2019年08月26日 [長年日記]
§ [Ludus] Open Game License(System Reference Document 5.1)で何作ろう
続きというかなんというか
『Open Game Licenseことはじめ』では、“第5版”はOpen Game Licenseに認められた範囲であればSystem Reference Document 5.1を自由に使えることを紹介したですぅ。
今回は、じゃあ具体的にSRDには何が含まれていて、何ができそうか、そのあたりを確かめてみたいですぅ。
SRDの中身
SRDの中身は以下のようになってるですぅ。
- Races
- ルールブックに載っている全種族のデータが掲載されているですぅ。ただし、副種族(Subrace)は各種族ひとつだけなので、ルールブックを使って作った何かを安易にそのまま流用しようとするのは危険ですぅ。
- クラス
- ルールブックに載っている全クラスのデータが掲載されているですぅ。ただし、特定のレベルで取得する道(Path)や領域(Domain)といったサブクラスは、各クラスひとつなので、ここも種族と同じく注意すべきところですぅ。
- Beyond 1st Level
- 成長に必要な経験点の表、マルチクラス関係のルール、属性、言語、インスピレーション、背景(サンプルとしてAcolyteのデータ)……といった、雑多なルールが詰め込まれているですぅ。ここで注意すべきは、SRDに収録されている背景は侍祭(Acolyte)だけなところですぅ。
- Equipment
- 装備は珍品奇品(Trinket)以外、だいたいルールブックの通りですぅ。
- 特技
- 特技の説明と、サンプルとして《Grappler》が収録されているですぅ。
- Using Ability Scores
- 能力値と修正値、有利不利、習熟ボーナス、能力値判定、各能力値の使い方、セーヴィング・スロー……と、ルールブックにも書かれている冒険の諸々が収録されているですぅ。
- Time
- 冒険中の時間管理についての諸々が収録されているですぅ。
- The Environment
- 冒険のネタになる環境要因、食糧と水、休憩などについてですぅ。
- Between Adventures
- 冒険の合間の行動について一通り書かれているですぅ。
- The Order of Combat
- 戦闘の始め方、ターンの回し方などについての部分ですぅ。
- Actions in Combat
- ターンに何ができるか、アクションについての解説、攻撃の流れ、隠蔽、騎乗戦闘、水中戦闘などについての解説ですぅ。
- Actions in Combat
- ターンに何ができるか、アクションについての解説、攻撃の流れ、隠蔽、騎乗戦闘、水中戦闘などについての解説ですぅ。
- Spellcasting
- 呪文発動についてのルールですぅ。
- Spell Lists……
- 呪文リストと各呪文の詳説が、ルールブックとほぼ同じように載っているですぅ。ただし、発明した術者の固有名詞などが使われている呪文は名称が修正されているので、使う時には一度見直した方がいいですぅ。
- Traps
- GM用ルールブックの罠について記述された部分が掲載されていて、難易度やダメージを決める基準の表とかを使えるようになってるですぅ。
- Diseases
- GM用ルールブックの病気について記述された部分が、例示と共に掲載されているですぅ。
- Madness
- GM用ルールブックの狂気について記述された部分が掲載されているですぅ。
- Objects
- GM用ルールブックの物体や構造物についてのルールが掲載されているですぅ。
- Poisons
- GM用ルールブックの毒についてのルールが例示と共に掲載されているですぅ。
- Magic Items
- GM用ルールブックの魔法のアイテムについてのルールが、収録されているアイテムと共に掲載されているですぅ。ここも自作に流用できるかどうかは一度確認してからが吉ですぅ。知性あるアイテム、アーティファクトについては断片的なルールなのには注意したほうがいいですぅ。
- Monsters
- モンスタのデータ書式について、そしてモンスタのデータが収録されているですぅ。ここで注意すべきは、ルールブックにはいるけどSRDには収録されていない種が結構いること、そして、収録されているやつも一番ベーシックなやつ(術者タイプや隊長系はいない)しか収録されていないことですぅ。
- Appendix PH-A: Conditions
- 状態についての補遺がそのまま収録されているですぅ。
- Appendix PH-B: Fantasy-Historical Pantheons
- ケルト、エジプト、北欧のパンテオンが収録されているですぅ。
- Appendix PH-C: The Planes of Existence
- 物質界、そして内方次元界、外方次元界……と、“第5版”での次元界についてざっと説明されているですぅ。
- Appendix MM-A: Miscellaneous Creatures
- 野生動物系のデータですぅ。
- Appendix MM-B: Nonplayer Characters
- NPCのデータですぅ。
……とまあだいたいこんな感じで、PCの能力値決定、GM用のプレイエイド類諸々、版元が独自性を主張する種族なんかを抜いた要素が凝縮されているですぅ。
そして、これをどうやって活用しようかというのが今回のテーマになるですぅ。
アドベンチャー
ルールブックほどではないけど豊富なモンスタ、そして環境要因や罠、財宝にできる魔法のアイテムの書式やルールが引用可能な状態で準備されているので、SRDから引用した素材を使ってアドベンチャーを作るのは鉄板な選択肢のひとつですぅ。また、ここで自作や改造したデータをOGCにしておけば、他の人も流用可能になって感謝もされるですぅ。
サプリメントやデータ集
SRDの書式を使ってルールブックに混ぜられる種族、クラスやサブクラスを作るのもいいし、特技や背景も、新たなモンスタや神格のデータを提供してもいい……と夢は広がるですぅ。ただし、追加データは公式性がかなり重要なので、サードパーティから出すなら、アクを強くして既存のゲームをオーバーライドするくらいでないとだめそう、というのが私の実感ですぅ。
スタンドアロンなルール
SRDに欠けているPC作成やプレイエイドを独自に補完し、単体でRPGのルールを作成することももちろん可能ですぅ。今度日本語版が出る『Pugmire』はそういう形式のルールですぅ。
どこまでをOGCにするか
と、SRDを使えばまあまあ色々なことに利用できるというのがわかっていただけたはずですぅ。
ただ、これを読む人が実作して公開するぜーとなったとき重々注意したほうがいいのは、引用したOpen Game Contentがそうなるのはもちろんのこと、自分が作った範囲をどこまでOGCにするかですぅ。ばんばん引用してくださいという人も、不本意に引用されたくない人も、その辺の線引きをきちんとする(紙幅があるなら「作中で引用したものと第n章がOGC」という章を作るのが一番楽……か?)と、余計な面倒がなくていいはずですぅ。
宣伝
私のサークル、『うなぎむら』では、BOOTHでOGLなサプリメント、アドベンチャーをダウンロード販売してるですぅ。
また、5e.nekohaus.netでは、SRDをHTML化して公開しているですぅ。