ネコぶんこ


2015年04月22日 [長年日記]

§ [Ludus] 佐賀と熊本への旅(特撮博物館篇)

今日は熊本で特撮博物館ですぅ。起きるのが遅くなって宿を出るのが十時半くらいになったので、チェックアウト遅めのところを選んでいてよかったですぅ。

しばらく市電に揺られていると背中のファスナー上げてなかったのを指摘されてしかも上げてもらうという恥をさらしつつ、特撮博物館をやっている熊本市立美術館やってきたですぅ。

中に入るとさっそく遠近感を協調した撮影可能なミニチュアセットに迎えられ、中へ入ると“原点I 人造”と題された展示で数種類の東京タワーや轟天号(復元)が現われ、『妖星ゴラス』、『宇宙大戦争』、『地球防衛軍』などのミニチュアや設定画に圧倒されていったですぅ。特に『地球防衛軍』に出てきたミステリアンドームのデザイン画はただこんな感じと絵を描いているだけではなく、どこがどうなって動いているかまで緻密に設定されていて、小松崎茂さんの力を味わうことができる逸品だったですぅ。他には劇中で小道具として使われた新聞も展示されていて、これがまた細かい記事にもネタが散りばめられているいいものだったですぅ。

そして『快獣ブースカ』のチャメゴンで和みつつ、オリジナルを修復した『惑星大戦争』版の轟天を眺め、残っていたことにありがたみを感じたですぅ。ありがたかったといえば、『メカゴジラの逆襲』で使われたメカゴジラ2のスーツもオリジナルが残っていて、その痛み具合や宇宙人なのに入ってるMG2のロゴも含めて味わい深い展示だったですぅ。さらに『怪獣総進撃』からはムーンライトSY-3の修復品が展示されていて、発掘戦艦ごっこをやりたい衝動を抑えるのに大変でしたぁ。もちろん『マイティジャック』からも万能潜水艦マイティジャック号が修復展示されている上かなりのスペースを取って展示がされており、Qってこのネタがやりたかった以下略という気持ちを胸にしまいつつ、成田亨さん描くMJを観ながら、次のテーマである“原点II 超人”へと展示は移っていくですぅ。

“原点II 超人”の展示では、『ウルトラマン』シリーズを中心にしたマスクやミニチュア、小道具の展示で、ウルトラマンのマスクはBタイプの再現品(個人蔵)が展示されていたですぅ。『ウルトラセブン』のマスクは修復品でしたぁ。他には、飛行シーン撮影用のさまざまな尺で作られたミニチュアが、修復品や再現品で並べられていたですぅ。もちろん、ジェットビートルやウルトラホーク1号、マットアロー各種、ZATのメカも並べられていたけど、一番これはと感じてしまったのは『突撃!ヒューマン!!』で使われたヒューマンのマスクが展示されていて、ヒューマンも仲間に入れてもらえているのだという不思議な感動があったですぅ。

他には池谷仙克さん描くペルシダーの妖しさに目を奪われたり、『流星人間ゾーン』のゾーンファイターのスーツが上半身とはいえ残っているのに感動したり、『シルバー仮面』や『レッドマン』に見入ったり、『電人ザボーガー』のザボーガーや『怪傑ライオン丸』のライオン丸、『冒険ロックバット』のロックバットなど、ピープロ特撮のマスクを眺めたりしましたぁ。この辺まで来ると『ジャンボーグA』や『ファイヤーマン』、『アイアンキング』、『トリプルファイター』、『ミラーマン』、『サンダーマスク』、『行け!グリーンマン』のグリーンマンなどなどちょっとマイナな作品も展示されていて、館長の趣味ばしってる感じでしたぁ。

次の展示である“力”では、現実を再現するために作られる建造物などのミニチュアで、館長の電信柱愛に満ちた一文から始まったですぅ。ここでは平成版『ガメラ』の着ぐるみやそこで使われた民家などのミニチュア、さらに『日本沈没』で使われた建物のミニチュアなどを観ることができたですぅ。

そういえばQのラストはもろに『日本沈没』だったけど、当然すぎるのかそれを指摘する人はあまり多くなかった気もするですぅ。

そして“力”を抜けたところに『巨神兵東京に現わる』の展示とスクリーンがあり、二周ほど観てからメイキングのスクリーンへ向かったですぅ。メイキングは「まんがは楽だなあ」といいながらニコニコして熔解爆破の特撮案を練ったり、荒れ地でミニチュア爆破して大笑いしたり、飛び跳ねながら爆炎に向かって瓦礫を投げつけたり、庵野館長の意向で工事現場の順番に光るやつを巨神兵のツノに入れたり、例の犬を見ながら「これで勝ちだよ」とか大笑いしてバカとシラフの間を行き来する特撮マニアを嵩じさせすぎた人たちがきゃっきゃうふふしてるだけの一大巨編になっていて、もう笑いをこらえるのが大変で、これはもうメディア化して衆目にさらすべきだと確信したですぅ。また、ここの展示では樋口監督は測量野帳(方眼タイプ)ユーザとか、コンテ段階だとより主張が露骨(『破壊がそのまま再生につながることもあるのだ。次はまだ見えないが、今はこの破壊を楽しめばいい』、『破壊者だけが、すべての楽しみを味わっている』、『手応えも、お供、悲鳴も、単調でつまらなくなったときの細かいアレンジも』)だったことを知ることができるので、メイキングと図録込みでBDやDVD化希望ですぅ。

