ネコぶんこ


2021年05月08日 [長年日記]

§ [DnD][5e] アドベンチャー:ユゴスよりの使者(2~4レベル)

Cの字混じりの小冒険ふたつめですぅ。

データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。ただし、一部のデータは私が自作したものなので、そちらの引用はないようにしてもらいたいですぅ。

また、現在イエローサブマリンさんに第5版用のアドベンチャー集『駆け出し勇者の小冒険』、『冒険者夜話』を1650円(税込)にて依託中ですぅ。さくっと遊べるシナリオをお探しの方は是非ですぅ。

冒険の概要

この冒険は2~4レベル程度のキャラクター3~5人向けの短時間で終わるアドベンチャーである。

ギザル村の一件を解決したキャラクターたちが当初の目的地であるキヌチェンドンの町に到着すると、鉱山の奥で頭をくり抜かれた死体が発見され、大騒ぎになっている。

住民たちは鉱山の奥から地下世界からの侵略者がやってきたのかと恐れている。

そんな中、キャラクターたちに金属製の円筒が話しかけてくる。彼はハワードと名乗り、この町を脅かしている事件の犯人から逃れてきたと語り、解決に協力してほしいと申し出る。

鉱山の奥にはハワードを連れてきたミ=ゴのユンググラフトゥがおり、彼はキヌチェンドンで知り合った魔法使いのチェーシャと取引を行ない、彼女の頭をくり抜き、脳を円筒に詰め込んで擬似的な不死を与えていた。

キャラクターたちが鉱山の奥にあるミ=ゴの採掘基地を探検し、ユンググラフトゥを倒すか、彼と話をつけて騒ぎに収拾をつければアドベンチャーは終了となる。

冒険への導入

ギザル村の事件を解決して近くを通っていた駅馬車に乗ると、キャラクターたちは当初の目的地だったキヌチェンドンの町に到着する。ここには古いミスラルの鉱山があり、鉱山で働いたり、いい鉱脈を見つけて一儲けしようとする流れ者も集まる町だ。

キャラクターたちが駅馬車を降りると、その近くにある広場に人だかりができている。その中心では町の衛兵隊が毛布で包み担架に乗せた“何か”を詰め所に運び込んでいる。

野次馬は口々に「昔の坑道で見つかったらしいぜ」や「頭の中身がくり抜かれてるってよ」などと、毛布の中身が惨殺された死体であることを示唆する言葉を発する。

キャラクターたちが何らかの反応をするか、あるいは通り過ぎようとするなら、その時、彼らの背後から呼び止める声がある。そちらには金属でできた高さ1フィート、直径6インチほどの円筒があり、それに付いている計器から声が出ている。

円筒はハワードと名乗り、よんどころない事情であの死体が出た事件を解決したいのだが、この通り手も足も出ないゆえ、冒険者諸君に力を借りたいと申し出る。

ハワードは黒幕のねぐらには貴重な財宝があるし、掘れるものがそこそこ残っている鉱脈も知っていると報酬を提示する。

ハワードの申し出を受けるなら「1.ハワードの話」へ、無視したり断るなら「2.衛兵隊の話」へ行くこと。

ハワードは魔法のアイテムブレイン・シリンダーのものを使用する。彼は“真なる中立”であり、【知力】18、【判断力】19、【魅力】15を持ち、共通語を話し、読み、解する。

ブレイン・シリンダー

Brain Cylinder/脳収納機

その他の魔法のアイテム、ヴェリー・レア

この装置は高さ1フィート、直径6インチ、重さ50ポンドの金属製で、クリーチャーの脳を生きたままこの中に入れれば、その脳はブレイン・シリンダーが破壊されない限り生き続けることができる。

ブレイン・シリンダーにはレンズと音を取り込むための板、発生させるための板が取り付けられており、中の脳はこれを介して肉体にいた頃と同じ感覚を得ることができる。

中身のあるブレイン・シリンダーは、中に入っている脳の持ち主が持っていた属性、【知力】、【判断力】、【魅力】を持った知性あるアイテムとして扱われる。

1.ハワードの話

キャラクターたちがハワードの申し出を受けるなら、彼はあの死体を生み出してしまったのは、わたしをここへ連れてきた者の仕業だと悔恨混じりの口調で話す。

彼らはユゴスという地よりこの地にある鉱物を発掘するために訪れている種族、ミ=ゴという存在で、彼らは高度な技術で魔法のようなことを可能にしているとハワードは話す。

この地を任されているのはユンググラフトゥという個体で、彼はこの土地に住んでいたチェーシャという者に発見され、彼女と取引をして脳をブレイン・シリンダーに取り込んだが、2人とも残された体の処理に無頓着でそのまま鉱山に捨ててしまい、惨殺死体として住民に発見されてしまったというのが、ハワードの話す真相だ。

