ」と優先順をつけた選択肢を提示していくのも、慣れてなくて行動を思いつくのが難しそうな場合には有効ですぅ。プレイヤの創意工夫が削がれるのではないかと危惧される向きもあるだろうけど、まずどう動いていいかわからない状態では創意工夫どころではないし、選択肢にやりたいことがない場合、GMが提示したものにやりたいことはないと明確になるので、いずれにせよ選択肢を提示するのは有効ですぅ。
そしてこれは当然のことだけど、こうして提示する常識や選択肢はGMがプレイヤを罠にはめない信頼関係が大前提になっているので、GMの立場や助言者としての側面を利用し、プレイヤを不利にしたり笑いものにすることは絶対にやってはいけないことですぅ。
以上がエヴァンジェリストのマスタリングをするときに心がけていることがらですぅ。よく考えたら普段のマスタリングでも大事なことだけど、慣れていない人にシステムを気に入ってもらうためには特に重要だと考えていることをピックアップして紹介しましたぁ。
次の機会があれば、エヴァンジェリストとしてシナリオを書くときに注意していることを紹介するですぅ。