その次は“特撮美術倉庫”と題された東宝撮影所にあった特美倉庫の内容を再現したもので、狭い空間の中にごちゃごちゃとゴジラの足から魏怒羅のスーツ、『青島要塞爆撃命令』で使われた蒸気機関車のような乗り物類、『零戦燃ゆ』の戦闘機各種からさまざまな特撮作品で使われたの特別車両や航空機、船舶、そして妖星ゴラスまでが所狭しと並べられていたですぅ。

次は“特撮の父”と題された円谷英二さんのコーナで、『ゴジラ』の絵コンテなど直筆の資料やオキシジェン・デストロイヤーの展示とともに、その事績が紹介されていましたぁ。

次にある“技”では、特撮に貢献した職人の方々を個人の仕事と結びつける形で紹介してあり、井上泰幸さんのイメージ画やデザイン画では『ガンヘッド』まで展示してあり、高山良策さんの造型では『大魔神』などが、そして東宝の造型師たちとして利光貞三さん、開米栄三さん、安丸信行さん、村瀬継蔵さん、八木康栄さんと八木勘寿さんたちが手がけたゴジラのひな形やスーツなどが展示されていたり、平成ガメラの原口智生さんのガメラも展示されていましたぁ。

また、カラータイマーや怪獣のツノが回転するところなどで使われた機電の技、『マグマ大使』でマグマ大使が変形するロケットを作った木工の技、爆破にも耐えられる板金の技もそれぞれ実例や写真つきで紹介されていたですぅ。

そして次は倒れた東京タワーと樋口監督を中心に据えた再現スタジオで、何人かで来てるならここで怪獣ごっこができるのだろうけど、私はひとりだったのでウルトラマンミニチュア謎看板などを撮るだけだったですぅ。『巨神兵東京に現わる』のひとり暮らしアパートもあったので思わずパチリですぅ。本当はもっといろいろ撮ったけど、紹介用に加工するのがめんどいのでこれくらいですぅ。

以上で展示は終わり、ミュージアムショップでは図録とfigma巨神兵をお迎えし、巨神兵ヴィネットをふたつほどやったらRPGで使えそうなのが出たからこれくらいにしたですぅ。

それにしても、熊本展だけの特別展示として『日本海大海戦』で使われた三笠の現物が観られたのは嬉しいサプライズでしたぁ。

こうして展示物を一通り観終わって館内の椅子でぼへーとしていたら、もう疲れてしまったし時刻も午後一時になりそうだったので、他の美術館や博物館へ行く計画はとりやめ、帰宅する方向で今後を考えることにしましたぁ。

とりあえず何か食事でもと考えたけど、美術館の中のきっちゃてんは少しお高く、階下にあるスターバックスもそういう気分じゃないのでとりあえず交通センタに行けば何かあるということで、市電に乗って県民百貨店があった場所をひいひい歩きながら交通センタへ向かったら改装工事か何かでお店がおおむねなくなっていたし、おみやげに買う予定だった馬油もなかったので、帰りの高速バスまで二十分近く余裕があるからお土産コーナの人に教えてもらった近くの物産館まで行ったですぅ。そしてそこで馬油と熊本名物っぽい三菱サイダーを買って交通センタに戻ると丁度バスの時間だったのでそれに乗り、三菱サイダーが今日始めて口にしたものになったですぅ。

バスは時速百キロ以上出てるんじゃあないかという速さで、普通電車よりは大幅にストレスなく博多駅まで到着しましたぁ。そしてちょっと買い物して帰ろうかとも思ったけど、疲れてるのでそのまま電車に乗ったら、折り畳み傘を博多駅のトイレに忘れたことを思い出し、そのまま取って返して取り戻したけど、ここでさすがに何か食べないと体によくないと理性が告げたので、阪急の地下にあるクラブハリエでバームクーヘンを食べてカロリを補給し、今度こそ帰りの電車に乗りましたぁ。

こうしてなんやかんやで帰宅が午後九時近くになり、今回の旅行は終わったですぅ。私はひとり旅をするとものを食べない、予定がタイトすぎる、すぐ疲れて帰ろうとするなどの傾向が見えてきたけど、これは注意する人がいない限りなおりそうにもないですぅ。

それにしてもまだ四月だというのに熊本は暑く、日傘をさしていたというのに陽光に随分やられてしまったですぅ。