ミ=ゴたちに連れられて様々な世界を探索するのを楽しんでいたハワードは、これ以上話が大きくなる前にユンググラフトゥと話をつけ、キャラクターたちが事件を解決したていにしたいのだと手の内を明かす。

これをどう取るかはキャラクターたちに任されている。キャラクターたちの良心とミ=ゴの精神性が相容れないのならこれを倒すことも許容するが、その時は君たちの旅に連れて行ってほしいと申し出る。

2.衛兵隊の話

ハワードの申し出を断ったり無視した場合、次は衛兵たちが声をかけてくる。惨殺死体が見つかった場所はもう枯れていると考えられている古い坑道なので、そこの調査を頼みたいというものだ。

報酬は20gpで、怪物なりなんなりの原因まで解決したならさらに100gpが約束される。

話を受けるなら、被害者はヒューマンの女性でチェーシャ。星を読む妖しげなまじないに没頭していたウォーロックで、近所づきあいもよくなかったと死体の経歴を教えられる。

ハワードの話を聞いた場合でも、衛兵の詰め所に行けば同じような話を持ちかけられる。

衛兵

中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性


AC:16(チェイン・シャツ、シールド)

hp:11(2d8+2)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
13(+1) 12(+1) 12(+1) 10(+0) 11(+0) 10(+0)

技能:〈知覚〉+2

感覚:受動〈知覚〉12

言語:任意の言語1つ(ほとんど共通語)

脅威度:1/8(25XP)


アクション

スピア:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィートまたは射程30/120フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[刺突]ダメージ、あるいは両手持ちでの近接攻撃の場合5(1d8+1)[刺突]ダメージ。

3.チェーシャの家

遺体の身元を調べたなら、チェーシャの家も教えてもらえる。住宅地の一軒家で、手入れのされてない庭は荒れ放題だ。

家の中は台所もベッドも同じ空間にある1間きりの建物で、テーブルの上には本や書き付けが乱雑に置かれている。難易度10の【知力】〈捜査〉判定に成功したなら、埃の積もり具合などから、めぼしい本やノートは既にどこかへ持ち去られていることがわかる。

テーブルの上にある一番新しいメモには『暗黒星ユゴス』と書かれている。

4.古い坑道(遺体発見現場)

チェーシャの遺体が発見されたのは、かつてミスラルの掘られていた坑道の突き当たりだ。もう数十年前に枯れているため、あまり人はよりつかない。

難易度15の【判断力】〈知覚〉判定に成功すれば、ここからさらに坑道の奥へ風が流れていることがわかり、その周辺で難易度15の【知力】〈捜査〉判定に成功すれば、精巧に隠された隠し扉があることに気づける。

ハワードがいるなら、キャラクターたちを基地の入口まで案内する。

5.ミ=ゴの基地入口

隠し扉の先はミ=ゴの基地になっている。入口には金属製の円筒(いわゆるドラム缶)がいくつかあり、中にはこの鉱山で採取された土砂が詰め込まれている。ミ=ゴにとっては有益な資源なのかもしれない。

奥へ続く通路の前には、間接からキチキチと音を立てて2体のジャイアント・クラブ、1体のジャイアント・ワスプがうごめいている。これらはミ=ゴがこの地で飼い慣らしたペットで、彼らが与えている菌類が体表に付着して羽毛のようになっている。

ジャイアント・クラブ

中型・野獣、無属性


AC:15(外皮)

hp:13(3d8)

移動速度:30フィート、水泳30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
13(+1) 15(+2) 11(+0) 1(-5) 9(-1) 3(-4)

技能:〈水泳〉+4

感覚:疑似視覚30フィート、受動〈知覚〉9

言語:-

脅威度:1/8(25XP)


水陸両用:クラブは空気中でも水中でも呼吸できる。

アクション

爪:近接武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[殴打]ダメージ、および目標はつかまれた状態(脱出難易度11)になる。クラブは2つの爪を持ち、それぞれが1体の目標のみをつかむことができる。

ジャイアント・ワスプ

中型・野獣、無属性


AC:12

hp:13(3d8)

移動速度:30フィート、飛行50フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
10(+1) 14(+2) 10(+0) 1(-5) 10(+0) 3(-4)

感覚:受動〈知覚〉10

言語:-

脅威度:1/2(100XP)


アクション

針:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、クリーチャー1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ、および目標は難易度11の【耐久力】セーヴィング・スローを行ない、失敗した場合は10(3d6)[毒]ダメージを受け、成功したら半分のダメージを受ける。[毒]ダメージで目標のヒット・ポイントが0になった場合、目標は容態安定化するが、ヒット・ポイントを得ても1時間毒状態になり、この毒状態の間は麻痺状態になる。

5.ミ=ゴの研究室

通路の先は研究室になっており、空のブレイン・シリンダーが2本置かれている。正面にある作業机の上は血の跡がうっすらと残り、ここでチェーシャへの施術が行なわれたことを物語っている。部屋の奥には黒い石でできた祭壇のようなものがあり、そこにはブレイン・シリンダーが置かれ、それを触っているヒューマンほど大きなカビの生えた羽虫のような怪物がいる。これがミ=ゴのユンググラフトゥだ。

ハワードがいるなら、彼が外で騒ぎになっていることの証人になってくれる。いない場合でも、キャラクターたちが外で騒ぎが起こっていることを話せば、ここで静かに採掘仕事を続けたいユンググラフトゥは聞く耳を持ち、基地にいる怪物の死骸を下手人として持って帰るのはどうかと提案する。

黒い祭壇にあるのはチェーシャのブレイン・シリンダーで、彼女はこの取引で暗黒星ユゴスへ行けると喜んでいる。

この部屋には地図があり、ヌファーラッツの谷という場所に印がつけられている。また、祭壇の裏は物入れになっており、200gpと電気銃が2挺隠されている。

ミ=ゴ

中型・植物、中立にして悪


AC:16(外皮)

hp:27(5d8+5)

移動速度:15フィート、飛行30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
10(+0) 15(+2) 12(+1) 17(+3) 15(+2) 8(-1)

技能:〈医術〉+5、〈ペテン〉+2

ダメージ完全耐性:[冷気]

感覚:暗視60フィート、受動〈知覚〉12

言語:共通語、ミ=ゴ語

脅威度:2(450XP)


アクション

複数回攻撃:ミ=ゴは爪で2回攻撃する。

爪:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[斬撃]ダメージ、および目標はつかまれた状態(脱出難易度10)になる。ミ=ゴは2つの爪を持ち、それぞれが1体の目標のみをつかむことができる。

電気銃:遠隔武器攻撃:攻撃+5、間合い20フィート、目標1体。ヒット:7(1d10+2)[電撃]ダメージ、および目標は難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行ない、失敗したら麻痺状態になる。目標は自分のターンの終了時にふたたびセーヴィング・スローを行ない、成功すれば麻痺状態は終了する。

エレクトリック・ガン

Electric Gun/電気銃

武器(ハンド・クロスボウ)、レア

この奇妙なハンド・クロスボウ大の卵形をした金属の道具は、1ポンドの重さで、電撃を発射して敵を撃ち、けいれんさせて動きを封じる。

エレクトリック・ガンは6チャージを持ち、夜明け毎に消費済みのチャージを1d6チャージを回復する。

エレクトリック・ガンに必要な習熟はハンド・クロスボウで、チャージ分発射できる。射程は20フィートで、命中した目標に1d10[電撃]ダメージを与え、目標は難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行ない、失敗したら麻痺状態になる。目標は自分のターンの終了時にふたたびセーヴィング・スローを行ない、成功すれば麻痺状態は終了する。

結末

ユンググラフトゥを倒すか、代わりの犯人をでっち上げれば、事件はそのうち人々に忘れ去られる。

ハワードが話していた鉱脈にはあと2000gp分ほど掘り出せるミスラルがある。この情報を売れば1500gpにはなる。

ハワードはキャラクターたちに興味を持ち、同行を申し出る。彼は異なる宇宙の者たちが集うというヌファーラッツの谷へ行けば、さまざまな冒険に出会えるだろうと話す。

ユンググラフトゥと話をつけた場合、彼らの補給基地であるヌファーラッツの谷に出入りするための印形を譲られる。この石があれば、谷の者に警戒されることはないと彼は言う。

この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。